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子どもの英語リスニングは精聴で伸ばそう(実践編)

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「子どもの英語リスニングは精聴で伸ばそう(準備編)」でお伝えしたとおり、入試におけるリスニング力の重要性は高まっています。また、就職や昇進で参考にされる英語試験TOEIC のスコアは、リーディングとリスニングそれぞれの比率が1対1になっています。

これから英語を学ぶ子ども達は、早めにリスニング力を意識して伸ばすことが大切です。

しかし、リスニングは音声機器を使用しながらの個別学習が基本です。そのため、学校で教えてもらえると期待しないほうがいいです。また、自然と身につく能力ではなく、意識して伸ばす必要があることも大切なポイントです。

そこで、今回は家庭でもできるリスニング力を伸ばすための精聴(せいちょう)トレーニングの方法について、具体的に説明します。

子どものリスニング学習に使用するお話をLittle Foxから選ぼう

まずは子どもにLittle Foxのストーリー一覧を見せて、興味のありそうなものを自由に選ばせましょう。英検4級程度ならレベル2が適切です。レベル2から話が面白くなるので、高学年の子どもが見てもそれほど幼稚には感じません。

「Little Fox 英語童話ライブラリー」のサイトはこちらをクリック!

我が家の息子は海外にいた小学1年生の頃、レベル2の「Bird and Kip」 から始めました。リスニング学習法を説明するために、今回はレベル2の「Magic Marker」を取り上げます。

Magic Markerはエピソード1~8までが無料で楽しめるので、最初にチャレンジするにはもってこいです。

・子どもが集中できる長さを設定しよう

各エピソードは50秒未満になっています。集中力が続くなら、1エピソード丸ごとをリスニング素材にしましょう。初心者の場合、50秒でも長く感じるかもしれません。その場合は、前半か後半の30秒くらいに学習範囲を設定しましょう。

・用意するもの

用意するものは、A4の紙1枚と青と赤のボールペンです。黒のボールペンでも問題ありませんが、青は人間の集中力を高める効果があるらしいので私は青を使うようにしています。

これから動画を再生しながら、青ペンで英文を紙に書いていきます。鉛筆を使わないのは、スペリングの間違いも含めて記録に残すためです。

書き直したければ、二重線を引いて下またはとなりに英文を書いていきます。行間は指1本分くらい空けておき、あとで訂正や正解を書き込めるようにしておきます。

子どものリスニング:ディクテーションによる精聴トレーニング

リスニングの精聴トレーニングでは、ディクテーション(書き取り)が中心です。聴き取った英語を文字にして、紙に英文を書いていきます。紙に書くときは、英語のルールに従って書くように伝えます。

・大文字で書き始めること

・最後にピリオドを打つ

・セリフは“”で囲む

・短縮形はアポストロフィー(’)を使用する

最初から完ぺきにできる子どもはいないので、最初は大文字から始めることと最後にピリオドを打つことだけ意識させるようにしましょう。

・英語字幕なしで、エピソードを2回再生する

説明のために、Magic Marker 3: New Friendsを素材として扱います。

まずは、英語字幕が表示されないようにして2回エピソードを子どもに見せます。このときは、英文を書きません。エピソードを見ながら、およその内容を想像させることが目的です。

一文ごとに区切りながら英語を書き取る

次に、一文ずつ動画を再生します。1文ずつ再生するには、画面左下に表示される番号をクリックするだけです。これだけで何度でも再生できます。これがLittle Foxの学習機能が優れたところです。

普通の音声教材ではA-B間再生といって、開始位置と終わりの位置を設定しなければいけません。デジタルオーディオプレーヤーには3秒間戻る機能が備わっているものもありますが、必ずしもターゲット文の頭から始まるわけではありません。

一文を聴いてから、1センテンスを書きます。このとき注意するのは、聴いている途中から書き始めないことです。必ず1センテンスを聴いてから、書き始めてください。

これはできるだけ長い英語を頭の中に一時的にストックしておく力を養うためです。リテンション(保持力)と呼ばれていますが、リスニングの上達には欠かせない能力です。ちなみに同時通訳の人はこの能力が桁外れに高いです。

余談ですが、学校では先生が黒板に英語を書いてそれを生徒がノートに写します。リテンション能力が高い生徒は、一度英文を見ただけで書き写すことができます。私が教員をしていたとき、そのような生徒は例外なく英語力が高かったです。

・単語が書けない場合の対処法

小学生の場合、英単語を書けるレベルまで到達していないことも多いでしょう。その場合は、聴き取った単語を正確に発音して意味がわかるなら、書けた(聴けた)こととして見なしてもかまいません。

スペリングの正しさまでを追及すると、白紙になってしまいます。お母さんが、聴けた単語を代わりに書いてあげれば大丈夫です。

何十回も繰り返し再生して、本当の限界までリスニングをする

あとはこの作業を繰り返して、何とか聴き取れなかった部分を埋めていきます。簡単にあきらめてはいけません。少なくとも30回は集中して聴きましょう。

動画を見ながら意味を類推したり、文法面から読まれた単語を予想したりします。本当にわからなくても、聴こえた音をカタカナでもいいので記録します。こうして本当の限界までリスニングを繰り返してできるだけ空白部分を埋めます。

リスニング学習の最もきついパートですが、集中力を切らさずに取り組みましょう。

子どものリスニング:字幕付きで再生して、答え合わせをする

ディクテーションが終了したら、今度は英語字幕を表示して答え合わせをします。字幕を出すには、画面下の字幕のアイコンをクリックするだけです。

このときは赤ボールペンを使用します。チェックすべき箇所を列挙します。

大文字・小文字の使い分け、ピリオドなど。

スペリングが正しいかどうか

聴こえなかった空白部分の英語

チェックした紙は、一見グチャグチャな状態ですがこれが最高の教材になります。

参考までに息子が実際にディクテーションをした紙を掲載します。CNN ENGLISH EXPRESSという中上級者向けの英語学習雑誌の音声を利用しました。「僧衣で運転していたお坊さんに警察が罰金を課したことに反発した僧侶達のニュース」です。

最初のBuddhist(仏教の)は単語を知らないために聴き取れなかった場所です。中央のcampaignのスペリングに悪戦苦闘した様子や、fined(~に罰金を課した)をfind(を見つける)と勘違いしている様子がよくわかります。

動画セミナーでは書き取りができなくてもリスニング力を向上する方法を紹介しています。

聴き取れなかった理由を考えるのが、リスニング力向上の第一歩

赤字が聴き取れなかった部分です。答え合わせをしてみると、あれほど聴き取れなかった英語が、案外簡単な英語であるとわかりがっかりすることがあります。これは上級者でもよくあることです。

では、次に聴き取れなかった部分について一つひとつ原因を探りましょう。まず、「単語を知らなくて聴き取れなかった」と「単語を知っているのに聴き取れなかった」の二つに分けて説明します。

単語を知らなくて聴き取れなかった

「知らない単語は聴き取れない」のは当然です。これに対する唯一の対策は、単語を覚えることです。

まず、辞書で単語を調べたら発音とアクセントを覚えます。小学生だと発音記号を知らないので、辞書の音声機能などを利用して正しい発音を覚えてください。

発音を覚えたらその文脈に最もふさわしい意味を1つ覚えましょう。「英語→日本語」で何度かブツブツつぶやきます。

もう一度音声を聴いて、この部分がスムーズに聞き取れたらOKです。

単語を知っているのに聴き取れなかった

やっかいなのは「単語を知っているのに聴き取れないケース」です。この場合は、以下の原因を一つひとつ検討してみましょう。

・覚えている発音が実際の音と異なっていたから(間違って覚えていた)

たとえば、favorite「フェイヴァリット」と発音すべきこところを「ファヴォリット」と覚えていたら、読まれた音と知識が一致しないため聴き取れません。この場合は速やかに正しい発音を確認して、間違った記憶を訂正しなければなりません。

新しく単語を覚えるよりも、間違って覚えた単語の発音を訂正するほうがはるかに時間がかかるし面倒です。そのため、新しく単語を覚えるときは必ず正しい発音とアクセントを覚えるように心がけましょう。意味は忘れても構いません。

・文中で音が変化したから

文中では、英単語は一つひとつはっきりと発音されません。隣同士の単語の影響を受けて、音が変化します。ここでは代表的な3つの変化について取り上げます。

音が消える場合

good night(グッナイ)

p,t,k,b,d,gなどの文字で終わる場合は、その音はほとんど発音されないことがあります

音がつながる場合

an apple(アナップル), stand up(スタンダップ)

子音で終わる後のあとに母音で始まる語が続くとき、二つの音がつながります。これはゆっくり読むときもつながります。

音が変わる場合

meet you(ミーチュー), hold your hand(ホウルヂュア ハンド)

tやdなどの文字で終わる語のあとにyの文字で始まる語が続くと、2つの音が影響しあって別の音になることがあります。

1つの単語としての正しい発音やアクセントを覚えていても、これらの音の変化に対応できないと聴き取れないことがしばしば起こります。対処法は自分が音読するときにこれらの法則に従って読むことです。

自分がネイティブと同じような音の変化に従って読んでいれば、対応できるようになります。

・速く読まれて聴き取れなかった

英語は強弱や緩急をつけながら話されるのが一般的です。「弱」の部分や「急」の部分はほとんど音が出ていないことも多いので、聴き取るのが難しくなります。

たとえば、助動詞のwouldなどは音読されるときは「ッドゥ」とわずかに音が出るだけです。実際、何度も音声を聴いてもそもそも音が出されていないこともあります。

このようなときに役に立つのが文法の知識です。助動詞のうしろには動詞の原形が来るため、動詞の部分が聞き取れれば聴き取れなかった助動詞を頭の中で補えます。

I thought that they would come soon.(彼らはすぐに来ると思っていました)なら、過去の文脈の中でcameではなくcomeが使われていることにより、「おそらく助動詞のwouldが読まれたに違いない」と推測ができます。

文法の知識はリスニング力を向上させるためにも必須なので、しっかりと勉強しましょう。

・自分が知っている意味ではなく、予想外の意味で使用された

どんなに知っている単語でも、意外な意味で使われると素直に音が聞き取れないことがあります。

例:「book=本」の意味は知っていても、I will book a room at the hotel.(ホテルの部屋を予約します)のbookが聞き取れない。

これは自分の単語の知識を広げるチャンスととらえて「こんな意味があったのか」と学びましょう。次回からは不思議と聴き取れるようになります。

慣れてくると聴き取れなかった理由が手際よくわかるようになりますが、最初のうちはていねいに自分で考えることが大切です。

添削された英文を音読練習して、もう一度英語を聴き取る

リスニング力を伸ばすためには、原因の分析だけで終わらせてはいけません。何が自分に不足していたのかをハッキリと意識しながら、音声教材と同じように音読をします。

このときは文字が印刷された教材を使わずに、赤字だらけの添削済みの英文を使いながら音読するようにしましょう。

ナチュラルスピードで読まれる音声にかぶせるようにして音読を繰り返します。これはオーバーラッピングと呼ばれる音読トレーニングです。意味をきちんと理解しながら、同じように音読できるまで何度も練習しましょう。

最後にリスニングの仕上げとして、スクリプトを見ずに音声だけを静かに聞きます。最初の頃と違ってほとんどを理解できるようになっているはずです。ここまで終わったら、次の教材に移りましょう。

まとめ

子どものリスニング用教材として、Little Foxは最適です。無料で楽しめる話がたくさん公開されているので、まずは子どもの反応を見ながら有料会員になるかどうかを検討しましょう。

小学校5、6年生で英語学習歴が多少あるなら、レベル2から始めるといいです。1エピソード全体でも1分弱ですが、長すぎるなら前半の30秒だけを集中して聴きましょう。

具体的な精聴方法はディクテーションです。何度も繰り返し再生しながら、聴こえた英語を文字におこして英文を書いていきます。スペリングが難しければ、お母さんが手伝ってあげるか適当に書いておきましょう。

答え合わせは赤ペンで行います。聞こえなかった部分がハッキリとわかるようにするためです。そして、なぜ聴き取れなかったのかを子どもに考えさせましょう。知らない単語が聞こえないのは当然です。

知っている単語なのに聴き取れなかった部分について、その原因をきちんと考え対策を立てるようにしましょう。仕上げにモデルの音声と同じように読めるようになるまで何度も繰り返し音読の訓練をします。

モデルと同じように読めれば、少しずつリスニング力が向上していきます。

子どもがハマる!楽しい動画サイトを活用した「リスニング学習法」動画セミナーはこちら

小学生の英語文法の教え方と勉強法

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もし、「何でもいいからスワヒリ語で話してみよう」と言われて、すぐにスワヒリ語を話し始める人はいないはずです。英会話教室で「積極的に英会話をしましょう」と講師が呼び掛けても子どもの反応が良くないのは、どうしていいのかわからないからです。

幼児や小学校低学年の子どもたちなら、無邪気に周囲のまねをして英語の歌を歌ったり講師のフレーズを口真似したりします。しかし、高学年の子どもは精神的に成長していて論理的に新しいことを覚えようとします。そこで必要となるのがマニュアルです。

英語学習におけるマニュアルとは文法のことを指します。子どもは適齢期にわかりやすい文法が与えられると、英語を理解しやすくなります。しかし、文法を習っただけでは英語を使えるようにはなりません。文法に沿って繰り返し英語を使うトレーニングが不可欠です。

しばらくトレーニングを繰り返すと、次第に文法をほとんど意識しなくても口が動くようになります。

そこで、英語を使えるようになるために、最初に子どもが覚えるべき基礎的な文法について具体的に説明します。また、どのようなトレーニングをすれば文法をほとんど意識しなくても英語を使えるようになるのかについても解説します。

小学4年生からは英語の文法が必要

個人差はあるものの、小学4年生から少しずつ文法学習を始められます。小学校低学年までの小さい子どもは文法を教えても理解できません。そこで実際の英語にたくさん触れながら英語の規則に気づかせる手法をとります。

例えば、小学校低学年ではI have a dog. やHe has a nice car. などの用例を多く口にすることで、自然と「主語(I, He)+動詞(have, has)+目的語(a dog, a nice car)」のパターンを覚えていきます。

このような習得方法は「体験的習得」と呼ばれており、小さい子どもはこの能力に優れています。文法用語を使わずに覚えるので一見簡単に思われますが、実際は言葉の規則性を発見・理解するまでに膨大な時間を要します。

子どもが「ママ」という一単語を発してから、「ママはご飯を作っている」など3語の文章で話せるまでの時間を思い出してください。日本語漬けの状態でも1年はかかったはずです。簡単に日本語が話せるようになったわけではありません。

子どもは10歳頃を境に、自然に言語を習得する能力(体験的習得能力)が急速に衰えます。しかし、それと引き換えに文法を理解する能力(論理的習得能力)が急速に発達していきます。この年齢からは文法を勉強しながら英語を学ぶのが最も効率的です。
論理的習得能力グラフ
グラフで示した黄色の部分は、ちょうど小学1年生から6年生までの範囲です。小学4年生を境に二つの異なる能力が逆転しているのがわかります。つまり、10歳になったら文法からのアプローチを取り入れたほうが英語を早く理解できるようになります。

もしお母さんがこのことを知らずに、小学校高学年の子どもに対して幼い子どもと同じような英語教育をしているなら今すぐ考え直しましょう。

小学校では文法を学ばせると英語嫌いにつながるとして、文法を教えない授業が進められています。一見、子どもに配慮しているように感じられますが、実はこの配慮こそが子どもが英語を嫌いにさせている可能性があります。

小学4年生の子どもの一部は、文法を教えたほうが英語を効率的に理解できる年齢になっています。それにもかかわらず、小学校では遠慮して低学年の子どもへのやり方で英語を教えています。

そのために、子どもはいつまでたっても英語を理解できずストレスが溜まります。そして、英語嫌いになっていきます。

発達段階に差がある児童一人ひとりに対応した指導方法を採用するのは現実的ではないので、学校の先生を責めるつもりはありません。現状では、文法に関しては各家庭で個別に対応するしかありません。

小学生の基礎英文法:語順と否定文・疑問文の作り方

文法の授業といっても、小学生に難しい文法用語を使って細かい知識を覚えさせるようなことは無意味なだけでなく英語嫌いを作る原因となります。

小学生に教えるべき文法は、わかりやすい英語のマニュアルです。このマニュアルは大きく二つの内容に分けることができます。一つ目は、英語の語順です。語順がわかれば英文を読んだり、単語をその順番に並べれば大まかな英文を作れます。

二つ目は、基本的な文の形である平叙文(へいじょぶん:単に情報を伝える文)・否定文・疑問文の作り方です。英語の語順は平叙文が前提となっていますが、実際は否定文や疑問文の形に変える必要が出てきます。

英語の語順を知り、さらに否定文や疑問文に対応できれば英語の基本を身につけられます。未来形・過去形・現在進行形・現在完了形などを将来学ぶときにも、基本が身についていれば理解するのはそれほど難しくありません。

参考書不要! 小学生にもわかる英語の語順(3文型)

英語の5文型は高校で学ぶ内容です。「S(主語), V(動詞), O(目的語), C(補語)」などの記号を使って教えられるので、堅苦しくてあまりいい印象を持っていないお母さんも多いことでしょう。実際、いきなり難しい文法の参考書や問題集に取り組んでもすぐに飽きてしまいます。まずは最低限の知識に限定して学習するようにしましょう。

小学生にはこれらの知識をかみ砕いて教える必要があります。最初に主語・動詞・目的語などの文の要素(文中での役割を示したもの)を理解させます。これがわからないと語順を理解することができないので、大切なポイントです。

文の中の役割

すぐには理解できないので、あまり詰め込まないように注意しましょう。次に、高校で習う5文型のうち主な3つの文型だけに凝縮させた文型を示します。
am/ is/ are の文目的語がない文
目的語ありI gave her a present. (私は彼女に誕生プレゼントをあげた)のような第4文型とWe call him Ken. (私たちは彼をケンと呼びます)のような第5文型は思い切って省略しました。3つの基本的な文型をマスターしてから、必要なタイミングで知識を増やせばいいからです。

3つの基本文型と例文をセットにしたカードはこちらからダウンロードできますので、子どもの目につく壁に貼り、いつでも確認できるようにしておきましょう。

基本的な文の形:平叙文・否定文・疑問文の作り方

単に情報を伝える文を平叙文(へいじょぶん)といいます。肯定文と呼ばれることもあります。次にnotなどを用いて「~ではない」「~ません」という意味の文を否定文といいます。また、何かについて「~ですか」とたずねる文を疑問文といいます。

先述した文型の動詞に着目してください。「am/ is/ are」を用いた文型とそれ以外の動詞を使う文型の二つに分けることができます。この動詞の種類によって、否定文と肯定文の作り方が変わります。

中学校で英文法を本格的に勉強するようになると、最初につまずくポイントは中学1年生の1学期に訪れます。それは「am/ is/ are」を用いた文とその他の動詞を用いた文について、それぞれ正確に否定文と疑問文を作れずに混乱するからです。

・am/ is/ are の否定文は「notを付け足す」

否定文の基本的な考え方は「notを動詞のうしろに付け足す」発想です。日本語では「~ではありません」のように文末に否定語を持ってきますが、英語の場合は動詞のうしろに否定語notを付け足すのが特徴です。

平叙文 否定文
She is tall. She is not tall.

・その他の動詞の否定文は、do にnotを付け足す

doは「する」という意味です。すべての動詞は結局何かをすることです。例えば「think(考える), make(作る), run(走る)」などの動詞に共通しているのは、何かを「する(do)」ことです。

このように考えると、これらの動詞の前に常に( )に入ったdoがあると解釈できます。

You (do) go to school. (私は学校へ行きます)

go(行く)の意味にはdo(する)が含まれるので、いちいち書かないけれども実はこの位置にdoがあると考えます。否定文の基本的な発想は「動詞にnotを付け足す」ことなので、次のような否定文が完成します。

平叙文 否定文
You go to school. You do not go to school.

notを付け足すのは見えている動詞(go)ではなく、普段見えていないdoの後です。気をつけましょう。

・三単現のs

英語を使う人の意識では、会話をしている「私(達)とあなた(達)」と「その他の人や物」を分けます。その他の人や物が主語になるときは、動詞に(-s, -es)を付ける習慣があります。絵で表すと下のようになります。

3単現のs

例えば、「彼はよい車に乗っています」は会話をしている私(達)とあなた(達)以外の人について話をしています。さらに、彼は一人で、いつものこと(現在形)を表現しています。このようなときは動詞driveにsを付けてdrivesにします。いわゆる三人称・単数・現在形のs(略して三単現のs)です。

He drives a car. (彼は車を運転します)

この文にももちろんdoが本来は含まれています。

He (does) drive a car.

先ほど動詞にsを付けるといいましたが、doにs(音の関係上es)が付いてdoesになっていることに注目しましょう。平叙文ではわかりきっているためにdoesを隠しますが、動詞に-s, -esを付けなければいけないので、drivesになっていると考えましょう。

ではnotを使って否定文にしてみましょう。動詞のうしろにnotを付け足すのが基本発想なので、次のようになります。

平叙文 否定文
He drives a car.

(=He does drive a car.)

He does not drive a car.

否定文を作るとき、He does not drives a car. とdriveにsを付けないように気を付けましょう(すでにdoesについているので不要です)。

・am/ is/ are の疑問文は「主語と動詞を入れ替える」

「am/ is/ are」の疑問文は、主語と動詞を入れ替えます。疑問文を作るときの発想は、主語と動詞の入れ替えです。最後にクエスチョンマーク(?)を入れます。

平叙文 疑問文
She is tall. Is she tall?

・その他の動詞の疑問文も「主語と動詞(do/ does)を入れ替える」

その他の動詞でも疑問文の作り方は同じです。つまり主語と動詞を入れ替えます。ここでの動詞とはdoまたはdoesを指します。

平叙文 疑問文
I (do) go to school. Do you go to school?
She drives a car.

(=She does drive a car.)

Does she drive a car?

Iから始まる平叙文を疑問文にするときはDo you ~?の形にするのが一般的です。「私は~ですか?」と相手に尋ねる文は少し変だからです(実際はよくあります)。

否定文と疑問文の作り方をまとめます。否定文は動詞のうしろにnotを付け足して作ります。疑問文は、主語と動詞を入れ替えて作ります。am/ is/ are以外の動詞には本来do (またはdoes)が存在していることを理解するのがポイントです。

語順と平叙文・否定文・疑問文がわかれば英語が得意になる

英語の語順と平叙文・否定文・疑問文について理解することが最も大切です。これさえできれば文法学習の最大の山を乗り越えたも同然です。なぜなら基本的なルールさえ理解してしまえば、高度な英語表現にも簡単に応用できるからです。

例えば中学1年生で助動詞canを学ぶとき、doやdoesの位置に置き換えれば否定文や疑問文に応用できます。

I (do) speak English. I can speak English.
I do not speak English. I cannot speak English.
Do you speak English? Can you speak English?

私は英語が苦手な中学生の指導経験が多数ありますが、彼らのほとんどは基本の語順と平叙文・否定文・疑問文をきちんと理解できていません。理屈を理解せずに暗記しようとすると混乱するケースが多いので注意しましょう。

丸暗記でAre you ~?とかDo you ~?と覚えてしまうと、Are you go to school? という誤った文を作ってしまいます。一度変な理解をしてしまうと、あとで正しく覚え直すのは大変なので最初が肝心です。

すでに数年程度の英語学習歴がある子どもにも、語順や否定文・疑問文の作り方を教えることで散らかった知識が体系的に整理されます。それまで何となく口にしていた英語の語順がきちんと論理的に説明できるのでプラスの効果が生まれます。

文法の理解が早く正しくできるようになると学校のテストで点数を取ることは可能になります。しかし、それだけでは本当に英語を使えるようにはなりません。次に、習得した文法の知識を使って英語を使える(話せる)ようになるための方法を説明します。

英文法を知識で終わらせないための学習方法

英語上級者のように、文法を意識しなくても英語がスラスラと口から出てくるためのトレーニングを紹介します。

学校や英会話スクールで習った英文を材料にして家庭でトレーニングをしてみましょう。例えば、My favorite color is blue.(私の好きな色は青です)という表現を習ったら、これを材料にして文型を確認させます。

文型を確認するときは壁に貼ってある基本3文型のカードを見ながら学習を進めます。最初に動詞を確認させます。この場合はisが動詞です。青い色鉛筆でisを○で囲みます。

その次に主語を確認します。子どもは主語を1語だけと思い込んでいるので、すぐには答えられないかもしれません。そこでヒントでMy favorite colorに鉛筆で下線を引いてあげます。そうすると全体で主語であることが理解しやすくなります。これを赤で囲みます。
my favorite color is blue.

最後にblueという言葉がせつめい語なのか、それとも「in, on, atなど」なのかを考えさせます。正解はせつめい語です。この場合、isという動詞は左側の主語と右側のせつめい語が同じであること(イコール)を意味します。

ここまで細かく説明すれば、それぞれの単語がどういう意味でなぜその順番に並んでいたのかが理解できます。そうするとスッキリした状態で、英文の暗唱に気持ちを集中させることができます。

あまり細かいところまでやりすぎると混乱する原因になります。とりあえず学校や英会話スクールで習った基本文の理解だけにとどめておきましょう。

・否定文と疑問文も作ってみる

否定文と疑問文も作ってみましょう。否定文は動詞のうしろにnotを付け足すだけなので、My favorite color is not blue.で完成です。また、疑問文は主語と動詞を入れ替えてIs your favorite color blue?となります。myをyourに変えるのがポイントです。

否定文や疑問文を作るときは、紙に書かずに口頭で答えさせましょう。紙に書かせるとスペリングを正確に書けなければいけないので、英作文に集中できません。一度に複数の作業をさせると効果が低下するので、口頭英作文が最適です。

このように、たった一つの基本文だけでも、語順と否定文・疑問文の作り方までを繰り返し学ぶことができます。

ほとんどの英文が3つの文型に収まることがわかれば少しずつやる気が出てきます。一度考え方を伝えれば、自分で解決できないときだけ質問するようになります。そのときは壁に貼った文型のカードを確認しながら教えてあげましょう。

英会話につなげる小学生の文法学習

文法や語法を習ったときは、必ず学習事項を使った英文を暗唱することが必要です。実際の使用例を何度も声に出して言うことで、文法を筋肉に覚えこませます。

例えば「~が得意である:be good at ~」を習ったら、これを使ったHe is good at math.(彼は算数が得意である)という例文を暗唱します。やり方は次の通りです。

・英会話につなげるための文法学習ステップ1

まず、この文章の文型を確認します。「主語 is せつめい語」のパターンです。得意は「良い」と置き換えられるので、goodを使用しています。日本語がどのように英語に変えられるのかを理解すると言語感覚が磨かれます。得意な物を示すときは、atを使います。

ここまでをきちんと理解できたら、英文を見ながら3回音読しましょう。回数を増やしすぎると、意味を無視してお経を唱えるような状態になってしまいます。3回だけでいいので、覚えるつもりで集中します。

・英会話につなげるための文法学習ステップ2

次に何も見ないで3回音読してみます。このときに表現を忘れたり口ごもったりしたら、ステップ1からやり直します。

・英会話につなげるための文法学習ステップ3

最後に日本語訳を見ながら、日本語のどの部分がどのように英語に置き換えられているのかを確認しながら、英文を音読します。例文では「得意」の意味を「good」で表しているのが特徴です。これも3回音読します。

英会話練習の中心はステップ1~3をひたすら繰り返すことです。英文そのものを暗記することが目的ではありません。まったく同じ表現を使用する機会は、めったに訪れないからです。

それよりも「得意である」をgoodで表現できるとか、得意な分野や対象をatのうしろに置くなどのことを脳に染み込ませることが大切です。何気なく音読を繰り返しても効果はほとんどありません。

英会話に使える表現を瞬時に出せるために練習していることを忘れないでください。文型や文法を筋肉が覚えるくらいまで繰り返すと、少しずつ英語を話すことができるようになります。

英語を流ちょうに話す人は、文法を意識していないのではありません。文法を意識しながら数多くの練習を繰り返した結果、ほとんど意識せずに話せるようになっているだけです。文法は知識で終わらせるのではなく、使いこなせてこそ意味があります。

英語の文法を学ぶときに、ひと言も声を出さずに完了してはいけません。理屈を理解したらすぐに口頭練習を繰り返すことが大切です。もし、あなたの子どもが静かに英語を勉強していたらそれは間違った学習方法なのでアドバイスをしてあげましょう。

英語の総合力をつけるには、こちらの動画セミナーがオススメです。

まとめ

小さい子どもは体験を通して英語の語順などの文法を自然と身につける能力を備えています。しかし、10歳頃を境にしてその能力は衰えます。代わりに論理的に言語を習得する能力が急速に高まります。

このことから小学4年生からは少しずつ文法を学んだほうが、効率よく英語を身につけられることがわかります。初めに学ぶべき文法とは、基本的な文型(語順)と否定文・疑問文の作り方です。

また、これらの文法を学んだだけでは単なる知識で終わってしまいます。大切なのはこの知識を使って実際に口を動かして英文を暗唱しながら筋肉に文法を覚えこませることです。

「文法を意識するから英会話ができない」という間違った認識は捨てましょう。英語を流ちょうに話す人は学んだ文法を使って練習を繰り返した人です。

これから長い時間をかけて子どもたちは英語を学んでいきますが、お母さんからもときどき文法学習の意義を伝えてあげましょう。

小学生で英検3級に合格!おすすめ問題集と効果的な勉強法

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小学生で英検3級を目指すことについて、これまで私はあまり肯定的ではありませんでした。中学校からの英語の準備として考えた場合、4級まで取得していれば充分だと考えているからです。「親が英検3級を子どもに強制する」悪いイメージを抱いていました。

しかし、実際に合格した子どもやお母さんと話をしてその認識を改めました。意外にも子どもが前向きに3級取得に向けてコツコツと英語学習に取り組んでいたり、お母さんもその様子を見守りながら励ましているケースのほうが圧倒的でした。

たしかに小学生の間に英検3級に合格するには、能力だけでなく子どもの前向きな気持ちが不可欠です。母親が無理やり子どもに勉強させても合格は難しいでしょう。

私が推奨するのは親子受験です。学校を卒業してから英語から遠ざかっているお母さんも一緒に子どもと勉強するのです。親子で共通の目標をもって何かに取り組むことは、思い出作りにもぴったりです。

そこで、「どんどん難しい英語にも挑戦したい」という子どもを持つお母さんのために、小学生の間に英検3級に合格するための知識と具体的な勉強法について解説します。

英検3級:小学生の合格率と受験者数の推移

小学3年生からの英語必修化に伴い、小学生の英検志願者数は堅調に増加しています(2016年度約37万人)。その背景には、センター試験が廃止され英語については民間資格や検定の導入されたり、中学受験で英検資格保持者が優遇されるなどの状況もあるようです。

英検が合格率を開示していた最後の2013年度資料によると、英検3級の小学生の合格率は約53%(志願者数27,781人に対して13,767人が合格)でした。大まかな合格ラインは正答率6割といわれています。

当時よりも多くの小学生が受験していると仮定すると、毎年約1万5千人もの小学生が英検3級に合格していることになります。これらの統計から、計画的に英語学習を進めていけば小学生でも英検3級に合格できることがわかります。

英検3級の英語レベルについて

英検3級のレベルは大まかにいえば「中学校3年間で学習する英語」です。中学3年生で学習する主な文法事項を列挙してみます。

受動態
現在完了形
現在分詞・過去分詞
間接疑問文
関係代名詞

かつて「make(原形)/ made(過去形)/ made(過去分詞形)」などと不規則動詞の活用を暗記したと思いますが、それがちょうど中学3年生の内容です。受動態(~される)や現在完了形(~したところだ)を学習するときに必須の知識です。

文法の節(せつ)の概念が試される間接疑問文や関係代名詞は中学生にとっても理解に時間がかかる分野です。小学生で合格するためには、長期的な本腰を入れた学習が必要であり一夜漬けで合格することはありません。

品詞・修飾関係を理解できるかどうかが鍵

英検4級に合格したら、その勢いでそのまま継続して英語学習を続けましょう。子どもが英検3級の学習内容へ準備ができているかどうかのバロメーターは「品詞を理解できるか」と「修飾関係を理解できるか」の2点です。

英語の品詞は10種類に分類できます。その中でも少なくとも4つを理解できないと、英検3級に向けての学習に取り組めません。大事な4つの品詞とは「名詞・動詞・形容詞・副詞」です。子どもにもわかるように説明すると次のようになります。

品詞 働き 例
名詞 人や物の名前を表す desk, teacher, tree, John
動詞 人や物の動作を表す have, go, make, run
形容詞 名詞を修飾したり説明する beautiful, happy, tall
副詞 動詞・形容詞・他の副詞を修飾 slowly, always, tomorrow

品詞の理解に欠かせないのが修飾の概念です。修飾とは「ある語句が他の語句の意味を詳しく説明すること」です。小学校3・4年生くらいから国語の授業で修飾と被修飾(修飾される)との関係を学ぶようですが、これは英文法を理解するときにも大いに役に立ちます。

例えば、「やせた男が急ぎ足で歩いていた」という文では「やせた」は「男」を修飾しています。同様に「急ぎ足で」は「歩いていた」を修飾しています。

あなたの子どもが品詞を区別できて修飾関係を理解できる状態なら、英文法を少しずつ学ぶ準備が整っているといえます。もしこれらの理解が苦手な場合は、無理に英文法を教えると英語嫌いになってしまうので延期したほうがいいです。

小学生で英検3級を取得するためのロードマップ

仮に小学6年生で英検3級合格を目指すとしたら、どのような計画で進めていけば実現するのかを見てみましょう。
英検3級合格ロードマップ能力や時間配分などにより個人差はありますが、おおむねこのようなスケジュールで進めていけば英検3級に合格できます。

ここで「英検3級に合格するために6年間も費やすのは非効率的」と考えるお母さんがいても不思議ではありません。なぜなら、中学生になってから英語を学習しても中3で多くの生徒は英検3級に合格できるからです。

しかしそのように判断するのは早計です。中学校になると他教科の学習量の増加や部活動などの関係で、英語の音に慣れる時間が思うように取れません。カタカナ読みのまま英検を取得してもその後伸び悩むのはあきらかです。

資格取得に必要な期間だけを見れば非効率的かもしれませんが、小さい頃から正しい発音・アクセント・イントネーションを充分に積み重ねた経験は決して無駄ではありません。

文法事項に関しても同様です。例えば「to 不定詞」の用法を暗記しただけの状態と、「to 不定詞」を使用して瞬時に口頭で英作文できる状態では、同じ英検3級でもコミュニケーション能力に大きな開きがあります。

小学生の間に英検3級を目指すなら、小手先のテクニックにとらわれずに取り組むことを強く推奨します。

本格的な英語力を伸ばすトレーニングはこちらで紹介しています。

英検3級の出題内容

英検3級の1次試験は筆記試験とリスニングです。それに合格すると2次試験のスピーキングテストを受けます。英検4級まではスピーキングテストは合否に関係ありませんでしたが、3級以上は合否にも関係してくるので対策が欠かせません。

2017年度第1回の検定から、英検3級と準2級の筆記試験にもライティング(英作文)テストが導入されました。これにより3級以上は4技能(リーディング・ライティング・リスニング・スピーキング)についてバランスよく試されることになりました。

英検3級1次試験(筆記)

1次試験の筆記試験はマークシート方式の語法・読解問題とライティング(英作文)に大きく分かれます。

問題 形式 問題数
1(マークシート) 短文の穴埋め問題 15問
2(マークシート) 会話文の穴埋め問題 5問
3(マークシート) 長文の読解問題 10問
4(記述) 英作文問題 1問

・短文の穴埋め問題

短文または会話文の中の( )に入る適切な語(句)を選択肢の中から選びます。( )の前後の内容を理解できることがポイントです。

・会話文の穴埋め問題

ダイアローグ(対話)形式の会話文中の( )に入る適切な語句や文を選択肢から選びます。

・長文の読解問題

A, B, C 3つの英文を読み、内容に関する質問の答えを選びます。Aは「お知らせ・掲示」、Bは「Eメールや手紙文」、Cは「説明文」の内容です。BとCは文章量が多めなので、普段から長文に慣れていないと得点できません。

・英作文問題

与えられたトピックについて、自分の考えと理由二つを英語で書きます。語数の目安は25~35語です。一見難しそうに見えますが、コツをつかめば対策は容易です。実際の学習方法は後述します。

英検3級1次試験(リスニング)

リスニングテストは3つのパートで構成されています。

問題 形式 問題数
第1部 会話の応答文を選ぶ問題 10問
第2部 会話の内容に関する選択問題 10問
第3部 文の内容に関する選択問題 10問

・会話の応答文を選ぶ問題

イラストに関する二人の対話を聞き、応答としてふさわしいものを選びます。会話と選択肢は1回しか放送されません。

・会話の内容に関する選択問題

二人の対話を聞き、内容に関する質問の答えを選びます。会話と質問は2回ずつ放送されます。選択肢は問題用紙に書かれています。

・文の内容に関する選択問題

35語前後の英文を聞き、内容に関する質問の答えを選びます。英文と質問は2回放送されます。選択肢は問題用紙に書かれています。

英検3級2次試験(スピーキング)

イラスト付きの英文が書かれたカードを使用します。英文を20秒間黙読したあと、音読するように指示されます。続けて英文に関する質問が1つ、イラストに関する質問が1つ、あなた自身に関する2つの質問への解答が求められます。

普段から音読する習慣を身に着けていれば落ち着いて読めるはずです。質問への解答は、疑問詞に注意を払い「何について聞かれているか」を正しく把握することがポイントです。

上記のように英検3級の問題範囲は広範囲にわたるので、直前になってあわてて取り組んでも合格は不可能です。最低でも1年程度の時間をかけてコツコツと学習を続けましょう。

小学生が英検3級に合格するための問題集と勉強法

小学生が独学で英検3級レベルの英語を学ぼうとしても高確率で失敗します。中学校で習うような内容を基礎から教えてくれる英語スクールやオンライン英語のサービスなどを利用して、先生から英語を習うのが一番です。

授業で習った内容をきちんと定着させる復習として、家庭で問題集に取り組むようにしましょう。文法の基礎を理解するための問題集と4技能と関連させながら発展させる問題集の2種類を用意しましょう。

試験直前の2か月前からは過去問を中心に勉強を進めます。過去問に取り組む理由は文法の範囲が限定されない問題に慣れることです。普通の問題集では「現在分詞」などの項目でまとめられているため解答が予想できてしまうことが難点です。

これらの学習の流れを5つのステップにまとめたものが下の図です。
英検3級対策5ステップ

ステップ1:英語の先生から文法を教わる

現在通っている英会話スクールで英検3級の講座があれば受講しましょう。もし通える範囲に英検の講座があるスクールがなかったり、何らかの事情で子どもの送迎が困難であればオンライン英会話を利用する方法もあります。

繰り返しになりますが英検3級の出題内容は中学校レベルなので、小学生が独学でテキストから学ぶのはほとんど不可能です。理解が難しい部分を知り尽くしたプロの先生から教えてもらうのがベストです。

英検の筆記問題に限定すると日本人講師のほうがネイティブ講師よりも優れています。文法の問題を日本人にわかりやすく解説できるのは、同じ日本人の経験者のほうが圧倒的に有利だからです。

英文法の基本を教わったら、すぐに家庭での復習に取り組みます。宿題等が出されるなら先生の指示に従ってください。もし問題量が不足していたり理解が今一つなら、もう少し家庭学習を充実する必要があります。

ステップ2:教わった文法の理解(復習)

英文法を復習するときの問題集として私がオススメするのは『小学生のための英検3級合格ドリル』(旺文社)です。各Lessonの冒頭では漫画でターゲットの文法事項のエッセンスを説明しているので、小学生でも取り組みやすいように配慮されています。

細かい字で書いてある部分にも大切な情報が詰め込まれているので、すべて読むようにしましょう。英語スクールなどの先生から文法を習ったら、できるだけ間を空けずに該当部分をこの問題集で復習するようにしましょう。

もしこの段階で子どもが理解できない部分が多いようでしたら、お母さんが教えてあげましょう。それが難しいなら英会話スクールの先生に質問してクリアする必要があります。理解があいまいなまま問題演習を繰り返しても効果はありません。

ステップ3:該当する文法の問題演習(4技能と関連させる)

『小学生のための英検3級合格ドリル』で身に付くのは、知識としての文法です。この知識を4技能と関連付けながら、実際に応用するトレーニングが必要です。そのための問題集として『いちばんやさしい英検3級』(新星出版社)を使用しましょう。

最大の特徴は、各学習事項について必ず4技能と連携させているところです。文法の解説の後、以下のような6つのステップと最後のテストで構成されています。

STEP 1 単語トレーニング
STEP 2 リスニングトレーニング
STEP 3 会話トレーニング
STEP 4 モノローグトレーニング
STEP 5 単語・イディオム & ライティングトレーニング
STEP 6 ライティングトレーニング
Challenge 1 筆記問題
Challenge 2 リスニング問題

これらのステップにきちんと取り組むと、英語の総合力を底上げできます。とくにステップ6のライティングは英検3級の出題形式そのものなので、毎回これに取り組めば得点源にすることができます。

ライティングでは質問されたことについて、自分の意見を述べます。そしてその理由を2つ挙げます。最後にこれらの文章を25~35語でまとめます。このパターンに慣れておけば、英検3級のライティングは簡単に乗り切れます。

この解答パターンを応用すれば、将来英検準2級以上のライティング問題でも役立ちますし、スピーキングテストでも自分の意見を筋道を立てて伝えることができるようになります。

・『いちばんやさしい英検3級』の使い方

『いちばんやさしい英検3級』は問題集としては充実していますが、文法の解説は簡略化されていて小学生が読んでも理解は難しいです。かならず『小学生のための英検3級合格ドリル』で理解をしてから『いちばんやさしい英検3級』に取り組みましょう。

全部で4章ありますが、第1章は基本表現や文法の基礎(品詞など)について扱っています。まず最初に第1章を仕上げてしまいましょう。子どもの理解があいまいなら、英会話スクールの先生やお母さん・お父さんのサポートが必要です。

第1章が終了したら、先生から教わった学習箇所を見つけて取り組んでいきましょう。当然、問題集の順番どおりには進みませんので、勉強したところは記録をつけておきましょう。最終的にすべてカバーできたら1周目は完成です。

1周目が終わったらもう一度最初から今度は順番通りに問題集に取り組みましょう。2週目では音読トレーニングに集中すると効果的です。音読のやり方について以下詳しく説明します。

ステップ4:モノローグの音読トレーニング

2週目に問題集に取り組むときは、『いちばんやさしい英検3級』STEP 4のモノローグを利用して音読練習に力を入れましょう。モノローグとは「一人の人物がひとりごとの形式で話をすること」です。その他のステップは飛ばして大丈夫です。

このモノローグにはテキストと音声、そして日本語訳があります。発音やイントネーションに気を付けながら何度もテキストを声に出して読みましょう。知らない単語があれば覚えてください。

また、CD音声を追いかけるようにして音読(テキストを見ないで)する「シャドウイング」と呼ばれる音読練習にも挑戦してみましょう。音だけを追わずに意味も頭の中でイメージするように気を付けるのがコツです。

最後の仕上げとして、日本語訳を見ながら英文を声に出してみましょう。また、CDを利用して一文ごとに休止を入れながら、紙に聞こえた英文を書きとる「ディクテーション」はリスニング力を高める効果があります。

音読練習は野球でいえばキャッチボールや素振りに相当する「基礎トレーニング」です。漫然と読むのではなく、それぞれのステップで伸ばしたい部分を意識しながら取り組みましょう。音読についての詳細は別の記事「小学生から始める英語音読トレーニング(実践編)」で扱っているので参考にしてください。

ステップ5:過去問に取り組む

ほとんどの文法の問題集は、文法の学習事項別にまとめられています。例えば、現在完了形の項目では、現在完了形を問う問題が集められています。文法を初めて学習するときはこれで問題ありません。

しかし、英検では分野別に出題されません。ランダムに広範囲にわたる問題が出題されても対応できなければいけません。そのための訓練として最も優れているのが英検の過去問です。

過去問は英検ホームページから過去3回分まではダウンロードできるようになっています。もし、それより多くの問題に取り組みたければ『英検3級過去全問題集』(旺文社)を購入しましょう。

過去問の勉強法ですが、本来の解答時間は無視して徹底的にわからないところを潰すつもりで取り組みましょう。実例を挙げながらポイントを説明します。

A: Sam, I’d like you (   ) Susan with her math homework.

B: Sure.

1  help    2  helped    3  be helped    4  to help

*2018年度第2回検定一次試験(3級)より引用

正解は4のto help です。この問題に正解しても間違えても、丸つけをして終わりにしてはいけません。

なぜ、4が正解なのか理由を説明できるでしょうか。また、他の選択肢はなぜ( )に入れられないのかを説明できるようにしましょう。

次にI’dの部分に省略形が用いられていますが、何が省略されているか答えられるでしょうか(答えはwould)。I would like to doとI would like you to doの違いは説明できますか。また似たような表現I want you to doはすぐに思いつきますか。

さらにhelp+O+with…で「Oを…の面で手伝う」という意味になることを知っていますか。

これらのすべてにきちんと答えられたら、スラスラと読めるまで音読してみましょう。最後に英文を見ないで英文を書いてみましょう。

このようにたった一つの問題でも、正解以外の選択肢について考えたり、解答に直接関係のない表現を覚えたりすることがとても大切です。普通の解答時間の10倍以上時間がかかりますが、気にせずそのまま進めましょう。

このようにして密度の濃い学習を習慣づけると、英検3級で終わるような実力ではなくすぐに準2級を狙えるような本物の英語力を身につけることができます。英語が得意な人は自然にやっていることなので、まねしてみましょう。

2次のスピーキング対策にはオンライン英会話を取り入れよう

スピーキング練習は普段の音読学習などで対応できます。しかし、スポーツに試合が必要なように、スピーキングも練習だけでなく「試合」感覚が必要です。

もしネイティブと会話する機会がない場合は、オンライン英会話のサービスを利用するといいです。費用を抑えつつ20分程度の会話練習ができます。子どもの送迎の負担がないので、一度試してみる価値はあります。

外国人と英会話をする経験を積んでおくと、英検2次試験でも緊張することなく落ち着いてスピーキングテストを受けることができます。

特に講師が質問するときに「何について聞かれているか」をきちんと聴き取るように注意し、その質問に正しく回答することがポイントです。特にWh-やHowから始まる疑問文は、具体的な答えが必要なので会話練習をして素早く反応できるようにしましょう。

一夜漬けでスピーキングテスト対策をしても、口ごもって何秒も沈黙してしまう結果となります。日頃からの慣れが大切です。

英検3級は3回受験

英検3級からは4技能を強く意識して英語学習に取り組むことが求められます。音読を中心に据えながら、弱いところを克服するように子どもをサポートしてあげましょう。

小学生の間に英検3級に合格したければ、小学5年生の1月に実施される英検に申し込みをしましょう。そうすれば、6年生の10月の試験までに合計3回受験することができます。

不合格でも気にせずに、各技能のバランスを見ながら得意・不得意を知ることが大切です。平均的にすべての技能が上がるのが理想ですが、実際は偏りが生じるのが普通です。得意なところはさらに伸ばしつつ、苦手なところにも力を入れるようにしましょう。

不合格だったとしてもスコアが少しずつ伸びていれば、成長している証拠です。頑張った子どもをほめてあげるようにしましょう。もし小学生のうちに合格できなかったとしても、中学校で挽回するチャンスはあるので心配無用です。

まとめ

小学生の間に英検3級に合格するのは不可能ではありません。しかし、ハードルが高いのも事実です。

親が子どもの発育段階を無視して文法学習を押し付けるのはやめましょう。もし、品詞や修飾関係が理解できているようだったら、少しずつ英文法を学ぶようにしましょう。

英検3級では4技能についてバランスよく問われます。まずは日本人の英語の先生を見つけて、初歩から文法を教えてもらうようにしましょう。そして、家庭では復習と4技能を意識した演習に時間をかけることが大切です。

特に音読トレーニングは英語の基礎練習になるものなので、時間をかけてじっくりと取り組むようにしましょう。試験2か月前からは過去問を解きながら、密度の濃い学習を心がけましょう。

英検は年3回受験できるので、合格したい時期から逆算して3回は受けるようにします。結果に一喜一憂せず、苦手分野の発見や得意分野をさらに伸ばす指針に活用するようにしましょう。

子どもが「英語好き」の状態で、英検3級合格に向けて学習できるように、お母さんは励ましてあげましょう。合格したときは家族みんなでお祝いしてあげれば良い思い出になります。

小学生が覚えておきたい「基本英単語」の取扱説明書

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「基本単語」と聞いたとき、ほとんどのお母さんは「簡単な単語」というイメージを抱くかもしれません。このイメージは半分正しく半分間違っています。簡単であるがゆえに最も使用頻度が高く、自由自在に単語を使いこなすことが求められるからです。

また簡単な単語ほど定義がたくさんある傾向があります。例えばreinstate(を復職させる)は英検1級レベルの単語です。辞書を引くと項目は数個で終了です。一方、基本単語のplayを辞書で引くと、多くの定義が並んでいてどれを覚えたらいいのか困るほどです。

基本単語を覚えるときには、英語を見て日本語の訳を答えられるだけでは不十分です。今回は、基本語を子どもに学ばせるとき注意すべきポイントについて解説します。

お母さんに協力をお願いしたいのは、根気よく子どもを見守ることです。単語はすぐには覚えられません。意味を忘れたからといって怒らずに、子どもを励ましながらボキャブラリーの定着を目指すのが理想です。

基本単語はすべてアクティブ・ボキャブラリーとして考えよう

小学生のうちに覚えたほうがいい単語数を600語程度と仮定します。これは中学2年生程度(英検4級)に相当します。中学校での必修語は1500語くらいまで増えることを想定すると、入学前にその4割を覚えておかないと取りこぼしが発生します。

ここで問題になるのは、「どの程度まで単語を学ぶか」です。その単語を「読んだときに意味がわかる程度」なのか、「日本語から瞬時に英語が口から出せるレベル」なのかでは学習方法も所要時間もまったく異なります。

小学生が学ぶ単語は「超基本語」ばかりなので、最終的には「日本語から瞬時に英語が口から出せるレベル」を目指しましょう。これは「スピーキング」や「ライティング」で使える単語にすることです。いわゆる「アクティブ・ボキャブラリー」にすることが目標です。

4技能で使いこなせる状態が目標

アクティブ・ボキャブラリーとして基本動詞を覚えるということは、4技能(リスニング・スピーキング・リーディング・ライティング)すべてにおいて活用できることを意味します。例を挙げて説明します。

基本動詞のひとつaskについて取り上げます。単語を覚えるときは最初に正しい発音(読み方)から入ります。電子辞書や先生が発音した音をよく聞いて学びます(リスニング)。次に中核となる意味とイメージを覚えます(リーディング)。

ask: たずねる、頼む

頼む

「パッシブ・ボキャブラリー(受信型の語彙)」の学習はここまでです。続いて「アクティブ・ボキャブラリー(発信型の語彙)」にするための訓練です。

単語を会話(スピーキング)で使うためには、よく使われる組み合わせを覚える必要があります。例えば「ask a question: 質問をする」「ask sb to do: 人に~するように頼む」「ask for: を求める」などが該当します。
*sb=somebodyのことで人が置かれる

最後に正しい綴りを覚え、文法の知識と絡めながら過去形はaskedになることを覚えるとライティングで活用できるようになります。

このように基本単語とは「頻繁に使用される言葉」であり、「覚えるのがやさしい単語」ではありません。運用法まで深く学ぶ必要があるため覚えるのは大変です。

名詞は「単語→イメージ」

具体的な名詞は日本語訳ではなく「瞬時にイメージできるかどうか」が重要です。特に普通名詞の場合はこれが当てはまります。

具体的な名詞は、そのものを思い浮かべればいいので簡単です。一方、抽象名詞は半ば強引にでも具体的なイメージを持つように子どもにアドバイスしましょう。そのほうが英語の処理速度が向上し使える単語になっていきます。

例えばhealth(健康)を覚えるときに、「健康」の訳語だけを暗記しても子どもの場合すぐに忘れてしまいます。そこからもう一歩すすめて、いかにも健康そうな人をイメージしてみることが大切です。

health

動詞・形容詞・副詞はコロケーションで覚える

先述のとおり、会話で単語を使えるようにするためには「コロケーション」で覚えることが必要です。コロケーションとは「ある単語とよく使われる組み合わせ」のことです。

例えばgoなら「go to school: 学校に行く」「go home: 家に帰る」が基本的なコロケーションになります。

覚え方は何度も暗唱するしかありません。紙に書くのも悪くはありませんが、数をこなすのが必要なので時間の制約上、口頭練習が基本です。正直とても大変なトレーニングですが、これを乗り切らないといつまで経ってもアクティブ・ボキャブラリーになりません。

多義語攻略は読書で鍛える

多義語とは「ひとつの単語で複数の意味を持つ単語」のことです。まじめな子どもは単語帳や辞書に書いてある日本語の意味をすべて覚えようとしますが、挫折するのがオチです。

多義語の攻略法は、まず中核になる意味を一つ覚えます。そしてできるだけそこから意味を広げられるようにイメージを柔軟に持つように心がけることが大切です。

次に、できるだけ英語での読書を習慣づけることです。基本単語はさまざまな文脈の中で繰り返し登場します。すると最初に覚えた「中核となる意味」から大きく外れる使い方をされていると違和感を抱くことがあります。

例えば「book=本」と覚えている子どもが、読書中に次のような文章に出会ったとします。

Jim’s father booked a large room at the hotel.

まずbookにedがついていることから動詞の過去形であることが推測されます。でもbookは本という意味しか知りませんから「違和感」を覚えます。

そこで先生に聞いたり辞書を調べたりすると「bookには予約する」意味があることを学びます。ここまでは少し勉強のできる子どもなら普通にやれるでしょう。でも、ここで終わらせてはいけません。

もう一つ踏み込んで「なぜ、本のbookが予約するという意味になるか」をしっかりと考えます。丸暗記よりも「なぜ?」を大切にして本質的な理解を目指します。

古い洋画を見ればホテルで予約を受けるときは宿泊名簿に記入しているシーンがあります。あの台帳がbook(本)であり、そこから動詞として使われるようになったことが想像できます。

このように読書を通じて多様な文脈の中で違和感を覚えるたびにチェックし、さらにそれを知っている知識と結び付けてみることで記憶は強化されていきます。

単語は覚えたようにしか身につかない

子どもの単語学習をサポートするにあたり、ひとつの原則を知っておく必要があります。それは「単語は覚えたようにしか身につかない」ことです。

英単語から訳語だけを結び付けて覚えると主に「リーディング」に使える単語となります。でも、その他のリスニング・スピーキング・ライティングの分野においてはあまり期待できません。なぜなら、そのような訓練をしていないからです。

さまざまなアプローチから単語を学ぶために最も効率のよい学習法は「音読トレーニング」です。決して楽ではありませんが、4技能と文法の能力を総動員することで「使える単語」が身につきます。

リスニングを伸ばす音読トレーニングについては、こちらの動画セミナーで紹介しています。

3色ボールペンの活用法

基本単語を学ぶときに便利なツールとして「3色ボールペン」があります。色の組み合わせは黒・青・赤がいいです。この3色ボールペンを使った基本単語の覚え方を紹介します(ここでは例として動詞の「listen」を覚えます)。

まず、先生の発音・CD・電子辞書の読み上げ機能などを使って正しい発音を覚えます。繰り返し子どもに発音させます。もちろん【l】と【r】の区別ができているかもきちんとチェックします。くれぐれもカタカナ読みで妥協しないように注意しましょう。

次に紙(広告の裏などでよい)を用意します。そして、音節(音のかたまり)ごとに読みながらそれに対応させて紙に綴りを書きます。こうするとアルファベットのl(エル)を見ながら【l】の発音をするので、文字と音を一致させられます。

またtがあるにもかかわらず、発音されないことにも気づきます。自分の先入観と実際の綴りのズレを何度も確認するのはとてもよい勉強になります。

次にlistenを含む例文「Tim listened to the radio.」を丸ごと音読します。CDの助けを借りながら正しい発音で読めるまで何度も練習します(最低20回)。listenedのedの発音は【d】です。細かいところまでこだわって発音しましょう。

スムーズに読めるようになったら、今度は3色ボールペンの黒を使って例文を見ないでブツブツつぶやきながら紙に英文を書いていきます。

まず、一回だけ英文を声に出して読みます。このときの意識はあたかも誰かに真剣に話しかけているようなつもりで読みましょう。

例えば壊れたラジオを前に怒っている父に自分が壊したのではないことを証明するシーンを思い浮かべます。そして父に向って「ティムがラジオを聴いていたよ」と言わなければいけません。

テキストを何かで隠しておいて、3色ボールペンの黒で英文を書きます。忘れた個所は飛ばして、思い出したところはすべて紙に書きましょう。

Tim listened                    radio.

忘れた個所は意味を思い出しながら必死になって思い出そうとさせましょう。子どもはすき間を埋めようと必死に頭を使いながら「どんな言葉が適切か」を探っています。簡単に正解を与えてはいけません。

どうしてもわからなかったら、正解の例文を見ます。でもすぐに全文を見てはいけません。先頭から少しずつカバーをずらして、一文字ずつ確認します。

例文ライティング

そうすると子どもは「to」がひらめきます。このようにして思い出すと、listen to というコロケーションが頭に残りやすくなります。同じようにradioの前のthまで見れば「the」を思いつくでしょう。

「話題に出ているラジオは、話している人も聞いている人もどのラジオのことか明らかだからtheが必要」と納得します。綴りを間違えたり抜かした言葉は赤で記入します。

これを5単語くらいをそれぞれの例文とともに黒ボールペンで写します。それが終わったら、青ボールペンで同じことを繰り返します(Round 2)。同じようにRound 3は赤ボールペンで書きます。ボールペンは消せないので、自分の間違いを確認しながら学べます。

すぐに同じ単語で3回書かないのは、一回忘れるためです。記憶の定着には「忘れる→思い出す」作業が欠かせません。時間を空けすぎると永遠に忘れてしまうので、忘れかけのタイミングで復習するのが効果的です。

復習のタイミングと頻度が鍵

その日の単語練習を終了したら、翌朝にもう一度復習するのも非常に効果的です。夕方~夜に新しい単語を扱い、翌朝に復習します。

朝は脳に余計な情報が溜まっていない状態なので、単語を定着させるタイミングとしては最適です。

このような形で1週間の中で5日間を単語学習に充て、土日の2日間は予備日としておきます。我が家の経験上、土日は意外とイベントが多く普段のほうが予定通り学習できます。5日で1サイクルとして考えると長続きするのでおすすめです。

「忘れたことを叱らない」

繰り返しになりますが、単語の定着には「忘れる→思い出す」行為の反復が不可欠です。子どもが何度も単語の意味を覚えられないのは普通です。お母さんから見ているとイライラが募ってきますが、絶対に叱ってはいけません。確実に子どもは英語嫌いになります。

忘れるのは人間の本能のようなものです。特に子どもは雑念が多く、興味がなければあっという間に忘れます。それを充分に理解して根気よく復習するように促しましょう。ただし「思い出そうとする」努力は怠らないようにお母さんは子どもに注意する必要はあります。

まとめ

小学生のうちに覚えておいたほうがいい英単語の数はおよそ600語です。これくらいをマスターしておくと、中学校でスムーズに英語の授業についていけるようになります。

小学校で学ぶ英単語はすべて「基本単語」です。基本単語は「最も使用頻度が高い単語」のことであり、「覚えるのが簡単」という意味ではありません。実際、600語はすべて英語で発信するときにも使えるようなアクティブな状態にしておく必要があります。

4技能で使える単語にするためには発音・意味のチェックから始まり、読書を通じて意味を思い出したり、コロケーションで覚えたりする多角的なトレーニングが必要です。

単語学習の基本は反復です。「忘れる→思い出す」を繰り返すことで記憶は定着していきます。お母さんは子どもの単語学習を見守るときに、忘れたことに対して叱ってはいけません。根気よく付き合いながら「思い出す」努力を促すようにしましょう。

基本単語をマスターするのは大変ですが、身につけると中学以降で大きな起爆剤となります。また単語の学習方法を確立するとその後の学習にも大いに活用できます。語彙力は英語力の根幹なので、じっくりと取り組んでいきましょう。

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子どもが英語スペリングを得意に!「ぶつぶつライティング」とは

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同じ能力の子どもが同じ授業を受けて同じ時間自習しても、しばらくすると英語力に明らかな差が現れ始めます。この現象は教員時代とても不思議に感じました。

そのときに立てた仮説は、「学びの深さに差がある」ことでした。傍目には同じように学んでいても、彼らの頭の中の活動量には相当な違いがあります。

問題は、「何をどのように考えているか」は本人以外誰にもわからないことです。思考方法は本人以外把握できないし、コントロールもできません。

同じことは英語を書くときにも当てはまります。もしあなたの子どもがテキストの英語をノートに写すときに目線が頻繁に往復したり黙々と書いていたりしていたら、それは私がまったくわからないアラビア語をコピーしているのと変わりません。

私の推奨する英文の写し方は「ぶつぶつライティング」です。方法はとても簡単です。英語を紙に書くとき、ぶつぶつつぶやきながら書くだけです。

「ぶつぶつライティング」を始めるタイミングは、フォニックスの基礎を終了してからです。3文字からなる単語(bag, fatなど)がある程度読めたら、「ぶつぶつライティング」を開始します。

まずは英語の苦手な子どもが、どのように考えて間違いを繰り返すのかを分析します。そして頭の中の活動量と質を高めるためのコツを解説します。

Mr. SmithをMr. Sumisu と書いてしまう原因は

あなたの子どもが何気なしに「Mr. Smith」を「Mr. Sumisu」と書いていたら、どのようなアドバイスをしますか?

正しい綴りを教えるだけなら簡単です。しかし、その子は似た間違いを今後も繰り返します。そうさせないためには、間違いの原因をじっくりと考える必要があります。

カタカナを当てはめているから

Sumisuのスペリングを見ると、カタカナとローマ字の影響を受けていることがわかります。まず、Smithの読み方を覚えるときに「スミス」とカタカナをふっています。そして、「スミス」というカタカナの音に対応させるためにローマ字でSumisuと綴ります。

(子どもの頭の中)Smith→「スミス」→Sumisu

カタカナで置き換えて覚えている限り、永遠に正しい綴りであるSmithにはたどり着けません。

カタカナで単語を覚える弊害はもう一つあります。それは、本来の音節の数と違う数で音をとらえるようになり、その単語を音で聴いても認識できなくなることです。

英語のSmithは1音節(1つの音の塊)で一気に読まれます。ところが「スミス」とカタカナ読みすると3音節として脳に記憶されます。ネイティブがSmithと発音したときに、記憶の音の数と異なるため正しく聴き取れません。

このように英単語を覚えるときにカタカナで覚えてしまうと綴りをローマ字化してしまったり、リスニングが苦手になったりします。

正しい英語の発音をしていないから

英語と日本語では音の数と種類が異なります。だから英語を日本語の音で読むことは「やってはいけない」というより、不可能です。

例えば、カタカナの「ス」に変換される英語の音には「s」「th」のふたつの音があります。しかし、これらはまったく異なる音で綴りでもはっきりと区別されています。

【th】の音を出すときは、上下の歯のすき間に舌先を軽く挟んで、空気を出すことで音を出します。【s】は上下の歯は合わせた状態で、歯のすき間から空気を出します。

まったく異なるふたつの音をカタカナの「ス」にまとめるのが、どれだけ馬鹿馬鹿しいことかわかっていただけたでしょうか。

英語を書くときに「音読」していないから

子どもが英語をノートに書くときは「お手本を写す」ことがほとんどです。例えば先生が黒板に書いた英語やテキストに書いてある英文を写すときが相当します。

そのときに一文字ずつ確認しながら写しているとしたら、それは英語の音も意味もまったくわかっていない証拠です。

英語のできる子どもが「He likes a hamburger very much.」という文を写すとき、まず一文を音読します。このときの音読はぶつぶつ小声でつぶやく程度か、声には出さなくても頭の中で音声化されます。もちろん内容に即した映像が頭の中で再生されています。

そして一気にその一文をブツブツつぶやきながら紙に書いていきます。文章が長くなればときどき本文を見直すこともあるでしょう。しかし、この程度の長さなら一気に写せます。

このとき必要な能力は総合力です。英語を英語の音で発音できて、それに対応する綴りも覚え、文法を理解していなければこのような写し方はできません。

「正しい音読をして(インプット)、それを音声で出しながらそれに対応した英語を紙に書く(アウトプット)」ことができる子どもは英語の理解力が高いです。

正しい「ぶつぶつライティング」を身につけよう

初心者には一文を一気に覚えて紙に書くのはハードルが高いでしょう。その場合には、もっといい方法があります。英語初心者でも効果的な学習を可能にする「たった一つの習慣」を紹介します。

それは英語を書くとき(写すとき)は、必ずぶつぶつとつぶやくことです。私は「ぶつぶつライティング」と呼んでいます。「ぶつぶつライティング」はとてもシンプルな習慣ですが効果は絶大です。コツがふたつあるので解説します。

正しい発音を心がけること

まず、「正しい発音を心がけること」がポイントです。カタカナではなく、英語の音で正しい発音をしようと努力することです。

ネイティブ並みの発音にする必要はありません。しかし、日本語の音(カタカナに置き換えた音)ではいけません。少なくとも自分では英語独自の音をきちんと出そうと努力することが大切です。

【θ】の他にも【f】【v】【l】【r】など特に注意しなければならない音があります。できるだけ理想の音に近づけるように子どもに意識させましょう。

音節単位でつぶやきながら単語を書く

つぶやきながら英語を書くときにはもう一つコツがあります。それは「音節単位」で読みながら書くことです。少々わかりにくいので「international(国際的な)」を例に挙げながら、理想的な「ぶつぶつライティング」を解説します。

(ダメな例)

internationalと一気に読む→internationalと無言でノートに写す

これでは音と綴りの関係を確認しながら書くことができません。

(良い例)

inと読みながらinと書く。
terと読みながらterと書く。
naと読みながらnaと書く。
tionと読みながらtionと書く。
alと読みながらalと書く。

このように音節(一気に読まれる音の単位)で区切りながら、ブツブツ読んで写すのが理想です。音節については辞書通りに厳密に分けなくても、おおまかな感覚でかまいません。

naの箇所はアクセントの位置なので、ブツブツつぶやくときも強めに読むように心がけます。

上記のように「正しい発音」で「音節ごとにつぶやきながら」写す習慣をつけるだけで、英語力はメキメキと向上します。

自分の感覚と本物の英語との違いに何度も気づく

正しい方法で「ぶつぶつライティング」を続けると、自分が思い込んでいた音と綴りの間違いに何度も気づくようになります。

例えば、アルファベットの「u」はローマ字では「ウ」として置き換えられるため、「ウ」という音を出すと認識する初心者はとても多いです。実際はアルファベットの「u」は喉奥で出される強い「ア」として発音されることがかなりあります。

umbrellaという単語とイラストがあったとします。子どもは傘を「アンブレラ」の音で覚えています。ぶつぶつライティングをしながら、この単語を書くとき頭の中では次のようなことを考えます。

umと読みながらumと書く→「uはアと読むのか…、それに次はnじゃなくてmか」
breと読みながらbreと書く→「レの部分はrか」(rの発音に気をつける)
llaと読みながらllaと書く→「ラはlがふたつか!」(lの発音にも気をつける)

(umbrellaの本当の音節はum・brel・laですが、感覚を優先しています)

この「すり合わせ作業」を何度も繰り返すことによって、正しい綴りを自動的に身につけられる仕組みです。

黒板の英文をノートに写す機会を無駄にしない

中学や高校で英語の授業を受けるとき、ノートやワークブックに英語を書く(写す)機会はたくさんあります。そのときに「ぶつぶつライティング」を続けた子どもと無言のまま文字を書き写しているだけの子どもでは相当な英語力に差が出ます。

授業中、声に出すことがはばかられるのであれば唇が動く程度に「ぶつぶつ」つぶやけばいいのです。書く時間すべてを「音声」と結び付ける作業をするだけで、そうでないときの何倍も濃密な学習効果を得られます。

さらに効果を高めたければ、英文を書いたあと目を離してもう一度口頭で英文をつぶやきます。そのときにその英文の意味に沿った状況をイメージしたり感情移入したりします。そしてその言葉を相手に言われたと仮定して、それに対する応答までを考えます。

例えば、You are too young to drive.(あなたは若すぎて車を運転できません)を写したら、顔を上げて口頭でこの英文を復唱します。

そのときに親が子どもに諭すように読みます。さらに自分が言われたときの反論まで考えます。When can I drive, then? (じゃあ、いつ車を運転できるの) という具合です。

ここまで深く学ぶ習慣をつけると、英文を単に読みあげるだけでなく会話の練習もしていることになります。

「ぶつぶつライティング」はただの習慣です。しかし、このたった一つの習慣が将来の英語力に大きな影響を与えます。お母さんは学習初期の段階から、この「ぶつぶつライティング」を習慣づけするように子どもにアドバイスをしましょう。

まとめ

ノートに英語を写す機会はたくさんあります。そのときに子どもが黙々と書いていたら要注意です。なぜならそのままでは英語の正しい綴りをいつまでも書けない可能性が高いからです。

私のおすすめは「ぶつぶつライティング」です。単語の音節ごとに正しい発音で読み上げながら綴りを書き写すだけです。たったこれだけの習慣で、自分の間違っていた音や綴りを何度も繰り返し確認できます。

中学校や高校に進むと英文をノートやワークブックに書く機会はとても多いです。その時間を最大限に効果的にするために、小学生の頃から「ぶつぶつライティング」の習慣をつけさせましょう。

頭の中の思考法・思考内容をコントロールできるのは子ども本人だけです。常に意識づけをしてあげて、習慣化されるまで続ける根気が必要です。

正しく音読していると書く練習をしなくてもスペリングを覚えてしまいます。そのための方法はこちらで紹介しています。

英語の勉強になる子供向け映画DVD:「英語と外国文化や歴史」を学ぼう!

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街の本屋さんの語学コーナーに行くと、海外ドラマや映画DVDを英語教材にした学習本が増えています。ネイティブの英語を楽しみながら学べるので、需要があるのでしょう。

また英語を学ぶ目標として「映画を字幕なしで楽しむこと」を挙げる人はとても多いです。映画と英語は相性がいいのです。

子どもの英語教材としても映画はおすすめです。しかし、子どもの英語のレベルは高くないので、ネイティブのセリフを聞き取るにはハードルが高すぎます。すべてのセリフを聞き取ろうとせずに、印象的なセリフに絞って学習したほうがうまくいきます。

英語以外でも、映画は「外国の文化・歴史・生活習慣」を学ぶ絶好の機会です。映画の舞台は現代だけでなく過去の出来事も舞台になるので歴史も学べます。

子どもの英語学習に向いている映画を探すにはコツがあります。それについても詳しく解説するので、参考にしてください。

子どもと映画を観よう

夏休みなどの長期休暇中「子どもに何か有意義なことをさせたい」と考えるお母さんは多いです。しかし、良いアイデアが思い浮かばずに、結局ダラダラと過ごしてしまう経験はありませんか。

私のおすすめは「子どもと良い映画を観ること」です。「夏休み中に15本映画を観て、30個のセリフを覚える」と具体的な目標を立てて実行できたら、充分に有意義な時間を過ごしたといえるでしょう。

映画のあと親子で映画について話し合い感想を述べるのは、議論の練習になります。映画で得た知識は将来英語圏の人と雑談するときにとても助かります。共通の映画で盛り上がったり意見交換できたりしたときは、映画を観ていて良かったと思います。

まず、映画ノートを一冊用意しましょう。子どもにタイトル(邦題と原題)を上に書かせて、観た日付を記入(英語で)させます。タイトルに知らない単語があったら、意味を調べさせましょう。ここまで準備できたら、あとはメモを取るだけです。

映画は英語圏の文化や習慣を学べる最高の教材

英語圏の国での文化・習慣について深く学ぶ教材として、映画は優れています。例えば、子ども向けの定番映画として『ホーム・アローン』があります。

「子どもが一人で家にいる」ことは日本ではそれほど珍しくありません。しかし、アメリカでは13歳未満の子どもを13歳以上の監督なしに一人にさせてはいけない」法律があるため、深刻度が違います。

よく中高生がアルバイトでベビーシッターをするシーンがアメリカのドラマで見られますが、そのような背景があるからです。それがわかると、「子どもを家でひとりにして家族が旅行に行ってしまった」のは日本以上に大事件であることを理解できます。

クリスマスは家族が集う機会でもあるので、皆が再開できるハッピーエンドはまさにクリスマスのテーマそのものです。

このように外国の文化や習慣を疑似体験できるのが、映画の良いところです。子どもと映画を観たあとはこのような豆知識を教えてあげると、子どもの教養レベルは高くなります。

このような雑学もノートにメモしておくと、知識が定着して忘れにくくなります。

好きなセリフを英語字幕で確認しよう

英語の映画ならもちろん英語を学べます。小学生で映画のセリフをすべて理解させるのはほとんど不可能です。そこで、子どもが印象に残った場面のセリフだけを1つか2つ選んでノートに記録してはどうでしょうか。

例えば『オズの魔法使』なら、最後のドロシーのセリフ“There’s no place like home.”(やっぱりおうちが一番)だけ、字幕表示を利用してノートに写します。

そしてそのセリフが読まれるときの役者のマネをして何度も音読します。映画を観終わった直後は特に登場人物に感情移入できます。シーンを思い浮かべながら気持ちを込めてセリフを繰り返すのがコツです。

応用で言葉の一部を置き換えてみるのもいい訓練です。“There’s no place like Disneyland.”(ディズニーランドが一番)のように子どもの考えや経験に合致した英文にしたほうが、頭に残りやすいです。

定額オンデマンドサービスが充実

映画はDVDでもいいし、定額オンデマンドサービスを利用してもいいです。大手のNetflixでは字幕や音声を切り替えられる機能があり、英語学習に重宝します。
字幕機能

レンタルだと返却日が気になります。返却も天気が悪かったりすると面倒です。その点、いつでも見られるオンデマンドサービスはとても便利です。

まだ利用していない人は最初の1か月はたいてい無料で利用できるので、この機会に試してみるといいでしょう。

どうやって子どもと楽しめる映画を見つけるか

映画が子どもの英語学習に役立つのはわかっていただけたと思います。しかし、たくさんのタイトルの中から「子どもの英語学習に適した映画」を選ぶのは簡単ではありません。

私もネットで「評判」を検索して探していた時期がありました。しかし、実際に見てみると評判ほど楽しくなかったり、英語学習の観点からは今ひとつだったりしたこともありました。

ディズニーのアニメならほぼ間違いないのでしょうが、毎回同じようなテイストだとやはり飽きてしまいます。

そこで活用したいのが「映画ガイドブック」です。

もっと簡単に英語の動画を楽しみたいなら、こちらの勉強法がオススメです

一冊揃えると超便利! 映画紹介本

限られた期間にできるだけ質の高い「子どもの英語学習に適した映画」をたくさん見るためには、やはり行き当たりばったりでは駄目です。そこで便利なのが映画ガイドブックです。

先生が薦める『英語学習のための特選映画100選』小学生編

私も1冊購入して大変便利だと感じたのは『英語学習のための特選映画100選(小学生編)』です。
英語紹介本
映画の基本情報はもちろん、英語学習の観点から役立つ情報がぎっしりと詰まっています。

執筆者は多数いますが、すべての映画は共通のフォーマットで構成されています。「セリフ紹介」「ふれあいポイント」「あらすじ」「映画情報」「おすすめの理由」「授業での留意点」「映画の背景と見所」「リスニング難易表」などです。

これらのうち「リスニング難易表」「セリフ紹介」「授業での留意点」について詳述します。

「リスニングの難易表」は便利

すべての映画には「リスニング難易表」があります。9個の評価項目があります。具体的には「会話スピード」「発音の明瞭さ」「アメリカ訛」「外国訛」「語彙」「専門用語」「ジョーク」「スラング」「文法」です。

それぞれ5段階で評価されていて、標準は3です。「スラング」は使用頻度が少ないと数字は小さくなります。「文法」はルールに忠実なほうが小さい数字です。初心者ほど数字が小さいものを選ぶとよいといえます。

この表をざっと眺めるだけで、子どものレベルに合った映画を選べるのでとても便利です。この本はもともと小学生編なので、はじめから難解な映画は含まれていません。でも作品によって難易度にかなりばらつきがあります。

「セリフ紹介」と「授業での留意点」

学校の先生用に執筆された本なので、「セリフの紹介」と「授業での留意点」が詳しく書いてあります。

ここに掲載されている情報はかなり詳細で、大人が読んでも勉強になります。何度も観たこともある映画でも新しい見方を与えてくれるので、もう一度観てみたい気持ちにさせてくれます。

全部を子どもに教えようとすると勉強臭がするので、教える内容は絞りましょう。

例えば、『アニー』の舞台は、1933年のニューヨークです。当時1929年に起こった世界大恐慌の影響で、経済はどん底でした。

1933年に米国大統領となったフランクリン・D・ルーズベルトは「ニューディール政策」と呼ばれる公共事業の拡大により失業率を改善して経済危機を乗り切りました。

中学校や高校の歴史でも登場しますが、子ども向けの映画で予習できるのは素晴らしいです。日本でも毎年人気のミュージカルなので、子どもが気に入ったら舞台を見せてあげても喜びそうです。

ちなみにアメリカの歴史上もう一人ルーズベルト大統領がいます。第26代大統領のセオドア・ルーズベルトです。映画『ナイトミュージアム』に登場します。

歌にも注目

映画と主題歌は切っても切り離せないものです。もし子どもが口ずさんだら、歌の一部でもいいので歌ってみましょう。

『アニー』ならTomorrow、『オズの魔法使』ならOver the Rainbowです。ノートに歌詞の一部を記入します。

Tomorrow, tomorrow, I love ya, tomorrow
You’re always a day away!

これだけ歌えるだけでも、子どもはうれしくなります。この部分はリフレイン(繰り返し)になっているから、満足度も高いです。上手に歌えたらほめてあげましょう。

私のおススメ映画

本の中では紹介されていませんでしたが、私が子どもと観ておもしろかった映画を一つ紹介します。たまたま観た映画で、今まで存在すら知りませんでした。邦題のつけ方を失敗しています。

「笑えて感動して泣けてくる」三拍子揃った映画『飛べ、バージル/ プロジェクトX』です。ぜひ、家族みんなで鑑賞してください。

・飛べ、バージル/ プロジェクトX

手話で人間の言葉を覚えたチンパンジーのバージルが、空軍の秘密プロジェクトに参加します。ところがそのプロジェクトは核戦争を想定したチンパンジーに爆撃機を操縦訓練させるものでした。

被ばくしてからどれくらい飛行できるかを実験するために次々に犠牲になるチンパンジーを救うために、若者2人が協力します。

冒頭で研究者がチンパンジーに言葉(英語)を教えるシーンがあります。チンパンジーにわかるように話す英語は、当然とてもわかりやすいです。英語を覚えたての子どもでも、理解できる英語が続くので楽しめます。

時代背景として、「米国とソビエト連邦が冷戦関係にあった」歴史を子どもに教えてあげる必要があります。そうしないと、なぜアメリカはチンパンジーを虐待しなければならなかったのか理解できないでしょう。

子ども向けの映画からでも深い教養を身につけられるのが映画のいいところです。

まとめ

もし子どもに夏休みを有意義に過ごさせるなら、英語の映画を観てみましょう。映画で印象に残ったセリフを英語で抜き出して、それを暗唱します。また、興味を持った生活習慣や文化などについて調べるのも大変勉強になります。

子ども向けの映画を選ぶのは難しいので、英語学習向けの映画ガイドブックを手元に用意するととても便利です。選ぶ段階ではリスニングの難易度について細かい指標があるので、役に立ちます。

その映画の時代背景や登場人物について子どもが調べるヒントを与えてあげると、海外や歴史に興味をもつきっかけになります。

観終わったあと親子で映画について語り合うのは、子どもにとってとてもいい勉強になります。親子で良い映画をたくさん見て、英語や外国の文化や歴史について学びましょう。

知る人ぞ知る「英語発音検定」を受験しました

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「英語の発音が悪いので、子どもの前であまり英語を話せない」と発音に苦手意識を持っているお母さんはいませんか? 発音に自信のない日本人はかなりいますが、私は「あまり気にしなくてもよい」と感じます。

日本人が目指すべきは「相手がストレスなく聴き取れる」発音を身につけることであり、ネイティブのような発音ではありません。あなたの英語の発音が悪くても、その後の学習過程で他人の英語をたくさん聞くので心配し過ぎなくても大丈夫です。

ただ、これまで自分の発音を客観的に測定してもらったことのあるお母さんはほとんどいないでしょう。また、子どもの英語を聞いていて「何か違う」と感じていても、どこをどのように改善したらいいのかよくわからないお母さんもいるはずです。

今回紹介するのは「英語発音検定試験」です。初耳のお母さんがほとんどと思いますが、2012年に発足した国際英語発音協会が主催する英語の発音に特化した試験です。

内容的に英検3級レベルから受験可能です。英語学習中の子どもはもちろん、子どもに絵本を読み聞かせ中のお母さんも一度受験しておくと、その後の発音改善の大きなヒントを得られます。

せっかくなので私も「英語発音検定試験」を実際に受験してみました。その体験記と併せて「英語発音検定試験」について解説します。

英語発音検定とは

ほとんどのお母さんは「英語発音検定試験(以下、発検)」について聞いたことがないはずです。実は私も知人に教えてもらうまで、一度も聞いたことがありませんでした。

英検やその他の検定試験と比較して、発検は「進学や就職で有利になるもの」ではありません。外に向けてアピールするのではなく、「自分の英語の発音をより改善するための指針を示すもの」です。

知名度の低い検定試験なので、はじめに概要を説明します。

主催団体

発検の主催団体は「一般社団法人 国際英語発音協会(English Pronunciation Association)」です。2012年に設立された比較的新しい団体で、ホームページを見るととてもシンプルです。

英語発音検定

大阪に所在地があり、顧問の中には大手予備校のカリスマ講師として有名な安河内哲也さんがいらっしゃいます(俳優の大泉 洋さんそっくりです)。

設立の趣旨

国際英語発音協会サイトのトップページに設立の趣旨が掲載されているので、一部を引用します。

主たる活動は英語発音検定試験(EPT)の実施及び英語発音指導士®の養成、認定です。 近年、英語教育の中でもスピーキングの重要性がクローズアップされています。しかし、そのスピーキングの基礎となる「英語発音」、「イントネーション」、「相手に通じるかどうか」のレベルを確認する手段が限られていました。結果として、自身の弱点を理解し、レベルアップのポイントを見つけることが難しいという声を耳にします。 当協会の発音検定は「ネイティブスピーカーにとっての聞き取り易さ」を出来るだけ客観的に判定し、受験者の長所、短所をお示しすることに主眼をおいています。 世の中に英語発音のメソッド、指導者は数多く存在します。しかし、指導者の発音レベル、指導方法について一定レベルに達した方を指導者として認定する機関はありませんでした。 当協会は特定の発音メソッド、指導方法を推奨する機関ではありません。一定レベルの英語発音を備えた方を対象に研修を通じ英語発音指導の要領を理解いただき、研修終了者を英語発音指導士®として認定します。

国際英語発音協会サイトより一部引用

「検定試験の実施」と「英語発音指導士の養成・認定」が活動内容の2本柱です。英語教育に携わる人以外、後者は関係ありません。

確かに英語の発音だけにフォーカスして、指導者の発音レベルや指導法について認定する機関は他に聞いたことがありません。

小学校でも英語教育が実施されている中で、小学校の先生もこの資格を取得しておけば保護者も安心して英語教育を任してくれるようになるかもしれません。何よりも自分が自信を持って大きな声で英語を話せるようになるのがメリットです。

試験の形態

肝心の検定試験には、3つの受験形態があります。

*会場受験

東京または大阪、いずれかの会場で決められた時間に受験をします。

*オンライン受験

会場受験が難しい人のためのSkypeを使用した試験です。

*団体特別受験

書類審査で事前に認可された団体が指定した日時や会場で受験できるシステムです。最低5名から可能です。

会場受験 オンライン受験 団体特別受験
場所 東京または大阪 自宅で受験可能 団体が指定
日時 協会が指定した日時 リストから自分で選ぶ 団体が指定
費用(税込)

*前払い

4,860円

詳細審査は9,720円

4,860円

詳細審査は9,720円

4,860円
必要なもの 身分証明書 身分証明書 身分証明書
備考 年3回開催 パソコン、ヘッドセット、インターネット環境が必要

PayPalによるカード決済も可能

5名以上から受験可能

上記の表で確認できるとおり、オンライン受験が最も手軽でおすすめです。試験時間は5分強で終了するので、そのためにわざわざ遠方から会場まで移動するのはおっくうです。

2つの試験と評価について

「発検(English Pronunciation Test:EPT)」は初見文、課題文などを音読する形式のテストです。「〇級合格・不合格」ではなく、100点満点で測定されます。

2018年2月からは英語初心者のために「EPT Basic」が開始されました。英検3級程度のレベルなら、EPT Basicを選びましょう。

EPT EPT Basic
対象レベル 150文字ほどの英文を初見で読める力のある人 例題の単語と簡単な英会話が読める方
問題1 簡単な英語の質問に答える 簡単な英語の質問に答える
問題2 アルファベットの読み上げ アルファベットの読み上げ
問題3 短い会話文 単語ペアを15個音読
問題4 初見の英文(100ワード強)を30秒間黙読してから音読 単語15個を音読
問題5 課題文3つのうちから1つを指定されて音読 会話文を音読
問題6 フレーズを10個音読

ホームページから評価ポイントを引用してみます。

特定地域のアクセント(アメリカ英語など)に限定せず、いかに多くの聞き手にとって分かりやすく自然に発話されているかを、個々の発音、リズム、イントネーションなどの側面から多角的に判定します。試験終了後にはスコアと共にコメントを付けてお送りしますので、今後の学習に役立てることができます。

 

国際英語発音協会サイトより引用

つまり、ネイティブのように発音することではなく、多くの聞き手にとってわかりやすく自然に発話されているかが評価されます。国際語として英語を使うときには、とても大切な観点でありきちんとツボを押さえていると感じました。

###英検3級ならEPT Basicがおすすめ

子どもが英語を学んで小学校6年生までに英検3級を取得できたら、大成功といえるでしょう。一般的に英検3級は中学校卒業時に到達しているのが望ましいとされているレベルです。

普通の小学生にはハードルが高いですが、もしこのレベルに到達しているなら一度EPT Basicを受験してみることをおすすめします。

発音に関しては大人になってからよりも、若いうちに修正したほうが圧倒的に短時間で済むからです。目的はノンネイティブの人々にもきちんと伝わる英語の発音を身につけることです。

中学に行く前に客観的に自分の発音の評価をしてもらえば、早い段階でより理想的な発音ができるようになります。

EPTでもEPT Basicでも、スコアと一緒にコメントがつくので学習に役立てることができます。より詳細なレポートが欲しい場合は、「詳細審査」が可能です。ただし、受験料は2倍になるので普通の学習者には不要でしょう。

オンライン受験体験記

知人から「発検」の存在を聞き好奇心がムクムクと沸き上がった私は、すぐに申し込みを決意しました。EPTの詳細審査で受験料は9,720円でした。詳細審査にしたのはより細かいレポートが欲しかったからです。

会場受験でも良かったのですが、時間節約のためにオンライン受験を選びました。

予約方法

国際英語発音協会のサイトから受験予約はできます。支払いは口座振替またはPayPalの決済システムを利用してクレジットカードでの決済も可能です(オンライン受験のみ)。

申込と支払いが終わると登録したe-mailのアドレスに「発検受験受付完了のお知らせ」のタイトルでメールが届きます。そこに指定されたスカイプ名にリクエストするように指示がありました。

スカイプを使用する

オンライン英会話と同じく、Skype(スカイプ)というテレビ電話機能を持つアプリケーションを使用します。そのためインターネット環境とヘッドセット(下の写真参照:またはマイク付きのイヤホン)は必須です。

画面共有により問題文を見る都合上、画面の小さいスマートフォンでの受験はやめたほうがいいです。最低でも画面の大きなタブレットかパソコンが必要です。

スカイプでは「音声だけで会話をする」か「映像と音声で会話をするか」選べます。発検では必ず映像+音声を選びます。受験生から試験官の顔は見えませんが、身分証明書の提示や画面共有機能を使うために映像が映るようにしなければいけません。

準備

数日前から3つの課題文の音読を練習しました。このうちの1つが出題されます。難解な英語は一切ありませんが、数字がところどころに登場したり、日本人に馴染みの薄い固有名詞(アメリカの都市名など)がちりばめられていたりします。

国際英語発音協会のサイト上には米国人男性と英国人女性による録音のサンプルがそれぞれの課題文にあります。私は米国人男性の音声を参考にして、それぞれ4回ずつ音読練習しました。これを3日間続けたので、ひとつの課題文につき12回練習したことになります。

普段なら問題なく読める英文です。しかし「パーフェクトに読みたい」気持ちが強くプレッシャーがかかるので、簡単な箇所でも詰まることがあります。モデルの音読スピードは比較的ゆっくりでした。それに合わせて飛ばし過ぎないようにセーブしながら練習しました。

当日

試験10分前にスタンバイを完了しました。始まるまでの時間は長く感じます。開始時間ちょうどにスカイプにコールが入りました。女性の声が聞こえ、身分証明書の提示を求められました。カメラに免許証を近づけて終了です。

試験は画面共有(双方で同じ画面が見られる)機能を使って、問題文を提示されます。始めは簡単な英語の質問に英語で答える問題です(ごく初歩レベルです)。名前と今日の日付は高確率で質問されるので、間違えないようにしましょう。

アルファベットがランダムに並べてあるものを一文字ずつ読みあげる問題は、簡単すぎてかえって緊張します。アルファベットを真面目に音読する機会はほとんどないので、脇汗が流れるのを感じました。

その後対話文を読みますがこれは難なく終了。疑問文のイントネーションを確認しているのでしょう。

続いて初見の英文の音読です。100文字強の長さの文章を最初に30秒黙読します。その後、音読を開始します。

「100文字を30秒で黙読する」を1分間で換算すると200文字のペースで黙読しなければならないことになります。かなりの英語上級者でないと最後まで読み切るのは不可能なペースです。

黙読の段階で確認しておくことは、「何の話か」「読みづらい単語はないか」くらいが精一杯です。

意識して大きめの声と落ち着いたスピードで音読することを心がけました。目立った失敗はなかったので、「実力は出せたかな」と感じました。

課題文は準備までに練習を積んだので問題なく読めました。

「結果は2週間以内にメールでお知らせします」と伝えられて、試験は終了しました。所要時間は6分程度でした。あっという間です。

こんなにすぐに終わるなら会場受験するメリットを感じられません。オンライン受験にして正解でした。

結果発表

受験からピッタリ2週間でメールにPDFが添付される形で結果が届きました。
発音検定スコア

スコアは85点(ハイレベル)。あと1点取れていれば「指導者レベル」だったので残念です。
発音検定スコアの見方
私はオプションで詳細審査をつけたので、細かいレポートがついてきました。

これによると、「母音のアの区別があいまい」なのと「アクセントの箇所をもう少し長めに発音する」の2点が指摘されていました。薄々は自分の弱点を感じていましたが、他の人からキチンと指摘されたので今後の参考になりました。

ちなみに、英検1級の2次試験に合格したときの成績表では発音の項目は9/10でしたので、かなり正確に評価されていると感じました。

音読トレーニングをしていれば、発音やイントネーションは上手になります

英語発音検定の活用方法

英語発音検定の受験動機は主に2つあります。ひとつは学習者が英語の発音を良くするヒントを得るためです。子どもやお母さんが受験するのはこのケースです。

もう一つは、主に英語を教える立場の人が「英語発音指導士」の資格取得を目的に受験するケースです。90点以上のハイスコアを出した人だけが受講できる講座を受けたのちに資格を得られます。

英語が得意な子どもが受験した場合の活用方法

英検3級相当の子どもが「発検」を受験した場合、スコアそのものに一喜一憂する必要はありません。そうではなくて認定証に掲載された「通じにくい音」「間違って発音されている音」を自覚できることに価値はあります。

th

例えば上記の記号に赤字が入っていれば、thanks, three, Thursdayなどの発音が苦手であることがわかります。今後はこの音を意識して矯正していけば効率良く発音を改善できます。

「子どもに英語絵本の音読をしてみたい」というお母さんにも「発検」はおすすめです。直したほうがいい発音のポイントが客観的にわかれば改善できるからです。また、自己評価よりもよいスコアであれば自信につなげることができます。

ちなみに、スコアが86点以上は「指導者レベル」、71~85は「ハイレベル」、56~70「英語発話学習者平均レベル」とサイトで紹介されています。

子どもの受験者とお母さんなら「56~70点を目安に」頑張ってみましょう。

まとめ

英語関連の資格試験としてはかなりマイナーな「英語発音検定試験」は、比較的新しく発足した「国際英語発音協会」が主催しています。サイトでも述べられている通り、ネイティブのような発音ではなく、「誰にでも通じる発音」を目標に設定されています。

受験には「会場受験」「オンライン受験」「団体特別受験」の3つの形態があります。個人で受験するなら私のおすすめは「オンライン受験」です。理由は日時が選べて自宅で受験できるからです。

試験は受験者のレベルに合わせて、「EPT」または「EPT Basic(初心者向け)」のどちらかを選択します。

私は前者を実際に受験してみました。簡単な文章でも、読み間違えに細心の注意を払うので意外と緊張します。試験時間は6分程度であっという間に終了します。結果は2週間以内に通知されます。

認定証には受験者の発音の弱点や誤りにチェックが入るので、今後の自分の発音矯正にとても役立ちます。子どもだけでなくお母さんも受験してみると、子どもの前でも堂々と英語を発音できるようになるのでおすすめです。

発音は意識しないと改善されません。「発検」を受験することで、自分の発音に意識を向けるきっかけになります。気軽に受けられる試験なので、子どもと一緒にお母さんも受験してみましょう。

小学生にも使える!「中学英語教科書」の実力とは?

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学生の頃、私は英語教材マニアでした。目新しい「〇〇メソッド」のようなタイトルを見つけたらほとんど何も考えずに購入しました。そして使用してしばらくすると、気づくことが2点ありました。

ひとつ目は、どんな教材にも「一つくらいは役立つ情報がある」ことです。その中のいくつかは今でも私の英語学習に影響を与えているものもあります。1500円くらいの本で一生使える情報が得られるなら悪い話ではありません。

そして、もうひとつ気づいたのは「中学の英語教科書は完成度が段違いである」ことでした。義務教育のときに「無料」で配布された教科書のほうが、自腹で購入したものよりレベルがはるかに高いのです。
中学英語教科書

通常高いお金を払えば払うほど「良い買い物をした」バイアス(思い込み)がかかります。「学校の教科書より、最新のこの〇〇メソッドのほうが優れている」と思いたいのが普通です。それにもかかわらず、学校教科書のほうが優れていると認めざるを得ないのです。

私がこのことを痛感したのは、15年前にベトナム語を勉強しようとしたときでした。当時はわかりやすいテキストがほとんどなく、大型の書店に行っても辞書と参考書合わせて10冊未満でした。

マイナー言語のテキストや辞書は、巨大な英語市場の教材と比べると、内容も作り込みのレベルもお話にならないほどお粗末です。英語教科書に該当する存在は、マイナー言語にはありません。

今回の記事では中学校で使用されている「英語教科書」が抜群に優れている理由を説明します。小学生の子どももすぐに中学に入学します。

子どもは無料で配られる教科書にありがたみを感じなくなっています。そんなときにはお母さんが「実は英語教科書っていうのはね…」とその価値を説明してあげましょう。子どもの英語への取り組み姿勢に影響することは間違いありません。

文法を体系的に学ぶ教材としては最高峰

学校英語教育を批判するときにやり玉にあがるもののひとつは「英語教科書」です。

「人生で一度も使ったことないThis is a pen.を教えている」とか「ネイティブでも使わない古い表現がある」という内容です(ちなみに私はThis is a pen. を実際の場面で一度だけ使いました)。

このような批判を聞くたびに私は「わかってないな」と感じます。もちろん教科書は完全無欠ではありません。しかし、英語教科書の完成度は語学教材において間違いなく最高レベルです。

英語以外の言語に興味を持って学習したことのある人ならわかりますが、英語教科書のレベルに達している教材は見たことがありません。

では、どのような点において学校の英語教科書は優れているのかについて具体的に説明します。

語彙・文法が「積み上げ式」

まず、「語彙・文法が積み上げ式である」ことです。例えばLesson 3の内容を見ると、Lesson 1~2までの内容と、今回新しく学ぶ内容だけで構成されています。それ以外のところからは単語も文法も使われていないのです。

英語教科書イメージ

これは算数の教科書の発想に似ています。足し算・引き算を学んだあとに、掛け算を学びます。足し算を学んでいる部分に、掛け算が混ざることはありません。

イギリスの有名な出版社から出ているESL(第二言語としての英語)教材を見ると、be動詞の疑問文のところにはいきなり疑問詞(What, Were, Whoなど)が登場します。これは日本の教科書ではありえません。

日本の教科書は学習者が一歩一歩学べることに重点を置いています。一方、海外の教材では内容を重視していて、そのターゲットの文法が自然に使われるシチュエーションを優先しています。そのため、純粋に積み上げ式で構成するのはほぼ不可能です。

どちらの教科書を使っても成果は出ているので、一概に白黒つけられるものではありません。

しかし、世の中の英語教材のほとんどは「シチュエーション型」で構成されていいます。積み上げ式で一歩ずつ英語を理解したい人にとっては、日本の英語教科書は唯一無二の教材です。

完璧に正しい

文部科学省の検定をパスしている教科書の編集には、多くの大学教授やネイティブが携わっています。彼らの目で何十ものチェックをパスしているので、使用されている英語表現に間違いはありません。

使用されている表現の中にはたしかに一般的ではない表現もあります。例えば、中学1年の英語教科書の最初にはおなじみの会話が掲載されています。

How are you?
I’m fine, thank you.  And you?

ネイティブにこの表現を見せると、「ダサい」とか「野暮ったい」と感じます。それを知った日本人は「もっとイケてる表現を教えるべきだ」と主張します。

How are you?
I feel good, because….

How are you? に対する答え方は複数考えられます。I feel good, because…. と答えれば、確かに自然な会話になるでしょう。しかし、一般動詞feelをSVCで使用するのは中2から学習します。さらにbecause(接続詞)もまだ学習していません。

自然でイケてる表現をストレートに掲載することが本当に英語初心者のためになるでしょうか?

英語教科書の編集に関わっている人達は「専門家」です。この英語があまり自然ではないことくらい百も承知です。しかし、彼らは生徒達が最もシンプルな形で英語の挨拶を覚えられるように配慮しているのです。「基本形」を覚えておけばあとで応用も効くので、まったく無駄ではありません。

例えるなら、赤ちゃんに最初に食べさせる離乳食のようなものです。離乳食を大人が食べてもおいしいとは感じません。しかし、衛生的で消化にいいもので添加物がほとんどないものです。赤ちゃんには最適です。

成長に合わせて少しずつ大人が食べるようなものを口にしていきます。物事には段階があるのです。

このことを知らずに「不自然だ」という理由だけで教科書を批判するのは、的外れと言わざるを得ません。

周辺教材が充実

中学生の頃、「教科書ガイド」にお世話になったお母さんは多いはずです。和訳が載っているのでそこに価値を感じて購入していたのではないでしょうか。

しかし、最近の英語の授業では和訳を求めるような場面はすっかり少なくなりました。では、「教科書ガイド」の価値は無くなったかといえば、そんなことはありません。

とにかく解説が豊富で、想定される質問のほぼすべてを網羅しています。大人で英語をやり直したいなら、教科書は使わずに「教科書ガイド」だけで学習を進められるほどです。

ひとつだけ難点を挙げると、読み方(発音)がカタカナ表記であることです。ここはやはり、最初の段階で英語の音で正しく覚えないと、永遠にカタカナ読みの呪縛から逃れられません。

わかりやすさを優先しすぎて(カタカナ表記)、学ばせるべき課題(正しい発音・フォニックス)から目をそらしすぎです。

もうひとつ必要なのはCDです。「教科書ガイド」と別売りになっていて、ふたつ揃えると5000円近くしますが、これは絶対に買ったほうがいいです。

よく「日本人英語教師の発音は悪い」と批判されています。それなら付属CDを聞けばいいだけです。CDやテープが存在しなかった大昔と違って簡単に解決できるのに、批判する意味がわかりません。

本文の音読部分だけ再生デバイスにコピーしておくと、より手軽に再生できます。できればスマホの再生アプリを利用して再生速度を変えられるようにしておくと、音読練習に便利です。

最後に「ワークブック(教科書に準拠した文法の問題集)」を揃えれば、教科書だけでは不足する問題数を補えます。ワークブックは学校の副教材で購入することが多いです。

余談ですが、英語教師が定期テストを作成するときは、ワークブックを参考にすることが多いです(私はそうでした)。毎回、オリジナルの問題は作るのは本当に面倒です。だからワークブックの問題をちょっとだけアレンジして作成するのが普通です。

生徒の立場から見れば、ワークブックをしっかり学習するだけで定期テスト対策は充分です。

このように教科書を中心として、「教科書ガイド」「付属CD」「ワークブック」の3点を揃えると、文法・語法の解説、ネイティブの音声、充実した文法問題が揃います。真剣に学習すれば、わからないことはほぼゼロの状態になります。

小学5年生以上の子どもがいて英語を本格的に学び始めているなら、中学1年の教科書とCDを揃えておくと、何かと役に立ちます。中古の教科書はAmazonでも購入できます。

英語教科書の欠点

上記のようにほとんどパーフェクトな英語教科書ですが、実は欠点もあります。その欠点は、学習のしやすさとトレードオフ(あちらを立てればこちらが立たず)の関係にあります。実際に英語教科書にはどのような欠点があって、それを補うためにはどうすればいいのかを解説します。

内容がつまらない

英語教科書の最大の欠点は「内容がつまらない」ことです。主な理由は、積み上げ式の構成を重視しているため、「使用できる語彙や文法に大きな制約」があります。その条件で中学生の知的好奇心を駆り立てる内容にするのは困難を極めるからです。

以前海外にいたときに、私の息子はチューター(家庭教師)に一時期お世話になったことがありました。彼女はときどきイギリスのESL教材を使用していました。

ある日、手渡したコピーにはセリフのない劇画調のマンガが印刷されていました。内容は「誘拐事件が発生。犯人が居眠りしている間に子どもは逃げ出して、犯人は逮捕される」というストーリーでした。

息子はセリフを考えて英語で書いていきます。最後に、すべての話の要約を英語でまとめて、先生の添削を受けていました。私は最初から最後まで隣で見ていましたが、とても興味を惹かれる内容で時間が短く感じました。

ただ、「英語習いたての子どもにransom(身代金)とかkidnap(誘拐をする)という単語は難しすぎるのでは」とも感じました(彼女は教え方が抜群に上手で、結果的には子どもは覚えていたので驚きました)。

一方、日本の教科書は本当につまらないです。昔に比べればイラストは現代風になっているし、自然なシチュエーション設定がされています。それでも、内容のほとんどは中学生の知的好奇心を喚起するものとは程遠いです。

例えば疑問詞(What)を学習するページを和訳すると、およそこのような会話が繰り広げられます。

A: 今朝、何食べた?
B: トーストと牛乳です。あなたはどうですか?
A: 僕はごはんとみそ汁です。
B: へえ、そうなんだ!

正直、どうでもいい内容です。中学生同士で他人の朝食の話をするなら、「輸入したプロテインを飲んでいる」「スーパーモデルが飲んでいるスムージーを飲んでいる」くらいの内容でないと話題にはなりません。

ほとんどの中学生にとっては、教科書本文は退屈極まりない内容です。しかし、先述のとおり積み上げ式の制限を考えると、これだけの会話を成立させるだけでも大変です。

退屈さは、英語学習の大敵です。やはり、簡単な英語で書かれた読書を続けながら、自分の精神年齢に少しでも近い読書を目指すことが大切です。この部分は教科書に期待せず、自分で開拓するしかありません。

教材のおもしろさと自然な英語を追及するなら、こちらの教材を使った学習がオススメです

文量が少ない

教科書は授業をスムーズに進めるために、構成が練られています。中学校の授業時間は50分です。つまり、この時間内に新出語句を扱い、本文を読んでポイントを伝え、ペアワークなどを通じて基本表現を学べるように構成されています。

そのため文章量が圧倒的に少ないのです。中学校3年間分の教科書本文はおよそ七千語といわれています。ネイティブの小3(7歳くらい)が読む本は1ページに100語あり、ひとつの本で100ページくらいです。トータル1万語です。

つまり日本の中学生が3年かけて読む英文の量は、ネイティブの小3が2時間で読み終わる本の約3分の2です。これでリーディング力が養われるわけがありません。

教科書はあくまでも「文法中心の授業を受けるためのもの」と考えて、長文を読むためのトレーニングは英語の読書を並行してすすめなければいけません。

アウトプットはどうするか

学校の授業では「英会話をする機会がない」といわれます。リアルな英会話を指すなら、そのとおりです。会話には相手が必要です。授業ではペアワークなどを頻繁に取り入れながら少しでも会話の機会を多く持たせようと教員は必死になっています。

本音を言うと、どちらも英語初心者同士なのでダイアローグ(対話文)の棒読みになるだけです。理想的には学習者よりもレベルの高い相手が必要です。しかし、学校の環境では、生徒一人ひとりにそんなことは実行不可能です。

そもそも初心者が英語を話せない最大の原因は「インプット」が全然足りていないからです。言葉や表現に詰まるとかのレベルではなく「何も思いつかず無言状態が続く」ことが物語っています。

「日本人はシャイだから英語を話そうとしない」とネイティブがコメントすることがありますが、そもそも頭の中にストックがないので最初のひと言さえ出ません。

自分でできることは、やはり教科書(または教科書ガイド)の徹底的な音読です。音読の仕上げには「日本語を英語に直す訓練」を取り入れます。そして、文章の一部や単語を入れ替えることで「自由英作文」の基礎力を養います。

このようなトレーニングを続けると会話の基礎が身につきます。そして、ある程度のストックができてきたら「オンライン英語教室」などのサービスを利用して会話練習をしたほうがいいです。

後述しますが、教科書の本文以外の部分には会話に役立つフレーズや豆知識がわかりやすくまとめられています。教科書を100%活用してフレーズの暗唱をすると、会話でも冒頭の部分が言えるようになり、表現に困る部分を減らせます。

効果的な活用法とは

授業時間に合わせた「教科書の短い本文」は、実は初心者の音読素材とし最適です。授業で学び、教科書ガイドに詳しい説明があるので、内容はほぼ完璧に理解しています。内容を理解していない英文の音読は、お経と同じです。つまり学習効果はありません。

詳しく内容を解説してくれている英文を音読に活用しない手はありません。音読に関する詳しい学習方法については、別の記事で取り上げていますので参考にしてください。

欄外や資料ページが充実している

教科書の欄外の小さい字で書かれた注意書きや、本文以外の資料ページをじっくりと見てみましょう。驚くほど役立つ情報がわかりやすく掲載されています。

例えば、最近の教科書には本文で使用されている語数(〇〇words)まで記入されています。ストップウォッチを利用すればどれくらいの速さで音読できるかを定期的に測定できます。

私が驚いたのは、中1の教科書の資料ページ「基本的な発音を覚えよう」でした。ほとんどの人は、「アルファベットがA~Zまで並べてあるだけ」と見向きもしないでしょう。

ところが、そこには大文字・小文字・発音記号(アルファベット読みではないフォニックス的な)・発音のコツ・その音を含む単語(アクセントが太字で表示)、そしてその絵すべてが収められています。

textbooks_content

これから英語を習う小学生のいるお母さんなら、この1ページのためだけに教科書を買っても価値があるほどです。私だったらこれを拡大コピーしてラミネート加工します。お風呂に貼ったり、リビングに貼ったりするだけで上質な「アルファベット表」を作成できます。

使いやすいアルファベット表を探すのは難しく、海外製のものは「L」の欄に「licorice」(リコリス: カンゾウという植物)などと日本人に馴染みのない単語が使われることがあります。日本の教科書はそのような単語は使用されていないので抜群に使いやすいのです。

教科書をバカにしている人達は、こうした「資料ページ」の価値をまったく理解していません。残念なのは、中学校の先生もこれらのページを「おまけ」程度に扱って、本文だけを追いかけてしまうことです。

中学校ではこれらのページに時間を割けないなら、小学校のうちに資料ページについて時間をかけて攻略するだけでも相当なアドバンテージになります。小学生のうちから教科書を買っておくといい理由はこのためです。

自分でどんどん読み進めてみる

先述のとおり、学校の英語教科書だけでは文章量がまったく足りていません。子どもの英語力にあった英語の本を並行してどんどん読むのがベストです。

ただ、せっかく本を購入しても「難しすぎて読めなかった」ということはしばしば起こります。

そこで、別の会社から出版されている英語教科書を読んでみるのもいい勉強になります。これのメリットは、普段使用している英語教科書と同様に「積み上げ式」で構成されていることです。

ほぼ同じ時期に同じ文法や単語を学習するので、極端に「内容がわからない」という事態を避けられます。他の学校で使用されている教科書なので、多少は新鮮に感じるかもしれません。

学校教科書なので基本的にそれほどおもしろくはありません。しかし、夏休みなどを利用して他校で採用されている教科書を読んでみるのは、とても効果的な学習方法です。

まとめ

積み上げ式で構成された中学英語教科書は、多数の専門家のチェックを受けた最高レベルの教材です。教科書ガイド・付属CD・ワークブックなども充実していて、教科書を中心に「痒いところに手が届く」状態です。

教科書の最大の欠点は「つまらない」ことです。わかりやすさを優先させるので、本文の内容は中学生の知的好奇心を刺激するものではありません。また、授業で使用されることを前提にしているので、文章量は極端に少ないです。

これらの欠点は各自で英語の読書を続けることで充分に補えます。教科書の最も有効な活用法は「音読素材」としての利用です。

付属のCDを使えば、さまざまなバリエーションで音読トレーニングをしながら総合的な英語力の向上を狙えます。

学校英語の欠点とされている英会話についても、その前段階である「英文のストック」は教科書の音読により増やせます。

教科書は本文だけでなく、欄外に書かれた小さい注意書きやおまけのように扱われている「資料ページ」がとても充実しています。これらを眺めるだけで、大人でも「なるほど!」と感心します。

小学5年生以上の子どもを持つお母さんは、思い切って中1の教科書・教科書ガイド・CDを揃えてしまいましょう。小学生にも役立つ情報が惜しみなく載っています。

お母さんは「教科書」の価値を正しく理解して、子どもが中学生になったときにはその知識をきちんと伝えてあげましょう。

小学生に英文法を学ばせるときのコツとは?

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子どもからテストを渡されて、最初に何をチェックしていますか? 「得点でしょ」というお母さんの声が聞こえてきそうです。

私は子どものテストを受け取ったら、得点よりも「学習内容」を先に見ます。今、何を勉強していているのかが気になるからです。そして、理解できていることと理解できていないことを確認します。得点にはあまり関心がありません。

私の専門は英語ですが、国語のテストは細かくチェックしています。特に「主部・述部・修飾語」の文法問題が出題されたときは注意深く見ています。なぜなら、この理解度によって英語文法を教えるべきタイミングを判断できるからです。

個人差はあるものの、小学4年生くらいから少しずつ英語文法を理解し始めるようになります。でもその年齢はまだ抽象的な概念の操作は得意ではありません。そのため文法を教えるときは慎重にしないと、一気に英語嫌いになってしまいます。

先生にお願いするにしてもお母さんが自分で教えるにしても、文法を何のために学ぶのかを正しく理解しなければいけません。日本人の子どもは、ネイティブのように無意識に英語を話せません。そのため、日本語と英語の違いを理屈で理解しなければいけません。

このときに必要なのが文法です。文法は正体不明の外国語をわかりやすく理解させてくれる便利な知識です。文法を学ぶと「自信をもって英語を使えるようになる」のが理想です。文法の知識が足枷になり英語を積極的に使えなくなってしまうのでは、本末転倒です。

この記事では英語学習には欠かせない英語文法を小学生が学ぶときに、どのようなことについて注意をしたらいいのかを詳述します。また、文法を理解できるタイミングの見極め方や具体的な方法について解説します。

小学4年生から英文法にチャレンジ

子どもが英語を学ぶときは「音の学習中心」ですすめたほうがいいです。アルファベット、フォニックスの基本、基本単語やセンテンスの音読を通じて英語の音に慣れていくのが理想です。

街の英語教室に子どもを通わせているお母さんの中には「遊びみたいなことばかりしている」と感じるかもしれません。しかし、遊びを通じて英語を発話する機会を多く作っているのならとても有意義です。

ところが小学3年生くらいになると、無邪気にリピートする子どもは少なくなります。積極的に英語を話そうとする姿勢が見られなくなってくるのです。

こうなるとそれまでと同じようなアプローチで学ぶのは難しくなります。それでも「音」の学習の重要性は変わりません。家で英語を音読したりするときは、お母さんは否定的な言葉を使わずにできるだけ良い部分をほめてあげるようにしましょう。

そもそも小さい子どもに特有の無邪気さが消えていくことは、悪いことではなく成長の証です。これまで何も考えずに言われた英語を「リピート」していたけれど、あるときから「あれ、日本語と全然違うぞ」と気がつき始めます。

これが「英語文法」への意識の始まりです。この疑問を感じ始めたタイミングをうまくとらえると、効果的に英語文法の学習を開始できます。これ以降は音の学習と文法の学習を並行して進めていくと効果的です。

日本語との違いを意識し始めたときが合図だが

例えば“I played football in the park yesterday.”(きのう公園でサッカーをした)を音読するとき、小学2年生までの子どもなら何も考えずに先生の後について大きな声で読み上げます。

しかし、小学3・4年生になると「あれっ、yesterday(きのう)は何で最後に来るんだろう?」「サッカーをしただから、football playになるはずなのに…」と日本語と英語の違いに気づき始めます。

このように子どもがモヤモヤした感情を持つようになったら、最初に文法を教える合図です。何かを「知りたい」と思っているタイミングで、必要な知識を学ぶのが最も効率がいいからです。乾いた砂に水をかけるとあっという間に吸収されるのと似ています。

ところが話はそれほど単純ではありません。この時期の子どもは文法のような抽象的な概念の学習はまだ苦手なのです。そのためお母さんが中学校で受けたような英語文法をそのまま学ぶことはできません。

無理に文法の知識を教え込もうとすると、たちまち英語嫌いになってしまいます。小学3・4年生は英語文法に意識を向け始めつつも、文法学習には早すぎる難しい年齢であるといえます。

国語の授業に注目

国語教科書を見ると小学2年生くらいから「主部と述部」について授業で習うようです。そして小学3年生では「修飾語」なども扱われています。

学校から国語のテストを持ち帰ってきたら、点数だけ確認するのではなく、このような文法をどこまで理解しているかをお母さんには確かめて欲しいのです。

3年生までの国語文法に関する事項をほぼ問題なく理解しているようだったら、英語の文法を学ぶ下地ができているサインです。もし、国語文法問題に誤りが多ければ、まだ抽象的な概念の学習には早すぎます。

英語文法の基礎を学ぶ合図は、国語文法のテストの結果がひとつのバロメーターになります。

あせりは厳禁だが、できそうならチャレンジ

成長段階を無視して文法学習を始めるのは絶対にやってはいけません。時間の無駄になるだけでなく、子どもが「英語嫌い」になってしまう可能性があるからです。そのため、国語の文法の理解度を見て大丈夫と思ったら、少しずつ英語文法の学習に取り組んでもいいです。

一般的には小学5年生くらいから英語文法を理解できるようになります。もし、心配ならそこまで待つのも悪くありません。

文法学習は彫刻制作と似ている

理想的な文法学習は、石膏彫刻の制作過程と似ています。

彫刻(面取り)

最初にノミとハンマーを使って大まかな形を作ります(面取り)。

彫刻仕上げ

それから徐々に全体のバランスに気を配りながら、細部を仕上げていきます。

これを文法学習に当てはめてみます。初めのうちは細かいところにこだわらず大切な部分だけを大まかに学習します。そして、少しずつ段階を経て細かい文法知識を身につけていくのが理想です。

細部から始めたらフリーズする

もし、石膏彫刻をするときにいきなり髪の毛の細かいところから彫りだしたらおそらく作品は失敗します。なぜなら、全体のバランスを見失うからです。

ところが中学校から始まる英語文法学習は、これに近いことが行われています。例えば中学校の1学期には「3単現のs」を扱います。

ネイティブの子どもでも小学校2年生くらいまでは「3単現のs」を間違えることがあります。2歳から英語を話し始めて5年以上英語漬けの子ども達です。彼らでさえ「3単現のs」は5年目で完成させる項目なのです。

一方、日本の中学校に目を移すと、中1の1学期には「3単現のs」を扱います。つまり本格的に英語を学び始めて数か月しか経っていません。

「-s, -x, -ch, -sh, 子音字+oで終わる動詞には-esをつける」「子音字+yで終わる動詞はyをiに変えて-esをつける」はテストでも頻出事項です。しかし、これらの知識は彫刻でいえば毛髪一本一本に相当します。

このような細かいルールから覚えていったら、誰でも頭はフリーズ状態になってしまいます。「英語を話しましょう」と言われても、無理に決まっています。

中学校以降の文法知識はテストを意識しています。このような細かい知識を問う問題にしないと、得点に差がつかず成績をつけられません。理想的な「英語をスッキリと理解するための文法」とはかけ離れた姿です。

お母さんができる対策としては、小学校までに文法の「面取り」作業を終えておくことです。そして、中学校以降で細部の仕上げに移行できるようにしてあげれば、子どもの頭もフリーズせずに英語の発話を妨げないようになります。

大事な部分を残して、細部は捨てる勇気を

小学生が英語文法を習うときは、大事な部分を残して細部は捨てる思い切りのよい指導が必要です。先ほどの「3単現のs」を再び例に挙げると、次のようなステップを踏むことになります。

1.私(たち)あなた(たち)以外の人やモノ(3人称)に意識を向ける

2.とりあえず私(たち)とあなた(たち)以外が主語で「いつものこと(現在形)」を表現するときは、動詞にsをつけてみる

3.複数ではなく単数のときだけ動詞にsをつけてみる

4.疑問文や否定文のときはdoesを使う

このようなステップを設けることで、少しずつ子どもでも「3単現のs」を理解できるようになります。「yをiに変えてesをつける」(study→studies)のような知識は中学校まで先送りしても問題ありません。

英文法の核は語順である

小学生が学ぶべき英語文法の大事な部分は「語順」です。英語ネイティブは意識せずに英文を作れます。しかし、日本人は「無意識に」英文を作ることはできません。意識的に文法(語順)を学ばなければ、いつまで経っても簡単な文章でさえも作れません。

英語は日本語よりも語順の制約が大きいので、文法初心者はまず基本的な文型(パターン)を理解することから始めるといいです。

小学生は手を動かして基本文型を学ぼう

文型を小学生に学ばせるときに、「SV」「主語、動詞、目的語、補語」のような用語を使っても、混乱するだけです。小学生は目に見える具体的な物の操作は得意です。文法を理解させたければ、できるだけ目に見える形で教えなければいけません。

英語教師でそのように指導してくれているなら、任せていても大丈夫です。しかし、小学5年生になっても何も文法を取り扱わなかったり、細かい知識を詰め込むような中学校の前倒しの授業をしていたりするならお母さんのフォローが必要です。

基本文型は「動詞」の理解が鍵

文型の「肝」は動詞の理解です。国語でいえば「述部」と似ています。動詞という用語はどうも小学生ウケが悪いです。ネイティブっぽく「action words(アクション・ワード)」と呼んだほうが、子どもはイメージしやすいこともあります。

まず、「目的語を必要とする動詞(他動詞)」と「目的語を必要としない動詞(自動詞)」の区別をできることが第一段階です。例えば、下のような例文をいくつか見せながら、動詞に線を引かせてみます。

I play football.
I live.
I read a book.
I want some water.
I walk.

次に、目的語(~を)を必要とする動詞は青色、不要なものは赤色で〇をつけます。

I play football.
I live.
I read a book.
I want some water.
I walk.

playのあとにfootball(目的語)が無かったら、意味が通じない感覚を理解させます。一方、live(生きる)は目的語が無くても文章は成立します。

上記の説明は高校で習う「SV(第1文型)」と「SVO(第3文型)」に相当します。「動詞には自動詞と他動詞の2種類ある」が、文型理解の第一歩になります。

小学4年生くらいなら、この二つを見分けるだけでも「スッキリ」する感覚が味わえます。

文型を「見える化」する方法

以前、100円ショップで購入したマグネットシートを使って、文型理解をするためのパズルのようなものを作成しました。子どもにも文法をわかりやすく伝える方法はないかと考えたときに試作しました。

これを使って、SVOO(第4文型)を実際に教えてみます。主語と動詞はすでに学習済みと仮定します。

1.紙に書いた例文を音読させる(意味はジェスチャーで分からせる)

I gave him a pen.

2.動詞に線を引かせる

I gave him a pen.

3.お母さんがセンテンスを4つの要素に切り分ける

I gave him a pen

4.SVOOの文型ブロックに切り分けた要素を貼り付けてみる

5.この動詞には二つの目的語をとって、順番は「人・物」となることを確認

目的語の順番「人・物」の説明は正確ではありません。しかし、正しい説明をしようとすると小学生の発話を妨げる「細かい知識」レベルになるので、あえて避けたほうが賢明です。

6.まったく別のセンテンスを音読して、切断、バラバラのブロックに貼り付けておく

I bought her a present

7.ブロックを組み立てて、英文を音読してみる

I bought her a present.

上記の練習を通して、この文型(第4文型)の動詞には特徴があることに気づきます。

give:「相手の元に何かを届ける」種類 show, sell, send, tell

buy:「相手のために何かする」種類  cook, make

上記のように、小学生は目の前のパズルに言葉を当てはめながら使われている動詞の特徴を理解すると、文型を理解しやすくなります。

扱う文型の順番

「自分で子どもに文型を教えてみたい」お母さんのために、小学生に文型を教えるときの順番について解説します。単純に第1文型~第5文型まで順番に学ぶよりも、次のような順番のほうが理解しやすいです。

1.SVとSVO(目的語不要の動詞と、目的語必須の動詞を対比して)

2.SVOO(SVOの流れから、目的語が二つある文型を扱ったほうがわかりやすいから)

3.SVOC(C:補語の概念を例文で理解させて、目的語とは異なることを理解)

4.SVC(補語のある文型をもう一つ扱い、目的語と違うことを確認。主にbe動詞が使われる)

文型はある時期に一気に教えるよりも、たまたま音読したり習ったりした英文に疑問を感じている様子のときに、少しずつ教えたほうが子どもの負担がないのでおすすめです。

忘れても「またどこかでやればいい」くらいのゆったりとした気持ちで子どもと接してください。一回で覚えられないからと叱ったりするのは最悪です。

ボンヤリをスッキリさせるのが理想の文法学習

先述したように、文法は本来、英語を読んでいて意味がわからずモヤモヤしているときに、スッキリと理解するためのものです。

特に疑問も感じていない段階で次から次へと知識を詰め込んでしまうと、細かい知識が足枷になって英語を積極的に使えなくなってしまいます。少々わかりづらいので、子どもの様子を観察しながらどのタイミングで何をどのように教えたらいいかを説明します。

PPAPをまねしているだけの段階

世界最強の英語チャンツは何といってもピコ太郎さんの「PPAP」です。これまでいろんな人や会社がまじめに教材を作ってきたのに、一瞬でそれを抜き去ってしまうほどのインパクトがありました。

その証拠に子どもにこのビデオを見せると、勝手に英語で歌い出します(ちなみにネイティブの子どもも歌っていました)。これが「音」の学習です。普通は「音読」がこれに相当します。

何か変だな、と気づく段階

子どもが小さいうちは口まねして終わりです。ところがある年齢になると、「あれっ?」と疑問に感じ始めます。日本語では「私はペンを持っています」(主語・目的語・動詞の順)なのに、なぜ英語では入れ替わっているのかに気づくからです。

子どもはその疑問を上手に言葉で表現できません。だから子どもから「質問があるんだけど」とはなかなか言いません。しかし、ここをお母さんが察知して「なんで順番が違うんだろうねえ」と共感してあげるだけで、子どもは自分で考えるようになります。

理屈を学び、スッキリする段階

このタイミングで文型「SVO」を学ぶと、子どもの頭の中はかなり整理されます。モヤモヤしながら歌っていた歌詞は正しい英語の語順だったことを理屈で理解するからです。

“I have a pen.  I have an apple.”の“a pen”“an apple”を別の言葉に置き換えたり、haveを別の他動詞に置き換えたりすれば、英語の表現力は一気に広がります。

同じ文型で違うことを表現できるところまで訓練すれば、文法は「自信をもって英語で伝えるための道具」として実感できるはずです。文法は面倒くさいものではなく、それがないと困るものとして子どもに認識されます。

あらたな疑問に出会う段階

しばらくして何かの場面で、“I sent him a letter.”(私は彼に手紙を送った)を見かけたとき、この子は再び「あれ?」と疑問に感じます。

“I sent a letter.”(手紙を送った)だったら理解できるが、「“him”って何だろう?」とモヤモヤした疑問を感じます。これも言葉ではうまく表現できないため、お母さんから「このhimって何だろうね」と学びのきっかけを作ってあげましょう。

こうして、ひとつずつ英語の文型を覚えて正しい英語を話したり書いたりできるようになります。もちろん、読んだり聞いたりするときも文法の知識なしには正しい理解はありえません。

まとめ

小学生が英文法を学ぶ適齢期の判断はとても難しいです。一般的に小学3年生までは文法のような抽象的概念の学習は苦手です。小学4年生くらいから、子どもの国語文法の理解度を観察しながら少しずつ始めるといいです。

日本人にとって英語は外国語です。ネイティブのように無意識に英語を使うことはできません。どうしても文法の知識が必要です。文法とは外国人にもその言葉を使えるようにしてくれる便利な道具です。

細かい知識でいきなり教え込んで、それが足枷になり英語を使えなくなってしまうのでは本末転倒です。彫刻を制作するように、大まかな形から徐々に細部を仕上げていくことを意識しましょう。

子どもが学ぶ英文法の最優先事項は、英語の基本文型です。文法を子どもに理解させるには、できるだけ具体的な教具を使用しながら、視覚に訴えることが大切です。手を動かしながら学ぶのも効果的な方法です。

理想は子どもが日本語との違いを意識しだしたタイミングで、その疑問に答えるように文法を与えてあげると吸収がいいです。

強調しておきたいのは、やはり語学の基礎は「音」の学習です。充分に音読練習を積みながら少しずつ文型も学んでいけると、子どもの英語の理解は深まります。文法による知識を学んだら定着させるためにも音読は欠かせません。

子どもの「もっと知りたい」好奇心を喚起できるように、文法学習をサポートしましょう。

中学入学前までに英語を音読する習慣を

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先日、電車に乗ると、私の目の前に2歳くらいの男の子とお母さんが座っていました。電車内が混雑してきて、男の子がぐずり始めてしまいました。

するとお母さんが、バッグや服の色を示しながら色の名前を教え始めました。男の子はお母さんの言葉をまねして発話しています。ところが、「ももいろ」と何度お母さんが教えても、男の子は「ももいろ」と言えず、「もいろ」と間違えてしまいます。

お母さんも男の子も笑いながら同じことを繰り返しました。

言葉のまねにも飽きて5分ほど沈黙した後のことです。男の子が突然、もも色を指さして、「ももいろ」とつぶやいたのです。お母さんも子どもも大喜びでした。

この光景を見ていた私は「やはり、音読が語学の基本なんだな」と確信しました。私たちは忘れていますが、母国語を覚えるときもこの親子のように数限りない音読練習をしたはずです。

しかし、英語学習になると、ほとんどの子どもはなぜか黙々と勉強します。この傾向は年齢が上がるにつれて顕著になり、中学生になるとほとんどの生徒が音読することを避けるようになります。

原因は「音読をすることへの抵抗感」です。「間違えたら恥ずかしい」「下手くそな英語を声にするのが格好悪い」などと感じるのでしょう。

私は現在も中学生に英語を教えていますが、なかなか素直に音読する生徒に出会うことは少ないです。

「なんとか中学前に英語を音読する習慣をつけさせたい」

私はこのように強く思っています。「英語学習とは音読すること」くらいの意識で取り組めば、英語が得意になる生徒の数はかなり増えるはずです。

今回の記事では、音読が大切な理由と簡単な取り組み方ついて詳しく説明します。

英語学習の基本は音読

近年、一般の人達にも「英語の4技能」という言葉が浸透してきました。

語彙力と文法力を中心に、4つの技能は関連している。

これは「聞く」「話す」「読む」「書く」という4つの技能を指しています。学校のテストでは「読む」「書く」が重視されていますが、実際の英語を使う現場では同じくらい「聞く」「話す」技術も大切です。

英語は入試の一科目として存在しているわけではありません。コミュニケーションのための道具と考えるのが自然です。「聞く」「話す」の技能に直結する音読によるトレーニングを軽視していいはずがありません。

学校では音読の価値や方法について指導されない

英語が得意な人は音読の価値を理解しています。学校で英語を教える先生達も音読を大切に思っているはずです。

しかし、実際の授業の中で、音読についてきちんとした指導がされることはほとんどありません。「時間がない」「他にやるべきことが多すぎる」などの理由は理解できますが、大変残念です。

「音読」の習慣化について学校に期待するのは難しいのが現状です。そうなると小学生のうちに家庭で指導するしかありません。英文を見たらとりあえずブツブツ音読するくらいまでに習慣化してるのが理想です。

では、なぜ音読することが英語学習においてそんなに大切なのでしょうか。

音読のパワー:文法や語法の知識は音読して使える状態となる

例えば、中学生に英語の冠詞「a,an」について教えるとき、学校の先生や教科書の説明は次のようになります。

数えられる名詞で1つの物(人)のときには、名詞をつける。名詞が読まれるとき母音から始まる単語には、anをつける。

ほとんどの生徒はこのルールを理解します。例えば、bookならa bookに、eraserならan eraserと答えられます。

でも、「私は彼女に一時間前に会った」という英作文をさせるとかなりの生徒が、

× I met her a hour ago.

と書いてしまいます。

正解は、hourの発音は母音から始まるので、

〇 I met her an hour ago.

なぜこのような間違いをしてしまうのでしょうか。それは、anを使う条件を知識で覚えているからです。

正しくan hourと答えるためには、まず英語を音読する習慣が必要です。テスト中静かにしなければいけない場面でも頭の中で音声化しているかどうかが鍵になります。

an hour(「アナワー」と発音)を音読した経験があれば、a hourだと読みづらかったり何か変であったりすることに気がつきます。理屈だけでなく耳で覚えている感覚です。

音読を英語力向上につなげられるかどうかのポイントは、読む英文について正しく理解しているかどうかです。単語の意味、文法、語法、発音、アクセント、イントネーションなどすべてを理解してから音読練習するようにしましょう。

意味も分からずに音読するのは、何の役にも立ちません。

ネイティブに英語を質問すると、ブツブツつぶやいてから答える

ネイティブに英語の表現について「こういう言い方はしますか」とたずねると、かなりの確率でブツブツ英語をつぶやいてから答えてくれます。

ネイティブも知識として語法を覚えているだけでなく、実際に口で言ってみることで正しいかどうかを確認することが多いです。

私たち外国人が英語を学ぶなら、なおさら英語の表現を文章ごと音読する訓練を積まなければなりません。

このように、英語を知識として学ぶだけでなく、この知識を使える状態のレベルにまで引き上げるための訓練が音読ということになります。

英語を見たらとりあえず音読:教材にこだわらない

本格的な音読トレーニングにはそれに適した教材と方法があります。しかし、今回の記事ではもっとお手軽な方法について説明します。

英語のテキストや問題集に取り組むと、必ず例文が載っています。その例文を何度も声に出して読むことで、知識を使えるレベルにまで変化させることが可能となります。

例えば、homeは意外と使い方が難しい単語です。

I came home at six.(私は6時に帰宅した)

よくやってしまう間違いが、

× I came to home at six.

という間違いです。homeは「家に(帰宅)」という意味の副詞なので、前置詞のtoは不要です。

もうひとつ紛らわしいのが、at homeという表現です。この場合は、「家に(在宅)」を意味します。

My father was at home when I gave a call to him. (私が父に電話した時、彼は家にいた)

さらに「家」という名詞を使いたい時には、普通はhouseを使います。

He built a house. (彼は家を建てた)

さて、これらのhome, at home, houseの使い分けについて、知識として覚えるのは効率の良い勉強法といえるでしょうか。私も含めて普通の人は、丸暗記した知識はすぐに忘れてしまいます。

でも、それぞれの例文を丸ごと何度も音読して暗唱できるようになっていれば、間違えることはないでしょう。

問題集に取り組むときも音読してみる

例えば、英検の問題集をしていて次のような問題があったとします。

問題( )に入る最も適切なものを1~4の中から一つ選びなさい。

My school starts at 7:45, so I  (   ) my house at 7:15.

1 ride   2 go  3 take  4 leave

正解は4です。

この問題文には大切な語法がいくつも含まれています。

starts の s は三単現の s 、時刻を言うときは at を使う、leave ~で「~を発つ・離れる」、家(建物)の意味のときはhouseを使う、などです。

こんなに大切な学習ポイントがたくさんあるのに、〇か×だけで終わらせるなんてもったいなさすぎます。私が指導するときは、たとえ正解してもこの文章を丸ごと暗唱させます。

テストで間違えたところの正解文については、最低40回くらいは音読することを生徒に伝えています。真面目にやっている生徒は確実に英語の成績が伸びます。

英会話の場面ですぐに口から出せる表現は、何度も音読した表現だけです。本当に簡単な方法ですが、実践する生徒はわずかしかいません。

このように、音読教材用の短いストーリーを扱う本格的なものとは別に、文法の教科書に出てくる短い例文でも何度も音読することは英語学習においてとても大切なポイントとなります。

お子さんが静かに英語を勉強していたら、注意しましょう

日頃、子どもが英語の勉強をしているときに、静かに机に向かっていたらあまり良くない傾向です。反対に、ときどき声を出して英語を読んでいれば、順調です。

例えば単語を覚えるときにも音読練習が基本となります。小学生時代の漢字書き取りの習慣からなのか、英語をひたすら紙に書いて覚えようとする子どもが多いです。しかし、これは非常に効率が悪く、使える英語につながらないのでやめましょう。

単語を覚えるときの順番は、1)正しい発音・アクセントで何度も音読する、2)意味の確認、3)スペリングを覚える、の3ステップが基本です。

音読するときにはカタカナ発音しないように注意しましょう。thingという単語を覚えるときにいい加減に「シング」と発音すると、単語を書くときに「sing」とか「shing」と書いてしまう原因になります。

正しい発音は正しいスペリングにもつながります。最後に実際に書いてみて確認してみましょう。しかし、音読「9」に対して書く「1」の比率で充分です。単純に読み上げる方が書くスピードよりも5倍は早いので効率が良いからです。

文法・会話・単語など英語の学習の基礎はすべて音読です。私もかつて中学生の頃、何度も英語を音読した翌日は口の周りの筋肉が筋肉痛になりました。英語の筋肉をつけるまでに時間がかかりましたが、確実に英語力は伸びました。

まとめ

音読は英語学習の中心となるものですが、中学生になるとほとんどの生徒は音読することに消極的です。恥ずかしさが主な原因です。私たち日本人でも日本語を覚えるときに数限りない音読と失敗を重ねていますが、そんなことは忘れてしまうようです。

しかし、これではいつまでたっても英語を得意にはなりません。

そこで英語を音読する習慣を小学生のうちに身につけさせることが成功の鍵となります。

音読は、英語の知識を使える状態にするための訓練です。英語が苦手な生徒は文法を知識のまま覚えようとして失敗します。反対に、理解した文法事項を含む例文を何度も音読すると、使える状態になります。

単語学習でも、小学生の時の漢字の書き取り練習のように黙々と書き連ねている生徒が多いのですが、これでは英語を得意にはなりません。ここでもやはり何度も音読することが大切となります。

英語を習い始めた小学生のお母さんにはぜひ、子どもが静かに英語を勉強していないかチェックして欲しいと思います。英語は体育や楽器のような技能教科です。

音読せずに黙って問題集に向かっているのは、素振りをしないで野球を上手になろうとするようなものです。中学入学前までに英語音読の習慣を家庭で身につけるようにアドバイスしましょう。.

NHKの英語アニメ「リトル・チャロ」を小学生が攻略する方法

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1970年代、テレビで世界名作劇場が放映されていました。この頃私は幼稚園~小学生の子どもだったので「フランダースの犬」「あらいぐまラスカル」などを毎回楽しみにしていました。ストーリーを好むのは人間の習性かもしれません。

「英語の楽しいコンテンツなら、子どもも夢中になって英語を学ぶはず」と多くの人は考えます。実際、それは確かに正しいです。

しかし、現実には難しい問題があります。「楽しい」=「英語学習向き」とは限らないからです。ディズニーアニメは確かに楽しいし、大好きな子どもも多いはずです。ただ、使用されている英語は容赦ないネイティブ用のナチュラルスピードです。

なぜならそれらは英語学習者向けに作られているわけではありません。そのため気の利いた大人びた表現やギリギリの俗語が盛り込まれています。

「日本人の英語学習者に配慮されたおもしろいアニメがあったらな」と私もいつも思っていました。そこへ登場したのが「リトル・チャロ」です。さすがNHKだけあって、クオリティは素晴らしいです。

この「リトル・チャロ」を活用して、小学生でも英語を学べる方法を詳しく説明します。アニメ好き・動物好きの子どもならハマること間違いなしです。

「リトル・チャロ」の紹介

アニメ「リトル・チャロ」は2008年にNHKで放送された英語のアニメです。これは単なるアニメ作品とは異なり、英語学習のコンテンツとして活用できるように綿密に制作されています。

放送当時私もテレビで偶然見つけたときは「へえ、おもしろそう」とだけ思いましたが、それっきりでした。「リトル・チャロ」の再放送をきっかけにあらためてコンテンツを観ると「非常に優れた英語学習コンテンツ」だと感心しました。

平易な英語で制作されていますが、活用の仕方によっては初心者から中・上級者まで幅広く英語学習に利用できます。「中学生くらいのときにこんなコンテンツと出会えていたらもっと英語にのめり込めたのに」と私は今の子ども達をうらやましく感じます。

ストーリー

日本人の少年・翔太の飼い犬であった子犬のチャロは、アメリカ旅行から帰るときニューヨークの空港で迷子になってしまうところから話は始まります。

チャロは翔太に再び会えることを願いながら、仲間の犬たちとの交流を深めていきます。途中、笑いや涙の展開を織り交ぜつつ話は展開していきます。そしてついに、まったくの偶然から翔太の父にチャロは発見されて、無事、日本に帰国して翔太との再会を果たします。

主人公がかわいい子犬なので、小学校低学年の子どもも感情移入しやすいです。昔、私が子どもの頃テレビで見ていた「母をたずねて三千里」のような中毒性のあるストーリーです。最後は思わず泣いてしまう話です。

英語の特徴

使用されている語彙レベルは「中学校+アルファ」です。ナレーションと登場人物のセリフによって構成されています。もちろん、声優はそれぞれ異なる人が対応しています。

チャロ以外の登場人物はネイティブ・スピーカー(犬も含めて)なので、英語を流暢に話します。チャロは日本の子犬なので英語はそれほど得意ではありません。

使用されている英語は不自然ではない程度にゆっくりと発音されるため、リスニング初心者向けにピッタリの教材です。

アクティブ・ボキャブラリー(意味がわかるだけでなく、話したり書いたりするときに使える語彙)を増やしたい中・上級者にも学ぶところが多い教材です。限られた語彙の中でこれほど豊かに表現できることのサンプル集です。

英語が得意なお母さんは、ぜひ親子で楽しみながら英語学習に利用してみましょう。

一般的な映画(アニメ)と比較して英語教材として優れているところ

書店の語学コーナーでも、「DVDを教材にして英語を学ぶ」テーマの本は売れています。私も海外ドラマは大好きなので、これまでにも何度もこれらを利用して英語学習に役立ててきました。

しかし、いざ英語のアニメや洋画を英語初心者が学習に使おうとすると、問題が生じます。たとえば「アナと雪の女王」は一時期大ヒットして子どもも大好きなディズニー作品です。しかしながら、正直私でもすべての英語を聞き取れません。

英語圏(主にハリウッド)で制作されたアニメ・映画は、ネイティブ用に作られています。そのため会話のスピードは、英語を学習している日本人の子どもにとっては速すぎます。

また語彙レベルも学習者向けにコントロールされていません。子ども向けのアニメでも、英検1級レベルの単語が頻繁に登場します。さらに、省略表現や俗語表現も多く、学習教材としては使い勝手が悪いことが多いです。

英語音声がないシーンやただの絶叫シーンも多く、英語を学ぶときにいちいち飛ばすのは面倒です。

盲点なのは日本語字幕の内容は、英語のセリフを完璧にカバーしていないことです。字数制限があるため、短い日本語で「意訳」しなければいけないからです。そのため英文の細かい意味がわからずモヤモヤとした気分になることがしばしばあります。

また、同様に英語のセリフすべてが「英語字幕」として表示されるわけではありません。長すぎる部分は別の表現に置き換えられるのが普通です。

一方、NHKが英語学習者を意識して制作した「リトル・チャロ」はこれまで指摘した問題のすべてが解消されています。話される英語はすべて漏れなく字幕に表示されます。日本語の字幕も極端な意訳はなくて、ほとんどの英語のセリフを網羅しています。

語彙レベルは「中学校+アルファ」です。これは英語学習者用の英英辞書の定義で使用される語彙レベルとほぼ同じです。つまり、ここに出てくる語彙を充分に使いこなせれば、日常のほとんどのことは表現できる証拠です。

リトル・チャロは「ナレーションとセリフ」で構成されています。読まれるスピードは聴き取りやすい速さです。英語学習には速すぎても遅すぎてもダメですが、英語初心者向けに絶妙な速さを設定しています。

さらに使用されている英語は「完璧に正しい英語」であり、安心して英語学習に使えます。口語表現も「How come~?」など普通の表現ばかりで、子どもがまねしてもまったく問題ありません。

1話5分で構成されているので集中力は持続しますし、余計な無音シーンがほとんどないのも、学習効率を高めてくれます。

「リトル・チャロ」は英語学習者のツボを知り尽くして制作されているのがわかっていただけたでしょうか?

リトルフォックスというe-ラーニングサイトではリトルチャロのような動画教材が豊富に見られます。これを活用した学習法の動画セミナーはこちらで確認できます

「リトル・チャロ」はどうやったら見られるか

「リトル・チャロ」は再放送を待てば無料で見られますが、日本語字幕しか利用できません。英語学習には英語の台本(スクリプト)が必須です。

組み合わせとしては、以下のとおりです。

CD + テキスト
DVD(スクリプトは字幕表示を利用)
えいごで旅するリトル・チャロ(任天堂DS)

小学生でゲーム機DSを持っているなら、リトル・チャロのソフトを購入するといいです(評判も上々です)。テキスト+CDはすでに中古を探すしかないのと、子どもなら映像を確認したいと思うでしょう。

DVDを購入すれば、映像をテレビで楽しめて、英語字幕表示に切り替えればスクリプトも確認できます。

しかし、私は上記以外の方法で「リトル・チャロ」を観ました。それは高校生の娘が持っていた「電子辞書」でした。

おすすめは電子辞書の収録版

最近の電子辞書には、本来の辞書機能以外の「学習コンテンツ」が充実しているモデルがあります。その中に、「リトル・チャロ」を収録した電子辞書があります。

英語系の電子辞書の大手はカシオとシャープですが、全てのモデルに「リトル・チャロ」が収録されているわけではありません。実際に購入するときは、店頭で実物を手に取って確認したほうが確実です。

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娘の持っていた辞書はシャープのBRAIN(PW-SH4)では、「リトル・チャロ」全話が収録されています。カシオのXD-G4800には確実に収録されています。

両者の違いは、シャープでは紙芝居風に収録(シーンごとの静止画)されているのに対して、カシオでは動画が再生できます。

 

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小学生の子どもなら動画で見られたほうが楽しいかもしれません。一度、動画を観たことのある場合は、紙芝居風のほうが英語に集中できるともいえます。

では、なぜDVDではなく電子辞書で収録されたものが「英語学習におすすめなのか」について説明します。

おすすめの理由1:どこでも持ち運びができるから

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英語学習を続けるコツは、「いつでもどこでも」することです。電子辞書は携帯に便利です(大きさを比較するために、スマホと並べて撮影)。イヤホンと一緒に持ち歩いていつでもどこでも「リトル・チャロ」で英語を学べます。

電子辞書には「前回のファイルを再生」というメニューがついています。これを利用すれば、直前に学習したエピソードを素早く再生できます。細切れ学習には不可欠な機能です。

DVDプレイヤーではテレビが設置してあるところでないと学習できません。どちらが英語学習を継続できるかは明らかです。

たとえば朝、学校に行く前に5分だけ「リトル・チャロ」を観るときに、お父さんがテレビでニュースを観ていても、電子辞書なら問題ありません。

おすすめの理由2:字幕表示の切り替えが一瞬でできる

DVDプレイヤーでも字幕表示の切り替えはもちろんできます。しかし、一時停止中に切り替えることはできません。再生中に字幕の切り替えボタンを押して、少し間が空いた後切り替わります。このわずかな時間が英語学習をするときはストレスに感じます。

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一方、電子辞書の場合には一時停止中でも、言語を一瞬で切り替えられます(赤丸のボタン)。また、読まれている部分は赤い文字で表記されます(カラオケのように)。さらに、英語と日本語を同時に表示させることも可能です。この場合、該当する日本語訳はハイライトで表示されます。

欲しい情報を一瞬で入手できるのが、電子辞書収録版の優れているところです。

おすすめの理由3:セリフをタップすると、その場所から即再生するから

「リトル・チャロ」を英語学習に利用するときに、「音読練習」は欠かせません。そのときモデルとなる音声を何度も聞きながら、自分で声に出して練習しなければいけません。

DVDプレイヤーがもどかしいのは、聞きたい部分だけを繰り返しすぐに再生できないことです。「戻る」ボタンだけでは細かい頭出しはできません。

電子辞書の収録版では、スクリプトの部分をタップするとそこから「即」再生されます。これは大変ありがたい機能で、何度もモデルを聞きながら音読練習するのにうってつけです。

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携帯性に優れ、字幕表示の切り替えやセリフがすぐに再生されるので、電子辞書の収録版「リトル・チャロ」はおすすめです。

すでに電子辞書を持っている場合や、DVDが家にある場合には、わざわざ「リトル・チャロ」が収録された電子辞書を買う必要はありません。しかし、もしまだ電子辞書を持っていなくてそろそろ買おうと思っているなら、「リトル・チャロ」が収録されたものがいいです。

小学生でも「リトル・チャロ」を攻略できる方法とは

では、「リトル・チャロ」を利用して、小学生でも取り組める英語学習法について解説します。ポイントは「何を目的にして」「どのように学習するか」です。

「リトル・チャロ」は平易な英語しか使われていませんが、ほとんどの小学生にとっては難しい語彙レベルです。無理にリスニングに取り組ませても、すぐにあきらめてしまいます。

私のおすすめは、「リスニング」ではなく「英文暗唱」です。セリフの一部を繰り返し「音読」して、あたかも自分が声優になったかのようにスクリプトを読まないでセリフを言えたら完成です。

「音読」する過程で、Reading「読む」、Listening「聴く」、Speaking「話す」の3技能をバランスよく鍛えられます。小学校高学年なら、最後の仕上げとしてディクテーションをすればWriting「書く」もカバーできます。

すべてのセリフやナレーションでこれをやるのは非現実的なので、一部に絞り込んで取り組んでみましょう。

チャロは日本の犬…だからやさしい英語しか話さない

設定上、チャロは日本の子犬なので、簡単な英語しか話せません。発音もわざと日本人っぽく演じられています。これに対して「正しい発音ではないので、教材としては不適格」と決めつけてしまう人がいますが、私はそうは思いません。

チャロの姿は子どもからみれば「自分」なのです。小学生がニューヨークで親と離れ離れになったようなものです。

NHKがチャロの発音を日本人っぽくしたのは、おそらく「親しみやすさ」を視聴者に与えて、共感させるためです。

チャロは、やさしい短い英語を日本人っぽく一生懸命に話しています。この部分に的を絞り、小学生の子どもに音読練習させるのは理にかなっています。正しい発音は、ナレーションや他の仲間の犬たちから学べばいいのです。

チャロはもちろん主人公なので、子どもの満足度も高いはずです。小学生なら、チャロのセリフに絞って、音読練習してみましょう。これが攻略のコツです。

意味を理解して、セリフの音読練習

ここからは普通の音読練習と同じです。まずはストーリーをしっかりと理解するところから始めましょう。意味のわからない英語を何度音読しても、学習効果はありません。

チャロはしばしば日本語を話したり、犬の吠える声で「Arf!」と叫んだりしますが、そこは飛ばしましょう。

最初のエピソードの頃は、片言英語の部分が多いので、小学生でも簡単にまねできます。エピソードが進むにつれて、きちんとした文章が増えていきます(チャロの英語力が向上していきます)。

小学生には未習事項の「過去形」や「現在進行形」が頻繁に使われていますが、小学生に細かい文法解説は基本的に不要です。そのまま英語を繰り返しまねることだけに集中させましょう。

英語を日本語にしてみる

ここでもう一度、英語を理解しているか日本語にしてみましょう。正確に訳すのが目的ではありません。およその意味でよいので、英語の大意を理解しているかどうかを確認します。

意味を言えない場合、単語を知らないか文法を理解していないかのどちらかです。単語を知らない場合は、お母さんが教えてあげてください。

ここまでの段階で、「正確に英語を聞けて・音読できて・意味を理解している」状態であることがポイントです。

オーバーラッピング、シャドウイング、日本語→英語

次は、実際のスピードに合わせて音読する練習です。チャロのパートの少し前から再生して、チャロの声と同時に重ねて音読します。これがオーバーラッピングと呼ばれる音読練習です。

慣れてきたら、再生速度を一段階速めてもオーバーラッピングできるように練習してみましょう。電子辞書にも再生速度を調節できるボタンがあります。

充分にオーバーラッピングをしたあとは、シャドウイングに移ります。「シャドウイング」とは、シャドウ(影)のように「読まれる音声より3語くらい遅れて音読するトレーニング法」のことです

このときに音ばかりを追いかけるのではなく、チャロのセリフの内容に意識を向けましょう。

大変疲れる音読トレーニングですが、1語1語ではなくかたまりで英語を処理できるようになります。リスニング力を高めるときの基礎となるトレーニングです。

シャドウイングの次は、日本語字幕を読みながら該当する英語を口に出して読む練習です。英作に時間がかかるのは、ここまでの口頭練習が不足しているからです。もう一度、オーバーラッピングに戻って反復練習しましょう。

一瞬で言えるようになるまでには、一般的に50回~100回程度の反復練習が必要です。

アニメに合わせて演じる&ディクテーション

今度は声優になってアフレコをするつもりで、映像を観ながらチャロのセリフを言いましょう。このときに棒読みではダメです。チャロの心情をくみ取って、息づかいまでまねるつもりで練習しましょう。

感情と英語表現を結びつける訓練をすると、実際に自分がそれと近い感情になったときに英文が思い浮かぶようにするためです。ここまでくれば、ほとんどゴールです。

小学校高学年の子どもなら、最後の仕上げとして「ディクテーション(書き取り)」にも取り組んでみましょう。字幕をOFFにして、チャロのセリフの部分だけを聞いたあと、紙に英文を書きます。句読点(ピリオドやカンマ)なども正確に書きましょう。

このように紙に書くと、あいまいに覚えていた綴りや文法事項を確認できます。最後は必ず字幕をONにして、英語に誤りがないか答え合わせをします。

チャロのセリフは少ないですが、徹底して音読するのはそれなりに大変です。エピソードによっては英語を話さずに「Arf!」だけのものもありますが、その場合は音読練習せずにストーリーを楽しめばいいです。

しばらくしてから音読練習をしたエピソードを再生すると、チャロの部分の英語はすべて聞きとれるはずです。英語の学習はこれの繰り返しです。楽しみながら続けられるようにお母さんはサポートしてあげましょう。

まとめ

アニメとして楽しめて、英語学習用のコンテンツとしても細かく配慮されている「リトル・チャロ」を使えば、小学生でも楽しく英語を学べます。

DVDなどで再生してもいいのですが、DSのソフトや電子辞書に収録されている「リトル・チャロ」を活用すると、英語学習の効率が飛躍的にアップします。

平易で比較的ゆっくりとした英語で話されていますが、小学生がリスニング教材として使うにはレベルが高すぎます。それよりも、小学生の子どもと等身大の主人公「チャロ」のセリフに的を絞って、音読練習したほうがいいです。

電子辞書の再生機能をフル活用しながら、いろいろな角度から繰り返し音読練習しましょう。ひとつのセリフにつき最低50回は必要です。

しばらく経ってそのエピソードを観ると、チャロの英語は完璧に理解できるはずです。それが音読による学習効果です。

「リトル・チャロ」はディズニーのアニメよりもずっと日本人の子ども向きのコンテンツです。子どもの英語学習がマンネリ化してきたら、「リトル・チャロ」を利用した英語学習にチャレンジしてみましょう。

小学生に英語文法を教える秘訣とは?

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子どもを英語教室に通わせていて「なぜ、もっと英語の文法を教えてくれないのかしら」と不満に思ったことはありますか? お母さんが中学校のときは文法中心に英語を学び、テストでも問われたのは文法理解が中心でした。

まだまだ時間はあるとはいえ、将来の受験のことを考えると「文法を教えて欲しい」と思う気持ちもわからなくはありません。

小学生に文法を教えない理由のひとつは、文法を教えるには小学4年生までは幼過ぎるからです。文法学習とは抽象的な概念を理解することです。一般的に小学5年生以上でないと、文法学習はうまくいきません。

もうひとつの理由は、子どもが通っている英語教室でも実は「文法をきちんと教えている」のかもしれません。でも、お母さんが中学校で習った方法とは異なるので、文法を教えているように感じないだけです。

小学5年生くらいからは少しずつ文法を教えられます。ただし、小学生に教えるときにはコツがあります。これは英語教師の仕事の範疇です。でも、お母さんが大まかにそのコツを理解しておくことはとても有意義です。

小学生に英語の文法を教えるときは、帰納法が基本

お母さんが中学校や高校のときに受けた英語の授業を思い出してください。おおまかにいえば「最初に文法の説明→練習問題・読解→答え合わせ」の順番だったはずです。このような授業展開は「演繹法(えんえきほう)」と呼ばれています。

演繹法で、小学生に英語文法を教えても「英語嫌い」を量産するだけです。ここでは「小学生に適した英語文法の指導法」について詳しく説明します。

帰納法と演繹法

初めに「帰納法(きのうほう)」と「演繹法(えんえきほう)」について説明します。この際厳密な定義は無視して、車の運転に例えることにします。

「帰納法」で車の運転を覚える場合、実際に運転をするところから始めます。エンジンをかけてドライブにシフトすると車はスルスルと動き始めます。慌てた初心者ドライバーはブレーキと思い、右側のペダルを踏むと急発進。正面の壁にぶつかって止まります。

ここでドライバーは、ドライブに入れるとスルスルと動くこと(クリープ現象)と右側のペダルがどうやらアクセルであることを理解します。このようにして、実践を重ねながら車の仕組みや交通ルールを覚えていくのが「帰納法」です。

「演繹法」では、最初に車の仕組みと交通ルールをきっちりと教わります。そのあと実際に車に乗って、覚えた知識に従って車の運転をします。これが「演繹法」です。

車の運転は命にかかわります。だから教習所では、演繹法と帰納法のバランスをうまくとりながら教習が進められます。でも、小学生が英語文法を学ぶときは、「帰納法」で教えたほうが圧倒的に理解は早いです。

英語で何度間違えても、命の危険はありません。では、英語文法の学習における実技教習に相当するものとはいったい何でしょうか?

音読を繰り返すと、自然と法則を見出してボンヤリと理解し始める

小学生にとって英語の音読練習は「教習所内の技能教習」です。いきなり「英語を話しましょう」といわれてもポカンとして何をすればいいのかわかりません。

そこで、シンプルで正しい英語をいくつも与えて大きな声で音読させます。このとき、意味もわからずお経のように唱えていても効果はありません。きちんと意味を理解している状態で、何度も音読させます。

このような訓練を繰り返すと、子どもなりにボンヤリと英文の「法則」や「ルール」を理解し始めます。

音読から文法を学ぶ例

ピコ太郎さんの「PPAP」は一時期大流行しました。おそらく小学生も何十回と知らず知らずのうちに「I have a pen.」と歌いながら「英語を音読」したはずです。

映像から「私はペンを持っている」という意味は明らかです。それを何度も口頭練習します。そのうち勘のいい小学生は、英語では「私は/持っている/ペンを(主語+動詞+目的語)」の順番になることを覚えてしまいます。

ここまで口頭練習を積み上げた段階で、お母さんや先生が英語の基本的な語順について少しだけ説明してあげれば、小学生でも無理なく文法を理解できます。これが帰納法のメリットです。

初めに口頭練習したあとに、文法をあたえよう

このように小学生に英語文法を教えるときは、初めに口頭練習をたっぷり与えてから、最後に「ざっくりとした」文法を教えます。これが最も効果的な指導法です。

英語が得意なお母さんはつい、初めに文法を教えてからワークブックに取り組ませようとします。これはお母さんがかつて受けた演繹法による授業の影響です。

実はプロの英語教師もついやってしまいがちな失敗です。自分が受けてきた英語教育の呪縛からなかなか抜け出せず、同じ指導を繰り返してしまうのです。

長年、子どもに英語を指導してきた先生を観察していると、この「帰納法」の原則を忠実に守っています。

細かいところにどこまで目をつぶるか

ではなぜ、中学や高校では帰納法による英語文法の指導が主流でないのかという疑問が残ります。それは、多くの情報を伝えるときは「帰納法」は効率が悪すぎるからです。

たとえば名詞に複数形のsをつけるときに、演繹法ならこのように指導できます。

  1. sだけ最後につける
  2. 語尾がs, x, sh, ch, oのときはesをつける
  3. 語尾がf, feのときは、f, feをvに変えてesをつける
  4. 子音字+yで終わるときは、yをiにかえてesをつける

このあと問題に取り組みながら、複数形の作り方を覚えていきます。

帰納法で教える場合、“I don’t have a watch, but my dad has a lot of watches.”のような文に繰り返し触れることにより、何となく「watchはwatchesだったような…」という感覚を覚えるところまで進めます。そして最後に、先ほどのルール2を与えます。

一つひとつのルールにたいして大量の文を与えて音読をするとなると、膨大な時間を必要とします。これが、中学高校の授業ではあまり採用されない最大の理由です。

「効率的に英語文法を学べるなら小学生にも演繹法で教えるべきでは?」と思うかもしれません。でも、それは実際には難しいのです。なぜなら多くの文法事項を初めに教えると、小学生では英語嫌いになったり、そもそも理解できなかったりするからです。

今の段階で何を優先させるかを見極める

小学生には帰納法中心の指導が優れているのは間違いありません。なぜなら、細かい文法の知識は不要だからです。教えるべき大切な部分にだけ絞り、帰納法で扱うのが良いのです。

正しくない英語でも、「目をつぶれる部分と目をつぶれない部分」があります。この見極めができるのがプロ教師の腕の見せどころです。

「目をつぶれる間違い」とは、たとえば“I have a lot of watchs.”(正しくはwatches)のような間違いです。「目をつぶれない」のは、“I a lot of watches have.”のような語順に関する間違いです。

文法は「英語理解のためにどうしても必要な部分」に絞り、帰納法で教えていくのが大切なポイントです。

小学生での英語の文法は、彫刻でいえば「面取り」の段階で充分です。

彫刻(面取り)

これを中学・高校の英語の授業で細かいところを整えていき完成させるイメージです。

彫刻仕上げ

初めから細部にこだわり過ぎる文法指導は小学生には禁物です。

やっかいな三単現

「三単現(三人称・単数・現在形)のs」は教えるのが難しい項目のひとつです。私だったらまず、簡単な英語の本を音読しながら動詞にsがついた文とsがつかない文を大量に音読させます。

しばらくすると、子どもは「あれ?」と気がつきます。「動詞の部分にsがつくことがあるけれど、なぜだろう?」と不思議に思うのです。

自分から質問してきたときが、最初に教えるタイミングです。

何となく理解している子ども

ネイティブの子どもでも、三単現のsは「何となく使い分け」している状態です。きちんと根拠を説明できるわけではありません。

インター校の教室に掲示されていた作文を読むと、Year 3(日本の小2くらい)のネイティブの生徒でも、s を書き落としているミスを見つけたことがありました。

おそらく彼らの頭の中では「過去形にはsはつけない。いつものことを説明するときに、その場にいない人でひとりのときはsをつける。ひとつのものにもつける」程度の理解です。

小学生ならこれで充分ですし、まったく間違っていません。

私の失敗談

インター校に通っていた息子が小学2年生のころでした。宿題で書いた作文に先生が三単現のsを赤ペンで書き足していました。息子はこのとき初めて「なんでこうなるの?」と質問してきました。

これ以前に、すでに“Does he ~?”とか“He doesn’t ~.”などの表現は話していたので、理解していると私は思っていました。

そこで試しに中学生に教えるように、理屈をこねて説明してみました。するとすぐに大きなあくびをし始めて飽きてしまいました。完全にやってはいけない指導法です。

今の私なら次のように指導します。

T: Talk about yourself. What do you have?
S: I have some books.
T: Ok. How about your sister?
S: She has some books, too.
T: Why did you say “has” instead of “have”?TはTeacher(先生)、SはStudent(生徒)

このように導けば、どういう場合に動詞にsをつけるのかをぼんやりと理解しはじめます。こうして、何回か口頭練習したあと、最後にまとめとして簡単な文法の説明をします。

もちろん、すぐにスッキリとは理解できません。何度も何度も間違えを繰り返して、ようやく少しずつ理解します。根気よく待つしかありません。ちなみに息子が「三単現のs」をほぼ間違えなくなったのは、小学4年生になってからでした。

口頭練習による対比が理解のポイント

子どもの指導に有効な帰納法を用いる場合は「対比させる」のがポイントです。このことを理解するために、「現在完了形」を例に挙げて説明します。

  • 現在完了形を例に
T: What is your birthday?
S: My birthday is May 5th, 2010.
T: Where were you born?
S: I was born in this town.
T: You lived in this town 10 years ago, right? (黒板に書く)Where do you live now?
S: I live in this town.(黒板に書く)
T: Oh, you have lived in this town for 10 years! (黒板に書く)TはTeacher(先生)、SはStudent(生徒)

10years ago

I lived in this town 10 years ago.

now

I live in this town.

→I have lived in this town for 10 years.

10年前についての情報を過去形で、現在の情報を現在形で表現して対比させます。そして、現在形の一種として「(今では)10年間ずっとこの町に住んでいます」という現在完了形の感覚を覚えさせます。

帰納法で学ばせるときは、いかに効果的な対比を見せられるかがポイントです。

このようにしてできた自分に関する現在完了の例文を何度も口頭練習させます。すると、最初のhaveは「持つ」という意味はなく、「ずっと~してきた」の意味を添えたいときに使っているだけだと何となく理解し始めます。

もちろん、最後はかならずまとめとして情報を整理してあげます。すると子どもは「ああ、やっぱりな」と腑に落ちます。もし、自分の理解に誤りがあればここで気づくので、それはそれでいい勉強になります。

すべて理解したところで、ダメ押しの口頭練習が必要です。忘れた頃に反復して練習します。このようにして、少しずつ英語の力をつけていきます。

ガチガチの文法用語から入ると、英語の心は理解できない

もし、先ほどの「現在完了形」を演繹法で、文法用語から導入したらどうなるでしょうか? 優秀な小学5年生なら、中学生と同じく理解してしまう子どももいるかもしれません。でもそれは「理解」であり、「使える」文法にはなりません。

「現在完了形: have (has) +過去分詞形=ずっと~してきた(継続)」を最初に学んでも、空欄補充のテスト以外で役に立つことはありません。

“I have lived in this town for 10 years.”と話すときの話し手は「僕はこの町に10年住んでるよ(だから、(今)僕は君よりこの町について詳しいよ)」という心情が現れています。

この感覚をつかむためには、実例に即して口頭練習を積んでから文法を理解しないといけません。

テストで正解をもらうだけなら知識だけでもなんとかなります。しかし、「本物の英語力」を身につけるためには「なぜ、その表現(文法)は必要なのか?」まで深く理解しないと、使えるようにはなりません。

この観点でみると、haveに続く過去分詞形を少々間違えたとしても、たいした問題ではありません。

このように自分の体験に関連した英語を対比させて、口頭練習を充分に積んだ後に情報を整理してあげるのが小学生には効果的な文法の教え方です。

小学生の間に口頭練習を積むのが大切

小学生の間に口頭練習を大量に積んでおくと、中学校での英語の授業をとても有効な時間にできます。学校英語では英語を話せるようにならないと批判されますが、活用しだいではありがたい文法確認の貴重なチャンスなのです。

先ほどの現在完了形で、過去分詞形の理解が曖昧だったとします。それでも口頭練習をたくさんすると、have made, have read, have watched…のように口と耳が何となく覚えています。

もちろん、間違えて覚えているところもたくさんあります。その部分をきっちりとあぶりだして、仕上げていくのが学校での英語の授業です。すでに英語の心がわかり、使うシチュエーションを理解し、発音をできる状態なので、最後に知識を固めれば鬼に金棒です。

中学校の英語の授業をゼロから学んでも、話せるようになるまでに長時間必要です。でも、小学生までに口頭練習を積み上げていれば、英語を話せるようになるまであと一歩です。学校英語はムダではないのです。

こちらの動画セミナーでは音読トレーニングを通じて、英語4技能の向上を図る方法を紹介しています

考える割合が減る(=無意識化)は英会話への第一歩

すでに音読練習をしていて仕上げの文法を覚えれば、それほど考えなくても口をついて英語表現が出てくるようになります。ほんの一瞬頭を使うだけで文章の構文を思いつくので、難しい部分やうまく伝えるための論理展開に頭を使えます。

英語を話せる人達は、頭を使わずに英語を出せる(話す・書く)割合が多いのです。これが英会話のコツです。小学生のうちに音読訓練をしておくと、中学高校で英語力のカーブは急上昇します。

中学・高校で一気に英語力を伸ばすために

小学生の段階で、「英検〇級」というテストの結果にこだわり過ぎると、お母さんはあせって結果を求めようとしてしまいます。

音読練習をすると確実に英語力は向上しますが、必ずしもテストの点数に反映されません。テストでは「〇か×」を問われます。「70%の理解」は「×」だからです。帰納法による文法学習はテストの点にすぐには反映されません。

子どもは楽しく努力をしてせっかく英語力を蓄積しているのに、低く評価されたり怒られたりしたらたまったものではありません。中学高校にすすんで、授業で文法の完成度を上げればテストの点などあとからついてきます。

帰納法中心で学ぶ子どもに対しては、テストの点に現れない部分をお母さんに評価して欲しいと思います。そうすれば子どもも「お母さん、わかってくれているな」という感覚を持てるはずです。

まとめ

子どもの英語学習の8割は音読練習に充てられるべきです。音読練習とは、教科書を声に出して読むだけではありません。お母さんの口まねをして英語を話すのも立派な音読練習です。英語の歌を口ずさむのも音読練習のひとつです。

子どもは大量の英語に触れながら、少しずつ英語の語順などを自然と身につけていきます。このような「あいまいな理解」をしたところで、少しずつ文法の説明を受けて理解を確かな物にしていきます。

試行錯誤を繰り返しながら規則性をボンヤリと見つけさせ、最後に教師がまとめで知識を与える「帰納法」が子どもへの文法指導には有効です。

小学生までに音読練習を積み上げておくと、中高での英語の授業はあいまいな知識をチェックする時間になります。それまでの疑問点は一気に晴れますし、迷いがなくなるので「使える英語」を身につけられます。

小学生の頃に文法の知識ばかりを詰め込んでも、英語を話せるようにはなりません。上手な英語の先生なら、口頭練習を多くとりながら文法のまとめをしています。

小学生に英語の文法を教えるときは、いろいろと気をつけなければいけません。安心して英語教室に通わせるためにもこのことを理解しておくと良いです。

これだけは知っておきたい! 「子どもの英語を伸ばす」接し方

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子どもの英語力に影響を与えるものはいろいろとあります。その中でもとりわけ「お母さんの子どもへの接し方」は影響力が大きいように感じます。なぜなら、普段最も長い時間子どもと接している人だからです。

中途半端な知識で子どもに無理やり英語を強制しては、子どもの英語力はすぐに頭打ちになるでしょう。しかし、まったく放任状態ではいつまでたっても英語を学ぶ習慣は身につきません。

今回は年齢層別に子どもの特徴を取り上げ、それに即したお母さんの接し方についてまとめました。私が実体験から学んだことなので、机上の空論ではありません。中学生以降、子どもの英語力が爆発的に向上するように正しくサポートしてあげましょう。

幼稚園~小学1・2年生へのサポート

小学校に入学しランドセル姿の子どもを見ると「ずいぶんと成長したな」と感じます。しかしながら、英語学習の観点からは小学校の低学年(1・2年生)は幼児とあまり変わりません。

この年齢までの子ども達の特性は大人とはかなり異なります。その点を理解してお母さんが接すると、上手に英語学習を始められます。

この年齢の子どもは、文字の読み書きは一般的に苦手です。このため、無理やり英語の本を読ませたり、ワークブックに取り組ませたりするのは逆効果です。もちろん個人差が大きいので、文字に興味を持ち始めたら少しずつ与えるのは大丈夫です。

子どもはおもしろそうなものには自然と惹きつけられます。反対に、関心がないものには一切取り組みません。大人のように「将来役に立つから」とか「教養のため」という理由で我慢しません。

あなたに覚えておいてほしいのは、「英語を使って楽しませる」ことです。

私は「英語絵本の読み聞かせ」をおすすめしています。これは「英語を使って楽しい話をお母さんと笑いながら読めるから」です。勉強の概念を持ち込まずに、英語に触れられる点で絵本の読み聞かせはとても優れています。

音に強い特性を活用して、勉強を意識させない

この時期の子どもが有利なのは、「恥ずかしがらずに英語の音をまねしようとする」特性があるからです。初めて英語を習う中学生に“th”(舌先を上下の歯の間に挟み空気を出す音)の発音を教えても、積極的にまねしようとはしません。「照れ臭さ」があるからです。

この点は幼児~小学1・2年生までの子どもには「抵抗感」がありません。「これ、上手にできるかな?」と促すとすぐにチャレンジします。英語の発音に関しては理屈よりも実践が大切です。小さい子どもが短期間で発音が上達するのはこれが理由です。

お母さんにできる具体的なこととして、「英語絵本の読み聞かせ」が最も取り組みやすいです。盛り上がる部分をお母さんが楽しく読んであげると、そのうち子どもは自分からまねして声を出して読み始めます。

発音を気にして読み聞かせに消極的なお母さんもいますが、これから多くの人の発音を聞く機会があるので心配しないでください。完璧に正しく読める人などいないので、できる範囲で頑張れば充分です。

このように絵本の読み聞かせを通して、英語に楽しみながら触れさせるようにしましょう。短い単語やセンテンスをまねするまで持っていければ、この年齢での英語教育は充分成功です。

結果をすぐに求めない

毎日絵本の読み聞かせをしても、「なかなか子どもが英語を声に出さない」と感じることもあります。見た目には子どもに変化がなくても、頭の内部で変化は蓄積されています。

だから結果をすぐに求めないで、半年~1年程度は待つようにしてください。長すぎると感じるかもしれませんが、日本語を話し始めるまでにも同じ時間がかかったはずです。

実は私も子どもに絵本の読み聞かせをしていて、子どもが英語を口にせずじれったく感じた時期がありました。子どもは絵本は好きだったので、私のところに「読んで」と持ってきます。私も楽しかったので、ときどき新しい本を買い足しました。

8か月くらい経った頃から、次のページをめくる前に子どもが英語を自分で読み始めました。文字を読んでいるというよりも、私の英語を耳で覚えていたようです。絵本の最も盛り上がるところは子どもの順番になり、ますます絵本が好きになったようでした。

変化が起きるまで待つのは大変ですが、「英語のため」と考えずに「親子で読書を楽しむ」程度に気楽に考えたほうが長く続けられます。

子ども自ら興味をもつように仕向ける

子どもに英語を「勉強」として押し付けるのは最悪です。反対に、何もせずに放ったらかしではいつまでたっても子どもは英語に興味を持つこともありません。やはりお母さんが「仕掛け」を作ることで、子どもが自分から英語に触れようと仕向けなければいけません。

リビングに一冊も本がない家庭と本棚に子どもが読みそうな本がたくさん並べてある家庭では、どちらが本好きの子どもが育つかといえば当然後者です。環境を提供するのがお母さんの役割です。

私は子どもに英語での読書を強制したことはありません。ただし、いろいろと策を講じました。例えば、新しく英語絵本を買ったときのことです。子どもがおもちゃで遊んでいる横で、その絵本を私が一生懸命読みます。

しばらくすると子どもは「それ、何?」と近づいてきます。「今お父さんが読んでいるから、あとでね」ともったいぶります。「僕も読みたいよ」とせがんだところで、「じゃあ一緒に読もうか?」と自然に読書につなげることができます。

このように子どもの意志で英語に触れるように策を講じるのが、英語好きな子どもを育てるコツです。

幼児~小学1・2年生は自分の意志で選んだおもしろそうなことには夢中になります。文字を書いたり読んだりするのはまだ苦手なので、無理にワークブックに取り組ませるのはやめたほうがいいです。

絵本の読み聞かせを中心に据えながら、子どもが自分の意志で英語に触れるように「仕掛け」を張り巡らせてください。

小学3年生へのサポート

小学校の先生の間では常識である「小3の壁」があります。それまでは幼稚園の延長だった学習内容が、小学3年生から一気に「小学校の勉強」へとレベルアップすることを指します。

もし、小学2年生と3年生の国語の教科書を見比べる機会があったら、ぜひ確認してみてください。文字の量や語彙レベルなど「小3の壁」を実感できるはずです。

しかし、この時期から「英語学習も一気にレベルアップしたほうがいい」と考えるのは早計です。私の意見ですが、この年齢の子どもは英語教師泣かせなのです。

文法はまだ早い

「文法学習も少しずつ始めた方がいいのでは」と考えるお母さんもいるかもしれません。しかし、この年齢の子どもに文法アプローチで英語学習をするのはやめたほうがいいです。

なぜなら文法のような抽象的な概念を理解するには、まだ幼過ぎるからです。では、これまでと同じように絵本を中心にすすめられるかといえば、それも難しくなります。なぜなら、子どもが普段読むようになっている本のレベルに合わないからです。

そして小学1・2年生と決定的に異なるのは、英語を話すことに「恥ずかしさ」や「間違えたら嫌だ」という抵抗を感じ始めるようになることです。

文法アプローチには早すぎて、音の練習もこれまで通りに素直にしなくなるのがこの年齢の特徴です。では、この時期にお母さんが心がけるべきことについて説明します。

思わず口まねしたくなるように仕向ける

ここでもお母さんの「仕掛け」が威力を発揮します。子どもはゲーム好きです。人間の本能として「勝ち負け」がかかると夢中になるようです。だからスポーツは多くの人に愛されています。

英語学習にもこの本能を上手に活用しましょう。お母さんは、子どもの「よきライバル」になってください。英語学習において競争するのです。

私がこれに気がついたのにはきっかけがありました。文法の問題を息子に教えているときに、“The police ( was, were) investigating the case….” (警察は事件を捜査していた)でどちらかを選ぶ問題がありました。息子はwereを選びましたが、私は「wasじゃない?」と反論したのです。

正解はwereです。これはthe police は見た目が単数でも「複数扱い」するからです。peopleと同じです。恥ずかしながら、私は本気で間違えてしまいました。解答を見た息子は大喜びです。滅多に私は間違えないので、鬼の首を取ったような喜びようでした。

これをきっかけに息子はあまり乗り気でなかった文法問題に積極的に取り組むようになりました。きっと「お父さんを打ち負かしてやりたい」と思ったからです。

英語の苦手なお母さんは、この点非常に有利なのです。なぜなら子どもを喜ばせる回数が増えるからです。「上から教える」スタイルではなく、「共に競い合う」スタンスで子どもと向き合ってみましょう。

好きな映画の傾向を把握する

子どもの「好きなこと」「嫌いなこと」「苦手なこと」が少しずつはっきりしてくる時期です。ときどき家族で映画を観ることもあるでしょう。普段から子どもの映画の好みを把握しておくと英語学習に役立ちます。

たとえば、プリンセスが好きな女の子ならディズニー作品がおすすめです。「英語音声」で一緒に見てみましょう。吹替で最初に見ておけば「英語音声」に切り替えても、どのセリフの場面かは理解できるはずです。

映画で英語を学ぶときにはコツがあります。私が中学生の頃にしていたことです。

実は映画のリスニングは最上級に難しいです。いきなりこれを押しつけたら映画そのものを嫌いになってしまいます。そうではなくて、まずは「映画のタイトル」に注目させます。

美女と野獣なら“Beauty and the Beast” が原題です。これで単語を二つ覚えられます。しかも絶対に忘れません。タイトルは文字で画面に出るので、聴き取れなくても大丈夫です。

有名な俳優が出演している場合は、その名前を見つけるのもいいトレーニングです。音と綴りを合わせられるのでフォニックスの訓練になります。

映画のセリフに関しては、「決まり文句」は聴き取りやすいはずです。美女と野獣なら最初のナレーションに“Once upon a time”(むかしむかし)という昔話にお決まりの表現が使われています。

このように小学生でも読めたり聴き取れるところを少しずつ増やすことで、好きな映画と英語学習を上手に結び付けられるようになります。

歌に興味を持たせる

歌が好きな子どもなら、洋楽も試す価値ありです。これまでと同様に押しつけると子どもは嫌がります。私だったら、車に乗ったときは「お父さんが聞く英語の歌」としてあらかじめ用意しておきます。

ここで子ども向けに“Old MacDonald had a farm”のような歌を集めると、子どもは「これは自分に勉強させるためだ」と勘づきます。

お母さんが好きな歌を選んでください。子ども向けでなくても全然かまいません。例えば、「Best Day of My Life」 です。

お母さんはあらかじめ歌詞を調べておいて、一部だけでも歌えるよう練習しましょう。歌を聴きながら自分で歌うだけでいいのです。

子どもは「意味はわからないけれど、いい歌だな」と思えば、勝手に興味を持ちます。家に帰ってから歌詞付きのYouTube動画を見せて、子どもの気が向けば自分で練習しはじめます。

文字タイプか音タイプか

小学3年生になると、「文字に強く反応するタイプ」と「音に強く反応するタイプ」に分かれます。前者の場合は、簡単な英語の本にチャレンジさせたほうがいいです。ただし、このときも音読を忘れないようにしましょう。

音に強く反応するなら、映画や歌と結び付けながら英語を学ぶといいです。

「4技能(聞く・話す・読む・書く)バランスよく学ばせたい」と思うお母さんもいるかもしれません。今は英語にのめり込むきっかけの段階なので、好きなところから始めてうまく軌道に載せることに集中しましょう。いずれバランスよく学ぶので安心してください。

小学4~6年生へのサポート

小学4~6年生の期間は、本格的な英語学習を開始できるチャンスです。テストや受験といったプレッシャーから解放されている間に、英語学習を開始できるメリットは大きいです。

ではこの時期の子どもにお母さんとして何ができるのかを詳しく説明します。

テストのための英語から遠い「今」がチャンス!

以前、私に「英単語をなかなか覚えられない」と相談に来た中学生がいました。そこで普段、どんな覚え方をしているかを再現してもらいました。

「木曜日は、T(ティー)・h(エイチ)・u(ユー)…」とつぶやきながら、紙に書き始めました。そこで私はその単語を声に出して読むようにいうと、彼は「わかりません」と答えました。

私は「英語ってまず、読めることが大切なんだけど、そう思わない?」とたずねると、その中学生は「でも、テストでは答えを書ければ〇をもらえるから関係ないですよね?」と真顔で答えました。

私にとっては衝撃的な回答でした。それは「教科や受験科目としてしか英語をとらえていない」とわかったからです。

英語は本来「コミュニケーションの道具」です。現実に英語を使って生活している国があるのです。しかし先ほどの中学生にとって、英語とは「教科」や「受験科目」のためでしか存在していません。彼のような生徒は例外ではありません。

小学4~6年生から本格的に英語を始めるメリットは、コミュニケーションの道具として英語を考えるようになることです。まずは、このことをお母さんにも強く意識してほしいと思います。

資格取得に夢中になり過ぎない

小学5年生くらいになると「英検準2級」に合格する子どもがチラホラと登場します。英語学習の進捗状況をチェックするために英検を受けるのは大賛成です。その結果「英検〇級合格」の資格がもらえるなら喜ばしいことです。

しかし、英検合格を目的にしてお母さんが子どもにプレッシャーをかけるようなことはやめてください。せっかく、「コミュニケーションとしての英語」を意識できる時期なのに、わざわざ「テストのための英語」を子どもに植え付けているからです。

周りの子どもの「英検〇級」に惑わされずに、「本物の英語力」をつけさせてあげるように考えてあげましょう。

音読練習+文法で基本を固めよう

小学5・6年生になったら、短めの素材で音読練習することを習慣化しましょう。教材は通信講座でも何かのテキストでもかまいません。ネイティブによるナチュラルスピードの音声付きのものが適しています。

このとき必要に応じて基本的な文法を学習すると、飛躍的に英語力を伸ばせます。最初に充分口頭練習を積んだ後、文法で理解を深めることが大切です。文法を先に学習すると知識だけの英語となり、実際の場面で使えるようにはなりません。

英語の得意なお母さんでも、そろそろプロの手を借りたほうがいい段階です。音読の重要性を認識している先生を探しましょう。やはりどの年齢から始めても、言葉の学習に音声の訓練は欠かせないのです。

この動画セミナーではリスニングだけでなく、英語4技能全体を底上げする方法を紹介しています

興味のある分野に絞った英語素材を自然に与える

小学3・4年生の項目でも触れましたが、子どもの興味はより細分化し高度になります。好きなものに没頭する能力を英語にも応用しないのはもったいないです。

専門知識があれば多少わからない単語があっても、類推しながら読めるものです。私は小学5年生頃、天体に興味がありました。毎晩のように天体望遠鏡で星を眺めているうちに、主な星雲・星団のある場所はほとんど暗記していました。

あるとき大きい書店で“SKY & TELESCOPE” というアメリカの天体ファン向けの雑誌が置いてありました。英語はほとんど読めませんでしたが、いくつかの単語はかなり正確に意味を把握できました。

たとえば、focus(焦点), objective lens(対物レンズ), nebula(星雲)などの単語は図や写真を見れば、簡単に意味がわかりました。

このように大人顔負けの知識欲がある子ども(〇〇博士タイプ)なら、英語と掛け合わせると相乗効果を発揮します。大都市に出かける機会があるなら、洋書の雑誌コーナーで趣味に関する雑誌を買ってあげましょう。

小学生のうちに身につけさせたい5つのこと

中学生になる前に、英語に関して子どもに身につけさせたいことを3つにまとめました。不思議なことに中学校の英語の先生がこのような話を小学校の先生に伝えることはほとんどありません。同様に高校の先生も中学の先生にこのような話をする機会はありません。

中学校以降、子どもが英語を楽しみながら一生懸命勉強して成績もグングン伸びるように、参考にしてください。

「コミュニケーションの道具としての英語」を体験させる

大切なことなので繰り返します。英語は世界的に使用されている言語です。英語はコミュニケーションの道具以外の何物でもありません。

当たり前のことですが、受験のことばかり意識し続けると、いつの間にか試験のための英語としかとらえなくなります。そして受験が終わった瞬間に英語の学習をやめてしまいます。

これを防ぐためには、実際に英語を使って生活している人たちを見せたり、体験させたりするのが効果的です。具体的には、海外旅行に連れて行ったり、英語キャンプや短期留学に参加させたりすることです。費用的に難しければ、ホームステイを一時的に受け入れるのもいいでしょう。

「英語が通じた喜び」と「うまく伝えられなかったフラストレーション」は、今後の英語学習を続ける大きなモチベーションになります。

日本人が少ない環境に、日本の子どもは慣れていません。マイノリティの立場になっても堂々と振る舞うためには、やはりコミュニケーション手段が必要です。そのようなことを体験から学ばせるのはとても意義があります。

楽しく努力する

小学生時代にどうしても身につけたいスキルは「楽しく努力する」ことです。努力と我慢は異なります。「英語は楽しい→もっと上手になりたい→努力する→少し上手になった→うれしい」循環に入ればしめたものです。

これは英語に限った話ではありません。スポーツや他の習いごとでもいいのです。どれか一つの分野で「楽しく努力」できる子どもは、きっと必要になれば他の分野でもできるからです。

学校の成績や受験だけでなく、一生を通じてこの能力は大切です。ぜひ、その基礎を小学校時代に身につけるようにサポートしてあげましょう。

声に出して読む習慣をつける

英語学習において静かに黙々と勉強しているようでは成功できません。とにかく声に出して読むことが重要です。

それを体系化したものが「音読トレーニング」です。極論を言えば、「音読トレーニング」を日常的に行うだけで、中学・高校の英語は充分に乗り切れます。

英語教育に携わる者ならほとんどの人は理解していますが、時間がかかるために生徒に音読練習の仕方を細かく指導している学校はほとんどありません。それなら家庭でお母さんが中心となって「音読トレーニング」の環境を整えるしかありません。

中学生で木曜日の綴りをSarsdayと書いてしまう生徒は珍しくありません。Thursdayが正解です。普段からthの発音を意識して何度も音読していたら、ありえない綴りの間違いです。

自分のできる範囲で精一杯、音読する訓練を年単位で続けると、英語の力は確実についてきます。ぜひ、小学校の間にそれが身につくようにしてあげましょう。

まとめ

幼少期は音の学習の適齢期です。お母さんの英語をたくさん聞かせてあげましょう。具体的には英語絵本の読み聞かせがおすすめの方法です。

小学3年生では興味や趣味に即した英語を与えると、自分から英語を学ぶようになります。文法学習はまだ早いので、あわてて取り組ませても効果的とはいえません。

小学校4~6年生からは本格的な英語学習を開始できます。受験まではまだ時間がたっぷりあるこの時期に、「コミュニケーションの道具」としての英語を強く意識させてあげましょう。

どの年齢層でも共通しているのは、「楽しく努力する」のが最も効率的な学習方法であることです。また、英語学習の基本は「音声」なので、年齢に即した方法で英語を音読すると中学生以降で英語力は飛躍的に伸びるようになります。

英語を教えるのは教師の仕事ですが、お母さんの子どもへの接し方は教師以上に影響力は大きいともいえます。ぜひ、子どもの特徴を正しく理解して、子どもみずから英語を学びたくなるような環境づくりをサポートしてあげましょう。

 

小学生の英語学習の始め方:最強自宅学習プラン

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2020年度から小学3年生からの英語が必修となりました。小学5年生からは英語の成績もつけられます。このような状況の中、「ウチの子も早めに準備しなくては」と考えるお母さんも多いかと思います。

しかし、子どものうちからあまり勉強に縛りつけるのもよくないし、他に習い事をしていると教室に通うのもなかなか大変です。

そこでまずは自宅で子どもに英語を学習させてみようと考える家庭が増えつつあるように感じます。「いつから始めたらいいのか」「何をさせたらいいのか」について悩んでいるお母さんも多いはずです。

そこで今回は、小学生~高校生まで指導経験のある私がオススメする、小学生からの英語学習の始め方について説明します。主に自宅で英語学習に取り組ませたいと考えているお母さんのために、大切な考え方や具体的な方法についてアドバイスします。

英語のゴールをどこに定めるかがポイント

まずは親子で英語のゴールがどこなのかについて話し合いましょう。一般的に英語を使って仕事をするためには、次の基準が目安になります。

社会人になる前に(20~21歳)、英検準1級レベル、TOEIC750~860点を取得

一般的な基準よりも高めですが、私の印象ではこれくらいに達していないと、英語を使った仕事は難しいと感じます。

「英語は必要になってから学べばよい」と考える人もいます。しかし、社会人になると忙しすぎて英語学習に思ったように時間を割けません。時間的余裕のあるうちに英語をマスターしたほうがよいです。

また、英語をある程度身につけておくことで、仕事の選択肢を広げたり、給与水準の高い仕事を選べることもあります。学生のうちにやれることは済ませておきましょう。

中学・高校の英語の授業を活用しながら、目標に向かって実力を積み上げていくのが最も賢いやり方です。

ゴールから逆算すると、小学校5年生あたりから始めると余裕をもってすすめられます。それより早くても構いませんが、文法については理解することができずに効率が悪くなります(発音などは早めのほうがいいです)。

小学生の英語自宅学習で最も大切なことは、子どもに「英語学習の正しい型」を身につけさせることです。正しい型とは主に「音読習慣を身につけること」です。具体的な内容について詳述します。

小学生のうちに自宅で英語学習の正しい型を

中学生に英語を指導していて、私はもどかしく感じることがあります。それは彼らが英語の音読にとても消極的なことです。

例えば、日本語を勉強している外国人が日本語を声に出さずに問題集だけに取り組んでいたら、どのように感じますか。「それでは使えるようにならない」と思うことでしょう。でも、英語を学ぶほとんどの中学生は音読に消極的なのが実態です。

「英語を声に出す」ことは、英語学習の基本です。しかし、彼らは黙々と問題集を解くだけでほとんど声に出して英文を読もうとはしません。恥ずかしいのか、間違えるのが怖いのか、理由ははっきりしませんが、とにかく声に出しません。

根気よく指導して半年くらいすると一部の生徒が積極的に声を出すようになります。しかし、多くの生徒は沈黙したままです。

小学生から英語を始める最大の価値は、英語を声に出す習慣をつけさせやすいことです。家庭で英語を学ばせるときはぜひ音読を取り入れるようにしましょう。中学生では遅すぎます。

自宅で身につけさせたい!英語音読の習慣

音読といっても本格的な音読のトレーニングのことではありません。英文を見たときに、声に出して読んでみるだけでよいのです。

英語を学ぶときは教材を使用します。そこには例文がたくさん載っています。そして多くの場合、CDやダウンロードできる音源が付属しています。これらを利用して、英文をまめに声に出して読み上げるだけで充分です。

注意して欲しいのは、カタカナ読みではダメです。【f】【v】【θ】【ð】【l】【r】など日本人が苦手とする発音に気をつけながら、CDのマネをして子どもに音読させるようにしましょう。

発音指導が苦手なお母さんは、動画サイトなどを利用して子どもと一緒に練習するようにしましょう。英文を見たら即ブツブツ声に出すくらいの状態にまで習慣化させれば成功です。

反対に、沈黙したままワークブックをこなしていたら、一緒に声に出して英語を音読するなどのサポートが必要です。次に、小学生のうちに攻略しておいたほうがよい英文法について説明します。

小学生の英語はbe動詞と一般動詞の現在形に時間をかけよう

英文法に関しては小学5年生から始めるとちょうどよいです。抽象的な概念を理解し始める年齢なので効率がいいです。ただし、文法用語だらけの教材で中学生と同じような学習を無理にさせると英語嫌いになってしまうので注意が必要です。

また子どもの成長に合わせて始めないと、混乱してしまいます。国語の返却されたテストを見て、主語・述語などの文法問題がある程度正解しているようなら大丈夫です。もし、充分に理解していないようなら英語の学習には早すぎます。

あせって「小学生のうちに英検3級を!」のような高すぎる目標も私は不要だと考えています。英語学習が順調に進み、結果的に3級を取得できたなら何も問題ありません。資格取得ばかりにとらわれるのはやめましょう。

私が小学生を指導するときに重要視しているのは、「be動詞と一般動詞の現在形」です。もう少し詳しく説明すると、肯定文・否定文・疑問文(疑問詞も含む)をすぐに口から出せる状態にまで慣れさせる、ということです。

理由は、「be動詞と一般動詞の現在形」が完全に理解できると、それ以降の文法の学習が飛躍的に効率がよくなります。

たとえば、助動詞canを習うとき、一般動詞のdoのパターンがとても役に立ちます。

You speak English.  You don’t speak English.  Do you speak English?
You can speak English.  You cannot speak English.  Can you speak English?

doの代わりにcanを置けば、理解しやすいです。

現在進行形の文の構造はbe動詞の文そのものです。

She is beautiful.  She isn’t beautiful.  Is she beautiful?
She is running.  She isn’t running.  Is she running?

個人的には「be動詞と一般動詞の現在形」は、それ以降の項目の3倍は時間をかける価値があると思っています。

しかし、中学校の指導計画ではその他の項目と同じ時間を配分されているため、理解が不十分でもそのまま進んでしまいます。疑問詞(What, How manyなど)を絡めて、疑問文などをスラスラと作れるようになるまで慣れておくと、必ず英語は伸びます。

英語が苦手になる生徒の多くは、この「be動詞と一般動詞の現在形」の理解と運用が不十分だからです。英語が苦手な生徒のできない原因は、音読の軽視と基本文法の理解と練習不足です。

小学生から英語を学ぶならこの分野を徹底的に攻略することが、後で英語の成績が急上昇することにつながります。

おすすめ教材

英語と日本語の大きな違いのひとつは、語順の重要性です。英語は語順が意味を決定するうえでとても大切な要素です。

日本語は「て・に・を・は」などの助詞が言葉の役割を決めているので、語順に比較的寛容です。しかし、英語は語順が入れ替わると意味がまったく異なります。

例えば、The dog bit the man.(犬が男にかみついた)と The man bit the dog.(男が犬にかみついた)では意味が変わってしまいます。

この語順を強く意識して「be動詞と一般動詞の現在形」を中心に学べる教材は、Jリサーチ出版『「意味順」だからできる!小学生のための英文法ドリル』です。

このドリルは1「be動詞マスター」と2「一般動詞マスター」に分かれています。1テーマで1冊なので、初めて英語を学ぶ小学生にはすぐに一冊を仕上げられて達成感が味わえます。

このテキストの最大の特徴は、「意味順」ボックスと呼ばれる色分けされた解答欄が用意されているところです。英語の文型が身につくように、主語は赤、動詞は青、目的語は緑とわかりやすく表示されているので、子どもは迷わずに英文を作ることができます。

解答欄は4線が引いてあって、英語を書き慣れない子どもでも、大文字や小文字の高さに注意しながら書けるように配慮されています。

一方、使いにくいところもあります。ダウンロードする形式の音声がありますが、読まれるスピードが遅すぎます。1.5倍速再生で聴いてちょうどいいくらいです。

高学年が使うときは、親がある程度補足しなければいけません。たとえば、冠詞(a, an, the)についての詳しい説明がないため、テキストとは別に説明してあげる必要があります。人称代名詞の所有格(my, yourなど)も説明がないのが残念です。

単語に読みやすいようにカタカナが振ってあるのもマイナスポイントです。子どもはこれを見て発音してしまうので、カタカナを読まないように指導する必要があります。

小学生向けの英語テキストは、最近ようやく本腰を入れて出版されています。ときどき書店をチェックして評判のよさそうなものを確かめておくようにしましょう。

テストに縛られない小学生の時期は英語学習にとても大切

中学校になると定期考査があります。英語の試験は試験範囲が決められていて、その中から出題されます。私の考えでは、試験範囲が限定されていることが、生徒の英語の成長を阻害しています。

本質を理解して英語を音読しながら慣れていって、ある時点で試験を受けるなら何も問題ありません。しかし、実際には直前に要領よく日本語訳を丸暗記して適当にごまかそうとする勉強を繰り返す生徒が多いのです。

ある程度広い範囲を学んだあと、どこが出るかわからない形式で出題するなら、生徒も小手先の勉強が通じないとわかるはずです。しかし、実際には試験範囲だけ単語の意味を暗記したりする適当な勉強法でも多少の点数が取れてしまいます。

中学校で英語の成績が伸びる子は、定期テストの範囲などにとらわれず常に先の目標に意識を向けています。過去に習ったことも忘れないように、言われなくても復習します。そのような学習姿勢が英語の実力に結びつきます。

小学校では定期テストがありません。小手先の勉強をする必要がないため、英語の基本に腰を据えて取り組めます。この時期を有効に利用して、その後の英文法の基礎となる「be動詞と一般動詞の現在形」をマスターするようにしましょう。

これが英語が得意な子どもにするためのコツです。

まとめ

小学校での英語教育が本格化し「家庭で子どもに英語を学ばせたい」と考えるお母さんは多いはずです。始める時期とどのように家庭で指導したらよいのか、に悩みます。

私は目安として小学5年生からが、家庭で英語を学び始めるのによいと感じます。抽象的な概念の理解力が高くなり、英文法の基本を効率的に学べるからです。

小学生のうちに絶対に身につけておきたいのは、英語を積極的に音読する習慣です。中学生になると多くの生徒は英語を声に出すことを嫌がります。声に出すことは言語学習の要なので、小学生のうちに音読を習慣化させましょう。

文法に関しては、「be動詞と一般動詞の現在形」の学習に力を入れましょう。頭で理解できているだけではダメです。肯定文・否定文・疑問文がすぐに口をついて出てくるレベルまで何度も練習することが大切です。

「be動詞と一般動詞の現在形」はその後の英文法の基礎となります。ここをしっかりとマスターしておくと、助動詞・進行形・過去形などを学ぶときでもあっという間に習得できます。

中学校では定期試験があり、直前の対策だけで乗り切ろうとする生徒がかなりいます。これを繰り返してもまったく実力がつかず、気がついたときには手遅れです。

試験がない小学校での英語学習時間はとても貴重です。あせらずに「be動詞と一般動詞の現在形」を音読しながら、家庭で取り組ませましょう。

小学生のための英語リスニング(ヒアリング)練習法・勉強法

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子どもと洋画やディズニーアニメのDVDを見ているとき、あなたはどれくらい英語を聴き取れるでしょうか? 半分以上わかるお母さんはかなりの上級者です。普通は子ども向けの内容でも、リスニングはとても難しく感じるものです。

試しに英語字幕を画面に出すと、ほとんどのセリフは簡単な英語であることがわかります。なぜ、文字にすれば読めるのに、リスニングでは聴き取れないのでしょうか? “I love you.”はどんなに速く読まれても聴き取れますので、スピードの問題ではなさそうです。

リスニングは英語4技能のうちのひとつですが、唯一、相手のレベルに合わせなければいけないスキルです。「リーディング」「スピーキング」「ライティング」は自分のレベルやペースでよいのと対照的です。

「リスニングができない」原因は一つではありません。子どものレベルを見ながら適切なアドバイスをあげられるように、リスニングについてお母さんは勉強しましょう。

ちなみに従来「ヒアリング」という言葉が主流でしたが、現在は「リスニング」に置き換えられています。もとになっている英語hearは「音・声を聞く」ことを意味します。英語を聴くときは「傾聴している」ので、listenの方がより適切だからです。

大学受験では実用的な英語力を試されるのがトレンドです。そのため、リスニングテストは将来もなくならないでしょう。子どもの頃から英語のリスニング力を上げておくと、会話はもちろん受験にも役立ちます。

英語のリスニング力はなぜ必要か

「英会話をできるようになること」を目標に挙げる子どもは多いです。そのため「英語4技能のうちスピーキングを重視する」とお母さんが考えるのも無理はありません。しかし、それだけでは英会話は成立しません。

・英会話で必要なのは、スピーキング力とリスニング力

英会話を成立させるには、「スピーキング力」と「リスニング力」の両方が必要です。会話は言葉のキャッチボールです。AさんとBさんで会話をするなら、Aさんが話したら、その内容をBさんは聴き取って、それに反応(話す)することを繰り返します。

話す(スピーキング)だけでなく、相手の話すことを聴く(リスニング)ことも同じく大切なのです。ですから英会話をできるようになりたければ、リスニング力は必須の技能です。

リスニングのつらいところ

以前、息子がインターナショナルスクールに通っていたとき、学期末に先生と親で2者面談がありました。割り当ては一人15分程度でした。最初の5分で先生からの説明はひと通り終了します。残りの10分間は会話をしなければなりません。

私が話す(スピーキング)するときはそれほど流暢である必要はありません。ゆっくり簡単な表現で話していても、先生はじっと聴いてくれます。

ところが聴き取り(リスニング)は、相手のレベルに合わせなければいけません。先生の発音(英国出身)、スピード(やや早口)、語彙(普通の社会人同士)+教育用語についていかないと、先生の質問に正しく反応できません。ある年の担任の先生はかなりの早口で、理解するのに必死だった記憶があります。

リスニングのつらいところは、相手の能力に自分が合わせなければいけないことです。のんびりと自分のペースですすめてはダメです。最終目標は世界中のどんな人が話す英語でも意味がわかる実用レベルに到達することです。

英語が聴き取れない原因を探ろう

リスニングができない原因は一つではありません。複数の要因が重なって「わからない」状態となっています。これらの原因のうち、一つが極端に劣っているとリスニング力は低いままです。

まずは聴き取れない5つの原因を把握しましょう。そして、年齢やレベルに即した対応を考えてあげましょう。

・リスニング力は独立した技能ではない

「リスニング」は単独で成立する技能ではありません。わかりやすくするために図で示しました。

リスニングの成立条件

まず、ボキャブラリー(語彙力)と文法力は「リーディング」を支えています。子どもの場合、文法だけを取り上げる学習はふさわしくありません。「英語の語順に慣れていること=文法力」程度に理解してください。

リスニング力は、リーディング力が基礎になっていることに注目してください。その上に「情報処理」と「音の学習」を積み上げると、しっかりとしたリスニング力をマスターできるようになります。

このようにリスニングだけをトレーニングしても、これらの基礎が弱いとリスニング力は向上しません。以下、聴き取れない原因となっている5つの要因について具体的に解説します。

リスニングができない原因1:ボキャブラリーと知識不足

あなたが小学校低学年の頃を思い出してください。テレビのニュース番組を見ていたとき、その内容を理解できましたか?

「国会で〇〇関連法案が可決し…」「国連安保理では…」「〇〇組合の理事が収賄の容疑で…」など、子どもにはチンプンカンプンな状態だったはずです。しかし、小学校高学年~中学生になった頃にはほとんどのニュースを理解できるようになったと思います。

難しいニュースを聴き取れるようになったのは、ボキャブラリーがこの期間に飛躍的に向上したからです。どんなに音を聴き分けられても、語彙力が不足していると何をいっているのかまったくわかりません。

リスニング力を向上させるには、正しい音(発音)を学び、意味を理解できる単語の数を増やすことは必須です。背景知識についても同様のことがいえます。英語・日本語に関わらず、幅広いことに興味を持ち知識を深めることはリスニングにとても役立ちます。

リスニングができない原因2:文法力不足

リスニングには文法力も絶対に必要です。理由は二つあります。一つ目は、ある程度基本となる語順を知らないと意味がわからないからです。

例えば、次のような英語を誰かが話したとき、すべての音と単語を理解できたとします。“Opening my bag, he asked me a lot of questions.”(私のバッグを開けながら、彼は私にたくさんの質問をした)

この文章のポイントは、分詞構文を知っているかどうかです。もし分詞構文を知らないと、突然Openingから始まることに戸惑ったり、バッグを開けたのは彼なのか私なのか混乱したりします。

このように文法を知らないと、瞬時に意味を把握できません。文法をマスターすると、英語を聴いたときの理解を助けてくれます。子どもの場合は、「分詞構文」の用語を知らなくてもこのパターンに慣れていればいいのです。

二つ目は、文法を知っていると次に話される言葉をある程度予想できるようになります。

例えば、“I wish…” を聴いたら「could やwouldが続くだろう」と言葉を絞りながらリスニングをするので、高い精度で聞きとれるようになります。

これは“I wish I could fly.”(飛べたらいいのにな)のように、事実とは反する内容を伝えるときに使われる「仮定法過去」の文法を知っているからです。

もちろん子どもは「仮定法過去」という用語を使って学ぶわけにはいきません。代わりに “I wish I could…” のパターンを暗唱したり、自分に当てはめて使用したりすることで身につけます。

このように、文法を知っていると聞こえてきた文章を正しく理解できるようなります。また、文法の知識を使うと次に続く英語をある程度予想できるようになります。これはリスニング力アップにとって大きな利点です。

リスニングができない原因3:リーディング力不足

当然ですが、英語は左から右へ英語の語順に従って発話されます。音は文字と異なり、一瞬一瞬で消えていきます。このことから、英語を英語の語順で理解できないとリスニングはできないことがわかります。

英語の語順で理解するトレーニングは、リーディングで養います。ポイントは返り読みをしないことです。返り読みとは、英語の語順に逆らって目線が右から左に移る読み方のことです。

例えば、“He is the man who wants to be a millionaire.”を読むときは、He is the man(彼は人だ)who wants to be a millionaire(どんな人かというと億万長者になりたい)というように、英語の語順で頭に情報を入れていくのが普通です。

しかし、日本語訳ばかりしていると、日本語の語順で英語を理解しようとします。すると、who wants to be a millionaire(億万長者になりたい)→the man(男)のように目線が反対に移動します。これが返り読みです。

返り読みをやめないと、テンポ良く長文を読めません。そしてリスニングをしたときに、意味を把握できません。返り読みをしているとリスニングは永遠にできるようになりません。

まずはリーディングを通して「英語の語順で理解すること」から始めましょう。そして、音でも英語の語順で理解できるようにしていくのが王道です。

リスニングができない原因4:情報処理方法

不思議なことに私は学校の先生から一度も教わらなかったのですが、英語をリスニングしているときの「情報処理の仕方」はとても大切です。リスニングが苦手な人は、英語を聴きながら頭の中で訳語(日本語)が「文字で」浮かんでいます。

例えば、“I wonder what he is like.”と聞こえたら、頭の中には「私は~かしらと思う。彼はどんなふうなのか」という字幕を脳裏に浮かべます。短い文章ならこれでも処理できますが、数分続くような文章ではとても処理しきれません。

リスニングができる人は、聞いた内容を頭の中で映像化しています。“I wonder what he is like.” と聴いたら、下の写真のように「人が首をかしげて吹き出しの中に誰かの様子を思い浮かべている」映像が思い浮かびます。

i wonder

リスニングのときは、その内容に即した動画を頭の中で再生するように癖をつけましょう。字幕よりも短時間に処理できるので読まれるスピードに対応できるようになります。

リスニングができない原因5:音の問題

リスニングができない原因の最後は、音の問題です。これを克服するには、英語を聴くトレーニングが必要です。音の問題を細かく見ていくと3つに分類できます。

・自分が覚えた発音と実際の英語が一致していない

間違えて単語の発音を覚えていたら、本来の正しい発音で聴いたときにその言葉を認識できません。例えば入試によく出てるallow「アラウ」ですが、「アロー」と覚えていたら絶対に聴き取れません。

反対に映画を見ていて“I love you.”がほぼ完璧に聴き取れるのは、身につけた発音と実際に読まれる発音が一致しているからです。この場合、どんなに早く読まれていても聴き取れないことはありません。

対策は一つしかありません。英単語を覚えるときは、「音(発音・アクセント)を最初に正しく身につけること」です。意味よりも先に発音を確認する習慣をつけないと、使える英語を身につけることはできません。

・日本語にない音が聞き分けられない

日本人が苦手な音として有名なのはL/Rです。一説によると幼児期にお母さんが英語で語りかけていると、絶対音感のように脳の中にL/Rの音を聞き分けられる回路ができるそうです。

ある程度の年齢まで日本語だけの環境で育つとその回路がないので、同じ音として認識されます。なぜなら、日本語では「れんこん」を「lenkon」と発音しても「renkon」と発音しても意味に違いは生じないからです。聴き分ける必要がないのです。

ちなみに私は一時期リスニングを2年間ほど意識して練習しましたが、この2音の識別はあまり自信がありません。しかし、文脈から判断すればどちらが使われているかはたいてい予想がつくので、あまり困ったことはありません。

・英語特有の音の現象に慣れていない

英語の音には特有の現象が3つあります。「音の消失」「音の連結」「音の変化」です。これを身体で覚えていないとリスニングは難しいです。

「音の消失」とは、例えば “Good night!” は「グッド ナイト!」とは発音されず、「グッナイ!」と読まれます。このとき、赤い文字のdとtはほぼ発音されませんん。このような現象を音の消失といいます。

次の「音の連結」とは、“Stand up.” を「スタンダップ」とつなげて発音されることを指します。おもしろいことにネイティブにゆっくり読んでもらっても、「スタンド アップ」と別々には読まず「スタンダップ」とつなげてゆっくり読みます。

最後の「音の変化」は“I need your help.” の赤字部分が「ニーヂュア」と読まれる現象です。2つの音が合わさって別の音になるのが特徴です。

これらの3つの英語特有の音の現象に対応するには、音読トレーニングによるオーバーラッピング(音声と同時に音読する)とシャドウイング(音声から少し遅れて音読する)が有効な練習です。

仕上げにディクテーション(聴きとった英語を文字に書く)を加えながら、自分が聴き取れない音を一つひとつ潰していくしかありません。音の問題は、時間をかけて取り組むと成果が出やすいので、ある時期に集中してやると効果的です。

子どものリスニングに効果的な教材

リスニング力を向上させるのに適した教材について考えてみます。音声教材として考えられるものを取り上げ、子どものリスニング教材として妥当かどうか検討してみます。

・英語の聞き流し教材は効果なし

英語教材として一世を風靡した「聞き流し教材」があります。「勉強しなくても英語を聞き流すだけで英語が話せる」キャッチフレーズで有名になりました。しかし世に広まってからだいぶ経ちますが、英語が話せる人が増えた話は一向に聞きません。

「知らない単語」「文法の疑問点」「英語特有の音の現象」などリスニングができない原因すべてをわからないままに放っておくので、リスニング力は改善されません。

教材そのものに問題があるわけではなく、「聞き流す」スタイルに問題があります。どんなによい教材でも、聞き流すだけで聴解力は向上しません。耳当たりのよいキャッチフレーズに惑わされないように気をつけましょう。

子どもに理想的なリスニング教材

では理想的な子ども向けのリスニング教材はどのように選べばいいのでしょうか? 「レベルが適切であること」と「子どもが楽しいと感じること」は、子どもが英語を学ぶときに共通する教材選定の基準です。これも含めて3つほど基準を挙げてみます。

まず、使用される語彙が限定されていることです。難しい単語が連発されると学習意欲がなくなります。

目安は30秒間のリスニングで知らない単語の数が5個以内なら適切です。子どもの英語レベルは短期間に変動するので、細かいレベル設定の中から選べるのが理想です。

次に、読まれるスピードはナチュラルなものがいいです。具体的には1分間に120語以上です。学習初期はゆっくりでもかまいませんが、ある程度慣れたなら実践的なスピードで収録された音声でトレーニングした方がいいです。

最後に、スクリプトは絶対に必要です。ディクテーションをしたときに、自分の書いた文章と正解の文章(スクリプト)を比べないと正しく聴こえたかどうか確認のしようがありません。

使用語彙が限定され読まれるスピードはナチュラル、そしてスクリプト付きのものが子どもの学習に向いています。また、内容がおもしろく子どもが飽きずに続けていけるものなら理想的です。

私が息子のために実際に利用した中にほぼ理想的な教材がありました。オンラインを利用した学習サイトの「Little Fox」は抜群に優れていました。上記3つの条件を備え、圧倒的におもしろく息子も一時期完全にハマりました。

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効果的なリスニング学習方法とは

ではお母さんが「子どものリスニング能力を向上させたい」と思ったら、どのように学習をすすめていけばいいのかを説明します。

・幼児や初心者にリスニングだけを目的としたトレーニングは不要

英語を学び始めて2年以内の子どもや幼児には、リスニングだけを目的としたトレーニングは一切不要です。先述したようにリスニングは独立した技能ではなく、語彙・文法、リーディングを基礎として成立しています。

これらの基礎を飛ばしてリスニングだけを訓練しようとしても時間の無駄です。お母さんはあせって子どもにリスニングだけを目的とした学習を始めないようにしてください。

幼児期や英語を学び始めて2年間は、英語の音に慣れたりフォニックスを学んだりすることに集中するべきです。簡単な単語やフレーズを使いながら、基本的な語彙力をつけて英語の語順(文法力)に慣れ親しんでいきます。

そして絵本の読み聞かせや音読で文字に親しみながら、簡単な本を自分で読めるようになって(リーディング力をつける)ようやくリスニング学習の段階に入ります。

スピーキングとともにリスニングは会話に欠かせない技能ですが、基礎レベルを習得するまでは特別なトレーニングは不要です。目安としては英検4級を取得して、3級に向けて準備をするころから意識すれば充分です。

音読トレーニングでリスニング力を鍛える

さて、ある程度簡単な本を読めるようになったらリスニング学習に入ります。しかし、リスニング学習として特別に時間を割く必要はありません。音読トレーニングを中心にすすめていけば、リスニングに必要なすべての要素を鍛えられるからです。

どうしてもリスニング力を意識してトレーニングをするならば、音読トレーニングの最後にディクテーション(書き取り)を習慣化するといいです。小学生にはなかなか大変ですが、自分が身につけた英語音声と実際の音の違いをハッキリと認識できるようになります。

音読トレーニングについては「」で詳しく説明していますので参考にしてください。

ときどき初見のディクテーション

音読トレーニングの最後に行うディクテーションは、読まれる内容はほとんどわかっています。たまには初見の英語を聴きとってみて、ディクテーションするのも刺激になります。

素材は字幕表示を消した映画DVDの一場面でもいいですし、適当なCD教材でもかまいません。ポイントはスクリプトがあることです(映画の場合は字幕表示で代用)。

・やり方

10秒くらいセリフが連続するシーン(叫び声をできるだけ含まない場面)を選び、何度も繰り返し再生します。映像をヒントに内容がだいたい理解できたら、センテンスごとに停止して、子どもに大きめの字で英文を紙に書くように伝えます。

文頭からピリオド(フルストップ)の途中で再生を止めてはいけません。英語音声のかたまりを長く頭に保持するのがトレーニングだからです。大きめの字で書くのは、赤ペンで訂正するときに記入しやすいようにするためです。

2回目以降は聴き取れなかった箇所に集中して、何度も何度も再生して空白部分の文字を埋めていきます。20回聴いてもわからなかったら、カタカナでもいいので音に近い文字を書き込みます。

最後に字幕を出して答え合わせをします。間違えた個所は消しゴムで消さずに、赤ペンで解答を書き込みます。スペリングミスやコロンなどの句読法も添削の対象です。

赤ペンで訂正だらけになった英文をお母さんと子どもで見ながら、まずは頑張ったことをほめてあげましょう。それから、「なぜその部分を聴き取れなかったのか」を2人で考えましょう。聴き取れなかった原因の究明はとても大切です。

「言葉を知らなかった」「覚えていた読み方と違った」「音がくっついていた」などいろいろとあるので、それを子どもに一つひとつ認識させることが大切です。決して責めるようなトーンではなく、淡々とすすめるといいです。こうして弱点を一つひとつ克服していきます。

このように、音読トレーニングの仕上げとしてのディクテーションと初見の英語のディクテーションを混ぜることによって、子どものリスニング力は少しずつ向上していきます。

将来のリスニングテスト対策のために

大学入試科目の英語からリスニングテストがなくなることはないでしょう。コミュニケーション能力が重視される流れの中で、会話に必須のスキルだからです。レベルとしては英検2級のリスニングテストよりもやや難しいくらいなので、時間をかけた対策が必要です。

ところが現役の高校の英語教師に確認すると、リスニングテスト対策にほとんど時間を割いていないということでした。理由は「時間が足りないから」です。ほとんどの受験生は本格的なリスニング対策をしないままテストに臨んでいるようです。

前述したようにリスニングは単独で成立している技能ではなく、語彙力・文法力・リーディング力が基礎となっています。基礎部分の学習で精一杯なのが教育現場の現状です。

それなら、英語特有の音に関して子どもの頃から慣れておくと大学入試のときに大きなアドバンテージとなります。比較的時間に余裕のある子どもの頃に苦手な音を克服しておけば、あとは授業で文法や読解に集中するだけで済みます。

英語の難易度に関わらず、英語特有の音の変化は子どもの頃から学べます。英語は何歳からでも学べますが、年齢とともに忙しくなるのが一般的です。余裕のある小学生の頃に始めておくと、大学受験のリスニングテストにも困りません。

まとめ

英語を聴き取れない原因として5つ挙げましたが、実際はこれらの原因は複数絡まって「聴いてもわからない」状態を作っています。子どもは自分ではなかなか原因に気がつかないので、どうしたらいいのかわかりません。

そのときお母さんは原因を一緒に突き止めてあげましょう。「指摘する」感じではなく、自分で気づかせてあげるほうが子どもは素直に受け入れます。そして、その弱点を補えるようなトレーニングを取り入れるようにしてください。

ネイティブ同士が会話していると容赦ないスピードと語彙で英語が飛び交うので、英語の上級者でも困ることは珍しくありません。ましてや英語の学習を始めたばかりの子ども達なら、聴き取れなくても当然です。

子ども向けのオンライン英会話などを利用すると、さまざまな講師が話す英語のリスニングに慣れます。学習初期の段階からリスニングに苦手意識を持たないようにさせるには有効な手段です。

話される英語の一部でもわかったときの感覚は格別のものがあります。どんなに翻訳ソフトが発達しても、このダイレクトに伝わる感動は絶対に味わうことはできません。ぜひ、子どもにも「英語が聴きとれた!」という喜びの体験をさせてあげましょう。

子どものための英単語の覚え方(実践編)

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電車の中で、英語の単語集を開いて一生懸命暗記している高校生を見かけることがあります。学校で単語テストがあるのかもしれません。このような光景を見ると「頑張れよ」と応援したくなります。

そのような彼らの様子を見ていて、気になることがあります。暗記用シートが挟まった単語集をじっと見つめるだけで、口が動いていないのです。電車の中でも声に出ない程度にわずかでも口を動かして発音したほうが、使える単語として学べます。

学校の先生はきちんと時間を取って、学習の仕方を教えた方がいいです。授業以外の時間にも生徒が自習できるようにしたほうが英語は伸びるからです。

英語力は4技能(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング)から成り立っています。それを下から支えているのは「文法と語彙力」です。今回は子どもが語彙力を高めるための実際の手順を詳しく説明します。

幼児~小学校高学年の期間、能力や心が急激に変化します。大人の学習方法とは異なる部分をお母さんが理解して、子どものボキャビル(単語学習)をサポートしてあげましょう。

第一段階:最初にアクティブ・ボキャブラリーを300語覚える

小学校入学前の幼児であれば、ボキャビルよりも先にやっておくことが2つあります。まず、英語絵本の読み聞かせを通じて子どもが「英語の音」に慣れるようにしましょう。このときお母さんは発音を気にしすぎる必要はありません。ほどほどで大丈夫です。

もう一つのやるべきことは、「アルファベットとフォニックスの基本」を学ぶことです。アルファベットの読み方は単語で使用されるときの読み方と一致しないことが多いです。そのため綴りと音の緩い規則であるフォニックスを学ぶ必要があります。

まず、英語の音に慣れてアルファベットとフォニックスの基本を身につけたら、ボキャブラリーを意識した学習に進むことができます。ボキャビルのコツを学ぶと子どもの英語学習に弾みがつきます。

超基本単語300語を一気に攻略

文字から覚えるボキャビルは5歳くらいから可能です。だからといって単語集を買ってきて暗記するのは、この年齢の子どもには無理があります。

とりあえずの目標は、300語くらいの超基本単語です。「英語絵本の読み聞かせ」「英語での育児」を通じて、とりあえず意味がわかるようにします。暗記ではなく、生活に英語を取り込みながら何度も単語と英語の音・文字を結びつける作業を繰り返します。

具体的な方法は、家中の物に英語を書いた「ふせん」を貼ってみるのもひとつのアイディアです。やり方は簡単です。冷蔵庫に「fridge」と書いた付箋を貼るだけです。

そして毎日、“Do you want some milk?  It’s in the fridge.”とか“Close the fridge now.”と話しかければ、冷蔵庫がfridgeであることを覚えます。このように少しずつ単語を増やしていけば、身の回りの単語はかなり理解できるようになるはずです。

数字、曜日、月、色などは同じ種類でまとめて覚えたほうがいいので、フラッシュカードも利用したほうがいいです。そして、覚えた単語を実生活と結びつけることがポイントです。

毎朝お着替えをした時に、服の色を指で指しながら“You want to wear this one?  Yellow is your favorite color.”などと話しかければ、カードで覚えた単語と現実の世界が結びつき記憶が強化されます。

どの単語を覚えたらいいのかわからない場合は、Jリサーチ出版の『英語が得意になる! 最初に覚えたい600語 ゼロからスタート 小学英単語』(安河内哲也著)がオススメです。
小学英単語

基本単語をアクティブ・ボキャブラリーにする

聞いたり読んだりするときに意味がわかるけれど使うことはできない語彙を「パッシブ・ボキャブラリー」と呼びます。例えば、「矜持」は「きょうじ」と読み、意味は「プライドのこと」であると私は知っています。しかし、会話や文章を書くときに矜持という言葉は出てきません。

一方、「プライド」という言葉は日常会話で使います。このように自分で使いこなすことができる語彙のことを「アクティブ・ボキャブラリー」と呼びます。私にとって矜持はパッシブ・ボキャブラリーであり、プライドはアクティブ・ボキャブラリーです。

300語ほどの超基本単語を知っているだけでは、子どもは英語を話せません。意味を知っているだけの単語を「アクティブ」に変化させる必要があります。

使える単語にするためには、「使うトレーニング」が必要です。日本語環境で、子どもに英語を使わせるには3つのコツがあります。

一つ目は、英語での話しかけの中で、子どもが何かを欲しているときを狙います。例えば「牛乳飲みたい」と言ったらSay “Milk, please.”(ミルクちょうだい、って言ってごらん)と話しかけます。

“Milk, please.”と言わないといつまでたっても牛乳が飲めないので、子どもは英語を話さざるをえません。これを繰り返すと、牛乳を飲みたいと思ったら“Milk, please.”と言えるようになります。

自分で言えた単語のmilkもpleaseもアクティブ・ボキャブラリーです。このようにして、意味がわかるだけの言葉(パッシブ・ボキャブラリー)を使える言葉であるアクティブ・ボキャブラリーへと変えていきます。

二つ目の方法は、文字で覚えた単語やフレーズを子どもに使わせるやり方です。

例えば、スイッチパネルのところにturn on the light/ turn off the lightと書いておけば、アクティブにすることができます。

夕方暗い部屋に戻ったときお母さんが“It’s dark here.  What shall we do?”(ここ暗いわね。どうしましょ?)と子どもに問いかけます。子どもが“Turn on the light!”と言えばしめたものです。

三つ目の方法は、英語絵本に登場してきた動物やフレーズを実生活の中でも使わせることです。私が息子に読んだ絵本「Excuse me!」の中で、ゲップをした子が親からWhat do you say?と聞かれてExcuse me!と答える場面があります。

何度も繰り返し読んであげるうちに、子どもはセリフを暗記して“Excuse me!”と言えるようになりました。ある日、夕食を食べていたら息子がゲップをしたので、すかさず私は英語でWhat do you say?と尋ねると、ニヤリと笑いExcuse me!と答えたのです。

楽しみながら音読をするうちにフレーズを自分のものにして、実際の場面で使えるようになった瞬間です。

上記のような要領で、超基本単語をアクティブなものに変えていくことができます。「私はあなたを愛しています」をほとんどの人は“I love you.”と言えます。このレベルまで使いこなせる英単語を増やせば、会話力が向上していきます。

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第二段階:パッシブ・ボキャブラリーを1000語に増やす

アクティブ・ボキャブラリーとパッシブ・ボキャブラリーの数は常に「アクティブ<パッシブ」の状態です。「パッシブを増やしながら使用する頻度が高いものをアクティブに変えていく」という順番が正しいのです。

本格的に読書をするなら、パッシブ・ボキャブラリーも増やさなければいけません。ここでは子どものパッシブ・ボキャブラリーを増やす効果的な方法について説明します。

音読トレーニングで扱った単語を中心に覚える

目標とする語彙レベルは1500~2000語です。とりあえず1000語くらいの単語の意味がわかるようになると、絵本を卒業して簡単な本が読めるようになってきます。1000語と聞くと大変そうに感じるかもしれませんが、これでもネイティブの5歳に及びません。

単語の覚え方の原則は「繰り返し復習」と「読める→意味がわかる→(書ける)の順番を守ること」です。単語だけを取り上げて学習するのは小学生にはおススメできません。単調になりがちで飽きるからです。

おすすめは、音読トレーニングをしながら出会った単語を一つひとつ覚えていくことです。音読トレーニングは「意味がわかるものを正しい読み方で繰り返し行う」のが大原則なので、ついでに単語も覚えられるからです。

では新しく覚えた単語は、後で復習できるようにノートに記録したり、単語カードを作成したりした方がいいのでしょうか? 私の答えは「ノー」です。カードを作成する手間がかかりますし、後述する電子辞書を使えば時間ゼロでオリジナルの単語帳を作成できます。

また、このレベルの単語は使用頻度が高いので、しょっちゅう出会います。忘れたらまた覚え直すくらいの気持ちでまったく構いません。忘れないことに意識を置くより、繰り返し覚えることを意識したほうが良い結果につながります。

図鑑、マンガ、読書で気になった単語だけに絞って覚える

知らない単語をすべて調べて覚えようとしても疲れるだけです。どうしても意味が気になる言葉だけに絞って、英単語を電子辞書で調べましょう。

忘れてはいけないのは、「読み→意味」の順番です。かならず口に出して、何回か読み上げましょう。これらの中には絶対に試験に出題されなさそうな単語も含まれていますが、お構いなしに覚えたほうがいいです。

本気で新しい単語を覚えるのは音読を通じて行い、プラスアルファでそれ以外の機会で目にした気になる単語を取り扱うようにします。

ちなみに小学生の場合は、単語を書ける状態を目指さなくても大丈夫です。半分以上はフォニックスがわかれば音からスペリングを推測できます。また、音読トレーニングの仕上げとしてディクテーション(書き取り)を導入すれば、そこで学習できます。

電子辞書のヒストリー機能を使う

電子辞書があると、「ヒストリー機能(履歴機能)」を活用して単語を効率よく復習できます。音読練習やその他の機会で調べた知らない単語は、履歴に残るようになっています。

調べた単語が新しいほど、履歴の最初の方に表示されます。カーソルを合わせるだけで意味が小さく表示されるので、この機能を利用して復習をします。

読めないときや意味を忘れた単語にカーソルを合わせて決定ボタンを押すと、詳しい意味が表示されます。次に、ヒストリー画面を見ると、この単語は履歴の最初に移動します。

これを繰り返していくと、覚えられない単語ほど履歴の最初に表示されます。つまり、ヒストリー機能で復習するときは、上から順番に復習していくのがベストです。

ヒストリー機能に収録できる語数は決まっているので、一定数を超えると古いものから自動消去されます。最も覚えている可能性が高いものから消えていくので、わざわざ消去する必要もありません。

普段あまり活用されることのない地味な機能ですが、このように利用するといつの間にか子どもにカスタマイズされた単語帳を作ることができます。

覚えるためのコツ

目新しいコツがあるわけではありませんが、子どもでも応用できる単語暗記術をいくつか紹介します。

・接頭辞・接尾辞・語源を利用する

接頭辞・接尾辞・語源を利用した単語の覚え方はポピュラーですし、このレベルの語彙を増やすのには効果的な方法です。たとえば、happyに否定を表すun-という接頭辞をつけるとunhappy(不幸な)という意味になります。

・語感を利用する

語感を利用するのも効果的です。語感のセンサーが高いと、単語の覚えが早いのは確かです。thudは(どさっ)という物が落ちる音を表しますが、この感覚がすっと腑に落ちる子どもは英語センスがあります。

・連想力を発揮する

連想力が働く子どもは英語学習に向いています。全米プロフットボールリーグの王座決定戦を「スーパーボウル」と呼びますが、ボウルを「玉(ball)」と勘違いしている人が多いです。正しい綴りはSuper Bowlです。

bowlは料理に使う「ボウル」です。アメフトのスタジアムの形がボウル状なので、このように呼ばれているのです。bowlを1.料理に使うボウル 2.アメフトのスタジアムのように覚えるのではなく、共通するイメージが頭に浮かぶだけで語彙はグッと増えます。

・エピソード記憶を利用する

「エピソード記憶」を利用する方法もあります。エピソード記憶とは、何かを経験したときにそれに伴った事柄が記憶されることです。意図的に利用するのが難しいのが欠点ですが、努力不要で覚えられるのが長所です。

私の息子が幼児の頃、ボウルに入った氷水に手を入れて「冷たーい!」と叫んでいました。そこですかさず“It’s icy water.”と教えてあげました。それからしばらくして、「この前のicy water冷たかったねー」と話し始めました。

何か印象に残るような出来事(びっくりするほど冷たい水に触った)により、icy waterという単語の意味が強烈に記憶に残った結果です。このようにエピソード記憶には、忘れにくいという特徴があります。

普段の生活で子どもが大喜びしたり、びっくりしたりすることは山ほどあります。その経験と英単語がうまく結びつくと、忘れにくい記憶となり、パッシブの状態を飛び越えてアクティブ・ボキャブラリーとして一気に定着することも期待できます。

ポピュラーな単語暗記術をいくつか紹介しましたが、一つの方法に頼り過ぎてはいけません。覚えやすい特徴があれば利用するべきですが、上記のテクニックが常に有効というわけではありません。

その場合は丸暗記するしかありません。電子辞書のヒストリー機能を使いながら、復習を繰り返して覚えるように子どもにアドバイスをしましょう。

第三段階:アクティブ・ボキャブラリーを増やす

第二段階で1000~1500語レベルに到達すると、英検3級は合格できるようになっています。小学生でこのレベルまで到達すれば、なかなかの実力といえるでしょう。

しかし、英検3級に合格しても英語を話せる子どもは極めて少ないです。それは、1000語~1500語のボキャブラリーのほとんどが、パッシブだからです。

中学・高校・大学受験へと進むにしたがって覚える単語数は増えていきますが、ほとんどの学習者はパッシブのままに放置してしまいます。すると入試・資格試験は合格できても、英語を話せない人になってしまいます。

せっかく子どもの頃から英語学習に取り組むのなら、使える英語を身につけないともったいないです。そこで、読みと意味だけ知っているパッシブ・ボキャブラリーを少しでもアクティブなものに変えていく方法について解説します。

使えるようになりたければ、使って覚える

第一段階で説明した原則は、ここでも同じです。「使えるようになりたければ、使って覚える」ことが大切です。このレベルの語彙を使いこなすのはかなりハードですが、時間をかければ必ず攻略できます。

・ひとり言ブツブツ英会話

最初の頃よりも語彙レベルが上がっているので、第一段階で説明したような方法は通用しません。今回は、ひとり言ブツブツ英会話が有効です。

とりあえず、子どもに日常の雑談を30秒くらいの英語で表現させます。筆記用具は不要で、自分でブツブツ言うだけです。たとえば、家族で山梨県に墓参りにいったとしたらこのような感じです。

I went…(墓参りって何て言うんだろう)in Yamanashi.  (帰る途中)we saw few people.  Suddenly, we (見つけた) a deer on the road.  My father stopped the car and the deer looked at us (長い間)

最初はこれだけ言うのにも四苦八苦ですが、気にすることはありません。30秒どころか、数分かかるかもしれませんが、相手がいるわけではないので大丈夫です。

・和英辞書や翻訳ソフトで英作文

言えない部分を和英辞書で調べながら、ノートに文章を書いてみます。和英辞書でもぴったりとした表現が見つからなければ、翻訳ソフトを利用してみましょう。まだまだ改善の余地がありますが、シンプルな文章ならかなりの精度で日本語を英語に変換してくれます。

I visited my family grave with my family in Ymanashi.  On our way home, we saw few people.  Suddenly, we found a deer on the road.  My father stopped the car and the deer looked at us for a long time.

小学生では本格的に文法を習っていませんから、時制や複数形などのミスが多いのが普通です。書いた文章は、英語の先生に添削してもらいましょう。自分が表現したかったことを細かく伝えて、そのニュアンスに近い英語にしてもらいます。

・暗唱する

そしてこの英語をスムーズに感情を込めて言えるようになるまで、何度も繰り返しブツブツ言いながら練習します。翌日になってもスムーズに口をついて出るようなら、この文章の練習は終わりです。

このような練習を毎日ひたすら繰り返すと、英語で表現できることが徐々に増えていきます。

子ども特有のボキャビルに関する疑問

ここでは子どものボキャビルに関する疑問に回答します。子ども特有の事情により、大人とは違った難しさがあります。

子どもに理解できない単語が登場するがどうしたらいいか

小学生でも上級者になると、英検準2級くらいから難しめの単語が登場するようになります。たとえばpotentialは「潜在的な(形)、潜在力(名)」という意味ですが、このような抽象的な概念を表す言葉が増えてきます。

小学生4年生以下で「潜在的」という言葉をきちんと理解している子どもはほとんどいないでしょう。問題は、「潜在的な」という言葉や概念をしっかりと理解できないのに、英語と意味を暗記させることに意味はあるのか、ということです。

私の考えでは、子どもが気にせずに丸暗記できるならそのままでいいと思います。しかし、意味がわからない単語に嫌気がさしているようだったら、飛ばしてもいいと思っています。日本語で言葉の概念を正しく理解してから覚えれば大丈夫です。

いずれ中学生くらいになれば、きちんとその言葉を理解できるようになるからです。長い目で見れば大きな問題ではありません。

文法はどうするか

不規則動詞は、時制によって形が変化します。例えば、thinkはthought、readはread【発音:red】のようにです。

「最初に時制に関する文法の知識を教えないと混乱するのでは…」と英語が得意なお母さんは考えるかもしれません。しかし、文法のことはとりあえず保留にしておきましょう。

先ほどの例なら、thinkとthoughtを別々に覚えても構いません。いずれ、ふたつの動詞が同じ動詞であると気づきます。気がつかなかったとしても、中学校で本格的に文法を習えばすぐに理解できます。

文法を先に学んでから英語に触れるよりも、実際の英語に触れてモヤモヤを抱えているタイミングで文法を学んだほうが定着は早いといわれています。小学校の間は正確な文法理解を求めて焦り過ぎないようにしましょう。

まとめ

ボキャビルのコツは究極のところ、「単語によって付き合い方を変える」ことだと思います。

一緒にいる時間を増やさないと親友レベルの友人にはなりません。同じように、アクティブな語彙を増やしたければ、何度も会話で使ってみるという訓練を避けることはできません。一方、意味だけ分かればよい単語も存在します。

英語の勉強がある程度進むと、単語力が停滞する時期が必ずあります。すべての単語を全力で覚えようとすると英語が嫌になってしまいます。単語によっては気楽に付き合えばいいと考えるだけで、心にゆとりが生まれます。

英語力が停滞したら、お母さんから子どもにボキャビルの話をしてあげましょう。停滞期を乗り切るきっかけになるかもしれません。せっかく子どもの頃から英語を学び始めたのなら、使える英語が身につくようにサポートしてあげましょう。

小学生から始める「英語音読トレーニング」(実践編)

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書店の語学コーナーに行くと、斬新なタイトルがつけられた英語学習法に関する本がズラリと並んでいます。私は新しいものが好きなので、つい立ち読みしてしまいます。

そこで気がついたことがひとつあります。それは、ネーミングは違っても結局のところ「音読練習を否定している本は一冊もない」ということでした。

つまり、ほとんどの英語指導者は音読の効果を認めているということです。ただ、その方法が多少異なっているにすぎません。

小学生が長期間取り組めることを前提に、私の経験をもとに「英語音読トレーニングのやり方」をまとめてみました。まずは、私のやり方でしばらく試していただき、それぞれの状況に合わせてアレンジしてください。

小学生の音読に適したテキストとは?

小学生の音読トレーニング用のテキストを選ぶときは慎重にしましょう。中学生や高校生なら学校の英語教科書が最適です。しかし、小学生用の英語教科書は内容的にまとまりのある文章が少ないので不向きです。

お母さんが本や通信講座の題材などから探すしかありません。そこで、どのような観点で選べばいいのかを説明します。

おもしろい内容であること

結論からいいますと、圧倒的におもしろい内容であることが必要です。たとえば小学1年生の子どもに「環境問題」をテーマにしたテキストを使用しても、すぐに飽きてしまうのは明らかです。

普段、子どもが好んで見ている番組や本を思い出して、それに近い英語のテキストを探すといいでしょう。善悪がはっきりした登場人物や、動物や乗り物が出てくる話など、子どもによってハマるテキストはさまざまです。

続きが楽しみになるような内容なら音読を継続したくなるはずです。おもしろさには妥協しないで根気よく探しましょう。

セリフ(会話)と地の文が適度に混ざっていること

セリフと地の文が混ざっているテキストが、小学生の音読に適しています。セリフの部分には口語表現が多く含まれていますし、地の文ではやや難しめの表現や過去形が頻出します。

例えば、“It’s a piece of cake!” said Peter. (「簡単だよ!」とピーターはいいました)のセリフでは口語表現でよく使われる“it’s a piece of cake.”(楽勝だ)というフレーズが使われています。地の文では、“said”(sayの過去形)が使用されています。

このようにセリフと地の文が混ざっていると、バランス良く幅広い英語が学べるので音読には適しています。セリフのところには感情を込めて音読すると、感情と表現が結びついて学習効果が高まります。

難しすぎず、長すぎないこと

難易度にも気を使いましょう。絵や動画をヒントにしながら数回音声を聞いて、8割くらい理解できるのが理想です。つまり、2割程度わからない部分や聞きとれなかった部分が残るくらいがちょうどいい難しさです。

長さはノーマルスピードで読み上げて40秒くらいから始めましょう。集中力を切らさずにリスニングできる長さがそれくらいです。慣れてきたら少しずつ延ばしても大丈夫ですが、長くても1分くらいにしておきましょう。

音声、挿絵、動画付きであること

音読トレーニングをするときは、模範となる音声を何度も聞きます。したがって、ネイティブが収録した音声が絶対に必要です。車での移動中に練習できるように、スマホに音声ファイルを入れておくと便利です。

また、テキストに関連する挿絵も必要です。内容理解の助けになるからです。さらに、アニメーション(動画)がついていると、細かい部分まで理解することができます。

通信講座やeラーニング(インターネットを利用した学習サイト)の中には、動画(字幕ON・OFF)だけでなく、本文のテキストファイルや音声ファイルが用意されているものがあります。これらのファイルはダウンロードして自由に使えるのでとても便利です。

理想の音読教材を使った、音読によるリスニング強化はこちらを参考にしてください。

用意するものと環境づくり

音読トレーニングは習慣化しないと意味がありません。そのため、音読のたびに必要なものを探すようでは時間の無駄です。また、音読がどこまで進んだかをお母さんも子どもも一目でわかるようにする工夫が必要です。

ここではe-ラーニングの教材で音読することを前提に、用意するものを表にしてまとめてみました。

必要な物 目的
パソコン、スマートフォン(またはタブレット)、プリンター テキストの動画や音声を再生したり、印刷したりするため
ストップウォッチ 音読の速さを記録するため
筆記用具 テキストに記入できるように
チェックリスト(ondoku_checklist) 音読したらチェックしたり、秒数を記録したりするため
小さなカゴ 上記の物を入れておくため

パソコン、スマートフォン(またはタブレット)、プリンター

スマートフォンかタブレットがあればほとんどのことはできますが、一部の機能に制限がある場合があります。また、ゲームアプリに気が散ってしまって音読に集中できないこともあります。

パソコンがあれば、eラーニングのサイトをフル活用できます。プリンターで印刷したものを使用すれば、気が散って途中でゲームを始めてしまうようなこともありません。

初めは動画や絵を見ながら音声を聞くので、パソコン・スマートフォン・タブレットのいずれかが必要です。しかし、子どもの眼の負担を考えると、途中からできるだけ紙で読んだ方が好ましいです。

プリンターが一台あると、モニターを見つめることなく音読練習できるのでおすすめです。また、後述する穴埋め式のスクリプト(原稿)を作ったりするときにも、パソコンとプリンターがあった方が便利です。

その他

ストップウォッチは安いもので構わないので、ぜひ揃えたいアイテムです。ときどき音読のスピードを測って記録すると、自分の成長を数値で実感できるからです。お母さんや兄弟と競わせるなどして、ゲーム感覚で取り組ませることも長続きさせるコツです。

筆記用具も音読用に揃えてもいいかもしれません。鉛筆、消しゴム、赤ペンがあれば充分です。音がつながるところに印をいれたり、意味をメモしたりするときに使います。

カゴに入れておく

百均の店などで小さいカゴを購入して、その中に今週読むテキスト(本)、筆記用具、タブレット、ストップウォッチなどを入れておきましょう。

また、音読チェックリストもこの中に入れておくと、既に終わったこととこれからやるべきことが一目でわかるので便利です。できた項目にはチェックを入れたり、タイムを測ったときの秒数を記録したりします。

なお、上記の音読チェックリストについては「こちら(ondoku_checklist)」からもダウンロードできます(上記と同じファイルです)。実際に使用するときは、子どもの状況に合わせてアレンジしてください。

実際の手順

ここでは、音読トレーニングの手順を解説します。私の経験から、1週間で1つの音読トレーニングを終了するサイクルが最適と感じています。短時間の音読でも頭と口が疲れるので、7日目は休みにしてあります。忙しくてどうしてもできなかったときは、7日目の予備日を使いましょう。

1週間に当てはめて下の表のようにモデルプランを考えてみました。スピードに慣れてくる後半ほど密度が濃くなるように配慮してあります。

  音読メニュー
1日目 内容把握
発音・意味のチェック
2日目 リッスン&リピート
3日目 オーバーラッピング
スピードオーバーラッピング
4日目 イメージ読み
シャドウイング
5日目 シャドウイング
Read & Look Up
6日目 穴埋め・ディクテーション
会話練習
最後1回のリスニング
7日目 休み(予備日)

また、それぞれの音読活動がイメージしやすいように、実際の音読練習風景の動画を掲載します。下記の説明や注意事項と合わせて映像で確認すると、スムーズに理解できます。

以下、このモデルプランについて詳しく解説していきます。なお、最後に動画でも解説しているので、そちらも参考にしてみてください。

1日目:内容把握、発音・意味のチェック

テキストを用意できたら、音声を再生してリスニングを始めます。動画・挿絵などを参考にして、どのような内容が話されているのか英語の音に集中させます。3回くらい集中して聞いてみて、聞き取れないところを少なくしていきます。

次にテキストや字幕を読みながら音声を再生します。耳で聞きとれなかった部分を文字で読んで「ああ、このことだったのか」と子どもが納得することが大切です。

初めて見る単語は、発音も意味もわかりません。まずは、発音を確認して、何度も声に出して読ませましょう。それから意味を確認します。「最初に発音、次に意味」です。新しい単語を覚えるときは、この順番を守らせるようにしましょう。

知らない単語については、ときどき子どもに前後関係から意味を類推させてみましょう。すぐに答えを教えずに考えさせると良い頭のトレーニングになります。

一日目の目標は、英語の本文を読んで内容を把握したり、知らない単語の読み方や意味を学んだりすることです。子ども一人では難しいので、お母さんやお父さんが手伝ってあげましょう。ストーリーを一緒に楽しむような感じで教えてあげるのがコツです。

この日の最後に、子どものペースでテキストを一回音読させましょう。つっかえながらでも構いません。ストップウォッチで時間を計測して、秒数を記録させます。これで、一日目の音読トレーニングは終了です。

2日目:リッスン&リピート

一文ずつ聞く(Listen)→ 音読で繰り返す(Repeat)の順に進めていきます。一つの文が長すぎるときは、意味のかたまりごとにリッスン&リピートしていきます。

例えば“Taking care of a pet is a lot of work.”(ペットを飼うのは大変です)という文章が長すぎると感じたとします。 “Taking care of a pet/ is a lot of work.”というように、最初にお母さんがスラッシュ(/)を入れてあげると子どもは読みやすくなります。

音声のスピード、抑揚などをできるだけまねるようにリピートさせてください。セリフの部分は特に登場人物の気持ちになりきって読むように伝えましょう。

3日目:オーバーラッピング、スピードオーバーラッピング

・オーバーラッピング

オーバーラッピングとは「被せる」という意味です。つまり音声と同時に被せるようにして、テキストを読んでいきます。読み方が遅いと、モデルの音声とどんどんズレるので、頑張ってついていくように子どもを励ましましょう。

・スピードオーバーラッピング

スムーズに読めるようになったら、さらに速く読めるように「スピードオーバーラッピング」の練習をします。これにはスマホの再生アプリを利用します。音声ファイルをダウンロードして、「1.3倍速」で同じ英文を再生してオーバーラッピングしていくのです。

毎回詰まってしまうところは、音声なしでテキストを読みながら何度も音読させます。最初から完全にできるのは教材がやさしすぎる証拠です。10回くらい繰り返してやっと読めるようになるくらいが普通です。

この日の最後に、音声なしで音読してタイムを測りましょう。初日よりは確実に速く読めるようになっているはずです。時間が短くなっていたら、「上手に読めるようになったね!」とほめてあげましょう。

4日目:イメージ読み、シャドウイング

・イメージ読み

3日目は速く読むことに集中させましたが、4日目の最初は内容をかみしめるように音読させましょう。内容を理解できるペースで音読させます。これができると英語の語順で内容を理解できるようになるので、速読やリスニングの土台づくりに最適です。

コツは読みながら頭の中にその文章の動画が流れているように音読することです。日本語の文字が頭に浮かぶようだと処理速度が遅くなります。

例えば“Taking care of a pet is a lot of work.”と読んだときは、ペットの散歩に汗を流している人を思い浮かべるようにします。「ペットの世話をすることは…」と日本語の字幕が流れてしまうと次々に読まれる英文に追いつかなくなります。

・シャドウイング

今度はテキストを使わずに、音声だけを使用します。「シャドウイング」とは、再生される音から3語ほど遅れて追いかけるようにして音読するトレーニング方法です。文字は見ません。

途中で詰まっても気にせずに、できるところから再開するように伝えましょう。耳で聞こえた内容を頭に2秒ほどためておき、同じように英語を話します。わずか数秒ですが、情報を頭の中に蓄えることにより処理が遅れてもあわてず英語を理解できるようになります。

初めのうちはほとんど再現できずに子どもは嫌になってしまうかもしれません。しかし、繰り返し練習しているうちに少しずつできるようになっていきます。あまり完璧を求めず集中力が切れたところでおしまいにしましょう。

5日目:シャドウイング(仕上げ)、Read & Look Up

・シャドウイング(仕上げ)

不思議なことに、前日できなかった部分が一晩寝るとスムーズにシャドウイングできるようになっていることがあります。数回、前日と同じように練習したら、仕上げのシャドウイングに移ります。

今までは音を聞いて、その通りに話すことばかりに意識を集中させていたと思います。しかし、仕上げでは内容をしっかりと意識したシャドウイングに挑戦します。

「音声から聞こえる英語の映像を思い浮かべる → 頭に2秒分溜める → 同じように話す」という流れです。これはとても脳に負荷がかかる練習方法で大人でも長時間続けることはできません。

子どもなので完璧を目指さなくても構いません。「音ばっかり追いかけないで、どんな話か思い浮かべながらやってみよう」と注意をうながすだけで充分です。

・Read & Look Up

最後に、テキストを使ったトレーニングです。まず、一文を黙読させます。その文章を頭にためておいて、目線を上に向けます。そして、下を見ないで同じ内容を音読します。これがRead & Look Upです。

もし文章の終わりまでが長すぎるようでしたら、リッスン&リピートのときに書き込んだスラッシュごとに行っても大丈夫です。

6日目:穴埋め・ディクテーション、会話練習、最後1回のリスニング

・穴埋め

もしテキストをプリントアウトできるなら、キーワードになるようなところを3つくらい選び出して、空欄を作ったり黒いマジックで塗りつぶしたりします。

そして、全文をリスニングさせながらその空欄部分の英語を記入させます。これまで暗記してしまうほど読み込んでいるので、簡単に記入できるはずです。それでいいのです。最初は全然わからなかったものが聞き取れるようになったので大きな成長です。

・ディクテーション

余裕があればディクテーション(聞こえた音声を文字で書く)にも挑戦させましょう。一つの文を選んで、リスニングをしてそれを紙に文字で書き取ります。句読点や大文字・小文字の使いわけにも注意しながら、完璧な文章を再現させます。

注意点は必ず一文の最後まで聞いてから、鉛筆で書くように伝えることです。一語一語一時停止しながら書き取っては意味がありません。何度か聞いて完成したら、テキストと見比べてお母さんが赤ペンで訂正します。どこを間違えたのかを目で確認するのはとてもよい勉強になります。

・会話練習

いよいよ大詰めのトレーニングとなりました。お母さんが先生となって、セリフの一部を入れ替える口頭作文にチャレンジさせてください。

例えば、先ほどの“Taking care of a pet is a lot of work.”の前半部分を入れ換えれば、英会話に応用できます。「『赤ちゃんの世話は大変だ』って英語で何ていう?」と問いかけます。“a pet”を“a baby”にすれば立派な英語です。

これまでやった音読が会話に応用できることを実感させるためにも、このような口頭英作文はとても効果的です。

・最後のリスニング

最後に1回だけ、静かにリスニングをしましょう。一週間前とは違って、ほとんど完璧に聞きとれるようになっているはずです。子どもと一緒に「聞きとれるようになって、すごいね!」と喜んであげましょう。

以上の流れをイメージしやすいように、実際の音読練習風景の動画を掲載します。上記の説明や注意事項と合わせて映像で確認すると、スムーズに理解できるでしょう。

まとめ

動画では椅子に座って音読学習をしていますが、実際はどこでも構いません。例えば、習いごとに行く途中の車の中で、音声を再生しながらオーバーラッピングやシャドウイングをしても全然構いません。

そうすれば「勉強」っぽく感じさせずに、子どもに音読トレーニングをさせることができます。家に帰ったら、他のことに時間を使えるので子どももお母さんもうれしいはずです。

このように家庭ごとに工夫して、音読トレーニングを習慣化しましょう。地味なトレーニングですが、ほとんどの英語の達人が推奨している効果抜群の学習方法です。必ず効果があらわれると信じて続けてください。

小学生から始める「英語音読トレーニング」(理論編)

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子どもが英語教室に通い始めると、最初の一年でいろいろなことを覚えてきます。「英語教室に通わせて良かった」と感じるお母さんも多いでしょう。

しかし、そのまま右肩上がりで英語力がどんどん伸び続けることはありません。1年半を過ぎると、子どもの英語力が本当に伸びているのかどうか疑問を感じることが増えてくるはずです。

もし、あなたの子どもがアルファベット、発音、フォニックス(つづりと発音の法則)などの基本をすでに身につけているなら、次のステップにすすむ絶好のタイミングです。

とはいえ、やみくもにワークブックを家でやらせても子どもは嫌がるだけです。本当に身につく英語学習を積み上げて、子どもの英語力が確実に伸びるような学習方法を取り入れましょう。

私が推奨するのは「音読トレーニング」です。そこで今回は、英語音読が必要な理由とどのような効果があるのかについて述べていきます。

英語力は自宅学習の「量と質」で差がつく

英語は体育や音楽のような技能教科に似ています。これらの技能を伸ばすための指導法を参考にすれば、子どもの英語力を伸ばすヒントが見えてきます。

例えばピアノが上手に弾けるようになるための方法を見てみましょう。ピアノを習う子どもは、週1回30分のレッスンを受けるのが普通です。レッスンでは先生がマンツーマンで教えるので質の高い時間を過ごします。

しかし、たった週1回30分のレッスンだけでピアノが上達する子どもはいません。ピアノが上手な子どもは、例外なくその何倍も自宅で練習しています。つまり何かの技能を伸ばすには、質の高い指導と同時に圧倒的な練習量が必要です。

学校や英語教室だけでは量が足りない!

英語の習得にはおよそ3,000時間の学習が必要と言われています。学校で仮に週2コマ(1コマ=45分)1.5時間を1年間(35週で計算)実施したとして、1年でおよそ50時間学習したことになります。

しかし、学校の授業の1時間は「1時間学習した」とみなしていいのでしょうか? 厳密には学習時間とは「実際に英語の活動をしている時間」のことです。

例えば、先生の一方的な日本語での解説は、正確には英語学習時間にカウントすることはできません。あくまでも子どもが英語を「読む・聞く・話す・書く」のいずれかの活動をしている時間が「学習時間」です。

このように考えると、実際の学習時間は単純に合計した時間の4分の1くらいに減ってしまいます。上記の例でいうと、学校で年間50時間の英語授業を受けたとしても、実際の学習時間は約13時間になります。どんなに英語の先生が質の高い授業をしても、英語を身につけるための時間が圧倒的に不足しています。

このような学習時間不足を解消するには、毎日の自宅学習で補うしかありません。しかし、毎日たった10分~15分程度の英語学習を習慣化するだけで、子どもの英語力は確実に伸ばせます。

自宅学習は質も高める必要がある

学習時間不足は自宅学習で補う必要がありますが、「勉強時間」だけを気にしていてはいけません。自宅学習では、勉強の「質」にも気を配らなければなりません。繰り返しになりますが、英語は技能教科です。英語を「読む・聞く・話す・書く」活動をしない限り、成果を上げることは難しいでしょう。

例えば、ピアノは「ピアノを弾くこと」が練習の基本です。楽譜ばかり読んでピアノを弾かないとしたら、ピアノは上達しないでしょう。

同じように、英語学習の基本は音声のトレーニングだと私は考えています。もし、自宅学習の大半が問題集に黙々と取り組むだけだとしたら、英語を使えるようにはならないでしょう。

子どもの英語力を伸ばすためには、時間(量)の確保とともに「質の高いトレーニング」が必要です。では、具体的に何をしたらいいのかを説明します。

おすすめは4技能を伸ばす「音読トレーニング」

音読トレーニング

写真はリトルフォックスのプリンタブル機能で作った絵本を使って、音読練習をしているところです。詳しくはこちらを参考にしてください。

巷には英語学習法の情報が溢れています。私もいろいろと試してみましたが、最終的に「音読トレーニング」が最高の自宅学習法であると確信しています。

音読は「教科書を開いて文章を読み上げる単調な作業」と思われがちです。しかし、実際は非常に奥が深いトレーニング方法です。正しい方法で音読を継続すると4技能(読む・聞く・話す・書く)すべてを刺激することができます。

4つの技能に対して、どのように音読が効果的なのかを一つひとつ説明します。

・Reading(読む)

Readingに関しては音読のメリットは二つあります。一つ目のメリットは、英語の語順に従って音読するので強制的に英語の語順で内容を理解するようになることです。初心者にありがちな、語順に逆らって読んでしまう「返り読み」を防ぐことができます。これは速読につながる第一歩です。

二つ目のメリットは、音読のスピードと同じ速さで内容を理解することができるようになります。1分間に約150語が音読の最速ペースと言われているので、このレベルまでは音読だけで達成できます。ちなみに150語/分で読めれば、大学入試の英語長文でも安心です。

・Listening(聞く)

リーディングによって英語の語順のままに理解できるようになると、リスニングにも好影響をもたらします。なぜなら、聞こえた音の順番に内容を理解しなければならないリスニングは、まさにリーディング力が基礎だからです。

また、実際の音読トレーニングでは何十回もネイティブによる英語音声を聞くことになります。例えば、シャドウイングと呼ばれる練習方法では、モデルとなる音声を耳で聞きながら数語遅れで自分の口で同じ英語を話します。細かい音にも注意しながら何十回も繰り返します。

その結果、英語特有の「音の消失(sit down)」「音の連結(an egg)」「音の変化(meet you)」という日本人の聞き取りを難しくしている現象にも慣れます。

・Speaking(話す)

音読で体得した英文の一部を身の回りのものや人で置き換えると、それは英会話をしていることと同じです。例えば“I see yellow pencils.”を覚えていると、“You see yellow pencils.”と言えますし、“I see red pencils.”とも言えます。

このように暗唱できるパターンが多ければ多いほど、英会話ができるようになります。スピーキングのようなアウトプットには、大量のインプットが必要なのです。日頃から音読トレーニングを積んで、表現を覚えてしまうほど反復練習する必要があります。

・Writing(書く)

ライティングはすべての技能の集大成ともいうべき最も高度な技能です。文法・語彙・論理性・文体などさまざまな要素が絡みあうからです。日本人が日本語で小論文を書くのが大変であることを思い出してもらえれば、その難しさが想像できるでしょう。

小学生の段階では、スピーキングができるだけで充分です。なぜなら、スピーキングがライティングの基礎になるからです。

本格的なライティングは小学生には難しすぎます。そこで音読の最終段階で、文章の一部についてディクテーション(聞こえた英語を書いていくこと)を行うことで、ライティングのトレーニングをすることは充分可能です。

このように「音読トレーニング」は英語の4技能すべてに好影響をもたらします。これほど効果的な学習法は他に見当たりません。ここでもう一つ、「音読トレーニング」をするべき決定的な理由について述べます。

「ネイティブは音読していない」はウソ!

音読で効果を上げるには、年単位の努力が必要です。その必要性をきちんと理解していないと、子どももお母さんもすぐに心が折れてしまいます。

「ネイティブは音読トレーニングなんかしていないのに、なぜ必要なの?」と思うお母さんは多いかもしれません。しかし、実際はネイティブも気が遠くなるほどの音読トレーニングをしています。

例えば、幼児が“Pass me the salt, please.”(その塩を取ってください)といえるまでにどのような過程があったかを考えてみます。

最初は誰かがそう言っているのを何度も聞きながら(リスニング)、塩が入った瓶が手渡される様子を見るところから始まります(内容理解)。

次に、しょっぱい味がするものが“salt”であることを覚えます(単語学習)。それ以降は、塩が欲しいときは、“Salt.”と指で指しながら発話するはずです(音読)。

その後、おもちゃで遊んでいるときに“pass me~”(私に~を渡して)という表現を覚えます(音読)。このフレーズと以前覚えた“salt”を組み合わせて、塩が欲しくなったら“Pass me the salt.”と言い始めます(音読)。

しばらくすると親から「“please”をつけなさい」と教えられます。ここまで来てようやく、“Pass me the salt, please.”と場面に即して使えるようになります(音読)。

このようにネイティブは日常生活で無意識に大量の音読練習をして、少しずつ英語を身につけています。幼児が毎日1時間話していたとしたら、それは音読を1時間していることと同じです。

一方、日本人の子どもは日常生活で英語を使う場面がありません。そのため、テキストや音の素材を用意して、「人工的な音読練習」をする必要があります。毎日1時間は無理ですが、小学生の子どもでも毎日15分くらいの音読トレーニングを習慣化したいところです。

このように、無意識か意識的かの違いはあっても、英語学習には音読トレーニングは不可欠です。トレーニングの意味に疑問を持つと効果が薄れてしまいます。子どもに「何でこんなことするの?」と聞かれたら即答できるようにしておきましょう。

音読トレーニングの3つの注意点

音読トレーニングを効果的にするには、「英文を理解すること」「正しい発音で読むこと」「相手に伝えるつもりで音読すること」の3点に注意しなくてはいけません。順番に説明します。

・「英文を理解すること」

意味のわからない文章を何度も音読しても、使えるようにはなりません。先ほどの例で挙げたように、ネイティブによる無意識の音読でも、自分が話している内容(塩を取って欲しいと頼んでいる)は理解しています。

子どもなので、細かい文法事項の説明は不要です。しかし、少なくとも絵や動画を見ながら、どのような意味の文章なのかはきちんと理解する必要があります。「意味のわかる文章を音読する」ことが大切です。

意味がわからない単語が出てきたときは、お母さんがいきなり答えを教えるのではなく子どもに推測させるといいでしょう。前後の文脈や挿絵・映像を駆使して考えさせるのです。行間を読む力は日本語でも必要ですし、英単語力も伸ばすことができます。

・「正しい発音で読むこと」

めちゃくちゃな読み方では、聞いている相手に負担をかけてしまいます。ネイティブのような発音をする必要はありませんが、「英語らしい音(日本語にはない音)」に気をつけて読む必要があります。

例えば、日本語の母音である「あ」は1つだけです。一方、英語では「あ」に近い音は、“apple(アとエの中間)” “cut(のどの奥から出す)” “hot(口を大きく丸く開けて出すア)” “balloon(あいまいな母音のア)” のように複数あり、ネイティブはすべて使いわけています。

私が中学生の頃、このような発音練習の手間を省いて英語にカタカナの読み仮名をふらせる先生がいました。私はこの指導には大反対です。

例えば、pencilを読むときに、読み仮名をふると「ぺ・ン・スィ・ル」(4つの音)となります。ところが実際は、pen・cilの2つの音のかたまりで読まれます。

カタカナ読みを習慣づけてしまうと、オーバーラッピング(英語の音声と同時に読み上げる音読練習)のときに、音声についていけなくなります。読み上げる音の単位が、英語は少なくカタカナは多いからです。

このような理由から、本格的な音読トレーニングを始める前に、音声面の基礎を身につけておく必要があります。英語教室などで1年半ほど先生に発音を教えてもらった後、音読トレーニングを開始するのが理想です。

・「相手に伝えるつもりで読むこと」

現実の世界では、独り言以外は聞いている相手がいます。音読トレーニングは基本的に一人で行うものですが、目の前に聞いている人がいることを想定して音読することが大切です。

例えば「命令文にpleaseをつけると丁寧な依頼になる」と言われますが、実際はそれほど単純ではありません。言い方によっては、相手に断ることを許さない雰囲気になることもあります。

やさしい調子で“Open the window.”と相手にいうと、失礼どころかむしろ丁寧な依頼に聞こえます。登場人物の気持ちになりきり、相手がいるつもりで音読をすると、そのフレーズの表現力が豊かになります。

ここであらためて、ネイティブが無意識にやっている音読と、日本人の英語の音読を重ねてみましょう。ネイティブは伝えたいこと(意味がわかる文)を正しい発音(相手に伝わる発音)で、相手に対して(相手に伝えるつもりで)話しかけています。

つまりここで述べられている3つのポイントは、ネイティブの日常会話を再現したものです。これらのポイントを意識して音読トレーニングを続けると、より大きな効果を生み出すことができます。

どれくらいの期間で、どのように英語力は伸びるのか?

音読トレーニングは正しい方法で行えば、必ず効果はあらわれます。ただし、即効性はありません。個人差はありますが、早くても3か月、通常は1年以上継続しないと効果を実感できません。

我が家は家族で海外に住んでいた時期がありました。そのとき私は2人の子ども達に、真逆の英語教育をしました。

娘は中学校の授業以外に塾や英語教室には一切通いませんでした。中学校は日本人学校だったため、普通の日本の中学生とほぼ同じ環境でした。また、私は家で娘に英語を教えたことはほとんどありません。中1の頃、彼女の英語の成績は5段階で4か3でした。

一方、息子は海外のインターナショナルスクールに入学して、Year2~Year5(日本の小学1年~4年に相当)の3年半を過ごしました。当然、英語漬けの毎日です。私は息子に家で毎日英語を教えていました。入学当時の彼の英語力は、同級生と差がありすぎてどうしたものかと悩むほどでした。

唯一2人が共通して取り組んだのが、音読トレーニングです。娘は学校の教科書を中心に、息子はeラーニングの教材を中心に1年以上に渡り継続しました。2人ともほぼ毎日続けて、最後の方は完全に習慣化していました。

1年半後、娘は学校以外でまったく英語を習っていないのに、急に成績が伸びて5段階で5になりました。中3で英検3級に合格しましたが、成績表を見ると準2級も合格圏に届いていました。

息子は音読に取り組んでから、リーディング力が大幅に向上しました。文字を読むスピードが速くなり、難しい本にもチャレンジするようになりました。その結果、語彙力が大幅に向上して、それまで低迷していた成績が一気に平均を超えるようになりました。

娘も息子も1年以上音読を続けて、ようやく結果が出ました。時間はかかりますが、音読は正しい方法で継続すれば必ず結果がついてきます。

まとめ

英語教室や学校での英語の授業は、先生が教えてくれる貴重な時間です。しかし、圧倒的に時間(量)が足りません。

時間不足は自宅学習で補うしかありませんが、学習内容も追求したいです。それを可能にするのが音読トレーニングです。

ネイティブでさえも無意識の音読に膨大な時間を費やしています。日本人の子どもはふだん英語を使う機会がありません。そのため意識的に英語の音読を取り入れることが重要です。

最低でも3か月~1年くらい継続しないと結果が見えず、途中で嫌になることもあるでしょう。まずは、お母さんが音読の意義をきちんと理解しましょう。そして、子どもの音読をほめてあげたり、励ましたりして習慣化できるように支えてあげましょう。

子どもの英語力に変化が見られないと、音読の効果に疑問を持つこともあるかもしれません。しかし、効果を信じて継続すれば必ず子どもの英語力は向上します。

なお具体的な音読の方法については、「小学生から取り組む英語音読トレーニング(実践編)」で詳しく取り上げています。ぜひ、そちらも参考にしてください。