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知る人ぞ知る「英語発音検定」を受験しました

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「英語の発音が悪いので、子どもの前であまり英語を話せない」と発音に苦手意識を持っているお母さんはいませんか? 発音に自信のない日本人はかなりいますが、私は「あまり気にしなくてもよい」と感じます。

日本人が目指すべきは「相手がストレスなく聴き取れる」発音を身につけることであり、ネイティブのような発音ではありません。あなたの英語の発音が悪くても、その後の学習過程で他人の英語をたくさん聞くので心配し過ぎなくても大丈夫です。

ただ、これまで自分の発音を客観的に測定してもらったことのあるお母さんはほとんどいないでしょう。また、子どもの英語を聞いていて「何か違う」と感じていても、どこをどのように改善したらいいのかよくわからないお母さんもいるはずです。

今回紹介するのは「英語発音検定試験」です。初耳のお母さんがほとんどと思いますが、2012年に発足した国際英語発音協会が主催する英語の発音に特化した試験です。

内容的に英検3級レベルから受験可能です。英語学習中の子どもはもちろん、子どもに絵本を読み聞かせ中のお母さんも一度受験しておくと、その後の発音改善の大きなヒントを得られます。

せっかくなので私も「英語発音検定試験」を実際に受験してみました。その体験記と併せて「英語発音検定試験」について解説します。

英語発音検定とは

ほとんどのお母さんは「英語発音検定試験(以下、発検)」について聞いたことがないはずです。実は私も知人に教えてもらうまで、一度も聞いたことがありませんでした。

英検やその他の検定試験と比較して、発検は「進学や就職で有利になるもの」ではありません。外に向けてアピールするのではなく、「自分の英語の発音をより改善するための指針を示すもの」です。

知名度の低い検定試験なので、はじめに概要を説明します。

主催団体

発検の主催団体は「一般社団法人 国際英語発音協会(English Pronunciation Association)」です。2012年に設立された比較的新しい団体で、ホームページを見るととてもシンプルです。

英語発音検定

大阪に所在地があり、顧問の中には大手予備校のカリスマ講師として有名な安河内哲也さんがいらっしゃいます(俳優の大泉 洋さんそっくりです)。

設立の趣旨

国際英語発音協会サイトのトップページに設立の趣旨が掲載されているので、一部を引用します。

主たる活動は英語発音検定試験(EPT)の実施及び英語発音指導士®の養成、認定です。 近年、英語教育の中でもスピーキングの重要性がクローズアップされています。しかし、そのスピーキングの基礎となる「英語発音」、「イントネーション」、「相手に通じるかどうか」のレベルを確認する手段が限られていました。結果として、自身の弱点を理解し、レベルアップのポイントを見つけることが難しいという声を耳にします。 当協会の発音検定は「ネイティブスピーカーにとっての聞き取り易さ」を出来るだけ客観的に判定し、受験者の長所、短所をお示しすることに主眼をおいています。 世の中に英語発音のメソッド、指導者は数多く存在します。しかし、指導者の発音レベル、指導方法について一定レベルに達した方を指導者として認定する機関はありませんでした。 当協会は特定の発音メソッド、指導方法を推奨する機関ではありません。一定レベルの英語発音を備えた方を対象に研修を通じ英語発音指導の要領を理解いただき、研修終了者を英語発音指導士®として認定します。

国際英語発音協会サイトより一部引用

「検定試験の実施」と「英語発音指導士の養成・認定」が活動内容の2本柱です。英語教育に携わる人以外、後者は関係ありません。

確かに英語の発音だけにフォーカスして、指導者の発音レベルや指導法について認定する機関は他に聞いたことがありません。

小学校でも英語教育が実施されている中で、小学校の先生もこの資格を取得しておけば保護者も安心して英語教育を任してくれるようになるかもしれません。何よりも自分が自信を持って大きな声で英語を話せるようになるのがメリットです。

試験の形態

肝心の検定試験には、3つの受験形態があります。

*会場受験

東京または大阪、いずれかの会場で決められた時間に受験をします。

*オンライン受験

会場受験が難しい人のためのSkypeを使用した試験です。

*団体特別受験

書類審査で事前に認可された団体が指定した日時や会場で受験できるシステムです。最低5名から可能です。

会場受験 オンライン受験 団体特別受験
場所 東京または大阪 自宅で受験可能 団体が指定
日時 協会が指定した日時 リストから自分で選ぶ 団体が指定
費用(税込)

*前払い

4,860円

詳細審査は9,720円

4,860円

詳細審査は9,720円

4,860円
必要なもの 身分証明書 身分証明書 身分証明書
備考 年3回開催 パソコン、ヘッドセット、インターネット環境が必要

PayPalによるカード決済も可能

5名以上から受験可能

上記の表で確認できるとおり、オンライン受験が最も手軽でおすすめです。試験時間は5分強で終了するので、そのためにわざわざ遠方から会場まで移動するのはおっくうです。

2つの試験と評価について

「発検(English Pronunciation Test:EPT)」は初見文、課題文などを音読する形式のテストです。「〇級合格・不合格」ではなく、100点満点で測定されます。

2018年2月からは英語初心者のために「EPT Basic」が開始されました。英検3級程度のレベルなら、EPT Basicを選びましょう。

EPT EPT Basic
対象レベル 150文字ほどの英文を初見で読める力のある人 例題の単語と簡単な英会話が読める方
問題1 簡単な英語の質問に答える 簡単な英語の質問に答える
問題2 アルファベットの読み上げ アルファベットの読み上げ
問題3 短い会話文 単語ペアを15個音読
問題4 初見の英文(100ワード強)を30秒間黙読してから音読 単語15個を音読
問題5 課題文3つのうちから1つを指定されて音読 会話文を音読
問題6 フレーズを10個音読

ホームページから評価ポイントを引用してみます。

特定地域のアクセント(アメリカ英語など)に限定せず、いかに多くの聞き手にとって分かりやすく自然に発話されているかを、個々の発音、リズム、イントネーションなどの側面から多角的に判定します。試験終了後にはスコアと共にコメントを付けてお送りしますので、今後の学習に役立てることができます。

 

国際英語発音協会サイトより引用

つまり、ネイティブのように発音することではなく、多くの聞き手にとってわかりやすく自然に発話されているかが評価されます。国際語として英語を使うときには、とても大切な観点でありきちんとツボを押さえていると感じました。

###英検3級ならEPT Basicがおすすめ

子どもが英語を学んで小学校6年生までに英検3級を取得できたら、大成功といえるでしょう。一般的に英検3級は中学校卒業時に到達しているのが望ましいとされているレベルです。

普通の小学生にはハードルが高いですが、もしこのレベルに到達しているなら一度EPT Basicを受験してみることをおすすめします。

発音に関しては大人になってからよりも、若いうちに修正したほうが圧倒的に短時間で済むからです。目的はノンネイティブの人々にもきちんと伝わる英語の発音を身につけることです。

中学に行く前に客観的に自分の発音の評価をしてもらえば、早い段階でより理想的な発音ができるようになります。

EPTでもEPT Basicでも、スコアと一緒にコメントがつくので学習に役立てることができます。より詳細なレポートが欲しい場合は、「詳細審査」が可能です。ただし、受験料は2倍になるので普通の学習者には不要でしょう。

オンライン受験体験記

知人から「発検」の存在を聞き好奇心がムクムクと沸き上がった私は、すぐに申し込みを決意しました。EPTの詳細審査で受験料は9,720円でした。詳細審査にしたのはより細かいレポートが欲しかったからです。

会場受験でも良かったのですが、時間節約のためにオンライン受験を選びました。

予約方法

国際英語発音協会のサイトから受験予約はできます。支払いは口座振替またはPayPalの決済システムを利用してクレジットカードでの決済も可能です(オンライン受験のみ)。

申込と支払いが終わると登録したe-mailのアドレスに「発検受験受付完了のお知らせ」のタイトルでメールが届きます。そこに指定されたスカイプ名にリクエストするように指示がありました。

スカイプを使用する

オンライン英会話と同じく、Skype(スカイプ)というテレビ電話機能を持つアプリケーションを使用します。そのためインターネット環境とヘッドセット(下の写真参照:またはマイク付きのイヤホン)は必須です。

画面共有により問題文を見る都合上、画面の小さいスマートフォンでの受験はやめたほうがいいです。最低でも画面の大きなタブレットかパソコンが必要です。

スカイプでは「音声だけで会話をする」か「映像と音声で会話をするか」選べます。発検では必ず映像+音声を選びます。受験生から試験官の顔は見えませんが、身分証明書の提示や画面共有機能を使うために映像が映るようにしなければいけません。

準備

数日前から3つの課題文の音読を練習しました。このうちの1つが出題されます。難解な英語は一切ありませんが、数字がところどころに登場したり、日本人に馴染みの薄い固有名詞(アメリカの都市名など)がちりばめられていたりします。

国際英語発音協会のサイト上には米国人男性と英国人女性による録音のサンプルがそれぞれの課題文にあります。私は米国人男性の音声を参考にして、それぞれ4回ずつ音読練習しました。これを3日間続けたので、ひとつの課題文につき12回練習したことになります。

普段なら問題なく読める英文です。しかし「パーフェクトに読みたい」気持ちが強くプレッシャーがかかるので、簡単な箇所でも詰まることがあります。モデルの音読スピードは比較的ゆっくりでした。それに合わせて飛ばし過ぎないようにセーブしながら練習しました。

当日

試験10分前にスタンバイを完了しました。始まるまでの時間は長く感じます。開始時間ちょうどにスカイプにコールが入りました。女性の声が聞こえ、身分証明書の提示を求められました。カメラに免許証を近づけて終了です。

試験は画面共有(双方で同じ画面が見られる)機能を使って、問題文を提示されます。始めは簡単な英語の質問に英語で答える問題です(ごく初歩レベルです)。名前と今日の日付は高確率で質問されるので、間違えないようにしましょう。

アルファベットがランダムに並べてあるものを一文字ずつ読みあげる問題は、簡単すぎてかえって緊張します。アルファベットを真面目に音読する機会はほとんどないので、脇汗が流れるのを感じました。

その後対話文を読みますがこれは難なく終了。疑問文のイントネーションを確認しているのでしょう。

続いて初見の英文の音読です。100文字強の長さの文章を最初に30秒黙読します。その後、音読を開始します。

「100文字を30秒で黙読する」を1分間で換算すると200文字のペースで黙読しなければならないことになります。かなりの英語上級者でないと最後まで読み切るのは不可能なペースです。

黙読の段階で確認しておくことは、「何の話か」「読みづらい単語はないか」くらいが精一杯です。

意識して大きめの声と落ち着いたスピードで音読することを心がけました。目立った失敗はなかったので、「実力は出せたかな」と感じました。

課題文は準備までに練習を積んだので問題なく読めました。

「結果は2週間以内にメールでお知らせします」と伝えられて、試験は終了しました。所要時間は6分程度でした。あっという間です。

こんなにすぐに終わるなら会場受験するメリットを感じられません。オンライン受験にして正解でした。

結果発表

受験からピッタリ2週間でメールにPDFが添付される形で結果が届きました。
発音検定スコア

スコアは85点(ハイレベル)。あと1点取れていれば「指導者レベル」だったので残念です。
発音検定スコアの見方
私はオプションで詳細審査をつけたので、細かいレポートがついてきました。

これによると、「母音のアの区別があいまい」なのと「アクセントの箇所をもう少し長めに発音する」の2点が指摘されていました。薄々は自分の弱点を感じていましたが、他の人からキチンと指摘されたので今後の参考になりました。

ちなみに、英検1級の2次試験に合格したときの成績表では発音の項目は9/10でしたので、かなり正確に評価されていると感じました。

音読トレーニングをしていれば、発音やイントネーションは上手になります

英語発音検定の活用方法

英語発音検定の受験動機は主に2つあります。ひとつは学習者が英語の発音を良くするヒントを得るためです。子どもやお母さんが受験するのはこのケースです。

もう一つは、主に英語を教える立場の人が「英語発音指導士」の資格取得を目的に受験するケースです。90点以上のハイスコアを出した人だけが受講できる講座を受けたのちに資格を得られます。

英語が得意な子どもが受験した場合の活用方法

英検3級相当の子どもが「発検」を受験した場合、スコアそのものに一喜一憂する必要はありません。そうではなくて認定証に掲載された「通じにくい音」「間違って発音されている音」を自覚できることに価値はあります。

th

例えば上記の記号に赤字が入っていれば、thanks, three, Thursdayなどの発音が苦手であることがわかります。今後はこの音を意識して矯正していけば効率良く発音を改善できます。

「子どもに英語絵本の音読をしてみたい」というお母さんにも「発検」はおすすめです。直したほうがいい発音のポイントが客観的にわかれば改善できるからです。また、自己評価よりもよいスコアであれば自信につなげることができます。

ちなみに、スコアが86点以上は「指導者レベル」、71~85は「ハイレベル」、56~70「英語発話学習者平均レベル」とサイトで紹介されています。

子どもの受験者とお母さんなら「56~70点を目安に」頑張ってみましょう。

まとめ

英語関連の資格試験としてはかなりマイナーな「英語発音検定試験」は、比較的新しく発足した「国際英語発音協会」が主催しています。サイトでも述べられている通り、ネイティブのような発音ではなく、「誰にでも通じる発音」を目標に設定されています。

受験には「会場受験」「オンライン受験」「団体特別受験」の3つの形態があります。個人で受験するなら私のおすすめは「オンライン受験」です。理由は日時が選べて自宅で受験できるからです。

試験は受験者のレベルに合わせて、「EPT」または「EPT Basic(初心者向け)」のどちらかを選択します。

私は前者を実際に受験してみました。簡単な文章でも、読み間違えに細心の注意を払うので意外と緊張します。試験時間は6分程度であっという間に終了します。結果は2週間以内に通知されます。

認定証には受験者の発音の弱点や誤りにチェックが入るので、今後の自分の発音矯正にとても役立ちます。子どもだけでなくお母さんも受験してみると、子どもの前でも堂々と英語を発音できるようになるのでおすすめです。

発音は意識しないと改善されません。「発検」を受験することで、自分の発音に意識を向けるきっかけになります。気軽に受けられる試験なので、子どもと一緒にお母さんも受験してみましょう。

これだけは知っておきたい! 「子どもの英語を伸ばす」接し方

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子どもの英語力に影響を与えるものはいろいろとあります。その中でもとりわけ「お母さんの子どもへの接し方」は影響力が大きいように感じます。なぜなら、普段最も長い時間子どもと接している人だからです。

中途半端な知識で子どもに無理やり英語を強制しては、子どもの英語力はすぐに頭打ちになるでしょう。しかし、まったく放任状態ではいつまでたっても英語を学ぶ習慣は身につきません。

今回は年齢層別に子どもの特徴を取り上げ、それに即したお母さんの接し方についてまとめました。私が実体験から学んだことなので、机上の空論ではありません。中学生以降、子どもの英語力が爆発的に向上するように正しくサポートしてあげましょう。

幼稚園~小学1・2年生へのサポート

小学校に入学しランドセル姿の子どもを見ると「ずいぶんと成長したな」と感じます。しかしながら、英語学習の観点からは小学校の低学年(1・2年生)は幼児とあまり変わりません。

この年齢までの子ども達の特性は大人とはかなり異なります。その点を理解してお母さんが接すると、上手に英語学習を始められます。

この年齢の子どもは、文字の読み書きは一般的に苦手です。このため、無理やり英語の本を読ませたり、ワークブックに取り組ませたりするのは逆効果です。もちろん個人差が大きいので、文字に興味を持ち始めたら少しずつ与えるのは大丈夫です。

子どもはおもしろそうなものには自然と惹きつけられます。反対に、関心がないものには一切取り組みません。大人のように「将来役に立つから」とか「教養のため」という理由で我慢しません。

あなたに覚えておいてほしいのは、「英語を使って楽しませる」ことです。

私は「英語絵本の読み聞かせ」をおすすめしています。これは「英語を使って楽しい話をお母さんと笑いながら読めるから」です。勉強の概念を持ち込まずに、英語に触れられる点で絵本の読み聞かせはとても優れています。

音に強い特性を活用して、勉強を意識させない

この時期の子どもが有利なのは、「恥ずかしがらずに英語の音をまねしようとする」特性があるからです。初めて英語を習う中学生に“th”(舌先を上下の歯の間に挟み空気を出す音)の発音を教えても、積極的にまねしようとはしません。「照れ臭さ」があるからです。

この点は幼児~小学1・2年生までの子どもには「抵抗感」がありません。「これ、上手にできるかな?」と促すとすぐにチャレンジします。英語の発音に関しては理屈よりも実践が大切です。小さい子どもが短期間で発音が上達するのはこれが理由です。

お母さんにできる具体的なこととして、「英語絵本の読み聞かせ」が最も取り組みやすいです。盛り上がる部分をお母さんが楽しく読んであげると、そのうち子どもは自分からまねして声を出して読み始めます。

発音を気にして読み聞かせに消極的なお母さんもいますが、これから多くの人の発音を聞く機会があるので心配しないでください。完璧に正しく読める人などいないので、できる範囲で頑張れば充分です。

このように絵本の読み聞かせを通して、英語に楽しみながら触れさせるようにしましょう。短い単語やセンテンスをまねするまで持っていければ、この年齢での英語教育は充分成功です。

結果をすぐに求めない

毎日絵本の読み聞かせをしても、「なかなか子どもが英語を声に出さない」と感じることもあります。見た目には子どもに変化がなくても、頭の内部で変化は蓄積されています。

だから結果をすぐに求めないで、半年~1年程度は待つようにしてください。長すぎると感じるかもしれませんが、日本語を話し始めるまでにも同じ時間がかかったはずです。

実は私も子どもに絵本の読み聞かせをしていて、子どもが英語を口にせずじれったく感じた時期がありました。子どもは絵本は好きだったので、私のところに「読んで」と持ってきます。私も楽しかったので、ときどき新しい本を買い足しました。

8か月くらい経った頃から、次のページをめくる前に子どもが英語を自分で読み始めました。文字を読んでいるというよりも、私の英語を耳で覚えていたようです。絵本の最も盛り上がるところは子どもの順番になり、ますます絵本が好きになったようでした。

変化が起きるまで待つのは大変ですが、「英語のため」と考えずに「親子で読書を楽しむ」程度に気楽に考えたほうが長く続けられます。

子ども自ら興味をもつように仕向ける

子どもに英語を「勉強」として押し付けるのは最悪です。反対に、何もせずに放ったらかしではいつまでたっても子どもは英語に興味を持つこともありません。やはりお母さんが「仕掛け」を作ることで、子どもが自分から英語に触れようと仕向けなければいけません。

リビングに一冊も本がない家庭と本棚に子どもが読みそうな本がたくさん並べてある家庭では、どちらが本好きの子どもが育つかといえば当然後者です。環境を提供するのがお母さんの役割です。

私は子どもに英語での読書を強制したことはありません。ただし、いろいろと策を講じました。例えば、新しく英語絵本を買ったときのことです。子どもがおもちゃで遊んでいる横で、その絵本を私が一生懸命読みます。

しばらくすると子どもは「それ、何?」と近づいてきます。「今お父さんが読んでいるから、あとでね」ともったいぶります。「僕も読みたいよ」とせがんだところで、「じゃあ一緒に読もうか?」と自然に読書につなげることができます。

このように子どもの意志で英語に触れるように策を講じるのが、英語好きな子どもを育てるコツです。

幼児~小学1・2年生は自分の意志で選んだおもしろそうなことには夢中になります。文字を書いたり読んだりするのはまだ苦手なので、無理にワークブックに取り組ませるのはやめたほうがいいです。

絵本の読み聞かせを中心に据えながら、子どもが自分の意志で英語に触れるように「仕掛け」を張り巡らせてください。

小学3年生へのサポート

小学校の先生の間では常識である「小3の壁」があります。それまでは幼稚園の延長だった学習内容が、小学3年生から一気に「小学校の勉強」へとレベルアップすることを指します。

もし、小学2年生と3年生の国語の教科書を見比べる機会があったら、ぜひ確認してみてください。文字の量や語彙レベルなど「小3の壁」を実感できるはずです。

しかし、この時期から「英語学習も一気にレベルアップしたほうがいい」と考えるのは早計です。私の意見ですが、この年齢の子どもは英語教師泣かせなのです。

文法はまだ早い

「文法学習も少しずつ始めた方がいいのでは」と考えるお母さんもいるかもしれません。しかし、この年齢の子どもに文法アプローチで英語学習をするのはやめたほうがいいです。

なぜなら文法のような抽象的な概念を理解するには、まだ幼過ぎるからです。では、これまでと同じように絵本を中心にすすめられるかといえば、それも難しくなります。なぜなら、子どもが普段読むようになっている本のレベルに合わないからです。

そして小学1・2年生と決定的に異なるのは、英語を話すことに「恥ずかしさ」や「間違えたら嫌だ」という抵抗を感じ始めるようになることです。

文法アプローチには早すぎて、音の練習もこれまで通りに素直にしなくなるのがこの年齢の特徴です。では、この時期にお母さんが心がけるべきことについて説明します。

思わず口まねしたくなるように仕向ける

ここでもお母さんの「仕掛け」が威力を発揮します。子どもはゲーム好きです。人間の本能として「勝ち負け」がかかると夢中になるようです。だからスポーツは多くの人に愛されています。

英語学習にもこの本能を上手に活用しましょう。お母さんは、子どもの「よきライバル」になってください。英語学習において競争するのです。

私がこれに気がついたのにはきっかけがありました。文法の問題を息子に教えているときに、“The police ( was, were) investigating the case….” (警察は事件を捜査していた)でどちらかを選ぶ問題がありました。息子はwereを選びましたが、私は「wasじゃない?」と反論したのです。

正解はwereです。これはthe police は見た目が単数でも「複数扱い」するからです。peopleと同じです。恥ずかしながら、私は本気で間違えてしまいました。解答を見た息子は大喜びです。滅多に私は間違えないので、鬼の首を取ったような喜びようでした。

これをきっかけに息子はあまり乗り気でなかった文法問題に積極的に取り組むようになりました。きっと「お父さんを打ち負かしてやりたい」と思ったからです。

英語の苦手なお母さんは、この点非常に有利なのです。なぜなら子どもを喜ばせる回数が増えるからです。「上から教える」スタイルではなく、「共に競い合う」スタンスで子どもと向き合ってみましょう。

好きな映画の傾向を把握する

子どもの「好きなこと」「嫌いなこと」「苦手なこと」が少しずつはっきりしてくる時期です。ときどき家族で映画を観ることもあるでしょう。普段から子どもの映画の好みを把握しておくと英語学習に役立ちます。

たとえば、プリンセスが好きな女の子ならディズニー作品がおすすめです。「英語音声」で一緒に見てみましょう。吹替で最初に見ておけば「英語音声」に切り替えても、どのセリフの場面かは理解できるはずです。

映画で英語を学ぶときにはコツがあります。私が中学生の頃にしていたことです。

実は映画のリスニングは最上級に難しいです。いきなりこれを押しつけたら映画そのものを嫌いになってしまいます。そうではなくて、まずは「映画のタイトル」に注目させます。

美女と野獣なら“Beauty and the Beast” が原題です。これで単語を二つ覚えられます。しかも絶対に忘れません。タイトルは文字で画面に出るので、聴き取れなくても大丈夫です。

有名な俳優が出演している場合は、その名前を見つけるのもいいトレーニングです。音と綴りを合わせられるのでフォニックスの訓練になります。

映画のセリフに関しては、「決まり文句」は聴き取りやすいはずです。美女と野獣なら最初のナレーションに“Once upon a time”(むかしむかし)という昔話にお決まりの表現が使われています。

このように小学生でも読めたり聴き取れるところを少しずつ増やすことで、好きな映画と英語学習を上手に結び付けられるようになります。

歌に興味を持たせる

歌が好きな子どもなら、洋楽も試す価値ありです。これまでと同様に押しつけると子どもは嫌がります。私だったら、車に乗ったときは「お父さんが聞く英語の歌」としてあらかじめ用意しておきます。

ここで子ども向けに“Old MacDonald had a farm”のような歌を集めると、子どもは「これは自分に勉強させるためだ」と勘づきます。

お母さんが好きな歌を選んでください。子ども向けでなくても全然かまいません。例えば、「Best Day of My Life」 です。

お母さんはあらかじめ歌詞を調べておいて、一部だけでも歌えるよう練習しましょう。歌を聴きながら自分で歌うだけでいいのです。

子どもは「意味はわからないけれど、いい歌だな」と思えば、勝手に興味を持ちます。家に帰ってから歌詞付きのYouTube動画を見せて、子どもの気が向けば自分で練習しはじめます。

文字タイプか音タイプか

小学3年生になると、「文字に強く反応するタイプ」と「音に強く反応するタイプ」に分かれます。前者の場合は、簡単な英語の本にチャレンジさせたほうがいいです。ただし、このときも音読を忘れないようにしましょう。

音に強く反応するなら、映画や歌と結び付けながら英語を学ぶといいです。

「4技能(聞く・話す・読む・書く)バランスよく学ばせたい」と思うお母さんもいるかもしれません。今は英語にのめり込むきっかけの段階なので、好きなところから始めてうまく軌道に載せることに集中しましょう。いずれバランスよく学ぶので安心してください。

小学4~6年生へのサポート

小学4~6年生の期間は、本格的な英語学習を開始できるチャンスです。テストや受験といったプレッシャーから解放されている間に、英語学習を開始できるメリットは大きいです。

ではこの時期の子どもにお母さんとして何ができるのかを詳しく説明します。

テストのための英語から遠い「今」がチャンス!

以前、私に「英単語をなかなか覚えられない」と相談に来た中学生がいました。そこで普段、どんな覚え方をしているかを再現してもらいました。

「木曜日は、T(ティー)・h(エイチ)・u(ユー)…」とつぶやきながら、紙に書き始めました。そこで私はその単語を声に出して読むようにいうと、彼は「わかりません」と答えました。

私は「英語ってまず、読めることが大切なんだけど、そう思わない?」とたずねると、その中学生は「でも、テストでは答えを書ければ〇をもらえるから関係ないですよね?」と真顔で答えました。

私にとっては衝撃的な回答でした。それは「教科や受験科目としてしか英語をとらえていない」とわかったからです。

英語は本来「コミュニケーションの道具」です。現実に英語を使って生活している国があるのです。しかし先ほどの中学生にとって、英語とは「教科」や「受験科目」のためでしか存在していません。彼のような生徒は例外ではありません。

小学4~6年生から本格的に英語を始めるメリットは、コミュニケーションの道具として英語を考えるようになることです。まずは、このことをお母さんにも強く意識してほしいと思います。

資格取得に夢中になり過ぎない

小学5年生くらいになると「英検準2級」に合格する子どもがチラホラと登場します。英語学習の進捗状況をチェックするために英検を受けるのは大賛成です。その結果「英検〇級合格」の資格がもらえるなら喜ばしいことです。

しかし、英検合格を目的にしてお母さんが子どもにプレッシャーをかけるようなことはやめてください。せっかく、「コミュニケーションとしての英語」を意識できる時期なのに、わざわざ「テストのための英語」を子どもに植え付けているからです。

周りの子どもの「英検〇級」に惑わされずに、「本物の英語力」をつけさせてあげるように考えてあげましょう。

音読練習+文法で基本を固めよう

小学5・6年生になったら、短めの素材で音読練習することを習慣化しましょう。教材は通信講座でも何かのテキストでもかまいません。ネイティブによるナチュラルスピードの音声付きのものが適しています。

このとき必要に応じて基本的な文法を学習すると、飛躍的に英語力を伸ばせます。最初に充分口頭練習を積んだ後、文法で理解を深めることが大切です。文法を先に学習すると知識だけの英語となり、実際の場面で使えるようにはなりません。

英語の得意なお母さんでも、そろそろプロの手を借りたほうがいい段階です。音読の重要性を認識している先生を探しましょう。やはりどの年齢から始めても、言葉の学習に音声の訓練は欠かせないのです。

この動画セミナーではリスニングだけでなく、英語4技能全体を底上げする方法を紹介しています

興味のある分野に絞った英語素材を自然に与える

小学3・4年生の項目でも触れましたが、子どもの興味はより細分化し高度になります。好きなものに没頭する能力を英語にも応用しないのはもったいないです。

専門知識があれば多少わからない単語があっても、類推しながら読めるものです。私は小学5年生頃、天体に興味がありました。毎晩のように天体望遠鏡で星を眺めているうちに、主な星雲・星団のある場所はほとんど暗記していました。

あるとき大きい書店で“SKY & TELESCOPE” というアメリカの天体ファン向けの雑誌が置いてありました。英語はほとんど読めませんでしたが、いくつかの単語はかなり正確に意味を把握できました。

たとえば、focus(焦点), objective lens(対物レンズ), nebula(星雲)などの単語は図や写真を見れば、簡単に意味がわかりました。

このように大人顔負けの知識欲がある子ども(〇〇博士タイプ)なら、英語と掛け合わせると相乗効果を発揮します。大都市に出かける機会があるなら、洋書の雑誌コーナーで趣味に関する雑誌を買ってあげましょう。

小学生のうちに身につけさせたい5つのこと

中学生になる前に、英語に関して子どもに身につけさせたいことを3つにまとめました。不思議なことに中学校の英語の先生がこのような話を小学校の先生に伝えることはほとんどありません。同様に高校の先生も中学の先生にこのような話をする機会はありません。

中学校以降、子どもが英語を楽しみながら一生懸命勉強して成績もグングン伸びるように、参考にしてください。

「コミュニケーションの道具としての英語」を体験させる

大切なことなので繰り返します。英語は世界的に使用されている言語です。英語はコミュニケーションの道具以外の何物でもありません。

当たり前のことですが、受験のことばかり意識し続けると、いつの間にか試験のための英語としかとらえなくなります。そして受験が終わった瞬間に英語の学習をやめてしまいます。

これを防ぐためには、実際に英語を使って生活している人たちを見せたり、体験させたりするのが効果的です。具体的には、海外旅行に連れて行ったり、英語キャンプや短期留学に参加させたりすることです。費用的に難しければ、ホームステイを一時的に受け入れるのもいいでしょう。

「英語が通じた喜び」と「うまく伝えられなかったフラストレーション」は、今後の英語学習を続ける大きなモチベーションになります。

日本人が少ない環境に、日本の子どもは慣れていません。マイノリティの立場になっても堂々と振る舞うためには、やはりコミュニケーション手段が必要です。そのようなことを体験から学ばせるのはとても意義があります。

楽しく努力する

小学生時代にどうしても身につけたいスキルは「楽しく努力する」ことです。努力と我慢は異なります。「英語は楽しい→もっと上手になりたい→努力する→少し上手になった→うれしい」循環に入ればしめたものです。

これは英語に限った話ではありません。スポーツや他の習いごとでもいいのです。どれか一つの分野で「楽しく努力」できる子どもは、きっと必要になれば他の分野でもできるからです。

学校の成績や受験だけでなく、一生を通じてこの能力は大切です。ぜひ、その基礎を小学校時代に身につけるようにサポートしてあげましょう。

声に出して読む習慣をつける

英語学習において静かに黙々と勉強しているようでは成功できません。とにかく声に出して読むことが重要です。

それを体系化したものが「音読トレーニング」です。極論を言えば、「音読トレーニング」を日常的に行うだけで、中学・高校の英語は充分に乗り切れます。

英語教育に携わる者ならほとんどの人は理解していますが、時間がかかるために生徒に音読練習の仕方を細かく指導している学校はほとんどありません。それなら家庭でお母さんが中心となって「音読トレーニング」の環境を整えるしかありません。

中学生で木曜日の綴りをSarsdayと書いてしまう生徒は珍しくありません。Thursdayが正解です。普段からthの発音を意識して何度も音読していたら、ありえない綴りの間違いです。

自分のできる範囲で精一杯、音読する訓練を年単位で続けると、英語の力は確実についてきます。ぜひ、小学校の間にそれが身につくようにしてあげましょう。

まとめ

幼少期は音の学習の適齢期です。お母さんの英語をたくさん聞かせてあげましょう。具体的には英語絵本の読み聞かせがおすすめの方法です。

小学3年生では興味や趣味に即した英語を与えると、自分から英語を学ぶようになります。文法学習はまだ早いので、あわてて取り組ませても効果的とはいえません。

小学校4~6年生からは本格的な英語学習を開始できます。受験まではまだ時間がたっぷりあるこの時期に、「コミュニケーションの道具」としての英語を強く意識させてあげましょう。

どの年齢層でも共通しているのは、「楽しく努力する」のが最も効率的な学習方法であることです。また、英語学習の基本は「音声」なので、年齢に即した方法で英語を音読すると中学生以降で英語力は飛躍的に伸びるようになります。

英語を教えるのは教師の仕事ですが、お母さんの子どもへの接し方は教師以上に影響力は大きいともいえます。ぜひ、子どもの特徴を正しく理解して、子どもみずから英語を学びたくなるような環境づくりをサポートしてあげましょう。

 

幼児向け英語教材選びで後悔しないために

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突然ですがあなたにひとつ試してほしいことがあります。「〇歳の壁」というキーワードで、〇の中に2歳~10歳まで順に入れて検索してみてください。おそらくどの数字を入れても「〇歳の壁」の情報がヒットします。

それにしてもたくさんの「壁」があるものです。そして、そのほとんどは教材を売るために業者が作り上げたものであることは想像できます。英語の場合なら「〇歳を過ぎると英語を吸収しなくなる」という半ば脅し文句のようなものです。

セールストークとわかっていながら「今から英語を始めないと、最高の時期を逃してしまう」とつい不安になるものです。最初の子どもの場合はなおさらです。

このようなお母さんにこそ、今回の記事をきちんと読んでいただきたいと思います。結論からいえば、英語は何歳からでも習得できます(ただし、アプロ―チは年齢によって変える必要があります)。

高額な教材を契約してしまう前に今一度冷静になって、教材選びで後悔しないための視点を持つようにしてください。

これだけは知っておきたい幼児向け英語教材の大原則

英語教材を選ぶときほとんどのお母さんは、クチコミサイトやランキングサイトを検索します。これらのサイトには有益な情報も含まれていますが、最終的には自分で判断して決めなければいけません。

このときに大切ないくつかの「大原則」があります。その中でも、つい勘違いしてしまいがちなことを中心に説明します。教材選びで後悔した経験のあるお母さんはその原因をきちんと理解すれば、次回からはより賢い選択ができるようになります。

教材

英語教材だけでは子どもの英語は伸びない

英語指導の経験から断言できますが、教材だけでは英語は伸びません。少しわからない部分があって、そこを理解できるようになって達成感を味わったり、英語力が少しずつ伸びたりするようになります。そのためにはどうしても指導者が必要です。

もし子ども一人で学んで理解できるのなら、その教材はやさしすぎます。

指導者が必要なもうひとつの理由は、先の展開を見据えた人が指導すると学習効率が段違いに良くなるからです。

例えば、助動詞の「can」をある教材では「~できる」の意味で扱っているとします。確かにこれは正しいのですが、使われる状況によってはbe able to doのほうが適切だったり、文脈によっては「ありうる」という意味に使われたりすることもあります。

このような横展開できる指導者がいると、そのあとの学習効率が極めて高くなります。ところが初めて英語を学ぶ人が独習する場合、このような関連づけはできません。ある程度マスターした人がふり返って初めてわかることだからです。

エベレストなど難易度の高い山に挑戦する登山家は、シェルパと呼ばれる地元の人たちを雇います。彼らは表舞台に立つことはありません。しかし、山を知り尽くしている彼らのサポートなしでは、一流の登山家といえども登頂を成功させることはできません。

シェルパと指導者は似ています。間違いやすいポイントを先回りして察知しながら子どもに助言を与えることで、子どもは最短距離で学習することができます。

繰り返しになりますが、教材だけで子どもの英語力を伸ばすことはできません。そして最も身近な指導者はお母さんです。よい教材に巡り合えたらそれで終わりではないことは承知しておきましょう。

英語を学ぶなら「今しかない」のセールストークに惑わされない

幼児向け英語教材のセールストークを眺めていると「今しかない」のオンパレードです。「脳が柔らかいうちに…」「英語耳は〇歳まで」などがその典型です。

実証済みの事実ですが、英語は何歳からでも学習可能です。一定の年齢を過ぎても語学が習得できます。

小学生がいる家庭には「〇年生から学校の勉強は難しくなります!」「この春がラストチャンス!」と謳った通信講座の案内が毎春送られてきます。これらの説に大した根拠はありません。

賢いお母さんは、このようなセールストークに惑わされないようにしてください。

高額な英語教材は避ける

高額な教材を避けたほうがいいのには、ふたつ理由があります。ひとつめは、コストパフォーマンスが悪くなるからです。

時計に例えてみます。数千円で購入できる時計は、私のような素人にも安っぽく見えます。そして価格が上がるほどに高級感は増していきます。ところがある一定の価格を超えたところから、ほとんど品質に差はなくなります。

私は時計にまったく興味がないので、5万円台の時計と100万円の時計の違いがまったくわかりません。時計に詳しい人に聞いたところ、実際、使われている部品はほとんど変わらないとのことでした。

時計ならブランドに価値を見出すのもありです。しかし、英語教材にブランドなど関係ありません。子どもにとって有益かどうかだけです。

時計と同じく教材もそれなりに凝ったものにするためには手間暇かけるので、ある程度までは価格とクオリティは比例するかもしれません。しかし、何十万もするような高額教材を買ってみても劇的な効果を得られるとは思いません。

もう一つ、高額な教材を避けるべき理由があります。それは、子どもに合っていないと感じながらも、お母さんが「もったいない」とズルズルと使い続けてしまうからです。

また、明らかに子どもが興味を示していなくても「せっかく始めたのだから、しっかりやりなさい!」と怒鳴ってしまうこともあります。それは「損をしたくない」と焦るお母さんの感情から出てくる言葉です。

手頃な価格の教材であればさっさと見切りをつけて、別の教材に切り替えられます。このように高額教材を使うと、かえって子どもの英語学習の妨げになることもあるので注意が必要です。

絵本以外なら、映像・音声中心の英語教材を与えよう

幼児の英語学習のおすすめは「英語絵本の読み聞かせ」です。もちろん「英語の絵本」が教材です。これなら新品で購入しても毎月3,000円くらいで収まります。

これだけでも英語に親しむには充分です。しかし、もう一歩進んで英語力を伸ばしたいなら、音声面にフォーカスを当てた教材を利用してみましょう。

音や映像から単語や表現をまねするような活動を取り入れるようにすると、将来の英語力を伸ばす基盤がしっかりとします。

英語絵本以外の教材を取り入れるなら、映像・音楽が収録された教材で思わず口まねしてしまうようなものがいいです。学習内容としてはチャンツでフォニックスの基礎を学べるようなものが適しています。

ランキングサイトやクチコミサイトであっても、教材の正しい評価がされているとは限りません。売り手の論理に惑わされずに、自信を持って取捨選択できるようになりましょう。

幼児向け英語教材選びのポイント

「教材選びの大原則」を抑えたら、ここからは具体的なポイントについて説明します。慌てて選ぶとお金だけでなく「大切な時間」を失います。最短距離で最大限の効果を生むためにも、ひとつひとつを確認していきます。

子どものレベルを知り、現実的な目標を設定すること

お母さんの役割でとても大切なのは、子どものレベルを把握することです。これを間違えてしまうと教材選びは難航します。もう一つ大切なのは、数か月のスパンで現実的な目標を設定することです。

例えば「英語を話せるようになって欲しい」というのは現実的な目標ではありません。話すといっても、“Good morning.”のあいさつレベルなのか、“I don’t like green peppers because it tastes bitter.”と話せるレベルなのかはっきりしないからです。

「3か月後に、あいさつと数字を1から10までスラスラと言えるようになる」のように具体的な目標を立てるほど、最適な教材を絞り込むことができます。

すべてに万能な教材はありません。そのかわり、目標を絞り込むほどそこにターゲットを合わせた教材を選ようになります。

まとめると「子どもの現在のレベルを正しく把握」して、「3か月程度先の具体的な目標を立てる」ことが、教材選びには欠かせません。

子どもが楽しみながら英語を学べること

子どもは「楽しい」と感じることは夢中になります。反対に、押しつけられたつまらないものからは逃げようとします。大人だって本音はそうですが、感情を押し殺して我慢しているだけです。

つまり子どもに英語学習を継続させたければ、その教材について「楽しい」と感じさせることが必須条件です。楽しいと感じるツボは、子どもによって異なります。男の子と女の子でも異なります。

つまりここでも必要なのは、子どもをよく観察してどんなものに興味を惹かれるのかを理解することです。

教材選びは大変ですが、ハマれるものを見つけると期待以上に英語が伸びます。ほどんどの子どもにはそういうツボはあります。根気よく探してみましょう。

身近な題材

教材の題材は、子どもにも理解できる身近なものが無難です。ファンタジーでも子どもが楽しめるなら問題ありませんが、日常生活で目にする世界を取り扱った教材に主軸を置きましょう。

覚えた英語表現を使ってみるのが学習の最終段階です。もし、身の回りのことと学ぶ英語が関連していなかったら、英語を使う機会が減ってしまいます。

私の息子は3歳のとき「工事車両」が大好きでした。工事現場で穴を掘るショベルカーを飽きもせず、ずっと観察していました。

あるとき英語の絵本にカッコいいショベルカーが登場しました。ショベルカーは英語で「excavator」ですが、大人でも知っている人はほとんどいません。ところが私が何度も読んでいるうちに息子はこの単語を覚えてしまいました。

さらに工事現場でショベルカーを発見すると、“Excavator!”と叫んだことがあります。もし、見たこともない動物や妖精が登場する話だけしか与えていなかったら、このように現実世界と英語を結びつける機会はなくなります。

幼児向けの教材では、身近な題材を扱ったものを基本に選びましょう。

続けやすい費用

子どもの英語教育全般にいえることですが、家計が苦しいのに無理をしてはいけません。それぞれの家庭で無理なく続けられる金額を超えないように気をつけましょう。

英語学習は長期間続けるものです。金額的に無理なことは続きません。あまりお母さんが我慢しすぎると、家族全員が幸せではない状態となります。

先述したように、教材だけで効率的な学習はできません。指導してくれる人にもお金がかかります。もし他にも習いごとがあれば、英語教材だけ無理をするのもおかしな話です。

全体のバランスをみながら、決して金銭的に無理をし過ぎないように気をつけましょう。お母さんの顔が引きつっていては、子どもは楽しく学習できません。

教材を利用して英語学習を進めるためのアドバイス

教材購入後、子どもへの教材の与え方について説明します。一つの教材について1か月~1年くらい取り組むので、取り組み方次第で効果はかなり違ったものになります。

日常生活に英語を取り入れる

教材でだけ英語に触れていると「勉強としての英語」の認識から逃れられません。やはり、何らかの形で生活の一部に英語を取り入れて、「道具として」英語を捉えるようになるのが理想です。

しかし、日本国内で英語を使う環境を求めてもほとんど不可能です。簡単に取り組めるものとしては「英語絵本の読み聞かせ」が有効です。「英語で楽しい読書タイム」を日課にできれば充分です。

教材で学んだ単語や表現の一部を子ども部屋に貼るのも良いアイディアです。英会話教室ではアルファベット表、カラフルなイラスト、英単語が壁にきれいに貼られています。

子どもは無意識に英語を眺めています。これらの装飾は「英語を使う」雰囲気づくりに大いに役立っています。

「英語で育児」をできるならそれが理想です。しかし、それをできるお母さんはまだまだ少数です。「子どもと英会話をしなくては」と大げさに考えて何もしないより、できそうなことから少しずつ取り入れたほうが結果に結びつきやすいです。

NGワードは「勉強」

子どもには「勉強」という言葉は極力使わないようにしましょう。「勉強」には「苦行」のような響きがあって、徐々に子どもは嫌がるようになります。英語だけならまだしも、他の学習にも支障が出ては最悪です。

お母さんひとりで何もかもやろうとすると、ときどき苦しく感じることがあるかもしれません。忙しいときは特に子どもと穏やかな気持ちで相手できないときもあります。

そんなときは土日はお父さんと一緒に教材に取り組んでもらいましょう。楽しみながら続けると、そのうち「幼稚園のお休みの日にお父さんとやる」暗黙の了解ができあがります。

お父さんがわからないふりをしてあげれば、子どもは積極的に教えてあげようと頑張り始めます。なぜなら、子どもは大人に教えてあげるのが大好きだからです。

これを続けていくと習慣化されます。幼児の集中力はせいぜい15分程度なので、仕事で疲れているお父さんにもなんとか協力してくれるようにお母さんから頼んでみてください。

まとめ

おさらいですが、幼児向け英語教材で後悔しないための原則は下記のとおりです。

教材だけでは英語は伸びない
「今しかない」のセールストークに惑わされない
高額な教材は避ける
絵本以外なら、映像・音声中心の教材を与えよう

子どもが夢中になる教材を利用しながら、お母さん自身が教えてあげたり指導者の助けを借りたりすることで学習効率は飛躍的に高くなります。

くれぐれも高いお金を支払ったあとで「もったいないから」と無理やり合わない教材を使用することのないように注意しましょう。どうしても不安なら、比較的低価格のオンライン英会話などからスタートして子どもの興味関心を確かめてからにしましょう。

子どものための英単語の覚え方(実践編)

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電車の中で、英語の単語集を開いて一生懸命暗記している高校生を見かけることがあります。学校で単語テストがあるのかもしれません。このような光景を見ると「頑張れよ」と応援したくなります。

そのような彼らの様子を見ていて、気になることがあります。暗記用シートが挟まった単語集をじっと見つめるだけで、口が動いていないのです。電車の中でも声に出ない程度にわずかでも口を動かして発音したほうが、使える単語として学べます。

学校の先生はきちんと時間を取って、学習の仕方を教えた方がいいです。授業以外の時間にも生徒が自習できるようにしたほうが英語は伸びるからです。

英語力は4技能(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング)から成り立っています。それを下から支えているのは「文法と語彙力」です。今回は子どもが語彙力を高めるための実際の手順を詳しく説明します。

幼児~小学校高学年の期間、能力や心が急激に変化します。大人の学習方法とは異なる部分をお母さんが理解して、子どものボキャビル(単語学習)をサポートしてあげましょう。

第一段階:最初にアクティブ・ボキャブラリーを300語覚える

小学校入学前の幼児であれば、ボキャビルよりも先にやっておくことが2つあります。まず、英語絵本の読み聞かせを通じて子どもが「英語の音」に慣れるようにしましょう。このときお母さんは発音を気にしすぎる必要はありません。ほどほどで大丈夫です。

もう一つのやるべきことは、「アルファベットとフォニックスの基本」を学ぶことです。アルファベットの読み方は単語で使用されるときの読み方と一致しないことが多いです。そのため綴りと音の緩い規則であるフォニックスを学ぶ必要があります。

まず、英語の音に慣れてアルファベットとフォニックスの基本を身につけたら、ボキャブラリーを意識した学習に進むことができます。ボキャビルのコツを学ぶと子どもの英語学習に弾みがつきます。

超基本単語300語を一気に攻略

文字から覚えるボキャビルは5歳くらいから可能です。だからといって単語集を買ってきて暗記するのは、この年齢の子どもには無理があります。

とりあえずの目標は、300語くらいの超基本単語です。「英語絵本の読み聞かせ」「英語での育児」を通じて、とりあえず意味がわかるようにします。暗記ではなく、生活に英語を取り込みながら何度も単語と英語の音・文字を結びつける作業を繰り返します。

具体的な方法は、家中の物に英語を書いた「ふせん」を貼ってみるのもひとつのアイディアです。やり方は簡単です。冷蔵庫に「fridge」と書いた付箋を貼るだけです。

そして毎日、“Do you want some milk?  It’s in the fridge.”とか“Close the fridge now.”と話しかければ、冷蔵庫がfridgeであることを覚えます。このように少しずつ単語を増やしていけば、身の回りの単語はかなり理解できるようになるはずです。

数字、曜日、月、色などは同じ種類でまとめて覚えたほうがいいので、フラッシュカードも利用したほうがいいです。そして、覚えた単語を実生活と結びつけることがポイントです。

毎朝お着替えをした時に、服の色を指で指しながら“You want to wear this one?  Yellow is your favorite color.”などと話しかければ、カードで覚えた単語と現実の世界が結びつき記憶が強化されます。

どの単語を覚えたらいいのかわからない場合は、Jリサーチ出版の『英語が得意になる! 最初に覚えたい600語 ゼロからスタート 小学英単語』(安河内哲也著)がオススメです。
小学英単語

基本単語をアクティブ・ボキャブラリーにする

聞いたり読んだりするときに意味がわかるけれど使うことはできない語彙を「パッシブ・ボキャブラリー」と呼びます。例えば、「矜持」は「きょうじ」と読み、意味は「プライドのこと」であると私は知っています。しかし、会話や文章を書くときに矜持という言葉は出てきません。

一方、「プライド」という言葉は日常会話で使います。このように自分で使いこなすことができる語彙のことを「アクティブ・ボキャブラリー」と呼びます。私にとって矜持はパッシブ・ボキャブラリーであり、プライドはアクティブ・ボキャブラリーです。

300語ほどの超基本単語を知っているだけでは、子どもは英語を話せません。意味を知っているだけの単語を「アクティブ」に変化させる必要があります。

使える単語にするためには、「使うトレーニング」が必要です。日本語環境で、子どもに英語を使わせるには3つのコツがあります。

一つ目は、英語での話しかけの中で、子どもが何かを欲しているときを狙います。例えば「牛乳飲みたい」と言ったらSay “Milk, please.”(ミルクちょうだい、って言ってごらん)と話しかけます。

“Milk, please.”と言わないといつまでたっても牛乳が飲めないので、子どもは英語を話さざるをえません。これを繰り返すと、牛乳を飲みたいと思ったら“Milk, please.”と言えるようになります。

自分で言えた単語のmilkもpleaseもアクティブ・ボキャブラリーです。このようにして、意味がわかるだけの言葉(パッシブ・ボキャブラリー)を使える言葉であるアクティブ・ボキャブラリーへと変えていきます。

二つ目の方法は、文字で覚えた単語やフレーズを子どもに使わせるやり方です。

例えば、スイッチパネルのところにturn on the light/ turn off the lightと書いておけば、アクティブにすることができます。

夕方暗い部屋に戻ったときお母さんが“It’s dark here.  What shall we do?”(ここ暗いわね。どうしましょ?)と子どもに問いかけます。子どもが“Turn on the light!”と言えばしめたものです。

三つ目の方法は、英語絵本に登場してきた動物やフレーズを実生活の中でも使わせることです。私が息子に読んだ絵本「Excuse me!」の中で、ゲップをした子が親からWhat do you say?と聞かれてExcuse me!と答える場面があります。

何度も繰り返し読んであげるうちに、子どもはセリフを暗記して“Excuse me!”と言えるようになりました。ある日、夕食を食べていたら息子がゲップをしたので、すかさず私は英語でWhat do you say?と尋ねると、ニヤリと笑いExcuse me!と答えたのです。

楽しみながら音読をするうちにフレーズを自分のものにして、実際の場面で使えるようになった瞬間です。

上記のような要領で、超基本単語をアクティブなものに変えていくことができます。「私はあなたを愛しています」をほとんどの人は“I love you.”と言えます。このレベルまで使いこなせる英単語を増やせば、会話力が向上していきます。

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第二段階:パッシブ・ボキャブラリーを1000語に増やす

アクティブ・ボキャブラリーとパッシブ・ボキャブラリーの数は常に「アクティブ<パッシブ」の状態です。「パッシブを増やしながら使用する頻度が高いものをアクティブに変えていく」という順番が正しいのです。

本格的に読書をするなら、パッシブ・ボキャブラリーも増やさなければいけません。ここでは子どものパッシブ・ボキャブラリーを増やす効果的な方法について説明します。

音読トレーニングで扱った単語を中心に覚える

目標とする語彙レベルは1500~2000語です。とりあえず1000語くらいの単語の意味がわかるようになると、絵本を卒業して簡単な本が読めるようになってきます。1000語と聞くと大変そうに感じるかもしれませんが、これでもネイティブの5歳に及びません。

単語の覚え方の原則は「繰り返し復習」と「読める→意味がわかる→(書ける)の順番を守ること」です。単語だけを取り上げて学習するのは小学生にはおススメできません。単調になりがちで飽きるからです。

おすすめは、音読トレーニングをしながら出会った単語を一つひとつ覚えていくことです。音読トレーニングは「意味がわかるものを正しい読み方で繰り返し行う」のが大原則なので、ついでに単語も覚えられるからです。

では新しく覚えた単語は、後で復習できるようにノートに記録したり、単語カードを作成したりした方がいいのでしょうか? 私の答えは「ノー」です。カードを作成する手間がかかりますし、後述する電子辞書を使えば時間ゼロでオリジナルの単語帳を作成できます。

また、このレベルの単語は使用頻度が高いので、しょっちゅう出会います。忘れたらまた覚え直すくらいの気持ちでまったく構いません。忘れないことに意識を置くより、繰り返し覚えることを意識したほうが良い結果につながります。

図鑑、マンガ、読書で気になった単語だけに絞って覚える

知らない単語をすべて調べて覚えようとしても疲れるだけです。どうしても意味が気になる言葉だけに絞って、英単語を電子辞書で調べましょう。

忘れてはいけないのは、「読み→意味」の順番です。かならず口に出して、何回か読み上げましょう。これらの中には絶対に試験に出題されなさそうな単語も含まれていますが、お構いなしに覚えたほうがいいです。

本気で新しい単語を覚えるのは音読を通じて行い、プラスアルファでそれ以外の機会で目にした気になる単語を取り扱うようにします。

ちなみに小学生の場合は、単語を書ける状態を目指さなくても大丈夫です。半分以上はフォニックスがわかれば音からスペリングを推測できます。また、音読トレーニングの仕上げとしてディクテーション(書き取り)を導入すれば、そこで学習できます。

電子辞書のヒストリー機能を使う

電子辞書があると、「ヒストリー機能(履歴機能)」を活用して単語を効率よく復習できます。音読練習やその他の機会で調べた知らない単語は、履歴に残るようになっています。

調べた単語が新しいほど、履歴の最初の方に表示されます。カーソルを合わせるだけで意味が小さく表示されるので、この機能を利用して復習をします。

読めないときや意味を忘れた単語にカーソルを合わせて決定ボタンを押すと、詳しい意味が表示されます。次に、ヒストリー画面を見ると、この単語は履歴の最初に移動します。

これを繰り返していくと、覚えられない単語ほど履歴の最初に表示されます。つまり、ヒストリー機能で復習するときは、上から順番に復習していくのがベストです。

ヒストリー機能に収録できる語数は決まっているので、一定数を超えると古いものから自動消去されます。最も覚えている可能性が高いものから消えていくので、わざわざ消去する必要もありません。

普段あまり活用されることのない地味な機能ですが、このように利用するといつの間にか子どもにカスタマイズされた単語帳を作ることができます。

覚えるためのコツ

目新しいコツがあるわけではありませんが、子どもでも応用できる単語暗記術をいくつか紹介します。

・接頭辞・接尾辞・語源を利用する

接頭辞・接尾辞・語源を利用した単語の覚え方はポピュラーですし、このレベルの語彙を増やすのには効果的な方法です。たとえば、happyに否定を表すun-という接頭辞をつけるとunhappy(不幸な)という意味になります。

・語感を利用する

語感を利用するのも効果的です。語感のセンサーが高いと、単語の覚えが早いのは確かです。thudは(どさっ)という物が落ちる音を表しますが、この感覚がすっと腑に落ちる子どもは英語センスがあります。

・連想力を発揮する

連想力が働く子どもは英語学習に向いています。全米プロフットボールリーグの王座決定戦を「スーパーボウル」と呼びますが、ボウルを「玉(ball)」と勘違いしている人が多いです。正しい綴りはSuper Bowlです。

bowlは料理に使う「ボウル」です。アメフトのスタジアムの形がボウル状なので、このように呼ばれているのです。bowlを1.料理に使うボウル 2.アメフトのスタジアムのように覚えるのではなく、共通するイメージが頭に浮かぶだけで語彙はグッと増えます。

・エピソード記憶を利用する

「エピソード記憶」を利用する方法もあります。エピソード記憶とは、何かを経験したときにそれに伴った事柄が記憶されることです。意図的に利用するのが難しいのが欠点ですが、努力不要で覚えられるのが長所です。

私の息子が幼児の頃、ボウルに入った氷水に手を入れて「冷たーい!」と叫んでいました。そこですかさず“It’s icy water.”と教えてあげました。それからしばらくして、「この前のicy water冷たかったねー」と話し始めました。

何か印象に残るような出来事(びっくりするほど冷たい水に触った)により、icy waterという単語の意味が強烈に記憶に残った結果です。このようにエピソード記憶には、忘れにくいという特徴があります。

普段の生活で子どもが大喜びしたり、びっくりしたりすることは山ほどあります。その経験と英単語がうまく結びつくと、忘れにくい記憶となり、パッシブの状態を飛び越えてアクティブ・ボキャブラリーとして一気に定着することも期待できます。

ポピュラーな単語暗記術をいくつか紹介しましたが、一つの方法に頼り過ぎてはいけません。覚えやすい特徴があれば利用するべきですが、上記のテクニックが常に有効というわけではありません。

その場合は丸暗記するしかありません。電子辞書のヒストリー機能を使いながら、復習を繰り返して覚えるように子どもにアドバイスをしましょう。

第三段階:アクティブ・ボキャブラリーを増やす

第二段階で1000~1500語レベルに到達すると、英検3級は合格できるようになっています。小学生でこのレベルまで到達すれば、なかなかの実力といえるでしょう。

しかし、英検3級に合格しても英語を話せる子どもは極めて少ないです。それは、1000語~1500語のボキャブラリーのほとんどが、パッシブだからです。

中学・高校・大学受験へと進むにしたがって覚える単語数は増えていきますが、ほとんどの学習者はパッシブのままに放置してしまいます。すると入試・資格試験は合格できても、英語を話せない人になってしまいます。

せっかく子どもの頃から英語学習に取り組むのなら、使える英語を身につけないともったいないです。そこで、読みと意味だけ知っているパッシブ・ボキャブラリーを少しでもアクティブなものに変えていく方法について解説します。

使えるようになりたければ、使って覚える

第一段階で説明した原則は、ここでも同じです。「使えるようになりたければ、使って覚える」ことが大切です。このレベルの語彙を使いこなすのはかなりハードですが、時間をかければ必ず攻略できます。

・ひとり言ブツブツ英会話

最初の頃よりも語彙レベルが上がっているので、第一段階で説明したような方法は通用しません。今回は、ひとり言ブツブツ英会話が有効です。

とりあえず、子どもに日常の雑談を30秒くらいの英語で表現させます。筆記用具は不要で、自分でブツブツ言うだけです。たとえば、家族で山梨県に墓参りにいったとしたらこのような感じです。

I went…(墓参りって何て言うんだろう)in Yamanashi.  (帰る途中)we saw few people.  Suddenly, we (見つけた) a deer on the road.  My father stopped the car and the deer looked at us (長い間)

最初はこれだけ言うのにも四苦八苦ですが、気にすることはありません。30秒どころか、数分かかるかもしれませんが、相手がいるわけではないので大丈夫です。

・和英辞書や翻訳ソフトで英作文

言えない部分を和英辞書で調べながら、ノートに文章を書いてみます。和英辞書でもぴったりとした表現が見つからなければ、翻訳ソフトを利用してみましょう。まだまだ改善の余地がありますが、シンプルな文章ならかなりの精度で日本語を英語に変換してくれます。

I visited my family grave with my family in Ymanashi.  On our way home, we saw few people.  Suddenly, we found a deer on the road.  My father stopped the car and the deer looked at us for a long time.

小学生では本格的に文法を習っていませんから、時制や複数形などのミスが多いのが普通です。書いた文章は、英語の先生に添削してもらいましょう。自分が表現したかったことを細かく伝えて、そのニュアンスに近い英語にしてもらいます。

・暗唱する

そしてこの英語をスムーズに感情を込めて言えるようになるまで、何度も繰り返しブツブツ言いながら練習します。翌日になってもスムーズに口をついて出るようなら、この文章の練習は終わりです。

このような練習を毎日ひたすら繰り返すと、英語で表現できることが徐々に増えていきます。

子ども特有のボキャビルに関する疑問

ここでは子どものボキャビルに関する疑問に回答します。子ども特有の事情により、大人とは違った難しさがあります。

子どもに理解できない単語が登場するがどうしたらいいか

小学生でも上級者になると、英検準2級くらいから難しめの単語が登場するようになります。たとえばpotentialは「潜在的な(形)、潜在力(名)」という意味ですが、このような抽象的な概念を表す言葉が増えてきます。

小学生4年生以下で「潜在的」という言葉をきちんと理解している子どもはほとんどいないでしょう。問題は、「潜在的な」という言葉や概念をしっかりと理解できないのに、英語と意味を暗記させることに意味はあるのか、ということです。

私の考えでは、子どもが気にせずに丸暗記できるならそのままでいいと思います。しかし、意味がわからない単語に嫌気がさしているようだったら、飛ばしてもいいと思っています。日本語で言葉の概念を正しく理解してから覚えれば大丈夫です。

いずれ中学生くらいになれば、きちんとその言葉を理解できるようになるからです。長い目で見れば大きな問題ではありません。

文法はどうするか

不規則動詞は、時制によって形が変化します。例えば、thinkはthought、readはread【発音:red】のようにです。

「最初に時制に関する文法の知識を教えないと混乱するのでは…」と英語が得意なお母さんは考えるかもしれません。しかし、文法のことはとりあえず保留にしておきましょう。

先ほどの例なら、thinkとthoughtを別々に覚えても構いません。いずれ、ふたつの動詞が同じ動詞であると気づきます。気がつかなかったとしても、中学校で本格的に文法を習えばすぐに理解できます。

文法を先に学んでから英語に触れるよりも、実際の英語に触れてモヤモヤを抱えているタイミングで文法を学んだほうが定着は早いといわれています。小学校の間は正確な文法理解を求めて焦り過ぎないようにしましょう。

まとめ

ボキャビルのコツは究極のところ、「単語によって付き合い方を変える」ことだと思います。

一緒にいる時間を増やさないと親友レベルの友人にはなりません。同じように、アクティブな語彙を増やしたければ、何度も会話で使ってみるという訓練を避けることはできません。一方、意味だけ分かればよい単語も存在します。

英語の勉強がある程度進むと、単語力が停滞する時期が必ずあります。すべての単語を全力で覚えようとすると英語が嫌になってしまいます。単語によっては気楽に付き合えばいいと考えるだけで、心にゆとりが生まれます。

英語力が停滞したら、お母さんから子どもにボキャビルの話をしてあげましょう。停滞期を乗り切るきっかけになるかもしれません。せっかく子どもの頃から英語を学び始めたのなら、使える英語が身につくようにサポートしてあげましょう。

失敗から学ぶ「英語で育児」

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あなたの周囲で「英語で育児」に取り組んでいる人はいるでしょうか? おそらくかなりの少数派であることは間違いありません。しかし、ブログを見ると英語で育児に取り組んで「子どもが英語を話し始めました」という人達も少なからずいるようです。

我が家ではそのような時期を過ぎてしまったので、少しうらやましく感じます。何歳からでも英語の学習は可能です。しかし、英語を親子のコミュニケーションツールとして使える経験は、小さい頃を逃すと難しいです。

実は、私は英語で育児にチャレンジしたことがありますが結果は惨敗でした。失敗の原因は、成功するためのポイントを知らなかったからです。完全に勉強不足でした。

もしあなたが英語で育児にチャレンジしたいなら、私の失敗から学ぶことは多いはずです。今ではいろいろな人が記録したブログや書籍を入手できます。一人の子どもにつき一度だけの貴重な機会なので興味のあるお母さんはしっかりと準備をしましょう。

英語で育児~私の失敗談~

繰り返しになりますが、私は「英語で育児」に失敗しました。元英語教師として恥ずかしいですが本当のことです。これからチャレンジするお母さんには、ぜひ私の失敗から学んで欲しいと思います。まずは、私の失敗の原因を3つ述べます。
英語で育児に失敗

原因1:5歳からでは遅すぎた

私は息子が5歳のときに英語で育児を始めましたが、遅すぎました。息子はおしゃべりで言葉の発達が早く、年齢の割には日本語はしっかりとしていました。その分、英語を受け入れるのに抵抗があったようです。

もちろん母国語である日本語の習得は大切なので、これ自体は良いことです。ただ英語に関しては、2歳くらいから始めれば英語を自然と受け入れたと考えています。

母語である日本語の発達には個人差があるので一概に何歳までとは言えません。しかし一般的には、3歳までには始めたほうがいいです。

原因2:子どもとの接触時間が短すぎた

私は仕事の都合で、週の半分は帰宅しませんでした。子どもとの接触は多くても週2日半くらいでした。妻は専業主婦で常に子どもと一緒でした。しかし、英語が苦手で英語での語りかけは一切しませんでした。

一週間で合計10分~15分英語で話しかけても、子どもに変化が起きないのは当然です。英語を聞いたり使う時間や頻度が圧倒的に不足していました。

原因3:英語教育に関して家族の協力がマイナスだった

当時、義理の父母、私と妻、娘と息子の6人で生活していました。私以外の家族は全員、英語教育にネガティブな感情を持っていました。先述したように、妻は英語が苦手で「私は嫌だ」というスタンスでした。

協力がゼロなのはまったくかまいません。しかし、義母は「お父さんは英語を話していて嫌だねえ」などと発言していたので、子どもは英語にネガティブな感情を持ってしまいました。

同居している家族には「ネガティブな発言や態度は絶対にやめてもらうよう」事前に伝えましょう。また、子どもの英語を試すような「〇〇を英語で言ってごらん」のような脈絡のない質問も、子どもが嫌になる原因になので注意しましょう。

これら3つの原因から、英語で育児に私は失敗してしまいました。しかし、成果があったことも確かなので一つだけ紹介します。

成果:英語の絵本を好きになった

絵本好きな息子のために英語絵本を読み聞かせしました。これは息子の食いつきがよく、楽しんでくれました。最初は私から「ちょっとだけ本を読もう!」と誘っていました。そして、数か月後には自分から「これ読んで!」と持ってくるようになりました。

何度も繰り返し読んだ英語の絵本は、息子はほとんど暗記するほどまでになりました。このように「英語の絵本の読み聞かせ」は成果があり、息子の英語学習にも確実にプラスに働きました。

英語で育児を成功させるためのポイント

私が失敗から学んだ「英語で育児を成功させるための5つのポイント」を紹介します。これらのポイントを外さなければ、高い確率で英語での育児に成功します。これから挑戦できるお母さんはしっかり読んでください。

英語での語りかけを1~3歳までに始めること

英語学習を始めるのに、年齢制限はありません。しかし、「英語で育児」をしたければ、取り組む年齢は大切なポイントです。

結論から言うと、言葉を話し始める前の1歳から日本語が定着する前の3歳までに始めるのがベストな時期だと思います。日本語がしっかりと身についた後は、子どもは英語を素直に受け入れなくなることは私の例を見れば明らかです。

日本語への悪影響を心配して、小さい子に英語で話しかけることに抵抗を感じるお母さんもいるでしょう。しかし一日10分くらいお母さんが英語で話しかけても、周囲の環境はほぼ日本語です。日本語の発達に悪影響を及ぼすことはないので安心してください。

最も接触時間の長い人が英語で育児を担当すること

私が失敗したのは、「英語の得意な人が担当するべき」という勘違いです。英語で育児をするのなら理想は「最も長時間育児をする人」が英語で話しかけることです。

接触時間が最も長いのがお母さんなら、英語の得手・不得手に関わらずお母さんが担当するのが一番です。仕事をしていて保育園に子どもを預けているのであれば、「英語で保育する施設を利用する」のが一番効果的です。

後述しますが、英語が得意とか不得意とかは、「英語で育児」に関してはあまり関係ありません。なぜなら子どもを相手に話す英語には、難しい単語や文法は不要だからです。

家族にあたたかく見守ってもらう

お母さんが英語で育児をする場合「お父さんにも協力してもらいたい」と思うかもしれませんが無理は禁物です。「これ英語で何ていうか知っているか?」などと知識を試すような質問を子どもにするくらいなら何もしないほうがいいです。

家族に求める協力とは、子どもが英語を話したときに「〇〇ちゃん(くん)、すごいね!」とほめてくれることです。そのような環境なら子どもの英語力は伸びやすいです。

英語絵本の読み聞かせから始めること

まずは英語絵本の読み聞かせから始めましょう。具体的にはこちらの記事「初めての『英語絵本読み聞かせ』完全ガイド」を参考にしてください。子どもの好きそうな絵本を選ぶのは頭を使う作業ですが、子どもを深く理解できて、親子の絆を深められます。
英語絵本

子どもにとってもある日突然、英語で話しかけられるより、「絵本タイム」限定で英語を使うほうが自然な状況です。英語絵本を起点に少しずつ日常会話に広げていくイメージで、すすめていくと良いでしょう。

まずはお母さんが英語を使うこと

まずはお母さんが楽しく積極的に英語を使うことから実践しましょう。大人が楽しそうなことをしていると、自然と子どもは集まってきます。

例えば、大人がおもちを楽しそうにこねていれば、子どもは呼ばなくても見に来て「ボク(ワタシ)にもやらせて!」とせがむはずです。

英語での育児も同様に、お母さんが楽しそうに英語を使えば子どもだってマネしたくなるのです。反対に、眉間にしわを寄せてつまらなさそうに英語を話していたら、子どもは関心を示しません。

以上が「英語で育児を成功させるための5つのポイント」です。生まれたばかりの子どもがいるなら、日々の成長を楽しみにしながら準備をすすめましょう。

子どもにとっての日常の英会話とは

良く使われる「日常会話」という言葉ですが、その意味を深く考えることはほとんどありません。人それぞれに普段使用している言葉は異なるので、「日常会話」の意味はあいまいです。

1歳~3歳の子どもに限定すれば、日常会話とは「お母さんとのやりとり」です。ですから、英語で育児をしたければ「朝起きてから夜寝るまで」お母さんとどのような会話をしているかを知る必要があります。

普段の会話を記録してみる

まず、ノートと鉛筆を用意して、朝から晩まで子どもとどのような会話があったのか記録しましょう。ノートの見開きの左側にどんどん書き込みます。

おはよう。
パジャマ脱いで。
おきがえしようか。
顔を洗おうか。

一度に全部書くのは難しいですが、頑張って記録してください。一日だけでなく数日かけて会話を記録します。おそらく200フレーズくらいになるはずです。

記入後にチェックして同じような表現を一つにまとめます。このようにしてあなたに合ったオーダーメイドの日常会話リストの完成です。

日常会話のほとんどは「あいさつ」「ほめる」「注意」「命令・提案」の4つ

出来上がった日常会話のリストをあらためて眺めると、ほとんどは「あいさつ」「ほめる」「注意」「命令・提案」の4つに分類できることに気がつきます。それぞれの英語の特徴を説明します。

・あいさつ・決まり文句

あいさつや決まり文句はそのまま覚えるしかありません。Good morning. や Sweet dreams.(いい夢見てね)などが該当します。シンプルなものが多いので覚えやすいです。

・ほめる

ほめ方にもいろいろレベルはあります。よく使うものを3つくらい決めておいて、タイミングよく笑顔でいえるように練習しましょう。

Great!
Very good!
Nice!
Excellent!
Amazing!
Incredible!
Perfect!
Fantastic!

ほめるときは「どれだけ感情を込めて伝えるか」がとても大切です。「いいタイミングで、はっきりと伝わるように」ほめてあげましょう。

・注意

Don’t ~. が一般的です。大人は子どもに伝える場合にはPleaseはあまり使いません。言い方によってはきつい叱り方になってしまうので、できるだけやわらかく伝えるのがポイントです。

子どもに対して「~してはだめよ」と伝えたいときには No ~ing. とも言えます。例えば、病院で大声を出していたら No screaming here!(ここで騒いではダメよ)となります。

・命令・提案

命令文は文法的にとてもシンプルです。Wake up! (起きて!) とか Take off your pajamas.(パジャマを脱いで)など使う頻度も高いです。

命令文は主語を考えたり、それに合わせて動詞に-sをつけたりする必要もありません。現在形とか過去形のように時制も考えなくていいので簡単です。

言い方によってはきつく聞こえるので、もし可能なら Let’s~. で伝えると「(いっしょに)~やろう」とか「お母さんも手伝うよ」というニュアンスになりおすすめです。

このようにお母さんと小さい子どもの間の会話は簡単な英語で充分表現できます。それでは日常会話の勉強の仕方を具体的に解説します。

英語の本を買って暗唱する

Amazonで「英語 育児」のキーワードで検索すると、いくつかの書籍がヒットします。おすすめは実際に英語での育児経験のある著者で、CD付きのものです。お母さんとしての体験は貴重なので女性の著者がいいです。

ノートの右側のページに、日本語の日常会話に対応する英語を記入しましょう。多少ニュアンスが違っても気にしないでください。本に載ってない場合は、後回しにしてネットで検索しましょう。

CDは音声データをスマートフォンに移して、いつでもどこでも練習できるようにしましょう。日本語→英語で収録されているので、ブツブツとひとりごとを言いながら音読練習します。必ず声に出して練習してください。

CDの口頭練習は覚えた部分も再生されるので、上達するにしたがってもどかしさを感じます。

そこで、並行してノートの日本語を見ながら、口頭で瞬間英作文をしましょう。1秒で英語にできることを目標にしてください。完全に覚えた文を飛ばせば、時間を有効に使えます。

このようにスマートフォンでの音読練習とノートの瞬間英作文で7割くらいできるようになったら、いよいよ「英語で育児」に挑戦しましょう。

ある日突然、子どもに英語で話しかけるのは照れ臭かったり、戸惑いを感じたりするものです(私でさえそうでした)。こういうときは開き直って、堂々と子どもに英語で接したほうがいい結果を得られます。

毎日5分くらいから始めて、少しずつ時間を伸ばしていきましょう。最初、子どもは「ポカン」としていますが、身振りや手振りを交えながら完全に英語で通して下さい。中途半端な日本語は絶対に使わないと決めましょう。

英語で育児がうまくいかないときのチェックポイント

1か月くらい毎日「英語での育児」を続けられたら立派です。少しずつ結果が出てきた人もいれば、「全然子どもが理解してくれない」と悩むお母さんもいると思います。

育児は教科書どおりにいかないものです。ましてや英語を交えての育児なので、うまくいかなくても全く悩む必要はありません。しかし、成果が出ないとモチベーションが続かないのも事実です。

「結果が今一つ」と感じるお母さんのために、「5つのチェックポイント」を用意しましたので参考にしてください。

英語での語りかけを毎日続けているか

私の失敗の原因を思い出してください。毎日英語で語りかけるのが英語で育児の基本です。「今日は疲れているから」とか「いそがしくてそんな暇はない」といって、英語ゼロの日が続いたりしていませんか?

英語を日常的に使うなら、頑張って話すのではなく、どんな状況でも使い続けることが必要です。日常使う言葉が英語なので、毎日続けることが肝心です。

また、5分と時間を決めていてもそのほとんどが沈黙だったら意味がありません。その時間はほとんど間を空けずに英語でしゃべりつづけてください。

「そんなに英語を話せない」と心配になるかもしれませんが、大丈夫です。一方的にしゃべるのではなく子どもに質問したらどうでしょうか?

お母さん: What’s this?(これ何だ?)
子ども: Lion!(ライオン!)
お母さん: Good!  It’s a lion.  Do you like it?(よくできた! ライオンだね。それ好き?)
子ども: No.(ううん)
お母さん: Oh, you don’t like it.  Me, neither.  I’m scared.(あら、好きじゃないの。お母さんもよ。私怖いのよ)

このようにテンポよく会話をつないでいきます。最初は難しいですが、徐々に慣れてくるので間違いを恐れず英語を使い続けましょう。Yes/Noで答えられる質問よりも、Wh-から始まる質問をしたほうが子どもの英語をより引き出せます。

子どもは英語を楽しいと感じているか

「つまらない」と感じた瞬間に人間の脳はその対象からできるだけ離れるようにプログラムされています。子どもは遠慮せずに、つまらないと思った瞬間に英語を拒絶します。

何の脈絡もなく What color is this? と突然たずねるなど、テストのような質問はしていませんか? このような質問は子どもにとって全然楽しくありません。

一方、絵本に登場するライオンを見て Look at this!  It’s a lion.  What color is his mane?  Is it green or yellow? (これ見て! ライオンだよ。ライオンのたてがみは何色? 緑かな黄色かな?)と質問すれば自然なやりとりになります。

All Englishで出来ているか

ついやってしまいがちなのは、日本語訳を混ぜてしまうやりかたです。「blueは青だよ」と英語と日本語訳をセットで教えていませんか? このようなときは、身の回りの青いものを指で指しながら It’s blue. と繰り返し教えてあげましょう。

名詞だったら指で指してあげればわかりやすいですし、slowlyやquicklyは動作で見せてあげれば子どもは単語の意味を類推できます。「言葉だけで説明しなければならない」と考えるのではなく、身振り手振りをフル活用して教えてあげましょう。

ごほうびはあるか

「ごほうび」といえばとお金やお菓子を連想するかもしれません。しかし、お母さんが喜んだり驚いたりして、子どもとその喜びを共有するだけで充分です。例えば、ネイティブがよくやるのは High five! です。日本語でいう「ハイタッチ」です。

子どもをほめるときに笑顔で High five! といって手と手をパチンと合わせて、喜びを共有します。私は手が当たる瞬間に、わざと髪の毛をかくふりしてタッチをかわして子どもを悔しがらせて遊んでいました。

もう一つのごほうびは、 Hug(抱擁) です。Give me a hug! とお母さんが両手を広げて笑顔でいえば、子どもは喜んでお母さんと抱き合います。どちらかといえば男の子のほうが喜ぶかもしれません。

High five! と Give me a hug! のどちらも効果的なごほうびでなので、ぜひ試してください。

完璧に英語を覚えるまで話さないようにしていないか

子どもには「間違いを恐れず、積極的に英語を話して欲しい」という割には、お母さん本人は間違いを恐れて英語での語りかけに戸惑いを感じていませんか?

CDやノートでの例文の暗唱や瞬間英作文のトレーニングはとても大切です。しかし、完璧になるまで使わないスタンスはいけません。覚えかけの段階でどんどん使っていきましょう。多少間違っても相手は子どもなので気にしていませんし、覚えていません。

言いたくても言えなかったことはメモして、次回は必ずいえるように練習しましょう。実践を通して何度も口頭練習することで、場面や状況にあったフレーズが瞬時に口からでてくるようになります。

英語で育児すると決めたなら、実践を積みながら本やCDで学習したほうが断然効率的です。「暗唱→実践→暗唱→実践」を繰り返すと、自分でも驚くほど英語がスムーズに口から出てくるようになります。

万が一、子どもに何の変化があらわれなかったとしても、お母さん自身の英語力は確実にアップします。無駄なことは何一つありません。しかも、お母さんが英語を身につけた経験は、子どもが大きくなったときに最高のアドバイスになります。

お母さんが英語で話しかけるのが楽しいと感じれば、子どももお母さんとの共通語を身につけようと本能的に感じるものです。ときどき「5つのチェックポイント」を読み返して必要に応じて軌道修正してください。

「英語で育児」に関するよくある質問

日本に住みながら日本人のお母さんが「英語で育児」をする人はごく少数です。周囲に相談する人は少ないので、お母さんの疑問・質問について回答してみます。

日本語に悪影響はないか

結論から言うと、母国語である日本語に悪影響はありません。子どもはお母さんとだけ接触しているわけではありません。お父さんや祖父母、近所の人、公園で遊ぶ同年代の子ども達などに囲まれて生活しています。

お母さんが毎日1時間英語を話しても、子どもの主言語である日本語に大きなインパクトはありません。お母さんだって英語よりも日本語の方が得意だし、日本語を使う時間の方が圧倒的に長いのです。周囲の人はいろいろ言うかもしれませんが、気にしないことです。

不思議なことに子どもは話しかける相手によって言葉を使い分ける能力も備えています。お母さんが英語モードのときは英語で、お父さんがいるときは日本語で話そうとします。国際結婚したカップルの子どもを見ると、相手によって器用に使い分けています。

安心して英語で育児に取り組んでください。

子どもは英語をすぐに忘れるから意味ないのではないか

「子どもの頃に覚えた英語は忘れるのも早い」とはよく言われることです。実際、音声だけで覚えた幼少期の英語は、英語を使わないとすぐに忘れます。

そのような結果をわかっているのなら、英語学習を続けましょう。音だけで学んだ英語を文字で読める学習につなげて(アルファベットやフォニックス)、一人で英語の本を読めるように継続しましょう。

小学生のうちに本格的な児童書(例えば、ロアルド・ダールの『チャーリーとチョコレート工場』)を読めるようになったら、一生忘れない英語力が身につきます。英語での育児だけに満足せずに、その後も楽しく英語学習できるようにサポートしてください。

子どもに難しい英語を使っても大丈夫?

本の例文を見ると Want some milk? のように、日本人にはなじみの薄いsomeのような言葉が使われています。「子どもに文法の説明したほうがいいのかな…」と真面目なお母さんは考えるかもしれません。

また、 The cat looks sleepy. のlooksのような三人称単数現在形のsを見ると「小さい子には理解できないのでは?」と使用をためらう気持ちは理解できます。

しかし、そんなことは気にせず、むしろ積極的に使用しましょう。長い時間をかけて、子どもはどういうときにsomeが必要なのかとか動詞にsがつくのはどういう条件のときかを理解します。

私の息子はインターナショナルスクールのYear 2 から入学しましたが、三単現のsを理解するのに2年弱かかりました。その間、先生も友達も毎日何十回も三単現のsを使用していたはずです。それでもこれだけ時間がかかりました。

同じようにお母さんも「難しいから使わないようにしよう」と思わずに、どんどん自然な英語を使うように心がけてください。子どもに変化があらわれなくても、大きくなったときに文法学習をすればまったく問題ありません。

英語の発音が下手なのでためらっています

英語らしい発音を心がけたり練習したりすることは必要です。聞いている相手に負担をかけないためです。通じる範囲の発音なら気にする必要はありません。

間違った発音を子どもが真似をすることを気にするお母さんもいますが、それも心配ありません。動画サイトやDVDを観たりすれば、ネイティブの本格的な英語を聞くことができるからです。

子どもがなかなか英語を話さない

充分な量と期間、お母さんが子どもに英語で話しかけると、子どもはお母さんの英語を理解するようになります。例えば Turn on the light. と言えば部屋の電気のスイッチを入れてくれるようになります。

これだけでも大変な成果です。まずは、ここまでできたことを認めてほめてあげましょう。

順調にいけば、1~2単語の英語を話すようになりますが、「聞いてわかること」と「英語を話すこと」の間には相当なレベル差があります。時間のかかることは認識する必要がありますが、一つだけコツをお知らせします。

子どもがお母さんに何かをして欲しいときがチャンスです。遊びから帰って来てのどが渇いて「ママ、ジュース飲みたい!」と言ったとします。ここですかさず Say “Orange juice, please.”と教えてあげましょう。

ちゃんと言えたら Very good! とほめて、オレンジジュースをあげるのです。「ボク(ワタシ)の言いたいことが英語で伝わった」体験が、次第に子どものほうから英語を話すことにつながっていきます。

英会話のきっかけをつかめない

子どもとの会話は、目の前の物や状況について話したほうが盛り上がります。例えば、散歩の途中で犬を見つけたとします。 Look!  There is a dog over there! と言えば、子どもの興味を惹きやすいです。

目の前の物や経験と英語を直接結びつけることで、英語を英語のまま理解できるようになります。

まとめ

あなたの周囲には「英語で育児」をしている人は少ないかもしれません。しかし、全国には多くのお母さんがチャレンジしています。子育てブログなどを見れば体験記が見つかるので、そのような情報も参考にしてください。

英語で育児ができるのは一人の子どもにつき一回だけのチャンスです。この貴重な体験に立ち会えるのは接触時間の長いお母さんだけの特権です。プロの英語教師でもお母さん以上の影響力を与えることはできません。

子どもが生まれてから幼稚園に入るまでは、毎日の育児が大変でストレスに感じることも多いと思います。それでも育児しながらお母さんも英語をマスターできるなら、楽しい時間になると思います。

私の失敗体験を参考にして、多くの子どもがお母さんとの英会話を楽しんでくれたらこんなにうれしいことはありません。もし、私と同様にうまくいかなくても「もう子どもは英語を話せない」などと悲観しないようにしましょう。

英会話教室などを利用しながら定期的に英語に触れるようにしていけば、子どもが英語好きになるチャンスはいくらでもあります。

ある程度字が読めるようになったら、動画を見ながら4技能を磨きましょう。

子どもの英語学習にオススメ「英語絵本読み聞かせ」完全ガイド

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先日、本棚の整理をしているとき、息子が幼稚園のころに読んでいた英語の絵本を見つけたことがあります。私が何度も読み聞かせした本で、厚紙でできているのにボロボロの状態でした。

懐かしくなりページをめくっていると、息子に英語を教え始めたときの記憶がよみがえってきました。今では英語が得意になった息子ですが、その原点は私が取り組んだ「英語絵本の読み聞かせ」にあったのだと思います。

ふり返ると、英語絵本の読み聞かせには「大きな効果」があったと確信しています。これから「子どもの英語教育を始めたい」と考えているお母さんにも、ぜひ絵本の読み聞かせに挑戦して欲しいです。

以下、初心者でも安心して取り組めるようにノウハウをまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。

英語絵本の読み聞かせで得られる3つの効果とは

我が家では、息子が3歳のときに初めて英語の絵本を与えました。以降、小学校入学までの数年間、いっしょに絵本を読む毎日を送っていました。この経験から、英語絵本の読み聞かせには「3つの効果」があったと確信しています。

  • 日常生活に英語を取り入れることができる
  • 英語の定着とボキャブラリーの増強が自然にできる
  • 英語絵本を通じて親子のきずなを深めることができる

それでは「3つの効果」について順番に解説していきます。
英語絵本

英語の絵本があれば日常生活に英語を取り入れることができる

まずは、私の恥ずかしい失敗談を紹介します。

息子に英語教育を始めようと思い立ったある朝のこと。ふとんで寝ていた息子に“Good morning!  It’s time to wake up.”(おはよう。もう起きる時間だよ)と英語で話しかけました。息子はけげんな顔をしてから突然起きあがり、母親の方へ走って逃げていきました。

突然父親がわけのわからない言葉を話し始めて、息子は薄気味悪かったのでしょう。英語教育の出鼻をくじかれて、私は「きっかけ作りに失敗した」と苦笑いするしかありませんでした。

そこで取り入れたのが「英語絵本の読み聞かせ」です。時間があるときに日本語の絵本を読んであげていたので、その中に英語の絵本を少しずつ混ぜていったのです。

結果的にはこれが功を奏しました。本読みタイムの中に英語を組み込むことができたのです。朝、突然英語で話しかけるような不自然さはまったくありません。ごく自然に、日常生活の中に英語を取り入れることに成功したのです。

1年くらい経ったころ、再び“Good morning!  It’s time to wake up.”を試しました。すると驚いたことに、日本語で「まだ眠いよ」と正しく反応していました。英語を聞いて逃げて行ったときから比べると、大きな成長です。

絵本を活用することで、英語を日常生活に取り入れることができます。これは、英語教育の初めの一歩としては大きな効果です。

英語の定着とボキャブラリーの増強が英語絵本で自然にできる

「小さい頃、海外に住んでいて英語を話していたのに、帰国したらすぐに英語を話せなくなった」という話をよく聞きます。帰国したら英語は「必要ない言語」として認識されるので、日常生活で英語に触れなければ当然忘れてしまいます。

一方で、「英語の本を読める子どもは、帰国後も英語力を維持したり、さらに伸ばしたりすることができる」という話もあります。要するに、音声だけで習得した言語は忘れやすく、読書ができるレベルに到達した言語は忘れにくいのです。

幼児向けの英会話教室では、子ども達は楽しい歌やゲームをしながら英語を学びます。しかし、「しばらくするとほとんど覚えていない」という問題が発生することがあります。これを防ぐためにも家庭での英語絵本の読み聞かせは非常に効果的です。

また、絵本を読む習慣はその後の「本格的な読書習慣」へとつながります。本格的な読書習慣が身につくと、英語のボキャブラリー(語彙)は文字通り爆発的に増えていきます。

「小学生で英検準1級を取得した」というニュースをたまに見かけます。詳しく記事を読むと、ほとんど例外なく大量の読書によって高度なボキャブラリーを習得しています。

このように、幼児期の英語の絵本には英語の定着を促す効果があります。そして、将来英語のボキャブラリーを爆発的に増やすための基礎となる読書習慣を身につけることができます。

英語絵本を通じて親子のきずなを深めることができる

初めのうちは、英語の絵本を5冊買ったらそのうちの2冊くらいにしか興味をしめしません。親が子どもの好みを充分に把握できていないことが最大の原因です。

男の子だからと思って、乗り物が主人公の絵本を買ってきてもそっぽを向かれることはよくあります。逆に、なにげなしに読んだ恐竜の絵本に、びっくりするほど食いついてくることもあります。

絵本は安くありません。無駄にしないためにも、親は一生懸命子どもの好みを理解しようと努めます。やさしい色づかいが好きなのか、派手な色がちりばめられたほうが喜ぶのか、などと注文するときに必死に考えます。

言葉が足りない幼児の好みを探るには、根気が必要です。しかし、このような試行錯誤を繰り返していくうちに、親子のギャップは確実に狭まります。1年くらい経つと、かなりの高確率で子どもが喜ぶ絵本を選ぶことができます。

このように、英語の絵本選びを通じて、親子のきずなを深めることができます。これも、読み聞かせの大きな効果のひとつなのです。

ここまで「日常生活に英語を取り入れることができる」「英語の定着とボキャブラリーの増強が自然にできる」「英語絵本を通じて親子のきずなを深めることができる」の3つの効果について説明しました。

慣れない英語での絵本の読み聞かせは大変です。しかし、あせらず、楽しみながら続けることで、このような効果を確実に得られます。英語絵本の読み聞かせには、挑戦する価値が充分にあるのです。

英語絵本の選び方

ここでは英語絵本の購入方法について説明します。実際に手に取って選びたいところですが、一部の大型書店(丸善・紀伊國屋書店・ジュンク堂など)でないと子ども向けの洋書がそろっていません。毎回そこまで足を運ぶのは大変です。

そのような場合はAmazonなどでネット注文するのが一般的です。ここでは「Amazonで2歳児用の絵本を探す」という場面を想定して購入方法を説明していきます。

Amazonで人気の英語絵本購入方法

Amazonでの購入方法は、次のような手順となります。

  • アマゾンのトップ画面のカテゴリから「本・コミック・雑誌&Audible」>洋書を選択

  • ジャンルの中から「Children’s Books(児童書)」を選択

amazon_洋書

  • 絞り込みのLanguage(言語)から英語(English)にチェックを入れる

Amazon_英語

  • カテゴリのAge RangeからBaby-2を選択

Amazon_age

初めての場合、子どもの好みがまだわかりません。とりあえず、カスタマーレビューの数が多く、ベストセラーになっているなかから数冊選んでみましょう。

Amazon_英語絵本

「ボードブック」と書いてある本は、すべてのページが厚紙でできています。小さい子どもは力の加減ができないので、普通の紙だとすぐに破けてしまいます。この点において、ボードブックは丈夫で安心です。

初めのうちは、絵が大きくハッキリとしているものが子の興味を惹きやすいです。また、ロングセラーになっている絵本は、リズムよく読めて繰り返しの表現が多く、子どもの記憶に残りやすいのでおすすめです。

半年ほどで徐々に子どもが好きそうな絵や色づかい、親子ともに楽しめる内容がわかるようになります。お気に入りの作家で揃えてみるのもおすすめです。

CD付きやタッチペン付きの英語絵本の活用法

英語の絵本には朗読が収録されたCDが付属しているものがあります。また、タッチペンで単語をなぞると音声が出てくるものもあります。ネイティブによる「正しい音声」が聞けますが、これらに頼り過ぎてはいけません。

私の経験上、子どもにとって最高の読み手は親です。それは親の声こそが最も記憶に残るように、子どもの脳がプログラムされているからです。たとえネイティブのように上手に読めなかったとしても、まったく問題ないのです。

普段はお母さんやお父さんが英語の読み聞かせをしてあげてください。そのうえで、CDの上手な活用法を紹介します。

例えば、車に乗ったときに音声CDを聞くのは効果的です。聞きなれた親の英語と異なる「本格的な英語」を耳にするので、最初は戸惑うかもしれません。

しかし慣れてくると、他の人の英語も理解するようになります。これがリスニング力の向上につながります。内容は何回も読んでいるものなので、英語のまま理解することができます。

ついでにお母さんも、オーバーラッピング(音声と同時に音読する練習)やシャドーイング(音声から数語遅れて追いかけて音読する練習)をしましょう。運転中に少し練習するだけでお母さんの英語力も上達します。

子ども向け「おすすめの英語絵本」について

私なりに「おすすめの英語絵本」はたくさんあるのですが、ここでは紹介しません。理由は、あれこれ無駄な買い物をしながら、一生懸命に子どもの好みを考える大切な機会を奪ってしまうからです。

どうしても参考にしたい場合は、インターネットの英語育児ブログなどで「おすすめの英語の絵本」がたくさん紹介されています。でもそれらはあくまでもその家の子どもが気に入った本であり、あなたの子どもが気に入るとは限りません。

英語の絵本はだいたい1,000円~2,000円くらいするので、子どもが気に入らないと親はがっかりします。しかし「せっかく買ったのだから」と無理に読ませてもいい結果につながらないので、そういうときはあきらめて欲しい人に譲りましょう。

子どもの心をギュッとつかむ「英語絵本の読み聞かせ」方法

上述のとおり、私は数年間、息子に英語絵本を読み聞かせしていました。その経験をもとに、最も子どもの心をつかめた読み方を紹介します。専門家からみるとダメなところ満載でしょうが、理屈よりも結果が大切であると感じています。

親・子ども・英語絵本の位置

大勢の前で読むときは、子ども達と向かい合うようにして本を読むのが普通です。しかし、自分の子どもに読むときは下の2枚の写真のような位置関係が理想です。

写真1「読み聞かせ(ヒザの上)」

写真1

写真1は、「子どもが親のひざの上に座る」パターンです。小さい子どもはこのポジションが大好きです。体が大きくなると子どもの頭が視野をさえぎるので、お母さんが本を読みにくくなるのが難点です。

写真2「読み聞かせ(となり)」

写真2

写真2は、「子どものとなりに親が座り、二人の中央に本を置く」パターンです。子どもの身体が大きくなってもこれなら大丈夫です。ただし、大人は長時間読むと足がしびれたり肩が凝ったりすることがあります。

私が読み聞かせするときに気をつけていたのは、「ページを子どもにめくらせる」ことと「読んでいるところを指でなぞる」の2つです。

「ページを子どもにめくらせる」役割を与えるだけで、子どもは喜びます。親子の息が合ってくると、ちょうどいいタイミングで子どもはページをめくるようになります。子どもに役割を与えることによって、読み聞かせはいっそう楽しくなります。

「読んでいるところを指でなぞる」のは、「今声に出して読んでいるところはここですよ」と教えるためです。しばらくすると知っている単語のところは自分で声に出して読むようになります。

他人に見られたら恥ずかしいくらいのノリで英語を読む

絵本の読み方について書かれたインターネットサイトを見ると、「子どもの想像力を狭めるような抑揚をつけた読み方はダメ」とアドバイスされています。専門家の意見は正しいかもしれませんが、これだと私自身が楽しくありません。実際、私はこれでもかというほど抑揚をつけて読んでいました。

擬音語も多用しました。本文に書いてなくても、動物が登場したら「ワンワン!」と鳴き声のマネをしたり、車が出てきたら「ブーン」とエンジンの効果音をつけたりしました。

さらに、英語の上達とはまったく関係ないことも取り入れました。楽しく読むために、アクションやスキンシップを組み合わせたのです。

例えば、“hen”(オンドリ)が出てきたら「コッコッコッ」と言いながら手でクチバシのマネをして、子どものお尻やお腹を突っつきます。子どもは逃げ回るので、ケガをしない程度に追いかけます。

そのうち、次のページをめくると「突っつかれる」とわかるので、逃げる準備をしながらめくるようになります。しばらくすると、ニヤニヤしながら「その本を読んで欲しい」と持ってくるので、実は子どもは喜んでいたはずです。

正直、仕事や日々の雑用で疲れていると、読み聞かせが負担に感じることもあります。でも、いろいろな工夫によって親子で盛り上がるようにしておくと、続ける原動力になるので無理のない範囲で取り入れてみてください。

一つの英語絵本から横に展開する:日常生活と結び付けよう

「横に展開する」とは、絵本の中に出てきた単語やフレーズを現実の世界でも使ってみたり、他の絵本の中で見つけてみたりすることです。

例えば、『Excuse Me!』という英語の絵本があります。その絵本では、“You burped!”(ゲップをしたよ)、“What do you say?”(なんていうのかな?)、“EXCUSE ME!”(失礼!)というパターンで話が展開されます。

これを現実の世界に応用するのです。食事中息子がゲップをしたとき、すかさず“What do you say?”と語りかけたことがあります。息子は「ああ、あのことか」と勘づき、“Excuse me!”と返事をしていました。

このようなやり取りは、絵本の読書体験を共有しているからこそできる芸当です。これを繰り返すことで、絵本の言葉が現実の世界とつながり忘れにくくなります。すぐに忘れてしまう英語ではなく、いつまでも覚えられる英語に変わるのです。

子どもの心をギュッとつかむ「英語絵本の読み聞かせ」方法はこれで終わりです。これらを意識して続けると、子どもは好きな英語の本を持ってくるようになります。これは子どもの心をつかめたサインなので、気持ちよく読んであげましょう。

絵本を卒業したら、動画サイトで本格的な英語学習をスタートしましょう。

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英語絵本読み聞かせQ&A

「英語絵本の読み聞かせ」に初めて挑戦するお母さんからのよくある質問に回答します。

親の英語が下手なので、子どもの英語に悪影響を及ぼさないでしょうか?

できれば流ちょうな英語で子どもに絵本を読んであげたい、という気持ちはわかります。しかし、そんなことを考えているといつまでたっても始めることができません。

英語の発音のポイントは、日本語にない音を意識することです。それだけでだいぶうまくなります。動画サイトなどで「英語 発音 トレーニング」のように検索すれば、参考になる動画が見られます。そのような動画を参考にして、この機会に少し練習してみるといいでしょう。

例えば、th(舌を上下の歯に挟んで空気を出す)とs(閉じた歯のすき間から空気を出す)を使い分けるとか、sh(静かにさせるときの「シー」に近い音)とsを使い分けるなどいくつかのポイントをおさえるだけで、英語っぽく聞こえます。

たとえ親の間違った発音を覚えてしまったとしても、その後修正する機会はいくらでもあります。付属のCDを車の中で聞いてもいいですし、英会話教室などに通う機会があったら講師の人に教えてもらえます。すべての責任を一人で負う必要はありません。

意味が分からない英単語は調べたほうがいいですか?

「気になって気持ちが悪い」と感じるなら、さっさと辞書で調べて発音と意味をチェックしたほうがすっきりします。子ども用の絵本なので、何十個も未知の単語が出てくることはありません。

ただし、絵本の文章の意味がすべて理解できるわけではありません。というのは、絵本ではrhyme(韻)を踏むために意味よりも語呂を優先させることがあり、ナンセンスな文がしばしば登場するからです。

このような文章に出会ったら、「そういうものだ」とおおらかな気持ちで受け入れるくらいでちょうどいいのです。

英語の絵本は何歳くらいから与えるのがいいですか?

言葉を話し出すのが2歳くらいからなので、そのころから少しずつ与えていっていいです。日本語もほとんど話せない時期なので、大きくカラフルな絵が描かれた絵本がおすすめです。

最初は子どもの語彙の増え方はゆっくりです。もどかしさを感じることもあるかもしれませんが、絶対にあせってはいけません。少しずつ、楽しみながら続けることが大切です。

いつになったら子どもは自分で絵本を読めるようになりますか?

自分で読めるようになるまでの時間は、英語に触れている時間や環境に大きく左右されます。しかし、いつか必ず読めるようになります。

私の息子の場合は、幼稚園の間はひとりで読めませんでした。文中に出てくる単語やフレーズを声に出して読む程度でした。

英文を一人で読めるようになったのは小学校に入ってからで、そのときには絵本は卒業していました。振り返ってみればたいした時間ではないのですが、その当時は「なかなか英語が読めるようにならないなあ」とちょっと心配したものです。

個人差があるので「いつ」とは断言できませんが、そのうち必ずひとりで読めるようになります。

子どものころの英語はすぐに忘れるから意味がないのでは?

たしかに子どものころに覚えた細かいことは、大人になると忘れがちです。しかし、だからといってその経験は無駄ではないはずです。

幼稚園で毎日何を習ったかと聞かれれれば、ほとんどの大人は覚えていません。では、幼稚園での経験や学習はすべて無駄だったのでしょうか? そんなことはありません。

ハッキリとした記憶としては残っていなくても、その後の学習の基礎として大切な何かを学んでいるからです。英語に関しても同じで、「英語を知ると絵本の世界が広がった」というたった一つの成功経験から、その後の人生がまったく違ったものになるはずです。

冒頭の話に戻りますが、本棚から出てきた6年前の絵本を9歳になった息子に見せました。すると「ああ、これ全部覚えているよ」と大まかなストーリーを語り出したのです。当時、英語は読めなかったはずなのに、ほとんど理解していたことを知り驚きました。

あらゆることに当てはまりますが、「人生で無駄な経験は何一つない」といえます。

まとめ

育児をしていて子どもの成長に感動する瞬間が何度もあります。初めて歩いたときのことは親なら誰でも覚えていることでしょう。

同様に英語絵本の読み聞かせをしていると、「小さい感動」を感じることができます。絵本で出てきた英単語を読めたり、絵本のフレーズを日常生活の絶好のタイミングで使えたりしたときは、続けてよかったなと心底思いました。

正直、10分程度のわずかな時間であっても子どものために英語の絵本を読んであげることは大変です。しかし、そんなことをしてあげられる時間はあっという間に過ぎます。後から振り返ると、かけがえのない貴重な時期だったことがわかります。

子どもがお気に入りの英語の絵本を手に取って「読んで欲しい」と持ってきたら、それだけでお母さんの読み聞かせは大成功です。

小学生になると絵本を卒業します。英語を忘れてしまう前に、英会話スクールなどを利用してそのまま英語学習につなげていきましょう。「英語は楽しい」という感情を持ち続ける限り、子どもは英語を学び続けます。