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子どもが英語スペリングを得意に!「ぶつぶつライティング」とは

同じ能力の子どもが同じ授業を受けて同じ時間自習しても、しばらくすると英語力に明らかな差が現れ始めます。この現象は教員時代とても不思議に感じました。

そのときに立てた仮説は、「学びの深さに差がある」ことでした。傍目には同じように学んでいても、彼らの頭の中の活動量には相当な違いがあります。

問題は、「何をどのように考えているか」は本人以外誰にもわからないことです。思考方法は本人以外把握できないし、コントロールもできません。

同じことは英語を書くときにも当てはまります。もしあなたの子どもがテキストの英語をノートに写すときに目線が頻繁に往復したり黙々と書いていたりしていたら、それは私がまったくわからないアラビア語をコピーしているのと変わりません。

私の推奨する英文の写し方は「ぶつぶつライティング」です。方法はとても簡単です。英語を紙に書くとき、ぶつぶつつぶやきながら書くだけです。

「ぶつぶつライティング」を始めるタイミングは、フォニックスの基礎を終了してからです。3文字からなる単語(bag, fatなど)がある程度読めたら、「ぶつぶつライティング」を開始します。

まずは英語の苦手な子どもが、どのように考えて間違いを繰り返すのかを分析します。そして頭の中の活動量と質を高めるためのコツを解説します。

Mr. SmithをMr. Sumisu と書いてしまう原因は

あなたの子どもが何気なしに「Mr. Smith」を「Mr. Sumisu」と書いていたら、どのようなアドバイスをしますか?

正しい綴りを教えるだけなら簡単です。しかし、その子は似た間違いを今後も繰り返します。そうさせないためには、間違いの原因をじっくりと考える必要があります。

カタカナを当てはめているから

Sumisuのスペリングを見ると、カタカナとローマ字の影響を受けていることがわかります。まず、Smithの読み方を覚えるときに「スミス」とカタカナをふっています。そして、「スミス」というカタカナの音に対応させるためにローマ字でSumisuと綴ります。

(子どもの頭の中)Smith→「スミス」→Sumisu

カタカナで置き換えて覚えている限り、永遠に正しい綴りであるSmithにはたどり着けません。

カタカナで単語を覚える弊害はもう一つあります。それは、本来の音節の数と違う数で音をとらえるようになり、その単語を音で聴いても認識できなくなることです。

英語のSmithは1音節(1つの音の塊)で一気に読まれます。ところが「スミス」とカタカナ読みすると3音節として脳に記憶されます。ネイティブがSmithと発音したときに、記憶の音の数と異なるため正しく聴き取れません。

このように英単語を覚えるときにカタカナで覚えてしまうと綴りをローマ字化してしまったり、リスニングが苦手になったりします。

正しい英語の発音をしていないから

英語と日本語では音の数と種類が異なります。だから英語を日本語の音で読むことは「やってはいけない」というより、不可能です。

例えば、カタカナの「ス」に変換される英語の音には「s」「th」のふたつの音があります。しかし、これらはまったく異なる音で綴りでもはっきりと区別されています。

【th】の音を出すときは、上下の歯のすき間に舌先を軽く挟んで、空気を出すことで音を出します。【s】は上下の歯は合わせた状態で、歯のすき間から空気を出します。

まったく異なるふたつの音をカタカナの「ス」にまとめるのが、どれだけ馬鹿馬鹿しいことかわかっていただけたでしょうか。

英語を書くときに「音読」していないから

子どもが英語をノートに書くときは「お手本を写す」ことがほとんどです。例えば先生が黒板に書いた英語やテキストに書いてある英文を写すときが相当します。

そのときに一文字ずつ確認しながら写しているとしたら、それは英語の音も意味もまったくわかっていない証拠です。

英語のできる子どもが「He likes a hamburger very much.」という文を写すとき、まず一文を音読します。このときの音読はぶつぶつ小声でつぶやく程度か、声には出さなくても頭の中で音声化されます。もちろん内容に即した映像が頭の中で再生されています。

そして一気にその一文をブツブツつぶやきながら紙に書いていきます。文章が長くなればときどき本文を見直すこともあるでしょう。しかし、この程度の長さなら一気に写せます。

このとき必要な能力は総合力です。英語を英語の音で発音できて、それに対応する綴りも覚え、文法を理解していなければこのような写し方はできません。

「正しい音読をして(インプット)、それを音声で出しながらそれに対応した英語を紙に書く(アウトプット)」ことができる子どもは英語の理解力が高いです。

正しい「ぶつぶつライティング」を身につけよう

初心者には一文を一気に覚えて紙に書くのはハードルが高いでしょう。その場合には、もっといい方法があります。英語初心者でも効果的な学習を可能にする「たった一つの習慣」を紹介します。

それは英語を書くとき(写すとき)は、必ずぶつぶつとつぶやくことです。私は「ぶつぶつライティング」と呼んでいます。「ぶつぶつライティング」はとてもシンプルな習慣ですが効果は絶大です。コツがふたつあるので解説します。

正しい発音を心がけること

まず、「正しい発音を心がけること」がポイントです。カタカナではなく、英語の音で正しい発音をしようと努力することです。

ネイティブ並みの発音にする必要はありません。しかし、日本語の音(カタカナに置き換えた音)ではいけません。少なくとも自分では英語独自の音をきちんと出そうと努力することが大切です。

【θ】の他にも【f】【v】【l】【r】など特に注意しなければならない音があります。できるだけ理想の音に近づけるように子どもに意識させましょう。

音節単位でつぶやきながら単語を書く

つぶやきながら英語を書くときにはもう一つコツがあります。それは「音節単位」で読みながら書くことです。少々わかりにくいので「international(国際的な)」を例に挙げながら、理想的な「ぶつぶつライティング」を解説します。

(ダメな例)

internationalと一気に読む→internationalと無言でノートに写す

これでは音と綴りの関係を確認しながら書くことができません。

(良い例)

inと読みながらinと書く。
terと読みながらterと書く。
naと読みながらnaと書く。
tionと読みながらtionと書く。
alと読みながらalと書く。

このように音節(一気に読まれる音の単位)で区切りながら、ブツブツ読んで写すのが理想です。音節については辞書通りに厳密に分けなくても、おおまかな感覚でかまいません。

naの箇所はアクセントの位置なので、ブツブツつぶやくときも強めに読むように心がけます。

上記のように「正しい発音」で「音節ごとにつぶやきながら」写す習慣をつけるだけで、英語力はメキメキと向上します。

自分の感覚と本物の英語との違いに何度も気づく

正しい方法で「ぶつぶつライティング」を続けると、自分が思い込んでいた音と綴りの間違いに何度も気づくようになります。

例えば、アルファベットの「u」はローマ字では「ウ」として置き換えられるため、「ウ」という音を出すと認識する初心者はとても多いです。実際はアルファベットの「u」は喉奥で出される強い「ア」として発音されることがかなりあります。

umbrellaという単語とイラストがあったとします。子どもは傘を「アンブレラ」の音で覚えています。ぶつぶつライティングをしながら、この単語を書くとき頭の中では次のようなことを考えます。

umと読みながらumと書く→「uはアと読むのか…、それに次はnじゃなくてmか」
breと読みながらbreと書く→「レの部分はrか」(rの発音に気をつける)
llaと読みながらllaと書く→「ラはlがふたつか!」(lの発音にも気をつける)

(umbrellaの本当の音節はum・brel・laですが、感覚を優先しています)

この「すり合わせ作業」を何度も繰り返すことによって、正しい綴りを自動的に身につけられる仕組みです。

黒板の英文をノートに写す機会を無駄にしない

中学や高校で英語の授業を受けるとき、ノートやワークブックに英語を書く(写す)機会はたくさんあります。そのときに「ぶつぶつライティング」を続けた子どもと無言のまま文字を書き写しているだけの子どもでは相当な英語力に差が出ます。

授業中、声に出すことがはばかられるのであれば唇が動く程度に「ぶつぶつ」つぶやけばいいのです。書く時間すべてを「音声」と結び付ける作業をするだけで、そうでないときの何倍も濃密な学習効果を得られます。

さらに効果を高めたければ、英文を書いたあと目を離してもう一度口頭で英文をつぶやきます。そのときにその英文の意味に沿った状況をイメージしたり感情移入したりします。そしてその言葉を相手に言われたと仮定して、それに対する応答までを考えます。

例えば、You are too young to drive.(あなたは若すぎて車を運転できません)を写したら、顔を上げて口頭でこの英文を復唱します。

そのときに親が子どもに諭すように読みます。さらに自分が言われたときの反論まで考えます。When can I drive, then? (じゃあ、いつ車を運転できるの) という具合です。

ここまで深く学ぶ習慣をつけると、英文を単に読みあげるだけでなく会話の練習もしていることになります。

「ぶつぶつライティング」はただの習慣です。しかし、このたった一つの習慣が将来の英語力に大きな影響を与えます。お母さんは学習初期の段階から、この「ぶつぶつライティング」を習慣づけするように子どもにアドバイスをしましょう。

まとめ

ノートに英語を写す機会はたくさんあります。そのときに子どもが黙々と書いていたら要注意です。なぜならそのままでは英語の正しい綴りをいつまでも書けない可能性が高いからです。

私のおすすめは「ぶつぶつライティング」です。単語の音節ごとに正しい発音で読み上げながら綴りを書き写すだけです。たったこれだけの習慣で、自分の間違っていた音や綴りを何度も繰り返し確認できます。

中学校や高校に進むと英文をノートやワークブックに書く機会はとても多いです。その時間を最大限に効果的にするために、小学生の頃から「ぶつぶつライティング」の習慣をつけさせましょう。

頭の中の思考法・思考内容をコントロールできるのは子ども本人だけです。常に意識づけをしてあげて、習慣化されるまで続ける根気が必要です。

正しく音読していると書く練習をしなくてもスペリングを覚えてしまいます。そのための方法はこちらで紹介しています。

小学生でも大丈夫! 英語エッセイから学ぶ「論理的思考力」のススメ2

以前、国語の先生が言っていたことで印象的なことがあります。「これまで世の中の詩人は5・7・5(7・7)の俳句や短歌以外の定型詩を追求してきたが、誰も超えられなかった」

確かにその通りです。交通標語「手をあげて 横断歩道を渡りましょう」は「5・7」のリズムで、日本人なら無意識のうちに「おさまりが良い」と感じます。万葉集にはすでに5・7・5・7・7は完成されていたので、1200年以上受け継がれていることになります。

同じような「型」は外国にもあります。英語の「5パラグラフ・エッセイ」もその一つです。自分の意見や主張を書くときに、相手に伝わりやすい形式として編み出された「型」です。

世の中がグローバル化するなか、さまざまな文化的背景を持った人たちが共通のロジック(論理)でコミュニケーションを取る必要性が高まっています。そのときに、「5パラグラフ・エッセイ」は中心的な役割を果たします。

アメリカ人なら子どものころから5パラグラフ・エッセイの「型」を徹底的に学びます。日本でも作文指導である程度は扱われますが、アメリカほど深く学ぶ機会はありません。

英語をコミュニケーションの道具として学ぶなら、英語だけでなく伝えるための「ロジック」は欠かせません。Four Square Writing Methodを活用すると、日本の小学生でも簡単に学べます。

今回は、Four Square Writing Methodを使った簡単な論理展開の練習をしてみましょう。作文の宿題で困っているときに、お母さんが教えてあげると子どもは受け入れやすくなります。

Four Square Writing Methodってどんなもの?

アメリカの小学生にエッセイ(小論文)の書き方を指導するために考案されたのが「Four Square Writing Method」です。3人の先生(Judith S. Gould, Evan Jay Gould and Mary F. Burke)によって書かれた本の中で、詳しく紹介されています。

息子がインターナショナルスクールに通っていたころ、毎週出されるエッセイの宿題に苦労していました。夏休みにこのテキストを使ってエッセイの書き方を学ぶと、「何を書いたらいいのか」で困ることがなくなりました。

Amazon­の洋書カテゴリーで「four square writing method」と検索すると、このシリーズがズラリと表示されます。対象年齢別や目的別に細かく分かれているので、子どもに合ったテキストを選ぶことができます。

私が購入したのは「Four Square Writing Method for Grades 4-6」です。息子は最初から最後まで読んではいませんが、それでもエッセイの基本的な部分は学べました。

A4の紙一枚あれば、いつでもどこでもできる

Four Squareの良いところは、紙一枚とペンがあればいつでもどこでもエッセイを書くのに必要な情報を整理できることです。

子どもに教えているうちに、今では私も活用しています。この手のものでは「マインドマップ」が有名です。しかし、文章を書くときはFour Squareのほうが私は使いやすいです。

以前、娘の卒業謝恩会でスピーチ予定のお父さんが突然欠席することになり、私が代わりをお願いされました。

残り時間たったの5分でした。卓上にあった紙ナプキンにボールペンでFour Squareを書き、スピーチプランをまとめました。そのメモを見ながらのスピーチでしたが、「わかりやすかった」と参加者からほめてもらいました。

まずは、実際に言葉を入れながらFour Squareの利用法を覚えていきましょう。

5つのマスの関係性を理解するために、単語を入れてみる

初めに「Four Square」の書き方を見てみましょう。A4の紙を用意して、同じように線を引いてください。
four_square_function

たったこれだけです。真ん中にマスを書き、あとは外側の部分を4つに分割するだけです。1のマス(中心)は「メイン・アイデア用」、2~3のマスは「メイン・アイデアを支えるための詳しい理由や根拠用」、4のマスは「まとめ用」です。

ここでは例として「めん類」についての簡単な文章を作成してみます。

  • 中心のマスは「メイン・アイデア」

最初にすることは、「メイン・アイデア」を書くことです。中心の言葉は「めん類」なので、中心のマスには「めん類」と書きます。

常に中心に「めん類」が見えるので、途中から話題がそれることはありません。

  • 2~3のマスに詳しい情報を入れる

次に、2~3のマスに「めん」に関する詳しい情報をいれます。ここでは「そば」「うどん」「パスタ」を入れてみます。

中心に「めん」があります。それを囲むようにして「そば」「うどん」「パスタ」が配置されます。2~3のマスの内容は、メイン・アイデアから外れていないことが確認できます。

そば、ざるそば、モリそばを入れてしまうのはNGです。なぜなら、この場合メイン・アイデアは「そば」にするべきだからです。

  • 4のマスに「まとめ」

第4のマスには「まとめ」を入れます。ここは文章にしてみましょう。
four_square_noodle

そば、うどん、パスタはめん類です。

一見、「エッセイ」の形式とはまったくかけ離れた姿です。しかし、5つのマスの関係性を端的に表しています。いわば、エッセイの骨格です。話題の中心は「めん類」で、3つの詳細情報があり、まとめですべてをつなぎ合わせています。

復習します。初めに「めん類」について書こうと決めて1のマスに記入します。次に、それに関する詳細情報を2~4のマスに入れます。そして、5のマスで、まとめを書きます。

練習問題「球技」

それでは理解を確実にするために、今度は「球技」について練習してみましょう。紙と鉛筆を用意して、真ん中にマスを書いたら外側の部分を4等分にします。

four_square_ball

まとめの文章は書けましたか?

テニス、野球、サッカーは球技です。

ここまでは、超初心者向けに5つのマスがどのような関係になっているかを解説しました。次は、文章をそれぞれのマスに入れていき論理的な文章を作る過程について解説します。

5つのマスに文章を入れて、つなげてみよう

ここからは、5つのマスに文章を入れていきます。これをマスターすると、簡単なエッセイなら書けるようになります。英語のエッセイを書く場合は、当然英語でセンテンスを書いていきます。

小学生は普段の作文に応用するためにも、日本語で慣らしておきましょう。英語力が向上してきたら、英文で書くことにも挑戦しても遅くはありません。

  • 中心に自分の意見を入れる

真ん中のマスにメイン・アイデアを入れます。今回は文章で書いてみましょう。例として「教科書をすべて持ち帰るのはやめるべきだ」という主張で書いていきます。

  • 2~4のマスに詳しい情報を入れる

メイン・アイデアを書いたら、この主張を支えるための詳細な理由・根拠・データなどを第2~4のマスに入れていきます。それぞれのマスには同じ内容のことは書かないように注意しましょう。

2のマスには「ランドセルが重すぎて、背骨に悪影響を与える」と書いてみます。実際、教科書が大型化していたり内容が増えたりしたことにより、全体の重さは昔よりも重くなっています。

3のマスには「家庭学習にほとんど使わない音楽・図工・道徳の教科書は学校に置いておいても問題ない」と書きます。

国語の教科書は宿題の音読に使用するので、持ち帰る必要があるのはわかります。算数は計算方法の確認に必要かもしれません。しかし、その他の教科については、必要なときだけ家に持ち帰れば充分です。

4のマスを埋めるのは、少々大変です。2・3のマスに見劣りしないだけの理由や根拠を示さないといけないからです。

4のマスには「教材のデジタル化を進めれば、タブレット端末で見られるようにできるから」と記入します。可能な新しい技術を取り入れて、不便を解消する提案です。

ここまでくればあと一歩です。

  • 5のマスにまとめの文章

5のマスには「まとめ」を書きます。まず、真ん中のマスで示したメイン・アイデアを繰り返します。このことにより、最初と最後でブレない(一貫性のある)構造を作ります。

「教科書をすべて持ち帰るのはやめるべきだ」

そして、2~4のマスで示した理由や根拠、提案を簡潔に示します。

「教科書をすべて持ち帰るのはやめるべきだ。なぜなら、重いランドセルは子どもの背骨に悪影響を与えるし、持ち帰る必要のある教科書は数冊だけだし、タブレット端末に教科書の内容を収められるからだ」
作文

 

ここまでの文章をすべてまとめてみます。

僕は、教科書をすべて持ち帰るのはやめるべきだと思う。
第一の理由は、重すぎるランドセルは子どもの背骨に悪影響を与えるからだ。
第二の理由は、家庭学習にほとんど使わない音楽・図工・道徳の教科書は学校に置いておいても問題ないからだ。
第三の理由は、教材のデジタル化を進めれば、タブレット端末で見られるようにできるからだ。
結論として、教科書をすべて持ち帰るのはやめるべきだ。なぜなら、重いランドセルは子どもの背骨に悪影響を与えるし、持ち帰る必要のある教科書は数冊だけだし、タブレットを導入すれば紙の教科書は不要になるからだ。

文章としては洗練されていません。しかし、作者の主張は明確に伝わります。これが5パラグラフ・ライティングの威力です。

実際はもう少し自然な日本語で文章を書きます。最後のまとめには、冒頭をそのまま繰り返すのではなく、未来志向にしたり作者の意志を加えたりします。

より自然な日本語で肉付けすると下記のようになります。

毎日の登下校でランドセルを下すとホッとする。なぜならランドセルがとても重いからだ。ランドセルが重くなる主な原因は教科書を毎日持ち帰るからだ。僕は「教科書をすべて持ち帰るのはやめるべきだ」と思う。

第一の理由は、重すぎるランドセルは子どもの背骨に悪影響を与えるからだ。新聞で読んだがひどい場合には背骨が曲がってしまうらしい。

二つ目の理由は、音楽・図工・道徳の教科書は家に持ち帰る必要がないからだ。宿題で使うから家に持ち帰るのであって、必要もないのに持ち帰るのはおかしい。

最後の理由は、一人一台タブレット端末を持てば、すべての教科書のデータを見られるようになるからだ。

結論として、今すぐ政府は教科書を毎日持ち帰らなくてもいいと学校に指示を出すべきだ。工夫すれば軽く出来たりタブレット端末に収めたりできるのに、健康を害してまですべての教科書を毎日持ち帰るのはどう考えても問題だからだ。

小学生の子どもの作文なら、このレベルでも充分です。文章を長くしたければ、導入部分や2~4のマスの情報を膨らませればいいだけです。

練習問題「遠足は楽しい」

Four Squareを使って文章のプランを考えてみましょう。メイン・アイデアは「遠足は楽しい」です。簡単な文章でいいので、それぞれのマスを埋めてみましょう(模範解答はありませんが、自分で試してみて下さい)。

英語ではどうなる?

英語で書く場合も基本的なやり方は同じです。エッセイで頻繁に使われる単語やフレーズがあるので、下にまとめておきます。

first of all(まず初めに)/ secondly(第二に)/ finally(最後に)/ because(なぜなら)/ in conclusion(結論として)/ such as(~のような)/ for instance(たとえば)/ but(しかし)/ however(しかしながら)

2のマスの冒頭にFirst of all、3のマスの初めにSecondly、4のマスの初めにFinallyが対応します。最後のまとめ(5のマス)の冒頭には目印としてIn conclusionで書き始めると「まとめが書いてあるな」と読者はすぐにわかります。

英語でエッセイを書くのは小学生では難しいと思います。しかし、エッセイで必要となる論理展開を身につけておけば、英語力が備わったときにスムーズにエッセイを書けるようになります。できるところはさっさと進めておきましょう。

英検3級からはライティングで意見を述べることが求められます。勉強法がわからない場合は、オンライン英語塾(1対1の完全個人指導)にご相談ください。

まとめ

最初は、単語をそれぞれのマスに入れてみて最後に一つの文章を作ることから始めてみましょう。これでそれぞれのマスの関連性を理解できます。

慣れてきたら、簡単な文章を入れていきます。真ん中のマスには作者の主張を入れます。それを常に頭に入れながら、2~4のマスに詳細(理由・根拠)を埋めていきます。

最後の5のマスで、最初の主張を繰り返してから、もう一度すべての理由をもう一度簡単に示します。「まとめ」です。

子どもは「英語エッセイの書き方」として学ぶ必要はありません。日本語でもエッセイの論理展開は充分に身につきます。作文の宿題で困っているときに、お母さんが教えてあげるといいでしょう。

英検を定期的に受験している子どもなら、3級以上のライティングでエッセイライティングの素養を試されます。文章を書くときだけでなく、スピーチやプレゼンをするときにも大変役に立つスキルです。

日頃の作文でも応用できるように、子どもに上手に教えてあげましょう。

小学生でも大丈夫! 英語エッセイから学ぶ「論理的思考力」のススメ1

日本語で「エッセイ」と言えば、雑誌の連載を思い浮かべるかもしれません。自由な形式で筆者は気ままに文章を書いています。いわゆる「随筆」です。

ところで英語の「エッセイ(essay)」とは「小論文」です。 自由な形式とは反対に「きっちりとした論理構成」で書かれています。

英語圏、特にアメリカではessayを書く訓練を小学校1年生から積み上げています。自分の主張を論理的に展開して説得力のある文章を書けることがゴールです。

英検3級以上の「ライティング」で得点するには、論理的な構成の文章を書くことを求められます。本格的なエッセイではありませんが、根底にある論理展開は共通です。

英検3級ライティングのサンプル問題と解説はこちらからダウンロードできるので、興味のあるお母さんは一度目を通してみてください(英検ホームページより引用:https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_3/pdf/DrWrite_grade3.pdf)。

英語力を身につけても、「エッセイ」の基本構成を知らないとどのように書いたらいいのかさっぱりわかりません。困ったことに日本の小学校では小論文の指導はほとんどされておらず、日本人が苦手な分野のひとつです。

そこで2回に分けて、英語のエッセイについて理解を深め、具体的にどのような方法で勉強すると論理的な文章を書く基礎を身につけられるのかを説明します。

英語のエッセイとは

仮に完璧な翻訳機が発明されたとします。日本人とアメリカ人の両者はあるテーマ(例えば、朝食にはパンと米のどちらが優れているか)について、討論をしたとします。アメリカ人はパンを支持、日本人はごはんを支持します。

平均すれば、おそらくアメリカ人のほうが「説得力がある」論理展開をするはずです。なぜなら、彼らは「他人を説得する文章」を書く訓練を小さい頃から積み上げているからです。

日本人は劣勢になると「だって、日本では昔から決まっているから」とか「米農家を守るため」といった感情論に訴える傾向があります。しかし、これでは国際的にはまともな議論として受け付けてもらえません。

英語を身につけてコミュニケーションをとるのは外国の人達です。彼らは論理的思考の中で生きているので、そこに合わせていかないと文法的に正しい英語を話していても主張は通りません。

基本は5パラグラフ・エッセイ

エッセイの構成は5 Paragraph Essay(5パラグラフ・エッセイ)が基本です。つまり、5つのパラグラフ(段落)から、ひとつの小論文が構成されています。それぞれのパラグラフには明確な役割があります。

構成は次の通りです。

第1パラグラフ:導入(テーマの説明+自分の主張)
第2パラグラフ:説明1(導入で書いたことについての理由)
第3パラグラフ:説明2(導入で書いたことについての理由)
第4パラグラフ:説明3(導入で書いたことについての理由)
第5パラグラフ:結論(自分の主張を繰り返して、最終的な結論)

日本の作文は主に感想文

日本の国語の授業でも作文指導はあります。しかし、そのほとんどは日記だったり、読書感想文だったりです。そこで求められるのは、心情の描写です。もちろん心情描写を必要とされる場面もあります。

しかし、「自分の主張を説得力のある構成で書く訓練」も同じくらい必要なはずです。しかし、自分の主張を論理的に展開することを求められる作文はめったにありません。

子どもの頃からの英語教育に反対する人の理由のひとつに、「英語を学ぶ前に論理的な思考力を養成する必要がある。そのためにまずは国語教育を充実させよ」というものがあります。その肝心な国語教育の中では、論理的な思考をあまり磨けない現状があります。

エッセイを書く訓練をすると、人生で役に立つ場面が多々あります。しかしながら学校教育ではなかなかエッセイを学ぶ機会はありません。現状では家庭でお母さんが主体となって子どもに論理的な思考をさせるトレーニングをしたほうがいいです。

論理展開に慣れると得られるメリット

論理的な構成を立てられないままだとどのような弊害が起きるのかを考えてみましょう。

たとえば、校長先生の朝礼スピーチを思い出してください。長時間スピーチをした割には何を言いたかったのかさっぱり伝わらず、終わった瞬間に内容を忘れたことはありませんか? 結婚式でのスピーチの内容がよくわからなかったことはありませんか?

書くときだけでなく話すときでさえも、筋道を立てた話し方を心がけないと相手に言いたいことが伝わりません。このようにエッセイで必要とされる論理構成力がなければ、相手に自分の意見を伝えられないのです。

ではエッセイ力を活用できる場面について具体的に説明します。

小論文を書くときの基礎になる

何といっても大学入試での小論文や大学での論文作成に役に立ちます。私は入学試験に小論文があったため、予備校で小論文の講座を受講しました。また、大学ではネイティブの先生から簡単なエッセイの指導も受けられました。

本格的な英語のエッセイを書けるほどの実力はありません。しかし、基本的な論理構成の立て方を身につけたおかげで、他の人にわかりやすい文章を書くことはできます。

その他にも応用できる場面

会社に入ればパワーポイントでプレゼンをすることもあるでしょう。プレゼンの資料を作成するときにも、5Paragraph Essayは役に立ちます。とにかく主張が明快なので「何を言っているのかわからない」状態を回避することができます。

企画書を書くときもシンプルにまとめられるので、上司にもしっかりと読んでもらえる確率がグッと高まります。

英語に話を限定しても、英検3級以上の筆記試験では短いライティングが出題されます。そのときも、5パラグラフ・エッセイを応用することで、自分の意見を明快に伝えることができます。

どんな訓練が必要か

もちろん本格的なエッセイの指導は普通のお母さんには難しいです。しかし、紙1枚だけで取り組める「簡単な5 Paragraph Essay」なら家庭でも指導可能です。ここではその基本的な考え方を説明します。

  • Four Square Writing Methodとは

Four Square Writing Methodとはアメリカの3人の先生によって書かれた本です。シリーズでいくつも関連書籍が出版されていて、Amazonの洋書カテゴリーから注文できます。

four square writing method

このシリーズの優れている点は、一枚の紙に「枠」を作りその枠に情報を埋めていくことによって、5パラグラフ・エッセイが書けるようになることです。

「なあんだ、それだけか」と思わないでください。実際に自分でやってみるとわかりますが、白紙を渡されて第1パラグラフから順番に文章を書こうとしても、すぐに行き詰ってしまいます。

ところが単純な線で仕切られたシートを使うと全体を俯瞰しながら文章を書けます。そして、最初から最後まで自分の主張がぶれない文章を書くことができます。

映画「オペラハット」の話

1930年代のアメリカ映画で「オペラハット」があります。田舎に住んでいた素朴な青年が、偶然、巨額の遺産を受け取ったところからドラマは始まります。金銭トラブルに巻き込まれて身の潔白を証明する法廷で、彼はそこにいる人たちのクセについて言及します。

LD: …For instance, the judge here is, is an O-filler.

(たとえば、ここにいらっしゃる裁判長はO(オー)埋め人ですね)

Judge: A what?

(何ですって?)

LD: An O-filler.  You fill in all the spaces in the Os with your pencil.  I was watching him.

(O埋め人です。あなたはすべてのアルファベットのOの中を鉛筆で塗りつぶします。私は見ていましたよ)

LD=Longfellow Deeds(主人公の青年)、Judge=裁判長

なぜこのような映画の1シーンを引用したかといえば、これは端的に人間の性質を表しているからです。枠で囲まれていると、その中を何かで埋めたくなるのです。

作文をするのは慣れないうちは苦しい作業です。白紙とにらめっこしていてもなかなかアイデアは出てきません。一方、枠で仕切りを作ると、空間が気になります。そして頑張って空間を埋めようとアイデアを絞り出します。

この人間の性質をうまく利用したのがFour Square Writing Methodです。これはアメリカの小学生向けに書かれた教材なので、日本の小学生が英語で学ぶには難しすぎます。しかし、日本語でも論理展開の訓練はできます。

このFour Squareの助けを借りながら、お母さんが主体となって家庭で子どものために論理的な主張をする練習をするのはそれほど難しいことではありません。英語で学ぶ必要はなく、日本語でも学べます。

普段の宿題で活用してみる

子どもがこのFour Square Writing Methodを受け入れやすいのは、作文の宿題のときでしょう。私も経験がありますが、何を書いたらいいのかわからず、無駄に時間は過ぎるばかりです。

こういうときにお母さんがいいタイミングで助け舟を出しましょう。「実は作文を上手に書ける方法があるんだけど知りたい?」と切り出せば、子どもは「どんなの?」と聞いて来るでしょう。

Four Square Writing Methodを利用した論理構成の学習については、次の記事「小学生でも大丈夫! 英語エッセイから学ぶ「論理的思考力」のススメ2」で具体的に解説します。

まとめ

日本語でのエッセイは「随筆」の意味で使われることがほとんどですが、英語におけるessayとは「小論文」のことです。アメリカでは小学校からエッセイを書く訓練に取り組んでいます。

エッセイの基本構成は5パラグラフ・エッセイと呼ばれるものです。

第1パラグラフ:導入(テーマの説明+自分の主張)
第2パラグラフ:説明1(導入で書いたことについての理由)
第3パラグラフ:説明2(導入で書いたことについての理由)
第4パラグラフ:説明3(導入で書いたことについての理由)
第5パラグラフ:結論(自分の主張を繰り返して、最終的な結論)

エッセイの論理構成をマスターすると、進学・就職・仕事などあらゆる場面で将来役に立ちます。しかし、不慣れな子どもにいきなりこのような構成で本格的な文章は書けません。

その場合、Four Square Writing Skillというアメリカの子ども向けに開発された方法が効果的です。あらかじめフレームを決めておいて、その中に情報を埋めることで論理的な文章を作成できます。

家庭でもお母さんが子どもに教えられる具体的なトレーニング方法は次回の記事「小学生でも大丈夫! 英語エッセイから学ぶ「論理的思考力」のススメ2」で紹介します。

アプリを使って親子で英語チャットに挑戦!

ある英会話学校の人から聞いた話です。子どもを通わせているお母さんから「ウチの子、全然英語を話さないんですよ」とよくグチを聞かされるそうです。その家庭では日本語しか話さないので、当然の結果です。

実際、日本の小学生が英語を使う機会はほとんどありません。ほとんどの子どもは「親に言われて」「英語は受験に必要だから」だけの理由で英語を学んでいます。これでは受験科目としての英語からの呪縛から逃れられません。

もし、日本にいても「英語を使わないとならない」状況を日常的に作り出せるとしたら興味ありませんか? お母さんとお父さんにも協力してもらいますが、お金や時間はほとんどかけずに取り組む方法があります。

WhatsApp を使って親子で英語チャット

「ネイティブがいないので英語を話さない」と言っていたら、日本では英語を使用する機会はありません。「日本にいてもどうすれば英語を使う機会を増やせるか」と考え方を変えましょう。

私が試してみて効果的だった「WhatsApp(ワッツアップ)」というアプリを使った親子での「英語グループチャット」を紹介します。

WhatsApp

生活に英語を取り入れる

英語を使えるようになりたければ、「実際に使う」ことでしか上達しません。ところが英語を話せる人が周囲にいないと、会話の練習にならないのも事実です。そしてほとんどの人はここであきらめてしまいます。

そこで普通の家庭でも生活に英語を取り入れる方法として、「親子で英語チャット」を提案したいと思います。

私自身、息子が幼稚園のころ一時期「英語で育児」してみようと挑戦したものの、思った以上に子どもの抵抗が強く失敗したことがあります。日本語を話し出す前ならうまくいったかもしれませんが、時間を戻せません。

一方、息子が小学生になったときしばらくの間「英語でチャット」をしたことがありました。初めはほんの遊びだったのですが、意外と毎日続けられました。会話の中身は他愛ないことや本当に必要な連絡も含まれていました。

チャットでは、必要なこと・言いたいとこをシンプルな英語で表現します。子どもが英語を実際に使う実践の場として、とてもいいと感じます。

「伝えたい」ことを英語で伝えるから、英語が身につく

英語学習において、例文の暗唱は避けられません。何度も何度も繰り返し口頭で練習します。

しかし、その表現を自分のものにするまでには、あともう1ステップ必要です。それは、その暗唱した表現を応用して、「自分が伝えたいことを表現する」ことです。

例えば、“John has to do a lot of homework today.”(ジョンは今日たくさん宿題をしなければいけない)という例文を暗唱したとします。しかし、これだけでは記憶は薄れていってしまいます。

そこで、実際の状況で “I have to do a lot of homework today.”と何度か使うと記憶は定着します。日常会話で使用するのが一番です。

暗唱した例文は、日常生活で使ってこそ身につくようになります。

親子だから間違えても恥ずかしくない

小学生になると、間違うことの恥ずかしさを強く感じるようになります。そのため「間違えても気にしないで」と諭しても、積極的に英語を話そうとはしません。

でも、親子だけのグループチャットならリラックスして英語でコミュニケーションを取れるはずです。

お母さんは英語を間違えても気にしないでください。お互い間違いをしながら、少しずつ上達すればいいのです。親子で英語を教え合うような関係が理想です。

文字が残るから訂正・復習が容易

会話では「瞬時に英文を口から出せること」と「相手の英語を聴き取る」二つのハードルがあります。標準的な小学生では、この二つをクリアするのはかなり大変です。

一方、チャットなら文章を入力するまでに考える時間があります。相手からの言葉も文字として残るので、知らない単語を確認することも可能です。

英作文を速くできて音声で表現したものが、英会話です。つまり、文字だけ投稿していても会話練習の基礎になっていることに注目してください。

間違えた英語を送ってしまっても、それはそれでいい教材になります。親子のうち誰かが気づいて、チャット上で正しい綴りや文章を教えてあげましょう。次からその表現を真似すれば、少しずつ洗練された表現ができるようになります。

このようにチャットでは文字による履歴が残るので、訂正をしたり復習したりが簡単です。できれば毎晩、その日の会話を振り返って正しい言い方や綴りを学ぶ時間を設けると、理想的なオリジナルテキストとなります。

WhatsAppを使おう!

親子の英語チャットに使うアプリとして、私はLINE(ライン)ではなくWhatsApp(ワッツアップ)をおすすめします。LINEは日本では大変メジャーなアプリですが、世界的にみると圧倒的にWhatsAppのほうが利用されています。

単に利用者数の多さがWhatsAppを選ぶ理由ではありません。親子の英語チャットにWhatsAppのほうがふさわしいと思われるポイントをいくつか紹介します。

スタンプ機能を使えないから英語学習にはWhatsAppがいい

LINE人気の原点は、言葉の代わりにムード(気分)を表す「スタンプ機能」が充実していることにあります。忙しいときばかりでなく、細かいことを濁したいときにも便利な機能で、日本人のコミュニケーション特性にピッタリです。

しかし、英語学習を目的としたチャットでは、この「スタンプ機能」が邪魔になってしまいます。英語で表現するのが目的なので、お母さんの問いかけにたいして、スタンプばかりで返信しては意味ないからです。

WhatsAppには絵文字がありますが、あくまでも文章に添えるものです。絵文字だけで返信するのは不自然です。そのため「なんとか英語の文で伝えよう」と一生懸命頭を使って考えるようになります。

ゲームがなくシンプルだから英語に集中できる

ラインにはニュースやゲームなど子どもの気が散るサービスがあります。ビジネスとしては優秀でも、英語学習ツールとしては危険です。

その点、WhatsAppはチャット機能に特化しています。子どもがいつの間にかゲームで遊んでしまったりサイトを閲覧したりして、無駄な時間を過ごすことが起こりにくいです。

子どもの使用するスマホやタブレットには、余計なアプリを入れないようにしておくことも忘れないでください。

グループ作成したらお父さんや他の親族にも英語で参加してもらう

グループ作成のやり方は、LINEとほとんど同じです。グループ名は「〇〇 Chat」のようにして、英語っぽい名前がいいです。プロフィールの写真も子どもの好きなように設定してあげましょう。

最初に参加するのはお母さんと子どもです。そして、普段忙しくてなかなか子どもの英語教育に関われないお父さんにも参加してもらいましょう。もし、難しければ英語の得意な親族に参加をお願いしてみましょう。

参加するメンバーの選択基準は、子どもが間違えてもおおらかに対応してくれる人です。基本はやはり両親と子どもです。あまり人数が多いと人任せになってしまうので、3人くらいのほうが投稿する頻度は高くなります。

英語を打つならフリック入力からQWERTY(クワーティ)入力に

子どもが使用する端末は、お母さんの古いスマートホンやタブレットで充分です。わざわざ新しいものを購入する必要はありません。

ひとつだけお母さんが事前に設定してあげたほうがいいことがあります。それは、入力方式をフリック入力ではなく、QWERTY(クワーティ)入力に切り替えることです。QWERTYとはパソコンのキーボードのような配列のことで、英文の入力には適しています。

こうすることで、ストレスなく英語を入力できるようになります。必要な機器や周辺環境、設定をまとめます。

・スマートホンかタブレット(古いので充分)
・Wi-Fi環境が自宅にあること(SIMカード不要)
・入力方式をQWERTYに切り替えてあげる

親子でどんな英会話をするか

準備が整っていざ英語でチャットを始めようと思っても「何を話したらいいのか」わかりません。どのようにすすめると毎日のチャットを継続できるかについてまとめます。

連絡、親子のコミュニケーションに

お母さんが働いていれば、子どもへの伝言としてチャットを利用しましょう。仕事が終わって帰宅するのが6時なら、そのことを子どもに英語で伝えます。“I will be home at 6.” のようにシンプルに書くのがコツです。

英語だからといって、特別なことを話す必要はありません。日常必要なことをシンプルに伝えればいいのです。これを積み重ねると、必要な英語表現を覚えられるようになります。

英会話の具体例

まだイメージしにくいお母さんのために、サンプルとしてチャット例を紹介しておきます(お母さん、お父さん、みきちゃんの3人でグループを作成していると仮定)

Mum: Hi, Miki.  The cupcake is in the fridge.  Take in the laundry before 5 o’clock.
(ミキ、カップケーキが冷蔵庫にあるよ。5時前に洗濯物を取り込んでおいてね)
Miki: When are you home?
(いつ帰ってくるの)
Mum: I will be home around 6 o’clock.
(6時くらいかな)
Miki: Ok.
(了解)
Dad: I will have dinner at home tonight.
(今夜は家でご飯食べるよ)
Mum: What do you want to have for dinner tonight?
(今夜の夕ご飯は何を食べたい?)
Dad: I like fish better than meat.  How about you, Miki?
(肉より魚がいいな。ミキはどう?)
Miki: Me, too.
(私も)

このように、普段の連絡用に利用すれば一石二鳥です。夫婦の会話も子どもは読むので、勉強になります。

一日一回は必ず書く

毎日、必ず一回は全員がチャットに投稿するように決めておきましょう。どんなに忙しくてもひとことでいいので、習慣づけるようにします。ひとりが約束を守らないと、他の人たちも次第にフェイドアウトしてしまいます。

毎日そんなにおもしろいネタはありません。ちょっとしたことを短いセンテンスでいいので書くことが大切です。

英語で日記を書く学習方法がありますが、ひとりで毎日書き続けるのは意外と大変です。しかし、仲間がいて皆が何らかの投稿をすればそれに応えようと頑張れます。

子どもの反応が芳しくないときは、これから述べるポイントに気をつけてみてください。

子どもから英語を引き出す方法

最も効果的なのは「チャットを読まないと不利益を被る」か「チャットを読んで投稿すると得する」のどちらかの状況をつくることです。このような状況で英語を使用すると、英語は教養のための言語から、「必要な言語」として刷り込まれます。

例えば、大好きなケーキが冷蔵庫に入っていれば、それをチャットで伝えます。Cakeの単語は分かっても、fridge(冷蔵庫)を知らないと食べられないので、一生懸命調べるはずです。

たとえ「ケーキ→冷蔵庫」と予想できたとしても、ケーキを発見できればfridgeを覚えられます。

子どもにとって大切な情報を英語で伝えましょう。例えば、お小遣いの支給日なら、このように伝えます。

Mum: What is the date of today?
Miki: It is March 1st.
Mum: You forget something important.
Miki: What do I forget?
Mum: I won’t tell you that.  Guess what.
Miki: I have no idea.

このようにできるだけ子どもの投稿を促すような質問をすることで、会話はつながっていきます。

翻訳ソフトや会話本をそろえておく

お母さんかお父さんのどちらかが英語が得意なら問題ありません。両方とも得意でない場合は、英語で投稿するのは面倒になります。このような場合、ゼロから英文を考えるのは難しいので、日常会話の本を一冊備えておくといいでしょう。

また、WhatsAppと同時に翻訳アプリをインストールしておけば、ある程度までは英語に直してくれます。ほとんどの場合、間違えている部分があります。それを見つけるのも勉強になります。

英語のチャットはテストではありません。カンニングしていいのです。できるだけハードルを下げて、親子での英語チャットを習慣化しましょう。

英語でチャットをするときのルール決め

親子の英語チャットでは、大まかなルールを作っておいたほうがうまくいきます。その中でも特に大切だと思われるものだけ取り上げてみます。

英語しか使ってはいけない

最も守るのが難しいルールは「英語しか使ってはいけない」ことです。誰かが日本語を使い出すと、なし崩し的になってしまい元には戻れません。チャンスは一度きりなので、必ず英語で通すようにしてください。

ただし、魚や植物の名前などの一部はローマ字表記のほうがいい場合もあります。例えば、夕食にさんまを食べようと思っているとき「saury(サンマ)」を使っても理解できません(実は私も今調べました)。

このようなときは “I wonder if we are going to have sanma for dinner.”と投稿したほうがわかりやすいはずです。

このような例外は別にして、基本的には英語で通すことを第一のルールにしましょう。

英語を間違っても怒らない

親子でチャットをする利点は「間違いを気にしない」ことでした。しかし、お母さんやお父さんが、子どもの英語文法や綴りなどをうるさく注意してばかりでは、子どもは嫌になってしまいます。

しかし、訂正してあげないといつまで経っても上達しません。子どものやる気をそがずに訂正するには、ふたつ方法があります。

ひとつ目は、毎晩その日の投稿を見直してよりよい文章を教えてあげることです。「これは何ていえばいいのだろう」というフラストレーションからその日のうちに開放されるので、子どもにとって嫌な気分になりづらいです。

もう一つは、聞きなおすような(確認するような)感じで投稿してあげることです。例をご覧ください。

Miki: I am hungry.  I want have some snacks.(have の前にtoが抜けている)
Mum: Oh, you are hungry.  You want to have some snacks, right?(WhatsAppでは文字に色をつけたり、太字にするような文字修飾機能はありません)

このように聞きなおすと、自然と子どもに正しい英文を伝えることができます。うまく学習すると、次回からはこの表現を真似するようになります。

一方的に正解を伝えるばかりではなく、子どもに気づかせるのも大切です。

略語やネットスラングは使用しない

外国の人とチャットをするとあまりの略語やスラングの多さに、英語を理解できないほどです。代表的なものを挙げると、FYI: For Your Information(参考まで)、ASAP: As Soon As Possible(できるだけはやく)です。

このような表現は小学生の英語学習には不要なので、使わないようにしましょう。面倒でも省略しないで書くことをおすすめします。

同様にスラング(俗語)もできるだけ使わないようにしましょう。日本人が好んで使うOh my God! は、おすすめしません。なぜなら、みだりに「神」の名を口にするのは慎むべきとされているからです。

驚きを表現するときは、Oh my goodness.やOh my gosh.などを代わりに使用するようにしましょう。

子どもは家でのみ利用する

子どもだけでネットを使用するときには、注意が必要です。くれぐれも悪意のあるサイトに騙されないように注意しておきましょう。

無用なトラブルを避けるためにも、「親子チャット以外では使用しないこと」「スマホを家の外に持ち出さないこと」をルールにしておきましょう。

子どもをネットから完全に遮断するのが難しい今日、早めにネットの正しい使い方を教えておくのは必要です。

まとめ

日本で普通の生活をしていると英語に触れる時間はほとんどありません。しかし、英語を定着させるにはどうしても「使う」状況が必要です。WhatsAppを利用してグループを作り、親子で英語チャットを続けましょう。「英語を使う」状況を自然に作ることができます。

チャットは文字による会話です。これを早く正しくできるようになり音声化できれば、会話力もアップします。会話の本や翻訳ソフトの力を借りてもかまいません。無理なく続けられる方法を見つけましょう。

最低でも数か月続けると、よく使う表現については覚えるようになります。使うことによって覚えた表現は忘れにくい特徴があります。お金をかけずに取り入れられる学習法なので、ぜひチャレンジしてみましょう。

オンライン英会話では質問をするときにチャット機能を使用することがあります。日頃から簡潔に英文を書く訓練をしていると、英会話の授業でも役に立ちます。

 

小学生が筆記体を習うメリットとは?

名作映画のひとつ『カサブランカ』の回想シーンで、主人公のリックは恋人イルザからの手紙をずぶ濡れになりながら読みます。クローズアップされたその手紙は筆記体で書いてあります…。

この映画を初めて見たときに、「きれいな筆記体だなぁ」と私は感動しました。それと同時に雨にどんどん滲んでいく文字を読めたとき「筆記体を読めて良かった」とうれしく感じたものです。

日本では「重要性が低い」という理由で筆記体は教えられなくなりました。しかし、今でもグリーティングカードや看板には筆記体で書かれた英語を頻繁に目にします。

子ども達に筆記体を習わせることは、本当に無意味なのでしょうか。子どもが「筆記体教えて」とお母さんにお願いしたときに、どのように対応したらいいでしょうか? 外国での筆記体の取り扱いと上手な書き方、そして筆記体の魅力について詳しく説明します。

筆記体の取り扱い

私が高校生の頃、先生は黒板に筆記体で英語を書いていました。とてもクセのある字を書く先生がいて、隣同士ひそひそ声でスペリングを確認していたのを覚えています。

娘が中学生のときに「筆記体って習った?」と確認すると、「教科書で紹介されているけれど授業では扱わなかった」と答えました。どうやら私の時代と娘の時代の間に境目があるようなので調べてみました。

・日本の学校での筆記体の取り扱いについて

日本の中学校での「筆記体」導入は、1962年の学習指導要領の施行からです。このときに筆記体は必修事項となり、それ以降、全国の中学校で教えられるようになりました。

筆記体が必修事項ではなく教師の裁量に任されたのは、2002年に施行された学習指導要領からです。実際はその前から移行期間が設けられていたので、2002年以前に中学生だった人も教わっていないかもしれません。

筆記体の指導を禁止していませんが、実際はほとんど教えられることはありませんでした。その後も、学習指導要領は何度も改訂されていますが、筆記体は必修事項にはなっていません。

筆記体を重視しなくなったのは、手書きの機会が減ってしまったからです。私もメモを取る以外に、手書きをする機会はほとんどありません。

アメリカとイギリスでは筆記体を教わるのか

では、英語ネイティブのいるアメリカとイギリスの小学校では「筆記体」はどのように扱われているのでしょうか? アメリカは筆記体を指導する小学校はほとんどないようで、ある年齢より若い人たちは書けない人もたくさんいるようです。

一方、イギリスの小学校では「筆記体」は必修になっています。私の息子が通っていたイギリス系のインターナショナルスクールでは「Cursive writing(筆記体)」の授業がありました。

息子が突然cursive letters(筆記体)で書き始めたのでちょっと驚きました。先生に確認したら「イギリスでは必修です」と説明を受け意外に感じました。

筆記体については「ネイティブでも習わない」という説は、半分正解で半分間違いです。英語圏に限らず、ヨーロッパ諸国では筆記体を習う方が主流のようです。

筆記体の良いところ

英語の発祥地であるイギリスで必修なので、筆記体にも良いところはあるはずです。私の思う利点を挙げてみます。

・速く書ける

私の場合、ブロック体と比較して筆記体の方が3割速く書けます。ただし、慣れないうちはブロック体の方が速く書けるので、練習次第です。

・単語の間にスペースを入れられる

ブロック体しか習っていなかった頃、息子の作文には単語と単語の間にスペースはほとんどなく、とても読みにくかったです。私は何度も注意したのですが、なかなか直りませんでした。

ところが筆記体にした途端、きちんと指一本分のスペース(finger space)を入れられるようになったのです。単語の中のアルファベットは線でつなぎます。単語と単語の間はつなげないので、自然とスペースを入れられるようになりました。筆記体によって、手書きの文章は読みやすくなりました。

・芸術的な魅力がある

スターバックスのチョークアート、クリスマスカードのメッセージなどは筆記体で書かれていることが多いです。その方が魅力的に見えるからです。筆記体の美しさは「カリグラフィー(calligraphy)」と呼ばれる装飾文字に通じるものです。

筆記体について確実なのは、「学ぶ価値があるかもしれない」ということです。筆記体に挑戦してみたいと子どもが興味をもったなら、それを止める理由はどこにもありません。

筆記体は最低限読めた方がいい

もし「他にも優先して学ぶことがたくさんある」とお母さんが感じるなら、子どもには筆記体は読める程度に慣れさせるのがおすすめです。

なぜなら学校を卒業すれば、あらゆる国のあらゆる世代の人と交流する可能性があります。その中には日常的に筆記体を使用する人も少なからずいるはずです。

筆記体の小文字の中には、ブロック体の小文字と形がかけ離れたものがあります。例えば、r, s, zなどです。このように特徴のあるものだけでも頭に入れておけば、役立つ場面はきっとあります。

筆記体について学ぼう

もし子どもに筆記体を教えるなら、ライティングに抵抗を感じなくなる小学校高学年くらいがいいと思います。この時期は小学校で手書きに慣れていてスムーズに学べるでしょう(もちろん、アルファベットを理解していることが前提)。

昔は4本線の入った英語ノートで練習していました。今はアプリでも練習できるので、これを利用するのもいいでしょう。

「cursive writing」で検索すると、いくつかの練習アプリが出てきます。気に入ったものを利用して子どもに練習させてみましょう

アルファベットを筆記体で

まずは、一文字ずつアルファベットを筆記体で書いてみます。アドバイスは、「小文字から始めること」と「適当にごまかしながらつなげること」です。

小文字から始めるのは、最も使用頻度が高いからです。文頭以外ほとんどは小文字なので、これを覚えるのが最優先です。大文字は「I」を覚えておけば、とりあえずはOKです。

つなげ方に慣れよう

筆記体の難しさは、つなげ方です。文字の組み合わせによって無理が生じるからです。例を見ながら説明します。

例えば、nearのつなげ方は簡単です。すべての文字は右下で終わり次の文字につなげやすいからです。

 

near

反対に、voiceでは、voiをつなげるときに高さに無理が生じます。表現は悪いですが「適当にごまかす」のがコツです。orでも同じようなテクニックを使います。

voice

筆記体をうまく書くコツ

筆記体で上手に書くためには、つなげ方以外にもいくつかコツがあります。

・無理につなげようとしない

教本では、中途半端な位置から始めてもう一度戻る書き方が推奨されています。しかし、そこまで厳格につなげようとしない方が、私はストレスなく書けると思います。

例えば、manを書くときのaは教本では下の図の位置から書き始めて(赤線)、もう一度戻ってくるように(青線)指示されています。しかし、私は無理に繋げずいったんペンを離して(緑の〇)、普通にaを書く(赤線)方が速く書けます。

man

子どもによって好みがあるので、どちらかストレスを感じない方で試してみましょう。

・字の傾きと高さを一定にする

筆記体をきれいに見せるためには、字の傾きと高さをそろえることです。小学生は国語の授業でノートはまっすぐ、背中をピンと伸ばして字を書くように指導されます。一方、英語を書くときは、紙は右上がりに置く方がきれいに書けます。

また、アルファベットを覚えたときの4本線を意識しながら高さをそろえて書くと、美しい文字が書けるようになります。

・点はあとで打つ

日本語は一文字ずつ完成させてから次に移りますが、英語ではi, j, tの点や横棒は単語を書き終える最後に記入した方が、スピーディーに書けます。例えば、justを書くときは下の図のようになります。

just

上記のようなコツを参考にしながら練習すると、小学生でもきれいな筆記体を書けるようになります。教科書通りの筆記体を書く必要はありません。ネイティブでもブロック体と筆記体の中間のような文字を書く人がほとんどです。

筆記体の不思議な魅力

「デジタル時代に筆記体は不要」の主張にも納得できる部分はあります。しかし、私自身は筆記体を学ぶことによって得られたものがありました。同じような経験や考えを持つ人もいると思うので、筆記体の不思議な魅力とその効果について説明します。

Steve Jobsのスピーチ

アップル社の共同設立者でカリスマ的な存在となったスティーブ・ジョブズが、2005年6月、米国の名門スタンフォード大学の卒業式でスピーチをしました。その中で私が興味を持ったのは「カリグラフィー」について触れられている部分です(2分25秒から)。

大学をドロップアウトしてから、ジョブズは「カリグラフィー」の授業を受けたそうです。そのとき、どうしたら文字が美しく見えるかについて深く学びました。当時は何の役に立つのかなどまったく頭にありませんでした。

ところがそのとき学んだことは、10年後にマックの設計をしているときに「美しいフォント」や「字間調整機能」に大いに役立ちました。

私はWidows 95が登場する前に、会社でマッキントッシュのコンピューターを使用していました。ワープロの文字に慣れていた私は、画面上の文字の美しさに感動したのを覚えています。このスピーチでその謎が解けたので深く納得しました。

自分の体験談

私は中学校に入ってから英語を学び始めたので、筆記体を習ったのもその時期です。その頃、筆記体にハマってしまい、上手に書けるようになるために教科書の書写をしていました。

教科書を音読して1センテンスか2センテンスを丸ごと覚えます。教科書を見ないで、それを紙に筆記体で書き写すだけです。英語の自由作文ができなかったので、教科書を丸写ししていただけです。

半年くらいしてから気づいたのですが、黒板の英文をノートに写すのが他のクラスメイトと比較してダントツに速かったのです。他の生徒は、一単語ずつ黒板を見てノートに写していたので時間がかかりました。

筆記体の練習は意図せずに英語力の向上にも役立ちました。英語をセンテンスごとにまるごと覚えられるようになったり、正しい教科書の英語を暗唱できるようになっていたりしました。

私が筆記体を完全に否定できないのは、このような効能があったからです。私の息子も以前は学校で出されるライティングの宿題が苦痛そうでしたが、筆記体を習ってから前向きになりました。文字を書くのが楽しくなったからです。

・興味があるなら我慢させる必要はない

子どもが英語を学んでいて何かのタイミングで筆記体に興味を持ったのなら、我慢させる理由はありません。スティーブ・ジョブズがスピーチで語ったように、そのときは何の役に立つかわからないことが、あとで重要になるかもしれないからです。

興味を持つのは何か惹かれるものがあるからです。どんなアプローチでも英語に興味を持つきっかけになるのなら大いに活用しましょう。

まとめ

競争が激しくなると、世の中は実利的なものばかりを追い求めるようになります。「就職に役に立つから」「進学に役に立つから」と考える気持ちも理解できます。しかし、大事なことはその時点では案外わからないものです。

「タイピングを上手になりたくて英文を書いてみる」のも同じことがいえます。子どもが何かに興味を持ったのなら、それをきっかけにして英語学習に結び付けられれば大きな成果を生むかもしれません。

「好奇心をテコにして学習効果を高めていく」発想は、子どもの学習には欠かせないものです。その芽を見つけたら、お母さんはすぐに反応して欲しいと思います。

海外に行くと自署を筆記体で記入することもしばしばあるので、筆記体の学習は無駄ではありません。筆記体を知らないお母さんも一緒に練習すると「お母さんより上手に書きたい」と子どもは乗り気になります。

微力ながら筆記体の魅力を多くの子ども達と分かち合えたらいいなと思っています。

小学生から始める「英語音読トレーニング」(実践編)

書店の語学コーナーに行くと、斬新なタイトルがつけられた英語学習法に関する本がズラリと並んでいます。私は新しいものが好きなので、つい立ち読みしてしまいます。

そこで気がついたことがひとつあります。それは、ネーミングは違っても結局のところ「音読練習を否定している本は一冊もない」ということでした。

つまり、ほとんどの英語指導者は音読の効果を認めているということです。ただ、その方法が多少異なっているにすぎません。

小学生が長期間取り組めることを前提に、私の経験をもとに「英語音読トレーニングのやり方」をまとめてみました。まずは、私のやり方でしばらく試していただき、それぞれの状況に合わせてアレンジしてください。

小学生の音読に適したテキストとは?

小学生の音読トレーニング用のテキストを選ぶときは慎重にしましょう。中学生や高校生なら学校の英語教科書が最適です。しかし、小学生用の英語教科書は内容的にまとまりのある文章が少ないので不向きです。

お母さんが本や通信講座の題材などから探すしかありません。そこで、どのような観点で選べばいいのかを説明します。

おもしろい内容であること

結論からいいますと、圧倒的におもしろい内容であることが必要です。たとえば小学1年生の子どもに「環境問題」をテーマにしたテキストを使用しても、すぐに飽きてしまうのは明らかです。

普段、子どもが好んで見ている番組や本を思い出して、それに近い英語のテキストを探すといいでしょう。善悪がはっきりした登場人物や、動物や乗り物が出てくる話など、子どもによってハマるテキストはさまざまです。

続きが楽しみになるような内容なら音読を継続したくなるはずです。おもしろさには妥協しないで根気よく探しましょう。

セリフ(会話)と地の文が適度に混ざっていること

セリフと地の文が混ざっているテキストが、小学生の音読に適しています。セリフの部分には口語表現が多く含まれていますし、地の文ではやや難しめの表現や過去形が頻出します。

例えば、“It’s a piece of cake!” said Peter. (「簡単だよ!」とピーターはいいました)のセリフでは口語表現でよく使われる“it’s a piece of cake.”(楽勝だ)というフレーズが使われています。地の文では、“said”(sayの過去形)が使用されています。

このようにセリフと地の文が混ざっていると、バランス良く幅広い英語が学べるので音読には適しています。セリフのところには感情を込めて音読すると、感情と表現が結びついて学習効果が高まります。

難しすぎず、長すぎないこと

難易度にも気を使いましょう。絵や動画をヒントにしながら数回音声を聞いて、8割くらい理解できるのが理想です。つまり、2割程度わからない部分や聞きとれなかった部分が残るくらいがちょうどいい難しさです。

長さはノーマルスピードで読み上げて40秒くらいから始めましょう。集中力を切らさずにリスニングできる長さがそれくらいです。慣れてきたら少しずつ延ばしても大丈夫ですが、長くても1分くらいにしておきましょう。

音声、挿絵、動画付きであること

音読トレーニングをするときは、模範となる音声を何度も聞きます。したがって、ネイティブが収録した音声が絶対に必要です。車での移動中に練習できるように、スマホに音声ファイルを入れておくと便利です。

また、テキストに関連する挿絵も必要です。内容理解の助けになるからです。さらに、アニメーション(動画)がついていると、細かい部分まで理解することができます。

通信講座やeラーニング(インターネットを利用した学習サイト)の中には、動画(字幕ON・OFF)だけでなく、本文のテキストファイルや音声ファイルが用意されているものがあります。これらのファイルはダウンロードして自由に使えるのでとても便利です。

理想の音読教材を使った、音読によるリスニング強化はこちらを参考にしてください。

用意するものと環境づくり

音読トレーニングは習慣化しないと意味がありません。そのため、音読のたびに必要なものを探すようでは時間の無駄です。また、音読がどこまで進んだかをお母さんも子どもも一目でわかるようにする工夫が必要です。

ここではe-ラーニングの教材で音読することを前提に、用意するものを表にしてまとめてみました。

必要な物 目的
パソコン、スマートフォン(またはタブレット)、プリンター テキストの動画や音声を再生したり、印刷したりするため
ストップウォッチ 音読の速さを記録するため
筆記用具 テキストに記入できるように
チェックリスト(ondoku_checklist) 音読したらチェックしたり、秒数を記録したりするため
小さなカゴ 上記の物を入れておくため

パソコン、スマートフォン(またはタブレット)、プリンター

スマートフォンかタブレットがあればほとんどのことはできますが、一部の機能に制限がある場合があります。また、ゲームアプリに気が散ってしまって音読に集中できないこともあります。

パソコンがあれば、eラーニングのサイトをフル活用できます。プリンターで印刷したものを使用すれば、気が散って途中でゲームを始めてしまうようなこともありません。

初めは動画や絵を見ながら音声を聞くので、パソコン・スマートフォン・タブレットのいずれかが必要です。しかし、子どもの眼の負担を考えると、途中からできるだけ紙で読んだ方が好ましいです。

プリンターが一台あると、モニターを見つめることなく音読練習できるのでおすすめです。また、後述する穴埋め式のスクリプト(原稿)を作ったりするときにも、パソコンとプリンターがあった方が便利です。

その他

ストップウォッチは安いもので構わないので、ぜひ揃えたいアイテムです。ときどき音読のスピードを測って記録すると、自分の成長を数値で実感できるからです。お母さんや兄弟と競わせるなどして、ゲーム感覚で取り組ませることも長続きさせるコツです。

筆記用具も音読用に揃えてもいいかもしれません。鉛筆、消しゴム、赤ペンがあれば充分です。音がつながるところに印をいれたり、意味をメモしたりするときに使います。

カゴに入れておく

百均の店などで小さいカゴを購入して、その中に今週読むテキスト(本)、筆記用具、タブレット、ストップウォッチなどを入れておきましょう。

また、音読チェックリストもこの中に入れておくと、既に終わったこととこれからやるべきことが一目でわかるので便利です。できた項目にはチェックを入れたり、タイムを測ったときの秒数を記録したりします。

なお、上記の音読チェックリストについては「こちら(ondoku_checklist)」からもダウンロードできます(上記と同じファイルです)。実際に使用するときは、子どもの状況に合わせてアレンジしてください。

実際の手順

ここでは、音読トレーニングの手順を解説します。私の経験から、1週間で1つの音読トレーニングを終了するサイクルが最適と感じています。短時間の音読でも頭と口が疲れるので、7日目は休みにしてあります。忙しくてどうしてもできなかったときは、7日目の予備日を使いましょう。

1週間に当てはめて下の表のようにモデルプランを考えてみました。スピードに慣れてくる後半ほど密度が濃くなるように配慮してあります。

  音読メニュー
1日目 内容把握
発音・意味のチェック
2日目 リッスン&リピート
3日目 オーバーラッピング
スピードオーバーラッピング
4日目 イメージ読み
シャドウイング
5日目 シャドウイング
Read & Look Up
6日目 穴埋め・ディクテーション
会話練習
最後1回のリスニング
7日目 休み(予備日)

また、それぞれの音読活動がイメージしやすいように、実際の音読練習風景の動画を掲載します。下記の説明や注意事項と合わせて映像で確認すると、スムーズに理解できます。

以下、このモデルプランについて詳しく解説していきます。なお、最後に動画でも解説しているので、そちらも参考にしてみてください。

1日目:内容把握、発音・意味のチェック

テキストを用意できたら、音声を再生してリスニングを始めます。動画・挿絵などを参考にして、どのような内容が話されているのか英語の音に集中させます。3回くらい集中して聞いてみて、聞き取れないところを少なくしていきます。

次にテキストや字幕を読みながら音声を再生します。耳で聞きとれなかった部分を文字で読んで「ああ、このことだったのか」と子どもが納得することが大切です。

初めて見る単語は、発音も意味もわかりません。まずは、発音を確認して、何度も声に出して読ませましょう。それから意味を確認します。「最初に発音、次に意味」です。新しい単語を覚えるときは、この順番を守らせるようにしましょう。

知らない単語については、ときどき子どもに前後関係から意味を類推させてみましょう。すぐに答えを教えずに考えさせると良い頭のトレーニングになります。

一日目の目標は、英語の本文を読んで内容を把握したり、知らない単語の読み方や意味を学んだりすることです。子ども一人では難しいので、お母さんやお父さんが手伝ってあげましょう。ストーリーを一緒に楽しむような感じで教えてあげるのがコツです。

この日の最後に、子どものペースでテキストを一回音読させましょう。つっかえながらでも構いません。ストップウォッチで時間を計測して、秒数を記録させます。これで、一日目の音読トレーニングは終了です。

2日目:リッスン&リピート

一文ずつ聞く(Listen)→ 音読で繰り返す(Repeat)の順に進めていきます。一つの文が長すぎるときは、意味のかたまりごとにリッスン&リピートしていきます。

例えば“Taking care of a pet is a lot of work.”(ペットを飼うのは大変です)という文章が長すぎると感じたとします。 “Taking care of a pet/ is a lot of work.”というように、最初にお母さんがスラッシュ(/)を入れてあげると子どもは読みやすくなります。

音声のスピード、抑揚などをできるだけまねるようにリピートさせてください。セリフの部分は特に登場人物の気持ちになりきって読むように伝えましょう。

3日目:オーバーラッピング、スピードオーバーラッピング

・オーバーラッピング

オーバーラッピングとは「被せる」という意味です。つまり音声と同時に被せるようにして、テキストを読んでいきます。読み方が遅いと、モデルの音声とどんどんズレるので、頑張ってついていくように子どもを励ましましょう。

・スピードオーバーラッピング

スムーズに読めるようになったら、さらに速く読めるように「スピードオーバーラッピング」の練習をします。これにはスマホの再生アプリを利用します。音声ファイルをダウンロードして、「1.3倍速」で同じ英文を再生してオーバーラッピングしていくのです。

毎回詰まってしまうところは、音声なしでテキストを読みながら何度も音読させます。最初から完全にできるのは教材がやさしすぎる証拠です。10回くらい繰り返してやっと読めるようになるくらいが普通です。

この日の最後に、音声なしで音読してタイムを測りましょう。初日よりは確実に速く読めるようになっているはずです。時間が短くなっていたら、「上手に読めるようになったね!」とほめてあげましょう。

4日目:イメージ読み、シャドウイング

・イメージ読み

3日目は速く読むことに集中させましたが、4日目の最初は内容をかみしめるように音読させましょう。内容を理解できるペースで音読させます。これができると英語の語順で内容を理解できるようになるので、速読やリスニングの土台づくりに最適です。

コツは読みながら頭の中にその文章の動画が流れているように音読することです。日本語の文字が頭に浮かぶようだと処理速度が遅くなります。

例えば“Taking care of a pet is a lot of work.”と読んだときは、ペットの散歩に汗を流している人を思い浮かべるようにします。「ペットの世話をすることは…」と日本語の字幕が流れてしまうと次々に読まれる英文に追いつかなくなります。

・シャドウイング

今度はテキストを使わずに、音声だけを使用します。「シャドウイング」とは、再生される音から3語ほど遅れて追いかけるようにして音読するトレーニング方法です。文字は見ません。

途中で詰まっても気にせずに、できるところから再開するように伝えましょう。耳で聞こえた内容を頭に2秒ほどためておき、同じように英語を話します。わずか数秒ですが、情報を頭の中に蓄えることにより処理が遅れてもあわてず英語を理解できるようになります。

初めのうちはほとんど再現できずに子どもは嫌になってしまうかもしれません。しかし、繰り返し練習しているうちに少しずつできるようになっていきます。あまり完璧を求めず集中力が切れたところでおしまいにしましょう。

5日目:シャドウイング(仕上げ)、Read & Look Up

・シャドウイング(仕上げ)

不思議なことに、前日できなかった部分が一晩寝るとスムーズにシャドウイングできるようになっていることがあります。数回、前日と同じように練習したら、仕上げのシャドウイングに移ります。

今までは音を聞いて、その通りに話すことばかりに意識を集中させていたと思います。しかし、仕上げでは内容をしっかりと意識したシャドウイングに挑戦します。

「音声から聞こえる英語の映像を思い浮かべる → 頭に2秒分溜める → 同じように話す」という流れです。これはとても脳に負荷がかかる練習方法で大人でも長時間続けることはできません。

子どもなので完璧を目指さなくても構いません。「音ばっかり追いかけないで、どんな話か思い浮かべながらやってみよう」と注意をうながすだけで充分です。

・Read & Look Up

最後に、テキストを使ったトレーニングです。まず、一文を黙読させます。その文章を頭にためておいて、目線を上に向けます。そして、下を見ないで同じ内容を音読します。これがRead & Look Upです。

もし文章の終わりまでが長すぎるようでしたら、リッスン&リピートのときに書き込んだスラッシュごとに行っても大丈夫です。

6日目:穴埋め・ディクテーション、会話練習、最後1回のリスニング

・穴埋め

もしテキストをプリントアウトできるなら、キーワードになるようなところを3つくらい選び出して、空欄を作ったり黒いマジックで塗りつぶしたりします。

そして、全文をリスニングさせながらその空欄部分の英語を記入させます。これまで暗記してしまうほど読み込んでいるので、簡単に記入できるはずです。それでいいのです。最初は全然わからなかったものが聞き取れるようになったので大きな成長です。

・ディクテーション

余裕があればディクテーション(聞こえた音声を文字で書く)にも挑戦させましょう。一つの文を選んで、リスニングをしてそれを紙に文字で書き取ります。句読点や大文字・小文字の使いわけにも注意しながら、完璧な文章を再現させます。

注意点は必ず一文の最後まで聞いてから、鉛筆で書くように伝えることです。一語一語一時停止しながら書き取っては意味がありません。何度か聞いて完成したら、テキストと見比べてお母さんが赤ペンで訂正します。どこを間違えたのかを目で確認するのはとてもよい勉強になります。

・会話練習

いよいよ大詰めのトレーニングとなりました。お母さんが先生となって、セリフの一部を入れ替える口頭作文にチャレンジさせてください。

例えば、先ほどの“Taking care of a pet is a lot of work.”の前半部分を入れ換えれば、英会話に応用できます。「『赤ちゃんの世話は大変だ』って英語で何ていう?」と問いかけます。“a pet”を“a baby”にすれば立派な英語です。

これまでやった音読が会話に応用できることを実感させるためにも、このような口頭英作文はとても効果的です。

・最後のリスニング

最後に1回だけ、静かにリスニングをしましょう。一週間前とは違って、ほとんど完璧に聞きとれるようになっているはずです。子どもと一緒に「聞きとれるようになって、すごいね!」と喜んであげましょう。

以上の流れをイメージしやすいように、実際の音読練習風景の動画を掲載します。上記の説明や注意事項と合わせて映像で確認すると、スムーズに理解できるでしょう。

まとめ

動画では椅子に座って音読学習をしていますが、実際はどこでも構いません。例えば、習いごとに行く途中の車の中で、音声を再生しながらオーバーラッピングやシャドウイングをしても全然構いません。

そうすれば「勉強」っぽく感じさせずに、子どもに音読トレーニングをさせることができます。家に帰ったら、他のことに時間を使えるので子どももお母さんもうれしいはずです。

このように家庭ごとに工夫して、音読トレーニングを習慣化しましょう。地味なトレーニングですが、ほとんどの英語の達人が推奨している効果抜群の学習方法です。必ず効果があらわれると信じて続けてください。

小学生から始める「英語音読トレーニング」(理論編)

子どもが英語教室に通い始めると、最初の一年でいろいろなことを覚えてきます。「英語教室に通わせて良かった」と感じるお母さんも多いでしょう。

しかし、そのまま右肩上がりで英語力がどんどん伸び続けることはありません。1年半を過ぎると、子どもの英語力が本当に伸びているのかどうか疑問を感じることが増えてくるはずです。

もし、あなたの子どもがアルファベット、発音、フォニックス(つづりと発音の法則)などの基本をすでに身につけているなら、次のステップにすすむ絶好のタイミングです。

とはいえ、やみくもにワークブックを家でやらせても子どもは嫌がるだけです。本当に身につく英語学習を積み上げて、子どもの英語力が確実に伸びるような学習方法を取り入れましょう。

私が推奨するのは「音読トレーニング」です。そこで今回は、英語音読が必要な理由とどのような効果があるのかについて述べていきます。

英語力は自宅学習の「量と質」で差がつく

英語は体育や音楽のような技能教科に似ています。これらの技能を伸ばすための指導法を参考にすれば、子どもの英語力を伸ばすヒントが見えてきます。

例えばピアノが上手に弾けるようになるための方法を見てみましょう。ピアノを習う子どもは、週1回30分のレッスンを受けるのが普通です。レッスンでは先生がマンツーマンで教えるので質の高い時間を過ごします。

しかし、たった週1回30分のレッスンだけでピアノが上達する子どもはいません。ピアノが上手な子どもは、例外なくその何倍も自宅で練習しています。つまり何かの技能を伸ばすには、質の高い指導と同時に圧倒的な練習量が必要です。

学校や英語教室だけでは量が足りない!

英語の習得にはおよそ3,000時間の学習が必要と言われています。学校で仮に週2コマ(1コマ=45分)1.5時間を1年間(35週で計算)実施したとして、1年でおよそ50時間学習したことになります。

しかし、学校の授業の1時間は「1時間学習した」とみなしていいのでしょうか? 厳密には学習時間とは「実際に英語の活動をしている時間」のことです。

例えば、先生の一方的な日本語での解説は、正確には英語学習時間にカウントすることはできません。あくまでも子どもが英語を「読む・聞く・話す・書く」のいずれかの活動をしている時間が「学習時間」です。

このように考えると、実際の学習時間は単純に合計した時間の4分の1くらいに減ってしまいます。上記の例でいうと、学校で年間50時間の英語授業を受けたとしても、実際の学習時間は約13時間になります。どんなに英語の先生が質の高い授業をしても、英語を身につけるための時間が圧倒的に不足しています。

このような学習時間不足を解消するには、毎日の自宅学習で補うしかありません。しかし、毎日たった10分~15分程度の英語学習を習慣化するだけで、子どもの英語力は確実に伸ばせます。

自宅学習は質も高める必要がある

学習時間不足は自宅学習で補う必要がありますが、「勉強時間」だけを気にしていてはいけません。自宅学習では、勉強の「質」にも気を配らなければなりません。繰り返しになりますが、英語は技能教科です。英語を「読む・聞く・話す・書く」活動をしない限り、成果を上げることは難しいでしょう。

例えば、ピアノは「ピアノを弾くこと」が練習の基本です。楽譜ばかり読んでピアノを弾かないとしたら、ピアノは上達しないでしょう。

同じように、英語学習の基本は音声のトレーニングだと私は考えています。もし、自宅学習の大半が問題集に黙々と取り組むだけだとしたら、英語を使えるようにはならないでしょう。

子どもの英語力を伸ばすためには、時間(量)の確保とともに「質の高いトレーニング」が必要です。では、具体的に何をしたらいいのかを説明します。

おすすめは4技能を伸ばす「音読トレーニング」

音読トレーニング

写真はリトルフォックスのプリンタブル機能で作った絵本を使って、音読練習をしているところです。詳しくはこちらを参考にしてください。

巷には英語学習法の情報が溢れています。私もいろいろと試してみましたが、最終的に「音読トレーニング」が最高の自宅学習法であると確信しています。

音読は「教科書を開いて文章を読み上げる単調な作業」と思われがちです。しかし、実際は非常に奥が深いトレーニング方法です。正しい方法で音読を継続すると4技能(読む・聞く・話す・書く)すべてを刺激することができます。

4つの技能に対して、どのように音読が効果的なのかを一つひとつ説明します。

・Reading(読む)

Readingに関しては音読のメリットは二つあります。一つ目のメリットは、英語の語順に従って音読するので強制的に英語の語順で内容を理解するようになることです。初心者にありがちな、語順に逆らって読んでしまう「返り読み」を防ぐことができます。これは速読につながる第一歩です。

二つ目のメリットは、音読のスピードと同じ速さで内容を理解することができるようになります。1分間に約150語が音読の最速ペースと言われているので、このレベルまでは音読だけで達成できます。ちなみに150語/分で読めれば、大学入試の英語長文でも安心です。

・Listening(聞く)

リーディングによって英語の語順のままに理解できるようになると、リスニングにも好影響をもたらします。なぜなら、聞こえた音の順番に内容を理解しなければならないリスニングは、まさにリーディング力が基礎だからです。

また、実際の音読トレーニングでは何十回もネイティブによる英語音声を聞くことになります。例えば、シャドウイングと呼ばれる練習方法では、モデルとなる音声を耳で聞きながら数語遅れで自分の口で同じ英語を話します。細かい音にも注意しながら何十回も繰り返します。

その結果、英語特有の「音の消失(sit down)」「音の連結(an egg)」「音の変化(meet you)」という日本人の聞き取りを難しくしている現象にも慣れます。

・Speaking(話す)

音読で体得した英文の一部を身の回りのものや人で置き換えると、それは英会話をしていることと同じです。例えば“I see yellow pencils.”を覚えていると、“You see yellow pencils.”と言えますし、“I see red pencils.”とも言えます。

このように暗唱できるパターンが多ければ多いほど、英会話ができるようになります。スピーキングのようなアウトプットには、大量のインプットが必要なのです。日頃から音読トレーニングを積んで、表現を覚えてしまうほど反復練習する必要があります。

・Writing(書く)

ライティングはすべての技能の集大成ともいうべき最も高度な技能です。文法・語彙・論理性・文体などさまざまな要素が絡みあうからです。日本人が日本語で小論文を書くのが大変であることを思い出してもらえれば、その難しさが想像できるでしょう。

小学生の段階では、スピーキングができるだけで充分です。なぜなら、スピーキングがライティングの基礎になるからです。

本格的なライティングは小学生には難しすぎます。そこで音読の最終段階で、文章の一部についてディクテーション(聞こえた英語を書いていくこと)を行うことで、ライティングのトレーニングをすることは充分可能です。

このように「音読トレーニング」は英語の4技能すべてに好影響をもたらします。これほど効果的な学習法は他に見当たりません。ここでもう一つ、「音読トレーニング」をするべき決定的な理由について述べます。

「ネイティブは音読していない」はウソ!

音読で効果を上げるには、年単位の努力が必要です。その必要性をきちんと理解していないと、子どももお母さんもすぐに心が折れてしまいます。

「ネイティブは音読トレーニングなんかしていないのに、なぜ必要なの?」と思うお母さんは多いかもしれません。しかし、実際はネイティブも気が遠くなるほどの音読トレーニングをしています。

例えば、幼児が“Pass me the salt, please.”(その塩を取ってください)といえるまでにどのような過程があったかを考えてみます。

最初は誰かがそう言っているのを何度も聞きながら(リスニング)、塩が入った瓶が手渡される様子を見るところから始まります(内容理解)。

次に、しょっぱい味がするものが“salt”であることを覚えます(単語学習)。それ以降は、塩が欲しいときは、“Salt.”と指で指しながら発話するはずです(音読)。

その後、おもちゃで遊んでいるときに“pass me~”(私に~を渡して)という表現を覚えます(音読)。このフレーズと以前覚えた“salt”を組み合わせて、塩が欲しくなったら“Pass me the salt.”と言い始めます(音読)。

しばらくすると親から「“please”をつけなさい」と教えられます。ここまで来てようやく、“Pass me the salt, please.”と場面に即して使えるようになります(音読)。

このようにネイティブは日常生活で無意識に大量の音読練習をして、少しずつ英語を身につけています。幼児が毎日1時間話していたとしたら、それは音読を1時間していることと同じです。

一方、日本人の子どもは日常生活で英語を使う場面がありません。そのため、テキストや音の素材を用意して、「人工的な音読練習」をする必要があります。毎日1時間は無理ですが、小学生の子どもでも毎日15分くらいの音読トレーニングを習慣化したいところです。

このように、無意識か意識的かの違いはあっても、英語学習には音読トレーニングは不可欠です。トレーニングの意味に疑問を持つと効果が薄れてしまいます。子どもに「何でこんなことするの?」と聞かれたら即答できるようにしておきましょう。

音読トレーニングの3つの注意点

音読トレーニングを効果的にするには、「英文を理解すること」「正しい発音で読むこと」「相手に伝えるつもりで音読すること」の3点に注意しなくてはいけません。順番に説明します。

・「英文を理解すること」

意味のわからない文章を何度も音読しても、使えるようにはなりません。先ほどの例で挙げたように、ネイティブによる無意識の音読でも、自分が話している内容(塩を取って欲しいと頼んでいる)は理解しています。

子どもなので、細かい文法事項の説明は不要です。しかし、少なくとも絵や動画を見ながら、どのような意味の文章なのかはきちんと理解する必要があります。「意味のわかる文章を音読する」ことが大切です。

意味がわからない単語が出てきたときは、お母さんがいきなり答えを教えるのではなく子どもに推測させるといいでしょう。前後の文脈や挿絵・映像を駆使して考えさせるのです。行間を読む力は日本語でも必要ですし、英単語力も伸ばすことができます。

・「正しい発音で読むこと」

めちゃくちゃな読み方では、聞いている相手に負担をかけてしまいます。ネイティブのような発音をする必要はありませんが、「英語らしい音(日本語にはない音)」に気をつけて読む必要があります。

例えば、日本語の母音である「あ」は1つだけです。一方、英語では「あ」に近い音は、“apple(アとエの中間)” “cut(のどの奥から出す)” “hot(口を大きく丸く開けて出すア)” “balloon(あいまいな母音のア)” のように複数あり、ネイティブはすべて使いわけています。

私が中学生の頃、このような発音練習の手間を省いて英語にカタカナの読み仮名をふらせる先生がいました。私はこの指導には大反対です。

例えば、pencilを読むときに、読み仮名をふると「ぺ・ン・スィ・ル」(4つの音)となります。ところが実際は、pen・cilの2つの音のかたまりで読まれます。

カタカナ読みを習慣づけてしまうと、オーバーラッピング(英語の音声と同時に読み上げる音読練習)のときに、音声についていけなくなります。読み上げる音の単位が、英語は少なくカタカナは多いからです。

このような理由から、本格的な音読トレーニングを始める前に、音声面の基礎を身につけておく必要があります。英語教室などで1年半ほど先生に発音を教えてもらった後、音読トレーニングを開始するのが理想です。

・「相手に伝えるつもりで読むこと」

現実の世界では、独り言以外は聞いている相手がいます。音読トレーニングは基本的に一人で行うものですが、目の前に聞いている人がいることを想定して音読することが大切です。

例えば「命令文にpleaseをつけると丁寧な依頼になる」と言われますが、実際はそれほど単純ではありません。言い方によっては、相手に断ることを許さない雰囲気になることもあります。

やさしい調子で“Open the window.”と相手にいうと、失礼どころかむしろ丁寧な依頼に聞こえます。登場人物の気持ちになりきり、相手がいるつもりで音読をすると、そのフレーズの表現力が豊かになります。

ここであらためて、ネイティブが無意識にやっている音読と、日本人の英語の音読を重ねてみましょう。ネイティブは伝えたいこと(意味がわかる文)を正しい発音(相手に伝わる発音)で、相手に対して(相手に伝えるつもりで)話しかけています。

つまりここで述べられている3つのポイントは、ネイティブの日常会話を再現したものです。これらのポイントを意識して音読トレーニングを続けると、より大きな効果を生み出すことができます。

どれくらいの期間で、どのように英語力は伸びるのか?

音読トレーニングは正しい方法で行えば、必ず効果はあらわれます。ただし、即効性はありません。個人差はありますが、早くても3か月、通常は1年以上継続しないと効果を実感できません。

我が家は家族で海外に住んでいた時期がありました。そのとき私は2人の子ども達に、真逆の英語教育をしました。

娘は中学校の授業以外に塾や英語教室には一切通いませんでした。中学校は日本人学校だったため、普通の日本の中学生とほぼ同じ環境でした。また、私は家で娘に英語を教えたことはほとんどありません。中1の頃、彼女の英語の成績は5段階で4か3でした。

一方、息子は海外のインターナショナルスクールに入学して、Year2~Year5(日本の小学1年~4年に相当)の3年半を過ごしました。当然、英語漬けの毎日です。私は息子に家で毎日英語を教えていました。入学当時の彼の英語力は、同級生と差がありすぎてどうしたものかと悩むほどでした。

唯一2人が共通して取り組んだのが、音読トレーニングです。娘は学校の教科書を中心に、息子はeラーニングの教材を中心に1年以上に渡り継続しました。2人ともほぼ毎日続けて、最後の方は完全に習慣化していました。

1年半後、娘は学校以外でまったく英語を習っていないのに、急に成績が伸びて5段階で5になりました。中3で英検3級に合格しましたが、成績表を見ると準2級も合格圏に届いていました。

息子は音読に取り組んでから、リーディング力が大幅に向上しました。文字を読むスピードが速くなり、難しい本にもチャレンジするようになりました。その結果、語彙力が大幅に向上して、それまで低迷していた成績が一気に平均を超えるようになりました。

娘も息子も1年以上音読を続けて、ようやく結果が出ました。時間はかかりますが、音読は正しい方法で継続すれば必ず結果がついてきます。

まとめ

英語教室や学校での英語の授業は、先生が教えてくれる貴重な時間です。しかし、圧倒的に時間(量)が足りません。

時間不足は自宅学習で補うしかありませんが、学習内容も追求したいです。それを可能にするのが音読トレーニングです。

ネイティブでさえも無意識の音読に膨大な時間を費やしています。日本人の子どもはふだん英語を使う機会がありません。そのため意識的に英語の音読を取り入れることが重要です。

最低でも3か月~1年くらい継続しないと結果が見えず、途中で嫌になることもあるでしょう。まずは、お母さんが音読の意義をきちんと理解しましょう。そして、子どもの音読をほめてあげたり、励ましたりして習慣化できるように支えてあげましょう。

子どもの英語力に変化が見られないと、音読の効果に疑問を持つこともあるかもしれません。しかし、効果を信じて継続すれば必ず子どもの英語力は向上します。

なお具体的な音読の方法については、「小学生から取り組む英語音読トレーニング(実践編)」で詳しく取り上げています。ぜひ、そちらも参考にしてください。

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