大人の会話で「よろしくお願いします」は頻出表現のひとつです。深い意味もなく使われることもあり「何をよろしくお願いされたのかな?」と疑問に感じることさえあります。
では、子どもの会話で最も頻繁に使われる表現は何でしょうか? 小学生が書く作文を思い出してください。「昨日、〇〇公園へ遠足に行きました…」という出来事が語られます。そして最後は「…して楽しかったです」でまとめることがとても多いです。
これは日本特有のことではありません。海外の子ども達の作文を読んでいても、頻繁に「楽しかった」が登場します。細かい感情を表現できないので、子どもなりの万能表現である「楽しかったです」でまとめています。
頻繁に使うフレーズは、あらかじめ英語でスラスラと言えるようにしておくと英会話に便利です。子どもにとって「楽しかったです」は最初に攻略しなければいけない表現です。
今回の記事では、頻出表現である「楽しかった」を英語でどのように表現したらいいのかに絞って説明します。特に、funとenjoyを使った表現は多用されます。子どもの英会話力が一段レベルアップするように、お母さんは助けてあげましょう。
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「楽しかったです」は子どもの万能表現
幼稚園で遠足があった日に「どうだった?」と子どもに聞くと、ほとんどの場合「楽しかった!」と答えます。たずねたお母さんやお父さんも、よほどのことがない限りそれ以上の追求はあまりしません。
子どもにとっては説明する手間を省けるし、親も満足してくれる便利なフレーズが「楽しかった」の正体です。
このように大人の「よろしくお願いします」くらい、「楽しかった」は子どもにとって万能表現です。感想を求められたらとりあえず「楽しかった」を伝えれば大丈夫であることを子どもは自然と覚えています。
このような便利な表現を英語ですぐにいえるようにしておくと、とっさのときに困りません。日本語でさえ「楽しかった」としか言えないなら、英語でそれ以上のことを言う必要もありません。
「楽しかった」を英語で表現するとき
「楽しかったです」の最も一般的な英語表現は、教科書でもよく見かけるこれです。
しかし、ネイティブの子どもと会話するとfunやenjoyを使うことが多いです。これらふたつの単語を使った例文をいくつか覚えておくだけで、子どもの英会話にはとても役に立ちます。
以下、それぞれの単語についてポイントを説明します。いくつかの例文を暗唱するだけで、誰かから感想を求められても子どもは英語で乗り切れるようになります。
funの使い方
海外で子どもと話をしたり、子どもの書いた文章を読んだりしているとfunが多用されています。日本人の子どもの「楽しかったです」と同じです。funの綴りや音の響きが、「楽しいこと」を連想させてくれます。
さっそくfunに関するポイントついて説明します。
数えられない名詞のfun
funは「楽しみ」の意味を持つ「数えられない名詞」です。「数えられない」ことと「名詞である」ことに注目です。
例えば「それはとても楽しかった」と言いたい場合、
It was so much fun.
It was a lot of fun.
のどちらかで表現します。
「数えられない名詞」なので次のような表現は誤りです。
数えられない名詞にmanyは使えません。
a lot of がおすすめ
学習の際は、「数えられる名詞なのか数えられない名詞なのか」をしっかりと理解させましょう。しかし、実際に会話しているときはいちいちそんなことを気にしていたら、言葉が出てきません。
子どもに会話の指導をする場合、できるだけ汎用性の高い表現を使うように伝えましょう。今回のケースでは、funは数えられる名詞か数えられない名詞かで迷います。そこで、どちらに使っても良いa lot ofを使用すると悩まずに済みます。
余計なことを考えずに済ませるために、「とても楽しかった」は
と覚えておきましょう。
主な使い方の3パターン
・「~して楽しかった」はhad fun -ing
例えば、「友だちの家でゲームをして楽しかった」と伝える場合は、
です。
funの後に-ingを続けるのがポイントです。誰かと一緒に楽しんだのなら、主語はWeにしたほうがいいでしょう。
・話の内容を受けて、「楽しかった」はIt was a lot of fun.
この表現は、最初に「何をしたか」を説明します。その後で、「(それは)楽しかった」とまとめるパターンです。
(ケンくんとゲームしたよ。とても楽しかった)
「楽しかった出来事」と「楽しいかった」を2つに分けて表現するので、子どもでも使いやすいです。
・Sounds like fun. 「おもしろそうだね」
前者2つは過去形で使われるのに対して、この表現は現在形で使われます。先頭に(That)が省略されていて、誰かの話に対して「それおもしろそうだね」と感想を言うときに使います。
前述の通り、funは名詞なので前置詞のlike(~のように)が必要です。
(おもしろそうだね)
なお、Sounds fun. のように、funを形容詞として使われることもあります。しかし、あくまでも名詞としての使用が正式なので、無理に覚えることはありません。
enjoyでも表現してみよう
enjoyは「~を楽しむ」意味の動詞です。enjoyを使用するときには注意が2つあるので、きちんと子どもに伝えましょう。
注意点1:enjoyは必ず目的語が必要な動詞
enjoyはうしろに必ず目的語を必要とする動詞です。例えば次のような文章は誤りです。
正しくは
です。
何か困ったらもっといい表現があります。それは enjoy oneself で「楽しかった」です。例えばパーティーで楽しかったら次のように使えます。
注意点2:~して楽しかったは、-ingを続ける
もし、「~して楽しかった」と言いたい場合は、目的語の位置に-ingを置きます。
「~すること」の意味でto doを置きたくなるかもしれませんが、それは語法として間違いです。
enjoy -ingの形を覚えておきましょう。
つまらなかった場合の表現方法
では、反対に「つまらなかった」場合の英語表現について解説します。
be tired of -ing
tiredは「疲れた」だけでなく、「飽きた」という意味を持つ形容詞です。二つの意味を暗記するのではなく、イメージを膨らませて共通の根っこを捉えるようにすると忘れにくくなります。
例えば、子どもに朝礼で校長先生のつまらない長話をイメージします。暑い日差しの中、起立の状態で聞かされたら、疲れるし飽きます。tiredのイメージはまさにこれです。
be tired of – は「~に飽きる」というイディオムです。ここから「つまらない」気持ちを表せます。
(ケン君とゲームしたけど、何度もやったんだ。つまらなかったよ)
boring
もし、「つまらない」という意味をストレートに伝えたければ、boringという単語がピッタリです。校長先生の話がつまらなかった場合は、こうなります。
これだとかなり直接的な表現なので失礼かもしれません。もう少しソフトに表現するなら別の言い方があります。
not very interesting
(校長先生のスピーチはあまりおもしろくなかった)
このようにnot veryを使うことで、ネガティブな意味を少しやわらげることができます。
まとめ
子どもにとっての万能表現である「楽しかった」について、英語でどのように表現したらいいのかについて説明しました。
もう一度、記事の中の例文をまとめてみます。
・最も一般的な「楽しかった」
We had a good time. (私たちは楽しかった)
・funを使った表現
We had fun playing the game. (私たちはゲームをして楽しかった)
It was a lot of fun.(それはとても楽しかった)
(That) sounds like fun.(楽しそうだね)
・enjoyを使った表現
We enjoyed the game. (ゲームを楽しんだ)
We enjoyed playing the game.(ゲームをするのを楽しんだ)
上記6つの表現を覚えておくようにしましょう。
これらの例文を暗唱できたら、実際の出来事に関連づけて感情を込めて英語で話してみましょう。気持ちと英語表現をしっかりと結びつけられると、英会話をしているときにも自然に聞こえます。
英語で何か質問されたときに答えるだけでなく、自分の感想をひとことでも添えられると子どもの英会話は一段上のレベルになります。最初のステップとして「楽しかった」の英語表現を子どもに教えてあげましょう。
英会話の先生に最近の出来事を聞かれることがあります。細かいことまで言えなくてもとりあえず、fun を使って「楽しかった」と言えれば会話は弾みます。外国人の先生と話す機会が多ければ、ぜひ、覚えておきましょう。