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子どもの英語リスニングは精聴で伸ばそう(実践編)

「子どもの英語リスニングは精聴で伸ばそう(準備編)」でお伝えしたとおり、入試におけるリスニング力の重要性は高まっています。また、就職や昇進で参考にされる英語試験TOEIC のスコアは、リーディングとリスニングそれぞれの比率が1対1になっています。

これから英語を学ぶ子ども達は、早めにリスニング力を意識して伸ばすことが大切です。

しかし、リスニングは音声機器を使用しながらの個別学習が基本です。そのため、学校で教えてもらえると期待しないほうがいいです。また、自然と身につく能力ではなく、意識して伸ばす必要があることも大切なポイントです。

そこで、今回は家庭でもできるリスニング力を伸ばすための精聴(せいちょう)トレーニングの方法について、具体的に説明します。

子どものリスニング学習に使用するお話をLittle Foxから選ぼう

まずは子どもにLittle Foxのストーリー一覧を見せて、興味のありそうなものを自由に選ばせましょう。英検4級程度ならレベル2が適切です。レベル2から話が面白くなるので、高学年の子どもが見てもそれほど幼稚には感じません。

「Little Fox 英語童話ライブラリー」のサイトはこちらをクリック!

我が家の息子は海外にいた小学1年生の頃、レベル2の「Bird and Kip」 から始めました。リスニング学習法を説明するために、今回はレベル2の「Magic Marker」を取り上げます。

Magic Markerはエピソード1~8までが無料で楽しめるので、最初にチャレンジするにはもってこいです。

・子どもが集中できる長さを設定しよう

各エピソードは50秒未満になっています。集中力が続くなら、1エピソード丸ごとをリスニング素材にしましょう。初心者の場合、50秒でも長く感じるかもしれません。その場合は、前半か後半の30秒くらいに学習範囲を設定しましょう。

・用意するもの

用意するものは、A4の紙1枚と青と赤のボールペンです。黒のボールペンでも問題ありませんが、青は人間の集中力を高める効果があるらしいので私は青を使うようにしています。

これから動画を再生しながら、青ペンで英文を紙に書いていきます。鉛筆を使わないのは、スペリングの間違いも含めて記録に残すためです。

書き直したければ、二重線を引いて下またはとなりに英文を書いていきます。行間は指1本分くらい空けておき、あとで訂正や正解を書き込めるようにしておきます。

子どものリスニング:ディクテーションによる精聴トレーニング

リスニングの精聴トレーニングでは、ディクテーション(書き取り)が中心です。聴き取った英語を文字にして、紙に英文を書いていきます。紙に書くときは、英語のルールに従って書くように伝えます。

・大文字で書き始めること

・最後にピリオドを打つ

・セリフは“”で囲む

・短縮形はアポストロフィー(’)を使用する

最初から完ぺきにできる子どもはいないので、最初は大文字から始めることと最後にピリオドを打つことだけ意識させるようにしましょう。

・英語字幕なしで、エピソードを2回再生する

説明のために、Magic Marker 3: New Friendsを素材として扱います。

まずは、英語字幕が表示されないようにして2回エピソードを子どもに見せます。このときは、英文を書きません。エピソードを見ながら、およその内容を想像させることが目的です。

一文ごとに区切りながら英語を書き取る

次に、一文ずつ動画を再生します。1文ずつ再生するには、画面左下に表示される番号をクリックするだけです。これだけで何度でも再生できます。これがLittle Foxの学習機能が優れたところです。

普通の音声教材ではA-B間再生といって、開始位置と終わりの位置を設定しなければいけません。デジタルオーディオプレーヤーには3秒間戻る機能が備わっているものもありますが、必ずしもターゲット文の頭から始まるわけではありません。

一文を聴いてから、1センテンスを書きます。このとき注意するのは、聴いている途中から書き始めないことです。必ず1センテンスを聴いてから、書き始めてください。

これはできるだけ長い英語を頭の中に一時的にストックしておく力を養うためです。リテンション(保持力)と呼ばれていますが、リスニングの上達には欠かせない能力です。ちなみに同時通訳の人はこの能力が桁外れに高いです。

余談ですが、学校では先生が黒板に英語を書いてそれを生徒がノートに写します。リテンション能力が高い生徒は、一度英文を見ただけで書き写すことができます。私が教員をしていたとき、そのような生徒は例外なく英語力が高かったです。

・単語が書けない場合の対処法

小学生の場合、英単語を書けるレベルまで到達していないことも多いでしょう。その場合は、聴き取った単語を正確に発音して意味がわかるなら、書けた(聴けた)こととして見なしてもかまいません。

スペリングの正しさまでを追及すると、白紙になってしまいます。お母さんが、聴けた単語を代わりに書いてあげれば大丈夫です。

何十回も繰り返し再生して、本当の限界までリスニングをする

あとはこの作業を繰り返して、何とか聴き取れなかった部分を埋めていきます。簡単にあきらめてはいけません。少なくとも30回は集中して聴きましょう。

動画を見ながら意味を類推したり、文法面から読まれた単語を予想したりします。本当にわからなくても、聴こえた音をカタカナでもいいので記録します。こうして本当の限界までリスニングを繰り返してできるだけ空白部分を埋めます。

リスニング学習の最もきついパートですが、集中力を切らさずに取り組みましょう。

子どものリスニング:字幕付きで再生して、答え合わせをする

ディクテーションが終了したら、今度は英語字幕を表示して答え合わせをします。字幕を出すには、画面下の字幕のアイコンをクリックするだけです。

このときは赤ボールペンを使用します。チェックすべき箇所を列挙します。

大文字・小文字の使い分け、ピリオドなど。

スペリングが正しいかどうか

聴こえなかった空白部分の英語

チェックした紙は、一見グチャグチャな状態ですがこれが最高の教材になります。

参考までに息子が実際にディクテーションをした紙を掲載します。CNN ENGLISH EXPRESSという中上級者向けの英語学習雑誌の音声を利用しました。「僧衣で運転していたお坊さんに警察が罰金を課したことに反発した僧侶達のニュース」です。

最初のBuddhist(仏教の)は単語を知らないために聴き取れなかった場所です。中央のcampaignのスペリングに悪戦苦闘した様子や、fined(~に罰金を課した)をfind(を見つける)と勘違いしている様子がよくわかります。

動画セミナーでは書き取りができなくてもリスニング力を向上する方法を紹介しています。

聴き取れなかった理由を考えるのが、リスニング力向上の第一歩

赤字が聴き取れなかった部分です。答え合わせをしてみると、あれほど聴き取れなかった英語が、案外簡単な英語であるとわかりがっかりすることがあります。これは上級者でもよくあることです。

では、次に聴き取れなかった部分について一つひとつ原因を探りましょう。まず、「単語を知らなくて聴き取れなかった」と「単語を知っているのに聴き取れなかった」の二つに分けて説明します。

単語を知らなくて聴き取れなかった

「知らない単語は聴き取れない」のは当然です。これに対する唯一の対策は、単語を覚えることです。

まず、辞書で単語を調べたら発音とアクセントを覚えます。小学生だと発音記号を知らないので、辞書の音声機能などを利用して正しい発音を覚えてください。

発音を覚えたらその文脈に最もふさわしい意味を1つ覚えましょう。「英語→日本語」で何度かブツブツつぶやきます。

もう一度音声を聴いて、この部分がスムーズに聞き取れたらOKです。

単語を知っているのに聴き取れなかった

やっかいなのは「単語を知っているのに聴き取れないケース」です。この場合は、以下の原因を一つひとつ検討してみましょう。

・覚えている発音が実際の音と異なっていたから(間違って覚えていた)

たとえば、favorite「フェイヴァリット」と発音すべきこところを「ファヴォリット」と覚えていたら、読まれた音と知識が一致しないため聴き取れません。この場合は速やかに正しい発音を確認して、間違った記憶を訂正しなければなりません。

新しく単語を覚えるよりも、間違って覚えた単語の発音を訂正するほうがはるかに時間がかかるし面倒です。そのため、新しく単語を覚えるときは必ず正しい発音とアクセントを覚えるように心がけましょう。意味は忘れても構いません。

・文中で音が変化したから

文中では、英単語は一つひとつはっきりと発音されません。隣同士の単語の影響を受けて、音が変化します。ここでは代表的な3つの変化について取り上げます。

音が消える場合

good night(グッナイ)

p,t,k,b,d,gなどの文字で終わる場合は、その音はほとんど発音されないことがあります

音がつながる場合

an apple(アナップル), stand up(スタンダップ)

子音で終わる後のあとに母音で始まる語が続くとき、二つの音がつながります。これはゆっくり読むときもつながります。

音が変わる場合

meet you(ミーチュー), hold your hand(ホウルヂュア ハンド)

tやdなどの文字で終わる語のあとにyの文字で始まる語が続くと、2つの音が影響しあって別の音になることがあります。

1つの単語としての正しい発音やアクセントを覚えていても、これらの音の変化に対応できないと聴き取れないことがしばしば起こります。対処法は自分が音読するときにこれらの法則に従って読むことです。

自分がネイティブと同じような音の変化に従って読んでいれば、対応できるようになります。

・速く読まれて聴き取れなかった

英語は強弱や緩急をつけながら話されるのが一般的です。「弱」の部分や「急」の部分はほとんど音が出ていないことも多いので、聴き取るのが難しくなります。

たとえば、助動詞のwouldなどは音読されるときは「ッドゥ」とわずかに音が出るだけです。実際、何度も音声を聴いてもそもそも音が出されていないこともあります。

このようなときに役に立つのが文法の知識です。助動詞のうしろには動詞の原形が来るため、動詞の部分が聞き取れれば聴き取れなかった助動詞を頭の中で補えます。

I thought that they would come soon.(彼らはすぐに来ると思っていました)なら、過去の文脈の中でcameではなくcomeが使われていることにより、「おそらく助動詞のwouldが読まれたに違いない」と推測ができます。

文法の知識はリスニング力を向上させるためにも必須なので、しっかりと勉強しましょう。

・自分が知っている意味ではなく、予想外の意味で使用された

どんなに知っている単語でも、意外な意味で使われると素直に音が聞き取れないことがあります。

例:「book=本」の意味は知っていても、I will book a room at the hotel.(ホテルの部屋を予約します)のbookが聞き取れない。

これは自分の単語の知識を広げるチャンスととらえて「こんな意味があったのか」と学びましょう。次回からは不思議と聴き取れるようになります。

慣れてくると聴き取れなかった理由が手際よくわかるようになりますが、最初のうちはていねいに自分で考えることが大切です。

添削された英文を音読練習して、もう一度英語を聴き取る

リスニング力を伸ばすためには、原因の分析だけで終わらせてはいけません。何が自分に不足していたのかをハッキリと意識しながら、音声教材と同じように音読をします。

このときは文字が印刷された教材を使わずに、赤字だらけの添削済みの英文を使いながら音読するようにしましょう。

ナチュラルスピードで読まれる音声にかぶせるようにして音読を繰り返します。これはオーバーラッピングと呼ばれる音読トレーニングです。意味をきちんと理解しながら、同じように音読できるまで何度も練習しましょう。

最後にリスニングの仕上げとして、スクリプトを見ずに音声だけを静かに聞きます。最初の頃と違ってほとんどを理解できるようになっているはずです。ここまで終わったら、次の教材に移りましょう。

まとめ

子どものリスニング用教材として、Little Foxは最適です。無料で楽しめる話がたくさん公開されているので、まずは子どもの反応を見ながら有料会員になるかどうかを検討しましょう。

小学校5、6年生で英語学習歴が多少あるなら、レベル2から始めるといいです。1エピソード全体でも1分弱ですが、長すぎるなら前半の30秒だけを集中して聴きましょう。

具体的な精聴方法はディクテーションです。何度も繰り返し再生しながら、聴こえた英語を文字におこして英文を書いていきます。スペリングが難しければ、お母さんが手伝ってあげるか適当に書いておきましょう。

答え合わせは赤ペンで行います。聞こえなかった部分がハッキリとわかるようにするためです。そして、なぜ聴き取れなかったのかを子どもに考えさせましょう。知らない単語が聞こえないのは当然です。

知っている単語なのに聴き取れなかった部分について、その原因をきちんと考え対策を立てるようにしましょう。仕上げにモデルの音声と同じように読めるようになるまで何度も繰り返し音読の訓練をします。

モデルと同じように読めれば、少しずつリスニング力が向上していきます。

子どもがハマる!楽しい動画サイトを活用した「リスニング学習法」動画セミナーはこちら

子どもの英語リスニングは精聴で伸ばそう(準備編)

英語学習の楽しみはいろいろありますが、英語を聴いてダイレクトに自分の脳で内容を理解できたときは「英語を学んできてよかったな」としみじみ思います。

英語を長く学ぶには、損得勘定ではなくこういう喜びが大きな原動力になります。子どもであっても、これは同じではないでしょうか。

一方で、リスニング能力が今後英語の試験で大きな比重を占めることになりそうです。社会人の昇進や就活などに使われるTOEICはリーディングとリスニングが半々なので、リスニングを得意にしておくと有利に働くことは間違いありません。

従来は文法・単語学習・リーディングなど優先で後回しにされがちでしたが、今後は早めにリスニング対策することが大切です。

今回は英語試験におけるリスニングの状況と、小学生がリスニング学習を始めるときに気をつけるポイントについて詳しく説明します。

子どもの英語リスニング力を伸ばそう

リスニングは4技能(読む・書く・聴く・話す)のうちのひとつです。しかし、リスニングは他の技能とも密接に関連しています。だから、リスニング能力だけを単独で伸ばすという考え方は正しくありません。これは他の技能にも当てはまることです。

英語を聴き取るには、まず単語力と文法力が必要です。英語教育に携わる人の間では常識ですが「知らない単語は聴き取れない」からです。したがって、知っている単語の数が多いほど聴き取れる確率は高まります。

文法が重要なのは次のような場面です。たとえば、“He’s been to Okinawa…” の短縮形の部分(He’s)の部分を聴き取るときに役立ちます。もし現在完了形(have+過去分詞)の知識があって、次に続くbeenを聴き取れればこの ’s がhasの省略形だと理解できます。

また、実際の英語でこの ’s を聴き取るのが難しかったとしても、文法の知識があれば「hasと言ったに違いない」と良い先入観を持てます。したがってリスニングを伸ばしたければ、文法を学ぶことが大前提です。

リスニングとリーディングには強い相関関係があります。リーディングで返り読み(目線を左に戻して何度も同じところを読む)をしている子どもは、リスニングで英語を理解することは不可能です。

なぜなら音声は聞こえた順番に消えるので、読まれたとおりに理解できなければそれで終わりです。返り読みをしていては、英語の内容を耳で聞きながら内容を理解することは不可能です。

スピーキングにおいては、一方的に自分だけが話すわけではありません。相手の言った内容や質問に正しく反応することで英会話は成立します。つまり、リスニングができないとスピーキングも成立しません。

これらのことから、リスニングを伸ばすためには単語と文法力を基礎にして、他の技能と同時に伸ばしていかないと難しいことがわかります。

リスニングが苦手な子どもは早めに克服しよう

中学・高校での英語のテストではあいかわらずリーディングが中心です。定期テストでもリスニングを導入していますが、配点はそれほど高くありません。そのため生徒はリスニング対策をつい後回しにしてしまいがちです。

ところが高校入試や大学入試ではリスニングの配点が今後高くなることが決定しています。センター試験では250点満点中50点でしたが、次の大学入試共通テストでは、英語の50%はリスニングにすることが検討されています。

リスニングは暗記科目のように一朝一夕に仕上げられません。日常的に英語音声を利用した地道なトレーニングを長期間実施して初めて身に付きます。

理想はそれぞれの学習段階に合わせて、リスニング能力を継続的に引き上げていくことです。リスニングに苦手意識を持たぬよう、小学生のうちから少しずつ英語の音声に慣れていく必要があります。

リスニングが得意だとこんなに得をする

リスニングが得意だと、そうでない生徒と比較してかなりのアドバンテージを得られます。英検でも大学入試問題でも、リスニング問題がもし文字で印刷されていたら実はかなり簡単な問題だからです。

つまり音さえ聞き取れれば、割と簡単に解答できるため貴重な得点源にすることができます。我が家の息子は小学4年生のときに英検2級に合格しました。海外のインターナショナルスクールに通っていたためリスニングは得意です。

成績表を細かく見ると、リーディングや語法の問題で少し間違いがありました。しかし、リスニング問題の出来は良好でした。英語を聴き取ることができれば、小学生でも理解できる内容であることの証明です。

中学・高校の英語の授業は英語で教えられる

今後、中学・高校の英語の授業は基本的に英語で行われる予定です。もし、リスニングが苦手だったら英語の授業がほとんど理解できない状態になります。

このような事態を防ぐために、文法の説明だけは日本語に切り替える先生が多いと予想されますが、オールイングリッシュの授業にこだわる先生なら文法も英語で説明するでしょう。

6年間の英語の授業をほとんど聴き取れない状態で過ごすなんて、かなりの苦痛だと思います。こうならないためにも、早い段階から生の英語を聴き取れるように対策をするべきです。

子どものリスニングは精聴から取り組もう

リスニングのトレーニングには大きく分けて精聴(せいちょう)と多聴(たちょう)があります。精聴とは短めの音声を利用して、一字一句逃さぬように神経と研ぎ澄ませながら英語を聴き取る訓練方法です。聴き取り精度を上げるのが目的です。

多聴とは、英語をたくさん聞くことです。聴き取れない部分に執着せずに長めの英語を聴くことです。映像やテロップなどを参考にしながら、聴き取れなかった部分を想像しながら英語を聴きます。多聴は集中力を切らさずに大意をつかむのが目的です。

英語の中級者以上(英検2級以上)なら、両方とも平行して取り組むのが一番です。しかし、小学生の場合はほとんど英語の音を捉えることができないため、精聴だけに集中しましょう。

リスニング対策を始めるタイミング

リスニングのトレーニングをするタイミングですが、英検でいえば4級を取得したあたりから少しずつ精聴を始めるといいです。この時期になれば、最低限の単語と文法を身につけているからです。

このレベルになるまでは、英語をモデルとなる音声のマネをして音読するだけで充分です。我流で音読しても正しく読めるようにならないので、英語の先生に指導してもらうのが一番です。

英語は文章として読まれる場合、音の変化を伴います。一例を挙げると、sit downでは、sit のtの音は消えて「スィッ ダウン」と発音されるのが普通です。このような英語特有の音の変化に慣れておくと、あとでリスニング力を伸ばすのに役立ちます。

英検4級を取得するまでは、英文を英語の音の変化にしたがって正しく音読するように訓練しておきましょう。語彙が600語を超え過去形や助動詞の基礎を学んだら、少しずつリスニングのトレーニングも取り入れていきましょう。

リスニングに効果的な子どもがハマる教材

リスニングの精聴トレーニングの詳細については「子どもの英語リスニングは精聴で伸ばそう(実践編)で説明しますが、何度も同じ英文を聞くので大人でもきついと感じるときがあります。

そのためリスニング学習に使用する教材はできるだけ子どもが「楽しい」「おもしろい」と感じる素材であることが望ましいです。平易な語彙を使用しながら内容が楽しい素材を探すのは難しいのですが、これはとても重要なことです。

以前、マレーシアに居住していたときインターナショナルスクールに通う息子のリスニング力を伸ばしたいと考えたことがありました。そのときに、いろいろと探した結果、まさに理想的なリスニング教材「Little Fox」を紹介します。

「Little Fox 英語童話ライブラリー」をおすすめする理由

息子が実際に使って効果を上げたのは「Little Fox 英語童話ライブラリー」でした。

レベル別に子ども向けの楽しいストーリーがたくさんあり、集中力が切れない長さにまとめられているところが素晴らしいです。人間は物語を欲するので、「次はどうなるのか」と興味や好奇心が喚起されます。これが英語学習を続けられるエンジンです。

400本近くの動画が無料で体験できます。小学生なら、レベル1か2から始めるとよいです。Little Foxの素晴らしさは、物語のおもしろさだけではありません。再生機能や学習機能がとても充実しています。

パソコンで再生する場合、動画の横に5つのアイコンが並んで見えます。

・クイズ(鉛筆のアイコン)

内容一致問題です。レベル2では、本文中の英語が一文読まれて、それと一致する絵を2つの中から選びます。英検4級くらいのレベルです。

・単語学習(ABのアイコン)

動画で登場した主な英単語が学習できます。掲載されている例文は動画の中の説明文やセリフと一致しているので、使用された文脈を思い出しながら学習できます。

子どもの学習者のために、スピーカーのアイコンを押せば単語の正しい発音を聞くことができます。日本語の定義で使用される漢字にはフリガナが振ってあるので、まさに至れり尽せりです。

・スペリング学習(クロスワードのアイコン)

英文字のタイピングができるなら、表示された単語をタイピングすることによって学習します。ちょっとしたゲームのようになっています。タイピングができない子どもには、使えない機能です。

・MP3ダウンロード(ヘッドホンのアイコン)

音声だけをダウンロードできます。スマートフォンなどにダウンロードしておけば、外出時に音声だけを聴いて物語を再生することができます。

動画の情報に頼らず音声だけで場面を想像したりできるため、リスニング力を磨くにはとてもありがたい機能です。

・プリンタブルブック(プリンターのアイコン)

A4の紙に印刷すると、一冊の絵本が出来上がる機能です。この機能は地味ですが、とても価値の高いものだと私は思います。

ホチキスで止めてテーブルの上に置いておくと、暇なときに子どもは英語を読むようになります。一度動画で内容を理解しているので、英語を読むのが苦になりません。

洋書はコンスタントに購入するとかなりの金額になります。有料版を使用したとしても、この機能だけで元が取れてしまいます。

・スクリプト(紫のアイコン)

最後は、動画の英文だけを印刷できる機能です。圧巻なのは、単語をクリックすると表示/非表示を切り替えられるため、オリジナルの「虫食い」テキストを簡単に作れるところです。

リスニングでポイントとなる部分をOFFにして、その他の部分をONにすれば子どもの能力に合わせたリスニングテストを作成できます。

精聴用と多聴用のエピソードを分ける

まじめなお母さんは、Little Foxのすべてのエピソードを精聴させようと考えるかもしれません。しかし、せっかく楽しい物語(動画)を子どもが楽しめなくなってしまいます。

そこで私のおすすめは、精聴用の動画と多聴用の動画を分けることです。子どもがある程度内容がわかるレベルなら、うるさいことは言わずに好きなストーリーを時間を決めて見せます。

おもしろいセリフは子どもが勝手に覚えるので、あまり英語の勉強と結び付けるのはよくありません。とにかく楽しませておけばいいです。

精聴用の動画は、1話すべて(または一部)を何度も何度も繰り返し聴きながらトレーニングをします。内容のおもしろさも大切ですが、レベルの選択が鍵になります。

30秒くらいの部分を取り上げて、字幕を見ずに何度も英語を聴きます。最初に聴いたときに、せめて4割くらい理解できるものを選ぶと挫折しないで済みます。

無料でもしばらくは学習できる

子どもが食いつくかどうかを確認するために、しばらくは無料で見られる範囲で試してみましょう。400本近い無料動画があるので、数か月は困りません。

子どもがハマったのを確認できたら、有料版の購読を検討しましょう。長期一括にするほど割安になっています。

アメリカドルでの価格設定なので、為替レートの変動により日本円での費用が異なりますので注意しましょう。

パソコン(タブレット)、インターネット環境は必須

Little Foxの機能を使い倒すなら、パソコン・プリンター・インターネット環境は必須です。スマートフォンやタブレットのアプリからも利用できますが、一部機能に制限がかかったり仕様が異なります。

リスニングは音声にかかわるトレーニングなので、デジタル機器の得意分野です。昔なら到底実現できなかった学習環境とコンテンツが世界中から利用できるようになっているので、積極的に英語学習に取り入れましょう。

具体的なトレーニング法については、こちらの動画セミナーで詳しく説明しています。

子どものリスニングで聞き流し教材は効果なし

新聞・雑誌などの広告で大々的に宣伝されているリスニング教材に「聞き流し教材」があります。勉強不要で、ただ音声を再生してれば自然と英語が聞き取れるようになる、というウリで人気があるようです。

しかし、断言しますが英語をただ聞き流すだけでは、BGMと何ら変わりません。学習効果はゼロです。聞き流すだけではリスニング力は向上しません。

多聴と聞き流しは似ているように感じる人もいるでしょう。しかし、多聴ではわからない部分を映像や文脈などで必死に補いながら英語を聴きます。何も考えずに英語を聞き流すときとはまったく異なります。

歌はリスニング学習にあまり向いていない

洋楽をリスニングに取り入れたいと考えるお母さんも多いかもしれません。確かに大好きな歌なら、リスニングには最適と考えたくなるのももっともです。

しかし、歌もまたリスニング学習の教材としてメインに使用するのに向いていません。なぜなら歌は独特の節がつくため普通に読まれる英語よりも聴き取るのが難しいからです。

NHKの朝ドラ『まんぷく』は人気のあったドラマなので、観た人も多かったと思います。その主題歌「あなたとトゥラッタッタ」はドリカムが歌っていましたが、日本語であるにもかかわらず、私はほとんど聴き取れませんでした。

これと同じ現象が英語でも起こります。ネイティブでも聴き取れない歌を日本人の子どもがリスニング学習に使うのは不適切です。

また、歌詞では文法的な正しさよりも語呂の良さを優先することがしばしばあります。たとえばビートルズが歌っていた「Ticket To Ride」では、she doesn’t careとすべき箇所がshe don’t careと歌われています(下の動画0:33あたり)。

ただし、歌は耳に残りやすいし、すべての歌がリスニングに不向きなわけではありません。息抜きに英語を楽しむ分にはまったく問題ありません。あくまでもリスニングのメイン教材としては不向きであるということです。

リスニングにまったく効果がないのが「聞き流し教材」です。また、洋楽の歌はネイティブでも聴き取りにくいことを考えると、リスニング学習の教材としては不向きです。

端的にまとめると、聞き流さないのがリスニング学習です。ストーリーのあるもの、内容がまとまっているものを標準的な英語で話された素材を使うのがポイントです。

まとめ

英語を攻略することが受験や入試には大切です。また、新しい大学共通テストではリスニングの配点を半分にまで引き上げることが検討されています。リスニング対策を後回しにせず、早めに取り組むことが求められています。

小学生が英語リスニングを本格的に始めるなら、英検4級を取得した頃がいいです。リスニングには精聴と多聴の二つのトレーニング方法がありますが、初心者の場合は精聴だけで充分です。

使用する教材は子どもが続けやすいものを選ぶのがポイントです。私のおすすめはLittle Foxです。とにかく内容が充実しているのと、欲しい学習機能がすべてそろっているので、リスニング教材としては最適です。

聞き流し教材や洋楽などをリスニングに活用するのはやめましょう。聴き取り能力を向上させるためには、集中して英語を聴き取る努力が求められるからです。

リスニング能力を伸ばすと、英語試験において圧倒的に有利なので頑張りましょう。

次の記事「子どもの英語リスニングは精聴で伸ばそう(実践編)」では、Little Foxを使って実際にどのように子どもにリスニング学習をさせるのかについて説明します。

英語の勉強になる子供向け映画DVD:「英語と外国文化や歴史」を学ぼう!

街の本屋さんの語学コーナーに行くと、海外ドラマや映画DVDを英語教材にした学習本が増えています。ネイティブの英語を楽しみながら学べるので、需要があるのでしょう。

また英語を学ぶ目標として「映画を字幕なしで楽しむこと」を挙げる人はとても多いです。映画と英語は相性がいいのです。

子どもの英語教材としても映画はおすすめです。しかし、子どもの英語のレベルは高くないので、ネイティブのセリフを聞き取るにはハードルが高すぎます。すべてのセリフを聞き取ろうとせずに、印象的なセリフに絞って学習したほうがうまくいきます。

英語以外でも、映画は「外国の文化・歴史・生活習慣」を学ぶ絶好の機会です。映画の舞台は現代だけでなく過去の出来事も舞台になるので歴史も学べます。

子どもの英語学習に向いている映画を探すにはコツがあります。それについても詳しく解説するので、参考にしてください。

子どもと映画を観よう

夏休みなどの長期休暇中「子どもに何か有意義なことをさせたい」と考えるお母さんは多いです。しかし、良いアイデアが思い浮かばずに、結局ダラダラと過ごしてしまう経験はありませんか。

私のおすすめは「子どもと良い映画を観ること」です。「夏休み中に15本映画を観て、30個のセリフを覚える」と具体的な目標を立てて実行できたら、充分に有意義な時間を過ごしたといえるでしょう。

映画のあと親子で映画について話し合い感想を述べるのは、議論の練習になります。映画で得た知識は将来英語圏の人と雑談するときにとても助かります。共通の映画で盛り上がったり意見交換できたりしたときは、映画を観ていて良かったと思います。

まず、映画ノートを一冊用意しましょう。子どもにタイトル(邦題と原題)を上に書かせて、観た日付を記入(英語で)させます。タイトルに知らない単語があったら、意味を調べさせましょう。ここまで準備できたら、あとはメモを取るだけです。

映画は英語圏の文化や習慣を学べる最高の教材

英語圏の国での文化・習慣について深く学ぶ教材として、映画は優れています。例えば、子ども向けの定番映画として『ホーム・アローン』があります。

「子どもが一人で家にいる」ことは日本ではそれほど珍しくありません。しかし、アメリカでは13歳未満の子どもを13歳以上の監督なしに一人にさせてはいけない」法律があるため、深刻度が違います。

よく中高生がアルバイトでベビーシッターをするシーンがアメリカのドラマで見られますが、そのような背景があるからです。それがわかると、「子どもを家でひとりにして家族が旅行に行ってしまった」のは日本以上に大事件であることを理解できます。

クリスマスは家族が集う機会でもあるので、皆が再開できるハッピーエンドはまさにクリスマスのテーマそのものです。

このように外国の文化や習慣を疑似体験できるのが、映画の良いところです。子どもと映画を観たあとはこのような豆知識を教えてあげると、子どもの教養レベルは高くなります。

このような雑学もノートにメモしておくと、知識が定着して忘れにくくなります。

好きなセリフを英語字幕で確認しよう

英語の映画ならもちろん英語を学べます。小学生で映画のセリフをすべて理解させるのはほとんど不可能です。そこで、子どもが印象に残った場面のセリフだけを1つか2つ選んでノートに記録してはどうでしょうか。

例えば『オズの魔法使』なら、最後のドロシーのセリフ“There’s no place like home.”(やっぱりおうちが一番)だけ、字幕表示を利用してノートに写します。

そしてそのセリフが読まれるときの役者のマネをして何度も音読します。映画を観終わった直後は特に登場人物に感情移入できます。シーンを思い浮かべながら気持ちを込めてセリフを繰り返すのがコツです。

応用で言葉の一部を置き換えてみるのもいい訓練です。“There’s no place like Disneyland.”(ディズニーランドが一番)のように子どもの考えや経験に合致した英文にしたほうが、頭に残りやすいです。

定額オンデマンドサービスが充実

映画はDVDでもいいし、定額オンデマンドサービスを利用してもいいです。大手のNetflixでは字幕や音声を切り替えられる機能があり、英語学習に重宝します。
字幕機能

レンタルだと返却日が気になります。返却も天気が悪かったりすると面倒です。その点、いつでも見られるオンデマンドサービスはとても便利です。

まだ利用していない人は最初の1か月はたいてい無料で利用できるので、この機会に試してみるといいでしょう。

どうやって子どもと楽しめる映画を見つけるか

映画が子どもの英語学習に役立つのはわかっていただけたと思います。しかし、たくさんのタイトルの中から「子どもの英語学習に適した映画」を選ぶのは簡単ではありません。

私もネットで「評判」を検索して探していた時期がありました。しかし、実際に見てみると評判ほど楽しくなかったり、英語学習の観点からは今ひとつだったりしたこともありました。

ディズニーのアニメならほぼ間違いないのでしょうが、毎回同じようなテイストだとやはり飽きてしまいます。

そこで活用したいのが「映画ガイドブック」です。

もっと簡単に英語の動画を楽しみたいなら、こちらの勉強法がオススメです

一冊揃えると超便利! 映画紹介本

限られた期間にできるだけ質の高い「子どもの英語学習に適した映画」をたくさん見るためには、やはり行き当たりばったりでは駄目です。そこで便利なのが映画ガイドブックです。

先生が薦める『英語学習のための特選映画100選』小学生編

私も1冊購入して大変便利だと感じたのは『英語学習のための特選映画100選(小学生編)』です。
英語紹介本
映画の基本情報はもちろん、英語学習の観点から役立つ情報がぎっしりと詰まっています。

執筆者は多数いますが、すべての映画は共通のフォーマットで構成されています。「セリフ紹介」「ふれあいポイント」「あらすじ」「映画情報」「おすすめの理由」「授業での留意点」「映画の背景と見所」「リスニング難易表」などです。

これらのうち「リスニング難易表」「セリフ紹介」「授業での留意点」について詳述します。

「リスニングの難易表」は便利

すべての映画には「リスニング難易表」があります。9個の評価項目があります。具体的には「会話スピード」「発音の明瞭さ」「アメリカ訛」「外国訛」「語彙」「専門用語」「ジョーク」「スラング」「文法」です。

それぞれ5段階で評価されていて、標準は3です。「スラング」は使用頻度が少ないと数字は小さくなります。「文法」はルールに忠実なほうが小さい数字です。初心者ほど数字が小さいものを選ぶとよいといえます。

この表をざっと眺めるだけで、子どものレベルに合った映画を選べるのでとても便利です。この本はもともと小学生編なので、はじめから難解な映画は含まれていません。でも作品によって難易度にかなりばらつきがあります。

「セリフ紹介」と「授業での留意点」

学校の先生用に執筆された本なので、「セリフの紹介」と「授業での留意点」が詳しく書いてあります。

ここに掲載されている情報はかなり詳細で、大人が読んでも勉強になります。何度も観たこともある映画でも新しい見方を与えてくれるので、もう一度観てみたい気持ちにさせてくれます。

全部を子どもに教えようとすると勉強臭がするので、教える内容は絞りましょう。

例えば、『アニー』の舞台は、1933年のニューヨークです。当時1929年に起こった世界大恐慌の影響で、経済はどん底でした。

1933年に米国大統領となったフランクリン・D・ルーズベルトは「ニューディール政策」と呼ばれる公共事業の拡大により失業率を改善して経済危機を乗り切りました。

中学校や高校の歴史でも登場しますが、子ども向けの映画で予習できるのは素晴らしいです。日本でも毎年人気のミュージカルなので、子どもが気に入ったら舞台を見せてあげても喜びそうです。

ちなみにアメリカの歴史上もう一人ルーズベルト大統領がいます。第26代大統領のセオドア・ルーズベルトです。映画『ナイトミュージアム』に登場します。

歌にも注目

映画と主題歌は切っても切り離せないものです。もし子どもが口ずさんだら、歌の一部でもいいので歌ってみましょう。

『アニー』ならTomorrow、『オズの魔法使』ならOver the Rainbowです。ノートに歌詞の一部を記入します。

Tomorrow, tomorrow, I love ya, tomorrow
You’re always a day away!

これだけ歌えるだけでも、子どもはうれしくなります。この部分はリフレイン(繰り返し)になっているから、満足度も高いです。上手に歌えたらほめてあげましょう。

私のおススメ映画

本の中では紹介されていませんでしたが、私が子どもと観ておもしろかった映画を一つ紹介します。たまたま観た映画で、今まで存在すら知りませんでした。邦題のつけ方を失敗しています。

「笑えて感動して泣けてくる」三拍子揃った映画『飛べ、バージル/ プロジェクトX』です。ぜひ、家族みんなで鑑賞してください。

・飛べ、バージル/ プロジェクトX

手話で人間の言葉を覚えたチンパンジーのバージルが、空軍の秘密プロジェクトに参加します。ところがそのプロジェクトは核戦争を想定したチンパンジーに爆撃機を操縦訓練させるものでした。

被ばくしてからどれくらい飛行できるかを実験するために次々に犠牲になるチンパンジーを救うために、若者2人が協力します。

冒頭で研究者がチンパンジーに言葉(英語)を教えるシーンがあります。チンパンジーにわかるように話す英語は、当然とてもわかりやすいです。英語を覚えたての子どもでも、理解できる英語が続くので楽しめます。

時代背景として、「米国とソビエト連邦が冷戦関係にあった」歴史を子どもに教えてあげる必要があります。そうしないと、なぜアメリカはチンパンジーを虐待しなければならなかったのか理解できないでしょう。

子ども向けの映画からでも深い教養を身につけられるのが映画のいいところです。

まとめ

もし子どもに夏休みを有意義に過ごさせるなら、英語の映画を観てみましょう。映画で印象に残ったセリフを英語で抜き出して、それを暗唱します。また、興味を持った生活習慣や文化などについて調べるのも大変勉強になります。

子ども向けの映画を選ぶのは難しいので、英語学習向けの映画ガイドブックを手元に用意するととても便利です。選ぶ段階ではリスニングの難易度について細かい指標があるので、役に立ちます。

その映画の時代背景や登場人物について子どもが調べるヒントを与えてあげると、海外や歴史に興味をもつきっかけになります。

観終わったあと親子で映画について語り合うのは、子どもにとってとてもいい勉強になります。親子で良い映画をたくさん見て、英語や外国の文化や歴史について学びましょう。

NHKの英語アニメ「リトル・チャロ」を小学生が攻略する方法

1970年代、テレビで世界名作劇場が放映されていました。この頃私は幼稚園~小学生の子どもだったので「フランダースの犬」「あらいぐまラスカル」などを毎回楽しみにしていました。ストーリーを好むのは人間の習性かもしれません。

「英語の楽しいコンテンツなら、子どもも夢中になって英語を学ぶはず」と多くの人は考えます。実際、それは確かに正しいです。

しかし、現実には難しい問題があります。「楽しい」=「英語学習向き」とは限らないからです。ディズニーアニメは確かに楽しいし、大好きな子どもも多いはずです。ただ、使用されている英語は容赦ないネイティブ用のナチュラルスピードです。

なぜならそれらは英語学習者向けに作られているわけではありません。そのため気の利いた大人びた表現やギリギリの俗語が盛り込まれています。

「日本人の英語学習者に配慮されたおもしろいアニメがあったらな」と私もいつも思っていました。そこへ登場したのが「リトル・チャロ」です。さすがNHKだけあって、クオリティは素晴らしいです。

この「リトル・チャロ」を活用して、小学生でも英語を学べる方法を詳しく説明します。アニメ好き・動物好きの子どもならハマること間違いなしです。

「リトル・チャロ」の紹介

アニメ「リトル・チャロ」は2008年にNHKで放送された英語のアニメです。これは単なるアニメ作品とは異なり、英語学習のコンテンツとして活用できるように綿密に制作されています。

放送当時私もテレビで偶然見つけたときは「へえ、おもしろそう」とだけ思いましたが、それっきりでした。「リトル・チャロ」の再放送をきっかけにあらためてコンテンツを観ると「非常に優れた英語学習コンテンツ」だと感心しました。

平易な英語で制作されていますが、活用の仕方によっては初心者から中・上級者まで幅広く英語学習に利用できます。「中学生くらいのときにこんなコンテンツと出会えていたらもっと英語にのめり込めたのに」と私は今の子ども達をうらやましく感じます。

ストーリー

日本人の少年・翔太の飼い犬であった子犬のチャロは、アメリカ旅行から帰るときニューヨークの空港で迷子になってしまうところから話は始まります。

チャロは翔太に再び会えることを願いながら、仲間の犬たちとの交流を深めていきます。途中、笑いや涙の展開を織り交ぜつつ話は展開していきます。そしてついに、まったくの偶然から翔太の父にチャロは発見されて、無事、日本に帰国して翔太との再会を果たします。

主人公がかわいい子犬なので、小学校低学年の子どもも感情移入しやすいです。昔、私が子どもの頃テレビで見ていた「母をたずねて三千里」のような中毒性のあるストーリーです。最後は思わず泣いてしまう話です。

英語の特徴

使用されている語彙レベルは「中学校+アルファ」です。ナレーションと登場人物のセリフによって構成されています。もちろん、声優はそれぞれ異なる人が対応しています。

チャロ以外の登場人物はネイティブ・スピーカー(犬も含めて)なので、英語を流暢に話します。チャロは日本の子犬なので英語はそれほど得意ではありません。

使用されている英語は不自然ではない程度にゆっくりと発音されるため、リスニング初心者向けにピッタリの教材です。

アクティブ・ボキャブラリー(意味がわかるだけでなく、話したり書いたりするときに使える語彙)を増やしたい中・上級者にも学ぶところが多い教材です。限られた語彙の中でこれほど豊かに表現できることのサンプル集です。

英語が得意なお母さんは、ぜひ親子で楽しみながら英語学習に利用してみましょう。

一般的な映画(アニメ)と比較して英語教材として優れているところ

書店の語学コーナーでも、「DVDを教材にして英語を学ぶ」テーマの本は売れています。私も海外ドラマは大好きなので、これまでにも何度もこれらを利用して英語学習に役立ててきました。

しかし、いざ英語のアニメや洋画を英語初心者が学習に使おうとすると、問題が生じます。たとえば「アナと雪の女王」は一時期大ヒットして子どもも大好きなディズニー作品です。しかしながら、正直私でもすべての英語を聞き取れません。

英語圏(主にハリウッド)で制作されたアニメ・映画は、ネイティブ用に作られています。そのため会話のスピードは、英語を学習している日本人の子どもにとっては速すぎます。

また語彙レベルも学習者向けにコントロールされていません。子ども向けのアニメでも、英検1級レベルの単語が頻繁に登場します。さらに、省略表現や俗語表現も多く、学習教材としては使い勝手が悪いことが多いです。

英語音声がないシーンやただの絶叫シーンも多く、英語を学ぶときにいちいち飛ばすのは面倒です。

盲点なのは日本語字幕の内容は、英語のセリフを完璧にカバーしていないことです。字数制限があるため、短い日本語で「意訳」しなければいけないからです。そのため英文の細かい意味がわからずモヤモヤとした気分になることがしばしばあります。

また、同様に英語のセリフすべてが「英語字幕」として表示されるわけではありません。長すぎる部分は別の表現に置き換えられるのが普通です。

一方、NHKが英語学習者を意識して制作した「リトル・チャロ」はこれまで指摘した問題のすべてが解消されています。話される英語はすべて漏れなく字幕に表示されます。日本語の字幕も極端な意訳はなくて、ほとんどの英語のセリフを網羅しています。

語彙レベルは「中学校+アルファ」です。これは英語学習者用の英英辞書の定義で使用される語彙レベルとほぼ同じです。つまり、ここに出てくる語彙を充分に使いこなせれば、日常のほとんどのことは表現できる証拠です。

リトル・チャロは「ナレーションとセリフ」で構成されています。読まれるスピードは聴き取りやすい速さです。英語学習には速すぎても遅すぎてもダメですが、英語初心者向けに絶妙な速さを設定しています。

さらに使用されている英語は「完璧に正しい英語」であり、安心して英語学習に使えます。口語表現も「How come~?」など普通の表現ばかりで、子どもがまねしてもまったく問題ありません。

1話5分で構成されているので集中力は持続しますし、余計な無音シーンがほとんどないのも、学習効率を高めてくれます。

「リトル・チャロ」は英語学習者のツボを知り尽くして制作されているのがわかっていただけたでしょうか?

リトルフォックスというe-ラーニングサイトではリトルチャロのような動画教材が豊富に見られます。これを活用した学習法の動画セミナーはこちらで確認できます

「リトル・チャロ」はどうやったら見られるか

「リトル・チャロ」は再放送を待てば無料で見られますが、日本語字幕しか利用できません。英語学習には英語の台本(スクリプト)が必須です。

組み合わせとしては、以下のとおりです。

CD + テキスト
DVD(スクリプトは字幕表示を利用)
えいごで旅するリトル・チャロ(任天堂DS)

小学生でゲーム機DSを持っているなら、リトル・チャロのソフトを購入するといいです(評判も上々です)。テキスト+CDはすでに中古を探すしかないのと、子どもなら映像を確認したいと思うでしょう。

DVDを購入すれば、映像をテレビで楽しめて、英語字幕表示に切り替えればスクリプトも確認できます。

しかし、私は上記以外の方法で「リトル・チャロ」を観ました。それは高校生の娘が持っていた「電子辞書」でした。

おすすめは電子辞書の収録版

最近の電子辞書には、本来の辞書機能以外の「学習コンテンツ」が充実しているモデルがあります。その中に、「リトル・チャロ」を収録した電子辞書があります。

英語系の電子辞書の大手はカシオとシャープですが、全てのモデルに「リトル・チャロ」が収録されているわけではありません。実際に購入するときは、店頭で実物を手に取って確認したほうが確実です。

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娘の持っていた辞書はシャープのBRAIN(PW-SH4)では、「リトル・チャロ」全話が収録されています。カシオのXD-G4800には確実に収録されています。

両者の違いは、シャープでは紙芝居風に収録(シーンごとの静止画)されているのに対して、カシオでは動画が再生できます。

 

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小学生の子どもなら動画で見られたほうが楽しいかもしれません。一度、動画を観たことのある場合は、紙芝居風のほうが英語に集中できるともいえます。

では、なぜDVDではなく電子辞書で収録されたものが「英語学習におすすめなのか」について説明します。

おすすめの理由1:どこでも持ち運びができるから

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英語学習を続けるコツは、「いつでもどこでも」することです。電子辞書は携帯に便利です(大きさを比較するために、スマホと並べて撮影)。イヤホンと一緒に持ち歩いていつでもどこでも「リトル・チャロ」で英語を学べます。

電子辞書には「前回のファイルを再生」というメニューがついています。これを利用すれば、直前に学習したエピソードを素早く再生できます。細切れ学習には不可欠な機能です。

DVDプレイヤーではテレビが設置してあるところでないと学習できません。どちらが英語学習を継続できるかは明らかです。

たとえば朝、学校に行く前に5分だけ「リトル・チャロ」を観るときに、お父さんがテレビでニュースを観ていても、電子辞書なら問題ありません。

おすすめの理由2:字幕表示の切り替えが一瞬でできる

DVDプレイヤーでも字幕表示の切り替えはもちろんできます。しかし、一時停止中に切り替えることはできません。再生中に字幕の切り替えボタンを押して、少し間が空いた後切り替わります。このわずかな時間が英語学習をするときはストレスに感じます。

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一方、電子辞書の場合には一時停止中でも、言語を一瞬で切り替えられます(赤丸のボタン)。また、読まれている部分は赤い文字で表記されます(カラオケのように)。さらに、英語と日本語を同時に表示させることも可能です。この場合、該当する日本語訳はハイライトで表示されます。

欲しい情報を一瞬で入手できるのが、電子辞書収録版の優れているところです。

おすすめの理由3:セリフをタップすると、その場所から即再生するから

「リトル・チャロ」を英語学習に利用するときに、「音読練習」は欠かせません。そのときモデルとなる音声を何度も聞きながら、自分で声に出して練習しなければいけません。

DVDプレイヤーがもどかしいのは、聞きたい部分だけを繰り返しすぐに再生できないことです。「戻る」ボタンだけでは細かい頭出しはできません。

電子辞書の収録版では、スクリプトの部分をタップするとそこから「即」再生されます。これは大変ありがたい機能で、何度もモデルを聞きながら音読練習するのにうってつけです。

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携帯性に優れ、字幕表示の切り替えやセリフがすぐに再生されるので、電子辞書の収録版「リトル・チャロ」はおすすめです。

すでに電子辞書を持っている場合や、DVDが家にある場合には、わざわざ「リトル・チャロ」が収録された電子辞書を買う必要はありません。しかし、もしまだ電子辞書を持っていなくてそろそろ買おうと思っているなら、「リトル・チャロ」が収録されたものがいいです。

小学生でも「リトル・チャロ」を攻略できる方法とは

では、「リトル・チャロ」を利用して、小学生でも取り組める英語学習法について解説します。ポイントは「何を目的にして」「どのように学習するか」です。

「リトル・チャロ」は平易な英語しか使われていませんが、ほとんどの小学生にとっては難しい語彙レベルです。無理にリスニングに取り組ませても、すぐにあきらめてしまいます。

私のおすすめは、「リスニング」ではなく「英文暗唱」です。セリフの一部を繰り返し「音読」して、あたかも自分が声優になったかのようにスクリプトを読まないでセリフを言えたら完成です。

「音読」する過程で、Reading「読む」、Listening「聴く」、Speaking「話す」の3技能をバランスよく鍛えられます。小学校高学年なら、最後の仕上げとしてディクテーションをすればWriting「書く」もカバーできます。

すべてのセリフやナレーションでこれをやるのは非現実的なので、一部に絞り込んで取り組んでみましょう。

チャロは日本の犬…だからやさしい英語しか話さない

設定上、チャロは日本の子犬なので、簡単な英語しか話せません。発音もわざと日本人っぽく演じられています。これに対して「正しい発音ではないので、教材としては不適格」と決めつけてしまう人がいますが、私はそうは思いません。

チャロの姿は子どもからみれば「自分」なのです。小学生がニューヨークで親と離れ離れになったようなものです。

NHKがチャロの発音を日本人っぽくしたのは、おそらく「親しみやすさ」を視聴者に与えて、共感させるためです。

チャロは、やさしい短い英語を日本人っぽく一生懸命に話しています。この部分に的を絞り、小学生の子どもに音読練習させるのは理にかなっています。正しい発音は、ナレーションや他の仲間の犬たちから学べばいいのです。

チャロはもちろん主人公なので、子どもの満足度も高いはずです。小学生なら、チャロのセリフに絞って、音読練習してみましょう。これが攻略のコツです。

意味を理解して、セリフの音読練習

ここからは普通の音読練習と同じです。まずはストーリーをしっかりと理解するところから始めましょう。意味のわからない英語を何度音読しても、学習効果はありません。

チャロはしばしば日本語を話したり、犬の吠える声で「Arf!」と叫んだりしますが、そこは飛ばしましょう。

最初のエピソードの頃は、片言英語の部分が多いので、小学生でも簡単にまねできます。エピソードが進むにつれて、きちんとした文章が増えていきます(チャロの英語力が向上していきます)。

小学生には未習事項の「過去形」や「現在進行形」が頻繁に使われていますが、小学生に細かい文法解説は基本的に不要です。そのまま英語を繰り返しまねることだけに集中させましょう。

英語を日本語にしてみる

ここでもう一度、英語を理解しているか日本語にしてみましょう。正確に訳すのが目的ではありません。およその意味でよいので、英語の大意を理解しているかどうかを確認します。

意味を言えない場合、単語を知らないか文法を理解していないかのどちらかです。単語を知らない場合は、お母さんが教えてあげてください。

ここまでの段階で、「正確に英語を聞けて・音読できて・意味を理解している」状態であることがポイントです。

オーバーラッピング、シャドウイング、日本語→英語

次は、実際のスピードに合わせて音読する練習です。チャロのパートの少し前から再生して、チャロの声と同時に重ねて音読します。これがオーバーラッピングと呼ばれる音読練習です。

慣れてきたら、再生速度を一段階速めてもオーバーラッピングできるように練習してみましょう。電子辞書にも再生速度を調節できるボタンがあります。

充分にオーバーラッピングをしたあとは、シャドウイングに移ります。「シャドウイング」とは、シャドウ(影)のように「読まれる音声より3語くらい遅れて音読するトレーニング法」のことです

このときに音ばかりを追いかけるのではなく、チャロのセリフの内容に意識を向けましょう。

大変疲れる音読トレーニングですが、1語1語ではなくかたまりで英語を処理できるようになります。リスニング力を高めるときの基礎となるトレーニングです。

シャドウイングの次は、日本語字幕を読みながら該当する英語を口に出して読む練習です。英作に時間がかかるのは、ここまでの口頭練習が不足しているからです。もう一度、オーバーラッピングに戻って反復練習しましょう。

一瞬で言えるようになるまでには、一般的に50回~100回程度の反復練習が必要です。

アニメに合わせて演じる&ディクテーション

今度は声優になってアフレコをするつもりで、映像を観ながらチャロのセリフを言いましょう。このときに棒読みではダメです。チャロの心情をくみ取って、息づかいまでまねるつもりで練習しましょう。

感情と英語表現を結びつける訓練をすると、実際に自分がそれと近い感情になったときに英文が思い浮かぶようにするためです。ここまでくれば、ほとんどゴールです。

小学校高学年の子どもなら、最後の仕上げとして「ディクテーション(書き取り)」にも取り組んでみましょう。字幕をOFFにして、チャロのセリフの部分だけを聞いたあと、紙に英文を書きます。句読点(ピリオドやカンマ)なども正確に書きましょう。

このように紙に書くと、あいまいに覚えていた綴りや文法事項を確認できます。最後は必ず字幕をONにして、英語に誤りがないか答え合わせをします。

チャロのセリフは少ないですが、徹底して音読するのはそれなりに大変です。エピソードによっては英語を話さずに「Arf!」だけのものもありますが、その場合は音読練習せずにストーリーを楽しめばいいです。

しばらくしてから音読練習をしたエピソードを再生すると、チャロの部分の英語はすべて聞きとれるはずです。英語の学習はこれの繰り返しです。楽しみながら続けられるようにお母さんはサポートしてあげましょう。

まとめ

アニメとして楽しめて、英語学習用のコンテンツとしても細かく配慮されている「リトル・チャロ」を使えば、小学生でも楽しく英語を学べます。

DVDなどで再生してもいいのですが、DSのソフトや電子辞書に収録されている「リトル・チャロ」を活用すると、英語学習の効率が飛躍的にアップします。

平易で比較的ゆっくりとした英語で話されていますが、小学生がリスニング教材として使うにはレベルが高すぎます。それよりも、小学生の子どもと等身大の主人公「チャロ」のセリフに的を絞って、音読練習したほうがいいです。

電子辞書の再生機能をフル活用しながら、いろいろな角度から繰り返し音読練習しましょう。ひとつのセリフにつき最低50回は必要です。

しばらく経ってそのエピソードを観ると、チャロの英語は完璧に理解できるはずです。それが音読による学習効果です。

「リトル・チャロ」はディズニーのアニメよりもずっと日本人の子ども向きのコンテンツです。子どもの英語学習がマンネリ化してきたら、「リトル・チャロ」を利用した英語学習にチャレンジしてみましょう。

小学生のリーディングに「スラッシュリーディング」は必要?

あなたの子どもは英語を読むとき「左から右へ」読めているでしょうか? 日本語と英語では語順はまったく異なるので、英語を読んでもつい思考は日本語になってしまいます。そして、日本語で意味を取ろうとして、目線は右から左へ逆方向に何度も戻ってしまいます。

このような読み方を続けていると、速読はいつまでたってもできるようになりません。速読できないと多読も難しいので、英語力は向上しません。

小学校低学年までの子どもは素直に左から右に読めます。なぜなら、日本語(国語)が頭に完全に定着していないので、英語を読むときは英語の語順で読もうとするからです。

一方、小学校中学年は日本語の完成期です。自然な日本語の語順に沿って英語を読もうとするので、目線は何度も逆方向に戻ってしまいます。

今回はそのような症状を改善するのに有効な「スラッシュリーディング」について解説します。

スラッシュリーディングって何?

お母さんに大学受験の経験があれば、一度くらいはスラッシュリーディングについて聞いたことがあるかもしれません。名前を聞いたことがなくても、参考書で英文にスラッシュをいれて解説しているのは「スラッシュリーディングの応用」です。

スラッシュ

それでもよくわからないお母さんのために、あらためて「スラッシュリーディング」について例を挙げて説明します。

実例を見てみよう

まずはスラッシュ(/)なしの英文を読んでみましょう。英文のあとに和訳を掲載します。

The fireplace keeps me warm like a blanket on the chilly nights.  My cat likes to sleep on my lap when I sit near the fire.
(寒い夜には毛布のように暖炉は私を温めてくれます。私のネコは私が火のそばに座っているときにひざの上で寝るのが好きです)

英語に慣れている人なら難なく左から右へ読める文章です。しかし、英語初心者の場合、日本語の語順で読んでしまいがちです。初心者の思考を追ってみましょう。

(最初の文を最後まで読んで)「寒い夜に…(like a blanketを読みながら)毛布のように…(先頭に戻って)暖炉は私を温めます」

このように初心者は長い文章に出会うと、英語の自然な順番(左→右)へと目線が一定に動きません。日本語の順番にしたがって英文を理解しようとして、逆方向(右→左)に戻りながら読んでしまいます。これを「返り読み」といいます。

「返り読み」をするといつまでたっても英文を速く読めません。そのためいわゆる「長文」を読めないので、受験でも困ったことになります。

次に、英文を意味のかたまりごとにスラッシュを入れてわかりやすくしてみます。これを読むときは、かたまりごとに意味を捉えるようにしてください(参考までに日本語訳をつけました)。

The fireplace keeps me warm/ like a blanket/ on the chilly nights.  My cat likes to sleep/ on my lap/ when I sit/ near the fire.
(暖炉は私を温めてくれます/ 毛布のように/ 寒い夜には。私のネコは寝るのが好きです/ 私のヒザの上で/ 私が座っているときに/ 火のそばで)

このように短いかたまりごとに英文を分けると、初心者でも英語の順番で読めるようになります。これがスラッシュリーディングの効果です。

目的

スラッシュリーディングの目的は「英文を英語の順番で(左→右)、かたまりごとに意味を理解すること」です。

小学校低学年までの子どもなら英語をそのままに受け入れることが多く、反対側から読んでいくようなことはありません。しかし日本語が確立した年齢の小学3~4年生以降では、「返り読み」をするようになります。

特に和訳をする習慣があると、この傾向は顕著になります。お母さんは子どもが理解しているかどうかを確認するときに何気なく「日本語でどういう意味?」と聞くかもしれません。きれいな日本語で答えてばかりいると、つい日本語の順番で読もうとするようになります。

そのような学習者のために短いかたまりごとに意味を捉えるように強制的に読ませる仕掛けがスラッシュリーディングです。

細かく切るか、長めに切るか

さきほどの例文を使って、短いかたまりにした場合と長いかたまりにした場合を見てみましょう。

  • 短く区切った場合
My cat likes to sleep/ on my lap/ when I sit/ near the fire.
  • 長いかたまりにした場合
My cat likes to sleep on my lap/ when I sit near the fire.

ある程度英語を読める子どもなら、「短く区切った英文」はかえって読みづらいです。また、最初は短いほうが理解しやすかったとしても、徐々に長いかたまりで読めるように学習をすすめるのが普通です。

区切る長さは子どもの英語力に応じて、能力が高ければ高いほど「長めのかたまり」で与えたほうがいいです(最終的にはスラッシュなしで読めるのが目的です)。

読むときのコツ

スラッシュリーディングをするときのコツは、「情報を付け足していく」イメージで読むことです。さきほどの例文を使うと次のようになります。

My cat likes to sleep/ on my lap/ when I sit/ near the fire.

「私のネコは寝るのが好き/(どこで?)私のヒザの上で/(いつ?)私が座っているとき/ (どこで?)火の近くで」

このように、ひとつの情報に対してツッコミ(かっこの中)を入れながら、読むとテンポよく読めるようになります。

このとき日本語でつぶやきながら読まないようにしてください。あくまでも、英語で意味を取りながら読むようにするのが理想です。頭の中で「かたまりごとに映像が再生される」感覚です。子どもにこの感覚を伝えるのは難しいのですが、とても大切です。

スラッシュリーディングの効果とは?

ここではスラッシュリーディングの効果を3つ挙げます。私も受験勉強をしていた頃、一時期スラッシュリーディングを試して効果を実感できたことがあります。

効果1:英文を日本語の語順で読んでしまう「返り読み」を防ぐ

漢文の授業を思い出してください。漢文を読むときに「レ点や一二点」のことを覚えているでしょうか?

本来の漢文(中国語)は、上から下に読むものです。しかし、それでは日本語の語順に合わないために、わざわざあのような記号を考案して日本語風に読めるようにしているのです。

英語を返り読みするのも、レ点や一二点こそないものの、同じ発想です。英語を読んでいるようで実は日本語を読んでいるようなものです。そのため目線が本来とは逆である右から左に頻繁に移動します。

スラッシュリーディングの第一の効果は「英語を英語の順番で読めるようになる」ことです。

効果2:読むスピードを上げる

目線が逆方向に戻らないので、当然長文を読む時間は短くなります。入試に長文問題は必ず出題されるので、制限時間内に読むためには「返り読みをしない」ことが第一段階です。

慣れてくると一回で処理できる量が増えてくるので、大きいかたまりで一度に意味を捉えられるようになります。その結果、ますます読むスピードを上げることができます。これが、スラッシュリーディングの第2の効果です。

リスニング力の基礎になる

「スラッシュリーディング」は呼び名のとおり「リーディング」訓練の一種です。しかし、効果はリーディングだけではありません。リスニングの基礎力にもなります。

音声で読まれる英語は当然英語の順番に従って読まれます。文字と違って音は聞こえるとすぐに消えてしまいます。つまり英語の順番で、一度も戻れない状態で、英語を理解しなければなりません。

勘のいいお母さんならわかると思いますが、まさに「スラッシュリーディング」で期待される効果そのものです。英語の順番で読める訓練をしておくと、リスニングのときも聞こえた順番で理解できるようになるからです。

これがスラッシュリーディングの第3の効果です。

このようにスラッシュ(/)をかたまりごとに入れることにより、英文を正しい順番で速く読めるようになるだけでなく、リスニング力の基礎を養うことができます。

リスニングのトレーニング方法についてはこちらの動画セミナーを参考にしてください。

スラッシュを入れる場所

スラッシュリーディングの効果は理解できました。しかし、「どこにスラッシュを入れたらいいのかわからない」のでは、練習できません。ここでは、スラッシュを入れるべき目安となる基準について説明します。

スラッシュを入れる場所の目安とは?

  • カンマ( , )、セミコロン(;)、コロン(:)の後
  • 前置詞句の前と後
  • that節、疑問詞節、whether/ if節の前
  • 関係代名詞、関係副詞の前
  • 不定詞、分詞、動名詞の前
  • 接続詞(when, because, ifなど)の前
  • 長い目的語や補語の前
  • 長い主語の後

なんだか文法の参考書のような用語が並んでしまいました。大切なのは「英文の構造上の節目となる部分にスラッシュを入れられるかどうか」です。不適切なところにスラッシュを入れてしまうとかえって英文を読み間違えてしまうことも起こりえます。

初心者が間違えがちな例を挙げて説明します。

The man arrested on Monday was innocent.

この文章の主語はwasです。The man~Mondayまでが長い主語です。したがって、次のように区切るのが正解です。

(正)The man arrested on Monday/ was innocent.
(月曜日に逮捕された男は/ 無実だった)

英文の文法構造を理解していないと、arrestedを動詞と思い込んで次のように区切ってしまいます。

(誤)The man arrested/ on Monday/ was innocent.
(男は逮捕した/ 月曜日に/ 無実だった?)

このようにスラッシュリーディングを自分で英語学習に取り入れようとしても、ある程度の文法構造を理解していないとトレーニングできません。

実際のすすめかた

文法用語を駆使しながら厳格にスラッシュを入れていくのを一文一文検討するのはあまりにも非効率的です。

極端なことをいえば「意味のまとまりをとらえて、読みやすいかたまりでスラッシュを入れる」のが理想です。スラッシュを入れる位置にあれこれ頭を悩ましていても、ちっとも勉強していることにはならないからです。

スラッシュリーディングの欠点

ここまでの説明を読んで「スラッシュリーディングはとっつきにくい」と感じたお母さんも多いはずです。実際、英語の先生でもスラッシュリーディングに批判的な人もいます。

ここではスラッシュリーディングの2つの欠点について詳しく述べてみます。

適切な位置にスラッシュを入れられる人はすでに構造を理解している

「英文の構造の切れ目を目安に適切にスラッシュを入れていく」ことをスムーズにできる人は、すでに英文構造を理解できている人です。その人にはスラッシュリーディングは必要ありません。

英文の途中にスラッシュなど入れなくても、頭から順番に読めていれば、わざわざスラッシュを入れる必要はありません。

これが第一の欠点です。

スラッシュを入れることだけに意識を向けすぎて、かえって効率が悪くなる人がいる

「スラッシュをどこに入れるか」ばかりに意識を向けすぎて、英語の学習効率を悪くしている人をたまに見かけます。

鉛筆でスラッシュを入れたけれど、正しい場所かどうかが気になり落ち着かないのです。これでは学習効率は悪くなるだけです。こんなことなら、スラッシュなしで読む訓練を積んだほうが効率はいいです。これが二つめの欠点です。

万能策ではないが、スラッシュリーディングが効果的な場面3つ

英語の指導法・学習法にはいろいろあります。しかし、「万能な指導法・学習法は存在しない」ことを覚えておくと、いろいろと役に立ちます。

私の経験ですが、「フォニックス」は英語をこれから読もうとしている子どもにはとても有効な学習法です。ただ、細かいことまで説明し始めると、かえって英語を正しく読むまでに時間を費やしてしまいます。

どんな指導法・学習法も「それだけやっていれば大丈夫」ということはありません。スラッシュリーディングにも同じことが当てはまります。リーディングをするときにいつまでもスラッシュばかり引いているようでは、ちっとも成長しません。

次に、もし私がスラッシュリーディングを活用するとしたら「どのような場面に絞るか」について説明します。

経験者が初心者を指導するときに有効

長文に挑戦する子どもに対して、英語の先生やお母さんがスラッシュを入れて読みやすくしてあげるのはとてもいいことです。

また、スラッシュの代わりに改行するのも同じ効果があります。

My cat likes to sleep
on my lap
when I sit
near the fire.

このようにすると強制的にそのかたまりしか目に入ってこないので、より「返り読み」はできないようになります。

初心者がどのくらい文の構造を理解しているかを確認するとき

お母さんが、子どもに「意味のかたまりごとにスラッシュを1つ入れてみてごらん」と子どもに鉛筆で入れさせるのも効果的です。これは子どもが英語の構造をどれくらい理解しているかを確かめるためです。

文法用語を知らなくても英語を正しく読める子どもは何となく区切りが見えるものです。「この文章は長いから、一本スラッシュを入れてみよう。どこがいいかな」と具体的に数を指定すると子どもは混乱しません。

明らかに不適切な場所にスラッシュを入れた場合は、子どもは正しく読めていないことがわかります。

私の場合は子どもに音読させると、その子がどれくらい英語を理解しているかはすぐにわかります。意味を理解して読んでいる子どもは、「息つぎ」の場所がスラッシュを入れるべき場所になっているからです。

反対にまったく意味を理解していない子どもは「切ってはいけない場所」で「息つぎ」を入れてしまいます。

長く複雑な英文のときだけスラッシュを入れてみるのもよい

子どもが自習しているとき、一文が長い英文の意味を理解しづらいときがあります。そのようなときは「スラッシュを入れてみる」ことで、グッと理解しやすくなることがあります。

ある程度英語読解能力のある子どもに限られますが、普段からお母さんがそのようなアドバイスをしておくといいです。「困ったときの対処法」としてスラッシュリーディングを活用するはずです。

まとめ

小学校中学年以降の子どもならついやってしまいがちな「返り読み」を防ぐ方法として、スラッシュリーディングは有効です。

しかし、英文構造を理解していないとスラッシュを入れる位置がわからなかったり、迷ってしまったりする欠点もあります。

反対に自分で簡単に適切なところにスラッシュを入れられるなら、すでにスラッシュリーディングのトレーニングは不要です。

子どもが長文を読むのが辛そうなときは、ところどころにお母さんがスラッシュを引いてあげると子どもの理解の助けになります。スラッシュリーディングを信奉するのではなく、場面を絞って活用したほうがいいです。

スラッシュリーディングはリスニング力の基礎としても役立ちます。上手に取り入れてあげると、子どもの英語力は飛躍的に伸びることもあります。

英語は英語の順番に読むのが正解です。もし子どもがこの段階で困っているなら、スラッシュリーディングを活用して、子どもをサポートしてあげましょう。

小学生のための英語リスニング(ヒアリング)練習法・勉強法

子どもと洋画やディズニーアニメのDVDを見ているとき、あなたはどれくらい英語を聴き取れるでしょうか? 半分以上わかるお母さんはかなりの上級者です。普通は子ども向けの内容でも、リスニングはとても難しく感じるものです。

試しに英語字幕を画面に出すと、ほとんどのセリフは簡単な英語であることがわかります。なぜ、文字にすれば読めるのに、リスニングでは聴き取れないのでしょうか? “I love you.”はどんなに速く読まれても聴き取れますので、スピードの問題ではなさそうです。

リスニングは英語4技能のうちのひとつですが、唯一、相手のレベルに合わせなければいけないスキルです。「リーディング」「スピーキング」「ライティング」は自分のレベルやペースでよいのと対照的です。

「リスニングができない」原因は一つではありません。子どものレベルを見ながら適切なアドバイスをあげられるように、リスニングについてお母さんは勉強しましょう。

ちなみに従来「ヒアリング」という言葉が主流でしたが、現在は「リスニング」に置き換えられています。もとになっている英語hearは「音・声を聞く」ことを意味します。英語を聴くときは「傾聴している」ので、listenの方がより適切だからです。

大学受験では実用的な英語力を試されるのがトレンドです。そのため、リスニングテストは将来もなくならないでしょう。子どもの頃から英語のリスニング力を上げておくと、会話はもちろん受験にも役立ちます。

英語のリスニング力はなぜ必要か

「英会話をできるようになること」を目標に挙げる子どもは多いです。そのため「英語4技能のうちスピーキングを重視する」とお母さんが考えるのも無理はありません。しかし、それだけでは英会話は成立しません。

・英会話で必要なのは、スピーキング力とリスニング力

英会話を成立させるには、「スピーキング力」と「リスニング力」の両方が必要です。会話は言葉のキャッチボールです。AさんとBさんで会話をするなら、Aさんが話したら、その内容をBさんは聴き取って、それに反応(話す)することを繰り返します。

話す(スピーキング)だけでなく、相手の話すことを聴く(リスニング)ことも同じく大切なのです。ですから英会話をできるようになりたければ、リスニング力は必須の技能です。

リスニングのつらいところ

以前、息子がインターナショナルスクールに通っていたとき、学期末に先生と親で2者面談がありました。割り当ては一人15分程度でした。最初の5分で先生からの説明はひと通り終了します。残りの10分間は会話をしなければなりません。

私が話す(スピーキング)するときはそれほど流暢である必要はありません。ゆっくり簡単な表現で話していても、先生はじっと聴いてくれます。

ところが聴き取り(リスニング)は、相手のレベルに合わせなければいけません。先生の発音(英国出身)、スピード(やや早口)、語彙(普通の社会人同士)+教育用語についていかないと、先生の質問に正しく反応できません。ある年の担任の先生はかなりの早口で、理解するのに必死だった記憶があります。

リスニングのつらいところは、相手の能力に自分が合わせなければいけないことです。のんびりと自分のペースですすめてはダメです。最終目標は世界中のどんな人が話す英語でも意味がわかる実用レベルに到達することです。

英語が聴き取れない原因を探ろう

リスニングができない原因は一つではありません。複数の要因が重なって「わからない」状態となっています。これらの原因のうち、一つが極端に劣っているとリスニング力は低いままです。

まずは聴き取れない5つの原因を把握しましょう。そして、年齢やレベルに即した対応を考えてあげましょう。

・リスニング力は独立した技能ではない

「リスニング」は単独で成立する技能ではありません。わかりやすくするために図で示しました。

リスニングの成立条件

まず、ボキャブラリー(語彙力)と文法力は「リーディング」を支えています。子どもの場合、文法だけを取り上げる学習はふさわしくありません。「英語の語順に慣れていること=文法力」程度に理解してください。

リスニング力は、リーディング力が基礎になっていることに注目してください。その上に「情報処理」と「音の学習」を積み上げると、しっかりとしたリスニング力をマスターできるようになります。

このようにリスニングだけをトレーニングしても、これらの基礎が弱いとリスニング力は向上しません。以下、聴き取れない原因となっている5つの要因について具体的に解説します。

リスニングができない原因1:ボキャブラリーと知識不足

あなたが小学校低学年の頃を思い出してください。テレビのニュース番組を見ていたとき、その内容を理解できましたか?

「国会で〇〇関連法案が可決し…」「国連安保理では…」「〇〇組合の理事が収賄の容疑で…」など、子どもにはチンプンカンプンな状態だったはずです。しかし、小学校高学年~中学生になった頃にはほとんどのニュースを理解できるようになったと思います。

難しいニュースを聴き取れるようになったのは、ボキャブラリーがこの期間に飛躍的に向上したからです。どんなに音を聴き分けられても、語彙力が不足していると何をいっているのかまったくわかりません。

リスニング力を向上させるには、正しい音(発音)を学び、意味を理解できる単語の数を増やすことは必須です。背景知識についても同様のことがいえます。英語・日本語に関わらず、幅広いことに興味を持ち知識を深めることはリスニングにとても役立ちます。

リスニングができない原因2:文法力不足

リスニングには文法力も絶対に必要です。理由は二つあります。一つ目は、ある程度基本となる語順を知らないと意味がわからないからです。

例えば、次のような英語を誰かが話したとき、すべての音と単語を理解できたとします。“Opening my bag, he asked me a lot of questions.”(私のバッグを開けながら、彼は私にたくさんの質問をした)

この文章のポイントは、分詞構文を知っているかどうかです。もし分詞構文を知らないと、突然Openingから始まることに戸惑ったり、バッグを開けたのは彼なのか私なのか混乱したりします。

このように文法を知らないと、瞬時に意味を把握できません。文法をマスターすると、英語を聴いたときの理解を助けてくれます。子どもの場合は、「分詞構文」の用語を知らなくてもこのパターンに慣れていればいいのです。

二つ目は、文法を知っていると次に話される言葉をある程度予想できるようになります。

例えば、“I wish…” を聴いたら「could やwouldが続くだろう」と言葉を絞りながらリスニングをするので、高い精度で聞きとれるようになります。

これは“I wish I could fly.”(飛べたらいいのにな)のように、事実とは反する内容を伝えるときに使われる「仮定法過去」の文法を知っているからです。

もちろん子どもは「仮定法過去」という用語を使って学ぶわけにはいきません。代わりに “I wish I could…” のパターンを暗唱したり、自分に当てはめて使用したりすることで身につけます。

このように、文法を知っていると聞こえてきた文章を正しく理解できるようなります。また、文法の知識を使うと次に続く英語をある程度予想できるようになります。これはリスニング力アップにとって大きな利点です。

リスニングができない原因3:リーディング力不足

当然ですが、英語は左から右へ英語の語順に従って発話されます。音は文字と異なり、一瞬一瞬で消えていきます。このことから、英語を英語の語順で理解できないとリスニングはできないことがわかります。

英語の語順で理解するトレーニングは、リーディングで養います。ポイントは返り読みをしないことです。返り読みとは、英語の語順に逆らって目線が右から左に移る読み方のことです。

例えば、“He is the man who wants to be a millionaire.”を読むときは、He is the man(彼は人だ)who wants to be a millionaire(どんな人かというと億万長者になりたい)というように、英語の語順で頭に情報を入れていくのが普通です。

しかし、日本語訳ばかりしていると、日本語の語順で英語を理解しようとします。すると、who wants to be a millionaire(億万長者になりたい)→the man(男)のように目線が反対に移動します。これが返り読みです。

返り読みをやめないと、テンポ良く長文を読めません。そしてリスニングをしたときに、意味を把握できません。返り読みをしているとリスニングは永遠にできるようになりません。

まずはリーディングを通して「英語の語順で理解すること」から始めましょう。そして、音でも英語の語順で理解できるようにしていくのが王道です。

リスニングができない原因4:情報処理方法

不思議なことに私は学校の先生から一度も教わらなかったのですが、英語をリスニングしているときの「情報処理の仕方」はとても大切です。リスニングが苦手な人は、英語を聴きながら頭の中で訳語(日本語)が「文字で」浮かんでいます。

例えば、“I wonder what he is like.”と聞こえたら、頭の中には「私は~かしらと思う。彼はどんなふうなのか」という字幕を脳裏に浮かべます。短い文章ならこれでも処理できますが、数分続くような文章ではとても処理しきれません。

リスニングができる人は、聞いた内容を頭の中で映像化しています。“I wonder what he is like.” と聴いたら、下の写真のように「人が首をかしげて吹き出しの中に誰かの様子を思い浮かべている」映像が思い浮かびます。

i wonder

リスニングのときは、その内容に即した動画を頭の中で再生するように癖をつけましょう。字幕よりも短時間に処理できるので読まれるスピードに対応できるようになります。

リスニングができない原因5:音の問題

リスニングができない原因の最後は、音の問題です。これを克服するには、英語を聴くトレーニングが必要です。音の問題を細かく見ていくと3つに分類できます。

・自分が覚えた発音と実際の英語が一致していない

間違えて単語の発音を覚えていたら、本来の正しい発音で聴いたときにその言葉を認識できません。例えば入試によく出てるallow「アラウ」ですが、「アロー」と覚えていたら絶対に聴き取れません。

反対に映画を見ていて“I love you.”がほぼ完璧に聴き取れるのは、身につけた発音と実際に読まれる発音が一致しているからです。この場合、どんなに早く読まれていても聴き取れないことはありません。

対策は一つしかありません。英単語を覚えるときは、「音(発音・アクセント)を最初に正しく身につけること」です。意味よりも先に発音を確認する習慣をつけないと、使える英語を身につけることはできません。

・日本語にない音が聞き分けられない

日本人が苦手な音として有名なのはL/Rです。一説によると幼児期にお母さんが英語で語りかけていると、絶対音感のように脳の中にL/Rの音を聞き分けられる回路ができるそうです。

ある程度の年齢まで日本語だけの環境で育つとその回路がないので、同じ音として認識されます。なぜなら、日本語では「れんこん」を「lenkon」と発音しても「renkon」と発音しても意味に違いは生じないからです。聴き分ける必要がないのです。

ちなみに私は一時期リスニングを2年間ほど意識して練習しましたが、この2音の識別はあまり自信がありません。しかし、文脈から判断すればどちらが使われているかはたいてい予想がつくので、あまり困ったことはありません。

・英語特有の音の現象に慣れていない

英語の音には特有の現象が3つあります。「音の消失」「音の連結」「音の変化」です。これを身体で覚えていないとリスニングは難しいです。

「音の消失」とは、例えば “Good night!” は「グッド ナイト!」とは発音されず、「グッナイ!」と読まれます。このとき、赤い文字のdとtはほぼ発音されませんん。このような現象を音の消失といいます。

次の「音の連結」とは、“Stand up.” を「スタンダップ」とつなげて発音されることを指します。おもしろいことにネイティブにゆっくり読んでもらっても、「スタンド アップ」と別々には読まず「スタンダップ」とつなげてゆっくり読みます。

最後の「音の変化」は“I need your help.” の赤字部分が「ニーヂュア」と読まれる現象です。2つの音が合わさって別の音になるのが特徴です。

これらの3つの英語特有の音の現象に対応するには、音読トレーニングによるオーバーラッピング(音声と同時に音読する)とシャドウイング(音声から少し遅れて音読する)が有効な練習です。

仕上げにディクテーション(聴きとった英語を文字に書く)を加えながら、自分が聴き取れない音を一つひとつ潰していくしかありません。音の問題は、時間をかけて取り組むと成果が出やすいので、ある時期に集中してやると効果的です。

子どものリスニングに効果的な教材

リスニング力を向上させるのに適した教材について考えてみます。音声教材として考えられるものを取り上げ、子どものリスニング教材として妥当かどうか検討してみます。

・英語の聞き流し教材は効果なし

英語教材として一世を風靡した「聞き流し教材」があります。「勉強しなくても英語を聞き流すだけで英語が話せる」キャッチフレーズで有名になりました。しかし世に広まってからだいぶ経ちますが、英語が話せる人が増えた話は一向に聞きません。

「知らない単語」「文法の疑問点」「英語特有の音の現象」などリスニングができない原因すべてをわからないままに放っておくので、リスニング力は改善されません。

教材そのものに問題があるわけではなく、「聞き流す」スタイルに問題があります。どんなによい教材でも、聞き流すだけで聴解力は向上しません。耳当たりのよいキャッチフレーズに惑わされないように気をつけましょう。

子どもに理想的なリスニング教材

では理想的な子ども向けのリスニング教材はどのように選べばいいのでしょうか? 「レベルが適切であること」と「子どもが楽しいと感じること」は、子どもが英語を学ぶときに共通する教材選定の基準です。これも含めて3つほど基準を挙げてみます。

まず、使用される語彙が限定されていることです。難しい単語が連発されると学習意欲がなくなります。

目安は30秒間のリスニングで知らない単語の数が5個以内なら適切です。子どもの英語レベルは短期間に変動するので、細かいレベル設定の中から選べるのが理想です。

次に、読まれるスピードはナチュラルなものがいいです。具体的には1分間に120語以上です。学習初期はゆっくりでもかまいませんが、ある程度慣れたなら実践的なスピードで収録された音声でトレーニングした方がいいです。

最後に、スクリプトは絶対に必要です。ディクテーションをしたときに、自分の書いた文章と正解の文章(スクリプト)を比べないと正しく聴こえたかどうか確認のしようがありません。

使用語彙が限定され読まれるスピードはナチュラル、そしてスクリプト付きのものが子どもの学習に向いています。また、内容がおもしろく子どもが飽きずに続けていけるものなら理想的です。

私が息子のために実際に利用した中にほぼ理想的な教材がありました。オンラインを利用した学習サイトの「Little Fox」は抜群に優れていました。上記3つの条件を備え、圧倒的におもしろく息子も一時期完全にハマりました。

子どもがハマる!楽しい動画サイトを活用した「リスニング学習法」動画セミナーはこちら

効果的なリスニング学習方法とは

ではお母さんが「子どものリスニング能力を向上させたい」と思ったら、どのように学習をすすめていけばいいのかを説明します。

・幼児や初心者にリスニングだけを目的としたトレーニングは不要

英語を学び始めて2年以内の子どもや幼児には、リスニングだけを目的としたトレーニングは一切不要です。先述したようにリスニングは独立した技能ではなく、語彙・文法、リーディングを基礎として成立しています。

これらの基礎を飛ばしてリスニングだけを訓練しようとしても時間の無駄です。お母さんはあせって子どもにリスニングだけを目的とした学習を始めないようにしてください。

幼児期や英語を学び始めて2年間は、英語の音に慣れたりフォニックスを学んだりすることに集中するべきです。簡単な単語やフレーズを使いながら、基本的な語彙力をつけて英語の語順(文法力)に慣れ親しんでいきます。

そして絵本の読み聞かせや音読で文字に親しみながら、簡単な本を自分で読めるようになって(リーディング力をつける)ようやくリスニング学習の段階に入ります。

スピーキングとともにリスニングは会話に欠かせない技能ですが、基礎レベルを習得するまでは特別なトレーニングは不要です。目安としては英検4級を取得して、3級に向けて準備をするころから意識すれば充分です。

音読トレーニングでリスニング力を鍛える

さて、ある程度簡単な本を読めるようになったらリスニング学習に入ります。しかし、リスニング学習として特別に時間を割く必要はありません。音読トレーニングを中心にすすめていけば、リスニングに必要なすべての要素を鍛えられるからです。

どうしてもリスニング力を意識してトレーニングをするならば、音読トレーニングの最後にディクテーション(書き取り)を習慣化するといいです。小学生にはなかなか大変ですが、自分が身につけた英語音声と実際の音の違いをハッキリと認識できるようになります。

音読トレーニングについては「」で詳しく説明していますので参考にしてください。

ときどき初見のディクテーション

音読トレーニングの最後に行うディクテーションは、読まれる内容はほとんどわかっています。たまには初見の英語を聴きとってみて、ディクテーションするのも刺激になります。

素材は字幕表示を消した映画DVDの一場面でもいいですし、適当なCD教材でもかまいません。ポイントはスクリプトがあることです(映画の場合は字幕表示で代用)。

・やり方

10秒くらいセリフが連続するシーン(叫び声をできるだけ含まない場面)を選び、何度も繰り返し再生します。映像をヒントに内容がだいたい理解できたら、センテンスごとに停止して、子どもに大きめの字で英文を紙に書くように伝えます。

文頭からピリオド(フルストップ)の途中で再生を止めてはいけません。英語音声のかたまりを長く頭に保持するのがトレーニングだからです。大きめの字で書くのは、赤ペンで訂正するときに記入しやすいようにするためです。

2回目以降は聴き取れなかった箇所に集中して、何度も何度も再生して空白部分の文字を埋めていきます。20回聴いてもわからなかったら、カタカナでもいいので音に近い文字を書き込みます。

最後に字幕を出して答え合わせをします。間違えた個所は消しゴムで消さずに、赤ペンで解答を書き込みます。スペリングミスやコロンなどの句読法も添削の対象です。

赤ペンで訂正だらけになった英文をお母さんと子どもで見ながら、まずは頑張ったことをほめてあげましょう。それから、「なぜその部分を聴き取れなかったのか」を2人で考えましょう。聴き取れなかった原因の究明はとても大切です。

「言葉を知らなかった」「覚えていた読み方と違った」「音がくっついていた」などいろいろとあるので、それを子どもに一つひとつ認識させることが大切です。決して責めるようなトーンではなく、淡々とすすめるといいです。こうして弱点を一つひとつ克服していきます。

このように、音読トレーニングの仕上げとしてのディクテーションと初見の英語のディクテーションを混ぜることによって、子どものリスニング力は少しずつ向上していきます。

将来のリスニングテスト対策のために

大学入試科目の英語からリスニングテストがなくなることはないでしょう。コミュニケーション能力が重視される流れの中で、会話に必須のスキルだからです。レベルとしては英検2級のリスニングテストよりもやや難しいくらいなので、時間をかけた対策が必要です。

ところが現役の高校の英語教師に確認すると、リスニングテスト対策にほとんど時間を割いていないということでした。理由は「時間が足りないから」です。ほとんどの受験生は本格的なリスニング対策をしないままテストに臨んでいるようです。

前述したようにリスニングは単独で成立している技能ではなく、語彙力・文法力・リーディング力が基礎となっています。基礎部分の学習で精一杯なのが教育現場の現状です。

それなら、英語特有の音に関して子どもの頃から慣れておくと大学入試のときに大きなアドバンテージとなります。比較的時間に余裕のある子どもの頃に苦手な音を克服しておけば、あとは授業で文法や読解に集中するだけで済みます。

英語の難易度に関わらず、英語特有の音の変化は子どもの頃から学べます。英語は何歳からでも学べますが、年齢とともに忙しくなるのが一般的です。余裕のある小学生の頃に始めておくと、大学受験のリスニングテストにも困りません。

まとめ

英語を聴き取れない原因として5つ挙げましたが、実際はこれらの原因は複数絡まって「聴いてもわからない」状態を作っています。子どもは自分ではなかなか原因に気がつかないので、どうしたらいいのかわかりません。

そのときお母さんは原因を一緒に突き止めてあげましょう。「指摘する」感じではなく、自分で気づかせてあげるほうが子どもは素直に受け入れます。そして、その弱点を補えるようなトレーニングを取り入れるようにしてください。

ネイティブ同士が会話していると容赦ないスピードと語彙で英語が飛び交うので、英語の上級者でも困ることは珍しくありません。ましてや英語の学習を始めたばかりの子ども達なら、聴き取れなくても当然です。

子ども向けのオンライン英会話などを利用すると、さまざまな講師が話す英語のリスニングに慣れます。学習初期の段階からリスニングに苦手意識を持たないようにさせるには有効な手段です。

話される英語の一部でもわかったときの感覚は格別のものがあります。どんなに翻訳ソフトが発達しても、このダイレクトに伝わる感動は絶対に味わうことはできません。ぜひ、子どもにも「英語が聴きとれた!」という喜びの体験をさせてあげましょう。

小学生から始める「英語音読トレーニング」(実践編)

書店の語学コーナーに行くと、斬新なタイトルがつけられた英語学習法に関する本がズラリと並んでいます。私は新しいものが好きなので、つい立ち読みしてしまいます。

そこで気がついたことがひとつあります。それは、ネーミングは違っても結局のところ「音読練習を否定している本は一冊もない」ということでした。

つまり、ほとんどの英語指導者は音読の効果を認めているということです。ただ、その方法が多少異なっているにすぎません。

小学生が長期間取り組めることを前提に、私の経験をもとに「英語音読トレーニングのやり方」をまとめてみました。まずは、私のやり方でしばらく試していただき、それぞれの状況に合わせてアレンジしてください。

小学生の音読に適したテキストとは?

小学生の音読トレーニング用のテキストを選ぶときは慎重にしましょう。中学生や高校生なら学校の英語教科書が最適です。しかし、小学生用の英語教科書は内容的にまとまりのある文章が少ないので不向きです。

お母さんが本や通信講座の題材などから探すしかありません。そこで、どのような観点で選べばいいのかを説明します。

おもしろい内容であること

結論からいいますと、圧倒的におもしろい内容であることが必要です。たとえば小学1年生の子どもに「環境問題」をテーマにしたテキストを使用しても、すぐに飽きてしまうのは明らかです。

普段、子どもが好んで見ている番組や本を思い出して、それに近い英語のテキストを探すといいでしょう。善悪がはっきりした登場人物や、動物や乗り物が出てくる話など、子どもによってハマるテキストはさまざまです。

続きが楽しみになるような内容なら音読を継続したくなるはずです。おもしろさには妥協しないで根気よく探しましょう。

セリフ(会話)と地の文が適度に混ざっていること

セリフと地の文が混ざっているテキストが、小学生の音読に適しています。セリフの部分には口語表現が多く含まれていますし、地の文ではやや難しめの表現や過去形が頻出します。

例えば、“It’s a piece of cake!” said Peter. (「簡単だよ!」とピーターはいいました)のセリフでは口語表現でよく使われる“it’s a piece of cake.”(楽勝だ)というフレーズが使われています。地の文では、“said”(sayの過去形)が使用されています。

このようにセリフと地の文が混ざっていると、バランス良く幅広い英語が学べるので音読には適しています。セリフのところには感情を込めて音読すると、感情と表現が結びついて学習効果が高まります。

難しすぎず、長すぎないこと

難易度にも気を使いましょう。絵や動画をヒントにしながら数回音声を聞いて、8割くらい理解できるのが理想です。つまり、2割程度わからない部分や聞きとれなかった部分が残るくらいがちょうどいい難しさです。

長さはノーマルスピードで読み上げて40秒くらいから始めましょう。集中力を切らさずにリスニングできる長さがそれくらいです。慣れてきたら少しずつ延ばしても大丈夫ですが、長くても1分くらいにしておきましょう。

音声、挿絵、動画付きであること

音読トレーニングをするときは、模範となる音声を何度も聞きます。したがって、ネイティブが収録した音声が絶対に必要です。車での移動中に練習できるように、スマホに音声ファイルを入れておくと便利です。

また、テキストに関連する挿絵も必要です。内容理解の助けになるからです。さらに、アニメーション(動画)がついていると、細かい部分まで理解することができます。

通信講座やeラーニング(インターネットを利用した学習サイト)の中には、動画(字幕ON・OFF)だけでなく、本文のテキストファイルや音声ファイルが用意されているものがあります。これらのファイルはダウンロードして自由に使えるのでとても便利です。

理想の音読教材を使った、音読によるリスニング強化はこちらを参考にしてください。

用意するものと環境づくり

音読トレーニングは習慣化しないと意味がありません。そのため、音読のたびに必要なものを探すようでは時間の無駄です。また、音読がどこまで進んだかをお母さんも子どもも一目でわかるようにする工夫が必要です。

ここではe-ラーニングの教材で音読することを前提に、用意するものを表にしてまとめてみました。

必要な物 目的
パソコン、スマートフォン(またはタブレット)、プリンター テキストの動画や音声を再生したり、印刷したりするため
ストップウォッチ 音読の速さを記録するため
筆記用具 テキストに記入できるように
チェックリスト(ondoku_checklist) 音読したらチェックしたり、秒数を記録したりするため
小さなカゴ 上記の物を入れておくため

パソコン、スマートフォン(またはタブレット)、プリンター

スマートフォンかタブレットがあればほとんどのことはできますが、一部の機能に制限がある場合があります。また、ゲームアプリに気が散ってしまって音読に集中できないこともあります。

パソコンがあれば、eラーニングのサイトをフル活用できます。プリンターで印刷したものを使用すれば、気が散って途中でゲームを始めてしまうようなこともありません。

初めは動画や絵を見ながら音声を聞くので、パソコン・スマートフォン・タブレットのいずれかが必要です。しかし、子どもの眼の負担を考えると、途中からできるだけ紙で読んだ方が好ましいです。

プリンターが一台あると、モニターを見つめることなく音読練習できるのでおすすめです。また、後述する穴埋め式のスクリプト(原稿)を作ったりするときにも、パソコンとプリンターがあった方が便利です。

その他

ストップウォッチは安いもので構わないので、ぜひ揃えたいアイテムです。ときどき音読のスピードを測って記録すると、自分の成長を数値で実感できるからです。お母さんや兄弟と競わせるなどして、ゲーム感覚で取り組ませることも長続きさせるコツです。

筆記用具も音読用に揃えてもいいかもしれません。鉛筆、消しゴム、赤ペンがあれば充分です。音がつながるところに印をいれたり、意味をメモしたりするときに使います。

カゴに入れておく

百均の店などで小さいカゴを購入して、その中に今週読むテキスト(本)、筆記用具、タブレット、ストップウォッチなどを入れておきましょう。

また、音読チェックリストもこの中に入れておくと、既に終わったこととこれからやるべきことが一目でわかるので便利です。できた項目にはチェックを入れたり、タイムを測ったときの秒数を記録したりします。

なお、上記の音読チェックリストについては「こちら(ondoku_checklist)」からもダウンロードできます(上記と同じファイルです)。実際に使用するときは、子どもの状況に合わせてアレンジしてください。

実際の手順

ここでは、音読トレーニングの手順を解説します。私の経験から、1週間で1つの音読トレーニングを終了するサイクルが最適と感じています。短時間の音読でも頭と口が疲れるので、7日目は休みにしてあります。忙しくてどうしてもできなかったときは、7日目の予備日を使いましょう。

1週間に当てはめて下の表のようにモデルプランを考えてみました。スピードに慣れてくる後半ほど密度が濃くなるように配慮してあります。

  音読メニュー
1日目 内容把握
発音・意味のチェック
2日目 リッスン&リピート
3日目 オーバーラッピング
スピードオーバーラッピング
4日目 イメージ読み
シャドウイング
5日目 シャドウイング
Read & Look Up
6日目 穴埋め・ディクテーション
会話練習
最後1回のリスニング
7日目 休み(予備日)

また、それぞれの音読活動がイメージしやすいように、実際の音読練習風景の動画を掲載します。下記の説明や注意事項と合わせて映像で確認すると、スムーズに理解できます。

以下、このモデルプランについて詳しく解説していきます。なお、最後に動画でも解説しているので、そちらも参考にしてみてください。

1日目:内容把握、発音・意味のチェック

テキストを用意できたら、音声を再生してリスニングを始めます。動画・挿絵などを参考にして、どのような内容が話されているのか英語の音に集中させます。3回くらい集中して聞いてみて、聞き取れないところを少なくしていきます。

次にテキストや字幕を読みながら音声を再生します。耳で聞きとれなかった部分を文字で読んで「ああ、このことだったのか」と子どもが納得することが大切です。

初めて見る単語は、発音も意味もわかりません。まずは、発音を確認して、何度も声に出して読ませましょう。それから意味を確認します。「最初に発音、次に意味」です。新しい単語を覚えるときは、この順番を守らせるようにしましょう。

知らない単語については、ときどき子どもに前後関係から意味を類推させてみましょう。すぐに答えを教えずに考えさせると良い頭のトレーニングになります。

一日目の目標は、英語の本文を読んで内容を把握したり、知らない単語の読み方や意味を学んだりすることです。子ども一人では難しいので、お母さんやお父さんが手伝ってあげましょう。ストーリーを一緒に楽しむような感じで教えてあげるのがコツです。

この日の最後に、子どものペースでテキストを一回音読させましょう。つっかえながらでも構いません。ストップウォッチで時間を計測して、秒数を記録させます。これで、一日目の音読トレーニングは終了です。

2日目:リッスン&リピート

一文ずつ聞く(Listen)→ 音読で繰り返す(Repeat)の順に進めていきます。一つの文が長すぎるときは、意味のかたまりごとにリッスン&リピートしていきます。

例えば“Taking care of a pet is a lot of work.”(ペットを飼うのは大変です)という文章が長すぎると感じたとします。 “Taking care of a pet/ is a lot of work.”というように、最初にお母さんがスラッシュ(/)を入れてあげると子どもは読みやすくなります。

音声のスピード、抑揚などをできるだけまねるようにリピートさせてください。セリフの部分は特に登場人物の気持ちになりきって読むように伝えましょう。

3日目:オーバーラッピング、スピードオーバーラッピング

・オーバーラッピング

オーバーラッピングとは「被せる」という意味です。つまり音声と同時に被せるようにして、テキストを読んでいきます。読み方が遅いと、モデルの音声とどんどんズレるので、頑張ってついていくように子どもを励ましましょう。

・スピードオーバーラッピング

スムーズに読めるようになったら、さらに速く読めるように「スピードオーバーラッピング」の練習をします。これにはスマホの再生アプリを利用します。音声ファイルをダウンロードして、「1.3倍速」で同じ英文を再生してオーバーラッピングしていくのです。

毎回詰まってしまうところは、音声なしでテキストを読みながら何度も音読させます。最初から完全にできるのは教材がやさしすぎる証拠です。10回くらい繰り返してやっと読めるようになるくらいが普通です。

この日の最後に、音声なしで音読してタイムを測りましょう。初日よりは確実に速く読めるようになっているはずです。時間が短くなっていたら、「上手に読めるようになったね!」とほめてあげましょう。

4日目:イメージ読み、シャドウイング

・イメージ読み

3日目は速く読むことに集中させましたが、4日目の最初は内容をかみしめるように音読させましょう。内容を理解できるペースで音読させます。これができると英語の語順で内容を理解できるようになるので、速読やリスニングの土台づくりに最適です。

コツは読みながら頭の中にその文章の動画が流れているように音読することです。日本語の文字が頭に浮かぶようだと処理速度が遅くなります。

例えば“Taking care of a pet is a lot of work.”と読んだときは、ペットの散歩に汗を流している人を思い浮かべるようにします。「ペットの世話をすることは…」と日本語の字幕が流れてしまうと次々に読まれる英文に追いつかなくなります。

・シャドウイング

今度はテキストを使わずに、音声だけを使用します。「シャドウイング」とは、再生される音から3語ほど遅れて追いかけるようにして音読するトレーニング方法です。文字は見ません。

途中で詰まっても気にせずに、できるところから再開するように伝えましょう。耳で聞こえた内容を頭に2秒ほどためておき、同じように英語を話します。わずか数秒ですが、情報を頭の中に蓄えることにより処理が遅れてもあわてず英語を理解できるようになります。

初めのうちはほとんど再現できずに子どもは嫌になってしまうかもしれません。しかし、繰り返し練習しているうちに少しずつできるようになっていきます。あまり完璧を求めず集中力が切れたところでおしまいにしましょう。

5日目:シャドウイング(仕上げ)、Read & Look Up

・シャドウイング(仕上げ)

不思議なことに、前日できなかった部分が一晩寝るとスムーズにシャドウイングできるようになっていることがあります。数回、前日と同じように練習したら、仕上げのシャドウイングに移ります。

今までは音を聞いて、その通りに話すことばかりに意識を集中させていたと思います。しかし、仕上げでは内容をしっかりと意識したシャドウイングに挑戦します。

「音声から聞こえる英語の映像を思い浮かべる → 頭に2秒分溜める → 同じように話す」という流れです。これはとても脳に負荷がかかる練習方法で大人でも長時間続けることはできません。

子どもなので完璧を目指さなくても構いません。「音ばっかり追いかけないで、どんな話か思い浮かべながらやってみよう」と注意をうながすだけで充分です。

・Read & Look Up

最後に、テキストを使ったトレーニングです。まず、一文を黙読させます。その文章を頭にためておいて、目線を上に向けます。そして、下を見ないで同じ内容を音読します。これがRead & Look Upです。

もし文章の終わりまでが長すぎるようでしたら、リッスン&リピートのときに書き込んだスラッシュごとに行っても大丈夫です。

6日目:穴埋め・ディクテーション、会話練習、最後1回のリスニング

・穴埋め

もしテキストをプリントアウトできるなら、キーワードになるようなところを3つくらい選び出して、空欄を作ったり黒いマジックで塗りつぶしたりします。

そして、全文をリスニングさせながらその空欄部分の英語を記入させます。これまで暗記してしまうほど読み込んでいるので、簡単に記入できるはずです。それでいいのです。最初は全然わからなかったものが聞き取れるようになったので大きな成長です。

・ディクテーション

余裕があればディクテーション(聞こえた音声を文字で書く)にも挑戦させましょう。一つの文を選んで、リスニングをしてそれを紙に文字で書き取ります。句読点や大文字・小文字の使いわけにも注意しながら、完璧な文章を再現させます。

注意点は必ず一文の最後まで聞いてから、鉛筆で書くように伝えることです。一語一語一時停止しながら書き取っては意味がありません。何度か聞いて完成したら、テキストと見比べてお母さんが赤ペンで訂正します。どこを間違えたのかを目で確認するのはとてもよい勉強になります。

・会話練習

いよいよ大詰めのトレーニングとなりました。お母さんが先生となって、セリフの一部を入れ替える口頭作文にチャレンジさせてください。

例えば、先ほどの“Taking care of a pet is a lot of work.”の前半部分を入れ換えれば、英会話に応用できます。「『赤ちゃんの世話は大変だ』って英語で何ていう?」と問いかけます。“a pet”を“a baby”にすれば立派な英語です。

これまでやった音読が会話に応用できることを実感させるためにも、このような口頭英作文はとても効果的です。

・最後のリスニング

最後に1回だけ、静かにリスニングをしましょう。一週間前とは違って、ほとんど完璧に聞きとれるようになっているはずです。子どもと一緒に「聞きとれるようになって、すごいね!」と喜んであげましょう。

以上の流れをイメージしやすいように、実際の音読練習風景の動画を掲載します。上記の説明や注意事項と合わせて映像で確認すると、スムーズに理解できるでしょう。

まとめ

動画では椅子に座って音読学習をしていますが、実際はどこでも構いません。例えば、習いごとに行く途中の車の中で、音声を再生しながらオーバーラッピングやシャドウイングをしても全然構いません。

そうすれば「勉強」っぽく感じさせずに、子どもに音読トレーニングをさせることができます。家に帰ったら、他のことに時間を使えるので子どももお母さんもうれしいはずです。

このように家庭ごとに工夫して、音読トレーニングを習慣化しましょう。地味なトレーニングですが、ほとんどの英語の達人が推奨している効果抜群の学習方法です。必ず効果があらわれると信じて続けてください。

小学生から始める「英語音読トレーニング」(理論編)

子どもが英語教室に通い始めると、最初の一年でいろいろなことを覚えてきます。「英語教室に通わせて良かった」と感じるお母さんも多いでしょう。

しかし、そのまま右肩上がりで英語力がどんどん伸び続けることはありません。1年半を過ぎると、子どもの英語力が本当に伸びているのかどうか疑問を感じることが増えてくるはずです。

もし、あなたの子どもがアルファベット、発音、フォニックス(つづりと発音の法則)などの基本をすでに身につけているなら、次のステップにすすむ絶好のタイミングです。

とはいえ、やみくもにワークブックを家でやらせても子どもは嫌がるだけです。本当に身につく英語学習を積み上げて、子どもの英語力が確実に伸びるような学習方法を取り入れましょう。

私が推奨するのは「音読トレーニング」です。そこで今回は、英語音読が必要な理由とどのような効果があるのかについて述べていきます。

英語力は自宅学習の「量と質」で差がつく

英語は体育や音楽のような技能教科に似ています。これらの技能を伸ばすための指導法を参考にすれば、子どもの英語力を伸ばすヒントが見えてきます。

例えばピアノが上手に弾けるようになるための方法を見てみましょう。ピアノを習う子どもは、週1回30分のレッスンを受けるのが普通です。レッスンでは先生がマンツーマンで教えるので質の高い時間を過ごします。

しかし、たった週1回30分のレッスンだけでピアノが上達する子どもはいません。ピアノが上手な子どもは、例外なくその何倍も自宅で練習しています。つまり何かの技能を伸ばすには、質の高い指導と同時に圧倒的な練習量が必要です。

学校や英語教室だけでは量が足りない!

英語の習得にはおよそ3,000時間の学習が必要と言われています。学校で仮に週2コマ(1コマ=45分)1.5時間を1年間(35週で計算)実施したとして、1年でおよそ50時間学習したことになります。

しかし、学校の授業の1時間は「1時間学習した」とみなしていいのでしょうか? 厳密には学習時間とは「実際に英語の活動をしている時間」のことです。

例えば、先生の一方的な日本語での解説は、正確には英語学習時間にカウントすることはできません。あくまでも子どもが英語を「読む・聞く・話す・書く」のいずれかの活動をしている時間が「学習時間」です。

このように考えると、実際の学習時間は単純に合計した時間の4分の1くらいに減ってしまいます。上記の例でいうと、学校で年間50時間の英語授業を受けたとしても、実際の学習時間は約13時間になります。どんなに英語の先生が質の高い授業をしても、英語を身につけるための時間が圧倒的に不足しています。

このような学習時間不足を解消するには、毎日の自宅学習で補うしかありません。しかし、毎日たった10分~15分程度の英語学習を習慣化するだけで、子どもの英語力は確実に伸ばせます。

自宅学習は質も高める必要がある

学習時間不足は自宅学習で補う必要がありますが、「勉強時間」だけを気にしていてはいけません。自宅学習では、勉強の「質」にも気を配らなければなりません。繰り返しになりますが、英語は技能教科です。英語を「読む・聞く・話す・書く」活動をしない限り、成果を上げることは難しいでしょう。

例えば、ピアノは「ピアノを弾くこと」が練習の基本です。楽譜ばかり読んでピアノを弾かないとしたら、ピアノは上達しないでしょう。

同じように、英語学習の基本は音声のトレーニングだと私は考えています。もし、自宅学習の大半が問題集に黙々と取り組むだけだとしたら、英語を使えるようにはならないでしょう。

子どもの英語力を伸ばすためには、時間(量)の確保とともに「質の高いトレーニング」が必要です。では、具体的に何をしたらいいのかを説明します。

おすすめは4技能を伸ばす「音読トレーニング」

音読トレーニング

写真はリトルフォックスのプリンタブル機能で作った絵本を使って、音読練習をしているところです。詳しくはこちらを参考にしてください。

巷には英語学習法の情報が溢れています。私もいろいろと試してみましたが、最終的に「音読トレーニング」が最高の自宅学習法であると確信しています。

音読は「教科書を開いて文章を読み上げる単調な作業」と思われがちです。しかし、実際は非常に奥が深いトレーニング方法です。正しい方法で音読を継続すると4技能(読む・聞く・話す・書く)すべてを刺激することができます。

4つの技能に対して、どのように音読が効果的なのかを一つひとつ説明します。

・Reading(読む)

Readingに関しては音読のメリットは二つあります。一つ目のメリットは、英語の語順に従って音読するので強制的に英語の語順で内容を理解するようになることです。初心者にありがちな、語順に逆らって読んでしまう「返り読み」を防ぐことができます。これは速読につながる第一歩です。

二つ目のメリットは、音読のスピードと同じ速さで内容を理解することができるようになります。1分間に約150語が音読の最速ペースと言われているので、このレベルまでは音読だけで達成できます。ちなみに150語/分で読めれば、大学入試の英語長文でも安心です。

・Listening(聞く)

リーディングによって英語の語順のままに理解できるようになると、リスニングにも好影響をもたらします。なぜなら、聞こえた音の順番に内容を理解しなければならないリスニングは、まさにリーディング力が基礎だからです。

また、実際の音読トレーニングでは何十回もネイティブによる英語音声を聞くことになります。例えば、シャドウイングと呼ばれる練習方法では、モデルとなる音声を耳で聞きながら数語遅れで自分の口で同じ英語を話します。細かい音にも注意しながら何十回も繰り返します。

その結果、英語特有の「音の消失(sit down)」「音の連結(an egg)」「音の変化(meet you)」という日本人の聞き取りを難しくしている現象にも慣れます。

・Speaking(話す)

音読で体得した英文の一部を身の回りのものや人で置き換えると、それは英会話をしていることと同じです。例えば“I see yellow pencils.”を覚えていると、“You see yellow pencils.”と言えますし、“I see red pencils.”とも言えます。

このように暗唱できるパターンが多ければ多いほど、英会話ができるようになります。スピーキングのようなアウトプットには、大量のインプットが必要なのです。日頃から音読トレーニングを積んで、表現を覚えてしまうほど反復練習する必要があります。

・Writing(書く)

ライティングはすべての技能の集大成ともいうべき最も高度な技能です。文法・語彙・論理性・文体などさまざまな要素が絡みあうからです。日本人が日本語で小論文を書くのが大変であることを思い出してもらえれば、その難しさが想像できるでしょう。

小学生の段階では、スピーキングができるだけで充分です。なぜなら、スピーキングがライティングの基礎になるからです。

本格的なライティングは小学生には難しすぎます。そこで音読の最終段階で、文章の一部についてディクテーション(聞こえた英語を書いていくこと)を行うことで、ライティングのトレーニングをすることは充分可能です。

このように「音読トレーニング」は英語の4技能すべてに好影響をもたらします。これほど効果的な学習法は他に見当たりません。ここでもう一つ、「音読トレーニング」をするべき決定的な理由について述べます。

「ネイティブは音読していない」はウソ!

音読で効果を上げるには、年単位の努力が必要です。その必要性をきちんと理解していないと、子どももお母さんもすぐに心が折れてしまいます。

「ネイティブは音読トレーニングなんかしていないのに、なぜ必要なの?」と思うお母さんは多いかもしれません。しかし、実際はネイティブも気が遠くなるほどの音読トレーニングをしています。

例えば、幼児が“Pass me the salt, please.”(その塩を取ってください)といえるまでにどのような過程があったかを考えてみます。

最初は誰かがそう言っているのを何度も聞きながら(リスニング)、塩が入った瓶が手渡される様子を見るところから始まります(内容理解)。

次に、しょっぱい味がするものが“salt”であることを覚えます(単語学習)。それ以降は、塩が欲しいときは、“Salt.”と指で指しながら発話するはずです(音読)。

その後、おもちゃで遊んでいるときに“pass me~”(私に~を渡して)という表現を覚えます(音読)。このフレーズと以前覚えた“salt”を組み合わせて、塩が欲しくなったら“Pass me the salt.”と言い始めます(音読)。

しばらくすると親から「“please”をつけなさい」と教えられます。ここまで来てようやく、“Pass me the salt, please.”と場面に即して使えるようになります(音読)。

このようにネイティブは日常生活で無意識に大量の音読練習をして、少しずつ英語を身につけています。幼児が毎日1時間話していたとしたら、それは音読を1時間していることと同じです。

一方、日本人の子どもは日常生活で英語を使う場面がありません。そのため、テキストや音の素材を用意して、「人工的な音読練習」をする必要があります。毎日1時間は無理ですが、小学生の子どもでも毎日15分くらいの音読トレーニングを習慣化したいところです。

このように、無意識か意識的かの違いはあっても、英語学習には音読トレーニングは不可欠です。トレーニングの意味に疑問を持つと効果が薄れてしまいます。子どもに「何でこんなことするの?」と聞かれたら即答できるようにしておきましょう。

音読トレーニングの3つの注意点

音読トレーニングを効果的にするには、「英文を理解すること」「正しい発音で読むこと」「相手に伝えるつもりで音読すること」の3点に注意しなくてはいけません。順番に説明します。

・「英文を理解すること」

意味のわからない文章を何度も音読しても、使えるようにはなりません。先ほどの例で挙げたように、ネイティブによる無意識の音読でも、自分が話している内容(塩を取って欲しいと頼んでいる)は理解しています。

子どもなので、細かい文法事項の説明は不要です。しかし、少なくとも絵や動画を見ながら、どのような意味の文章なのかはきちんと理解する必要があります。「意味のわかる文章を音読する」ことが大切です。

意味がわからない単語が出てきたときは、お母さんがいきなり答えを教えるのではなく子どもに推測させるといいでしょう。前後の文脈や挿絵・映像を駆使して考えさせるのです。行間を読む力は日本語でも必要ですし、英単語力も伸ばすことができます。

・「正しい発音で読むこと」

めちゃくちゃな読み方では、聞いている相手に負担をかけてしまいます。ネイティブのような発音をする必要はありませんが、「英語らしい音(日本語にはない音)」に気をつけて読む必要があります。

例えば、日本語の母音である「あ」は1つだけです。一方、英語では「あ」に近い音は、“apple(アとエの中間)” “cut(のどの奥から出す)” “hot(口を大きく丸く開けて出すア)” “balloon(あいまいな母音のア)” のように複数あり、ネイティブはすべて使いわけています。

私が中学生の頃、このような発音練習の手間を省いて英語にカタカナの読み仮名をふらせる先生がいました。私はこの指導には大反対です。

例えば、pencilを読むときに、読み仮名をふると「ぺ・ン・スィ・ル」(4つの音)となります。ところが実際は、pen・cilの2つの音のかたまりで読まれます。

カタカナ読みを習慣づけてしまうと、オーバーラッピング(英語の音声と同時に読み上げる音読練習)のときに、音声についていけなくなります。読み上げる音の単位が、英語は少なくカタカナは多いからです。

このような理由から、本格的な音読トレーニングを始める前に、音声面の基礎を身につけておく必要があります。英語教室などで1年半ほど先生に発音を教えてもらった後、音読トレーニングを開始するのが理想です。

・「相手に伝えるつもりで読むこと」

現実の世界では、独り言以外は聞いている相手がいます。音読トレーニングは基本的に一人で行うものですが、目の前に聞いている人がいることを想定して音読することが大切です。

例えば「命令文にpleaseをつけると丁寧な依頼になる」と言われますが、実際はそれほど単純ではありません。言い方によっては、相手に断ることを許さない雰囲気になることもあります。

やさしい調子で“Open the window.”と相手にいうと、失礼どころかむしろ丁寧な依頼に聞こえます。登場人物の気持ちになりきり、相手がいるつもりで音読をすると、そのフレーズの表現力が豊かになります。

ここであらためて、ネイティブが無意識にやっている音読と、日本人の英語の音読を重ねてみましょう。ネイティブは伝えたいこと(意味がわかる文)を正しい発音(相手に伝わる発音)で、相手に対して(相手に伝えるつもりで)話しかけています。

つまりここで述べられている3つのポイントは、ネイティブの日常会話を再現したものです。これらのポイントを意識して音読トレーニングを続けると、より大きな効果を生み出すことができます。

どれくらいの期間で、どのように英語力は伸びるのか?

音読トレーニングは正しい方法で行えば、必ず効果はあらわれます。ただし、即効性はありません。個人差はありますが、早くても3か月、通常は1年以上継続しないと効果を実感できません。

我が家は家族で海外に住んでいた時期がありました。そのとき私は2人の子ども達に、真逆の英語教育をしました。

娘は中学校の授業以外に塾や英語教室には一切通いませんでした。中学校は日本人学校だったため、普通の日本の中学生とほぼ同じ環境でした。また、私は家で娘に英語を教えたことはほとんどありません。中1の頃、彼女の英語の成績は5段階で4か3でした。

一方、息子は海外のインターナショナルスクールに入学して、Year2~Year5(日本の小学1年~4年に相当)の3年半を過ごしました。当然、英語漬けの毎日です。私は息子に家で毎日英語を教えていました。入学当時の彼の英語力は、同級生と差がありすぎてどうしたものかと悩むほどでした。

唯一2人が共通して取り組んだのが、音読トレーニングです。娘は学校の教科書を中心に、息子はeラーニングの教材を中心に1年以上に渡り継続しました。2人ともほぼ毎日続けて、最後の方は完全に習慣化していました。

1年半後、娘は学校以外でまったく英語を習っていないのに、急に成績が伸びて5段階で5になりました。中3で英検3級に合格しましたが、成績表を見ると準2級も合格圏に届いていました。

息子は音読に取り組んでから、リーディング力が大幅に向上しました。文字を読むスピードが速くなり、難しい本にもチャレンジするようになりました。その結果、語彙力が大幅に向上して、それまで低迷していた成績が一気に平均を超えるようになりました。

娘も息子も1年以上音読を続けて、ようやく結果が出ました。時間はかかりますが、音読は正しい方法で継続すれば必ず結果がついてきます。

まとめ

英語教室や学校での英語の授業は、先生が教えてくれる貴重な時間です。しかし、圧倒的に時間(量)が足りません。

時間不足は自宅学習で補うしかありませんが、学習内容も追求したいです。それを可能にするのが音読トレーニングです。

ネイティブでさえも無意識の音読に膨大な時間を費やしています。日本人の子どもはふだん英語を使う機会がありません。そのため意識的に英語の音読を取り入れることが重要です。

最低でも3か月~1年くらい継続しないと結果が見えず、途中で嫌になることもあるでしょう。まずは、お母さんが音読の意義をきちんと理解しましょう。そして、子どもの音読をほめてあげたり、励ましたりして習慣化できるように支えてあげましょう。

子どもの英語力に変化が見られないと、音読の効果に疑問を持つこともあるかもしれません。しかし、効果を信じて継続すれば必ず子どもの英語力は向上します。

なお具体的な音読の方法については、「小学生から取り組む英語音読トレーニング(実践編)」で詳しく取り上げています。ぜひ、そちらも参考にしてください。

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