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これだけは知っておきたい! 「子どもの英語を伸ばす」接し方

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子どもの英語力に影響を与えるものはいろいろとあります。その中でもとりわけ「お母さんの子どもへの接し方」は影響力が大きいように感じます。なぜなら、普段最も長い時間子どもと接している人だからです。

中途半端な知識で子どもに無理やり英語を強制しては、子どもの英語力はすぐに頭打ちになるでしょう。しかし、まったく放任状態ではいつまでたっても英語を学ぶ習慣は身につきません。

今回は年齢層別に子どもの特徴を取り上げ、それに即したお母さんの接し方についてまとめました。私が実体験から学んだことなので、机上の空論ではありません。中学生以降、子どもの英語力が爆発的に向上するように正しくサポートしてあげましょう。

幼稚園~小学1・2年生へのサポート

小学校に入学しランドセル姿の子どもを見ると「ずいぶんと成長したな」と感じます。しかしながら、英語学習の観点からは小学校の低学年(1・2年生)は幼児とあまり変わりません。

この年齢までの子ども達の特性は大人とはかなり異なります。その点を理解してお母さんが接すると、上手に英語学習を始められます。

この年齢の子どもは、文字の読み書きは一般的に苦手です。このため、無理やり英語の本を読ませたり、ワークブックに取り組ませたりするのは逆効果です。もちろん個人差が大きいので、文字に興味を持ち始めたら少しずつ与えるのは大丈夫です。

子どもはおもしろそうなものには自然と惹きつけられます。反対に、関心がないものには一切取り組みません。大人のように「将来役に立つから」とか「教養のため」という理由で我慢しません。

あなたに覚えておいてほしいのは、「英語を使って楽しませる」ことです。

私は「英語絵本の読み聞かせ」をおすすめしています。これは「英語を使って楽しい話をお母さんと笑いながら読めるから」です。勉強の概念を持ち込まずに、英語に触れられる点で絵本の読み聞かせはとても優れています。

音に強い特性を活用して、勉強を意識させない

この時期の子どもが有利なのは、「恥ずかしがらずに英語の音をまねしようとする」特性があるからです。初めて英語を習う中学生に“th”(舌先を上下の歯の間に挟み空気を出す音)の発音を教えても、積極的にまねしようとはしません。「照れ臭さ」があるからです。

この点は幼児~小学1・2年生までの子どもには「抵抗感」がありません。「これ、上手にできるかな?」と促すとすぐにチャレンジします。英語の発音に関しては理屈よりも実践が大切です。小さい子どもが短期間で発音が上達するのはこれが理由です。

お母さんにできる具体的なこととして、「英語絵本の読み聞かせ」が最も取り組みやすいです。盛り上がる部分をお母さんが楽しく読んであげると、そのうち子どもは自分からまねして声を出して読み始めます。

発音を気にして読み聞かせに消極的なお母さんもいますが、これから多くの人の発音を聞く機会があるので心配しないでください。完璧に正しく読める人などいないので、できる範囲で頑張れば充分です。

このように絵本の読み聞かせを通して、英語に楽しみながら触れさせるようにしましょう。短い単語やセンテンスをまねするまで持っていければ、この年齢での英語教育は充分成功です。

結果をすぐに求めない

毎日絵本の読み聞かせをしても、「なかなか子どもが英語を声に出さない」と感じることもあります。見た目には子どもに変化がなくても、頭の内部で変化は蓄積されています。

だから結果をすぐに求めないで、半年~1年程度は待つようにしてください。長すぎると感じるかもしれませんが、日本語を話し始めるまでにも同じ時間がかかったはずです。

実は私も子どもに絵本の読み聞かせをしていて、子どもが英語を口にせずじれったく感じた時期がありました。子どもは絵本は好きだったので、私のところに「読んで」と持ってきます。私も楽しかったので、ときどき新しい本を買い足しました。

8か月くらい経った頃から、次のページをめくる前に子どもが英語を自分で読み始めました。文字を読んでいるというよりも、私の英語を耳で覚えていたようです。絵本の最も盛り上がるところは子どもの順番になり、ますます絵本が好きになったようでした。

変化が起きるまで待つのは大変ですが、「英語のため」と考えずに「親子で読書を楽しむ」程度に気楽に考えたほうが長く続けられます。

子ども自ら興味をもつように仕向ける

子どもに英語を「勉強」として押し付けるのは最悪です。反対に、何もせずに放ったらかしではいつまでたっても子どもは英語に興味を持つこともありません。やはりお母さんが「仕掛け」を作ることで、子どもが自分から英語に触れようと仕向けなければいけません。

リビングに一冊も本がない家庭と本棚に子どもが読みそうな本がたくさん並べてある家庭では、どちらが本好きの子どもが育つかといえば当然後者です。環境を提供するのがお母さんの役割です。

私は子どもに英語での読書を強制したことはありません。ただし、いろいろと策を講じました。例えば、新しく英語絵本を買ったときのことです。子どもがおもちゃで遊んでいる横で、その絵本を私が一生懸命読みます。

しばらくすると子どもは「それ、何?」と近づいてきます。「今お父さんが読んでいるから、あとでね」ともったいぶります。「僕も読みたいよ」とせがんだところで、「じゃあ一緒に読もうか?」と自然に読書につなげることができます。

このように子どもの意志で英語に触れるように策を講じるのが、英語好きな子どもを育てるコツです。

幼児~小学1・2年生は自分の意志で選んだおもしろそうなことには夢中になります。文字を書いたり読んだりするのはまだ苦手なので、無理にワークブックに取り組ませるのはやめたほうがいいです。

絵本の読み聞かせを中心に据えながら、子どもが自分の意志で英語に触れるように「仕掛け」を張り巡らせてください。

小学3年生へのサポート

小学校の先生の間では常識である「小3の壁」があります。それまでは幼稚園の延長だった学習内容が、小学3年生から一気に「小学校の勉強」へとレベルアップすることを指します。

もし、小学2年生と3年生の国語の教科書を見比べる機会があったら、ぜひ確認してみてください。文字の量や語彙レベルなど「小3の壁」を実感できるはずです。

しかし、この時期から「英語学習も一気にレベルアップしたほうがいい」と考えるのは早計です。私の意見ですが、この年齢の子どもは英語教師泣かせなのです。

文法はまだ早い

「文法学習も少しずつ始めた方がいいのでは」と考えるお母さんもいるかもしれません。しかし、この年齢の子どもに文法アプローチで英語学習をするのはやめたほうがいいです。

なぜなら文法のような抽象的な概念を理解するには、まだ幼過ぎるからです。では、これまでと同じように絵本を中心にすすめられるかといえば、それも難しくなります。なぜなら、子どもが普段読むようになっている本のレベルに合わないからです。

そして小学1・2年生と決定的に異なるのは、英語を話すことに「恥ずかしさ」や「間違えたら嫌だ」という抵抗を感じ始めるようになることです。

文法アプローチには早すぎて、音の練習もこれまで通りに素直にしなくなるのがこの年齢の特徴です。では、この時期にお母さんが心がけるべきことについて説明します。

思わず口まねしたくなるように仕向ける

ここでもお母さんの「仕掛け」が威力を発揮します。子どもはゲーム好きです。人間の本能として「勝ち負け」がかかると夢中になるようです。だからスポーツは多くの人に愛されています。

英語学習にもこの本能を上手に活用しましょう。お母さんは、子どもの「よきライバル」になってください。英語学習において競争するのです。

私がこれに気がついたのにはきっかけがありました。文法の問題を息子に教えているときに、“The police ( was, were) investigating the case….” (警察は事件を捜査していた)でどちらかを選ぶ問題がありました。息子はwereを選びましたが、私は「wasじゃない?」と反論したのです。

正解はwereです。これはthe police は見た目が単数でも「複数扱い」するからです。peopleと同じです。恥ずかしながら、私は本気で間違えてしまいました。解答を見た息子は大喜びです。滅多に私は間違えないので、鬼の首を取ったような喜びようでした。

これをきっかけに息子はあまり乗り気でなかった文法問題に積極的に取り組むようになりました。きっと「お父さんを打ち負かしてやりたい」と思ったからです。

英語の苦手なお母さんは、この点非常に有利なのです。なぜなら子どもを喜ばせる回数が増えるからです。「上から教える」スタイルではなく、「共に競い合う」スタンスで子どもと向き合ってみましょう。

好きな映画の傾向を把握する

子どもの「好きなこと」「嫌いなこと」「苦手なこと」が少しずつはっきりしてくる時期です。ときどき家族で映画を観ることもあるでしょう。普段から子どもの映画の好みを把握しておくと英語学習に役立ちます。

たとえば、プリンセスが好きな女の子ならディズニー作品がおすすめです。「英語音声」で一緒に見てみましょう。吹替で最初に見ておけば「英語音声」に切り替えても、どのセリフの場面かは理解できるはずです。

映画で英語を学ぶときにはコツがあります。私が中学生の頃にしていたことです。

実は映画のリスニングは最上級に難しいです。いきなりこれを押しつけたら映画そのものを嫌いになってしまいます。そうではなくて、まずは「映画のタイトル」に注目させます。

美女と野獣なら“Beauty and the Beast” が原題です。これで単語を二つ覚えられます。しかも絶対に忘れません。タイトルは文字で画面に出るので、聴き取れなくても大丈夫です。

有名な俳優が出演している場合は、その名前を見つけるのもいいトレーニングです。音と綴りを合わせられるのでフォニックスの訓練になります。

映画のセリフに関しては、「決まり文句」は聴き取りやすいはずです。美女と野獣なら最初のナレーションに“Once upon a time”(むかしむかし)という昔話にお決まりの表現が使われています。

このように小学生でも読めたり聴き取れるところを少しずつ増やすことで、好きな映画と英語学習を上手に結び付けられるようになります。

歌に興味を持たせる

歌が好きな子どもなら、洋楽も試す価値ありです。これまでと同様に押しつけると子どもは嫌がります。私だったら、車に乗ったときは「お父さんが聞く英語の歌」としてあらかじめ用意しておきます。

ここで子ども向けに“Old MacDonald had a farm”のような歌を集めると、子どもは「これは自分に勉強させるためだ」と勘づきます。

お母さんが好きな歌を選んでください。子ども向けでなくても全然かまいません。例えば、「Best Day of My Life」 です。

お母さんはあらかじめ歌詞を調べておいて、一部だけでも歌えるよう練習しましょう。歌を聴きながら自分で歌うだけでいいのです。

子どもは「意味はわからないけれど、いい歌だな」と思えば、勝手に興味を持ちます。家に帰ってから歌詞付きのYouTube動画を見せて、子どもの気が向けば自分で練習しはじめます。

文字タイプか音タイプか

小学3年生になると、「文字に強く反応するタイプ」と「音に強く反応するタイプ」に分かれます。前者の場合は、簡単な英語の本にチャレンジさせたほうがいいです。ただし、このときも音読を忘れないようにしましょう。

音に強く反応するなら、映画や歌と結び付けながら英語を学ぶといいです。

「4技能(聞く・話す・読む・書く)バランスよく学ばせたい」と思うお母さんもいるかもしれません。今は英語にのめり込むきっかけの段階なので、好きなところから始めてうまく軌道に載せることに集中しましょう。いずれバランスよく学ぶので安心してください。

小学4~6年生へのサポート

小学4~6年生の期間は、本格的な英語学習を開始できるチャンスです。テストや受験といったプレッシャーから解放されている間に、英語学習を開始できるメリットは大きいです。

ではこの時期の子どもにお母さんとして何ができるのかを詳しく説明します。

テストのための英語から遠い「今」がチャンス!

以前、私に「英単語をなかなか覚えられない」と相談に来た中学生がいました。そこで普段、どんな覚え方をしているかを再現してもらいました。

「木曜日は、T(ティー)・h(エイチ)・u(ユー)…」とつぶやきながら、紙に書き始めました。そこで私はその単語を声に出して読むようにいうと、彼は「わかりません」と答えました。

私は「英語ってまず、読めることが大切なんだけど、そう思わない?」とたずねると、その中学生は「でも、テストでは答えを書ければ〇をもらえるから関係ないですよね?」と真顔で答えました。

私にとっては衝撃的な回答でした。それは「教科や受験科目としてしか英語をとらえていない」とわかったからです。

英語は本来「コミュニケーションの道具」です。現実に英語を使って生活している国があるのです。しかし先ほどの中学生にとって、英語とは「教科」や「受験科目」のためでしか存在していません。彼のような生徒は例外ではありません。

小学4~6年生から本格的に英語を始めるメリットは、コミュニケーションの道具として英語を考えるようになることです。まずは、このことをお母さんにも強く意識してほしいと思います。

資格取得に夢中になり過ぎない

小学5年生くらいになると「英検準2級」に合格する子どもがチラホラと登場します。英語学習の進捗状況をチェックするために英検を受けるのは大賛成です。その結果「英検〇級合格」の資格がもらえるなら喜ばしいことです。

しかし、英検合格を目的にしてお母さんが子どもにプレッシャーをかけるようなことはやめてください。せっかく、「コミュニケーションとしての英語」を意識できる時期なのに、わざわざ「テストのための英語」を子どもに植え付けているからです。

周りの子どもの「英検〇級」に惑わされずに、「本物の英語力」をつけさせてあげるように考えてあげましょう。

音読練習+文法で基本を固めよう

小学5・6年生になったら、短めの素材で音読練習することを習慣化しましょう。教材は通信講座でも何かのテキストでもかまいません。ネイティブによるナチュラルスピードの音声付きのものが適しています。

このとき必要に応じて基本的な文法を学習すると、飛躍的に英語力を伸ばせます。最初に充分口頭練習を積んだ後、文法で理解を深めることが大切です。文法を先に学習すると知識だけの英語となり、実際の場面で使えるようにはなりません。

英語の得意なお母さんでも、そろそろプロの手を借りたほうがいい段階です。音読の重要性を認識している先生を探しましょう。やはりどの年齢から始めても、言葉の学習に音声の訓練は欠かせないのです。

この動画セミナーではリスニングだけでなく、英語4技能全体を底上げする方法を紹介しています

興味のある分野に絞った英語素材を自然に与える

小学3・4年生の項目でも触れましたが、子どもの興味はより細分化し高度になります。好きなものに没頭する能力を英語にも応用しないのはもったいないです。

専門知識があれば多少わからない単語があっても、類推しながら読めるものです。私は小学5年生頃、天体に興味がありました。毎晩のように天体望遠鏡で星を眺めているうちに、主な星雲・星団のある場所はほとんど暗記していました。

あるとき大きい書店で“SKY & TELESCOPE” というアメリカの天体ファン向けの雑誌が置いてありました。英語はほとんど読めませんでしたが、いくつかの単語はかなり正確に意味を把握できました。

たとえば、focus(焦点), objective lens(対物レンズ), nebula(星雲)などの単語は図や写真を見れば、簡単に意味がわかりました。

このように大人顔負けの知識欲がある子ども(〇〇博士タイプ)なら、英語と掛け合わせると相乗効果を発揮します。大都市に出かける機会があるなら、洋書の雑誌コーナーで趣味に関する雑誌を買ってあげましょう。

小学生のうちに身につけさせたい5つのこと

中学生になる前に、英語に関して子どもに身につけさせたいことを3つにまとめました。不思議なことに中学校の英語の先生がこのような話を小学校の先生に伝えることはほとんどありません。同様に高校の先生も中学の先生にこのような話をする機会はありません。

中学校以降、子どもが英語を楽しみながら一生懸命勉強して成績もグングン伸びるように、参考にしてください。

「コミュニケーションの道具としての英語」を体験させる

大切なことなので繰り返します。英語は世界的に使用されている言語です。英語はコミュニケーションの道具以外の何物でもありません。

当たり前のことですが、受験のことばかり意識し続けると、いつの間にか試験のための英語としかとらえなくなります。そして受験が終わった瞬間に英語の学習をやめてしまいます。

これを防ぐためには、実際に英語を使って生活している人たちを見せたり、体験させたりするのが効果的です。具体的には、海外旅行に連れて行ったり、英語キャンプや短期留学に参加させたりすることです。費用的に難しければ、ホームステイを一時的に受け入れるのもいいでしょう。

「英語が通じた喜び」と「うまく伝えられなかったフラストレーション」は、今後の英語学習を続ける大きなモチベーションになります。

日本人が少ない環境に、日本の子どもは慣れていません。マイノリティの立場になっても堂々と振る舞うためには、やはりコミュニケーション手段が必要です。そのようなことを体験から学ばせるのはとても意義があります。

楽しく努力する

小学生時代にどうしても身につけたいスキルは「楽しく努力する」ことです。努力と我慢は異なります。「英語は楽しい→もっと上手になりたい→努力する→少し上手になった→うれしい」循環に入ればしめたものです。

これは英語に限った話ではありません。スポーツや他の習いごとでもいいのです。どれか一つの分野で「楽しく努力」できる子どもは、きっと必要になれば他の分野でもできるからです。

学校の成績や受験だけでなく、一生を通じてこの能力は大切です。ぜひ、その基礎を小学校時代に身につけるようにサポートしてあげましょう。

声に出して読む習慣をつける

英語学習において静かに黙々と勉強しているようでは成功できません。とにかく声に出して読むことが重要です。

それを体系化したものが「音読トレーニング」です。極論を言えば、「音読トレーニング」を日常的に行うだけで、中学・高校の英語は充分に乗り切れます。

英語教育に携わる者ならほとんどの人は理解していますが、時間がかかるために生徒に音読練習の仕方を細かく指導している学校はほとんどありません。それなら家庭でお母さんが中心となって「音読トレーニング」の環境を整えるしかありません。

中学生で木曜日の綴りをSarsdayと書いてしまう生徒は珍しくありません。Thursdayが正解です。普段からthの発音を意識して何度も音読していたら、ありえない綴りの間違いです。

自分のできる範囲で精一杯、音読する訓練を年単位で続けると、英語の力は確実についてきます。ぜひ、小学校の間にそれが身につくようにしてあげましょう。

まとめ

幼少期は音の学習の適齢期です。お母さんの英語をたくさん聞かせてあげましょう。具体的には英語絵本の読み聞かせがおすすめの方法です。

小学3年生では興味や趣味に即した英語を与えると、自分から英語を学ぶようになります。文法学習はまだ早いので、あわてて取り組ませても効果的とはいえません。

小学校4~6年生からは本格的な英語学習を開始できます。受験まではまだ時間がたっぷりあるこの時期に、「コミュニケーションの道具」としての英語を強く意識させてあげましょう。

どの年齢層でも共通しているのは、「楽しく努力する」のが最も効率的な学習方法であることです。また、英語学習の基本は「音声」なので、年齢に即した方法で英語を音読すると中学生以降で英語力は飛躍的に伸びるようになります。

英語を教えるのは教師の仕事ですが、お母さんの子どもへの接し方は教師以上に影響力は大きいともいえます。ぜひ、子どもの特徴を正しく理解して、子どもみずから英語を学びたくなるような環境づくりをサポートしてあげましょう。

 

Tokyo Global Gatewayは子どもの英語の試合場所

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子どもが頑張って英語を勉強していると「実際に英語を使う機会を作ってあげたい」と思うお母さんもいるでしょう。資金や時間にゆとりがあれば、海外旅行や短期留学に参加させることもできます。しかし、現実にはなかなか難しい家庭が多いです。

「もう少し手軽に英語体験できるプログラムがあればいいのに」と思っていたお母さんに朗報です。2018年9月に東京版英語村であるTokyo Global Gatewayがオープンしました。

ここでは小学生から高校生までの子ども達が、閉鎖空間で半日~一日、英語「で」さまざまなプログラムに取り組みながら、幅広い教養と英語力を磨けます。

このTokyo Global Gatewayとはどのような施設なのかはもちろん、「この施設を利用することによって子どもの英語学習にどのような影響を与えられるのか」について説明します。

Tokyo Global Gatewayとは?

初めてTokyo Global Gateway(以下TGG)の名前を見たとき、私は「ん? インターネットの設定項目?」と思ってしまいました。実はこれ、構想段階では「東京英語村」というプロジェクト名でした。

わかりやすく例えると、子ども達が職業体験できる「キッザニア」がありますが、その英語教育版が「TGG」です。

TGG設立の目的

東京都教育委員会が主導してすすめられたTGGは英語を学ぶ子ども達のための教育施設です。2018年9月にオープン予定ですが、TGGのサイトを閲覧すると詳細を知ることができます。

プログラム監修者の松本茂教授によれば、英語を効率よく身に付けるには、PICサイクルに沿って学習することが大事。Pはpractice(個人学習)、Iはinteraction(対話型学習→学校の授業)、Cはcommunication(実践→TGG)の頭文字。これまで日本の英語学習にはCの部分が充分でなかったとおっしゃっています。部活動に例えるなら、普段の授業が練習に当たり、TGGは試合を担当します。試合に勝つことを目指すことで、毎日の練習方法は実践を想定してがらりと変わってくるように、児童・生徒の普段、英語に取り組む姿勢が大きく変わってくることを想定しています。部活動でも練習試合を多く組みますが、試合の場ほど技能の伸ばす機会はないでしょう。

*Tokyo Global Gatewayサイトより引用(太字は管理人が強調しています)

NHKの語学番組でもおなじみの松本先生(立教大学教授)に監修依頼をする気合の入れようです。引用の後半の太字で強調した部分に注目してください。

日頃の英語学習の成果を試す場所を提供するのがTGGの目的です。確かに試合のない練習だけの部活など、誰もやりたくありません。試合があることで、きつい練習も乗り越えられるし、そのスポーツの楽しさも感じられます。

使う場のない英語学習にも同じことが当てはまります。これまでは海外旅行や短期留学でしか、実践で英語を使用する場面はありませんでした。しかしこれからは、TGGがその場所を提供してくれます。英語学習中の子どもを持つお母さんも期待できそうです。

英語の試合が終わったら、練習(使うための訓練)が必要です。動画サイトを利用したリスニング学習法動画セミナーはこちらをクリック!

TGG設立の経緯

東京都が「英語村」に取り組んでいるニュースは、以前、私も見ました。いつ頃スタートしたのか調べてみると、2015年4月に東京都教育委員会が「英語村に関する有識者会議」を設置して検討を開始したようです。

ここから話し合いを重ね、参入企業の選定などを経て3年半後の2018年9月にオープンする予定です。行政が絡んだ事業にしてはスピーディーな動きです。2020年の東京オリンピックを意識してのことでしょう。

名称も英語村からいつの間にかTokyo Global Gatewayに変更されていました。「東京都で村って、桧原村みたいなイメージだな…」と思っていたら、ガラリとイメージチェンジをしてきたので正直びっくりしました。

場所は「東京都江東区青海2丁目4-32のタイム24ビル内」に決定しました。船の科学館や日本科学未来館のすぐ近くでゆりかもめ「テレコムセンター」駅から徒歩2分の場所です。

TGG、プログラムのベースはCLIL(クリル)

どのような観点からプログラムが提供されているのか気になったので、サイト内で公表されているTGGの特徴を一つひとつ見てみましょう。TGGオフィシャル動画を掲載します。

英語が飛び交う非日常な空間で成功体験が得られる!

TGG内の共通語はもちろん英語です。参加する子どもたちにはどこまで「ノージャパニーズ(日本語禁止)」を貫けるのかが見ものです。これはオリエンテーションの段階で、「英語を話すぞ!」という気持ちにさせられるかどうかにかかっています。

「エージェント」または「スペシャリスト」と呼ばれるイングリッシュ・スピーカーの力量も問われます。トイレに行きたい子どもは事前にフレーズを指導しておかないと、大変なことになりそうな予感がします。

児童・生徒 8 名につき 1 名のイングリッシュ・スピーカーがサポート!

プロモーションビデオを見ると、ネイティブだけでなくさまざまな国の人がイングリッシュ・スピーカーとなり、8人のグループを引率します。いろいろな国の英語を聞けるのはとてもいい経験だと思います。

1グループを8名にしたのも絶妙です。少なすぎると子どもからの発言が不活発になります。しかし、8名いれば一人くらいは引っ張ってくれる子どもがいるものです。全国から集まる知らない子ども同士で半日~一日過ごすのも楽しそうです。

小学生から高校生までさまざまなレベルに対応し、みんなが楽しめる!

英語習いたてのレベルから、かなりの上級者まで対応するようで素晴らしいです。ある程度の規模だからこそ、きめ細かい対応が可能になっています。児童と生徒が、事前に英語レベルを自己申告するのか、現地で測るのかは今のところ不明です。

英検は客観的に数字(スコア)で英語力を示してくれます。TGGを定期利用すると自分の英語力の伸びを主観で感じられます。英検の級が上がるのもうれしいですが、実践の場での実力の伸びを感じられるのは、また別の喜びがあります。

国際機関やグローバル企業、海外の団体などと連携したプログラムも用意!

プログラムを詳しく見ていくと、「国際問題について学ぼう」「グローバル・ビジネスを体験しよう」などと、世界的な企業や団体の協力を得ているものが含まれています。

中高生からは、身近な英語ばかりでなくグローバルな視点も大切です。こうしたプログラムは意識の高い生徒にはピッタリです。

英語教育の専門家が監修し、実践的かつ有効なプログラム!

TGGでは松本教授が監修し、CLIL(内容言語統合型学習)教授法をベースにして開発されたプログラムを提供しています。CLILとは、Content and Language Integrated Learningの頭文字で「クリル」と読みます。

CLILは新しい英語教育法で、理科や社会などの教科を英語で教える教育法です。イマ―ジョン教育と似ていますが、ネイティブが科目指導を目的として行うものはイマ―ジョン教育です。一方、CLILは「科目教育と語学教育の比率を均等に」行うものです。

簡単にいえば、施設内の体験型学習を通じて「幅広い分野の学習をしながら英語も身につけていく」内容です。学校や家庭で培った英語学習をベースにして、世の中のことを学んでいくことになります。

TGGの5つの特徴の評価できる点は、「学校・自習だけでは補えない分野に絞った」ことです。全国にも英語村と呼ばれるような施設はいくつかありますが、他とは一線を画したコンセプトは好感が持てます。

このような理想を追求するにはお金や場所、長期間安定的に運営する会社がなければ実現できません。あればいいなと思っていた空白部分に特化しているので、私は良い企画だなと感じます。

プログラムの詳細と利用料

TGGのプログラムはテーマ別に大きく2つのエリアに分かれています。それらは「アトラクション・エリア」と「アクティブイマ―ジョン・エリア」です。英語ばかりで、何だかよくわからないので、どのようなものなのかそれぞれ説明します。

アトラクション・エリア

アトラクション・エリアは海外旅行や留学などで想定される場面を意識していて、さらに4つのゾーンに分類されています(*画像はTGG公式サイトから転載しました)。

 

ファーマシー(薬局)を作ったのは評価できます。「熱が出た」「下痢」「咳」「のどが痛い」などの症状を英語でいえるのは、命にかかわることなのに学校英語では軽く扱う程度です。ここで学んでおけば、実際に海外の病院でも簡単に症状を説明できると思います。

 

スーベニアショップ(お土産屋さん)が個人的に気になります。ぜひ、値下げ交渉に立ち向かうタフな店員を常駐させ、ミッションの難易度を上げて欲しいです。

留学を想定したときの空間です。スクールオフィスとは事務室のことです。学校の手続きに関することで留学生はしばしば立ち寄ることになるので、これを発案した人は留学経験のある人だと思いました。

ここでのガイドは「エージェント」と呼ばれるイングリッシュ・スピーカーが担当します。

アクティブイマ―ジョン・エリア

こちらのエリアは英語で映像制作やビジネス・プログラムなどに挑戦するエリアです。こちらのエリアはまさにCLIL教授法を活用したプログラムです。TGGサイトからの説明文を引用します。

ここでは、グループで実験したり企画したりと共同作業を通じて、英語で専門知識を身につけられるプログラム(60 分/120 分)を体験。CLIL(内容言語統合型学習)の視点で開発されたプログラムもあります。専門的知識を身につけたスペシャリストを指南役に行われ、エージェントはサポート役に回って盛り上げます。

*TGG公式サイトから引用

具体的なプログラムを表にまとめましたので、ご覧ください。

身近なものから効果音を作り出そう コマ撮り作品を作ろう グループ対抗で頑丈な橋を造ろう
理想の街をつくって紹介しよう キャスター体験をしよう プログラミングを体験しよう
国際問題について学ぼう 未来の名刺を作成しよう ダンスパフォーマンスをしよう
世界の料理をつくろう 茶道で日本文化を学ぼう、伝えよう 演劇をしよう
グローバル・ビジネスを体験しよう 東京の魅力を紹介しよう

好奇心のある子ども達にとって、どれも魅力的です。「自分が子どもだったら絶対に楽しかっただろうな」と思える内容です。

それぞれのプログラムでは話し合わないとプロジェクトは進まないので、それぞれの実力のなかで精一杯英語を話すことが求められます。

利用料(学校利用)

施設の利用料は以下のとおりです。

日帰り
コース 都内 都外
1日コース

(8:30-16:00)

4,800円 6,800円
半日コース

(約4時間)

2,400円 3,500円

東京都教育委員会が始めた事業なので、東京都の子ども達は優遇されています。

学校単位での参加または個人での参加

学校単位または個人での参加になりますが、予約が必要です。参加する時間によってコースは変わるので、TGGのサイトをご覧ください。

サイトに書いてある「セッション」とは、学校でいえば「〇校時」の意味です。半日コースの場合、どのセッションに参加するかで、時間帯は異なるので注意してください。

TGGへの期待

オープン前から、親として非常に楽しみです。早めに実際に子どもを参加させてみて感想を聞いてみたいと思います。今の段階で、私がTGGについて抱く期待と要望を述べます。

モチベーションアップを期待できる

英語無用論の背景には「英語を勉強しても日本ではあまり使わない」事実があります。多くの日本人がこのように感じてしまうことに、共感できる部分もあります。

初期の学習段階から定期的に「英語を実際に使う場面」を体験させることはやはり必要だと感じます。TGG設立目的の中にあった「部活でいうところの試合」の場を日本の英語学習者に与えられることはとても有意義です。

英語の練習(学習)ばかりでは確かにモチベーションは下がります。英語学習に停滞感が出てきたらこうした施設を利用して、モチベーションアップを図るのは大切です。

英語を学ぶ意味を考える機会になる

英語を学ぶのは英語を話すためではなく、英語で何かを学んだり仕事をしたりするためです。英語の4技能(リーディング、リスニング、スピーキング、ライティング)とはそれを実現するための手段に過ぎません。

日本の学校では英語「で」何かをする場面があまりにも少なすぎて、道具としての英語を意識できませんでした。そのためほとんどの学習者にとって、「受験のための英語」以外に英語を学習する目的がありませんでした。

しかしTGGのような施設に行けば、英語で何かをする体験ができます。体験に勝る学習はありません。「英検〇級取得」「〇〇大学合格」のための英語は通過点に過ぎないことを子どもに理解させるには最適な場所です。

海外旅行や短期留学より効果的な部分もある

海外旅行や短期留学のほうが、TGGのような施設よりもリアリティがあるのは確かです。しかし、海外旅行や短期留学は多くの人にとって気軽に利用できるものではありません。

まず、費用の問題です。比較的距離が近く物価の安いアジア圏に出かけても、親子2人なら20万近くはかかるでしょう。兄弟姉妹がいればさらにコストがかかります。

次に海外旅行に出かけても、子どもが英語を使う場面はほとんどありません。ホテルの人とのやりとりやレストランでのオーダーも普通は親がします。よほど周到に用意しなければ、子どもが英語を話す機会はほとんどないといってよいでしょう。

留学なら語学プログラムが組み込まれているので、英語を話す機会はグッと増えます。でも、英語の勉強だけであれば、普段の学校の授業とそれほど変わらないかもしれません。時事問題や興味深いトピックについて、英語「で」学ぶ授業はそれほど多くないでしょう。

最後に、治安や健康面の不安が残ります。どんなに気を使っていても、渡航期間中は保護者の心配は尽きません。英語ネイティブの国であるアメリカやイギリスまで行けば、時差が大きく体調を崩しやすい傾向があります。

以上のことを総合的に考えると、TGGの利用料はそれほど高いとは思いません。安心で便利な東京の施設内で英語体験ができるので、お母さんも利用しやすいと思います。

地方に住む家族はは夏休みなどを利用して「東京ディズニーランド」と組み合わせてTGGを訪れるのもいいアイデアです。遊びと勉強のバランスが取れて、有意義な旅行になるでしょう。

待機する親やチビッ子にも英語のフォローがあるといい

TGGの対象年齢は小学生~高校生になっています。キッザニアを参考に予想すると、保護者は子どもと接触できないと思うので、長い空き時間ができます。

近くで人気の温泉施設「お台場大江戸温泉物語」で過ごすのも楽しそうですが、子どもは英語で頑張っているので、保護者もそのような体験ができるといいなあと感じます。

また、小学生未満の兄弟姉妹がいる場合も、キッズ用の英語保育園のようなものがあると便利です。

全国にもある英語村

TGGは東京の英語村ですが、似たような施設は全国にいくつかあります。ここでは小学生でも利用できそうなものに限り掲載します。「東京まではなかなか出かけられない」人は近くの英語村を利用しましょう。

・OSAKA ENGLISH VILLAGE(大阪)

TGGのアトラクション・エリアだけを拡大したイメージに近い施設です。幼稚園の年中~大人まで利用できます。施設とプログラムはアメリカを意識したものになっています。

・キッザニア東京・甲子園 英語プログラム(東京、兵庫県)

おなじみの職業体験ができるキッザニアですが、英語に特化したプログラムも用意されています。「ナビゲーター」と呼ばれるイングリッシュ・スピーカーが子ども達と一緒に5つまたは3つのアクティビティを連続して回ります。

私の息子もクアラルンプールのキッザニアで一日過ごしたことがあります。Firefighter(消防士)の訓練中“Left, right, left, right, attention!”の掛け声に合わせて行進していて楽しそうでした。

まとめ

TGGのような英語村を上手に利用すると、子どもの英語学習意欲は大いに高まります。学校利用を待つだけでなく、個人でも積極的に予約して利用したほうがいいです。近所の仲良しのお母さんと一緒に出掛けても楽しそうです。

英語「で」仲間とコミュニケーションを取りながら、何かのプロジェクトを成し遂げる喜びは貴重です。同じようなレベルの子ども達が集まるので、極端に劣等感を感じることもなく過ごせます。

オープン後はなかなか予約しづらい状況かもしれませんが、機会があればぜひ子どもを連れて行きましょう。

 

 

子連れ海外旅行を英語力アップにつなげるコツ

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私の知り合いに資産家の人がいます。彼は普段、質素な生活をしていて行きつけのレストランのポイントをマメにため込んでいます。車も時計も持っていないし、服装もいたって普通です。

そんな彼がよく口にするのは「モノではなくて経験にお金を使う」ということでした。

しかし、ときどき子どもを連れて海外の変わった場所に行き、いろいろな体験をさせています。たいていの物は古くなると価値が減りますが、経験は一生の財産となります。

私も彼に賛同するところがあり、マレーシアに家族で3年半住んでいたのも、子どもに海外での生活を経験させたかったからです。

マレーシアは近隣のアジア諸国にアクセスが良く国内旅行並みの料金で海外旅行に行けます。我が家も当時、子どもの長期休暇を利用してシンガポールやベトナムを旅行しました。

帰国後はどこも出かけない家族になってしまいましたが、行ったことのある国をテレビで見ると想い出話に花が咲きます。

お子さんが英語を学習中なら、海外旅行は英語のモチベーションアップの絶好の機会です。しかし、何も考えずに出かけると英語を使わずに旅行が終了することがほとんどです。

今回の記事では、子連れ海外旅行で子どもの英語モチベーションを上げるコツを紹介します。また、その経験から得られる英語以外のことについても詳しく説明します。

海外旅行では、子どもに英語体験をさせよう

日本国内で英語を話す場面はほとんどありません。そのため教科として英語を捉えていたり、受験に必要という理由だけで勉強していたりする子どもは多いです。

しかし、英語は「コミュニケーションに必要な道具」以外の何物でもありません。人に自分の希望や意見を伝え、相手の考えを理解するための道具です。この一点を小学生時代に理解できるだけでも、そうでない子どもと比較して大きなアドバンテージとなります。

外国で英語を使って生活している人たちを見ると、帰国後の英語学習に対する意識は確実に高まります。中学・高校で受験勉強をしても、その先に「コミュニケーションの道具としての英語」が見えていて、一段高い目標設定ができるからです。

海外旅行中、子どもに英語を話す場面を意図的に作ることをおすすめします。そして、「ボク(ワタシ)の英語が通じた!」という喜びを実感させてあげましょう。この小さな成功体験が、その後の英語学習の起爆剤になります。

海外旅行中は、子どもはほとんど英語を話す機会がない

残念なことに、旅行中、子どもが英語を話す場面はほとんどありません。家族で海外旅行に行ったことのあるお母さんなら同意してくれるはずです。子どもはビクビクして親から離れず、ひと言も英語を話そうとしません。現実はこんなものです。

我が家の初海外旅行での出来事を紹介します。ランチで庶民的な食堂に行きました。自分で食べたい屋台に行って注文するシステムです。妻と申し合わせていた私は、自分達だけ先に注文して何食わぬ顔をして食べていました。小6の娘は腹ペコです。

娘「私たちのご飯は?」

私「自分で注文するシステムだから、好きなところで注文しておいで」

娘「英語がわからない」

私「“Can I have~?” で通じるよ」

娘「…お腹空いてないから要らない」

私「あっ、そう」

私の麺のスープからはおいしそうな湯気が立っています。しばらくすると、さすがに空腹に耐えられなくなったのかお店の方へ歩いていき、いろいろやり取りしている様子でした。

数分後、ワンタンメンが運ばれてきて、娘はおいしそうに食べています。

私「それ、自分で注文したの?」

娘「そうだよ。ちゃんと注文できた。これ、おいしい!」

これ以降、どこへ行っても子どもだけで好きな料理を注文できるようになりました。ローカルの人に挨拶したり、お店で買い物をしたりするのも平気になりました。中学生になって英語を学ぶようになると、習った表現を積極的に使っていました。

このようにして、我が家では娘の「外国人に緊張してしまう病」を克服させることに成功しました。しかし、振り返るともう少しスマートな方法があったのではと反省しています。

そこで、初めて家族で海外旅行に行くお母さんのために考えた「子どもに英語を使わせるための2つの作戦」を紹介します。海外旅行に行く予定のあるお母さんは参考にしてください。

子どもと行く海外旅行ではあえて小規模宿泊施設B&Bを選んでみる

一つ目の作戦は、大きいホテルではなくB&B(Bed and Breakfast)に泊まることです。B&Bは一般の住宅の一部を宿泊客に提供し朝食が料金に含まれる小規模な宿泊施設です。

私はニュージーランドでB&Bを利用しました。快適なベッドとおいしい乳製品たっぷりの朝食で大満足でした。B&Bを経営するくらいなので、ご主人はフレンドリーです。宿泊客は私だけなので、朝食中は陽気なご主人とずっと雑談をしていました。

もし、あの場に子どもがいたら、ご主人は絶対に子どもに話しかけます。子どもは英語で答えるしかありません。小さいお子さんがいるようなB&Bだったら、子ども同士でちょっと会話するシチュエーションもあるかもしれません。

子どもと行く海外旅行ではホテルのプールでゆっくりと過ごしてみる

二つ目の作戦は、ホテルに泊まり、プールに子どもを連れていくことです。どういうわけか欧米人はプールサイドで日光浴をしながら本を読むのが大好きです。その間、彼らの子どもは完全放置状態です。
プール
暇になったネイティブの子どもは適当な遊び相手を探しているので、これがチャンスです。子どもはネイティブの子に話しかけられれば、英語を使わざるをえません。“Let’s play on the slide!(滑り台で遊ぼう)” などの英語を知っていると、結構盛り上がります。

短い時間でも外国の子どもと仲良く遊べた経験は「英語を使って仲良くなれた」という自信になります。

「通じた」喜びと同様に、「伝えたいことがうまく言えなかった」という軽いフラストレーションも、英語学習のモチベーションアップにつながります。いずれにしても、実体験から学んだことは強烈なインパクトがあるので貴重です。

「B&Bでの宿泊」と「ホテルのプール」でのシチュエーションづくりをヒントに、わずかな時間でも子どもに英語を使わせる機会を作ってみましょう。あまり強引にやりすぎると英語嫌いや外国人恐怖症になってしまうので、子どもの性格と反応を見ながら加減してください。

子どもの人生を豊かにする海外旅行

以前テレビ番組で、ドトール・コーヒー創業者の鳥羽さんがドトールの業態を思いついたいきさつを語っていました。

創業前、喫茶店組合でパリへの視察旅行があったそうです。通勤途中カフェへ気軽に立ち寄りコーヒーを楽しむ人たちを見て、鳥羽さんは衝撃を受けました。当時の日本では、喫茶店は暗い雰囲気でコーヒーの価格も高かったのが常識だったからです。これをヒントに鳥羽さんは気軽にコーヒーが飲めるコンセプトのドトールを全国に展開しました。

さて不思議なのは、同じ光景を他の人たちも見ていたのに、「これだ!」と気づいて成功したのは鳥羽さんだけという事実です。これについて鳥羽さんは次のような言葉を遺しています。

同じ旅行でも、ただ単に行くのと、明確な目的をもって行くのとではものの見え方、感じ方がまるで違ってくる。関心があればこそ見えてくる。関心がなければ見ているようで実は何も見えていないのだ。目的意識があればこそ、その光景をいつまでも心の中に鮮明に、克明にとどめておくことができる。

ほとんどの子どもは明確な目的意識や先入観を持っていません。ですから、旅先での両親の行動や発言が、子どもが海外で見たり考えたりするときの「基準」となります。そしてその延長線上に将来の価値観が形作られます。

例えば、海外のショッピングモールに行くと営業時間中にエスカレーターの整備をしていることがよくあります。お客さんは、停止したエスカレーターの隣のエスカレーターを階段のように上り下りしなければなりません。

それを見て「けしからん。夜中にやればいいのに」と反応するのと、「整備している人たちにも家族がいる。昼間に働けるようにみんなで協力している。日本もこれでいいのにね」と発言する親では、子どもの見方・考え方は大きく変わるはずです。

このように海外旅行で日常と異なるものを体験し、お母さんやお父さんの行動や発言をもとにして、子どもの認識の枠組みが出来上がります。

いろいろなことへの関心を高めることによって、子どもは「無意識にやり過ごしていたこと」や「常識だと思っていたこと」をもう一度考え直すいい機会を得られます。

このような経験を積み上げることによって、深みのある人格が形成されます。英語だけができる人ではなく、英語をフル活用して人生を豊かにできる大人に育ってほしいと思います。

では具体的にどのような経験が役に立つのかを紹介します。

海外旅行で子どもが学べる英語以外のこと(基本編)

ここまで「子どもに英語を使わせて、学習のモチベーションを上げる方法」について説明しました。

ここからは、さらに一歩すすめて英語以外のことにも目を向けてみましょう。海外旅行を思い出深いものにして、子どもにとって学びの多い機会とするためのヒントを挙げてみます。

マナー

海外旅行に限った話ではありませんが、マナーは大切です。宗教的・文化的にタブーとされていることはあらかじめ子どもにきちんと伝えておくべきです。旅先の人や文化に敬意を払うように教えましょう。

英語圏・非英語圏を問わず、挨拶とお礼くらいは現地の言葉で大きな声で言えるようになって欲しいです。英語なら “Hello!” と “Thank you.” は笑顔で言えるように、両親が模範を見せることが肝心です。

世界中を見たわけではありませんが、挨拶とお礼を笑顔で言われて怒る人はいないと思います。円滑なコミュニケーションの第一歩です。

多様性

異なる人種・宗教・文化を肌で感じられる海外旅行は、子どもが他者に寛容になれるチャンスです。テレビでの報道だけだと特定の宗教や国に悪いイメージを抱きがちです。しかし、実際に自分の目で見るとそれぞれに良いところがあって尊重すべきものであることに気づきます。

偏見を持たずに、自分と異なる人や物・習慣などを受け入れられるような心の広い子どもになって欲しいです。

日本を客観的に見直す

日本は世界でも類を見ないほどの急ペースで、少子高齢化が進んでいるのはご存知のとおりです。しかし、子どもは生まれた時から同じ環境にいるので、感覚的に理解できません(大人でも意識している人は少数です)。

東南アジア方面に旅行すると、どこへ行っても若い人たちで溢れていることに気づきます。通販が発達していないのか、休日のショッピングモールはたくさんの家族連れで賑わっています。

ところが帰国すると、ひと目で高齢者が多いことに気がつきます。このように外国と比較して初めて日本の置かれている現状に気がつくのです。

子どもが大人になる頃には人口減少と高齢化がさらに進行した社会になっています。帰国後、子どもにそのような話をしてあげると、そのようなニュースが流れた時には興味を持って聞くようになります。

このように英語以外のことも、子どもと対話する中で気づかせることができます。テレビや活字での知識ではなく、自分が見てきた経験に基づいているので記憶に深く刻まれます。

海外旅行の食事で子どもが学べる英語以外のこと(発展編)

ここでのテーマは食事です。私はマレーシアに移住していた間に、食事には「その人の性格や思考」が明確に反映されることに気がつきました。

駐在している家族で、海外生活を楽しんでいる人たちは現地の食べ物に積極的に挑戦していました。一方、いつも現地の不満ばかり口にするネガティブな人たちは日本食のレトルトやリンゴ・ミカン・バナナしか食べようとしませんでした。

海外旅行中は珍しい料理や果物、不衛生に見えるレストランなど日常とは異なる食事を前にするので、いつも以上にその人の性格や思考が反映されやすくなります。「たかが食事、されど食事」です。

反対に考えると、食事の際の行動を変えると思考を変えることができます。例えば、未知の食事に積極的に挑戦することで、運を引き寄せる子どもに育てることができます。このようなポジティブ思考は英語学習にもきっとプラスに働きます。

スタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱した理論に、「運を引き寄せるための5つの行動パターン」があります。これと食事にまつわる私の経験を重ね合わせると、非常にわかりやすかったので紹介します。

子どもの好奇心が刺激される

マレーシアのデザートに「チェンドル」があります。


引用:近畿日本ツーリスト

私は最初にこれを見た時に「うわっ、着色料が大量に使用されていて健康に悪そう!」と思いました。しかし、すぐそばで地元の人が美味しそうに食べているので、試しに買ってみたのです。

「…うまい!」

緑麺のように見えるのはパンダンという植物から色付けされたゼリーです。これに氷、ココナッツミルク、甘い小豆と黒蜜をかけたのがチェンドルの正体です。

レストランで味がわかりきったものしか注文しない人は、好奇心が無さすぎます。親が好奇心を発揮すれば、子どもも挑戦するようになります。不味かったら笑い話にして終わりなので、何も失うものはありません。

子どもの粘り強さが向上する

私の知り合いに、事業で大成功している人がいます。彼の若い時の体験談がとても印象に残っているので紹介します。

初めての海外出張でアメリカに行ったとき、ドライブスルーでハンバーガーを注文したそうです。スピーカーから聞こえる英語は早口で何も聞き取れず、冷や汗を流しながら何とか注文を終えました。英語が通じず、ずいぶんと情けない思いだったそうです。

普通の人なら二度とドライブスルーには挑戦しませんが、彼は真逆でした。「英語がわかるまでドライブスルーでハンバーガーを注文する」と、毎日通い続けたのです。そして一か月後には何の問題もなく注文できるようになりました。

「いかに英語ができなかったか」という笑い話のつもりだったかもしれませんが、私はちょっと感動しました。彼の粘り強さは、子どもにも身につけて欲しい能力です。ついでに言うと英語の習得にも粘り強さが欠かせません。

例えば、ホテルでは朝食バイキングのところに、シェフが客の好みに合わせて卵料理を作っています。出来合いの物ばかり選ばずに、あえててシェフのいるところへ子どもを行かせて、目玉焼きやオムレツを自分の希望どおりに注文させます。

子どもは最初は避けますが、私がうまそうに食べていると我慢できなくなります。そのうち一人で行って、手ぶりや身振りを混ぜながらオーダーをします。

英語が伝わらず子どもが泣きそうになっても、あえて何度も挑戦させるのも大切な経験になります。「成功までは常にあと一歩である」ことを子どもに伝えましょう。

子どもの柔軟性が高まる

私が家族でシンガポールを旅行した時のことです。情けないことに、あまりの物価の高さにまともなレストランで朝食を食べることができず、街をうろうろしていました。すると街角に「トーストとゆで卵とコーヒー」をセットで販売する小さな店を見つけました。

「シンガポールらしいもの」を食べようと計画していたので、日本の喫茶店でも食べられるようなものは嫌でした。しかし、多くの出勤中の人たちが新聞を片手にパクパクと食べている光景を見て、これも「シンガポールらしいもの」であると判断して家族分注文しました。

サクサクのトーストと食べたことのない美味しいジャムが絶妙のコンビネーションでした。半熟卵にしょうゆを数滴たらして食べると、これもまたおいしい。南国で飲むホットコーヒーですっかり目が覚めて、すっかり元気になりました。

実は私たちが食べたのは「カヤトースト(ココナッツから作ったカヤジャムを塗ったトースト)」でシンガポール名物であることをホテルに帰ってから知りました。もし、あの時自分の思い込みに固執していたら、カヤトーストには出会えなかったでしょう。

子どもが楽観的な性格になる

ベトナム名物フォー。街角の屋台のほうがおいしい。

私の失敗談です。ベトナムのレストランでたらふく食事をした後、財布がポケットにないことに気づきました。「しまった。財布をホテルに忘れてきた!」とつぶやき、家族からは大ブーイングです。

私は生来の楽観主義者なので、「旅先のハプニングは後で笑い話にできる」としか思っていません。落ち着いてウェイターを呼び、これから財布をホテルに取りに行くから待って欲しいと英語で交渉しました。家族はここに置いていく条件です(人質です)。

ホテルまでは2キロ離れていたので往復4キロ。財布もないのでタクシーは使えません。歩くと1時間はかかります。ふと外を見ると従業員用らしい自転車が置いてあるので、厚かましくも使わせてもらえるか再び交渉。

気持ちよく1台を貸してくれて、30分で戻って来て無事支払いを済ませました。戻ってきたときはすべてのウェイターから笑われて拍手で迎えられましたが、旅行のいい思い出づくりに貢献できました。

あの時もしオロオロしている様子や夫婦で喧嘩をする様子を子どもが見ていたら、窮地を切り抜ける心構えを子どもに見せられなかったでしょう。英語力プラス楽観性で対処できたことを子どもに見せられたので私は大満足です。

子どもの冒険心を刺激する

マレーシアに住んでいた頃、近所のおいしいホーカー(屋台)でランチを済ませ外に出ました。すると日本人観光客の夫婦がガイドブックを見つめて、真剣に話し合っていました。

おせっかいだとは思いましたが声をかけると、「ガイドブックに載っているチキンライスの店が見つからないで困っている」とのことでした。地図が古く、その店のことは私も知りません。しかし、この夫婦の真後ろこそ、近所で最もうまいと評判のチキンライスの店でした。

そこで「ここのチキンライスがこの辺りでは最高ですよ」と教えてあげました。奥さんは「あら、そうだったの」と乗り気です。しかし、旦那さんは「いや、このガイドブックの店ではない」と譲りません。

私は用事があったのでそのまま立ち去ったので、この夫婦が実際に私のすすめたチキンラスを食べたかどうかは確認していません。私はあの夫婦は食べてないような気がします。旦那さんに冒険心が無いからです。

たった4リンギット(当時110円位)のチキンライスでさえも、思い切りのよさを発揮できないのでは、成功する人間にはなれないでしょう。たかが食事ですが、その人の思考がはっきりとわかります。

このように海外旅行は英語のモチベーションを高めるだけでなく、子どもの成長のきっかけにもなりえます。安全な範囲なら小さなトラブルも良い経験になります。

まとめ

家族で海外旅行に行けるのは幸せなことです。お金だけではなく健康や休みなどの条件が揃わないと実現できません。子どもが中学生以上になると忙しくてなかなか遠くに旅行することも難しくなっていきます。

もし小学生の間に家族で海外に出かける機会があるなら、ぜひ有意義な思い出深い旅にしてください。子どもが英語を使う機会は思ったよりも少ないので、事前の準備が大切です。少しでも「通じた!」という達成感は、英語学習のモチベーション向上に効果的です。

また、海外での両親の何気ない行動や発言が、子どもの生き方に大きな影響を与える可能性があります。英語だけでなく、人生を豊かにする思考を学ぶ絶好の機会でもあるので、旅行中は子どもと語り合って欲しいと思います。.

小学生の短期留学・ホームステイ:気になる費用と効果

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「〇〇さんの子どもが夏休みを利用して短期留学に行ったんだって」という話を妻から聞くことが増えてきました。

ママ友の反応はさまざまで「小学生には早すぎる」「短期間で英語は話せるようにならない」「経済的に余裕のある家の話で、我が家には関係ない」といったネガティブな反応も多いようです。

話を聞きながら私は適当にあいづちを打っていますが、本音では「ツボを押さえれば、短期留学は英語習得にとって大きなメリットになる」と考えています。

短期留学成功の秘訣は、「留学で得られる効果を正しく理解すること」と「多様な短期留学の種類をきちんと理解して、子どもに適したものを選ぶこと」の2点です。この2つの秘訣をおさえると、帰国後の英語学習に対するモチベーションが劇的に向上します。

今回の記事では、短期留学成功のための2つの秘訣について順番に解説していきます。

成功の秘訣1:留学で得られる効果を正しく理解する

短期留学とは、10日間~数週間程度で終了する留学のことです。一般的に「日本人が英語を習得するためには3,000時間必要」といわれているので、どんなに英語漬けの生活を送っても、短期留学だけでは英語をマスターできません。

しかし、短期留学で得られた経験をきっかけに、「帰国後の英語学習に対するモチベーション(意欲)を劇的に高める」ことは充分に可能です。

短期留学では、主に以下のような経験を得ることができます。

自分の英語が相手に「通じた」という喜びの成功体験

海外に行って自分の英語が相手に通じた成功体験は、ポジティブな記憶として残ります。この成功体験は、間違いなく英語学習のモチベーションをあげてくれます。

例えば、ホストファミリーと食事をしていて“Would you like some more?”(もっといかがですか)と聞かれて、“No, thanks.  I’m full.”(いいえ結構です。お腹がいっぱいなので)とたまたまどこかで習ったフレーズが口をついて出てきたとします。

何気ない一場面ですが、この経験から得られる効果は大きいです。なぜなら、「英語のフレーズをすぐに口から出るレベルまで何度も暗唱する」という地味な努力の成果を体験できたからです。

留学する以前は、いやいや取り組んでいた英語の暗唱を帰国後は自発的に何度も練習するようになるかもしれません。知識として「英会話の上達には暗唱は欠かせない」と理解することと、体験して実感することでは天と地ほどの差があります。

自分の気持ちを英語で伝えられないフラストレーション

成功体験だけでなく、自分の気持ちがうまく英語で伝えられないときに感じる強いフラストレーション(もどかしさ)も、英語学習に対するモチベーションを上げる効果があります。

私が25歳で、初めての海外となるニュージーランドに行ったときのこと。電車で偶然向かいの席に座った中学生くらいの女の子と話す機会がありました。話題は日本の捕鯨問題で、彼女は捕鯨反対、私は賛成の立場でした。

小さいころからディベートの訓練を積んでいるらしく、彼女は理路整然と反対の主張をしてきました。一方、大人の私はしどろもどろになってしまいました。結局、あっという間に彼女にやりこめられて終了しました。

この経験は結構悔しくて、帰国してからエッセイ(小論文)の書き方を勉強して、論理的に考えを伝える練習をしたのです。議論で負けた悔しさがきっかけとなり、それまで避けていた学習を始めたのです。

このように、英語でのコミュニケーションのなかで感じたフラストレーションは、その後の学習に良い影響をもたらします。ただし、子どもの場合あまり強いストレスがかかると英語を嫌いになってしまいます。成功体験とフラストレーションの両方ともあるのが理想的です。

世界各国の同年代の子ども達と直接触れ合うことでしか得られない経験

今は、インターネットで世界中の情報が共有できる時代です。しかし、インターネット上でどうしてもできないことは人間と人間の直接的なふれあいです。

考え方や文化がまったく異なる外国人と直接交流したときに、いろいろな学びが得られます。日本人同士では暗黙の了解になっていることも、外国では当たり前ではないことを経験します。

例えば、日本人の子どもが年上の子どもに向かって「ケン!」と呼び捨てにすることには抵抗があるはずです。しかし、海外ではファーストネームで呼び合うのが普通です。

このようなシチュエーションは日本ではほとんどないので、文化の違いを考える貴重な経験となります。

英語を教科としてではなく、コミュニケーションの道具として認識する

日本だけで英語学習を続けていると、いつのまにか「英語=受験科目」としてのみ認識するようになります。その結果、「受験が終わったら英語は必要ない」と考える子どもが増えてしまいます。

「英語はコミュニケーションの道具である」という当たり前の認識が薄れてしまうのです。しかし、短期留学のときに日常会話で英語を使う人たちを目の当たりにすれば、道具としての英語を忘れることはないです。

この経験をした子どもは、受験勉強という枠を超えて、その先にある「使うための英語」を身につけようと努力するようになります。これは短期留学で得られる貴重な経験のひとつです。

短期留学で得られる効果のまとめ

繰り返しになりますが、短期留学の目標はそこで英語を上達させることではありません。短期留学中の経験をもとに、帰国してからの英語学習のモチベーションを上げることが、短期留学の最大の目標です。

留学体験が活かされるかどうかは、それまでの英語学習と子どもの好奇心の大きさに比例します。あなたの子どもが、日頃からいろいろなことにチャレンジしたり、関心を持ったりする性格なら、短期留学は「良い経験」になる可能性が大きいです。

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成功の秘訣2「多様化する留学を正しく理解しよう」

短期留学成功の二番目の秘訣は、「多様な短期留学の種類をきちんと理解して、子どもに適したものを選ぶこと」です。

短期留学のことをインターネットで調べてみると、実にいろいろな形態があることに気がつきます。留学エージェントのホームページには当たり前のようにカタカナ用語が使われているので、初めて見た人は何が書いてあるのかさっぱりわかりません。

そこで、短期留学のホームページに登場する用語や留学形態を5つの観点からわかりやすく解説します。5つの観点とは以下のとおりです。

留学
期間 長期留学 短期留学
内容 語学研修タイプ アクティビティ中心タイプ
滞在先 ホームステイ 寮・ホテル ステイ
人数 子どもだけ 親子(主に母子)
場所 国内 海外

以下、「期間」「内容」「滞在先」「人数」「場所」に分けて、順に解説します。

留学の期間

留学は、10日から数週間で終了する「短期留学」だけではありません。3か月以上海外で学ぶ「長期留学」もあります。ここでは長期留学も含めて「期間」について解説します。

・長期留学

小学生が長期留学をする場合は家族での移住が前提となります。そのため、一番の問題は、両親の仕事です。会社を辞めて生活できる人は限られています。お父さんは日本で働き続け、お母さんと子どもだけが留学する「母子留学」を選択をする家庭もありますが、お父さんの存在感が低下するなどの問題がありそうです。

また、海外での長期滞在にはビザ(外国人が入国に値することの証明書)の取得や住居の契約などの複雑な手続きが必要です。これらの手続きに関しては、エージェントに依頼しながら少しずつ準備をすすめることになります。

・短期留学

一方、夏休みなどを利用した短期留学は、学校を欠席せずにチャレンジできることから、小学生の子どもを持つお母さんにも人気があります。中学生以降になると部活や受験勉強が忙しくなるため、あえて小学生のときに短期留学を考える人も多いです。

小学生の子どもが親と離れて生活することはストレスです。ましてや言葉が通じない環境に置かれればなおさらです。短期留学なら本格的なホームシックになる前に帰国できるので、長期留学よりも気軽に参加できます。このことも短期留学に人気がある要因でしょう。

短期留学の内容

短期留学では、「留学中、何をするのか」という内容によっても大きく2つに分かれます。一つ目は英語の授業を中心とした「語学研修」タイプ。もう一つはキャンプなどのアウトドア活動やスポーツを中心とした「アクティビティ中心」タイプです。

・語学研修タイプ

語学研修を中心とした短期留学では、滞在先から平日学校へ通い、半日程度の英語の授業を受けることになります。

海外の多くの語学学校などは6月~8月下旬までが夏季休業です。この期間を利用して「サマースクール(夏季限定のプログラム)」の英語の授業に参加するのが主流です。

ただし、授業内容が半分以上わからないと、授業を苦痛に感じるはずです。そのため、数年間英語学習を続けて英語の基本が理解できてから参加したほうが有意義なものとなります。

・アクティビティ中心タイプ

アクティビティ中心の短期留学では、英語を使いながらスポーツやアウトドア活動に参加します。サッカー、テニス、野球、キャンプ、川下りなどが活動内容です。

canoe

例えば、サッカーを中心としたイギリス短期留学を選んだとしましょう。その場合、現地の子ども達と一緒にサッカースクールに参加することになります。コーチはもちろん英語で指示を出すので、それに従って練習や試合をします。

日本の練習とは違って、チームメイトと言葉が通じないもどかしさを感じることがあるでしょう。いいプレイができてコーチやチームメイトからほめられたら大きな自信になるかもしれません。

自分の好きなことや得意な活動を通じて、外国人と交流できるのがアクティビティ型短期留学の魅力です。

滞在先:ホームステイそれとも寮?

・ホームステイ

ホームステイという言葉がそのまま留学を意味するくらい、メジャーな形態となっています。外国の家庭に泊まり、家族と衣食住を共にすることでその国の生活習慣や考え方、文化などを学べることがホームステイの長所です。

基本的に受け入れ先の家庭を選ぶことはできないので、食事が合わなかったり、ホストファミリー(受け入れ先の家族)と性格が合わなかったりすることはありえます。たいていの場合、ホストファミリーは日本語ができないので、最低限の英語は話せる必要があります。

なかには「ティーチャーズステイ」という語学学校の先生宅に滞在するプランもあります。外国人の子どもとの会話に慣れているので、その分、意思疎通はしやすいです。

ホームステイは子どもも受け入れる方も大変ですが、外国の家庭にお邪魔する機会はめったにありません。うまくいけば学校や参考書では絶対に学べない貴重な経験を得ることができます。

・寮またはホテルステイ

短期留学では、ホームステイ以外にも、日本人スタッフが常駐する寮やホテルに滞在するタイプもあります。ホームステイが重荷に感じる場合は、こちらの方がいいでしょう。

食事でアレルギーがある場合には、日本人スタッフに伝えておけば安心です。また食事の好き嫌いが激しい場合も、寮から通ったほうが、お母さんも安心できます。

参加人数

・子ども単独での参加

自分の身の回りのことができる年齢であれば、一人で参加するのが普通です。10日間~数週間、親元を離れて過ごすことになるので、自立心が養われるというメリットもあります。

・親子留学

子どもの短期留学では、子ども一人で参加するだけでなく、お母さんと二人で参加する「親子留学」もがあります。

親子留学なら何かあったときでもすぐに対応できるので、年齢的に不安があっても安心です。また、「私も留学したい!」と希望するお母さんも多いので、人気のある留学形態といえます。

参加費用はもちろん二人分かかってしまいますが、楽しい思い出を共有できることも人気の理由かもしれません。

英語が得意なお母さんなら、留学エージェントを利用せず、自分で海外のサマープログラムに応募して、チケットや宿泊先を手配する人もいます。この場合、エージェントへの支払いが不要なので、割安で親子留学できます。

渡航先と留学の費用

・国内留学

短期留学の場所は、「国内」と「海外」の二つに分かれます。正確には「留学=海外で学ぶこと」ですが、意外にも日本国内でも同様の体験ができるのです。

例えば、日本国内には米軍基地に勤務する人の居住区があります。その家庭にホームステイさせてもらうのです。国内なので、当然、海外渡航の往復チケットは不要です。そのため経済的な負担をかなり減らせます。

また、沖縄などの自然環境を利用して、ネイティブのインストラクターがいるアクティビティ型のサマースクールに参加することもできます。日本人が多く参加するので、英語だけの環境とはいきませんが、子どもの英語力が未熟でも参加可能です。

日本と比較して治安の面で不安が大きい国が多いなか、国内で開催されるサマーキャンプは安全面でも安心です。

・海外留学

一方、本格的な海外留学の場合は、異文化を肌で感じることができます。英語だらけの街の風景を見るだけで、異国の雰囲気を強く感じることでしょう。

海外留学は、渡航先によって費用が大きく異なります。英語が母語の国で人気があるのは、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどです。その時の為替レートによりますが、10日間ほどの期間でも50万円以上かかります。

滞在期間が3週間で渡航先がカナダの場合は、80万円以上は必要となります。

一方、第二言語として英語を話すフィリピンやマレーシアなどのアジア圏であれば、半分程度に費用を抑えられます。治安の面では先進国に比べて不安があるので、留学斡旋会社の実績やサポートをよく調べることが大切です。

「アジアで英語はちょっと…」と先入観をもつ人もいますが、フィリピンの人の英語力は決して低くありません。オンライン英会話の講師と話したことがありますが、まったく問題ありませんでした。

また、アメリカやカナダの場合は時差が大きくなるので、時差ボケで体調がすぐれないまま短期留学が終わってしまうことがあります。南半球のオーストラリアとニュージーランドは季節が日本と反対なので、気温差による体調の変化にも注意が必要です。

小学生の子どもの場合、心身ともに大人よりもデリケートです。環境の変化や長旅の疲れなど、想像以上に負担がかかることもあります。日頃の健康状態も観察しながら、どの国がもっとも適しているのかを見極める必要があります。

まとめ

子どもの短期留学を成功させるための秘訣をまとめます。

  • 短期留学は帰国後の英語学習のモチベーションを向上させるために行くこと
  • 多様化する留学形態を正しく理解して、子どもの状況や性格に合ったものを選ぶこと

短期留学はそれなりの費用がかかります。英語学習の基本は継続することにあるので、あまりに家計に負担を強いるようであれば、留学をあきらめてもまったく問題ありません。まわりで留学した友人から話を聞くだけでも、疑似体験できるのでおすすめです。

でも、もしいろいろな状況がクリアされるなら、子どもに短期留学を挑戦させる価値はあります。将来、子どもが大人になったときに、「あのとき参加した短期留学がきっかけで英語が得意になった」と言ってくれるようなプランを考えてあげてください。