「子どもの英会話教室はたくさんあるけれど、一体どれを選んだらよいのかわからない」という悩みは私の周りのお母さんからよく聞きます。我が家でも子どもが幼稚園の頃、英会話教室を探したことがありその気持ちはよくわかります。
当時、手当たり次第に体験レッスンを受けさせましたが、効率が悪かったと反省しています。やはり事前に英語教室の決め方・選び方に関して「基準」を持っておくことが大切です。
今まさに英会話教室選びで悩んでいるお母さんのために、現役の子ども英会話教室のA先生にインタビューしました。A先生は私の妻の友人で、教室の宣伝とは一切関係なく承諾していただけました。
A先生は現在、自分の英会話教室を経営されながら、小学校で導入された英語の授業の講師としても活躍されています。ご自身は大学時代カナダに留学経験があります。
名前や場所を非公開にすることを条件に、インタビューに応じていただけました。これから子どもの英語教室を探しているお母さんの参考になるように、次のポイントについて詳しく話をうかがいました。
・子どもの英会話教室の選び方について
・子どもの英語力を伸ばす方法は何か
インタビューでは、長年の経験に裏付けされた貴重な意見を聞くことができました。これから子どものために英会話教室を探そうとしているお母さんにとって役立つ情報が満載です。
*インタビュアー(私)は管理人と表記します。
子どもの英語教育はいつから始めるのが正解か
・管理人
それでは、よろしくお願いします。はじめに「子どもの英語教育はいつから始めたらいいのか」について教えていただけますか。一部の意見では「小さい頃の英会話は無駄」という話を聞きます。それについてはどう考えていますか。
・A先生
はい、まず3歳以降なら無駄になることはありません。英語学習の開始年齢については、私は何歳から始めても大丈夫だと思います。
ただ、幼稚園から始めた子どもは英語の音に強くなる傾向があります。具体的には、リスニング力が高く、強く発音されない「複数形のs」をしっかりと聞き取ることができます。
小学6年生から始めた子どもでも、「中学校に入る前に英語を好きになれてよかった」と言ってくれています。だから何歳から始めても無駄になったり手遅れになったりすることはありません。
・管理人
音だけで学んだ英語は忘れやすい特徴があります。文字(リーディング・ライティング)を学習に取り入れていくのは何歳くらいからですか。
・A先生
年齢に応じて英語へのアプローチを変えるのは当然です。
私の教室では幼稚園までは読み書きはほとんどしません。アルファベットを見て認識できる程度です。小学1年生でアルファベットを仕上げ、歌いながらフォニックスの基本を身につけます。3文字の単語(web, top, cupなど)は1年生のうちに読めるようになります。
・管理人
文法に関しては小学校5年生くらいにならないと理解は難しいと思います。こちらの教室では英文法をどのように扱っていますか。
・A先生
そうですね。中学校と違っていきなり過去形も現在形も三人称単数現在形のsも混在するテキストを読みます。文法は大雑把な理解を目指しています。小学4年生くらいまでの子どもには「完璧な理解をしないと気持ちが悪い」という感覚はあまりありません。
5年生以上で文法に関して「なぜ」と質問をしてきた子どもには、個別に説明をします。中学校で文法の授業を受けて「ああ、そうだったんだ」と納得できればいいのではないでしょうか。
やはり中学入学前までに英語を始める意義は「英語を好きになる」ことに尽きます。これができなければ子どもに英語教育をする意味はありません。
・管理人
小学校高学年になると照れ臭さから英語の歌を歌わなくなったりゲームに積極的に参加しなくなったりする傾向があります。A先生はどのように対処されていますか。
・A先生
それはよくあります。特に親の参観日は、普段は無邪気に参加しているのに急に大人しくなる子どもは多いです。そういうときに無理強いはしません。本心は楽しいけれど、親を意識して関心がないふりをしているだけだとわかっていますから。
・管理人
小学校高学年から入ってきた子どもが、英語らしい発音をするのに抵抗を示すことはありませんか。
・A先生
ありません。小さい頃から英語を始めた子ども達に囲まれると、「自分も同じように発音しなくては」と意識するようです。英語らしい発音をすることには抵抗は感じていません。
もし周囲が日本語っぽい英語しか話していなければ、英語らしい発音をすることに抵抗を感じるかもしれません。
・管理人
興味深い話です。英語に対する恥ずかしさではなく、周りのクラスメイトと同じようにするという意識のほうが強いようですね。英語が得意な子どもに囲まれたほうが上達も早くなるのでしょう。
これは英会話教室に通わせる大きなメリットかもしれませんね。習熟度別のクラスではなく、あえて英語が得意な仲間に囲まれてみるのも刺激になっていいのかもしれません。
子どもの英語教室の決め方・選び方
・管理人
では、子どもの英語教室の選び方についてお伺いします。もしAさんが自分の子どもをこれから英語教室に通わせたいとき、どのようなポイントに注目しますか。
・A先生
体験レッスンを通じて、お母さんもお子さんも両方が「ここがいい」と感じるところが理想です。
・管理人
かつて私の子どもを英会話教室に入れたとき、大泣きで最初の2回くらいはレッスンにならなかったことがありました。けれども、先生が根気よく対応してくれて徐々に楽しく通うようになりました。
私は無理矢理通わせてしまいましたが、最初に親子で意見が一致しないときはどうしたらいいでしょうか。
・A先生
それは大変でしたね。私の教室でも泣き続けて体験レッスンにならなかったことがあります。そのときに大切なのは、先生がどのような対応をしてくれたかを観察することです。
トラブルがあるほうが先生の実力が見えます。根気よく楽しませようとしてくれる先生なら、しばらくすれば子どもは楽しく通えるのではないでしょうか。
・管理人
では、大手の英会話教室と小規模の教室のそれぞれの長所と短所について教えてください。
・A先生
大手の英会話教室は、教材が研究され尽くされているところがいいと思います。個人で経営しているところは、その先生の考えや実力がすべてなので当たり外れが大きくなるかもしれません。
・管理人
英語が苦手なお母さんでも判断できる英会話教室選びの基準はありますか。
・A先生
先ほどの話と重複するかもしれませんが、先生のとっさのときの対応力を見るべきだと思います。レッスンにはマニュアルがあります。しかし、子どもが想定どおりに答えなかったり機嫌が悪かったりするときに、先生がどのように対応するかはとても大切です。
マニュアル通りに進まなくても機転を利かせて、レッスンを進められる先生は頼れると思います。英語力も大切ですが、講師の人間力はもっと大切です。
英会話教室を選ぶときの注意点:月謝・振替授業の有無・教室の場所
・管理人
先生の能力以外に、子どもの英会話教室について確認しておくべきポイントはどんなことでしょうか。
・A先生
振替授業に対応してもらえるかどうかは大切です。子どもは体調を崩すことも多く、振替ができないと授業料が無駄になってしまいます。
月謝と教材費、初期費用や施設使用料などもきちんと確認しておきましょう。月謝だけを比較してもトータルで比べないと、きちんと比較したことになりません。もっと正確に比較するなら、年間の授業回数を確認して「授業1回あたりのコスト」で比較することが大切です。
車で送迎する必要があるときは、駐車場や車を一時停車できるかどうかも確認したほうがいいでしょう。自転車で通うなら駐輪場の確認も必要です。
英会話教室には設置場所によって2つのタイプに分かれます。私のように個人宅で開いている教室と、大規模な商業施設の中の教室です。商業施設の中にあれば子どものレッスン中、お母さんは買い物ができるので時間を有効利用できるかもしれません。
ただし、同じレッスン内容でもテナント料の違いにより月謝は数千円高くなるのが普通です。私の教室では月謝が6千円なので、同じ内容でも商業施設内の教室だと月謝は8千円です。年間で考えると結構な違いになります。
日本人講師と外国人講師のメリットとデメリット
・管理人
では、日本人講師と外国人(ネイティブ)講師のそれぞれのメリットとデメリットについて教えてください。子どもを英会話教室に通わせるとき、どちらの講師のほうがいいのでしょうか。
・A先生
日本人講師の最大のメリットは、日本人が苦手なポイントをすべて理解しているところです。また、例えば子どもが泣いているときでもその原因がすぐにわかり対応できるので、レッスンが停滞することがほとんどありません。
子どもの学習状況について、お母さんとのやりとりに関しても細かい情報交換が可能です。
一方で、外国人講師に教えてもらうメリットもあります。例えば、子ども達は肌や目の色が異なる人とも抵抗なく接するようになります。外国人に対する恐怖感は確実に減ります。
英会話教室に通って、どれくらい子どもは英語ができるようになるか
・管理人
英会話教室に子どもを通わせれば費用が発生します。そうなると気になるのが「効果」です。例えば、小学1年生から週1回の英会話教室に通った場合、子どもの英語力はどのように向上していくのかについて教えていただけますか。
・A先生
1年でアルファベットの大文字が書けるようになります。小文字はbとdが逆になったりして、完璧に書けるようにはなかなかなりません。単語に関しては、基礎的な食べ物や動物の単語を覚えます。ただし、すべて音声での理解であり文字が読めるわけではありません。
小学2年生になると、アルファベットは小文字もすべて書けるようになります。単語も3文字の単語なら書けます。リーディングも短い単語なら声に出して読めるようになります。
小学3年生では、接続詞(and, but, when, ifなど)があっても簡単な英文なら読めます。この時期から英検5級にチャレンジできます。これが小学3年生用の教材です(管理人に見せる)。
・管理人
(教材を見ながら)want to doとかHe likes …とか結構難しい英語を理解できるんですね。では、小学6年生から英語を習い始めたら1年でどれくらいのレベルに到達できますか。
・A先生
小学5・6年生で英語を始めれば1年で英検5級にチャレンジできます。ただし、先ほどもお話したとおり、音声面(リスニング・発音)は小さい頃から始めた子どものほうが一般的に有利です。年齢が高くなるほど、文字認識の力が強くなりますね。
週一回のレッスンでも英語が伸びる子の特徴
・管理人
同じように英語教室に通っていても、英語力が伸びる子どもとそうでない子どもがいると思うのですが、何が違うと思いますか。
・A先生
ズバリ、親です。主にはお母さんです。レッスンは週1回しかありません。私の教室では毎日5分の家庭学習をするようにお願いしています。お母さんの協力がなければ、子どもは英語学習を習慣化することはできません。
・管理人
お母さん自身の英語力と子どもの英語力は関係ありますか。
・A先生
まったく関係ありません。やる気を起こさせるような声掛けをしてくれるだけでいいのです。頑張ったらほめてあげることです。これだけで子どもは英語に前向きに取り組むようになります。
私の教室で、子どもの送迎をお父さんがしている方がいます。そのお父さんは、教室に来ると簡単な英語で子どもに話しかけてくれます。英語を話す雰囲気を教室に来る前から作ってくれているので、私もやりやすいし子どもの英語力もどんどん伸びています。
・管理人
学習者本人である子どもの性格についてはどうでしょうか。英語が伸びる子どもはどのようなタイプでしょうか。
・A先生
以前、同じ学年でほぼ同時に入学した男の子二人がいました。一人はよくできる子で、もう一人はそそっかしくて単語をいつも間違えてばかりいました。
しばらくすると間違えてばかりいた子どもの英語力が急激に伸びて、もともとできる子を抜かしてしまいました。お母さんに確認すると、家で毎日時間をかけて一生懸命英語学習を続けていたようです。おそらくお母さんの励ましがあったと推測します。
・管理人
確かに英語の習得までは長い時間が必要なので、粘り強さは絶対に必要ですね。お母さんがほめたり励ましたりしながら、子どもに継続させるのが大切です。
ほめられながら学習を続けると結果が出る。それについてまたお母さんからほめられるとますますやる気になるという好循環が作れるのが理想的ですね。
本日は、長時間のインタビューをありがとうございました。
まとめ
A先生の人柄が暖かく、安心して子どもを任せられる感じが伝わってきました。インターネット全盛の時代であっても、リアルな教室では同年代の子ども達から刺激を受けられるのがメリットです。共に学ぶ仲間は貴重です。
印象的だったのは、子どもの英語教育に関してお母さんの役割がとても大きいことでした。子どもが前向きに取り組めるようなポジティブな声掛けをすることで子どもの英語力は飛躍的に伸びます。
子どもの英語教育の究極の目標は「英語は楽しいと思えること」です。これが達成できれば、子どもの英語教育は大成功です。このことを忘れずに、子どもに合った英語教室を選びましょう。