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子どもの英語発音:無料アプリを使った練習方法

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私が英語学習を始めたのは中学生になってからでした。塾には通っていなかったので、学校の授業を受けながら少しずつ勉強していました。

3か月くらい経ったころ、私は他人より英語を上手に読めることに気がつきました。日本人が苦手なはずの「f, v, th, r, l」の発音が簡単にできました。自分では「英語の才能がある」と思っていました。

ある日、家で英語の教科書を音読していると、母が「やっぱり小さいときに英語を習っていたからうまいね」と言いました。何の話かまったく分からずたずねると、どうやら幼稚園のときに短期間、英語を習っていたらしいのです。

私は幼児期に英語の先生から発音訓練を受けていました。母から「英語らしい発音で歌を歌っていた」と聞かされました。英語はすっかり忘れてしまいましたが、子どもの頃に覚えた発音の筋肉は大きくなっても失われなかったようです。

子どもは英語の音に対して柔軟性があります。この時期に正しい発音を覚えると、英語学習において大きな利点となります。以下、英語の発音練習のコツと英語発音トレーニングに適したアプリについて詳しく説明します。
DL

日本人が苦手な英語の音

英語の発音が良くなると2つのメリットがあります。ひとつめは、英語を話すときに相手に伝わりやすいことです。聞き返されることが減るので、スムーズにコミュニケーションをとることができます。

もう一つのメリットは、英語の聴き取りが楽になることです。英語らしい発音をするのは、その音を毎回自分の耳で聞いていることと同じです。そのため他人が同じような英語を話したときも、それがどの単語のことか瞬時に聞き分けることができます。

このように英語の発音が良くなると、スピーキングだけでなくリスニングにも好影響を与えます。では具体的に「どのようにして英語の発音レベルを向上させればいいのか」について詳しく説明します。

日本語よりも英語のほうが音の数が多い

日本語と英語を構成する音の数を調べると、英語のほうが圧倒的に多いです。このことがわかると英語の発音をトレーニングするときにどういう姿勢で臨んだらいいのかがわかります。

・日本語に存在しない音がある

「英語のほうが音の数が多い」ということは「日本語には存在しない音がある」ということです。つまり、これまで出したことのない音を一から覚える必要があります。

未経験の音を出すのはとても違和感を覚えます。外から見える唇・舌先・歯だけでなく、口腔内の舌の位置や息の出し方まで意識しないと英語らしい音が出てきません。

私は学生のとき、英語の発音訓練を受けたことがあります。授業の翌日、口の周りが筋肉痛になったことを覚えています。慣れない筋肉を動かした証拠です。以下、日本人にとって未経験の英語の音を列挙しておきます。

・【f】/【v】(fan/ van)

【f】は上の歯で下唇の内側を軽く押さえ、強く息を出して発音します。【v】は【f】と同じ口の形で「ヴ」と発音します。
fとvの口の形

・【θ】/【ð】(throw/ this)

【θ】は舌の先を上下の歯で軽くかんだ状態で、息を出して発音します。【ð】は【θ】と同じ口の形で濁らせた音を出します。
thの口の形

・【r】/【l】(room/ look)

【r】は口の中で、舌を上に浮かせるようにして「ウ」に近い音を出します。
r の口の形
【l】は上の歯ぐきの裏側に舌先を軽くあてるような感じで発音します。
l の口の形

発音練習に関して、頭脳はほとんど不要です。それよりも口をいろいろ動かしながら理想的な音に近づけてみる試行錯誤が必要です。子どものが発音練習をするときは、正面に鏡を置き自分の口の形を常にチェックできるようにしてあげましょう。

日本語よりも強めに息を出さないと英語を発音することはできません。初心者のうちは少し大げさになるくらいでちょうどいいです。ときどき声を録音して、子どもに聞かせてみるのも発音の改善に効果的です。

幼児期から小学校低学年が最適

英語の発音練習に関しては、幼児から小学校低学年の頃に経験しておくのが理想的です。恥ずかしがったり面倒くさがったりせずに、好奇心旺盛に新しい音にチャレンジできる年齢だからです。

私の経験では、中学生や高校生に発音指導をするのはとても根気が必要です。彼らは新しい音を出すことを「恥ずかしい」「面倒くさい」と感じるからです。そして長期間指導する割にはあまり改善されないことも多いです。

低年齢のうちに発音練習を済ませておいたほうがいい理由はもう一つあります。それは「ローマ字」の弊害です。詳細は後述しますが、ローマ字は英語の読みとは似て非なるものなので、英語学習においては弊害でしかありません。

小学3年生から学校で「ローマ字」を習いますが、その前なら英語の音を素直に受け入れて練習できます。本格的な英語学習は後回しでもかまいませんが、発音は小学校低学年のうちに練習しておきましょう。

英語のカタカナ読みの弊害

子ども向けの英語教材では、英語に読み仮名(カタカナ)が記載されていることがほとんどです。子どもはすでに知っているカタカナを読むことで「英語を話している」と錯覚しますが、これでは英語を話していることになりません。

例えば日本語で「ア」と表記される英語の音には【æ】【ʌ】【a】【ə】の4つがあります。これらの違いは意味にも影響を与えるもので、すべてまとめてカタカナの「ア」ひとつで表現できません。

英語の4つのア

また、カタカナで音を覚えているとリスニング力は低下します。例えば「走る」意味の動詞の原形・現在分詞形「run」と過去形の「ran」があります。これらを両方ともカタカナの「ラン」と発音していたら、英語のrunを聞いてもどちらなのか判断できません。

run/ ran

リスニングで困らないためにも、カタカナに頼らずに英語を正しく発音することが大切か理解できます。

ローマ字は英語学習の妨げになる

ローマ字を習うことによって、英語の発音は余計に難しくなります。確かにローマ字と同じように英単語を読めるときもありますが、そうでない場合のほうが圧倒的に多いです。

私が中学生のころ英語の教科書を開いていると、母は「猫の話なのね」とつぶやきました。そのレッスンには猫など登場していないので、訳がわかりませんでした。

母になぜそう思ったのかをたずねて原因がわかりました。対話文の人物であるMikeを「ミケ(猫の名前)」と勘違いしたのです。

このようにローマ字読みが身体に染み付くと、英単語を学習するときに実際とは異なる覚え方をしてしまい危険です。このような理由から、ローマ字を学校で習う前に英語の発音に慣れておいて欲しいと私は考えます。

英語発音練習に無料アプリ「英語発音ドリルA to Z」

発音練習がやっかいなのは、ずっと先生につきっきりで教えてもらえないことです。最低でも1か月くらいは高頻度でトレーニングをすることが望ましいので、一人で練習できる方法を見つけなければいけません。

そんなときに重宝するのが、スマートフォンのアプリです。この記事を書くにあたり、英語の発音練習に適したアプリをいろいろと試してみました。

重視した評価ポイントは「価格:無料または格安」「信頼性:正しく評価してくれること」「文章単位:単語だけでなく文章でも練習できること」の3点です。この3つの条件に最も合致したアプリ「英語発音ドリルA to Z」について詳述します。
英語発音ドリル A to Z

「英語発音ドリルA to Z」

「英語発音ドリルA to Z」は無料で使えます。インストールを済ませると、「新しくデータを作る」画面が現れます。この機能により複数の利用者がそれぞれの学習履歴を残せます。まずは自分のデータを質問に従って入力しましょう。

 

 

入力B


・使い方

まず、発音練習に使用する例文を「カテゴリ」の中から選びます。先ほど入力した年齢が学習歴によって、使用する例文のレベルは異なります。
カテゴリー
チャレンジしたいカテゴリーを選んだら、レベルを選択して練習画面に移動します。

I'm on my way.自動でお手本の発音で例文が読まれます。スピードが速いので、もう一度聞きたい場合はオレンジ色の「お手本」と書いてあるところをタップします。

次に自分で読んでみましょう。まず、下のほうにある青いマイクの絵をタップします。すると「にんしき中」と書かれた緑色に変わります。できるだけお手本に近い読み方で、大きめの声で英語を読みます。

直後にスコアが右上に表示されます。もう一度チャレンジしたいときは、マイクのボタンを押せば何度でもできます。
スコア自分の声を再生したいときは、「あなた」と書いてある再生ボタンを押すと、直前に録音した自分の英語を確認できます。次の例文に移動するときは、マイクの横にある「次へ」をタップします。

使い方はとても簡単なので、教えてあげれば子どもでもひとりで練習できます。親子でスコアを競い合うと子どもは夢中になります。

スコアの信ぴょう性について

私が試すと毎回100点(二重丸)が出てしまうので、スコアの信ぴょう性について疑念が湧いてきました。そこで、英語の発音が苦手な妻にやってもらいました。

妻の英語に対しては、20点などの低い評価が連続しました。妻は「これ、壊れているでしょ」と文句を言っていましたが、正しい評価です。

また、英語の得意な息子にも試したら90点台で安定していました。3人しか試していませんが、このアプリのスコアはおおむね信頼できそうです。

「英語発音ドリルA to Z」にも欠点はあります。声の波形で分析していることから、まったく異なる音を当てはめても高評価が出てしまうことがあります。

例えば、“See you.” を“Thee you.” と発音しても、【s】と【θ】の違いを認識できずに、高評価が出てしまいました。おそらく、抑揚やアクセントがモデル音声と一致していれば正しく読んでいると認識してしまうからです。

このことから、まず個々の音の出し方については英語教室などで直接先生から習いましょう。その後、抑揚やアクセントに注意しながら「英語発音ドリルA to Z」を使用して短いセンテンスを読む練習をするのが理想です。

小学校高学年から英語の発音記号を覚えよう

英語の発音を学ぶときに「カタカナ」「ローマ字」は害でしかないことはすでに述べました。最近の教材にはCDが付属していて、新しく学ぶ英単語の発音を音声で確認できます。

しかし、CDだけに頼って発音を確認するのは2つの理由から学習効率が悪いと考えています。ひとつめは、音声の再生が面倒だからです。CDを再生するのはもちろん、該当の単語を見つけ出すにも時間がかかってしまいます。

もう一つの理由は、音だけを聞いても正しい発音を覚えられないからです。例えば、「バット」という音声を聞いたときbat(バット、こうもり) but(しかし) butt(たばこの吸いさし)なのか区別がつきません。

これらの理由から、英単語の発音を確認するときに毎回音声を再生すると効率が悪くなってしまいます。そこで活躍するのが「発音記号」です。学校の教科書にも単語の隣に必ず「発音記号」が表記されています。

ところがこれらの記号を覚えるのが面倒なため、先生も生徒もあまり積極的に発音記号を学ぼうとはしません。アルファベットだけでなく【ŋ】【æ】など見慣れない記号も覚えなくてはいけません。

しかし、やり方によっては小学校高学年の子どもにも発音記号を学ぶことは簡単です。そのコツについて説明します。

子どもが発音記号を覚えるためのコツ

まず、子どもが確実に読める英単語を活用します。例えば、dogなら発音記号は【dɔ(:)g】です。dとgはそのままで、口を大きく開けて発音する「オ」に該当する記号が【ɔ】であることが一目でわかります。

同じように、sheなら発音記号は【ʃ:】になります。【:】が音を伸ばす記号であるとわかれば、sが縦に伸びたような【ʃ】がshの部分を表していることが推測できます。

このようにして確実に正しい発音ができて綴りも読める英単語を利用しながら、少しずつ発音記号に慣れていくと、発音記号を見ただけでおよその音を知ることができます。

たとえば「心理学」psychology【saikaləʤi】という注意を要する単語を初めて見たときでも、発音記号を読めると「プシチョロジー」と読まずに最初から「サイコロジー」と発音できます。

私は変わっている子どもだったので、中学1年生のときに辞書の付録についていた発音記号を熟読して、独学で発音記号をマスターしました。そのため新しく単語を覚えるときは、意味よりも先に発音記号をチェックする癖がつき、正しい発音を効率よく学べました。

小学校高学年の子どもならそれほど難しくないので、少しずつ発音記号に慣れさせることを強くオススメします。

まとめ

日本語よりも英語のほうが構成する音の数は多いです。日本人が英語の発音が苦手な理由の一つは、この数の差にあります。

未経験の英語の音を無理やり日本語の音に当てはめても、英語を読んだことになりません。ローマ字は英語の発音とは異なる部分が多く、これも英語学習の妨げになります。

理想としては最初に小学校低学年までに英語教室やオンライン英会話などを利用して、英語らしい発音ができるようにトレーニングさせましょう。ひとつひとつの音がある程度読めたら、アプリを利用して完成度を高めていくといいです。

単語学習の効率を上げるために、小学校高学年からは少しずつ発音記号にも慣れていきましょう。確実に読める単語とその発音記号を比べることにより、見たことのない記号が何の音なのかを簡単に覚えられます。

音に強い子どもの特性を活かして、正しい英語の発音ができる筋肉をつけておきましょう。水泳や自転車と同様、一度覚えると大きくなっても忘れないのでオススメです。

子どもの英会話教室の決め方・選び方を現役講師にインタビュー

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「子どもの英会話教室はたくさんあるけれど、一体どれを選んだらよいのかわからない」という悩みは私の周りのお母さんからよく聞きます。我が家でも子どもが幼稚園の頃、英会話教室を探したことがありその気持ちはよくわかります。

当時、手当たり次第に体験レッスンを受けさせましたが、効率が悪かったと反省しています。やはり事前に英語教室の決め方・選び方に関して「基準」を持っておくことが大切です。

今まさに英会話教室選びで悩んでいるお母さんのために、現役の子ども英会話教室のA先生にインタビューしました。A先生は私の妻の友人で、教室の宣伝とは一切関係なく承諾していただけました。
インタビュー
A先生は現在、自分の英会話教室を経営されながら、小学校で導入された英語の授業の講師としても活躍されています。ご自身は大学時代カナダに留学経験があります。

名前や場所を非公開にすることを条件に、インタビューに応じていただけました。これから子どもの英語教室を探しているお母さんの参考になるように、次のポイントについて詳しく話をうかがいました。

・子どもの英語教育はいつから始めるのがいいのか
・子どもの英会話教室の選び方について
・子どもの英語力を伸ばす方法は何か

インタビューでは、長年の経験に裏付けされた貴重な意見を聞くことができました。これから子どものために英会話教室を探そうとしているお母さんにとって役立つ情報が満載です。

*インタビュアー(私)は管理人と表記します。

子どもの英語教育はいつから始めるのが正解か

・管理人
それでは、よろしくお願いします。はじめに「子どもの英語教育はいつから始めたらいいのか」について教えていただけますか。一部の意見では「小さい頃の英会話は無駄」という話を聞きます。それについてはどう考えていますか。

・A先生
はい、まず3歳以降なら無駄になることはありません。英語学習の開始年齢については、私は何歳から始めても大丈夫だと思います。

ただ、幼稚園から始めた子どもは英語の音に強くなる傾向があります。具体的には、リスニング力が高く、強く発音されない「複数形のs」をしっかりと聞き取ることができます。

小学6年生から始めた子どもでも、「中学校に入る前に英語を好きになれてよかった」と言ってくれています。だから何歳から始めても無駄になったり手遅れになったりすることはありません。

・管理人
音だけで学んだ英語は忘れやすい特徴があります。文字(リーディング・ライティング)を学習に取り入れていくのは何歳くらいからですか。

・A先生
年齢に応じて英語へのアプローチを変えるのは当然です。

私の教室では幼稚園までは読み書きはほとんどしません。アルファベットを見て認識できる程度です。小学1年生でアルファベットを仕上げ、歌いながらフォニックスの基本を身につけます。3文字の単語(web, top, cupなど)は1年生のうちに読めるようになります。

・管理人
文法に関しては小学校5年生くらいにならないと理解は難しいと思います。こちらの教室では英文法をどのように扱っていますか。

・A先生
そうですね。中学校と違っていきなり過去形も現在形も三人称単数現在形のsも混在するテキストを読みます。文法は大雑把な理解を目指しています。小学4年生くらいまでの子どもには「完璧な理解をしないと気持ちが悪い」という感覚はあまりありません。

5年生以上で文法に関して「なぜ」と質問をしてきた子どもには、個別に説明をします。中学校で文法の授業を受けて「ああ、そうだったんだ」と納得できればいいのではないでしょうか。

やはり中学入学前までに英語を始める意義は「英語を好きになる」ことに尽きます。これができなければ子どもに英語教育をする意味はありません。

・管理人
小学校高学年になると照れ臭さから英語の歌を歌わなくなったりゲームに積極的に参加しなくなったりする傾向があります。A先生はどのように対処されていますか。

・A先生
それはよくあります。特に親の参観日は、普段は無邪気に参加しているのに急に大人しくなる子どもは多いです。そういうときに無理強いはしません。本心は楽しいけれど、親を意識して関心がないふりをしているだけだとわかっていますから。

・管理人
小学校高学年から入ってきた子どもが、英語らしい発音をするのに抵抗を示すことはありませんか。

・A先生
ありません。小さい頃から英語を始めた子ども達に囲まれると、「自分も同じように発音しなくては」と意識するようです。英語らしい発音をすることには抵抗は感じていません。

もし周囲が日本語っぽい英語しか話していなければ、英語らしい発音をすることに抵抗を感じるかもしれません。

・管理人
興味深い話です。英語に対する恥ずかしさではなく、周りのクラスメイトと同じようにするという意識のほうが強いようですね。英語が得意な子どもに囲まれたほうが上達も早くなるのでしょう。

これは英会話教室に通わせる大きなメリットかもしれませんね。習熟度別のクラスではなく、あえて英語が得意な仲間に囲まれてみるのも刺激になっていいのかもしれません。

子どもの英語教室の決め方・選び方

・管理人
では、子どもの英語教室の選び方についてお伺いします。もしAさんが自分の子どもをこれから英語教室に通わせたいとき、どのようなポイントに注目しますか。

・A先生
体験レッスンを通じて、お母さんもお子さんも両方が「ここがいい」と感じるところが理想です。

・管理人
かつて私の子どもを英会話教室に入れたとき、大泣きで最初の2回くらいはレッスンにならなかったことがありました。けれども、先生が根気よく対応してくれて徐々に楽しく通うようになりました。

私は無理矢理通わせてしまいましたが、最初に親子で意見が一致しないときはどうしたらいいでしょうか。

・A先生
それは大変でしたね。私の教室でも泣き続けて体験レッスンにならなかったことがあります。そのときに大切なのは、先生がどのような対応をしてくれたかを観察することです。

トラブルがあるほうが先生の実力が見えます。根気よく楽しませようとしてくれる先生なら、しばらくすれば子どもは楽しく通えるのではないでしょうか。

・管理人
では、大手の英会話教室と小規模の教室のそれぞれの長所と短所について教えてください。

・A先生
大手の英会話教室は、教材が研究され尽くされているところがいいと思います。個人で経営しているところは、その先生の考えや実力がすべてなので当たり外れが大きくなるかもしれません。

・管理人
英語が苦手なお母さんでも判断できる英会話教室選びの基準はありますか。

・A先生
先ほどの話と重複するかもしれませんが、先生のとっさのときの対応力を見るべきだと思います。レッスンにはマニュアルがあります。しかし、子どもが想定どおりに答えなかったり機嫌が悪かったりするときに、先生がどのように対応するかはとても大切です。

マニュアル通りに進まなくても機転を利かせて、レッスンを進められる先生は頼れると思います。英語力も大切ですが、講師の人間力はもっと大切です。

英会話教室を選ぶときの注意点:月謝・振替授業の有無・教室の場所

・管理人
先生の能力以外に、子どもの英会話教室について確認しておくべきポイントはどんなことでしょうか。

・A先生
振替授業に対応してもらえるかどうかは大切です。子どもは体調を崩すことも多く、振替ができないと授業料が無駄になってしまいます。

月謝と教材費、初期費用や施設使用料などもきちんと確認しておきましょう。月謝だけを比較してもトータルで比べないと、きちんと比較したことになりません。もっと正確に比較するなら、年間の授業回数を確認して「授業1回あたりのコスト」で比較することが大切です。

車で送迎する必要があるときは、駐車場や車を一時停車できるかどうかも確認したほうがいいでしょう。自転車で通うなら駐輪場の確認も必要です。

英会話教室には設置場所によって2つのタイプに分かれます。私のように個人宅で開いている教室と、大規模な商業施設の中の教室です。商業施設の中にあれば子どものレッスン中、お母さんは買い物ができるので時間を有効利用できるかもしれません。

ただし、同じレッスン内容でもテナント料の違いにより月謝は数千円高くなるのが普通です。私の教室では月謝が6千円なので、同じ内容でも商業施設内の教室だと月謝は8千円です。年間で考えると結構な違いになります。

日本人講師と外国人講師のメリットとデメリット

・管理人
では、日本人講師と外国人(ネイティブ)講師のそれぞれのメリットとデメリットについて教えてください。子どもを英会話教室に通わせるとき、どちらの講師のほうがいいのでしょうか。

・A先生
日本人講師の最大のメリットは、日本人が苦手なポイントをすべて理解しているところです。また、例えば子どもが泣いているときでもその原因がすぐにわかり対応できるので、レッスンが停滞することがほとんどありません。

子どもの学習状況について、お母さんとのやりとりに関しても細かい情報交換が可能です。

一方で、外国人講師に教えてもらうメリットもあります。例えば、子ども達は肌や目の色が異なる人とも抵抗なく接するようになります。外国人に対する恐怖感は確実に減ります。

英会話教室に通って、どれくらい子どもは英語ができるようになるか

・管理人
英会話教室に子どもを通わせれば費用が発生します。そうなると気になるのが「効果」です。例えば、小学1年生から週1回の英会話教室に通った場合、子どもの英語力はどのように向上していくのかについて教えていただけますか。

・A先生
1年でアルファベットの大文字が書けるようになります。小文字はbとdが逆になったりして、完璧に書けるようにはなかなかなりません。単語に関しては、基礎的な食べ物や動物の単語を覚えます。ただし、すべて音声での理解であり文字が読めるわけではありません。

小学2年生になると、アルファベットは小文字もすべて書けるようになります。単語も3文字の単語なら書けます。リーディングも短い単語なら声に出して読めるようになります。

小学3年生では、接続詞(and, but, when, ifなど)があっても簡単な英文なら読めます。この時期から英検5級にチャレンジできます。これが小学3年生用の教材です(管理人に見せる)。
インタビュー2

・管理人
(教材を見ながら)want to doとかHe likes …とか結構難しい英語を理解できるんですね。では、小学6年生から英語を習い始めたら1年でどれくらいのレベルに到達できますか。

・A先生
小学5・6年生で英語を始めれば1年で英検5級にチャレンジできます。ただし、先ほどもお話したとおり、音声面(リスニング・発音)は小さい頃から始めた子どものほうが一般的に有利です。年齢が高くなるほど、文字認識の力が強くなりますね。

週一回のレッスンでも英語が伸びる子の特徴

・管理人
同じように英語教室に通っていても、英語力が伸びる子どもとそうでない子どもがいると思うのですが、何が違うと思いますか。

・A先生
ズバリ、親です。主にはお母さんです。レッスンは週1回しかありません。私の教室では毎日5分の家庭学習をするようにお願いしています。お母さんの協力がなければ、子どもは英語学習を習慣化することはできません。

・管理人
お母さん自身の英語力と子どもの英語力は関係ありますか。

・A先生
まったく関係ありません。やる気を起こさせるような声掛けをしてくれるだけでいいのです。頑張ったらほめてあげることです。これだけで子どもは英語に前向きに取り組むようになります。

私の教室で、子どもの送迎をお父さんがしている方がいます。そのお父さんは、教室に来ると簡単な英語で子どもに話しかけてくれます。英語を話す雰囲気を教室に来る前から作ってくれているので、私もやりやすいし子どもの英語力もどんどん伸びています。

・管理人
学習者本人である子どもの性格についてはどうでしょうか。英語が伸びる子どもはどのようなタイプでしょうか。

・A先生
以前、同じ学年でほぼ同時に入学した男の子二人がいました。一人はよくできる子で、もう一人はそそっかしくて単語をいつも間違えてばかりいました。

しばらくすると間違えてばかりいた子どもの英語力が急激に伸びて、もともとできる子を抜かしてしまいました。お母さんに確認すると、家で毎日時間をかけて一生懸命英語学習を続けていたようです。おそらくお母さんの励ましがあったと推測します。

・管理人
確かに英語の習得までは長い時間が必要なので、粘り強さは絶対に必要ですね。お母さんがほめたり励ましたりしながら、子どもに継続させるのが大切です。

ほめられながら学習を続けると結果が出る。それについてまたお母さんからほめられるとますますやる気になるという好循環が作れるのが理想的ですね。

本日は、長時間のインタビューをありがとうございました。

まとめ

A先生の人柄が暖かく、安心して子どもを任せられる感じが伝わってきました。インターネット全盛の時代であっても、リアルな教室では同年代の子ども達から刺激を受けられるのがメリットです。共に学ぶ仲間は貴重です。

印象的だったのは、子どもの英語教育に関してお母さんの役割がとても大きいことでした。子どもが前向きに取り組めるようなポジティブな声掛けをすることで子どもの英語力は飛躍的に伸びます。

子どもの英語教育の究極の目標は「英語は楽しいと思えること」です。これが達成できれば、子どもの英語教育は大成功です。このことを忘れずに、子どもに合った英語教室を選びましょう。

子どものフォニックス教材選び:3文字英単語攻略法

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英会話教室に子どもを通わせると、子どもは英語を覚えます。ところが英語学習を中断すると、すぐに覚えた英語を忘れてしまいます。

同様に幼稚園~小学校低学年を英語圏の学校で過ごした帰国子女は、日本に戻るとあっという間に英語を忘れてしまいます。それは、音だけで英語を学んでいるからです。

もしあなたの子どもが小学生なら、音だけでなく文字からのアプローチも積極的に試みることをおすすめします。なぜなら、文字から学んだ英語は忘れにくい特徴があるからです。

ところが英語には「文字通りに発音されない」というやっかいな性質があります。そこで役立つのが「フォニックス(綴りと音の関係)」です。

今回はアルファベットを学び終わったあと、次のステップとしてフォニックスをどこまで勉強したらいいのかを具体的に解説します。フォニックスの基礎を身につけると意味不明だった英単語が読めるようになり、さらに「意味を知りたい」という意欲につながっていきます、

とても大事なスキルなので、子どもが楽しみながらフォニックスの基礎を学べる方法を紹介します。

アルファベットと実際の音は違うことを覚えさせる

私の経験上、英語が苦手な中学生のほとんどは「音読」が苦手です。つづりと音の関係(フォニックス)の基礎が身についていないからです。

英語の場合アルファベットを読めても、英単語は正しく読めません。例えば、F(エフ)O(オー)X(エクス)の3文字から出来ているFOXは「エフオーエクス」とは読まずに「フォックス」と発音されます。

これに対して日本語ではひらがなを読めれば、単語や文章を読めます。「き」「つ」「ね」がよめれば3文字の単語「きつね」も読めます。

英語と日本語の決定的な違いに気づかずに、英語に苦手意識を持ってしまう生徒が非常に多いです。残念なことに中学校の英語の先生もこの部分に時間をかけません。そして英語のできる生徒とできない生徒の差はどんどん開いてしまいます。

アルファベット表を活用して基本の「音」を覚える

英語の読み方には「緩いルール」があります。つづりと読み方の関係をまとめたものを「フォニックス」と呼びます。これを理解するためには、アルファベットが「別の音で読まれること」を学ばなければいけません。

別々に覚えると効率が悪いので、アルファベットを学ぶときに一緒に「別の音」を覚えさせましょう。

用意するものは「アルファベット表」です。大文字・小文字だけでなく、その文字を使用した単語とイラストが印刷されたものがいいです。「A/a」だったら、appleとリンゴの絵がセットになっているものです。

alphabet表*引用:「ちびむすドリル英語」(http://happylilac.net/alphabet-s.html)

これを使って「A(エイ)、ア、ア、ア、apple!」「B(ビー)、ブッ、ブッ、ブッ、banana!」のように、アルファベットの読み方(エイ、ビー)と単語に使われたときの音(ア、ブッ)をセットで覚えていきます。

この活動を通じて子どもは「アルファベットとしての読み方と違う音がある」ことを認識します。ここまでがフォニックスの最初の一歩です。

・アルファベット読みともう一つの読み方を覚えるまでが第一歩

実は単語の中では、アルファベット通りに発音されることも少なくありません。例えば、FACEのAはアルファベット読み(エイ)されます。これはアルファベットが読めればすぐに慣れるので特別に学ぶ必要はありません。

先述したように「A(エイ)、ア、ア、ア、apple!」と覚えると、アルファベット一文字に対して2種類の読み方(エイとア)を覚えたことになります。これだけでも読める単語はかなり広がります。

リビング、ランチョンマット、お風呂などに貼って声に出して覚える

アルファベットを覚えるときは、アルファベット表を子どもの目につく場所に複数個所貼っておきましょう。いつでもどこでも子どもが興味を持ったときに学習できるようにするためです。

私の場合は、リビング・お風呂・ランチョンマットの3ヵ所でした。ランチョンマットといってもアルファベット表を写真に撮ってA4サイズにプリントアウトして、それをラミネート加工しただけです。
アルファベット表風呂場
食べ終わって暇なとき、子どもは勝手にブツブツいいながら眺めています。読み方がわからなくなると聞いてくるので教えてあげました。お風呂のとき「A~Kまで言えたらお風呂から出ていいよ」とゲーム風にすると、顔を真っ赤にして必死になってやります。

英語を習い始めたら、アルファベットとそれぞれの基本的な音をセットで身につけます。これが完璧になったら、次のステップへと進みます。

フォニックスの基本は3文字英単語

次は「3文字の英単語を読む」トレーニングです。3文字の英単語は、bag, set, hit, dog, bug のように「子音+母音+子音」の組み合わせによる単語です。

アルファベットとは異なる「音」が身についていれば、それぞれの音を足し算するだけで「3文字英単語」は読めるようになります。

  • なぜ3文字単語か

3文字英単語を選ぶのには二つの理由があります。ひとつ目は「フォニックスの細かいルールに触れなくて済むから」です。

例えば、hatはアルファベットとは異なる音を理解していれば読むのは難しくありません。しかしこれにeを付け足して、hate(ヘイト:を嫌う)という4文字単語にしてしまうと一気に読みが難しくなります。

aは「エイ」のアルファベット読みになり、最後のeは発音されません。初心者である子どもには難しすぎる変化です。

3文字英単語を利用するふたつ目の理由は「扱える単語が一気に増えるから」です。もし2文字だけだと、is, in , on, upなどしか扱えず子どもにとって楽しくありません。

「英語を読めるようになった!」という達成感を子どもに味合わせるには、やはり3文字英単語が適しています。

フォニックスの基本:3つの音を足し算する

実際に教えるときは、まず一文字ずつの音の復習から入ります。ここでは、capを例に説明します。

母:Cを指しながら「クッ、クッ、クッ」
子:「クッ、クッ、クッ」
母:Aを指しながら「ア、ア、ア」
子:「ア、ア、ア」
母:Pを指しながら「プッ、プッ、プッ」
子:「プッ、プッ、プッ」
母:今の音全部足してみようか? 「クッ・ア・プッ、キャップ!」
子:cap!(キャップ)

このような感じでコツを示し子どもに「音を足す」感覚を理解させます。そして、少しずつ自分だけで読めるように導いていきます。

・フォニックスの効果

ここまで1~2か月ほど費やしますが、これができると今まで謎の文字だった英語が一気に意味のあるものに感じられます。

正しい音で読めると、子どもはかなり嬉しそうな反応をします。ここまでくればしめたもので、3文字英単語のフラッシュカード(片方に単語、反対側に絵)で瞬間的に読むトレーニングに移行することもできます。

フォニックスの基本はここまで

3文字英単語が読めれば、基本の終了まであと一歩です。最後の仕上げとしてdiagraph(ダイアグラフ)を覚えてしまいましょう。

ダイアグラフとは子音2字で新しい音を作るペアです。例えば、shで「シュ」・chで「チ」という音になります。全部で8個だけなので一気に覚えさせましょう。

th 【θ, ð】(例)think, then
ch【ʧ】(例)chat
sh【ʃ】(例)shut
gh【f】(例)cough
ph【f】(例)graph
wh【wh】(例)what
ck【k】(例)chick
ng【ŋ】(例)sing

ダイアグラフを学ぶと fishやrich などが読めるようになり、さらに英語学習のスピードは加速します。

私が考えるフォニックスの基本はここまでです。本格的なフォニックスの授業では、もっと細則を扱います。しかし私は深く学ぶことはおすすめしません。

なぜならルールが増えるにしたがって逆に読めなくなってしまうからです。また、ボキャブラリーが増えてくると例外がたくさん登場します。

例えばone, owlはフォニックスのルールでは読めるようになりません。そのためパッとひと目で読めるようにすることが推奨される単語です。いわゆる「sight word(サイトワード)」と呼ばれる単語です。

基礎が終わったら例外も含めて声に出しながら単語を覚えていけば、自然と英単語を読めるようになっていきます。少しくらいの間違いは、リーディングを学習しながら修正していけば問題ありません。

英単語を覚えるときの鉄則とは

英単語を覚えるときの鉄則は「正しい発音→意味→スペリング」の順番を守ることです。

英語が苦手な中学生は「Wednesday(発音はわからない)意味は水曜日。スペリングはウエドネスデイで覚えておこう」と考えます。

この生徒はリスニングを学ぶとき「ウエドネスデイはウェンズデイ」と2つの音で暗記しようとします。バカバカしく感じるかもしれませんが、このような覚え方をしている生徒は意外と多いのです。こんな単語学習では効率が悪すぎて、すぐに頭はパンクしてしまいます。

こんな覚え方をしないように、小学生のうちに英単語を覚えるときの鉄則を身につけて欲しいです。たったこれだけのコツで英語はずいぶんと楽に学べるはずです。

フォニックス教材を使ってゲーム感覚で楽しもう

フォニックスの基礎を子どもに学ばせるとき、市販の教材を利用するのはいいアイデアです。教材といっても高額なものは不要です。3文字英単語(Three-Letter Words)に絞ってカードを使った学習を紹介します。

絵合わせカードでフォニックスを学ぶ

Amazonで「Three-Letter Words」で検索すると多くの教材がヒットします。その中から「3 Letter Words (FlashKids Flash Cards)」Sterling Publishing Co., Inc.を選びました。

このカードは「3文字英単語をアルファベットだけでなく絵合わせによっても並べられる」のが特徴です。価格は467円ととてもリーズナブルです。

3 letter card

割と大きめのカードが届きました。この箱の中に86枚のカード(28単語×3)が入っています。カードの表には「1/3の絵とアルファベット(小文字)」が印刷されています。裏側には「アルファベット(小文字)」だけです。

bag Abag B

イラストは日本の子どもにも親しめる雰囲気のもので、海外の製品にありがちな「クドさ」は感じません。

遊び方

イラスト側を表にして、すべてのカードをランダムに広げます(畳1枚くらい)。次にイラストを参考にしながら3枚のカードを正しく並べます。ここまでは英語がわからなくても参加できるので、弟や妹がいるなら一緒にワイワイやりましょう。

3letterword_card1

cards B次に、イラストの下に書いてあるアルファベットを一音ずつ発音します。

「b・ビー、ブッ、ブッ、ブッ、a・エイ、ア、ア、ア、g・ジー、グッ、グッ、グッ」と子どもに発音させます。ここまではアルファベット表で練習をしているので、問題ないはずです。

大切なのは「音の足し算」です。「ブッ・ア・グッ…bag!」となれば完了です。初めのうちはそれほどスムーズにできませんが、イラストを頼りに少しずつ取り組みましょう。

これを繰り返していくと徐々に3文字英単語が読めるようになっていきます。お母さんの仕事は子どもをほめてやる気にさせるだけです。

裏側の活用

このカードの裏側はアルファベットだけがプリントされています。こちらの面の活用法も考えてみます。

cards C

始めにお母さんが3文字単語を読み上げます。その音を聞いて子どもは「スペリング」を想像しながらカードを並べます。イラストが見えないため、純粋に文字と音の関係を理解していないと単語を作れません。

またお母さんがダイアグラフ(th, sh, chなど)のカードを自作で追加すると「think」などを作れるようになり、さらにバリエーションと難易度を上げられます。こうしてゲーム感覚で楽しみながらフォニックスの基本を身につけられます。

小学校就学前の幼児でも、お兄ちゃんやお姉ちゃんと一緒に遊んでいるうちにフォニックスの基本を覚えてしまうかもしれません。

動画でフォニックスを学ぶなら、リトルフォックスがオススメです。

まとめ

フォニックスは例外や細かいルールが多いので、教育関係者でも否定的な意見を持つ人達がいます。ただ私は、「フォニックスの基本」は身につけたほうが絶対に英語をスムーズに読めると感じます。ただし、細かすぎるルールの学習は不要です。

アルファベットを学んだら、声を出しながらアルファベット読みとは異なる「音」を覚えましょう。それが充分に身についたら、3文字英単語を読めるようにします。3文字の単語は例外も少なく、少し頑張るだけで子どもでも読めるようになります。

3文字英単語の読み方を学ぶときに市販のカード教材を利用すると、弟や妹たちと一緒に遊びながら3文字英単語を学べます。価格も安いので、ひとつ揃えておくととても便利です。

フォニックスの基本が身につくと、少しずつ簡単な英語の本を読めるようになっていきます。文字から覚えた英語は忘れにくい特徴があります。英語学習の効率と定着が劇的に向上するので、時間をかけてしっかりと子どもに教えてあげましょう。

子どもの英語教育に熱心なお母さんへお伝えしたいこと

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あなたは子どもの頃、スポーツをしていましたか? 一生懸命プレーしている試合中、親が「何やってんだ〇〇! もっと速く走れ!」と大声で叫ぶ声が聞こえてきて嫌な気分になりませんでしたか?

私は少年野球をしていましたが、チャンスで打てないときやエラーをしたときに父親の怒鳴り声を聞いて「自分の子どもには絶対にこんなことは言わない!」と誓ったものです。

あれから数十年後。自分が親になり、あれほど嫌だった親の言動と同じことを言ってしまいそうになる自分がいます。そんなときは子どもの頃の自分の誓いを思い出すようにしています。

お母さんが英語教育に熱心なのは良いことです。しかし、それはあくまでも子どもの立場からサポートすることが前提です。子どもを自分の所有物のように扱ったり、すべてにおいて自分の命令に従わせようとしたりするのは間違っています。

英語教育の最悪の失敗は子どもを「英語嫌い」にしてしまうことです。本来、学ぶことは楽しいはずなのに「嫌な感情」を抱いてしまったなら、それは大人の責任です。

子どもが自らの意志で「もっと英語を学びたい」と思えるようにお母さんはサポートしましょう。その際「何を心がけなければいけないのか」について解説します。
勉強中の母娘

英語教育に熱心なお母さんが陥りがちな誤りとは

英語教育に熱心なお母さんに「なぜ、子どもに英語を学ばせたいのですか?」と質問すると、ほとんどの回答は次の3つに集約されます。

ひとつ目は「私は英語が苦手だったので、子どもには得意になって欲しいから」です。お母さんの英語コンプレックスが子どもの英語教育に駆り立てているパターンです。

コンプレックスが強いと子どもの英語教育に熱心になり過ぎる傾向があります。その結果、子どもの適性や自主性を無視して子どもに苦痛を感じさせる危険性が高まります。いわゆる「教育虐待」です。

ふたつ目は「これからの時代、英語を話せるのは必須だから」です。一見合理的に見える答えですが、子どもが成人する20年後の世界で何が必要とされるかなど誰にもわかりません。

私が高校生のとき(1980年代後半)社会の先生が「君たちが大人になったら衛星を通じてテレビ放送されるのが主流になる時代が来るよ」と雑談していたのを覚えています。いわゆる衛星放送(BS)です。

確かにその後すぐに衛星放送は始まりました。しかし、インターネットの出現は先生には予見できませんでした。大人ができる将来予想など現在の延長線でしかなく、まったく新しい未来など誰にも想像できません。

私は人口予想以外の未来予想はほとんど無意味だと思っています。誰にも準備できるものではなく、ただ変化に対応できるようにするだけです。

3つ目の答えは「英語ができると入試に有利だから」です。確かに英検の取得級によっては受験で加点されるなどの優遇措置があったり、大学受験では英語配点が高かったりします。

しかし、子どもの適性もわからないうちから大学進学する前提で話を進めているのは変です。また、入試の配点など小学生くらいの子どもにとっては正直「どうでもいい」話です。

「自身の英語コンプレックス克服」「時代の先読み」「入試における英語偏重」の3つの答えには共通して欠けている観点があります。それは、「子どもの立場で考えていない」ことです。

最悪なのは英語嫌いにしてしまうこと

子どもの英語教育で最悪の失敗は「子どもを英語嫌いにしてしまうこと」です。親のコンプレックスなど子どもには関係のない話です。時代の変化や入試での優位性についても、子どもには理解不能でしょう。

お母さんの意見を押しつけられて無理やり英語をやらされていたら、たまったものではありません。

英語はただの言語です。英語を主言語とする国では普段語として使われています。また、世界共通語としての役割もあり、世界中の人とのコミュニケーション手段として重宝されています。「嫌いになる」対象ではありません。

英語を通じて学べることに楽しさや喜びを子どもが感じられるように、お母さんがサポートするのが理想です。

私も親なのでお母さんの気持ちはよくわかります。私は水泳が苦手で今でもカナヅチです。学生の頃、友達から海に誘われると憂鬱でした。そのため息子には「水泳が得意になって欲しい」と強く思っていました。完全なコンプレックス型です。

しかし、息子も水泳が苦手で、プール教室に通っても全然上達しませんでした。イライラして子どもに文句を言いそうになったこともあります。かろうじて我慢しましたが、子どもに私の気持ちは伝わっていたかもしれません。

幸い指導の上手な先生に恵まれて人並みに泳げるようになり、プールを楽しいと感じるまでになりました。もしあのとき私が口やかましく水泳を押しつけていたら、むしろ私が願う方向と反対の結果になったはずです。

大切なのでもう一度繰り返します。最悪なのは子どもを「英語嫌い」にしてしまうことです。

子どもの立場で考えること

子どもの最大の利点は「好奇心が強い」ことです。この特性を最大限に活用して英語学習をさせると自発的に英語を学ぼうとします。何かに興味を持ったときの子どもの学ぶパワーは相当なものがあります。

私が小学校低学年までの子どもにおすすめしている「英語絵本の読み聞かせ」は、「楽しいストーリーを読みたい」「続きがどうなるのか知りたい」という子どもの好奇心を刺激します。

このとき英語は無理にやらされる勉強ではなく、好奇心を満たすために必要なことです。だから「英語についてもっと知りたい」という気持ちに子どもを駆り立てます。

もちろん面倒な暗記もときには必要です。しかし、その対価として「楽しさ」や「喜び」を得られるとわかれば子どもの英語学習への姿勢が異なってきます。

いったんお母さんの心にある英語への思いは胸にしまっておきましょう。そして、子ども目線でどうしたら知的に楽しく学べるのかを考えてみましょう。

最高にオススメなのが、英語の動画がたくさん見られるリトルフォックスです

英語が得意なお母さんも気をつけよう

強い英語コンプレックスが子どもの英語教育に向かうとあまりいい結果につながらないのと同様に、英語が得意なお母さんが子どもを苦しめてしまうことがあります。

これに関して私にも苦い思い出があります。私は英語が得意でしたし、かつて高校の英語教員でした。ところが自分の息子に英語を教えるとなると、本当に難しいことばかりでした。

もちろん教える内容が難しいのではありません。子どもへの接し方や教え方が難しいのです。恥ずかしい話ですが、子どもにわからない文法用語を多用したり、正確さを求めすぎて怒ってばかりしていたりしたことがあります。

また答えを与えすぎて、子どもが自ら法則を見つけ出す学ぶ喜びを奪ってしまうことも多々ありました。

子どもの英語の伸びが悪く、すぐに自分の誤りに気がつきました。そこで、全面的に指導法を見直しました。本を一緒に楽しんだり、子どもに考えさせる余地を与えたり、不正確な英語でもあえて無視したりするようになったのです。

英語が得意なお母さんも、子どもに英語を教えるときには細心の注意が必要です。

デンマークサッカー協会による「子どものサッカー指導者向け10カ条」

サッカー強豪国であるデンマークのサッカー協会による「子どものサッカー指導者向け10カ条」があります。英語とサッカーは無関係に感じるかもしれませんが、子どもに大人が何かを教えるという点では共通です。

そして忘れてならないのは「デンマークが世界でもトップクラスの教育先進国」であることです。サッカー関係者だけでなく、教育に関係するすべての大人は理解しておいたほうがいい示唆に溢れています。

10カ条の紹介

  1. 子どもたちはあなたのモノではない。
  2. 子どもたちはサッカーに夢中だ。
  3. 子どもたちはあなたとともにサッカー人生を歩んでいる。
  4. 子どもたちから求められることはあってもあなたから求めてはいけない。
  5. あなたの欲望を子どもたちを介して満たしてはならない。
  6. アドバイスはしてもあなたの考えを押し付けてはいけない。
  7. 子どもの体を守ること。しかし子どもたちの魂まで踏み込んではいけない。
  8. コーチは子どもの心になること。しかし子どもたちに大人のサッカーをさせてはいけない。
  9. コーチが子どもたちのサッカー人生をサポートすることは大切だ。しかし、自分で考えさせることが必要だ。
  10. コーチは子どもを教え導くことはできる。しかし、勝つことが大切か否かを決めるのは子どもたち自身だ。

このような10カ条が発表される背景には、サッカー指導において子どもとの接し方に問題のある大人が多いからです。日本だけの問題ではなく世界中で見られる問題です。だからこそ、大人が意識して気をつけなければいけないのです。

英語に当てはめて考えてみる

サッカー10カ条を英語教育に当てはめてみると、私たち大人の振舞いについてどうあるべきかが見えてきます。

1と5は、英語コンプレックスを持つお母さんには特に気をつけてもらいたいです。子どもには子どもの人生があるので、自分の意のままにしようとしてもいずれ破綻します。

私は4・6・9が心に刺さりました。つい答えを与えることで満足してしまい、子どもの頭で考えさせる機会を奪っていたからです。正しいことを伝えることは簡単ですが、本当に子どものためになるかどうかは真剣に考えなくてはいけません。

スイスサッカー協会の保護者むけポスター


おとなのみなさんへ

 

「ぼくたちのゲームを観に来てくれて、そしてぼくたちのこと、ぼくらのサッカーのことを気にかけてくれてどうもありがとう」

 

今日はぼくたちの1日

 

「ぼくたちは、サッカーをするのが楽しくて大好きなんだ。もちろん、ぼくらのうちのだれが勝っても楽しいんだ。でもぼくらにとって一番大事なのはプレーすることなんだよ」

 

だから、プレーをさせておいてください

 

「大声でさわがないでね。相手のチームや応援に対してもフェアな態度をとってね。ミスをしたからって、いちいち言わないで。そんなことを言われたらがっかりだし、言われたからってそう簡単にうまくできるようにはならないんだ」

 

すべてのこどもより

これはスイスサッカー協会が子どものサッカーを観戦する保護者むけに掲示したポスターの内容です。すべての大人はかつて子どもだったのに、いつの間にか当時の気持ちを忘れてしまいます。上記のポスターの内容は私が子どもの頃親に言われて嫌だったことそのものです。

私は少年野球で内野ゴロを打ち試合に負け、父親にけなされました。そのとき「大人になったら俺はこんなこと子どもには言わないぞ」という記憶がよみがえってきました。あなたにも一つくらい同じような経験があるはずです。

自分の子どもには同じ思いをさせてはいけません。

「何のために学ぶのか」の原点を忘れずに

本来「学ぶこと」は楽しいはずです。できなかったことができるようになったり、知識が膨らむと見える世界もグングン広がったりするからです。初めて自転車に乗れるようになって、生活圏が急に広がったときの感覚です。

人間の究極の目的は「幸せに生きること」です。AI(人工知能)の出現によって翻訳機能が完成され英語学習は不要になるという意見があります。本当かもしれないし、違うかもしれません。

しかし、AIには人間の学ぶ喜びを妨げることはできません。あらゆる分野で人間の能力を凌駕しても、知識欲は減退しないはずです。速く走る車やバイクが登場しても、陸上競技で速く走るために一生懸命練習する選手が消滅しないことを見れば明らかです。

私など大人になっても英語の歌の歌詞が聴き取れたり、自分で口ずさめたりすると嬉しいと感じます。翻訳機では決してこの喜びは味わえないでしょう。

人間の本能でいろいろなことを知りたいし、何かができるようになると幸せを感じます。お母さんが子どもの英語学習をサポートするときの接し方を考えるとき、子どもが「学ぶことの喜び」を感じられるように配慮しましょう。

まとめ

子どもに英語を学ばせたいと願うなら、子どもの立場で考えてあげないと「英語嫌い」になってしまう確率が高いです。英語は言語であり、そもそも「嫌い」になる対象ではありません。

例えば親子で英語絵本を楽しんでいて「続きを知りたい」欲求を満たすために学ぼうとするのが、本来のあるべき姿です。お母さんの考えや願望はもちろん理解できます。しかし、それは心の中にしまっておくほうが賢明です。

デンマークの「子どものサッカー指導者向け10カ条」を紹介しました。ひとつひとつ熟読すると、ほとんどのお母さんは一つくらい反省点が見つかるはずです。

「学びたい」「知りたい」という感情は、人間の基本的な欲求のひとつだと思います。そこを刺激してあげられるようにサポートするのが理想的な「英語教育に熱心なお母さん」の姿です。

私も一人でも多くの子ども達が「英語っておもしろい!」と感じてくれるように、お手伝いできればと考えています。一緒に頑張りましょう。

外国人講師vs.日本人講師:子どもが英語を習うならどっち?

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私の近所に英語で保育をするインターナショナルプリスクールがあります。自宅前の道路は子ども達の散歩コースになっていて、ネイティブの先生と歌を歌いながら歩いていきます。

蝶やトンボを見つけるとIt’s a butterfly! と叫んでいる様子や英語の歌を上手に歌うのを見ていると、この年代の子どもにはネイティブ講師が向いているんだろうなと感じます。

一方、小学校高学年の子どもを教えるときは、日本人講師が文法を説明したり単語の使い方を解説したりしたほうが、英語が伸びるケースが多いです。

子どもに英語を習わせるとき、外国人講師から学ぶのがよいのかそれとも日本人講師から学ぶのがよいのか迷うことがあります。

結論からいえば、どちらも長所と短所があり、子どもの年齢や目的に合わせて上手に使い分けるのがベストです。

そして英語の講師を選ぶとき、外国人か日本人かということ以上に大切なポイントがあります。これらのことをしっかりと理解して、お子さんの英語スクールや先生選びに役立てましょう。

外国人講師の長所と短所

外国人講師といっても、英語圏のネイティブとフィリピン人など(主にオンライン英会話の講師)のノンネイティブに分かれます。

今回の記事では両者を分けずに、英語を話す外国人講師として話したいと思います。

外国人講師の長所

  • 英語表現が豊かで自然であること

英語表現が豊富で自然であることは強みです。簡単な英単語を使うときでも、日本人はそのニュアンスに迷うことが多いです。

例えば、watch/see/look atの使い分けです。これくらいなら日本人講師でも説明できますが、英語にはこのような紛らわしい単語や表現がたくさんあります。

英単語が持つニュアンスを感覚的に理解できない日本人講師が苦手な分野です。

・発音やイントネーションがネイティブ

当然ながら、発音やイントネーションが英語ネイティブレベルのため、それをまねして声を出していけば、当然彼らの発音に近くなります。スピーキングやリスニング能力に良い影響を与えるでしょう。

・文化的な違いを教えてくれる

外国語を学ぶときはその国の文化についても深く学ぶことになります。留学や移住経験がない日本人講師の場合、外国の文化について学習者に伝えるのが難しいです。

海外ドラマを見ていた時のことです。クリスマスに主人公の男がヤドリギの下で好きな女性にキスをして次の瞬間「バシッ」と平手打ちされたシーンがありました。

クリスマスのときは、mistletoe(ヤドリギ)の下にいる少女にキスをしていいという習慣を知らなければ、なぜ彼が突然キスしたのか、何がおもしろいのかがわかりません。

外国文化の理解は英語への興味関心を高めてくれるきっかけになります。外国人講師が得意とする分野です。

・子どもが外国人慣れする

何かを鍛えようとするなら、そのものをやるのが一番です。英語でスピーキングを強化したいのに、リーディングばかりしていては成長が見込めません。

海外未経験の子ども達に外国人と話すことに慣れさせたければ、実際にさせるのが手っ取り早いのは間違いありません。

小学校での英語必修化にともない外国人講師が教えることは珍しくなくなりました。私の印象では以前より外国人慣れしている子どもが増えたと感じます。

外国人講師の短所

圧倒的に有利に見える外国人講師にも短所はあります。子どもの先生やスクールを選ぶ際には短所もしっかりと把握しておかないと、過剰な期待をしてトラブルの元となります。

・日本語がわからず親の細かい要望が伝わらない

英会話スクールに子どもを通わせると、講師と親のコミュニケーションは大事です。子どもの性格やレッスンの様子の情報を交換することで、よりきめ細やかな指導ができます。

ところがまったく日本語ができない外国人講師の場合、親が英語を話せない限り子どもについての情報交換をすることができません。

スクールによっては日本人講師が間に入ってサポートしてくれるところがありますが、必ずしもうまくいくとは限りません。

・英文法を上手に説明できない

外国人講師が最も苦手とする分野です。考えてみれば当然ですが、母国語は文法を意識して学んだわけではないので、特別な勉強をしなければ人に教えることはできません。

日本語で例を挙げてみます。「公園に遊びに行く」と「公園でサッカーをする」の「に」と「で」の使い分けを論理的に説明するのは、普通の日本人には難問です。

英文法に関しては日本の学校教育が最も力を入れている分野なので、教えるレベルの差が目立ってしまいます。

・日本人講師ほど細かい配慮をしない

マレーシアに住んでいるときに、息子が通うインターナショナルスクールの担任の先生を見ていて、先生の役割の違いを感じました。

授業が終わりランチタイムになると先生は職員室に移動して、そこでお昼ごはんを食べます。お昼の時間は先生は完全に休み時間です。このときに起きる生徒同士のトラブルは基本的に両者の間で解決します。

このような環境で育った外国人講師と日本の先生しか知らない親の間で何かトラブルが生じると、「なんて薄情なんだ」とか「責任感がなさすぎる」と感じることもあるでしょう。

外国人講師は英語のレッスンについてだけ責任がある、と理解しています。レッスン以外のことについてはノータッチです。

このように英語がペラペラの外国人講師にも長所と短所があります。子どもが5歳くらいまでの幼児には文法から入るアプローチはNGなので、指導に慣れた外国人講師のほうが良い結果が得られることが多いかもしれません。

日本人講師の長所と短所

では、日本人講師の長所と短所について説明します。ここでの日本人講師とは、英語が得意な「日本で生まれ育った人」という意味です。例えば日系アメリカ人はネイティブと同じなので日本人講師ではありません。

日本人講師の長所

・生徒からの細かい質問に対応できる

当然日本語ネイティブなので、生徒からの細かい相談や質問にきめ細かい対応ができます。例えば、「辞書はどれを買ったらいいですか」という質問には、日本人講師でないと適切な回答はできません。

「本領発揮って英語でどのように表現したらいいでしょうか」という質問も、「本領発揮」という日本語を理解していないと正しい答えを返せません。

このように生徒からの英語に関する質問に細かく対処できるのが日本人講師の強みの一つです。

・英文法は得意なので、教え方もうまい

「英文法」に関しては日本の英語教育は成功しています。英文法は語彙とともに英語学習の核となるものです。

小学4年生以上が外国語を学ぶときは、幼児が母国語を学ぶように自然と習得することができなくなります。その代わり、論理的に言語を学ぶ能力が高くなるので、文法を学ぶアプローチは大変有効です。

文法偏重であってはいけませんが、わかりやすく英語の文法、特に語順を子どもたちに教えられる日本人講師は貴重な存在です。

・英語学習者の苦労がわかる

日本語と英語は構造的に対極にある言語で、習得が難しいといわれています。日本人が英語をマスターするまでに約2~3千時間を必要とします。日本人講師はそれだけの時間を英語に費やしてきたので、学習者の悩みや苦労を理解してくれます。

海外に留学しなくても英語をマスターできる、という見本になるため、子ども達にとってはいい刺激になるかもしれません。

日本人講師の短所

・英語表現が不自然

かなりの英語上級者であっても、ネイティブには英語表現の豊かさやスピーキングにおける流暢性はかないません。いわゆるネイティブ表現などは教科書などでは登場しないため、長期間留学した人以外は知らないのが普通です。

発音もコミュニケーションには充分でも、ネイティブ並みとまではいかないことが多いです。日本人講師の英語を何時間聞いても、リスニング力の向上にはあまりつながらないと考えたほうがいいです。

・生徒がなんとか英語で伝えようとしなくなる

日本人講師が相手だと、生徒は日本語が使えるため、必死になって英語を話そうとしなくなります。つい日本語に逃げてしまいます。

苦しみながら英語をつないで何とか相手に伝えるのも大切なトレーニングですが、日本人相手にそこまでする生徒はほとんどいません。

日本人講師は、文法を中心に教える能力は高いです。特に9歳以上の子どもには論理的な英語学習が有効になるため、文法を効率よく教えられる日本人講師のほうが向いているといえます。

先生選びの究極のポイント:〇〇を伝える指導者であるか

ここまで外国人講師と日本人講師の長所と短所をそれぞれ詳しく見てきました。私も両者を比べる機会が多々ありましたが、外国人講師でも英文法を熟知している人も多く、例外はあることをご承知おきください。

最後に、私が考える英語の「先生選びで最も大切な究極のポイント」があります。それは、

「声を出すことの大切さを子どもたちに伝えられるかどうか」

ということです。お母さん達に強調しておきたいのは、「声を出す」重要性を伝えないような先生には絶対に子どもを預けてはいけません。

極端な言い方をすると、その先生がどれくらいの英語力があるかなどはそれほど重要ではありません。それよりも、英語を音読しないと英語は上達しない、というただ一つのメッセージをきちんと伝えられるかどうか、のほうがはるかに大切です。

私はこれまでたくさんの中学生に英語を指導してきました。もちろん私は音読の重要性を事あるごとに強調していますし、授業中も何度もいろいろな角度から音読させます。

しかし、残念なことにこれくらいの年齢になると、なぜか皆声を出しません。残念なことです。

中学入学前までに英語学習は「声を出す」ことが基本ということを身につけるだけで、英語が得意になります。

残念ながら中学になってからだと、ほとんどの場合手遅れです。外国人講師でも日本人講師でも構わないので、子どものうちに英語を口から出すことを上手に促してくれる先生を探すようにすることが、英語を話せる子どもを育てるポイントです。

まとめ

外国人講師にも日本人講師にも長所と短所があります。外国人講師は英語表現が豊かで自然であり、この点については日本人講師はかないません。また、母国の文化に精通しているため、子どもは言語以外のことについても学ぶことができます。

しかし、英語力が未熟な生徒からの質問や親とのコミュニケーションは苦手です。また、英文法については特別な訓練を受けていない限り、日本人講師に軍配が上がります。

日本人講師の良さは、日本人学習者の気持ちを理解し、きめ細かい指導ができるところです。9歳以上の子どもには英文法からのアプローチが効果的ですが、日本人講師が得意とする分野です。

一方、発音や英語表現の豊かさにおいてはネイティブにはかないません。また、生徒は英語を使ってなんとか伝えようとするかわりに、日本語を使って逃げるようになります。

このように外国人講師と日本人講師それぞれに一長一短があり、子どもの成長段階や英語力に合わせて使い分けるのがベストです。

さらに、最も大切なことは英語学習において「声を出す」ことの大切さを子どもたちに伝えられているかどうかです。音読は語学の基本ですが、中学生以降になると生徒は音読をしなくなります。

中学入学前に「英語学習=音読」くらいの習慣を身につけられれば、その後英語が得意になる可能性はかなり高くなります。

講師が外国人か日本人かだけでなく、この点をしっかりと伝えられる先生に子どもを預けることが重要です。.

子どもの英語の発音:ネイティブに近づくのは可能?

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私は中学生になってから英語を学び始めた普通の日本人です。30年以上前になりますが、中学校の先生の発音はお世辞にもお手本にできるようなものではありませんでした。

私は洋画が好きで、NHKで放送された字幕の物をビデオに録画して何度も見ていました。「本物の英語の発音」を耳にする機会が多く、彼らの口の形を参考にしながら何度も発音練習をしました。

その結果、周囲の生徒よりも英語らしい発音に近づくことができました。ネイティブ相手に英語を話しても発音が悪くて聞き返されることは滅多にありません。

しかし、私の息子は5~9歳の間、イギリス人の先生が担任のインターナショナルスクールに通っていました。クラスメイトにも英語ネイティブの子どもが何人もいる環境です。

1年もすると、息子の発音はあっという間に私のレベルを超えました。今では、私の発音をときどき直されることがあります。

このように発音の習得に関しては、幼児期に学ぶのが圧倒的に有利であることは確かです。しかし、小学生でもコツさえつかめばコミュニケーションには困らない程度の発音を身につけることは難しくありません。

今回は子どもの英語の発音を上達させるための、親が取るべき作戦について解説します。

子どもの英語の発音が良いほうがいい2つの理由

芸能人がたどたどしい英語を話して海外ロケをする番組が人気です。発音があまりにもひどいため現地の人から何度も聞き返されている様子が笑えます。

バラエティ番組としてはおもしろいのですが、これを見て「発音なんか日本人のカタカナ発音で良いのだ!」と開き直る人が多いのが気になります。

どうも「なぜ英語の発音を良くしなければいけないのか」について、理解が不足しているようです。英語の発音が下手なままではいけない二つの理由について、説明します。

相手に無用の負担を強いるから

さきほどの番組で、現地の人が根気よくヘタクソな英語に付き合ってくれるのは、親切心からです。「困っている人がいるから助けてあげよう」とか「撮影しているようだから、付き合ってやるか」というのが本音です。

対等の立場で話をするときに、英語として認識されないようなレベルの発音なら、相手にされません。ましてや仕事でこちらが相手にお願いする立場なら、ひどすぎる発音は完全に不利です。

「下手でも構わない」というのは話す方の理屈であり、聞かされるほうはたまったものではありません。相手に無用の負担を強いていることを意識して、最低限、通じるレベルの発音を身につけようと考えるのが礼儀です。

リスニングが得意になるから

発音が下手すぎる人のほとんどはリスニング力が低いです。英単語を自己流の音で覚えているので、本物の音を聞いたときに、音と意味が結びつかないからです。

例えば、I bought some oranges at the supermarket.(スーパーでオレンジを買ったんだ)という英語を日本人っぽく発音したとします。

boughtをboatと同じ音に、orangesをカタカナ発音で「オレンジズ」、supermarketは前にアクセントをつけずに「スーパーマーケット」と平坦にカタカナ読みします。

実際、このレベルの発音はそれほど珍しくありません。運が良ければ通じるかもしれませんし、突然話しかけたら「へっ?」という顔をされるかもしれません。

では、ネイティブがこの英文を口にしたときに、普段、めちゃくちゃな発音で覚えている日本人は意味を理解できるでしょうか。当然、できません。

最初からネイティブの発音をマネして覚えておけば、リスニングのときの負担はぐっと軽くなります。このように、発音を良くすることは英語を通じやすくするだけでなく、リスニング力を向上させるためにも必須です。

子どもの英語の発音上達法

では、子どもの英語の発音はどのようにしたら上手になるのでしょうか。先述の通り、この分野に関しては幼児のほうが高い適応力があるのは確かです。

そこで子どもの年齢を6歳未満と小学生以上に分けて説明します。

6歳未満の子どもが英語の発音を良くするための方法

極論ですが、あなたのお子さんが6歳未満なら、英語環境に放り込むのが一番です。英語圏の国に行き、3か月間プレスクールなどに通わせるだけで見違えるほど発音が上手になります。

人間には言語習得の本能があって、幼児期なら文法を介せずに言語を覚えることができます。数カ月程度だと英語を話すところまではいきませんが、歌を歌ったり単語レベルでも声を出していれば、かなり上達します。

私の印象ですが、この年齢の子どもの場合、先生から教わるというよりは周囲の子どもからの影響が最も大きいです。周りの子ども達がネイティブなら、それを見ながら自分も同じような発音をまねるようになります。

私の子どもはマレーシアにいたため、チャイニーズ系マレーシア人の家庭で育った子どもとも仲良しでした。彼らの間で「なまった(チャイニーズ系のような)英語」をふざけて話すのが一時的に流行していて、帰宅後もそのマネをしていました。

もちろん冗談だとわかっているので、きちんとした発音との区別はできます。

ただ、周りの子ども達の発音に与える影響はとても大きいことは私にもわかりました。

日本国内にいても、英語のプレスクールに通わせてみるなど、これに近い環境は作れるかもしれません。

子どもは環境に敏感で、周囲が誰も英語らしい発音で話さない中で一人だけネイティブのように話すというようにはなりません。

小学生以上の英語の発音上達法

7歳を過ぎると、幼児のように理屈無しで英語を覚えるようにはなりません。大人と同じように意識的なトレーニングが必要となります。

発音に関しては小学生のうちにある程度仕上げておいたほうが圧倒的に有利です。中学生になると恥ずかしがって声を出さなくなるため、英語らしい発音が身につきづらくなります。

小学生以上が発音を良くするためには、「日本人が話す英語がなぜ英語らしく聞こえないのか」という原因を知ることが一歩になります。そのあと、対策を講じたりトレーニングを積むことが大切です。

  • カタカナとローマ字百害あって一利なし

カタカナとローマ字は、英語の発音を台無しにする諸悪の根源のひとつです。英語をカタカナに変換する際、正確な音やスペリングは失われてしまいます。

またカタカナには和製英語と言われるオリジナルの英語からかけ離れたものが多く存在します。night gameが「ナイター」になってしまったのは有名な例です。

もうひとつの典型的なパターンは、二重母音(母音が連続する音)がカタカナでは「-(音引き)」に置き換えられてしまうものです。

major league → 「メジャーリーグ」(メイジャーと表記すべき)

notebook → 「ノート」(ノウトと表記すべきだし、ブックはどこへ消えた?)

私が生徒に英語を教えるときは、カタカナになっている英語を覚えるときは注意するように指導しています。「意味を覚えるのにはカタカナは役に立つけれど、発音はしっかりと本物の英語のほうをチェックするように」と何度も伝えます。

また、ローマ字も私は日本人の英語学習において弊害しかないと考えています。ローマ字は英語と何の関係もなく、日本語の音を英語に無理やり当てはめただけです。つまりローマ字は日本語です。

ローマ字は小学3年生くらいで、国語の中で教わります。「ふ」はFUと書くように指導されるのでしょうが、fを英語の【f】の発音では読みません。

これではローマ字など最初から指導しないほうが、英語学習には良い影響を与えるはずです。英語の発音に関しては、ローマ字を習う前までに始めたほうがよいというのが私の持論です。

日本語にはない英語の音を出すトレーニングをしよう

カタカナ英語やローマ字の件からもわかるように、英語本来の音を日本語の音の枠に押し込めることが問題です。英語の音の数は日本語よりも多いため、日本人にはなじみのない音を追加して覚える(発話してみる)トレーニングが必要です。

代表的な音を列挙してみます。

【f/v】 five, voice 「フと読んでしまう」

【l/r】 light, right「ら行の音で読んでしまう」

【ʃ/s】 she, see「区別せずに発音してしまう」

【θ/s】 think, sink「シと読んでしまう」

【ð/z】that 「ザットと読んでしまう」

「  」に日本人の典型的な発音例を挙げました。これらは意識して何度も何度も音を出しながら練習しないとなかなか修正されません。

英語の先生に指導してもらったり、自分で英語を音読した声を録音して聞いてみるのも一つの方法です。

英文を読むときに強弱をつけよう

発音そのものだけでなく、強弱のリズムが英語と日本語ではまったく異なります。これをマスターしないと、英語らしく聞こえることは永遠にありません。

次の英文を音読してみましょう。

I played the piano.(私ピアノを弾いた)

私が英語を教えてきた生徒の99%はこの文章を平坦によみます。しかし、英語を読むときは、強く読むべき場所と弱く読むべき場所を分けなければいけません。

一応、ルールのようなものがあるので簡単に挙げておきます。

代名詞は弱い

動詞は強く

冠詞は弱く

名詞は強く

さらに、単語の音どうしが干渉して「くっついたり」「変化したり」します。先ほどの例だと、played theは別々に発音されず、「プレイッザ」のように聞こえます。

これらを総合すると、次のようになります。

一語一語の単語の発音だけでなく、文を強弱つけて読めるようにすると、英語らしく聞こえるようになります。

大切なのは「ネイティブのように話したい!」という強い思い

書店に行けば発音に関する本はありますし、動画サイトなどでも詳しく説明しているので、いろいろと参考にしたらいいと思います。

しかし、最も大切なのは、「ネイティブのように話したい!」という強い思いだと私は思います。「まあ、いいや」と妥協してしまうと、発音トレーニングに力を入れないためいつまでたっても上達しません。

現在の日本の英語教育では発音のうまい・下手は成績にほとんど反映されないため、上達しようというモチベーションが育ちません。

動機は何でも構いません。「好きな歌を完コピしたい」「憧れのハリウッド俳優のようにしゃべりたい!」という動機があると、英語の発音トレーニングを頑張るという行動に向かわせてくれます。

「テストが乗り切れればいいや」としか英語を捉えていない生徒は、残念ながらほとんどの場合、発音が上手になることはありません。英語を教科としてとらえているか、コミュニケーションの道具としてとらえているかの違いです。

お母さん自身の英語の発音が下手でも構いません。子どもが自然と本物の英語にあこがれを抱くように少し工夫してみましょう。「ネイティブのように話したい!」と思うようになれば発音が上手になるチャンスは大きいです。

まとめ

英語の発音は2つの点で大切です。発音が良ければ、聞き手に負担を感じさせないため、コミュニケーションが円滑になります。また、良い英語の発音は、リスニング力の向上にもつながります。

発音の習得に関しては、6歳未満の幼児が圧倒的に有利です。最も確実な方法は、英語ネイティブの子ども達がいる環境に放り込むことです。

この年齢の子どもは先生よりも周囲の友達に最も大きな影響を受けるため、周囲の英語の発音をすぐにまねします。

幼児期を過ぎてしまった小学生でも、ポイントを押さえたトレーニングをすれば発音は上手になります。

そのためにはカタカナ英語から離れ、英語本来の音で覚えなければいけません。日本語の音にはない英語独特の発音を覚えることが大切です。

また個別の単語の発音だけでなく、文章として読まれるときの強弱にも気をつけるようにしましょう。

年齢が上がるほど英語らしい発音を身につけるのは大変になります。発音のトレーニングを続けるためには「ネイティブのように話したい!」という憧れを持つことも重要になります。

子どもが本物の英語に触れるような環境や機会を作ってあげましょう。お母さん自身が英語の発音が苦手でも、きっと子どもは前向きな気持ちで発音トレーニングをするようになります。

中学入学前までに英語を音読する習慣を

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先日、電車に乗ると、私の目の前に2歳くらいの男の子とお母さんが座っていました。電車内が混雑してきて、男の子がぐずり始めてしまいました。

するとお母さんが、バッグや服の色を示しながら色の名前を教え始めました。男の子はお母さんの言葉をまねして発話しています。ところが、「ももいろ」と何度お母さんが教えても、男の子は「ももいろ」と言えず、「もいろ」と間違えてしまいます。

お母さんも男の子も笑いながら同じことを繰り返しました。

言葉のまねにも飽きて5分ほど沈黙した後のことです。男の子が突然、もも色を指さして、「ももいろ」とつぶやいたのです。お母さんも子どもも大喜びでした。

この光景を見ていた私は「やはり、音読が語学の基本なんだな」と確信しました。私たちは忘れていますが、母国語を覚えるときもこの親子のように数限りない音読練習をしたはずです。

しかし、英語学習になると、ほとんどの子どもはなぜか黙々と勉強します。この傾向は年齢が上がるにつれて顕著になり、中学生になるとほとんどの生徒が音読することを避けるようになります。

原因は「音読をすることへの抵抗感」です。「間違えたら恥ずかしい」「下手くそな英語を声にするのが格好悪い」などと感じるのでしょう。

私は現在も中学生に英語を教えていますが、なかなか素直に音読する生徒に出会うことは少ないです。

「なんとか中学前に英語を音読する習慣をつけさせたい」

私はこのように強く思っています。「英語学習とは音読すること」くらいの意識で取り組めば、英語が得意になる生徒の数はかなり増えるはずです。

今回の記事では、音読が大切な理由と簡単な取り組み方ついて詳しく説明します。

英語学習の基本は音読

近年、一般の人達にも「英語の4技能」という言葉が浸透してきました。

語彙力と文法力を中心に、4つの技能は関連している。

これは「聞く」「話す」「読む」「書く」という4つの技能を指しています。学校のテストでは「読む」「書く」が重視されていますが、実際の英語を使う現場では同じくらい「聞く」「話す」技術も大切です。

英語は入試の一科目として存在しているわけではありません。コミュニケーションのための道具と考えるのが自然です。「聞く」「話す」の技能に直結する音読によるトレーニングを軽視していいはずがありません。

学校では音読の価値や方法について指導されない

英語が得意な人は音読の価値を理解しています。学校で英語を教える先生達も音読を大切に思っているはずです。

しかし、実際の授業の中で、音読についてきちんとした指導がされることはほとんどありません。「時間がない」「他にやるべきことが多すぎる」などの理由は理解できますが、大変残念です。

「音読」の習慣化について学校に期待するのは難しいのが現状です。そうなると小学生のうちに家庭で指導するしかありません。英文を見たらとりあえずブツブツ音読するくらいまでに習慣化してるのが理想です。

では、なぜ音読することが英語学習においてそんなに大切なのでしょうか。

音読のパワー:文法や語法の知識は音読して使える状態となる

例えば、中学生に英語の冠詞「a,an」について教えるとき、学校の先生や教科書の説明は次のようになります。

数えられる名詞で1つの物(人)のときには、名詞をつける。名詞が読まれるとき母音から始まる単語には、anをつける。

ほとんどの生徒はこのルールを理解します。例えば、bookならa bookに、eraserならan eraserと答えられます。

でも、「私は彼女に一時間前に会った」という英作文をさせるとかなりの生徒が、

× I met her a hour ago.

と書いてしまいます。

正解は、hourの発音は母音から始まるので、

〇 I met her an hour ago.

なぜこのような間違いをしてしまうのでしょうか。それは、anを使う条件を知識で覚えているからです。

正しくan hourと答えるためには、まず英語を音読する習慣が必要です。テスト中静かにしなければいけない場面でも頭の中で音声化しているかどうかが鍵になります。

an hour(「アナワー」と発音)を音読した経験があれば、a hourだと読みづらかったり何か変であったりすることに気がつきます。理屈だけでなく耳で覚えている感覚です。

音読を英語力向上につなげられるかどうかのポイントは、読む英文について正しく理解しているかどうかです。単語の意味、文法、語法、発音、アクセント、イントネーションなどすべてを理解してから音読練習するようにしましょう。

意味も分からずに音読するのは、何の役にも立ちません。

ネイティブに英語を質問すると、ブツブツつぶやいてから答える

ネイティブに英語の表現について「こういう言い方はしますか」とたずねると、かなりの確率でブツブツ英語をつぶやいてから答えてくれます。

ネイティブも知識として語法を覚えているだけでなく、実際に口で言ってみることで正しいかどうかを確認することが多いです。

私たち外国人が英語を学ぶなら、なおさら英語の表現を文章ごと音読する訓練を積まなければなりません。

このように、英語を知識として学ぶだけでなく、この知識を使える状態のレベルにまで引き上げるための訓練が音読ということになります。

英語を見たらとりあえず音読:教材にこだわらない

本格的な音読トレーニングにはそれに適した教材と方法があります。しかし、今回の記事ではもっとお手軽な方法について説明します。

英語のテキストや問題集に取り組むと、必ず例文が載っています。その例文を何度も声に出して読むことで、知識を使えるレベルにまで変化させることが可能となります。

例えば、homeは意外と使い方が難しい単語です。

I came home at six.(私は6時に帰宅した)

よくやってしまう間違いが、

× I came to home at six.

という間違いです。homeは「家に(帰宅)」という意味の副詞なので、前置詞のtoは不要です。

もうひとつ紛らわしいのが、at homeという表現です。この場合は、「家に(在宅)」を意味します。

My father was at home when I gave a call to him. (私が父に電話した時、彼は家にいた)

さらに「家」という名詞を使いたい時には、普通はhouseを使います。

He built a house. (彼は家を建てた)

さて、これらのhome, at home, houseの使い分けについて、知識として覚えるのは効率の良い勉強法といえるでしょうか。私も含めて普通の人は、丸暗記した知識はすぐに忘れてしまいます。

でも、それぞれの例文を丸ごと何度も音読して暗唱できるようになっていれば、間違えることはないでしょう。

問題集に取り組むときも音読してみる

例えば、英検の問題集をしていて次のような問題があったとします。

問題( )に入る最も適切なものを1~4の中から一つ選びなさい。

My school starts at 7:45, so I  (   ) my house at 7:15.

1 ride   2 go  3 take  4 leave

正解は4です。

この問題文には大切な語法がいくつも含まれています。

starts の s は三単現の s 、時刻を言うときは at を使う、leave ~で「~を発つ・離れる」、家(建物)の意味のときはhouseを使う、などです。

こんなに大切な学習ポイントがたくさんあるのに、〇か×だけで終わらせるなんてもったいなさすぎます。私が指導するときは、たとえ正解してもこの文章を丸ごと暗唱させます。

テストで間違えたところの正解文については、最低40回くらいは音読することを生徒に伝えています。真面目にやっている生徒は確実に英語の成績が伸びます。

英会話の場面ですぐに口から出せる表現は、何度も音読した表現だけです。本当に簡単な方法ですが、実践する生徒はわずかしかいません。

このように、音読教材用の短いストーリーを扱う本格的なものとは別に、文法の教科書に出てくる短い例文でも何度も音読することは英語学習においてとても大切なポイントとなります。

お子さんが静かに英語を勉強していたら、注意しましょう

日頃、子どもが英語の勉強をしているときに、静かに机に向かっていたらあまり良くない傾向です。反対に、ときどき声を出して英語を読んでいれば、順調です。

例えば単語を覚えるときにも音読練習が基本となります。小学生時代の漢字書き取りの習慣からなのか、英語をひたすら紙に書いて覚えようとする子どもが多いです。しかし、これは非常に効率が悪く、使える英語につながらないのでやめましょう。

単語を覚えるときの順番は、1)正しい発音・アクセントで何度も音読する、2)意味の確認、3)スペリングを覚える、の3ステップが基本です。

音読するときにはカタカナ発音しないように注意しましょう。thingという単語を覚えるときにいい加減に「シング」と発音すると、単語を書くときに「sing」とか「shing」と書いてしまう原因になります。

正しい発音は正しいスペリングにもつながります。最後に実際に書いてみて確認してみましょう。しかし、音読「9」に対して書く「1」の比率で充分です。単純に読み上げる方が書くスピードよりも5倍は早いので効率が良いからです。

文法・会話・単語など英語の学習の基礎はすべて音読です。私もかつて中学生の頃、何度も英語を音読した翌日は口の周りの筋肉が筋肉痛になりました。英語の筋肉をつけるまでに時間がかかりましたが、確実に英語力は伸びました。

まとめ

音読は英語学習の中心となるものですが、中学生になるとほとんどの生徒は音読することに消極的です。恥ずかしさが主な原因です。私たち日本人でも日本語を覚えるときに数限りない音読と失敗を重ねていますが、そんなことは忘れてしまうようです。

しかし、これではいつまでたっても英語を得意にはなりません。

そこで英語を音読する習慣を小学生のうちに身につけさせることが成功の鍵となります。

音読は、英語の知識を使える状態にするための訓練です。英語が苦手な生徒は文法を知識のまま覚えようとして失敗します。反対に、理解した文法事項を含む例文を何度も音読すると、使える状態になります。

単語学習でも、小学生の時の漢字の書き取り練習のように黙々と書き連ねている生徒が多いのですが、これでは英語を得意にはなりません。ここでもやはり何度も音読することが大切となります。

英語を習い始めた小学生のお母さんにはぜひ、子どもが静かに英語を勉強していないかチェックして欲しいと思います。英語は体育や楽器のような技能教科です。

音読せずに黙って問題集に向かっているのは、素振りをしないで野球を上手になろうとするようなものです。中学入学前までに英語音読の習慣を家庭で身につけるようにアドバイスしましょう。.

子どもの英単語:生活の中にある英語を利用しよう

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突然ですが、「あなたの周りに英単語はいくつあるか」教えてください。目をつぶって。ハイ、始め!

どうでしたか? 「一つもありません」と答えたお母さんが多いと思います。では目を開けて、今度は英語を探すつもりでぐるりと部屋の中を見渡してください。カレンダーの曜日の「Sun」、電源タップの「on」、電気ポットの「push」など次々に見つかるはずです。

普段の生活圏にたくさん英語があるのだから、これらをフル活用して子どもの語彙力を増強しましょう。勉強を前面に打ち出すと子どもは逃げ出します。ゲーム感覚で取り組むことをおすすめします。

身の回りの英語はこれから何度も目にします。繰り返し触れることで、忘れにくくなる効果があります。ぜひ、最後まで記事を読んで、さっそく取り組んでみましょう。

子どもの身の回りの英単語を利用しよう

「日本人が英語を話せないのは、英語を使う環境がないから」という指摘は一理あります。確かに日常生活で、英語を話す場面はほとんどありません。

しかし、日本は英語で溢れています。カタカナ語も含めて、外に出ると英語やその他の言語で書かれた看板・ポスターなどを頻繁に目にします。

「子どもに英語に興味をもってもらいたい」と思うなら、まずは生活圏に「英語」を見つけて、興味を持たせるところから始めましょう。

近所の看板に注目しよう

休みの日、子どもと外に出かけるなら、とりあえず近所の看板に注目してみましょう。「ウチの近所には英語の看板はそんなに多くない」と思うかもしれません。

しかし、それは普段あまり意識せずに素通りしているからです。子どもとゲーム感覚で、近所の英単語を探し出し、その意味を予想したり調べたりするだけでもいい勉強になります。

カラーバス効果とは

有名な心理学用語で「カラーバス効果」というものがあります。何かを意識すると、それに関係する情報が目に飛び込んでくる現象です。

私が今の場所に引っ越しをして3週間が過ぎた頃のことです。髪が伸びたので床屋さんを探しに外に出てみると、たくさんの床屋さんがあることに初めて気がつきました。

引っ越してから3週間、同じ景色を見ていても床屋さんの存在にさえ気づきませんでした。これはまさしく「カラーバス効果」によるものです。

あなたの近所にもきっと英単語が溢れているはずです。子どもに「今日は〇〇に出かけるよ。途中で英単語を見つけてみよう」と声をかけてみましょう。少し意識するだけで、普段まったく気づかなかった「英単語」をたくさん見つけ出せます。

子どもが英単語を得意になるテクニック

私は中学生の頃から英語が得意でした。あるとき気づいたのは、「他の生徒より私のほうが単語に関して敏感だ」ということでした。

当時流行していた洋楽バンドの「カルチャー・クラブ」が話題に出たとき、「カルチャーって何?」と気になりました。友達のCDジャケットで綴りを見て辞書で調べました。

「cultureって文化のことか。そういえば駅前にあるカルチャー・スクールっていろんな習いごとをするところだから、文化って言葉が使われていたんだ…」

このように、一語調べたらできる限り別の何かと関連づけるのが習慣でした。当時は意識をしていませんでしたが、これは記憶を定着させるのにとても良い方法です。

もちろんすべての単語をこのように展開できるわけではありません。無理矢理暗記するしかないものも結構あります。しかし知らない単語に出会ったときのちょっとした行動習慣がその後の語彙力にかなり影響を与えるのは間違いありません。

頻繁に思い出すと忘れなくなる

英単語に対して敏感になるのも大切ですが、やはり人間は忘れます。「覚える→忘れる→再び覚える→忘れる→覚える」という反復をすることで、記憶は定着していきます。

子どもと街歩きをして英語を集めて、一週間経って再び同じコースを歩いたとき、子どもはカラーバス効果により再び同じ単語を目にします。ここで忘れかけていた意味を思い出すかもしれないし、忘れてしまっているかもしれません。

そこでお母さんが「〇〇はこういう意味だったっけ?」とヒントを出せば、記憶は定着していきます。そのあとまったく別の場所で別の文脈で同じ単語を見たとき、さらに単語の意味はより豊かな形で記憶に残っていきます。

ボキャブラリーの増強はこれの繰り返しです。すべての単語をこのように覚えられるわけではありません。単語集を使わないと、いつまでたっても登場しない単語もあります。しかし、実体験に基づいた単語は「忘れにくい」特徴があります。

ぜひ、子どもと外出するときは英単語を意識させてみてください。このときくれぐれも「勉強っぽさ」を出さずに、ゲーム感覚を演出するように心がけましょう。

街に出て英語を探そう

まずは、論より証拠。私が昨日、駅の反対側にある床屋さんへ往復した間に見かけた英単語(英文)を集めてみました。自分でもびっくりするくらいたくさん見つけられました。

Rental Dance Studio
rental dance studio日本語では「スタジオ」ですが、英語の場合「ストゥディオ」と発音します。「お金を払って、ダンスをする場所を提供している看板だよ」と子どもに教えてあげると、何の看板かわかるようになります。

FOR RENT
for rent

アメリカ映画を観ていると、家の前に立つ「FOR RENT」の看板を目にします。rentは名詞で「賃貸料」のことなので、「FOR RENT」で「賃貸用(に募集中)」の意味です。

同様に「FOR SALE」は「売り家」のことです。

82 seats/ 18 seats
seats

何気ない看板ですが、学ぶことは多いです。まず、数字を読めるでしょうか? 「Eighty-two, Eighteen」です。次に、seatの読み方のコツは、最初のsを隠すと「食べる」意味の「eat」になります。

偶然、ハンバーガーショップなので、seatのついでにeatも関連付けて覚えてしまいましょう。

Station Information/ Guide Map
station information

観光地に行けば「i」のマークはよく見かけます。informationのことです。

ENTRANCE
entrance

「entrance」は名詞なので入口、動詞に変わると「enter」で「~に入る」意味です。注意しなければならないのは、「toやintoなどの前置詞は不要である」ことです。

例文)The train entered a tunnel.(電車はトンネルに入った)

West Exit
west exit

まず、「exit」は「出口」のことで、「entrance」の反意語です。

次に方角の「west」を覚えたなら、ついでに他の方向も覚えてしまいましょう。

QUEEN’S ISETAN
queen's isetan

200メートルの距離に「QUEEN’S ISETAN」と「BURGER KING」があるこの街はさながら「王国」(kingdom)です! 「Queen’s」の「’s]は所有を表しているので「女王の伊勢丹」の意味になります。

WHOPPER
whopper

バーガーキングで限定販売中だった「whopper」【名詞】は「途方もなく大きいもの」の意味です。試しに注文してみると、隣のチーズバーガーよりもふた回りくらい大きかったです。私はこの単語を初めて知りましたが、体験と結びついたので意味を忘れることはないでしょう。

Elevator
elevator

イギリス英語だと「lift」と表記されます。

Tickets/ Charge
tickets

交通形ICカードをチャージするときは、英語では「top up」とか「load」を使います。英語の「charge」は「請求する・充電する」意味になってしまいます。

BURGER KING
burger king

BURGER KINGで「バーガーの王様」の意味です。

MAKE A DIFFERENCE/ THIS SUMMER/ ANYTIME FITNESS
anytime

「different」【形容詞】は「異なる」で、その名詞形が「difference」です。「make a difference」で「違いを作れ!」という意味です。スポーツジムのキャッチコピーです。

「anytime」は「いつでも」の意です(ここは24時間オープンがウリのジムです)

3 COINS
3 coins

100円硬貨3枚で買えるから「3 coins」。

TAXI
taxi

「take a taxi」で「タクシーに乗る」の 意味です。

STAFF
staff

「staff」はほとんど日本語化していて意味は「スタッフ」です。難しいのは「staff」は集合名詞(複数のグループを一つのものとして扱う)なので「I am a staff.」と言えません。正しくは「I am a member of the staff.」です。意外と奥の深い単語です。

Billiards/ Darts
darts

billiardの綴りを注意深く見ながら、発音してみましょう。カタカナ読みすると「ヤ」に相当する「y」は含まれていません。指で綴りを追いながらゆっくりと読み上げる練習をすると、フォニックス(綴りと発音のルール)の練習にもなります。

We are Reds! / We are supporting Urawa Reds.
reds

「We are ~.」でbe動詞の現在形まで学習できます。

片道10分でも、こんなにたくさんの看板やポスターに英語を見つけられました。次に、これらの単語を効率よく覚える方法を紹介します。そしてその単語を関連付けたり、横に展開したりして、さらに豊かな語彙力を身につけるための工夫を説明します。

語彙力増強法

さきほど集めた近所の英語を使って、子どもにどのように与えると英語が得意になるかを説明します。集めたままにするのではなく、この「ひと手間」をかけることによって、子どものボキャブラリーは何倍も豊かになります。

正しく読んで反復する

お母さんにぜひ実践して欲しいのは、新しい単語に出会ったときは子どもに「正しく音読させる」ことです。まずは、綴りを見ながら一緒に発音してみましょう。もし、読み方がわからなかったら、音声付きの電子辞書やスマートフォンで調べましょう。

意味を調べるのは「正しく音読できた」あとです。読めない単語は「使えない単語」だからです。

では「正しく読めて意味がわかった」ら、次は覚えた単語を関連付けたり「横に展開」させたりしてボキャブラリーを膨らませます。

反意語

集めた単語を眺めてみると、反意語(反対の意味を持つ言葉)やペアやグループで覚えたほうがいい言葉に気づきます。

king/ queen(王/女王)

entrance/ exit(入口/出口)

east/ west/ south/ north(東西南北)

品詞を変えてみる

dart【名詞】ダーツ(の矢)【動詞】さっと動く

例文 The lizard darted to the bush. (トカゲは草むらへさっと動いた)

ダーツの矢と同じように、「ス―ッと移動する」イメージはつかめましたか?

rent【名詞】賃貸料、 rental【名詞】家賃、賃貸し【形容詞】賃貸の

子どもには「賃貸とは何か」を説明する必要があります。英語を学ぶことは日本語の理解を深めることにもつながるので、面倒くさがらずに教えてあげましょう。

複数形

seats/ tickets/ darts/ coins/ billiards/ reds

名詞にsをつけるだけの単純なものばかりですが、読み方に意識を向けましょう。無声音で終わる場合は【s】、有声音で終わる場合は【z】の音になります。

無声音とは声帯を振動させないで出す音です。のどに指をあてて発音しても、振動を感じなければ無声音です。反対に、振動を感じるときは有声音といます。

seat, ticket, dartの t の音は無声音(声帯が振動しない音)なので、s をつけると「ツ」の音になります。反対にcoin, billiard, redのn, dの音は有声音なので、「ズ」の音です。

文法

We are reds./ We are supporting reds.

埼玉県の浦和はサッカーの街で、いたるところに「浦和レッズ」の存在を感じます。毎日、「We are reds.」と声に出して読んでいれば、「Weのbe動詞は何だっけ」と考えなくても出てくるようになります。

「We are supporting reds.」には現在進行形(be+-ing)が使われています。

現在の状態「私たちはレッズを応援しています」を表しているので、本来は「We support reds.」の現在形で表現するべきです。おなじような例でマクドナルドのCMでも「I’m lovin’ it」がありました。

あえて進行形にすることで、躍動感を演出していると思われます。ちなみに、supportに-erをつけるとsupporter(サポーター:応援する人)になります。

ケガしたときに使うサポーターも「支える」意味が中心にあります。ケガした患部を「支えるもの」という意味です。

support 一語だけでも、ここまで話を膨らませられます。

まとめ

このように私たちの身の周りにはたくさんの英語や英語に由来するカタカナがあります。普段気がつかないだけで、その気になればいくつも見つけることができます。

もし子どもが英語を勉強しているなら、これらの単語を教材にしてみましょう。街で見つけたら、「正しく音読」したあと、意味を調べます。

このようなことを続けているうちに、単語どうしで関連付けするとさらに語彙力は増していきます。

街歩きはその後何度も反復します。そのたびに同じ単語を読むので、自然に復習することになります。このようにして覚えると単語の読み方や意味は忘れにくくなります。

この勉強法の一番の目的は、子どもの英語に対する感性を高めておくことです。ちょっと気になる単語に出会ったときに、読み方を学び意味を調べるだけでも大きな進歩です。そこからさらに別の何かと結び付けられるようになると、記憶は強化されます。

お母さんのちょっとしたアドバイスで取り組めるので、ぜひチャレンジしてみてください。

これだけは知っておきたい! 「子どもの英語を伸ばす」接し方

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子どもの英語力に影響を与えるものはいろいろとあります。その中でもとりわけ「お母さんの子どもへの接し方」は影響力が大きいように感じます。なぜなら、普段最も長い時間子どもと接している人だからです。

中途半端な知識で子どもに無理やり英語を強制しては、子どもの英語力はすぐに頭打ちになるでしょう。しかし、まったく放任状態ではいつまでたっても英語を学ぶ習慣は身につきません。

今回は年齢層別に子どもの特徴を取り上げ、それに即したお母さんの接し方についてまとめました。私が実体験から学んだことなので、机上の空論ではありません。中学生以降、子どもの英語力が爆発的に向上するように正しくサポートしてあげましょう。

幼稚園~小学1・2年生へのサポート

小学校に入学しランドセル姿の子どもを見ると「ずいぶんと成長したな」と感じます。しかしながら、英語学習の観点からは小学校の低学年(1・2年生)は幼児とあまり変わりません。

この年齢までの子ども達の特性は大人とはかなり異なります。その点を理解してお母さんが接すると、上手に英語学習を始められます。

この年齢の子どもは、文字の読み書きは一般的に苦手です。このため、無理やり英語の本を読ませたり、ワークブックに取り組ませたりするのは逆効果です。もちろん個人差が大きいので、文字に興味を持ち始めたら少しずつ与えるのは大丈夫です。

子どもはおもしろそうなものには自然と惹きつけられます。反対に、関心がないものには一切取り組みません。大人のように「将来役に立つから」とか「教養のため」という理由で我慢しません。

あなたに覚えておいてほしいのは、「英語を使って楽しませる」ことです。

私は「英語絵本の読み聞かせ」をおすすめしています。これは「英語を使って楽しい話をお母さんと笑いながら読めるから」です。勉強の概念を持ち込まずに、英語に触れられる点で絵本の読み聞かせはとても優れています。

音に強い特性を活用して、勉強を意識させない

この時期の子どもが有利なのは、「恥ずかしがらずに英語の音をまねしようとする」特性があるからです。初めて英語を習う中学生に“th”(舌先を上下の歯の間に挟み空気を出す音)の発音を教えても、積極的にまねしようとはしません。「照れ臭さ」があるからです。

この点は幼児~小学1・2年生までの子どもには「抵抗感」がありません。「これ、上手にできるかな?」と促すとすぐにチャレンジします。英語の発音に関しては理屈よりも実践が大切です。小さい子どもが短期間で発音が上達するのはこれが理由です。

お母さんにできる具体的なこととして、「英語絵本の読み聞かせ」が最も取り組みやすいです。盛り上がる部分をお母さんが楽しく読んであげると、そのうち子どもは自分からまねして声を出して読み始めます。

発音を気にして読み聞かせに消極的なお母さんもいますが、これから多くの人の発音を聞く機会があるので心配しないでください。完璧に正しく読める人などいないので、できる範囲で頑張れば充分です。

このように絵本の読み聞かせを通して、英語に楽しみながら触れさせるようにしましょう。短い単語やセンテンスをまねするまで持っていければ、この年齢での英語教育は充分成功です。

結果をすぐに求めない

毎日絵本の読み聞かせをしても、「なかなか子どもが英語を声に出さない」と感じることもあります。見た目には子どもに変化がなくても、頭の内部で変化は蓄積されています。

だから結果をすぐに求めないで、半年~1年程度は待つようにしてください。長すぎると感じるかもしれませんが、日本語を話し始めるまでにも同じ時間がかかったはずです。

実は私も子どもに絵本の読み聞かせをしていて、子どもが英語を口にせずじれったく感じた時期がありました。子どもは絵本は好きだったので、私のところに「読んで」と持ってきます。私も楽しかったので、ときどき新しい本を買い足しました。

8か月くらい経った頃から、次のページをめくる前に子どもが英語を自分で読み始めました。文字を読んでいるというよりも、私の英語を耳で覚えていたようです。絵本の最も盛り上がるところは子どもの順番になり、ますます絵本が好きになったようでした。

変化が起きるまで待つのは大変ですが、「英語のため」と考えずに「親子で読書を楽しむ」程度に気楽に考えたほうが長く続けられます。

子ども自ら興味をもつように仕向ける

子どもに英語を「勉強」として押し付けるのは最悪です。反対に、何もせずに放ったらかしではいつまでたっても子どもは英語に興味を持つこともありません。やはりお母さんが「仕掛け」を作ることで、子どもが自分から英語に触れようと仕向けなければいけません。

リビングに一冊も本がない家庭と本棚に子どもが読みそうな本がたくさん並べてある家庭では、どちらが本好きの子どもが育つかといえば当然後者です。環境を提供するのがお母さんの役割です。

私は子どもに英語での読書を強制したことはありません。ただし、いろいろと策を講じました。例えば、新しく英語絵本を買ったときのことです。子どもがおもちゃで遊んでいる横で、その絵本を私が一生懸命読みます。

しばらくすると子どもは「それ、何?」と近づいてきます。「今お父さんが読んでいるから、あとでね」ともったいぶります。「僕も読みたいよ」とせがんだところで、「じゃあ一緒に読もうか?」と自然に読書につなげることができます。

このように子どもの意志で英語に触れるように策を講じるのが、英語好きな子どもを育てるコツです。

幼児~小学1・2年生は自分の意志で選んだおもしろそうなことには夢中になります。文字を書いたり読んだりするのはまだ苦手なので、無理にワークブックに取り組ませるのはやめたほうがいいです。

絵本の読み聞かせを中心に据えながら、子どもが自分の意志で英語に触れるように「仕掛け」を張り巡らせてください。

小学3年生へのサポート

小学校の先生の間では常識である「小3の壁」があります。それまでは幼稚園の延長だった学習内容が、小学3年生から一気に「小学校の勉強」へとレベルアップすることを指します。

もし、小学2年生と3年生の国語の教科書を見比べる機会があったら、ぜひ確認してみてください。文字の量や語彙レベルなど「小3の壁」を実感できるはずです。

しかし、この時期から「英語学習も一気にレベルアップしたほうがいい」と考えるのは早計です。私の意見ですが、この年齢の子どもは英語教師泣かせなのです。

文法はまだ早い

「文法学習も少しずつ始めた方がいいのでは」と考えるお母さんもいるかもしれません。しかし、この年齢の子どもに文法アプローチで英語学習をするのはやめたほうがいいです。

なぜなら文法のような抽象的な概念を理解するには、まだ幼過ぎるからです。では、これまでと同じように絵本を中心にすすめられるかといえば、それも難しくなります。なぜなら、子どもが普段読むようになっている本のレベルに合わないからです。

そして小学1・2年生と決定的に異なるのは、英語を話すことに「恥ずかしさ」や「間違えたら嫌だ」という抵抗を感じ始めるようになることです。

文法アプローチには早すぎて、音の練習もこれまで通りに素直にしなくなるのがこの年齢の特徴です。では、この時期にお母さんが心がけるべきことについて説明します。

思わず口まねしたくなるように仕向ける

ここでもお母さんの「仕掛け」が威力を発揮します。子どもはゲーム好きです。人間の本能として「勝ち負け」がかかると夢中になるようです。だからスポーツは多くの人に愛されています。

英語学習にもこの本能を上手に活用しましょう。お母さんは、子どもの「よきライバル」になってください。英語学習において競争するのです。

私がこれに気がついたのにはきっかけがありました。文法の問題を息子に教えているときに、“The police ( was, were) investigating the case….” (警察は事件を捜査していた)でどちらかを選ぶ問題がありました。息子はwereを選びましたが、私は「wasじゃない?」と反論したのです。

正解はwereです。これはthe police は見た目が単数でも「複数扱い」するからです。peopleと同じです。恥ずかしながら、私は本気で間違えてしまいました。解答を見た息子は大喜びです。滅多に私は間違えないので、鬼の首を取ったような喜びようでした。

これをきっかけに息子はあまり乗り気でなかった文法問題に積極的に取り組むようになりました。きっと「お父さんを打ち負かしてやりたい」と思ったからです。

英語の苦手なお母さんは、この点非常に有利なのです。なぜなら子どもを喜ばせる回数が増えるからです。「上から教える」スタイルではなく、「共に競い合う」スタンスで子どもと向き合ってみましょう。

好きな映画の傾向を把握する

子どもの「好きなこと」「嫌いなこと」「苦手なこと」が少しずつはっきりしてくる時期です。ときどき家族で映画を観ることもあるでしょう。普段から子どもの映画の好みを把握しておくと英語学習に役立ちます。

たとえば、プリンセスが好きな女の子ならディズニー作品がおすすめです。「英語音声」で一緒に見てみましょう。吹替で最初に見ておけば「英語音声」に切り替えても、どのセリフの場面かは理解できるはずです。

映画で英語を学ぶときにはコツがあります。私が中学生の頃にしていたことです。

実は映画のリスニングは最上級に難しいです。いきなりこれを押しつけたら映画そのものを嫌いになってしまいます。そうではなくて、まずは「映画のタイトル」に注目させます。

美女と野獣なら“Beauty and the Beast” が原題です。これで単語を二つ覚えられます。しかも絶対に忘れません。タイトルは文字で画面に出るので、聴き取れなくても大丈夫です。

有名な俳優が出演している場合は、その名前を見つけるのもいいトレーニングです。音と綴りを合わせられるのでフォニックスの訓練になります。

映画のセリフに関しては、「決まり文句」は聴き取りやすいはずです。美女と野獣なら最初のナレーションに“Once upon a time”(むかしむかし)という昔話にお決まりの表現が使われています。

このように小学生でも読めたり聴き取れるところを少しずつ増やすことで、好きな映画と英語学習を上手に結び付けられるようになります。

歌に興味を持たせる

歌が好きな子どもなら、洋楽も試す価値ありです。これまでと同様に押しつけると子どもは嫌がります。私だったら、車に乗ったときは「お父さんが聞く英語の歌」としてあらかじめ用意しておきます。

ここで子ども向けに“Old MacDonald had a farm”のような歌を集めると、子どもは「これは自分に勉強させるためだ」と勘づきます。

お母さんが好きな歌を選んでください。子ども向けでなくても全然かまいません。例えば、「Best Day of My Life」 です。

お母さんはあらかじめ歌詞を調べておいて、一部だけでも歌えるよう練習しましょう。歌を聴きながら自分で歌うだけでいいのです。

子どもは「意味はわからないけれど、いい歌だな」と思えば、勝手に興味を持ちます。家に帰ってから歌詞付きのYouTube動画を見せて、子どもの気が向けば自分で練習しはじめます。

文字タイプか音タイプか

小学3年生になると、「文字に強く反応するタイプ」と「音に強く反応するタイプ」に分かれます。前者の場合は、簡単な英語の本にチャレンジさせたほうがいいです。ただし、このときも音読を忘れないようにしましょう。

音に強く反応するなら、映画や歌と結び付けながら英語を学ぶといいです。

「4技能(聞く・話す・読む・書く)バランスよく学ばせたい」と思うお母さんもいるかもしれません。今は英語にのめり込むきっかけの段階なので、好きなところから始めてうまく軌道に載せることに集中しましょう。いずれバランスよく学ぶので安心してください。

小学4~6年生へのサポート

小学4~6年生の期間は、本格的な英語学習を開始できるチャンスです。テストや受験といったプレッシャーから解放されている間に、英語学習を開始できるメリットは大きいです。

ではこの時期の子どもにお母さんとして何ができるのかを詳しく説明します。

テストのための英語から遠い「今」がチャンス!

以前、私に「英単語をなかなか覚えられない」と相談に来た中学生がいました。そこで普段、どんな覚え方をしているかを再現してもらいました。

「木曜日は、T(ティー)・h(エイチ)・u(ユー)…」とつぶやきながら、紙に書き始めました。そこで私はその単語を声に出して読むようにいうと、彼は「わかりません」と答えました。

私は「英語ってまず、読めることが大切なんだけど、そう思わない?」とたずねると、その中学生は「でも、テストでは答えを書ければ〇をもらえるから関係ないですよね?」と真顔で答えました。

私にとっては衝撃的な回答でした。それは「教科や受験科目としてしか英語をとらえていない」とわかったからです。

英語は本来「コミュニケーションの道具」です。現実に英語を使って生活している国があるのです。しかし先ほどの中学生にとって、英語とは「教科」や「受験科目」のためでしか存在していません。彼のような生徒は例外ではありません。

小学4~6年生から本格的に英語を始めるメリットは、コミュニケーションの道具として英語を考えるようになることです。まずは、このことをお母さんにも強く意識してほしいと思います。

資格取得に夢中になり過ぎない

小学5年生くらいになると「英検準2級」に合格する子どもがチラホラと登場します。英語学習の進捗状況をチェックするために英検を受けるのは大賛成です。その結果「英検〇級合格」の資格がもらえるなら喜ばしいことです。

しかし、英検合格を目的にしてお母さんが子どもにプレッシャーをかけるようなことはやめてください。せっかく、「コミュニケーションとしての英語」を意識できる時期なのに、わざわざ「テストのための英語」を子どもに植え付けているからです。

周りの子どもの「英検〇級」に惑わされずに、「本物の英語力」をつけさせてあげるように考えてあげましょう。

音読練習+文法で基本を固めよう

小学5・6年生になったら、短めの素材で音読練習することを習慣化しましょう。教材は通信講座でも何かのテキストでもかまいません。ネイティブによるナチュラルスピードの音声付きのものが適しています。

このとき必要に応じて基本的な文法を学習すると、飛躍的に英語力を伸ばせます。最初に充分口頭練習を積んだ後、文法で理解を深めることが大切です。文法を先に学習すると知識だけの英語となり、実際の場面で使えるようにはなりません。

英語の得意なお母さんでも、そろそろプロの手を借りたほうがいい段階です。音読の重要性を認識している先生を探しましょう。やはりどの年齢から始めても、言葉の学習に音声の訓練は欠かせないのです。

この動画セミナーではリスニングだけでなく、英語4技能全体を底上げする方法を紹介しています

興味のある分野に絞った英語素材を自然に与える

小学3・4年生の項目でも触れましたが、子どもの興味はより細分化し高度になります。好きなものに没頭する能力を英語にも応用しないのはもったいないです。

専門知識があれば多少わからない単語があっても、類推しながら読めるものです。私は小学5年生頃、天体に興味がありました。毎晩のように天体望遠鏡で星を眺めているうちに、主な星雲・星団のある場所はほとんど暗記していました。

あるとき大きい書店で“SKY & TELESCOPE” というアメリカの天体ファン向けの雑誌が置いてありました。英語はほとんど読めませんでしたが、いくつかの単語はかなり正確に意味を把握できました。

たとえば、focus(焦点), objective lens(対物レンズ), nebula(星雲)などの単語は図や写真を見れば、簡単に意味がわかりました。

このように大人顔負けの知識欲がある子ども(〇〇博士タイプ)なら、英語と掛け合わせると相乗効果を発揮します。大都市に出かける機会があるなら、洋書の雑誌コーナーで趣味に関する雑誌を買ってあげましょう。

小学生のうちに身につけさせたい5つのこと

中学生になる前に、英語に関して子どもに身につけさせたいことを3つにまとめました。不思議なことに中学校の英語の先生がこのような話を小学校の先生に伝えることはほとんどありません。同様に高校の先生も中学の先生にこのような話をする機会はありません。

中学校以降、子どもが英語を楽しみながら一生懸命勉強して成績もグングン伸びるように、参考にしてください。

「コミュニケーションの道具としての英語」を体験させる

大切なことなので繰り返します。英語は世界的に使用されている言語です。英語はコミュニケーションの道具以外の何物でもありません。

当たり前のことですが、受験のことばかり意識し続けると、いつの間にか試験のための英語としかとらえなくなります。そして受験が終わった瞬間に英語の学習をやめてしまいます。

これを防ぐためには、実際に英語を使って生活している人たちを見せたり、体験させたりするのが効果的です。具体的には、海外旅行に連れて行ったり、英語キャンプや短期留学に参加させたりすることです。費用的に難しければ、ホームステイを一時的に受け入れるのもいいでしょう。

「英語が通じた喜び」と「うまく伝えられなかったフラストレーション」は、今後の英語学習を続ける大きなモチベーションになります。

日本人が少ない環境に、日本の子どもは慣れていません。マイノリティの立場になっても堂々と振る舞うためには、やはりコミュニケーション手段が必要です。そのようなことを体験から学ばせるのはとても意義があります。

楽しく努力する

小学生時代にどうしても身につけたいスキルは「楽しく努力する」ことです。努力と我慢は異なります。「英語は楽しい→もっと上手になりたい→努力する→少し上手になった→うれしい」循環に入ればしめたものです。

これは英語に限った話ではありません。スポーツや他の習いごとでもいいのです。どれか一つの分野で「楽しく努力」できる子どもは、きっと必要になれば他の分野でもできるからです。

学校の成績や受験だけでなく、一生を通じてこの能力は大切です。ぜひ、その基礎を小学校時代に身につけるようにサポートしてあげましょう。

声に出して読む習慣をつける

英語学習において静かに黙々と勉強しているようでは成功できません。とにかく声に出して読むことが重要です。

それを体系化したものが「音読トレーニング」です。極論を言えば、「音読トレーニング」を日常的に行うだけで、中学・高校の英語は充分に乗り切れます。

英語教育に携わる者ならほとんどの人は理解していますが、時間がかかるために生徒に音読練習の仕方を細かく指導している学校はほとんどありません。それなら家庭でお母さんが中心となって「音読トレーニング」の環境を整えるしかありません。

中学生で木曜日の綴りをSarsdayと書いてしまう生徒は珍しくありません。Thursdayが正解です。普段からthの発音を意識して何度も音読していたら、ありえない綴りの間違いです。

自分のできる範囲で精一杯、音読する訓練を年単位で続けると、英語の力は確実についてきます。ぜひ、小学校の間にそれが身につくようにしてあげましょう。

まとめ

幼少期は音の学習の適齢期です。お母さんの英語をたくさん聞かせてあげましょう。具体的には英語絵本の読み聞かせがおすすめの方法です。

小学3年生では興味や趣味に即した英語を与えると、自分から英語を学ぶようになります。文法学習はまだ早いので、あわてて取り組ませても効果的とはいえません。

小学校4~6年生からは本格的な英語学習を開始できます。受験まではまだ時間がたっぷりあるこの時期に、「コミュニケーションの道具」としての英語を強く意識させてあげましょう。

どの年齢層でも共通しているのは、「楽しく努力する」のが最も効率的な学習方法であることです。また、英語学習の基本は「音声」なので、年齢に即した方法で英語を音読すると中学生以降で英語力は飛躍的に伸びるようになります。

英語を教えるのは教師の仕事ですが、お母さんの子どもへの接し方は教師以上に影響力は大きいともいえます。ぜひ、子どもの特徴を正しく理解して、子どもみずから英語を学びたくなるような環境づくりをサポートしてあげましょう。

 

小学生の英語学習の始め方:最強自宅学習プラン

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2020年度から小学3年生からの英語が必修となりました。小学5年生からは英語の成績もつけられます。このような状況の中、「ウチの子も早めに準備しなくては」と考えるお母さんも多いかと思います。

しかし、子どものうちからあまり勉強に縛りつけるのもよくないし、他に習い事をしていると教室に通うのもなかなか大変です。

そこでまずは自宅で子どもに英語を学習させてみようと考える家庭が増えつつあるように感じます。「いつから始めたらいいのか」「何をさせたらいいのか」について悩んでいるお母さんも多いはずです。

そこで今回は、小学生~高校生まで指導経験のある私がオススメする、小学生からの英語学習の始め方について説明します。主に自宅で英語学習に取り組ませたいと考えているお母さんのために、大切な考え方や具体的な方法についてアドバイスします。

英語のゴールをどこに定めるかがポイント

まずは親子で英語のゴールがどこなのかについて話し合いましょう。一般的に英語を使って仕事をするためには、次の基準が目安になります。

社会人になる前に(20~21歳)、英検準1級レベル、TOEIC750~860点を取得

一般的な基準よりも高めですが、私の印象ではこれくらいに達していないと、英語を使った仕事は難しいと感じます。

「英語は必要になってから学べばよい」と考える人もいます。しかし、社会人になると忙しすぎて英語学習に思ったように時間を割けません。時間的余裕のあるうちに英語をマスターしたほうがよいです。

また、英語をある程度身につけておくことで、仕事の選択肢を広げたり、給与水準の高い仕事を選べることもあります。学生のうちにやれることは済ませておきましょう。

中学・高校の英語の授業を活用しながら、目標に向かって実力を積み上げていくのが最も賢いやり方です。

ゴールから逆算すると、小学校5年生あたりから始めると余裕をもってすすめられます。それより早くても構いませんが、文法については理解することができずに効率が悪くなります(発音などは早めのほうがいいです)。

小学生の英語自宅学習で最も大切なことは、子どもに「英語学習の正しい型」を身につけさせることです。正しい型とは主に「音読習慣を身につけること」です。具体的な内容について詳述します。

小学生のうちに自宅で英語学習の正しい型を

中学生に英語を指導していて、私はもどかしく感じることがあります。それは彼らが英語の音読にとても消極的なことです。

例えば、日本語を勉強している外国人が日本語を声に出さずに問題集だけに取り組んでいたら、どのように感じますか。「それでは使えるようにならない」と思うことでしょう。でも、英語を学ぶほとんどの中学生は音読に消極的なのが実態です。

「英語を声に出す」ことは、英語学習の基本です。しかし、彼らは黙々と問題集を解くだけでほとんど声に出して英文を読もうとはしません。恥ずかしいのか、間違えるのが怖いのか、理由ははっきりしませんが、とにかく声に出しません。

根気よく指導して半年くらいすると一部の生徒が積極的に声を出すようになります。しかし、多くの生徒は沈黙したままです。

小学生から英語を始める最大の価値は、英語を声に出す習慣をつけさせやすいことです。家庭で英語を学ばせるときはぜひ音読を取り入れるようにしましょう。中学生では遅すぎます。

自宅で身につけさせたい!英語音読の習慣

音読といっても本格的な音読のトレーニングのことではありません。英文を見たときに、声に出して読んでみるだけでよいのです。

英語を学ぶときは教材を使用します。そこには例文がたくさん載っています。そして多くの場合、CDやダウンロードできる音源が付属しています。これらを利用して、英文をまめに声に出して読み上げるだけで充分です。

注意して欲しいのは、カタカナ読みではダメです。【f】【v】【θ】【ð】【l】【r】など日本人が苦手とする発音に気をつけながら、CDのマネをして子どもに音読させるようにしましょう。

発音指導が苦手なお母さんは、動画サイトなどを利用して子どもと一緒に練習するようにしましょう。英文を見たら即ブツブツ声に出すくらいの状態にまで習慣化させれば成功です。

反対に、沈黙したままワークブックをこなしていたら、一緒に声に出して英語を音読するなどのサポートが必要です。次に、小学生のうちに攻略しておいたほうがよい英文法について説明します。

小学生の英語はbe動詞と一般動詞の現在形に時間をかけよう

英文法に関しては小学5年生から始めるとちょうどよいです。抽象的な概念を理解し始める年齢なので効率がいいです。ただし、文法用語だらけの教材で中学生と同じような学習を無理にさせると英語嫌いになってしまうので注意が必要です。

また子どもの成長に合わせて始めないと、混乱してしまいます。国語の返却されたテストを見て、主語・述語などの文法問題がある程度正解しているようなら大丈夫です。もし、充分に理解していないようなら英語の学習には早すぎます。

あせって「小学生のうちに英検3級を!」のような高すぎる目標も私は不要だと考えています。英語学習が順調に進み、結果的に3級を取得できたなら何も問題ありません。資格取得ばかりにとらわれるのはやめましょう。

私が小学生を指導するときに重要視しているのは、「be動詞と一般動詞の現在形」です。もう少し詳しく説明すると、肯定文・否定文・疑問文(疑問詞も含む)をすぐに口から出せる状態にまで慣れさせる、ということです。

理由は、「be動詞と一般動詞の現在形」が完全に理解できると、それ以降の文法の学習が飛躍的に効率がよくなります。

たとえば、助動詞canを習うとき、一般動詞のdoのパターンがとても役に立ちます。

You speak English.  You don’t speak English.  Do you speak English?
You can speak English.  You cannot speak English.  Can you speak English?

doの代わりにcanを置けば、理解しやすいです。

現在進行形の文の構造はbe動詞の文そのものです。

She is beautiful.  She isn’t beautiful.  Is she beautiful?
She is running.  She isn’t running.  Is she running?

個人的には「be動詞と一般動詞の現在形」は、それ以降の項目の3倍は時間をかける価値があると思っています。

しかし、中学校の指導計画ではその他の項目と同じ時間を配分されているため、理解が不十分でもそのまま進んでしまいます。疑問詞(What, How manyなど)を絡めて、疑問文などをスラスラと作れるようになるまで慣れておくと、必ず英語は伸びます。

英語が苦手になる生徒の多くは、この「be動詞と一般動詞の現在形」の理解と運用が不十分だからです。英語が苦手な生徒のできない原因は、音読の軽視と基本文法の理解と練習不足です。

小学生から英語を学ぶならこの分野を徹底的に攻略することが、後で英語の成績が急上昇することにつながります。

おすすめ教材

英語と日本語の大きな違いのひとつは、語順の重要性です。英語は語順が意味を決定するうえでとても大切な要素です。

日本語は「て・に・を・は」などの助詞が言葉の役割を決めているので、語順に比較的寛容です。しかし、英語は語順が入れ替わると意味がまったく異なります。

例えば、The dog bit the man.(犬が男にかみついた)と The man bit the dog.(男が犬にかみついた)では意味が変わってしまいます。

この語順を強く意識して「be動詞と一般動詞の現在形」を中心に学べる教材は、Jリサーチ出版『「意味順」だからできる!小学生のための英文法ドリル』です。

このドリルは1「be動詞マスター」と2「一般動詞マスター」に分かれています。1テーマで1冊なので、初めて英語を学ぶ小学生にはすぐに一冊を仕上げられて達成感が味わえます。

このテキストの最大の特徴は、「意味順」ボックスと呼ばれる色分けされた解答欄が用意されているところです。英語の文型が身につくように、主語は赤、動詞は青、目的語は緑とわかりやすく表示されているので、子どもは迷わずに英文を作ることができます。

解答欄は4線が引いてあって、英語を書き慣れない子どもでも、大文字や小文字の高さに注意しながら書けるように配慮されています。

一方、使いにくいところもあります。ダウンロードする形式の音声がありますが、読まれるスピードが遅すぎます。1.5倍速再生で聴いてちょうどいいくらいです。

高学年が使うときは、親がある程度補足しなければいけません。たとえば、冠詞(a, an, the)についての詳しい説明がないため、テキストとは別に説明してあげる必要があります。人称代名詞の所有格(my, yourなど)も説明がないのが残念です。

単語に読みやすいようにカタカナが振ってあるのもマイナスポイントです。子どもはこれを見て発音してしまうので、カタカナを読まないように指導する必要があります。

小学生向けの英語テキストは、最近ようやく本腰を入れて出版されています。ときどき書店をチェックして評判のよさそうなものを確かめておくようにしましょう。

テストに縛られない小学生の時期は英語学習にとても大切

中学校になると定期考査があります。英語の試験は試験範囲が決められていて、その中から出題されます。私の考えでは、試験範囲が限定されていることが、生徒の英語の成長を阻害しています。

本質を理解して英語を音読しながら慣れていって、ある時点で試験を受けるなら何も問題ありません。しかし、実際には直前に要領よく日本語訳を丸暗記して適当にごまかそうとする勉強を繰り返す生徒が多いのです。

ある程度広い範囲を学んだあと、どこが出るかわからない形式で出題するなら、生徒も小手先の勉強が通じないとわかるはずです。しかし、実際には試験範囲だけ単語の意味を暗記したりする適当な勉強法でも多少の点数が取れてしまいます。

中学校で英語の成績が伸びる子は、定期テストの範囲などにとらわれず常に先の目標に意識を向けています。過去に習ったことも忘れないように、言われなくても復習します。そのような学習姿勢が英語の実力に結びつきます。

小学校では定期テストがありません。小手先の勉強をする必要がないため、英語の基本に腰を据えて取り組めます。この時期を有効に利用して、その後の英文法の基礎となる「be動詞と一般動詞の現在形」をマスターするようにしましょう。

これが英語が得意な子どもにするためのコツです。

まとめ

小学校での英語教育が本格化し「家庭で子どもに英語を学ばせたい」と考えるお母さんは多いはずです。始める時期とどのように家庭で指導したらよいのか、に悩みます。

私は目安として小学5年生からが、家庭で英語を学び始めるのによいと感じます。抽象的な概念の理解力が高くなり、英文法の基本を効率的に学べるからです。

小学生のうちに絶対に身につけておきたいのは、英語を積極的に音読する習慣です。中学生になると多くの生徒は英語を声に出すことを嫌がります。声に出すことは言語学習の要なので、小学生のうちに音読を習慣化させましょう。

文法に関しては、「be動詞と一般動詞の現在形」の学習に力を入れましょう。頭で理解できているだけではダメです。肯定文・否定文・疑問文がすぐに口をついて出てくるレベルまで何度も練習することが大切です。

「be動詞と一般動詞の現在形」はその後の英文法の基礎となります。ここをしっかりとマスターしておくと、助動詞・進行形・過去形などを学ぶときでもあっという間に習得できます。

中学校では定期試験があり、直前の対策だけで乗り切ろうとする生徒がかなりいます。これを繰り返してもまったく実力がつかず、気がついたときには手遅れです。

試験がない小学校での英語学習時間はとても貴重です。あせらずに「be動詞と一般動詞の現在形」を音読しながら、家庭で取り組ませましょう。

幼児向け英語教材選びで後悔しないために

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突然ですがあなたにひとつ試してほしいことがあります。「〇歳の壁」というキーワードで、〇の中に2歳~10歳まで順に入れて検索してみてください。おそらくどの数字を入れても「〇歳の壁」の情報がヒットします。

それにしてもたくさんの「壁」があるものです。そして、そのほとんどは教材を売るために業者が作り上げたものであることは想像できます。英語の場合なら「〇歳を過ぎると英語を吸収しなくなる」という半ば脅し文句のようなものです。

セールストークとわかっていながら「今から英語を始めないと、最高の時期を逃してしまう」とつい不安になるものです。最初の子どもの場合はなおさらです。

このようなお母さんにこそ、今回の記事をきちんと読んでいただきたいと思います。結論からいえば、英語は何歳からでも習得できます(ただし、アプロ―チは年齢によって変える必要があります)。

高額な教材を契約してしまう前に今一度冷静になって、教材選びで後悔しないための視点を持つようにしてください。

これだけは知っておきたい幼児向け英語教材の大原則

英語教材を選ぶときほとんどのお母さんは、クチコミサイトやランキングサイトを検索します。これらのサイトには有益な情報も含まれていますが、最終的には自分で判断して決めなければいけません。

このときに大切ないくつかの「大原則」があります。その中でも、つい勘違いしてしまいがちなことを中心に説明します。教材選びで後悔した経験のあるお母さんはその原因をきちんと理解すれば、次回からはより賢い選択ができるようになります。

教材

英語教材だけでは子どもの英語は伸びない

英語指導の経験から断言できますが、教材だけでは英語は伸びません。少しわからない部分があって、そこを理解できるようになって達成感を味わったり、英語力が少しずつ伸びたりするようになります。そのためにはどうしても指導者が必要です。

もし子ども一人で学んで理解できるのなら、その教材はやさしすぎます。

指導者が必要なもうひとつの理由は、先の展開を見据えた人が指導すると学習効率が段違いに良くなるからです。

例えば、助動詞の「can」をある教材では「~できる」の意味で扱っているとします。確かにこれは正しいのですが、使われる状況によってはbe able to doのほうが適切だったり、文脈によっては「ありうる」という意味に使われたりすることもあります。

このような横展開できる指導者がいると、そのあとの学習効率が極めて高くなります。ところが初めて英語を学ぶ人が独習する場合、このような関連づけはできません。ある程度マスターした人がふり返って初めてわかることだからです。

エベレストなど難易度の高い山に挑戦する登山家は、シェルパと呼ばれる地元の人たちを雇います。彼らは表舞台に立つことはありません。しかし、山を知り尽くしている彼らのサポートなしでは、一流の登山家といえども登頂を成功させることはできません。

シェルパと指導者は似ています。間違いやすいポイントを先回りして察知しながら子どもに助言を与えることで、子どもは最短距離で学習することができます。

繰り返しになりますが、教材だけで子どもの英語力を伸ばすことはできません。そして最も身近な指導者はお母さんです。よい教材に巡り合えたらそれで終わりではないことは承知しておきましょう。

英語を学ぶなら「今しかない」のセールストークに惑わされない

幼児向け英語教材のセールストークを眺めていると「今しかない」のオンパレードです。「脳が柔らかいうちに…」「英語耳は〇歳まで」などがその典型です。

実証済みの事実ですが、英語は何歳からでも学習可能です。一定の年齢を過ぎても語学が習得できます。

小学生がいる家庭には「〇年生から学校の勉強は難しくなります!」「この春がラストチャンス!」と謳った通信講座の案内が毎春送られてきます。これらの説に大した根拠はありません。

賢いお母さんは、このようなセールストークに惑わされないようにしてください。

高額な英語教材は避ける

高額な教材を避けたほうがいいのには、ふたつ理由があります。ひとつめは、コストパフォーマンスが悪くなるからです。

時計に例えてみます。数千円で購入できる時計は、私のような素人にも安っぽく見えます。そして価格が上がるほどに高級感は増していきます。ところがある一定の価格を超えたところから、ほとんど品質に差はなくなります。

私は時計にまったく興味がないので、5万円台の時計と100万円の時計の違いがまったくわかりません。時計に詳しい人に聞いたところ、実際、使われている部品はほとんど変わらないとのことでした。

時計ならブランドに価値を見出すのもありです。しかし、英語教材にブランドなど関係ありません。子どもにとって有益かどうかだけです。

時計と同じく教材もそれなりに凝ったものにするためには手間暇かけるので、ある程度までは価格とクオリティは比例するかもしれません。しかし、何十万もするような高額教材を買ってみても劇的な効果を得られるとは思いません。

もう一つ、高額な教材を避けるべき理由があります。それは、子どもに合っていないと感じながらも、お母さんが「もったいない」とズルズルと使い続けてしまうからです。

また、明らかに子どもが興味を示していなくても「せっかく始めたのだから、しっかりやりなさい!」と怒鳴ってしまうこともあります。それは「損をしたくない」と焦るお母さんの感情から出てくる言葉です。

手頃な価格の教材であればさっさと見切りをつけて、別の教材に切り替えられます。このように高額教材を使うと、かえって子どもの英語学習の妨げになることもあるので注意が必要です。

絵本以外なら、映像・音声中心の英語教材を与えよう

幼児の英語学習のおすすめは「英語絵本の読み聞かせ」です。もちろん「英語の絵本」が教材です。これなら新品で購入しても毎月3,000円くらいで収まります。

これだけでも英語に親しむには充分です。しかし、もう一歩進んで英語力を伸ばしたいなら、音声面にフォーカスを当てた教材を利用してみましょう。

音や映像から単語や表現をまねするような活動を取り入れるようにすると、将来の英語力を伸ばす基盤がしっかりとします。

英語絵本以外の教材を取り入れるなら、映像・音楽が収録された教材で思わず口まねしてしまうようなものがいいです。学習内容としてはチャンツでフォニックスの基礎を学べるようなものが適しています。

ランキングサイトやクチコミサイトであっても、教材の正しい評価がされているとは限りません。売り手の論理に惑わされずに、自信を持って取捨選択できるようになりましょう。

幼児向け英語教材選びのポイント

「教材選びの大原則」を抑えたら、ここからは具体的なポイントについて説明します。慌てて選ぶとお金だけでなく「大切な時間」を失います。最短距離で最大限の効果を生むためにも、ひとつひとつを確認していきます。

子どものレベルを知り、現実的な目標を設定すること

お母さんの役割でとても大切なのは、子どものレベルを把握することです。これを間違えてしまうと教材選びは難航します。もう一つ大切なのは、数か月のスパンで現実的な目標を設定することです。

例えば「英語を話せるようになって欲しい」というのは現実的な目標ではありません。話すといっても、“Good morning.”のあいさつレベルなのか、“I don’t like green peppers because it tastes bitter.”と話せるレベルなのかはっきりしないからです。

「3か月後に、あいさつと数字を1から10までスラスラと言えるようになる」のように具体的な目標を立てるほど、最適な教材を絞り込むことができます。

すべてに万能な教材はありません。そのかわり、目標を絞り込むほどそこにターゲットを合わせた教材を選ようになります。

まとめると「子どもの現在のレベルを正しく把握」して、「3か月程度先の具体的な目標を立てる」ことが、教材選びには欠かせません。

子どもが楽しみながら英語を学べること

子どもは「楽しい」と感じることは夢中になります。反対に、押しつけられたつまらないものからは逃げようとします。大人だって本音はそうですが、感情を押し殺して我慢しているだけです。

つまり子どもに英語学習を継続させたければ、その教材について「楽しい」と感じさせることが必須条件です。楽しいと感じるツボは、子どもによって異なります。男の子と女の子でも異なります。

つまりここでも必要なのは、子どもをよく観察してどんなものに興味を惹かれるのかを理解することです。

教材選びは大変ですが、ハマれるものを見つけると期待以上に英語が伸びます。ほどんどの子どもにはそういうツボはあります。根気よく探してみましょう。

身近な題材

教材の題材は、子どもにも理解できる身近なものが無難です。ファンタジーでも子どもが楽しめるなら問題ありませんが、日常生活で目にする世界を取り扱った教材に主軸を置きましょう。

覚えた英語表現を使ってみるのが学習の最終段階です。もし、身の回りのことと学ぶ英語が関連していなかったら、英語を使う機会が減ってしまいます。

私の息子は3歳のとき「工事車両」が大好きでした。工事現場で穴を掘るショベルカーを飽きもせず、ずっと観察していました。

あるとき英語の絵本にカッコいいショベルカーが登場しました。ショベルカーは英語で「excavator」ですが、大人でも知っている人はほとんどいません。ところが私が何度も読んでいるうちに息子はこの単語を覚えてしまいました。

さらに工事現場でショベルカーを発見すると、“Excavator!”と叫んだことがあります。もし、見たこともない動物や妖精が登場する話だけしか与えていなかったら、このように現実世界と英語を結びつける機会はなくなります。

幼児向けの教材では、身近な題材を扱ったものを基本に選びましょう。

続けやすい費用

子どもの英語教育全般にいえることですが、家計が苦しいのに無理をしてはいけません。それぞれの家庭で無理なく続けられる金額を超えないように気をつけましょう。

英語学習は長期間続けるものです。金額的に無理なことは続きません。あまりお母さんが我慢しすぎると、家族全員が幸せではない状態となります。

先述したように、教材だけで効率的な学習はできません。指導してくれる人にもお金がかかります。もし他にも習いごとがあれば、英語教材だけ無理をするのもおかしな話です。

全体のバランスをみながら、決して金銭的に無理をし過ぎないように気をつけましょう。お母さんの顔が引きつっていては、子どもは楽しく学習できません。

教材を利用して英語学習を進めるためのアドバイス

教材購入後、子どもへの教材の与え方について説明します。一つの教材について1か月~1年くらい取り組むので、取り組み方次第で効果はかなり違ったものになります。

日常生活に英語を取り入れる

教材でだけ英語に触れていると「勉強としての英語」の認識から逃れられません。やはり、何らかの形で生活の一部に英語を取り入れて、「道具として」英語を捉えるようになるのが理想です。

しかし、日本国内で英語を使う環境を求めてもほとんど不可能です。簡単に取り組めるものとしては「英語絵本の読み聞かせ」が有効です。「英語で楽しい読書タイム」を日課にできれば充分です。

教材で学んだ単語や表現の一部を子ども部屋に貼るのも良いアイディアです。英会話教室ではアルファベット表、カラフルなイラスト、英単語が壁にきれいに貼られています。

子どもは無意識に英語を眺めています。これらの装飾は「英語を使う」雰囲気づくりに大いに役立っています。

「英語で育児」をできるならそれが理想です。しかし、それをできるお母さんはまだまだ少数です。「子どもと英会話をしなくては」と大げさに考えて何もしないより、できそうなことから少しずつ取り入れたほうが結果に結びつきやすいです。

NGワードは「勉強」

子どもには「勉強」という言葉は極力使わないようにしましょう。「勉強」には「苦行」のような響きがあって、徐々に子どもは嫌がるようになります。英語だけならまだしも、他の学習にも支障が出ては最悪です。

お母さんひとりで何もかもやろうとすると、ときどき苦しく感じることがあるかもしれません。忙しいときは特に子どもと穏やかな気持ちで相手できないときもあります。

そんなときは土日はお父さんと一緒に教材に取り組んでもらいましょう。楽しみながら続けると、そのうち「幼稚園のお休みの日にお父さんとやる」暗黙の了解ができあがります。

お父さんがわからないふりをしてあげれば、子どもは積極的に教えてあげようと頑張り始めます。なぜなら、子どもは大人に教えてあげるのが大好きだからです。

これを続けていくと習慣化されます。幼児の集中力はせいぜい15分程度なので、仕事で疲れているお父さんにもなんとか協力してくれるようにお母さんから頼んでみてください。

まとめ

おさらいですが、幼児向け英語教材で後悔しないための原則は下記のとおりです。

教材だけでは英語は伸びない
「今しかない」のセールストークに惑わされない
高額な教材は避ける
絵本以外なら、映像・音声中心の教材を与えよう

子どもが夢中になる教材を利用しながら、お母さん自身が教えてあげたり指導者の助けを借りたりすることで学習効率は飛躍的に高くなります。

くれぐれも高いお金を支払ったあとで「もったいないから」と無理やり合わない教材を使用することのないように注意しましょう。どうしても不安なら、比較的低価格のオンライン英会話などからスタートして子どもの興味関心を確かめてからにしましょう。

子どものオンライン英会話:成果・効果を上げる復習方法

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子どもの英語力向上のためにオンライン英会話を始めたけれど、思ったほど成果を感じずマンネリ化していませんか。毎回単調なレッスンで、子どもが何を習ったかすぐに忘れてしまうような状況なら対応策を考えなければいけません。

まず、英会話の向上のためにどのようなトレーニングが必要なのかをお母さんが理解する必要があります。そして、レッスン後の「復習」を充実させ、「よし、今度はもっと上手に話してみよう」という気持ちで子どもにレッスンを受けさせることが大切です。

またあまり使われていないオンライン英会話の「リクエスト機能」を最大限に活用して、より自分の子どもに合わせたレッスンを受けられるようにすることも大切です。

そこで、今回は子どものオンライン英会話の効果・成果を高めるためのコツについて具体的に解説します。

オンライン英会話が子どもの英会話に効果的な理由

英会話の上達にはインプットとアウトプットの両方が必要です。単語・文法の知識を頭にストック(=インプット)して、それらの知識を使って話してみる(=アウトプット)ことでしか英会話の上達方法はありません。

インプットとアウトプットを50:50の比率で行うと理想的な英会話のトレーニングになります。しかし、日本で暮らす大多数の人は英語を使う機会がほとんどないためアウトプットが圧倒的に不足しています。

さらに、インプットの量も充分ではありません。毎日単語や文法を学習したり、英文を何度も音読して暗唱している人は受験生以外、ほとんどいないのが現状です。

そこでオンライン英会話を活用してアウトプットの時間を確保します。そして、レッスンのない日はインプットに集中します。インプットをしておくと意識が高まり、レッスンを能動的に受けられるようになるメリットもあります。

ここではインプットとアウトプットを繰り返しながら英会話が上達する様子を詳しく説明します。

英会話上達のしくみ

「日本語を覚えたときのように、英語も苦労しないで覚えたい」という気持ちはよくわかりますが、現実には不可能です。日本語が母国語として定着した小学生以上の子どもは、日本語をベースにしながら英語を学ぶしか方法はありません。

しかし、悲観する必要はまったくありません。9歳になると少しずつ論理的な思考力が発達してくるので、「文法」を最大限に活用しながら英語を効率的に学べるようになります。

言葉は学習範囲が広くすぐには効果が表れにくいため、努力が報われないように感じますがそんなことはありません。長期間継続すれば必ず英会話は上達します。ここで、インプットとアウトプットを繰り返しながら英会話を上達させる過程を確認してみましょう。

仮に“I want to do ~.”(私は~したい)という表現をマスターする過程を確認してみます。まず、「~したい」と表現したいのに、言えずにフラストレーションが溜まる経験をします。実際に言葉は発していませんが、アウトプットしようとして気づいたのです。

次に、先生に聞いたり辞書で調べたりして“want to do ~”という表現を知ります(インプット)。そして、“I want to play tennis.”(私はテニスをしたい)とか“I want to go to Disneyland.”(私はディズニーランドに行きたい)という英文を暗唱します(インプット)。

その後、会話をする機会に覚えたフレーズを利用してみます。例えば夏休みの思い出を話しているときに「僕は釣りに行きたかったけれど、お父さんはゴルフをしたかった」と表現しようとします。

そして、“I want to go fishing, but my father want to play golf.”と言ったとします(アウトプット)。これを聞いた先生から、「過去のことだから、wantはwantedに直してみよう」とアドバイスをもらいます。

このとき初めて動詞には過去形があることを学び、-edを動詞につけることを理解します(インプット)。そして次回から「いつものことを話すときはwantで、過去のことを話すときはwantedにしよう」と覚えます。

このように、たった一つの表現でさえもインプットとアウトプットを何度も繰り返しながら少しずつ学んでいくのが普通です。だから、英会話を本気で上達させたければインプットとアウトプットを毎日繰り返すしかありません。

アウトプットの機会確保のためにオンライン英会話が効果的

インプットは本があれば自分でもある程度はできます。アウトプット(話す)訓練も大人であれば英語でひとり言をブツブツいいながら練習することは可能です。しかし、子どもの場合はなかなかそこまで器用にできないので、会話をする相手が必要になります。

そこで活用できるのがオンライン英会話です。安い月謝で週に複数回のレッスンを受けられるので、英語でのアウトプットを習慣化するにはもってこいのシステムです。

もちろんこれまでみてきたように、頭の中のストック(英語の知識)が足りないと、口から英語はほとんど出てきません。だから、オンライン英会話でのアウトプットを増やすと同時に、レッスンのない日のインプット(単語・文法学習)がとても大切になってきます。

オンライン英会話のない日は、復習とインプットに集中

週3回のレッスン(各25分)でアウトプットの機会を確保した場合、残りの4日間はインプットに専念しましょう。このインプットの質と量で、英会話の流暢性が決定します。

復習には紙を使った学習が最適です。子ども向けのオンライン英会話では、無料の独自教材と市販の推奨教材が使えるようになっています。独自教材の場合はPDFなどをダウンロードできるようになっているので、プリントアウトしておくとよいでしょう。

レッスンを受けたら、その時に習った部分をテキストで確認します。音声と文字を結びつける学習はとても大切です。リーディング力は英語力の基本となります。また、オンライン英会話ではライティングが弱点なので、鉛筆で書きこむだけでその弱点を補えます。

では、もう少し具体的にどのような復習をすると英会話力が向上するのかを説明します。

英文法の知識を確実にする

その日に習った部分が「Is this ~?」(これは~ですか)なら、主語と動詞の順番が入れ替わっていることをテキストを見ながら確認します。

私はかつて英語教師でしたが、音声のほうが理解力が上がる生徒と文字で確認したほうが理解できる生徒の2タイプいることに気づきました。そのため、レッスンで同じことを説明されても文字や図をみながら確認したほうがより定着しやすくなるので、文字による復習はとても効果的です。

意味がわからないところがあれば、次回のレッスンで質問をしてみるとか、お母さんから教えてあげるようにしましょう。

話すときは文法を意識しすぎると流暢性が損なわれることがありますが、復習のときは英文法の細部の理解に努めます。ここをいい加減にすると、いつまでたっても英会話は上達しません。

知らなかった英単語を覚える

小学生は知っている単語数が不足しているので、知らない単語ばかりかもしれません。語彙力の向上は表現力の向上と直結しているので、積極的に覚えるようにしましょう。

単語については、まず発音が大切です。意味を調べて発音はいい加減に覚えては、英語は上達しません。意味を調べる前に発音とアクセントを調べます。

主要な単語なら、電子辞書で調べると音声が再生されるので、それを聴きながら自分の口でもマネをしてみます。特にカタカナ化されている単語は注意が必要です。日本語に引きずられてしまい誤った発音やアクセントをしてしまいがちです。

例えば、plastic(プラスチック)を覚えるとき、「ラ」の部分が【l】と【r】のどちらなのかを正確に発音するようにしないと、あとで混乱することになります。

小学生の子どもにとって大きな山となるのが、基本的な動詞です。一見簡単そうに見えますが、多用されるのでいろいろな意味や文脈に使用され、意味の範囲が広いものが多いので使いこなすのは大変です。

例えば、haveの基本の意味は「を持つ」です。しかし、“I have a dinner at 7:00.”のhaveは「食べる」という意味です。このように文脈によって意味が変化する基本動詞は英語初心者の子どもにとってやっかいな存在です。

これらの単語については多くの用例に触れながら語感を養うしかありません。

テキストの英文を暗唱する

テキストにはターゲットとなる基本文が書いてあります。ここまでの学習で、文法と単語を完全に理解していれば、基本文の内容も正確にわかるはずです。横に日本語の訳を書いておきましょう。準備ができたら、この英文を音読しながら英文を暗唱します。

  • 手順
  • 英文を集中して3回音読します。今度は、テキストから目を話して同じ英文を声に出して言ってみます。
  • 時間を空けて日本語訳を見ながら、英文を音読します。このとき、途中でわからなくなったら、もう一度最初から繰り返します。
  • スラスラ言えるまで繰り返す。

英文の暗唱は、すき間時間に取り組むと効果的です。思わずテレビをつけたくなる直前とか、風呂上がりの時間などの短時間を利用して集中して取り組むと覚えられるようになります。また、どこかに出かけるときもその部分のコピーやメモを持ち歩き暗唱するようにします。

能動的にレッスンを受けてみる

オンライン英会話で成果を上げるために最も大切なのは、「レッスンを能動的に受ける」ことです。毎回何も準備せずに何となくレッスンを受けても、英会話は上達しません。

そこでオンライン英会話でもっと効果を上げるために必要なコツをいくつか紹介します。

  • 今日の出来事を英語にしてみる

オンライン英会話の冒頭では、挨拶とちょっとしたフリーカンバセーション(自由会話)のやり取りがあります。

オンライン英会話がマンネリ化してくると、子どもは最低限の言葉だけでやり過ごしてしまい、講師が話しづらい状況を作り出してしまいます。

挨拶は毎回“How are you?”と質問されるので、“Fine, thank you.” だけで終わりにせず、“I’m good.”(調子いいです)など他の答え方も覚えておきましょう。気分に合わせて答えられるように下の表現を目の前の壁に貼っておくのもいいアイデアです。

I’m good.
I’m okay.
I’m excellent.

さらに、これだけで終わりにしないで1センテンスを追加するように心がけましょう。その場合は、but(しかし)かbecause(なぜならば)でつなぐとスムーズです。相手にできるだけ情報を伝えたほうが会話は弾むので毎回話す内容を決めておきましょう。

例えば、“I’m okay, but I have a lot of homework today.” と返事をすると、オンライン英会話の講師は必ず宿題のことについて反応するはずです。

“I’m excellent, because my father gave me a PS4.” と返事をすれば、講師は「へえ、何かゲームソフトは買ったの?」と質問を続けます。これらの質問にも答えられるように、あらかじめ準備をしてメモを取っておくと、会話はスムーズに進行します。

  • 伝えたいのに表現できない部分をメモする

オンライン英会話はパソコンやタブレットに向かってレッスンを受けています。でも、私の子どもが受けるときは必ず横にノートと鉛筆を用意させます。これはレッスン中に言えなかったことや、印象に残った先生のフレーズや注意点を書き残すためです。

レッスン後は必ずこのメモを見て、フレーズを覚えたり知らない単語を覚えたりするようにします。ノートには先述したフリーカンバセーションのネタをメモしておくのもいいです。

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オンライン英会話のレッスン予約欄にお母さんがリクエストをする

レッスンを能動的に受けるために活用したいのが、リクエスト欄です。レッスン予約をするときに細かい要望をメニューから選べたり、書き込めたりします。よくあるレッスンリクエストとしては、次のようなものです。

  • 日本語を使用して欲しい:学習初期の子どもでも戸惑わずにレッスンを受けられる
  • 発音指導をして欲しい:日本人が苦手な発音を中心に丁寧に指導してもらえる
  • センテンスを正して欲しい:自分の英語の間違いを指摘してもらい正確性を高める

またオンライン英会話によっては、もっと細かいリクエストを送ることも可能です。例えばあらかじめ英検5級の問題集をスキャンしておき、そのファイルを添付します。

コメント欄に「(1)~(10)までの問題に取り組ませてください(日本語可能)」と入れておくと、講師はそのリクエスト通りにレッスンを進めてくれます。

細かい要望をすることについて遠慮する必要はありません。教える講師の立場からすれば、細かく指定されたほうがレッスンの目標がハッキリするのでかえってやりやすくなります。子どもも明確な目的意識をもってレッスンを受けるので英会話の向上が早くなります。

このようにお母さんがひと手間かけるだけで、子どもは前向きに・能動的にオンライン英会話のレッスンを受けられるようになります。この機能を十分に活用して、ダラダラとレッスンを受けることのないようにしましょう。

まとめ

英語は積み重ね型の教科です。基礎レベルから少しずつ理解を固めて、より高度なものへと伸ばしていくことが大切です。

英会話では文法や単語などの知識をインプットして、会話の中で使ってみる(アウトプット)ことを繰り返しながら、少しずつ向上させていくのが定石です。そのためには、オンライン英会話のレッスンを受けたら復習を充実させることが大切です。

また、レッスン前に今日話すネタを決めておき、講師にうまく伝えてみようという気持ちが大切です。さらに、お母さんから子どもに必要とするレッスンの要望を細かくリクエストすると、子どもが最も必要とする内容に特化されるのでマンネリ化を避けられます。

英語学習は長期間に渡るものなので、工夫をして子どもの学習意欲を刺激しながら継続することが理想です。毎回「今度こそうまく伝えてみる!」という気持ちで子どもがレッスンを受けられるように、サポートしてあげましょう。

試合(会話)ばかりでは英語は上達しません。英語のトレーニングはこの方法がオススメです!

子どもの万能表現「楽しかった」を英語で言おう

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大人の会話で「よろしくお願いします」は頻出表現のひとつです。深い意味もなく使われることもあり「何をよろしくお願いされたのかな?」と疑問に感じることさえあります。

では、子どもの会話で最も頻繁に使われる表現は何でしょうか? 小学生が書く作文を思い出してください。「昨日、〇〇公園へ遠足に行きました…」という出来事が語られます。そして最後は「…して楽しかったです」でまとめることがとても多いです。

これは日本特有のことではありません。海外の子ども達の作文を読んでいても、頻繁に「楽しかった」が登場します。細かい感情を表現できないので、子どもなりの万能表現である「楽しかったです」でまとめています。
fun

頻繁に使うフレーズは、あらかじめ英語でスラスラと言えるようにしておくと英会話に便利です。子どもにとって「楽しかったです」は最初に攻略しなければいけない表現です。

今回の記事では、頻出表現である「楽しかった」を英語でどのように表現したらいいのかに絞って説明します。特に、funとenjoyを使った表現は多用されます。子どもの英会話力が一段レベルアップするように、お母さんは助けてあげましょう。

「楽しかったです」は子どもの万能表現

幼稚園で遠足があった日に「どうだった?」と子どもに聞くと、ほとんどの場合「楽しかった!」と答えます。たずねたお母さんやお父さんも、よほどのことがない限りそれ以上の追求はあまりしません。

子どもにとっては説明する手間を省けるし、親も満足してくれる便利なフレーズが「楽しかった」の正体です。

このように大人の「よろしくお願いします」くらい、「楽しかった」は子どもにとって万能表現です。感想を求められたらとりあえず「楽しかった」を伝えれば大丈夫であることを子どもは自然と覚えています。

このような便利な表現を英語ですぐにいえるようにしておくと、とっさのときに困りません。日本語でさえ「楽しかった」としか言えないなら、英語でそれ以上のことを言う必要もありません。

「楽しかった」を英語で表現するとき

「楽しかったです」の最も一般的な英語表現は、教科書でもよく見かけるこれです。

I had a good time.

しかし、ネイティブの子どもと会話するとfunやenjoyを使うことが多いです。これらふたつの単語を使った例文をいくつか覚えておくだけで、子どもの英会話にはとても役に立ちます。

以下、それぞれの単語についてポイントを説明します。いくつかの例文を暗唱するだけで、誰かから感想を求められても子どもは英語で乗り切れるようになります。

funの使い方

海外で子どもと話をしたり、子どもの書いた文章を読んだりしているとfunが多用されています。日本人の子どもの「楽しかったです」と同じです。funの綴りや音の響きが、「楽しいこと」を連想させてくれます。

さっそくfunに関するポイントついて説明します。
fun 定義

数えられない名詞のfun

funは「楽しみ」の意味を持つ「数えられない名詞」です。「数えられない」ことと「名詞である」ことに注目です。

例えば「それはとても楽しかった」と言いたい場合、

It was so much fun.

It was a lot of fun.

のどちらかで表現します。

「数えられない名詞」なので次のような表現は誤りです。

(誤)It was many fun.

数えられない名詞にmanyは使えません。

a lot of がおすすめ

学習の際は、「数えられる名詞なのか数えられない名詞なのか」をしっかりと理解させましょう。しかし、実際に会話しているときはいちいちそんなことを気にしていたら、言葉が出てきません。

子どもに会話の指導をする場合、できるだけ汎用性の高い表現を使うように伝えましょう。今回のケースでは、funは数えられる名詞か数えられない名詞かで迷います。そこで、どちらに使っても良いa lot ofを使用すると悩まずに済みます。

余計なことを考えずに済ませるために、「とても楽しかった」は

It was a lot of fun.

と覚えておきましょう。

主な使い方の3パターン

・「~して楽しかった」はhad fun -ing

例えば、「友だちの家でゲームをして楽しかった」と伝える場合は、

We had fun playing the game.

です。

funの後に-ingを続けるのがポイントです。誰かと一緒に楽しんだのなら、主語はWeにしたほうがいいでしょう。

・話の内容を受けて、「楽しかった」はIt was a lot of fun.

この表現は、最初に「何をしたか」を説明します。その後で、「(それは)楽しかった」とまとめるパターンです。

I played the game with Ken.  It was a lot of fun.
(ケンくんとゲームしたよ。とても楽しかった)

「楽しかった出来事」と「楽しいかった」を2つに分けて表現するので、子どもでも使いやすいです。

・Sounds like fun. 「おもしろそうだね」

前者2つは過去形で使われるのに対して、この表現は現在形で使われます。先頭に(That)が省略されていて、誰かの話に対して「それおもしろそうだね」と感想を言うときに使います。

前述の通り、funは名詞なので前置詞のlike(~のように)が必要です。

(That) sounds like fun.
(おもしろそうだね)

なお、Sounds fun. のように、funを形容詞として使われることもあります。しかし、あくまでも名詞としての使用が正式なので、無理に覚えることはありません。

enjoyでも表現してみよう

enjoyは「~を楽しむ」意味の動詞です。enjoyを使用するときには注意が2つあるので、きちんと子どもに伝えましょう。

注意点1:enjoyは必ず目的語が必要な動詞

enjoyはうしろに必ず目的語を必要とする動詞です。例えば次のような文章は誤りです。

(誤)I played the game.  I enjoyed.

正しくは

I enjoyed the game.

です。

何か困ったらもっといい表現があります。それは enjoy oneself で「楽しかった」です。例えばパーティーで楽しかったら次のように使えます。

I enjoyed myself at the party.(パーティーで楽しかった)

注意点2:~して楽しかったは、-ingを続ける

もし、「~して楽しかった」と言いたい場合は、目的語の位置に-ingを置きます。

I enjoyed playing the game.

「~すること」の意味でto doを置きたくなるかもしれませんが、それは語法として間違いです。

(誤)I enjoyed to play the game.

enjoy -ingの形を覚えておきましょう。

つまらなかった場合の表現方法

では、反対に「つまらなかった」場合の英語表現について解説します。

be tired of -ing

tiredは「疲れた」だけでなく、「飽きた」という意味を持つ形容詞です。二つの意味を暗記するのではなく、イメージを膨らませて共通の根っこを捉えるようにすると忘れにくくなります。

例えば、子どもに朝礼で校長先生のつまらない長話をイメージします。暑い日差しの中、起立の状態で聞かされたら、疲れるし飽きます。tiredのイメージはまさにこれです。

be tired of – は「~に飽きる」というイディオムです。ここから「つまらない」気持ちを表せます。

I played the game with Ken, but I played it a hundred times.  I was tired of it.
(ケン君とゲームしたけど、何度もやったんだ。つまらなかったよ)

boring

もし、「つまらない」という意味をストレートに伝えたければ、boringという単語がピッタリです。校長先生の話がつまらなかった場合は、こうなります。

The principal’s speech was boring.

これだとかなり直接的な表現なので失礼かもしれません。もう少しソフトに表現するなら別の言い方があります。

not very interesting

The principal’s speech was not very interesting.
(校長先生のスピーチはあまりおもしろくなかった)

このようにnot veryを使うことで、ネガティブな意味を少しやわらげることができます。

まとめ

子どもにとっての万能表現である「楽しかった」について、英語でどのように表現したらいいのかについて説明しました。

もう一度、記事の中の例文をまとめてみます。

・最も一般的な「楽しかった」

We had a good time. (私たちは楽しかった)

・funを使った表現

We had fun playing the game. (私たちはゲームをして楽しかった)

It was a lot of fun.(それはとても楽しかった)

(That) sounds like fun.(楽しそうだね)

・enjoyを使った表現

We enjoyed the game. (ゲームを楽しんだ)

We enjoyed playing the game.(ゲームをするのを楽しんだ)

上記6つの表現を覚えておくようにしましょう。

これらの例文を暗唱できたら、実際の出来事に関連づけて感情を込めて英語で話してみましょう。気持ちと英語表現をしっかりと結びつけられると、英会話をしているときにも自然に聞こえます。

英語で何か質問されたときに答えるだけでなく、自分の感想をひとことでも添えられると子どもの英会話は一段上のレベルになります。最初のステップとして「楽しかった」の英語表現を子どもに教えてあげましょう。

英会話の先生に最近の出来事を聞かれることがあります。細かいことまで言えなくてもとりあえず、fun を使って「楽しかった」と言えれば会話は弾みます。外国人の先生と話す機会が多ければ、ぜひ、覚えておきましょう。

子どもを英語バカにしないために

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グローバル教育の一環として英語の重要性が高まる一方で、小学生には国語教育こそが大切であるという人達もいます。どちらの主張にも一理あり、白黒つけられるものではありません。

これから子どもの英語教育を検討中のお母さんとしては、どちらの説を信じたらいいのか悩むところでしょう。

実は元英語教師の私ですら、「子どもの英語教育は正しいのかどうか」と悩んだ時期がありました。子どもの人生に関わることなので、気軽に試すわけにもいきません。

ひとつだけハッキリわかっていたのは、「親が自信を持って大切だと思っていないことを子どもにやらせてはいけない」ことでした。そのため本格的に子どもの英語教育を始める前に、私(親)の方針を決めなければなりませんでした。

結果として、私は子どもの頃から英語教育を始めるほうを選びました。ネガティブな意見も参考にしつつ、どのように子どもに英語と向き合わせればいいのかを常に考えてきたつもりです。

今回は、子どもの頃から英語を勉強させると「英語バカ」になるという説は本当なのかどうかを検証してみます。英語バカとは「英語は話すけれども中身のない人」のことです。

「英語を話せて中身も充実した大人」に子どもを育てるために、お母さんが知るべきことをまとめました。最後まで読んでいただければ、安心して子どもの英語教育に取り組めるようになります。

子どもの英語教育に否定的な2大著書

私は英語教育関連の記事を必ず読むようにしています。投稿されたコメントの多くは子どもの英語教育に対してネガティブな意見です。注意すると「英語よりも国語教育を」「日本人で英語を必要とする人は1割」という共通のフレーズに気づきます。

おそらくこれらの出どころは、『国家の品格』(藤原正彦)と『日本人の9割に英語はいらない』(成毛眞)の2冊です。

出版当時、両方とも私は読みました。賛同できる部分があったのは確かです。しかし、何か「腑に落ちない」部分もあり、それが何だったのかをきちんと考え直してみます。

『国家の品格』藤原正彦

英語教育について語られているのは一部分です。そこだけ要約すると「小学生のうちは英語よりも国語や数学をしっかりと学びなさい」という主張です。

理由は、教養を深める手段として読書はとても大切なものだからです。そして数学は論理的な思考の訓練になるからです。時間の限られた小学生にとって英語学習はこれらの学習よりも優先されるべきではないという趣旨です。

内容の薄い英語を話す人に対して強烈に批判している部分を引用します。

ケンブリッジ大学で研究生活を送っていたときのことです。数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞を取ったある大教授と会って、自己紹介をしました。すると、挨拶もそこそこに、その大教授はこう訊いてきました。

「夏目漱石の『こころ』の中の先生の自殺と、三島由紀夫の自殺とは何か関係があるのか」

(中略)

内容がないのに英語だけは上手いという人間は、日本のイメージを傷つけ、深い内容を持ちながら英語は話せないという大勢の日本人を、無邪気ながら冒涜しているのです。「内容ナシ英語ペラペラ」は海外では黙っていて欲しいくらいです。

初頭教育で、英語についやす時間はありません。とにかく国語です。一生懸命本を読ませ、日本の歴史や伝統文化を教え込む。活字文化を復活させ、読書文化を復活させる。それにより内容を作る。遠回りでも、これが国際人をつくるための最もよい方法です。

「真の国際人になるためには自国の歴史や文化を尊重し、読書を通じて教養を身につけなさい」というのが著者の主張です。

私も外国の人と話す機会はたくさんありました。しかし、夏目漱石や三島由紀夫について質問されたことはなく、「エリートの世界は違うな」と驚いた記憶があります。

『日本人の9割に英語はいらない』成毛眞

この本で一貫しているのは「英語学習とは暗記なので、教養を深めることにはならない」という主張です。そして論拠を示しながら、仕事で英語を必要とする日本人は1割に過ぎず、残りの9割には無用であると指摘しています。

著者は楽天やファーストリテイリングでの社内英語公用語への批判を展開します。その部分を引用します。

20代・30代は仕事で覚えなければならないことが山ほどあるのに、英語の勉強に時間を取られたら肝心の仕事に集中できない。仕事の段取り、社内や社外の調整、自社の商品やサービスに関する情報、市場の動向、販売やPRの戦略やテクニック、企画の作成など、この時期に身につけられなかったら、生涯仕事ができないビジネスマンのまま終わってしまう。ビジネスマンとして、基礎体力をつけなければならない時期に英語にかじりついている暇はないのである。

私はこれを読んだとき、「学生時代までに英語をある程度のレベルにまで仕上げておき、入社後は仕事のスキルを磨くことに集中するのが最良の策」と感じました。

この本で述べられているポイントを整理します。

・英語は暗記科目で教養は身につかない。日本語で読書をしたほうが効率的。
・英語を必要とする日本人は1割だけだから、全員が同じように学ぶ必要はない。
・専門分野を磨き、必要となってから手段としての英語を学べばよい。

高校までの進学率は97%を超えていますが、高校での学習内容を仕事に必要としている人は1割程度でしょう。英語だけに限定された話ではありません。

2冊の本に共通していること

『国家の品格』と『日本人の9割に英語はいらない』に共通しているポイントがあります。

・英語だけを勉強しても教養は身につかないから、中身のない人間になってしまう。

きちんと本を読めばわかりますが、両者とも「英語不要」とは主張していません。他の大切なもの(国語・自国の歴史や文化など)に英語は優先するものではないといっています。

世界的な数学者とグローバル企業で社長を務めた2人の著者の影響力は大きいです。彼らの経歴とメッセージのギャップが読者に強烈なインパクトを与えたのはたしかです。しかし、私はこの主張をそのまま受け入れられませんでした。以下、その理由を説明します。

英語を学んでも教養は身につかない?

論点は「英語を学んだら教養は身につくのか、つかないのか」です。私は英語力の高い人たちと交流する機会が何度もありました。彼らに対して少なくとも「教養がない」と感じたことはありませんでした。

世界的な数学者や大企業の社長からみれば、そんな判断をしている私も無教養な人間であると思われても仕方ありません。しかし一般的なレベルで考えると、「英語を学んでも教養は身につかない」という主張には納得できないのです。

技能+教養=英語力

私はこの問題を考えているうちに、2人の著者と私の間で「英語力」の認識が異なるのではないかと思いました。「中身のない英語」とか「英語は暗記科目」の部分から、彼らのいう「英語学習」とは「英語の技能訓練」だけを指していることがはっきりとわかります。

一方、私が認識している「英語学習」とは「技能」はもちろん、「教養」も含めての総合的な学習です。私が2冊の本で覚えた強い違和感は、この認識の違いから発生するものであることがわかりました。

漢字検定1級は教養があるのか?

まず、英語学習は決して技能訓練だけではないことを証明しなければなりません。イメージしやすくするために、日本語(国語)に置き換えて考えてみます。

例えば、国語の技能的要素に「漢字」の素養があります。漢字検定1級の問題集を開くと、私にはほとんど書けない・読めない漢字ばかりです。しかし、私は日本語の本を日常的に読み、こうして英語教育関連の記事を書いています。

もし、漢字検定1級の人が本も読まず、内容のある文章を書けなかったとしたら周囲の人はどのように感じるでしょうか? おそらく「ただの漢字バカ」として嘲笑するでしょう。

「英語ばかりを勉強していても教養は身につかない」主張は「漢字ばかり勉強していても教養は身につかない」ということと似ています。

では、「英語学習」における「技能」と「教養」はどのような関係になっているのかを見てみましょう。

技能と教養の関係は?

先ほどの日本語の例をもう一度考えてみましょう。難しい漢字を書けたり読めたりすることはマイナスでしょうか? ほとんどの人は「知っていたほうがいい」と答えるでしょう。高度な漢字の読み書きを覚えると、高度なレベルな読書が可能となるからです。

英語学習の技能訓練とは語彙増強、文法学習、4技能(聞く・読む・話す・書く)の訓練を指します。英語の語彙や文法の知識を増やせば、より正確に英語を理解できます。

英語の技能訓練は「天体望遠鏡のレンズを磨くこと」に似ています。収差の少ない大型のレンズを磨ければ、遠くの宇宙をより明るく細かく観察できます。

土星を望遠鏡で初めて観察したのはガリレオといわれています。記録の中でガリレオは「土星には耳がある」と表現しています。当時は望遠鏡の性能が低く、輪として見えなかったからです。

望遠鏡はその後改良されて耳のように見えたものは輪であることがわかります。人間の宇宙への好奇心が望遠鏡の精度を上げ、高性能の望遠鏡で見えたものにさらに探求心が駆り立てられる好循環が生まれて、天文学は発達していきます。

英語の技能を磨くことは、高性能なレンズの製造と同じです。レンズを使って遠くの世界を観察するのは、英語を通して触れる外国の書物や文化を学ぶことに似ています。

私が英語力と呼ぶものは、決して技能だけに限定したものではありません。その技能を駆使して得られる「教養」も含まれます。より詳しい情報がわかるにつれて、さらなる好奇心を満たそうと性能のよいレンズが必要となります。つまり「高い技能」が必要です。

こうして「技能訓練→精度の高い情報→(好奇心)→さらなる技能訓練」の上昇スパイラルが生まれていきます。

英語と教養

日本語先行・英語先行・同時並行でも教養は磨ける

日本人として国語力を磨いて、教養を深めようとすることに異論の余地はありません。しかし、英語でも教養を深めることは充分に可能です。英語力とはまさに「技能と教養」の総合力です。

私は小さい頃恐竜が好きで図書館で図鑑を借りていました。小学2年生で「白亜紀」「ジュラ紀」「三畳紀」という恐竜が栄えた時代の呼称を学びました。だから、映画「ジュラシックパーク」のタイトルを観たときは「Jurassic=ジュラ紀」であることはすぐにわかりました。

私の息子は海外のインターナショナルスクールでYear2~5まで学びました。Year3(日本の2年生相当)のときにちょうど学校で恐竜について学習したときに、「the Cretaceous period」「the Jurassic period」「the Triassic period」の言葉を覚えました。

私はどちらの言葉で先に学んでも、教養に差はないと考えます。息子も日本語の本を読んだときに、「三畳紀」を見れば「ああTriassicのことか」とすぐにわかるはずです。

確かに英語の場合は技能を身につけてからでないと、情報収集のレベルにまで到達しませんから、手間が一つ増えます。しかし、あるレベルを超えてしまえば、英語・日本語の同時並行で教養は磨けます。

英語で学ぶか日本語で学ぶかは、究極のところどちらでもかまいません。それよりも、子どもの「好奇心」こそが決定的な差を生みます。

技能の先で差がつく要素は「夢中になれる力・好奇心・成長願望」

英語でも日本語でも技能を身につけた後、それを活用して「どれだけの読書をしたか」とか「どれだけの経験を積んだか」は非常に大切です。その原動力になるものは、「夢中になれる力・好奇心・成長願望」です。

小学生で英検2級に合格する子どもは珍しくはありません。この時点では技術は身につけています。しかし、これを活用して積極的に英語の本を読まず、外国の人と関わろうとしなかったら「英語バカ」と呼ばれる可能性が高いです。

それは、「知らないことを知りたい」「この人はどういう考えを持った人なんだろう」と考える好奇心が欠けているからです。反対に好奇心旺盛な子どもなら、英語という道具を手に入れたら、積極的に本を読んだり映画を観たり外国人と会話したりしようとするはずです。

残念ながら好奇心の度合いや教養部分まで含めた英語力を測るテストや検定はありません。しかし、英語を学ぶ意味があるかどうかはこの部分にかかっているといっても過言ではありません。

技能テストである「英検〇級」だけでなく、子どもが知的好奇心を持っているかどうかをきちんと評価できるのは身近にいるお母さんやお父さんだと思います。

教養力は読書量と行動力に比例する

読書ほど効率のよい学習はありません。その分野の専門家やプロの小説家が労力をかけて書いた作品を数時間で読めてしまうからです。ビジネス書はおよそ1500円くらいなので、コストパフォーマンスも抜群に高いといえます。

私の妻は英語が得意ではありません。海外生活を始めた頃は、インターナショナルスクールに通う息子のことは私任せでした。ところが私が忙しいときに息子が誕生会に招待され、仕方なく妻が連れていくことになりました。

お母さん同士の会話はもちろん英語です。英語が得意でない妻は渋々出かけていきました。しかし家に帰ってくると、各国から来たお母さん同士でワイワイ会話が盛り上がった話を楽しそうにしていました。

このように、好奇心を失わずに英語で読書をしたり、ちょっとだけ勇気を出して外国の人と交流したりするだけで、人生は豊かになります。好奇心を持たずに行動もしなければ、せっかくの学びのチャンスをみすみす逃すことになります。

教養力は読書量と行動力に比例します。英語を学ぶなら、英語で読書をしたり外国の人と積極的に関わったりする姿勢が大切です。日本語でも同じです。子どもの国語力を磨いても、好奇心がなければ読書もせず行動も起こさないので、得られる恩恵は少ないはずです。

英語を学んでもバカになりません。「技能を通じて読書をしなかったり、英語を使って行動したりしないと、メリットがない」というのが正解です。それは英語でも日本語でも同じことです。

英語学習を通じて頭がよくなるワケ

私は英語学習を通じて子どもの頭をよくすることは可能だと思っています。英語を学ぶのは歴史の年号の暗記とは明らかに違います。どのような能力が身につくのかを詳しく解説します。

比喩表現・多義語で連想力アップ

英語のイディオムや多義語を学習するときは、「連想力」がフル回転します。「どうしてこのような言い回しになるのだろう」とか「この言葉はどうしてそんな意味にも使われるのか」のように、異なることに意味を見出して結びつけようとするからです。

例えば、受験でも頻出するイディオムに「look forward to~」(~を楽しみにする)があります。“I’m looking forward to seeing you.”(お会いできるのを楽しみにしています)のように使われます。

このイディオムを丸暗記しようとするのは英語センスがありません。「なぜlook forward toと表現されるのか」をしっかりと考えることが子どもの頭を良くするからです。

「lookは見る、forwardは前、これから起きる何か楽しみにしていることをじっと見つめている(考えている)状態だからかな」と、こじつけでもいいから関連づけるのです。

遠足に行く子どもは前日からソワソワします。遠足のことばかり考えるからです。そんな気持ちと重ね合わせることができれば、look forward toを覚えるのはただの暗記ではなく連想力を鍛えるよい機会となります。

他にも例を挙げてみます。bookは名詞なら「本」ですが、動詞では「を予約する」になります。まったく異なる意味のように感じるかもしれませんが、私ならこう考えます。

「予約するときは、帳面に日付・名前・電話番号を記入するからbookと言うのかもしれない」

これが正しいかどうかは調べていません。しかし、このように関連づけすることは言葉のトレーニングになります。

英文法の発見

英語学習を通じて英語に触れていると、子どもなりに疑問を持ったり法則を見出したりするようになります。

中学生の頃、私は洋画を見ていて俳優が“It could be possible.”(字幕:あり得るな)と話しているのを聞いて疑問に感じました。なぜ、現在形で話すべきところに助動詞canの過去形couldを使っているのかわからなかったのです。

この場合のcouldは人の感情を表現するときに使われる助動詞であり、見た目は過去形でも現在のことを表しています。正しい知識を学んだのはずっと後のことですが、あのとき疑問に感じたことが一気に理解できた喜びを覚えています。

過去形の概念を覚えたての子どもは、しばしばspeakedのような間違いをします(正しくはspoke)。しかし、これは規則動詞と呼ばれる動詞の過去形にはedをつけるルールを自分で推測した結果であり、高度な間違いです。

誰からも教わっていないのに、絵本などを通じて動詞の過去形に共通する形(ed)の法則を見つけて、それを応用しようとしているのは子どもが頭を使っている証拠です。

読書や映画を通じて得られる「行間を読む力」と「論理力」

文学作品を味わい、人とのコミュニケーションを豊かにする大切な能力のひとつは「行間を読む力」です。英語では「read between the lines」といいます。

一般的に欧米人はハッキリと論理的に言葉にして相手に伝える割合が高いと言われています。反対に日本語は、文脈に依存する割合が高く、相手の意図を行間からくみ取らなければならないことが多いようです。

私の意見ですが、世界中の人とコミュニケーションをとる場合は、両方に対応できなければいけません。英語ネイティブでもアメリカは論理的な言葉が好まれるのに対して、イギリス人は日本的な遠回しな表現が多いです。

日本語だけでなく英語で書かれた文章を読んだり、外国人との会話を通じてズレを感じながら経験値を高めたりするのは人間関係を豊かにしてくれます。

映画・本・人を通じて文化・習慣・知識を学ぶ

あるレベルを超えて英語を学ぼうとすると、教科書だけでなく「本物の英語」に触れなければなりません。読書だけでなく、映画を観たり、人と話をしたりすることが必要です。このような経験を重ねていくうちに、自然と外国の文化・習慣などに詳しくなります。

特に体験を通じて直接獲得した情報はとても貴重です。インターネットがどんなに発達していても本当に欲しい情報がなかなか見つからないことはよくあります。

私は家族を連れて3年半マレーシアに移住しました。そのための準備として、インターネットでいろいろと現地情報を収集しました。しかし、なかなか肝心な情報は得られませんでした。ところが5日間現地を視察したら、すべての疑問と不安は解消されました。

英語で現地の人から直接聞いた情報は精度が高く、子どもの学校選びに大いに参考になりました。もし、インターネットだけ(しかも日本語のサイト)で情報収集を済ませようとすれば、悪徳業者のカモになっていたかもしれません。

好奇心を忘れず面倒くさがらずに行動することで、英語を通じて貴重な情報を得ることができます。

英語学習を通じてあきらめない心を養う

英語をマスターするまでに日本人は約3000時間の学習が必要です。長期間の努力を必要としますが、これを続けられるのは「あきらめない心」があるからです。

楽器やスポーツと比較しても、英語は目に見える形としてすぐに結果があらわれません。モチベーションを維持しながら英語学習を継続するのは大変です。なかなか結果が見えない環境でもコツコツと取り組めたとしたら、他の分野でもその能力は活かせるはずです。

何かの研究者になって長期間成果が出ないと心が折れそうになることもあるでしょう。そういうときにも「あきらめない心」を持てることは素晴らしいと思います。

コツコツと学べば英語は必ず結果に表れます。リスニングを磨きたければ、この動画セミナーがおすすめです。

子どもの英語学習の誤解

子どもの英語学習に関して、誤解している方が多いように感じます。ここではいくつかのポイントに絞って取り上げてみます。

暗記力と英語力はあまり関係ない

英語=暗記科目と考える人が多いのです。しかし、英語力と暗記力はあまり関係ないです。私は歴史の年号を暗記するのが苦手で高校生の頃赤点ばかり取っていました。数字の羅列を暗記するのは苦痛で耐えられなかったのです。

一方、単語やイディオムは暗記ではなく、音読を通じて「何度も繰り返した結果、いつの間にか覚えていた」という勉強法を取っていました。

全員名前を知らない友人と同じクラスになったとしても、1か月もすれば名前・顔・およその性格を覚えてしまうのと似ています。

英語を学んでも暗記力は向上しません。歴史の年号をまったく覚えられない私がいうのだから間違いありません。

使えないバイリンガル(帰国子女)

「バイリンガルや帰国子女は(仕事で)使えない」意見をビジネス雑誌などでよく見かけます。国民性などを語るときと一緒で、決めつけるのはあまりいいことではありません。

もし彼らの教養が足りないと感じるなら、これは繰り返し述べているようにその人の好奇心や探求心が足りないせいです。高性能な天体望遠鏡を持っていても、宇宙に関心がなければ無駄になるのと同じです。

日本人でも教養のない人達はたくさんいます。彼らに英語を話すように訓練すれば、当然教養のないままです。バイリンガルだからダメなのではありません。

もし好奇心を忘れず成長願望の強い子どもが英語をマスターすれば、さらに飛躍できると考えるほうが自然です。

子どもの頃の英語教育は日本語に悪影響を与える

私の記事で何度も触れていますが、日本にいながら英語を勉強しても、母国語である日本語に悪影響を及ぼすようなことは起こりません。そこまで成果の上がる英語教育のノウハウがあるのなら、手加減すればいいだけだからです。

現在のところ、それほど効率的に英語を学べる方法は確立されていないません。

子どもの頃から英語学習を始めるメリットは、20歳以降は仕事や研究などの専門分野に集中できるからです。大人になってからでも英語は学べます。しかし、年齢を重ねるごとに忙しくなるので先に済ませておいたほうが好都合だからです。

幼児期に覚えた英語はすぐに忘れる

確かに音声だけで覚えた言語は、必要性がなくなるとすぐに忘れてしまいます。海外の幼稚園にいた頃は英語を話していたのに、日本に帰ったらほとんど忘れてしまった話はよく聞きます。

しかし、そのような事例がわかっているなら、フォニックスを学ばせ少しずつ読書をして文字からの英語学習を増やすべきです。忘れないようにするだけでなく、伸ばしていく努力が必要なのは当然のことです。

「しばらくピアノを弾かないと忘れてしまうから、小さい頃にピアノを習わせるのは意味がない」と主張する人がいたら、おかしな理屈だと感じるでしょう。練習を続ければいいのです。

まとめ

英語学習は単なる技能の訓練ではありません。技能を磨くことは望遠鏡のレンズを磨くことと同じで、より遠くの景色を明るくハッキリと見せてくれます。

英語技能を向上させると、より多くの英語で書かれた情報を得たり、外国人とのコミュニケーションの精度を高めたりすることが可能となります。

技能の向上によって得られる情報について、好奇心を持ち「より詳しく知りたい」と思うことが教養を深めることになります。

「英語力とは技能+教養」から成立しています。「英語を勉強すると英語バカになる」誤解は、英語学習を単なる技能面だけで考えているからです。

日本語しか話せなくても強い好奇心や探求心を持ち続ければ、子どもは成長し続けられます。しかし、好奇心の強い子どもが英語という道具を手に入れたとしたら、もっと別の角度にも成長できるはずです。

子どもの頃から英語学習を始めても弊害はありません。子どもの「夢中になれる能力」を大切にして、お母さんは英語学習のフォローをしてあげましょう。英語を話して中身もある大人になるのは可能なので安心してください。

英語教室やオンライン英会話を通じて、いろいろな国の大人と話をするのはとてもよい刺激になります。会話中に学んだその国の文化や習慣をあとで図書館などで調べれば、教養はどんどん高まります。

 

子どもの英語学習を洋画DVDで! オススメ活用法

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あなたの子どもが大好きなDVDは何ですか? スタジオジブリの作品やディズニー作品は子どもに人気です。好きな映画にハマると子どもは繰り返し何度も見ます。「あの情熱を活用して英語学習に役立てられないか」とお母さんが考えるのはとてもいいアイデアです。

英語学習に不可欠なのは「反復練習」ですが、それは退屈との戦いでもあります。つまらない教材で反復練習を長時間繰り返すのは子どもにとっては苦痛でしかありません。

そこで効果的なのが、洋画DVDを活用した英語学習です。「大好きな作品なら何度でも見られる」子どもの情熱を利用して、主にリスニング力を伸ばします。英語字幕を読むのでリーディングもできますし、上級者ならスピーキングに応用することもできます。

DVDを利用した英語学習は一見楽しく学習できそうですが、実は活用法を誤るとすぐに挫折します。なぜなら、これらはネイティブの娯楽用に作られているので、容赦ないネイティブ仕様の英語だからです。子ども向けの英語でさえも、リスニングは相当難しいです。

しかしながら、無理のない教材を使って学ぶのも一つの方法ですが、「実践レベルの英語」にも定期的に触れないと英語力を伸ばすことはできません。筋トレと同様に、自分のレベルを超えた刺激を与えないと成長しないのです。

今回は、子どもが大好きな洋画DVDをどのように活用したら、リスニングやスピーキングを伸ばせるかを説明します。英語の難易度は高いので、子どもへの与え方を間違えると英語嫌いになるので注意しましょう。

英語学習に適した洋画DVDの選び方

英語のDVDといってもいろいろありますが、今回取り上げるのはDVD教材ではありません。娯楽用に作られた映画・アニメ・ドラマのDVDで英語ネイティブ向けのものです。「リアルな英語に気軽に触れられる」点で洋画DVDは非常に優れています。

英語学習者向けの教材ではないので難易度は高いです。何の準備もしないまま突然英語でDVDを観ても、すぐに飽きるのがオチです。

しかし、柔らかいものばかりを食べていると顎が発達しないように、加工された英語だけでは実践では歯が立ちません。ときどき「容赦ない英語」と「自分の実力」との差を感じることによって「いつかわかるようになりたい」と奮起することも大切です。

まずは、子どもの英語学習のために適した洋画DVDをどのように選んだらよいのかを具体的に説明します。

子どもの英語学習に効くDVDの選び方(実写orアニメ)

「子ども・洋画・英語」といえば「ディズニー映画(アニメ)」を連想する人も多いと思います。内容的にも暴力シーンやスラング(俗語)の使用はないため、お母さんは子どもに安心して見せられます。

ディズニー作品の中で同じタイトルでもアニメと実写の両方あるものがあります。例えば、『ジャングルブック』『美女と野獣』などが該当します。このような場合、実写映画とアニメ作品のどちらが子どもの英語学習に向いているか迷ってしまいます。

子どもがハマってしまうくらい内容が楽しければどちらでもかまいません。ただし、英語初心者の場合は実写のほうがいいです。

理由は、英語を話しているときの俳優の口の形がはっきりと確認できるからです。アニメでも実写に近い形で表現していますが、細かいところまでは表現できません。

私は中学生の頃『オズの魔法使(The Wizard of Oz)』を観たときに、「f」の口の形を覚えました。有名な挿入歌であるOver the rainbow(虹の彼方に)をドロシー役のJudy Garlandが歌っていたときです。

Somewhere, over the rainbow way up high

このときドロシーの顔が映し出されますが、overを発音するときの口の形が非常に印象に残りました。v(f)の発音についてはそれまで学校の先生から「下唇を上の歯に当てる」と教わりましたが違和感を覚えていました。

映画の中でドロシーは「下唇の裏側の下の方と上の歯を合わせて」vの音を出しています。顎のところに皺ができるイメージです。私はマネして練習しているうちに、自然とvの音を出せるようになりました。

アニメ版である「トムとジェリーの『オズの魔法使』」にも同じシーンがあるので、見比べてください。

アニメでは口の形まではわかりません。実写だと発音の仕方を映像で繰り返し学べます。発音に自信がないレベルなら、実写のほうをおすすめします。

子どもの英語学習に適したDVDの選び方(内容)

子どもにとって(おそらく大人にとっても)理想の教材は「ハマってしまうくらいおもしろいもの」です。英語学習には反復練習は欠かせませんが、つまらないDVDではこれに耐えられなくなるからです。

できるだけ平易な英語が使われているのが理想です。新作でも旧作でもかまいませんが、昔に制作されたものは言葉が平易なものが多く子ども向きです。

子どもの心をつかみやすい特徴のひとつは、「口ずさみたくなる歌が入っているからどうか」です。例えば、『ジャングルブック』(1967年アニメ)に挿入されているThe Bare Necessitiesは有名な歌で、クマのバルーと人間の少年モーグリが楽しく踊りながら歌います。

一部分だけでも歌えると、子どもは達成感を味わえます。

まとめると、「子どもが楽しめるストーリー」「平易な英語(旧作に多い)」「有名な主題歌」の3つの要素が揃うと、高確率で子どもの食いつきはよくなります。

「これらの条件が揃ったDVDを探すのは面倒」と思ったら、リトルフォックスを使った英語学習がオススメです。

英語学習に使用するDVDの選び方(仕様)

DVDを選ぶときは必ずパッケージの表示をチェックしましょう。ポイントは「音声」と「字幕」の仕様です。

DVDの仕様

まず、音声は英語と日本語吹替の両方必要です。子どもの場合は漢字を読めないことが多いので、字幕よりも吹替のほうが内容理解に役立つからです。また、字幕は字数の関係でかなり意訳されていることが多く、英語の理解を助けるには不足です。

字幕の仕様も大切です。日本語字幕と英語字幕の両方とも必要です。すべてのDVDで英語字幕を表示できるわけではないので注意しましょう。

「音声は英語と日本語」「字幕は英語と日本語」の2点を確認できれば、仕様については大丈夫です。

子どものための洋画DVDを利用した英語学習法

洋画DVDを観て子どもの反応が良ければ、さっそく英語学習に活用しましょう。子どものレベルを無視した与え方では英語嫌いになってしまいます。以下、子どもの英語レベルに即した与え方を紹介します。

全レベル共通

まずは映画全体を通して楽しみましょう。「勉強のため」などと肩ひじを張るとつまらなくなるので、この段階ではただ楽しめばオーケーです。子どもは日本語字幕を読むのは苦手なので、「日本語音声・字幕なし」にして再生しましょう。

この段階では「大好きなDVDを見つける」のが目標です。反応が今一つなら無理に引っ張らずに、次のDVDに移ったほうが賢明です。

子どもがハマったかどうかを見分けるのは簡単です。子どもが自分からもう一度見たがったら「気に入った」証拠です。子どもが繰り返し見る大好きなシーンをお母さんは覚えておきましょう。

初級編

お母さんはDVDのメニューから「英語音声・英語字幕」にセットしてあげましょう。大好きなシーンのチャプターに合わせて再生します。最初から最後まで英語で観るのは負担が大きいので、大好きな一場面だけで充分です。

このレベルの子どもには、「自分が知っている表現(英語)を映画のキャラクターはどのように話しているか」を確認するだけで充分です。

例えば、「オズの魔法使」でドロシーが黄色のレンガをたどるシーンがあります。“People come and go so quickly here.  Follow the yellow brick road.” とドロシーは言います。

このように簡単なセリフは、字幕を読むと初心者でも理解できます。でも、リスニングになると聞き取れないのは、自分の音とリアルな英語の音に隔たりがあるからです。

英語初心者の子どもには、本物の英語ではどのように話されているかを聞かせることが大切です。子どもは真似が大好きなので、真似しやすいセリフや印象に残る部分を勝手に口まねします。

リアルな英語を聞き取れたり登場人物と同じように話せたりすることは、初心者にとってはうれしいです。このような体験を積み重ねるだけで学習意欲は高まります。

中級編

英検3級くらいになったら、もう少し深くDVDと関わってみましょう。まず、子どもの好きな映画のワンシーンを選びます(1チャプターは長すぎるので、1シーンだけでいいです)。もちろん「英語音声・英語字幕」にセットします。

次に英語字幕をきちっと読みます。わからない単語があるときは辞書で調べましょう。それでも意味がわからないときは、もう一度、日本語音声と日本語字幕を表示させて該当部分の内容を確認します。

日本語吹替の原稿も日本語字幕も基本的に「意訳」です。オリジナルの英語のセリフを一字一句直訳したものではありません。例えば主人公が“I like him.”と言ったら、吹替では「彼って素敵」となります。

「私は彼を好き」→「(だから意味としては)彼って素敵」になるんだな、と思えるレベルでなければ、洋画DVDによる英語の学習はできません。最初のうちはお母さんとワイワイいいながら、字幕の意味を確認しましょう。

ひと通り、1シーンのセリフの英語をすべて理解できたら、あとは繰り返しリスニングと音読です。役者になったつもりになって、同じスピードで読めるようになるまで練習します。完璧になるまでやる必要はありませんが、これ以上無理なところまではやらせてください。

翌日に同じシーンを「英語音声・字幕なし」で再生します。すると、不思議なことに速すぎて歯が立たなかった英語が少しだけ聞きとれるようになっています。数日同じことを繰り返して、飽きてきたら学習は終了します。

上級編

英検で準2級以上のレベルであれば、もう一歩踏み込んで、会話に応用しましょう。映画は言葉が使われている状況(文脈)が明白なので、会話表現を覚えるのに非常に役に立ちます。

例えば“I’m on it.”(まかせて、今やっている最中です)の表現が出てきたとします。

「まかせて」を英語に直すのは、上級者でも難しいです。でも、このような表現を暗唱しておけば、瞬時に伝えられます。会話のすべてをすぐにいえるようになるのは現実的ではありませんが、その割合を少しでも増やしておくと負担は減ります。

このような「心に引っかかる表現」に出会ったら、子どもにノートに書かせます。きれいに書く必要はありません。左側に日本語を右側に英語を書きます。

まかせて I’m on it.
あなたが八方美人だと if you try to please everybody

 

「簡単だけど意外と言えない表現」「すぐに英語に直せない日本語の慣用句」などに意識を向けると、活用できる表現を集められます。このような表現は会話をするときも詰まりやすいからです。

普通に文法や語法に従って作れる文章を覚えても仕方ないので、このように英語に直しにくい表現を中心にノートにメモを取っていきます。ある程度溜まったら、日本語を見ながら英語を口に出す音読練習を繰り返します。

一回復習したくらいではすぐに忘れてしまうので、何十回も繰り返すことが大切です。新しい表現をメモしたら、その日のうちにその表現を含む文章をブツブツつぶやく練習も効果的です。

上記のように、洋画DVDを使った英語学習法で大切なのは子どものレベルに合わせて利用することです。ほとんど英語を理解できないレベルなのに、辞書を引いたり意味を考えたりする作業を強要すれば英語嫌いになってしまうので注意しましょう。

映画音楽を中心に学習する

『ジャングルブック』のThe Bare Necessitiesや『オズの魔法使』のOver the rainbowなど、名作映画にはしばしば有名な歌があります。セリフの部分はチンプンカンプンでも、歌の一部だけでも歌えたら気持ちいいです。

その点、ミュージカル映画は歌の宝庫なのでおすすめです。『サウンド・オブ・ミュージック』のDo-Re-Mi(ドレミの歌)は子どもでもメロディーを知っているので、歌いやすいです。

Doe, a deer, a female deer (Doeはシカ、メスのシカ)
Ray, a drop of golden sun (Ray:光線は黄金の太陽のしずく)
Me, a name I call myself (Me:自分を呼ぶときの名前)
Far, a long, long way to run (Farは走るときの長い長い道)
Sew, a needle pulling thread (Sewは糸を引く針)
La, a note to follow Sew (Laはソに続く音)
Tea, a drink with jam and bread (Teaはジャムとパンと一緒に飲むもの)
That will bring us back to Do (oh-oh-oh) (ではドに戻りますよ)

余談ですが、『シンプソンズ』のワンシーンで、ホーマーが運転していてシカの銅像をはねてしまいました。そのときのセリフが“Doh!” で、すかさず娘のリサが“A deer!” 、最後に妻のマージが“A female deer!”と叫びます。ドレミの歌の知識があれば、笑えるシーンです。

子どもにオススメ:映画のタイトル・俳優名から英語を学ぶ

もっと手軽に映画DVDを見ながら英語学習に役立てる方法があります。それは、映画のタイトルや俳優名に注目することです。ひとつずつ解説します。

・映画タイトル

これは私自身の経験に基づく学習法です。タイトルに含まれる英語や文法は、一度覚えると強烈な記憶となって長い間忘れません。これは映画のストーリーそのものが体験となり「エピソード記憶」として定着するからです。

私は中学生の頃、父の影響でクラッシック映画が好きでした。テレビで放送されていた洋画を録画しましたが、ビデオテープでは英語字幕を表示できませんでした。だから聞き取りはさっぱりできませんでした。そもそも、確かめようがなかったからです。

ところがタイトルは、毎度冒頭にしっかりと文字で出してくれるので、自然とタイトルに意識を向けるようになりました。

原題 邦題 学べることの例
SINGIN’ IN THE RAIN 雨に唄えば ingを短く読むとgは消失する
THE MAN WHO KNEW TOO MUCH 知り過ぎていた男 関係代名詞の主格
GENTLEMEN PREFER BLONDES 紳士は金髪がお好き GENTLEMENは複数だからpreferにsは不要
MONSTERS, INC. モンスターズインク 印刷関係の映画ではなく、Inc.は法人格
A RIVER RUNS THROUGH IT リバー・ランズ・スルー・イット 川が「流れる」にflowでなくrunなのが新鮮

このような感じで、すでに知っている英文法や語法を総動員して、英語のタイトルを調べるだけでもずいぶんと勉強になりました。映画のタイトルから覚えた英語は、30年以上経過した今でも忘れていません。

・俳優名や監督名からフォニックス学習につなげる

俳優の名前や監督名も英語の勉強に役立ちます。例えば、タイトルバックに流れる役者名はフォニックスの勉強になります。

私は気に入った映画のタイトルバックに登場する俳優の名前を見て、無理やり発音するのが好きでした。西部劇を観たときJohn Wayne(ジョン・ウェイン)の名前を見て、「ジョホン・ウェイネ?」と読むのです。

その後本で調べると「ジョン・ウェイン」と読むことを知り、紙に何度か書きながら声に出して読んでいるうちに英語のフォニックスが徐々に身につきます。著名な監督であるAlfred Hitchcockのtchが読めれば、catchも読めます。

Michael J. Foxのマイケルの綴りを見たときは「何でaが必要なんだ?」と不思議に思いました。少し調べると聖書に出てくるミカエルが由来であることがわかりました。中学生の雑学としてはなかなかのものです。

このように俳優や監督の名前に注意を向けるだけでも、いろいろと勉強になります。ついでにいえば、女性と男性の名前の違いや、両方に使われる名前(unisex names)などの知識も得ることができました。

子どもが洋画DVDで英語を勉強するときの注意点

洋画DVDの英語は「手加減なしの英語」です。口語表現に慣れていないとわからないことが多すぎて嫌気がさしてしまいます。

分からない部分をある程度受け入れることも必要です。映画の中の冗談ひとつとっても「何がおもしろいのかわからない」状態になることもしばしばです。これはその国で育った人だけが知る芸能人や文化などの知識がないと笑えません。完璧主義は捨てましょう。

ここでは洋画DVDを英語学習に活用しようと意気込みすぎて失敗してしまわないように、いくつかの注意点をまとめました。

口語表現の基礎

映画は口語表現のオンパレードです。標準的な英語に慣れている子どもには、少し難しく感じるかもしれません。ここではほんの一例を挙げてみます。

・be going to do→be gonna do

定番中の定番は、gonnaです。「going to」の口語表現です。これを理解しておかないと、セリフのほとんどは理解できないです。

・want to do→wanna do

want to もwannaと発話されることが多いです。

・have(has)→have got(has got)

「持っている」意味のhave(has)は、have gotと使われることが多いです。ビートルズの曲にも「SHE’S GOT A TICKET TO RIDE」で使われています。

・will not→won’t(want)と間違えやすい

「~しません」のwon’tの下線部は【ou】と発音されます。「したいと思う」のwantとは音は違うのですが、高速で読まれると非常に紛らわしい音になります。

他にも頻出する口語表現や省略語はたくさんありますから、それらに少しずつ慣れていきましょう。

完璧を求めない

私は洋画DVDで英語を学ぶときは、細かすぎることは無視します。どんなに調べても意味がわからなかったり、冗談のオチがわからなかったりすることはよくあるからです。

子どもはスッキリしないかもしれませんが、完璧主義は捨てさせましょう。子どもが洋画DVDを使って英語を学ぶときは、「テキトー」が一番です。完璧を求めると楽しかった映画が途端に拷問のように感じて、子どもの学習意欲は減退してしまいます。

強弱に逆らわない

英語のセリフは強弱をハッキリさせて読まれます。強の部分は、日本人が聞いていても聞き取りやすいです。問題は弱の部分です。訓練によっては、ある程度聞きとれるようになりますが、英語字幕に表記されていても実際は音は出ていないこともあります。

先述した『オズの魔法使』のドロシーのセリフを思い出してください。“People come and go so quickly here.”を聞くと、andとhereは非常に弱く発音されています。andはan(d)となりdは発音されません。

「意味上大切でない部分は弱く発音される」ので、リスニングもこの原則に逆らわないのが一番です。つまり、弱いところは「あまり聞こえない」くらいに考えて、文法の知識や文脈などで補うくらいでちょうどいいのです。

「聞けるときは聞ける、聞けないときは聞けない」ものです。真面目な子どもほど悩むかもしれませんが、お母さんからこのことを伝えてあげてください。

「強」の部分をしっかり聞き逃さないようにして、そこから聞こえづらいところを類推できるようにするほうが合理的です。

日常生活で使ってみる

お母さんと子どもで映画を見て何かのセリフを覚えたら、日常生活でも使ってみましょう。ピッタリのシーンはなくても、強引に使うのがコツです。

例えば『ターミネーター』のシーンでよく出てくるセリフに“Come with me if you want to live.”「生きていたいなら(死にたくなければ)、俺についてこい」があります。私は息子と映画を見ているときに、息子がブツブツつぶやいていたのを覚えていました。

ある日、サッカーの迎えに車で行ったとき助手席のウィンドウを下げて“Come with me if you want to live.”と叫びました。すぐに冗談と分かったらしくニヤリと笑っていました(「ここにいても死なないだろ」とつぶやいていましたが)。

このような感じで映画のセリフを普段のやり取りの中にちりばめるだけで、記憶は強化されて忘れなくなります。ぜひ、試してみてください。

まとめ

洋画DVDを活用した英語学習で最も大切なことは「完璧を求めない」ことです。ネイティブの娯楽用の英語は子どもにとってはかなりの負荷です。「シーンを限定した学習」や「知っている表現を確実に聞きとれるようにする」などの工夫が必要です。

映像やストーリーと関連づけて覚えた表現や単語は、長期記憶になりやすい特徴があります。そのような単語を一つでも増やしておくと、将来、受験勉強のときに語彙数を増やすときに大いに負担を減らしてくれます。

お母さんはあまり勉強っぽい雰囲気を作らずに、子どもが楽しみながら取り組めるようにしてあげましょう。「何かにハマる好奇心」を持っている子どもは、生きる力が高いです。この力をテコにして、子どもの英語力を伸ばしてあげるのが効果的です。

子どもの英会話に必要な心構えと学習法

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普段の会話で、子どもの話す時間はどれくらいですか? 連続して話すのはせいぜい20秒くらいではないでしょうか? お母さんはひと通り子どもから話を聞くと、それについて質問をしたり意見を伝えたりします。こうして会話のキャッチボールが始まります。

このことから小学生の英会話で求められるのは「20秒間英語で表現し続けられる能力」です。細かい文法事項や語法は気にしなくていいです。短いセンテンスを繰り返しながら、ひとつの話題について説明できる能力です。

英検3級に合格できる小学生なら文法や語法の知識はある程度備わっています。しかし、実際は英検3級を取得しても20秒間英語で話し続けられる小学生はほとんどいません。

原因は2つあります。一つ目は、文法学習と語彙のインプットが不足しているからです。もう一つの原因は、具体的な英会話の効果的な練習方法を知らないからです。

この記事では、英会話を促すための理想的な考え方や表現の工夫について説明します。また、自宅でも毎日続けられる英会話の練習方法を具体的に紹介します。

英会話を習得するのは決して簡単ではありません。しかし、かけた時間に比例して結果は必ずついてきます。

小学校低学年までは、インプット中心でよい

簡単な文章を話し出すまでに、生まれてから2年以上必要です。この間、お母さんを中心に家族から大量の語りかけをされています。つまりインプット中心の生活を続けます。

インプットを続けると、話せなくてもお母さんの言葉の意味を少しずつ理解するようになります。その証拠に、言葉を話せない幼児に「ミルク飲む?」と尋ねるとうなずく動作をします。

英語学習でスポットライトが当たるのはアウトプットの「英会話」です。しかし、アウトプットの前に、大量のインプットが必要なのは明らかです。特に学習初期はインプットの量を確保しないと、アウトプットに効果的につなげることはできません。

7歳までは抽象的な概念の理解が苦手

我が家では私が自分の息子に英語指導をしましたが、7歳までは文法指導は困難でした。なぜなら、文法は「抽象的な概念を理解すること」だからです。抽象的な事柄を理解し始めるのは、少なくとも9歳(小学3~4年生)からです。

もし機会があれば、小学2年生と小学3年生の国語教科書を比べてください。文章のレベルに大きな隔たりを感じるはずです。2年生までは絵本の延長だったのに、3年生になると急に難しくなります。

このことは「9歳になれば抽象的な事柄も少しずつ理解できる」ことを示しています。子どもの成長レベルに合わせて英語を伸ばすなら、文法もこの時期から少しずつ学ぶのが正解です。

あせって小学校低学年から本格的な文法を教えても効率は悪いです。

絵本の読み聞かせ・音読練習は効果的

第二言語の習得には、インプットとアウトプットの両方とも必要です。幼児期から小学校低学年にかけてはインプットに適した時期なので、インプット:アウトプットの比率を9:1くらいで設定するとちょうどいいです。

そのインプットの具体的な中身は、「絵本の読み聞かせ」と「音読トレーニング」です。インプットと聞くと受け身の学習と考えるお母さんも多いでしょう。しかし、「絵本の読み聞かせ」も「音読トレーニング」もどちらも能動的な学習です。

絵本には繰り返しの表現が多用されます。子どもは何度も聞いているうちに、自分でも口に出して読みあげるようになります。音読トレーニングについては、集中すると口の周りの筋肉が疲れるほど声に出して英語を読みます。
Robert Munsch

このようにインプットとはいえ、極めてアウトプットに近いトレーニングを積み重ねることで、子どもは英語力の基礎を身につけます。お母さんは「ウチの子はまだ英語を話せるようにならない」とあせらずに、ゆったりと構えましょう。

小学校中学年になったら、文法や語法を覚える

小学3年生くらいになったら、少しずつ文法の学習を始めましょう。とはいっても問題を解くための文法ではなく、あくまでも英語を話したり書いたりするための「運用力に直結した最低限の文法」です。

英会話に文法学習は避けられない

2020年度施行の小学校学習指導要領では、英語の4技能(読む・聞く・話す・書く)をバランスよく学ぶことを求められています。これら4技能の基礎として、文法と語彙力があります。「文法を学ぶから英語を話せない」と批判する人もいますが、大きな間違いです。

例えば、車の運転を考えてみましょう。信号の色の意味や進入禁止の標識などの交通ルールを学習することは、絶対に必要です。さもないと街中で事故が頻発したり、交通違反で溢れかえったりするでしょう。

しかし、すべての交通標識を丸暗記することは必ずしも安全運転には結びつきません。最初に最低限の交通ルールを覚えたら、少しずつ運転の経験を積み重ねながら必要なルールや知識を増やしていくのが通常のプロセスです。

英会話も車の運転と似ています。英会話で本当に必要な文法の知識は、実はそれほど多くありません。幼児~小学校低学年まで英語のインプットと音声面のトレーニングがあれば、少し整理して伝えるだけでだいぶ英文法の理解はすすむはずです。

では、具体的に英会話に必要な文法とはどのようなものなのか見ていきましょう。

英語で大切なのは「語順」

英語文法の中核は、「語順」です。「私は英語を勉強します」という意味の日本語と英語を比べてみましょう。

日本語では、下の文はほとんど同じ意味です。主語である「私は」と目的語の「英語」を入れ替えても意味はそれほど変わりません。

・私は英語を勉強します
・英語を私は勉強します
・英語を勉強するんだ、私は
・私は勉強するんだ、英語をね

これは、日本語は「を」「に」「は」「が」などの助詞によって、言葉の役割を与えているからです。日本語の場合、語順は比較的自由です。

一方、英語では下の文章でしか表現できません。

I study English.
(主語+動詞+その他)

もし、主語のIと目的語のEnglishを入れ替えてしまったら、意味はまったく通じません。英語は語順により言葉の役割がわかるようになっています。つまり、英文法のもっとも大切な部分は「語順を覚えること」です。

とりあえず、扱うパターンは4つでよい

英会話を始めるためには、さしあたっては「4つの文型」と「副詞の位置」を覚えるだけでいいです。

語順1

語順2

・副詞は、ほとんどの場合、文頭でも文末でも可能

Every day, I swim.
I swim every day.

・頻度を表す副詞(always, sometimes)は、原則「一般動詞の前」か「be動詞のうしろ」(文頭でも文末でも可)

I always eat an apple.
I am always hungry.

とりあえず、語順に関してはこれくらい知っていれば何とかなります。これ以上細かいことを伝えると、頭がフリーズして英語が口から出てきません。

動詞9つのパターンは必修項目

子どもにとって英文法の最初の難関は、動詞の変化です。動詞は「3×3」の要素で、9パターンに変化します。

・一般動詞

過去 現在 未来
肯定 I wore ~ I wear ~ I’m going to wear ~
疑問 Did you wear ~? Do you wear ~? Are you going to wear ~?
否定 I didn’t wear ~ I don’t wear ~? I’m not going to wear ~

・Be動詞

過去 現在 未来
肯定 I was ~ I am ~ I’m going to be ~
疑問 Were you ~? Are you ~? Are you going to be ~?
否定 You weren’t ~ I’m not ~ I’m not going to be ~

 

中学校では、現在形→過去形→未来形の順番で分けて教えるのが普通です。しかし、昔話を読むときは「過去形」なしでは読めません。誰かに「おもしろい今日の出来事」を伝えるときも過去形が中心です。

中学校から英語を学んだお母さん世代には受け入れがたいかもしれませんが、「過去形・現在形・未来形」の時制は一気に子どもに与えていいです。時制を制限すると表現の幅が極端に狭くなるからです。

thinkを習う前にthoughtを覚えても一向に構いません。別々に覚えていくうちに、ふたつの単語は同じ単語であると後から気づくからです。

-edをつけて過去形となる「規則動詞」とその他の「不規則動詞」がありますが、これも徐々に固めていけばいいです。thoughtとすべきこととthinkedと間違えたとしても、むしろ喜ばしい間違いです。正しく書かれた文を見て訂正する機会はいくらでもあります。

昔、テスト勉強のために「think-thought-thought」と動詞だけを何度も復唱しましたが、あれだけでは、使える英語にはなりません。

語順と時制による動詞の9パターンの変化を「使えるレベルまで落とし込む」のは簡単ではありません。しかし、どんなことにも努力は必要です。試行錯誤を繰り返しながら、固めていけるようにサポートしてあげましょう。

汎用性の高い表現を優先する

「楽をするための豆知識」です。英語初心者の子どもに枝葉末節の文法や語法を押しつけると、頭の中で処理できなくなって英語は口から出てきません。ですから、少しでも楽に英語を話せるような工夫が必要です。

例えば、「たくさんの~」を意味する形容詞のmuchとmanyは、名詞が可算名詞か不可算名詞かによって使い分けなければいけません。much waterとはいえますが、many waterとはいえません。

このような表現の使い分けに思考を使うと、言いたいことが口から出てこなくなってしまいます。そこで英会話のときは可算名詞と不可算名詞の両方に使えるa lot ofという表現を使うと決めておきます。そうすると余計なことに労力を使わずに、言いたい内容に集中できます。

また、You like a hamburger, don’t you? (あなたはハンバーガーが好きですよね?)という付加疑問文も作りにくい文章のひとつです。末尾の部分を否定にするか肯定にするかで頭を使うからです。

このような場合はYou like a hamburger, right? と表現したほうが楽です。文法的にも間違っていませんし、普通の表現です。

できるだけ話す内容に意識を向けられるように、省エネで表現できる方法を日頃から身につけましょう。
オンライン英会話で学習中

先送りしていいこと

話す内容に集中するためには、文法や語法の正確さにもときには目をつぶったほうがいいケースもあります。「勉強しなくていい」のではなくて「とりあえず保留にしておく」という作戦です。

冠詞

名詞が出てくるたびに「a, an, the, 冠詞なし」の4つのパターンを瞬時に使い分けるのは大人でも難しいです。英語教師なら「どこまで教えるか」という問題は常につきまといます。

英会話の最初の一歩としては、「冠詞なし」でもいいかもしれません。または、とりあえずtheをつけておいてもかなりの確率でしのげます。少し慣れてきたら、「聞き手と話し手の間で具体的に何を示しているのかわかるときはtheで、それ以外はa/an」くらいの指示で充分です。

Please tell me the way to (   )station. (駅への道を教えてください)

この場合は、お互いに近所にある駅だと了解済みなので、theが正解です。しかし、ここにaをつけてしまっても、それは文意が不明になるほどの間違いではありません。その程度のことにとらわれすぎて何も話せないほうが問題です。

発音

多くの日本人は発音にコンプレックスを感じすぎです。英語を話す人同士で「何を言っているのかわかる」レベルの発音であれば、実用上の問題はありません。

相手に聞き取りやすい英語を話すポイントは、「日本語にはない音をきちんと発音すること」です。

例えば、toothのthの音を「ス」と発音すると、高確率で相手に伝わりません。上下の歯のすき間に舌先を押し付けて、空気をしっかりと出す音がthです。日本語の「ス」とthはまったく違う音です。

あとで発音を矯正するのは大変です。子どもの頃に正しい発音を身につけたほうが、効率よくその後の学習をすすめられます。

完璧な発音になるまで次に進まない姿勢はいけません。進みながら相手に伝わりにくい発音を少しずつ矯正するようにしましょう。

「3単現(3人称単数現在形)のs」

子どもの苦手な文法項目のひとつは「3単現のs」です。正確に理解させるには、「人称」の概念を教えなくてはいけませんが、子どもに伝えるのは非常に苦労します。

絵本では、「3単現のs」は普通に登場します。しかしながら、かなりの量の英文に触れても、自然と「3単現のs」のルールを覚えることは稀です。やはり、どこかのタイミングで教えなければいけません。

子どもの成長段階にもよりますが、「何でgoにesがついているの?」と子どもから質問してきたときが、教えるタイミングとしては最適です。大人から文法を押しつけられるより、自ら「知りたい」気持ちがベースになっているときは理解が早いからです。

私は息子に聞かれたとき、紙にI(We)とYou(You)を書いて大きな〇で囲みました。その〇の外に、他の家族や友人の名前を書きます。男性はHe、女性はShe、学校の友達(複数)はまとめてTheyとグループ分けをします3人称の概念

その後、I go shopping every day. のセンテンスを与え、主語を入れ替えて3人称単数のときだけ動詞にsまたはesが付くことを確認させます。

You go shopping every day.
Jenny goes shopping every day.
Adam goes shopping everyday.
They go shopping every day.

この方法ならその場ではなんとか理解できますが、子どもはすぐに忘れてしまいます。その後も何度も繰り返し教えました。最初に教えてから使い分けできるようになるまで、1年半くらいかかりました。

ネイティブの子どもの作文を見ても6歳くらいの子どもは間違えていることも多かったです。ネイティブでもこんな程度です。日本人の子どもならなおさら根気よく教えるしかありません。

丁寧さ

「実はこの英語は失礼だった!」という本は一定の需要があります。「学校で習った英語はネイティブには失礼に感じるので気をつけましょう」という内容です。実は、私も気になってつい立ち読みしてしまいます。

おそらく「他人から失礼な人と思われたくない」気持ちが強いから、この手の本に惹きつけられるのでしょう。実際、英語レベルの高い人が読むと、より洗練された英語を身につけられます。しかし、初心者や子どもには「邪魔な知識」です。

場面や相手との関係に即して、英語表現を瞬時に使い分けるのは非常に難しいからです。子どもにそんなことを求めたら委縮して英語を話さなくなってしまいます。子どもは多少失礼な表現をしても、聞き手は受け入れてくれるので問題ありません。

私も昔、ニュージーランドのカフェで注文するときに “Could I have~, please?” と言ったとき、店員は苦笑いしていました。「丁寧すぎたんだな」とそのとき気づきましたが、大人でもこんなものです。次からCan I have~? とか I’ll take~? と変えればいいだけです。

木彫りの彫刻をするときは、最初に大まかな形を作ってから少しずつ細部を整えていきます。最初から細部を仕上げようとすると、いつまで経っても作品は完成しません。

英会話も彫刻と同じです。粗削りな段階を経て少しずつ細部を整えていけばいいのです。

具体的な練習方法

ある程度会話力があればオンライン英会話で経験を積むのは、有効な練習方法です。しかし、ほとんどの子どもにとって、いきなり20分間を英語だけで乗り切るのは難しいです。

会話には相手が必要ですが、練習するだけなら自分ひとりでも可能です。毎日続けられて効果的な英会話の練習方法を説明します。

20秒間話し続ける力をつける

20秒間英語で話し続けられることを目標にしましょう。4センテンスくらいが目安です。1センテンスは6秒くらいなので、短い文章を次々に口から出すことを心がけます。

まず、話すトピック(内容)を決めます。通学路で見かけた物や人、今日食べた給食のメニュー、週末の予定、学校で起きた事件など身近な内容がいいです。

「誰かに聞いてもらいたい」気持ちで、ひとり言をブツブツつぶやきます。途中で表現がわからなくなったら、日本語でメモを書いておきます。後で、お母さんは一緒に調べて教えてあげましょう。わかりにくいので、実例を挙げてみます。

・トピック「授業中、ケンジ君が気持ち悪くなって保健室に行った」

When we 勉強していた Syakai this morning, Kenji raised his hand. (社会を英語で言いたい)
He said “I 気持ち悪い.”(気持ち悪いを英語で言いたい)
Mr. Suzuki said to me, “Take him to the 保健室.”(保健室を英語で言いたい)
He went home with his mother.
I ~かなと思う he is going to come to school tomorrow.

ゆっくりと話すとこれだけでも30秒に到達します。( )は子どもが疑問に感じるポイントです。この疑問点は、その場で自分で調べたりお母さんが教えてあげて解消してあげましょう。名詞がわからないときは、上記のようにとりあえず日本語を入れておきます。

10分くらい調べれば、下のようなことがわかります。

勉強していた we were learning
社会 social studies
気持ち悪い feel sick
保健室 the nurse’s office
~かなと思う wonder if~

これらをノートに記入して、もう一度最初からブツブツつぶやきながら20秒間英語を話し続けます。

When we were learning social studies this morning, Kenji raised his hand.
He said “I feel sick.”
Mr. Suzuki said to me, “Take him to the nurse’s office.”
He went home with his mother.
I wonder if he is going to come to school tomorrow.

これを繰り返し音読します。翌日も前日の内容を思い出しながら、この話題について20秒間話し続けましょう。暗記するというよりも、音読していたら「暗記してしまった」状態が理想です。

ときどき復習

毎日このトレーニングを積むと、少しずつ身の周りのことを英語で話せるようになります。小学生で20秒間途切れずに話せれば立派です。

週に1度は復習の機会を設けて、ノートに書いたメモ(日本語)を見ながら英語を話すトレーニングをすると忘れにくくなります。

「復習はつまらない」と思うかもしれませんが、実は短時間で表現を身につけられる効果的な方法です。0から始めるより、ずっと少ない労力で覚えられるので復習は必ずするようにしましょう。

もし、お母さんが英語に自信がなければ、学校の先生や英会話スクールの先生に1週間分をまとめて質問するといいと思います。より自然で正確な表現を身につけることができます。

注意点

お笑い芸人が海外の街角で、たどたどしい英語で人々に話しかけながら与えられたミッションに挑戦する番組があります。

娯楽番組なので目くじらを立てるのもどうかと思いますが、子どもが勘違いしないか心配なことがあります。それは、メチャクチャな英語は「聞き手に我慢させている」状態なのに、「これで充分」と思ってしまうことです。

言葉が未熟であればあるほど、聞いている相手はその隙間を埋めるために非常に苦労します。一方的に相手に負担を強いるような会話は長続きしません。ましてやそのような人と友達になったり、仕事で一緒に協力したりするような結果には至らないでしょう。

いつまでも先送りしていい訳ではない

子どもに英会話を学ばせたければ、細部にこだわるような指導を最初からしてはいけません。しかし、いつまでも粗削りのままでいい訳でもありません。

子どもの年齢や英語力の推移を見ながら、少しずつ英語を整えていく必要はあります。学習するときは細部にこだわり、英会話をするときは細部にこだわり過ぎず内容の伝達に集中させましょう。

中学校から本格的な文法の授業がありますが、子どもの頃から英語を学んでいたとしても、決して軽視すべきではありません。海外の学校に通っていた私の息子には「グラマー(文法)はちゃんと勉強したほうがいいよ」と私は伝えています。

「会話は間違いを恐れず大胆に、学習は細かく」という使い分けができるなら、英検の勉強も有効だと思います。問題は、「英検〇級」を目標にして問題集に取り組んでばかりいると、正確さを追い求めすぎて言葉が出てこなくなります。

文法学習と会話練習では気持ちの切り替えが大切です。英会話練習ではややいい加減な姿勢でちょうどいいです。

話すための基礎を作るなら音読が一番です。

まとめ

子どもがリラックスして英会話をするようにさせるには、周囲の雰囲気がとても大切です。「何かを伝えたい」という子どもの気持ちを受け止めて、それに正しく反応してあげることで達成感を味わえます。

細かい文法事項はとりあえず保留にしましょう。汎用性の高い表現を活用したりして、短い文を速く作れるようにしましょう。使わないとうまくならないので、身の回りの出来事をトピックにして、20秒で表現する練習はとても効果的です。

ネイティブの子ども同士の会話を聞いていても、短い会話のやり取りがほとんどで、20秒間あればいろいろなことを伝えられます。

英会話に慣れるためにはやはり日常的に英語を使う環境を与えるのが望ましいです。英会話教室やオンライン英会話を上手に利用して、週1~2回、英語を話す機会が持てるのが理想です。

マレーシア母子留学について

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「マレーシア母子留学」という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 最近、マスコミでも取り上げられるようになって少しずつ浸透してきました。

プール付きの広々としたコンドに母子で生活し、掃除や料理はお手伝いさんにお任せしている光景が映し出されます。テレビは偏った情報が多いので、このような映像を見ると「旦那を日本に残しておいて、いい気なもんだ」と怒りを覚える人も少なくないでしょう。

テレビの影響は絶大ですが、母子留学の実態とはかけ離れているように感じます。この記事では私の経験を踏まえて、実際の「母子留学」とはどのようなものなのかを説明します。また、母子留学にチャレンジしたいと考えている家庭のために、成功させる秘訣を書いてみます。

マレーシア母子留学の増加

我が家はマレーシアに2014年から3年半滞在しました。私(父)を含めて家族全員(4人)での移住です。現地では母子留学中の親子と出会う機会も多く、「マレーシアへの母子留学は増えている」と感じていました。

・母子留学とは

母子留学(ぼしりゅうがく)とは、母親と子どもだけで教育目的の移住をすることです(1か月の短期留学を含めることもありますが、この記事では年単位の長期留学のこととします)。

一方、父親は日本で仕事を続けます。多くの場合、会社を辞めると収入が途絶えてしまうので、必然的にこのような形態をとるしかありません。

マレーシア母子留学増加の背景にあるもの

malaysia

正確な統計は調べていませんが、母子留学の数は増えている気がします。背景にあるのはグローバル教育への関心の高まりです。簡単にいえば「英語力の向上と海外での経験を積ませたい」という親の希望を実現する手段です。

具体的に母子留学を考えると、費用・治安・学校・医療レベル・ビザ取得などを調べて納得する必要があります。これらの条件が揃う国はそれほど多くありません。

マレーシアは東南アジアの優等生と呼ばれる国です。生活費が日本と比較して割安であること、治安もそこそこ良いこと、インターナショナルスクールの選択肢が多く、医療レベルも悪くありません。ビザに関しても比較的取得しやすいです。

マレーシアの特徴をひとことで表すと多様性の国です。マレー系、中華系、インド系、欧米系、その他のアジア系など多様な人種が一つの国で生活しています。公用語はマレー語ですが、日常生活ではそれぞれの民族の言葉と共通語として英語が使われることが多いです。

宗教はイスラム教を中心として、仏教、ヒンズー教、キリスト教など礼拝所や寺院・教会が同じ町に共存しています。この風景からわかるように異なる宗教に対して寛容な国です。

上記のような要因の他、日本からのアクセスも6~7時間程度と比較的近く時差はたったの1時間であることから、母子留学先として人気があるのです。

準備

母子留学を実行するなら1年半前から準備を始めましょう。私の経験を踏まえて、どのような手順ですすめたらよいかを説明します。実際の業務はエージェントを見つけて、少しずつ進めていくのが普通です。

留学目的と必要な期間を明確にする

最も大切なのは、「母子留学の目的」と「必要な期間」をはっきりと決めることです。留学目的に「この時期にどうしても身につけさせておきたいこと」を明確にすることが成功の秘訣です。

もし留学の目的が「英語を話せるようになるため」だけなら、今すぐ中止しましょう。母子留学では家族が離れて暮らすことによるマイナスの影響や、日本語力低下の危険があります。英語のためだけにこれらの危険を冒すのは、ハイリスク・ローリターンです。

我が家の場合、少子高齢化が進む日本の将来を考えたのがきっかけです。子どもが成人する頃には大量の移民を受け入れているか、アジア圏の一部に取り込まれた日本を想定しないと、国の繁栄は難しいのではと考えました。

このような環境でたくましく生きていくには、従来の教育だけでは不充分です。夫婦で考えた結果、「外国人の中でも物怖じしない人間になること」「環境適応能力を高めること」「異なる人種・宗教・文化に寛容になること」を留学によって学ばせることにしたのです。

日本は人口の98%が日本人で構成される国です。国内環境でこれら3つのスキルや能力を高めるのは難しいと考えました。必要な期間は3年くらいと計算し、その後は日本の学校に戻すことにしました。

当時、私の娘は小学生で息子は幼稚園でした。娘は自然に英語を覚える年齢は過ぎていたので、インター校は不向きと考え現地の日本人学校へ通わせることにしました(学生ビザでは日本人学校には入学を許可されません)。

年齢を考慮せず兄弟平等にとインター校を希望する人が多いですが、子ども一人ひとりのことを考えることが大切です。英語ゼロの子どもがいきなり小学校高学年のインター校の授業についていけると考えるのは無理があります。

息子は年齢的にインター校でも大丈夫そうでした。そこで娘の中学卒業時(日本人学校は中学までしかない)までの3年半を留学期間に定めて計画を立てました。

母子留学をするなら子どもに身につけて欲しい「大きな目標」が必要です。夫婦で話し合ってお互い充分に納得した目標でなければいけません。英語だけなら日本国内でも学べます。海外でないと得られないものを設定できるかどうかが成功の鍵です。

ビザ

母子留学するには、子どもにビザ(学生ビザ)が必要です。子ども1名に対して保護者一人は「ガーディアンビザ(保護者ビザ)」を申請できます。兄弟がいる場合は、両親がガーディアンビザを取得することも可能です(マレーシアの場合)。

学生ビザの申請には通学するインター校の証明書が必要です。手続きは学校が紹介するエージェントを利用するのが普通です。手数料は一人につきRM250くらいでした。移民局の方針は頻繁に変わるので、条件などはその都度確認するしかありません。

申請は学校に通い初めてから出来るだけ早く、ということになります。ウェイティング(空き待ち)状態が長くなる場合は、一度出国(日本へ帰国)する必要があります。

視察は1年空けて最低2回、それぞれ5日以上

誠実な留学エージェントはとても心強い存在ですが、自分の眼で確かめる手間を惜しんではいけません。移住する1年半前に一回目の視察、移住する2か月前に2回目の視察は最低限必要です。

ネットで得られる情報よりも、自分が体験した1次情報の方が何十倍も正確です。視察のポイントをいくつか挙げてみます。

・1回目の視察(5日間以上)

最初に子どもの学校を絞り込みましょう。現地の人の意見や、実際に通う人を紹介してもらって直接話を聞くようにしましょう。希望する学校と事前にアポを取り見学しましょう。マレーシアは休日が多く、無計画に視察に行くと学校が休みの期間と重なってしまいます。

担任の先生はネイティブかどうかを確認しましょう。肌で感じる学校の雰囲気はとても大切です。気になることは事前にリストにしておいて、その場で質問しましょう。

学校を決めたら、ウェイティングリストに登録しておきます。評価の高い人気のインター校は、すぐには入学できません。

私の隣人は、子どもが生まれて3か月後にはインター校のウェイティングリストに登録していました。日本では考えられませんが、マレーシアでは普通のことです。

学校によってローカル枠、海外赴任枠、その他留学生枠の比率が決まっています。政府機関や観光業に携わる人の子ども達は優先して入学させることが多いです。

このような事情で、名前を書いたからといって必ず入学できるわけではありません。ときどきメールや電話でウエィティングの順番や、自分の子どもの様子(英語力など)を報告することは大切です。「この学校に子どもを通わせたい」という熱意が大切です。

次に学校周辺の住環境を調べます。学校から近い(車で15分圏内)コンドミニアムや一番近いショッピングモール、郵便局、レストラン、治安の状況などが対象です。マレーシアは車社会なので、渋滞状況の確認も必要です。

希望するエリアのホテルに宿泊すると効率よく調査できます。徒歩圏内で食べられるローカルフードを食べてみるのもいい経験になります。

・2回目の視察(5日間)

絶対に子どもを連れて現地視察をしましょう。ウェイティングに登録した学校にアポを取り、子どもを連れて見学に行きます。

どういう計画で移住計画を進めているか、どれくらい本気なのかを担当者や先生にアピールするためです。冷やかしでウェイティングに登録する人は大勢います。その中でわざわざ子どもを連れて日本から見に来ているという熱意を見せるのです。

住んだつもりになって、子どもと歩き回ることも大切です。お母さんだけで歩くのと子どもを連れて歩くのでは大違いです。交通量の多いところでは信号機があるかどうかも確認が必要です。

ウェイティングの状況を見て順番が回ってきそうだと感じたなら、エージェントに相談してコンドミニアムの見学をしましょう。日本とは事情が異なるポイントについてだけ、簡単なチェックリストを挙げておきます。

□セキュリティーはきちんとしているか
□風通しのよい部屋か(光熱費が相当変わる)
□すべての蛇口から水は出るか
□水漏れがないか
□蚊が多くないか(デング熱を媒介するので注意)
□すべてのスイッチを入れて電気製品が動くかどうか確認する
□近くにモスクがあるか(早朝、大音量でアザーンが流れるので気になる人は注意)
□日当たりが良すぎないか(南向きは避けるのが南国の基本)
□子どもが遊べるプールはあるか(子どもの運動と暇つぶしに)

条件や希望に合うコンドが見つかったら、その場で契約したほうが安心です。住所が決まると諸々の手続きが一気に進みます。

英語の準備

最初の見学でインター校の先生に「日本人の子どもは英語が全然話せないので、できる限り勉強させて欲しい」といわれました。英語力は学ぶための手段として絶対に必要です。Year1~Year2に入学するなら、簡単な本を読めるレベルになっているのが理想です。

私は移住までの1年半、英会話スクール(週一回)と自宅で「英語絵本読み聞かせ」(週数日)を継続しました。200語くらいの単語とフォニックスの基礎を覚えるのがやっとで、息子は英語を話せるレベルには到達しませんでした。

英語以上に時間をかけたのは、実は国語と算数でした。5歳で海外に行けば日本語に悪影響が出るのは明らかです。幸い幼稚園では、ひらがな・カタカナ・小1までに習う漢字を教えてくれました。

移住後しばらくの間は英語に集中しなければならないので、国語の勉強で1年間のアドバンテージを持つことはとても役に立ちました。

エージェント利用の注意点

ほとんどの母子留学では、エージェントにお願いするのが一般的です。ネットでは調べられないような細かい情報にもこたえてもらえるので、有効利用したほうがいいです。

一部には悪い噂のエージェントもいますので、現地調査のときに直接会って人柄を確かめた方がいいでしょう。トラブルを避けるために報酬額、支払い方法などを納得するまで確認しましょう。信頼できるエージェントならきちんと回答してくれるはずです。

自分でできることは自分で動き、移民局などの役所が絡むようなことやコンド選びなどに絞ってエージェントに依頼すると、比較的トラブルは少ないです。お母さんの依存心が強すぎると、すべての要望に応えられないエージェントに不信感を抱くようになります。

現地の日本人社会は狭いです。正当な理由もなく報酬を支払わなかったり嘘をついたりすると、悪い噂は確実に広まります。あとで母子ともに居心地の悪い状況を作らないためにも、社会人としてのルールやマナーを大切にしましょう。

親戚、周囲の人への告知

いよいよ移住が決まったら、親戚や周囲の人々への告知をしましょう。黙って国外に住み始めるのは良くないので、やはり何かしらの説明が必要です。

子どもが学校や幼稚園に通っている場合は、早めに担任の先生に母子留学の可能性があることを伝えておいた方がいいでしょう。

「みんなびっくりするのでは」「母子留学の理由を聞かれたらどのように答えようか」などと不安になるお母さんもいるかもしれません。どのように説明したらいいのかと悩むこともあるかもしれません。しかし、ほとんどの場合それは取り越し苦労です。

私の経験では、驚くほど周囲の人は興味を示しません。ほぼ無関心です。移住後に一時帰国して、親戚に会うこともありました。そのときも、マレーシアの様子について詳しく聞かれたことは一度もありませんでした。

費用

マレーシアでの母子留学が注目される理由のひとつに、費用の安さが挙げられます。そのため退職後の移住先としても人気があります。しかし実際住んでみると、思った以上にお金がかかるというのが正直な感想です。

生活費は日本の3分の1ではない

「物価は日本の3分の1」とよくいわれますが、実際の感覚とはかけ離れているように感じます。デフレの日本とは異なり、インフレのマレーシアでは当たり前に物価が上昇しています。
ringgit

移住中は、RM10.00(約300円)以内でランチを済ませることが多かったです。ときどき、空調のあるようなレストランでプチ贅沢するとRM20.00(約600円)を超えることもありました。

上下水道に関しては驚くほど安いのですが、浄水器をつけたりウォーターサーバーを契約したりすると、月々数千円かかります。電気代は日本よりは安いですが、広い部屋でエアコンを常時つけていると日本以上に電気代を請求されることもあります。

車のランニングコストはとても安いです。新車なら最初の3年間は保証期間ですから、故障しても無料で交換してくれます。ガソリンは日本の半分以下で、この価格に慣れると帰国時に満タンにするとびっくりします。駐車場はコンドについているので無料です。

全体的にみると、日本の7~8割程度の費用で生活できる感覚です。

学費は高い

中国をはじめとするアジア諸国で富裕層向けのインター校が増えています。そのため、優秀なネイティブの先生の採用競争が厳しい状況です。その他の要因と合わさり毎年のように授業料が上昇しています。授業料が3割上昇するくらいまでは想定しておきましょう。

インター校(小学校)の授業料は学年が上がるごとに高くなっていくのが普通です。安いところで年間60万~80万、普通は100万円以上です。

授業料と学校の質は必ずしも比例しません。やはり現地調査のときに自分の眼でしっかりと確認するのがベストです。先生の質は教育レベルに最も影響する部分なので、妥協は禁物です。

素敵なコンドは高い

便利でセキュリティーがしっかりしていて清潔なコンドは、家賃も高めです。母子であれば広さを妥協すれば都市部なら単身者向けの部屋を借りることもできるかもしれません。

最初から満点の物件を探すのは難易度が高いです。とりあえず1年契約にしておいて、次回の契約更新時にそのまま住み続けるか、別のコンドに引っ越しすることを検討してもいいでしょう。

マレーシアでは基本的にはfurnished(家具付き)なので、引越しはそれほど大変ではありません。母子の場合は荷物も少なめなので迷うことはありません。

自動車は必須に近い

マレーシアの公共交通機関は日本ほど発達していません。移動には自動車が必要な場面が多々あります。私も最初の頃はマイカー無しの生活を試みましたが、バスがバス停で止まらないことがあり(よくある)思い切って新車を買いました。

Grabなどの配車サービス(アプリから利用できる)をフル活用する人もいますが、女性や子どもだけの利用は安全面で不安が残ります。タクシーはどこでも拾えるわけではないし、お金もかかります。仕方なくマイカーを持つ人が多いのもうなずけます。

マレーシアの交通マナーは決して良くないので、慣れないと運転は怖いです。方向指示器を出さずに車線変更や、バイクのすり抜けなどは日常茶飯事です。一方通行も多いので、運転は気を使います。

それでも、1年以上滞在するならマイカーを所有したほうがいいかもしれません。

移住後の子どものサポート

学校に通学し始めると少しずつ生活が落ち着いてきます。しかし、これでようやくスタートラインに立っただけです。学校の勉強や宿題に加えて、英語の特訓、日本帰国後に困らないようにするために国語の勉強が欠かせません。

お金に余裕があるならチューター(家庭教師)をお願いする人もいます。それができないなら、お母さんが自分で教えるしかありません。

学校からはほぼ毎日宿題が出されるので、最初の1年半くらいは手伝ってあげないと何をしていいのかわからない状態です。ここでは、移住後の子どものケアに関して、お母さんが気をつけなくてはいけないポイントを説明します。

英語力

入学試験で入学を許可されるとホッとする気持ちになりますが、勉強の本番はこれからです。日本からやってくる子どものほとんどは英語力に問題があるので、必死に勉強しなければなりません。

小学生は基礎を身につける大事な時期です。英語を話せないだけなら問題ありません。しかし、英語がわからないことが原因で、足し算・引き算、掛け算などの大切な学習事項を身につけられなかったとしたら、その後の人生に深刻な影響を及ぼします。

インター校は英語を教える学校ではありません。「英語で」勉強を教えてくれる学校です。英語ができないと基礎的な学習がおろそかになってしまいます。

日本人の場合、5歳前後で入学すると英語を話し始めるのに3か月~1年は必要です。学校の授業に完全についていけるようになるためには約15か月必要です。母子留学で何かを学ばせたいなら、最低でも2年以上の滞在が必要な根拠はここにあります。

ちなみにヨーロッパから来た子ども達のなかには、英語ゼロでも1か月くらいで話し始める子どももいます。これは母国語と英語の言語構造が似ていて、習得までに必要な労力が圧倒的に少なくて済むからです。

我が家はコレで英語を伸ばしました!

日本語力

日本で英語を勉強している限り、日本語に悪影響が出ることはほとんどありません。しかし、6歳未満で海外のインター校に通い始めると、多くの場合日本語力がみるみるうちに衰えていきます。

問題はお母さんが子どもの日本語力の低下に気がつきにくいということです。なぜなら、日常会話レベルでは変化が見られないからです。家庭では「お腹空いた、ご飯まだ?」「すぐ作るよ」レベルのやり取りしかしません。

小学生が身につけるべき国語力とは、ひらがな・カタカナ・漢字を学び、本を読み(スラスラと音読)、その年齢の日本の子どもが知っているくらいの教養語を覚えることを指します。

日本語の必要性を感じられない環境で、国語力を上げる勉強を続けることは想像以上に大変なことです。しっかりと学習計画を立てて、特に長期休暇中は国語の学習時間を多くとるなどしないと、帰国後の学習に支障が出ることは間違いありません。

日本人の子どものための「日本語補習校」に通うと、毎週日本語を話す友だちと一緒に学ぶことができてペースがつかめるようになります。同じように母子留学してる方もたくさんいるので、情報交換の場としても貴重です。

精神面のサポート

言語も含めて生活環境が激変すると子どもの心には相当な負荷がかかります。お母さんに気を使って「日本に帰りたい」という気持ちを言わない子どももいます。お父さんと会えない寂しさを訴えることもあるかもしれません。

子どもの能力や性格によって対応はまちまちですが、サポートの大部分はお母さん次第です。時間を作って悩みを聞いてあげることはとても大切です。

私は息子の登下校には車で送迎していました。わざわざ車を手前で停めて、歩いて息子と学校に行き教室の手前まで一緒に行ってあげた時期があります。仲良しができずにウロウロしている様子を見ると辛かったですが、悩みを共有してあげることが大事です。

3か月目のある日、帰る途中で「僕は日本に帰りたいな」とポツリとつぶやいたことがありました。このときは真剣に帰国することを考えました。妻には「あと3か月で慣れないようだったら帰国する」と伝えました。

数週間後「一人で大丈夫だから」とスタスタ学校に向かい、途中で会った友達と笑顔で挨拶をかわしている様子を見てやっと安心しました。

子どもによっては我が家のようにうまくいかないケースも発生するでしょう。強いストレスに長期間さらされると、子どもの成長に深刻な影響を与えてしまいます。どこかでラインを引いておき、日本に帰国する選択肢を常に残しておきましょう。

食事

留学準備として、食べ物の好き嫌いを減らしておくのもとても大切です。我が家では「環境適応能力の向上」は重要な教育目標だったので、何でも食べさせるようにしました。

せっかく南国にいるのに果物は「バナナ・リンゴ・オレンジ」しか食べない日本人が多いことに驚いたことがあります。パパイヤ、マンゴー、マンゴスチンなど南国のフルーツがたくさん食べられるので、いろいろチャレンジさせたいです。

多民族国家のマレーシアでは、マレー、インド、中華を中心としてバラエティー豊かな料理を楽しめます。インド料理はスパイスが本格的で、子どもは食べられませんでした。しかし、半年もすると好んで食べるようになりました。

世界中どこの食事でも食べられるというのは「生きる力」そのものです。我が家はこの点はほぼパーフェクトにクリアしました。

レジャー

長期の休みには、レジャーに連れていくのも息抜きや勉強になります。マレーシアを拠点にするとアジア諸国へのアクセスが大変良く、国内旅行感覚で遊びに行けます。

我が家は東マレーシア(コタキナバル)、シンガポール、ベトナムに連れていきましたが、今となっては貴重な思い出です。ベトナムでは裏通りのおばちゃんの屋台にチャレンジしましたが、いつも通りに食べているのを見て「たくましくなったなぁ」と感心しました。

帰国後のことを常に頭に入れておく

留学中は親子とも忙しい日が続きますが、帰国後のことを常に考えて準備することが必要です。特に日本語力は維持するだけでなく、学年相当に伸ばしていかないと苦労します。

必要性を感じない漢字の書き取りや日本語の読書を継続するのは容易ではありません。帰国後にスムーズに日本の学校に戻れるようにするためには、時には厳しく子どもに接する必要もあります。

母子留学の場合、収入以外の全てのことが母親一人にかかってきます。子どもの学力や国語力の低下に悩むときに、一人で抱え込んでしまいます。相談できる相手がいればストレスは軽減されますので、一時帰国してでも夫婦で悩みを共有するのは大切です。

父親はどうなる?!

ここまでマレーシア母子留学について説明してきましたが、まだ大事なことに触れていません。それは「父親」です。私は一緒にマレーシアに行っても、仕事にそれほど支障がなかったので恵まれていました。普通は、ほとんどの家庭ではそうはいきません。

自分のケース

我が家でも、最後の3か月だけ母子留学状態になったことがあります。上の娘の高校受験を控え、私が同行したからです。

日本には私と娘、マレーシアには妻と息子の二つグループに分かれました。一時期だけ母子留学状態になったのです。そのときのことを振り返りながら、母子留学の時の父親の心情を振り返ってみます。

父は寂しい…はず

私は現地での生活を知り尽くしていたので、向こうで生活する2人のことを不安に感じることはありませんでした。もしそうでなかったら、どんなに説明されても不安な気持ちは晴れないままだと思います。できるだけ、お父さんが現地に行って過ごすことも必要です。

最初のうちはマメに連絡しますが、お互い忙しいので徐々に連絡の頻度は下がっていきます。スカイプ(インターネットのテレビ電話)で顔を見ながら子どもと話をしても、共通の話題が少ないので、話が盛り上がらなくなります。

やはり同じ空間を共有することが家族にとっては理想です。マレーシア側のお母さんたちは割とたくましく生きている人が多いです。日本で働くお父さんから話を聞く機会がないのでよくわかりませんが、私はだんだん子どもとの距離感がつかめなくなりました。

スカイプで話をしたとしても「元気?」以外の深い話題にならないとか、そういうことが起こるのではないかと感じます。子どもの中でもお父さんの存在感は少しずつ薄らいでいくのは確かです。

父の立場から正直に言えば、これは寂しいです。ほんの数か月離れるだけでもこの状況です。3年以上この状態が続く母子留学中、日本に残っているお父さんはどのように過ごしているのだろうと考えてしまいます。

そのような経験から母子留学に私はややネガティブにとらえていました。しかし、母子留学のお母さんたちと話す機会が増えるにしたがって、考えが少しだけ変わりました。今では母子留学については「完全に中立の立場」です。

見方が狭かったのを反省した

母子留学を決意するに至る経緯は、人それぞれです。事情をよく知らない人は「外国かぶれした母親が子どもと留学して、父親はATM扱いなのだろう」と考えがちですが、それは偏った見方かもしれません。

一例だけ紹介します。お父さんが過度に教育熱心で、娘さんはそのプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。家庭内のことなので、学校や塾のように辞めて解決というわけにはいきません。

見かねたお母さんが出した策が「母子留学」です。外国に留学するという目的であれば、父親も許可するし娘さんにとってもいい結果を生むのではと考えました。一時的に距離を置くことでお父さんの考え方も変わるかもしれません。

この作戦は見事に的中して、女の子もニコニコしながら楽しそうに学校生活を送っていました。「こんな表情は日本では見られなかった」とお母さんから聞いたので、子どもは日本にいたときには相当なストレスを抱えていたと推測できます。

「母子留学」は準備を含めて大変です。それでも実行するのは、他人には理解できない深い事情がある可能性もあります。私自身、一面だけを捉えて「母子留学」にネガティブな感情がありました。でも、今では中立な立場で見ることができます。

期間限定で夫婦が納得していればいい

「母子留学」に関しては周囲の言葉を気にするよりも、家庭内で納得していればいいのです。

確かに帰国時期を決めずに、終わりが見えないような母子留学には私は反対です。しかし、きちんとした目標を立ててそれに必要な期間を話し合い、夫婦が納得すれば何も問題ありません。

1年で数日しか過ごさない親子の会話を聞いたことがありますが、お父さんは子どもへの接し方がわからず、子どももよその大人に話すような感じでよそよそしいものでした。

このような悪影響を最小限にとどめるためには、やはり期間を区切っての母子留学の方がいいのではと感じます。

まとめ

すべての物事には裏と表があり、一面だけを見ているとバランスを欠いた行動を取ってしまいます。「母子留学」は確かにブームかもしれませんが、ポジティブな効果ばかりを見ないで、家族関係や日本語能力に及ぼす負の影響についても検討するべきです。

成功の秘訣は、事前の目標と期間の設定です。面倒くさがらずに「留学しないと身につかない(難しい)もの」を夫婦で考え抜くことが大切です。

帰国後に家族全員が「留学してよかった」と笑顔で言えるように、計画・準備を進めましょう。帰国後の英語力維持には英会話教室やオンライン英会話などを利用するとともに、英語での読書習慣が大切です。帰国後のことを見据えて、留学中に子どもが勉強に打ち込めるようにサポートしましょう。

子どもでも歌える! 「英語の定番クリスマスソング」

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クリスマスが近づいてくると「サンタさんに何のプレゼントをお願いしようかな」と子ども達はソワソワしてきます。そんな様子を見ていると子どもの頃を思い出して、大人も幸せな気分になります。

ところで、「英語のクリスマスソング」をあなたはいくつ歌えるでしょうか? 最初から最後まで歌える曲は、意外と少ないのではないでしょうか?

「英語の歌はちょっと苦手」と感じているなら、親子で英語のクリスマスソングにチャレンジしてみましょう。この記事を読めば「今シーズン、子どもと挑戦してみよう」とやる気になること請け合いです。

日常生活に英語を取り入れる最大のチャンス

子どもに、英語の必要性を身近に感じさせることはとても難しいです。なぜなら日本国内では英語を話せなくても生活できるからです。

しかし、1 年に 1 度だけ子どもが英語を身近に感じる時期があります。それは「クリスマス」です。外国からやってくるサンタクロースにプレゼントをお願いしなければならないので、子ども達は真剣です。

この強いモチベーションを利用して、子どもに英語のクリスマスソングを教えましょう。クリスマスは毎年やってくるので、一度歌えるようになると一生楽しめます。

子どもへの伝え方の例として、「クリスマスの歌を英語で歌わないと、サンタさん来ないかもよ」と切り出したらどうでしょう。「歌うから教えて」と必死になってお母さんに聞いてくるはずです。こんなに英語学習に必死な姿勢を見せるのはクリスマス前しかありません。

クリスマス前の11月から盛り上げよう

11 月になり街にクリスマスの飾りが目立ち始めたら、英語のクリスマスソングに親子でチャレンジです。難しいことはさておき、車でCDを聞くとかリビングにいるときに歌を流して少しずつクリスマス気分を盛り上げていきます。

お母さんは子どもより一歩先行してマル秘特訓をしておきましょう。子どもの前で一部でもいいので英語で歌って見せてください。「お母さんが歌えるなら私だって」と競争心に火がつくはずです。

クリスマスソングが街で聞こえたときの喜び

スーパーやデパートへ子どもと買い物に行くと、クリスマスソングが絶え間なく聞こえてきます。その中に知っている歌があると「この歌知ってるよ!」と子どもは大喜びです。

もし子どもが歌詞の一部を英語で歌えたら、その部分の英語は聞き取れるはずです。これは子どもにとってうれしい経験となります。これがきっかけで、日頃マンネリ化していた英語学習に転機が訪れるかもしれません。

では、子どもが楽しく英語のクリスマスソングを歌えるようにするために、どのような点に注意すればいいのかを説明します。

子どもと歌えるクリスマスソングの条件

インターネットで「クリスマスソング」と検索すると、たくさんの歌が表示されます。あまり多くの歌を覚えようとすると混乱してしまうので、3 曲くらいを選んでみましょう。

選ぶときには「ノリがいいこと」「すでに子どもが知っていること」「歌詞の一部が歌いやすいこと」の 3 点に注意しましょう。以下、その理由について解説します。

ノリがいいクリスマスソング

クリスマスソング集のCDを買うと、厳かな雰囲気の曲ばかり収録されていることがあります。本来クリスマスはキリスト生誕を祝うものなので、当然といえば当然ですが、子どもはしんみりしてしまいます。

宗教色の強い歌よりも、ノリのいい曲の方が子どもにはウケます。例えば 3 曲選ぶとしたら、2 つは明るいノリのいい歌にしましょう。残りの1つに、「Silent Night(きよしこの夜)」のようにゆっくりとした曲を混ぜてもかまいません。

すでに子どもが知っているクリスマスソング

幼稚園や保育園などで、クリスマス関連の歌はいくつか習っているはずです。「ジングルベル」「赤鼻のトナカイ」などはその典型です。知っているメロディーに英語の歌詞を合わせて歌えばいいだけなので負担になりません。これらの知っている曲の中から選ぶと子どもは乗り気になります。

英語圏で歌われるクリスマスソングの中には「Deck The Halls」「Twelve Days Of Christmas」のように日本ではあまり有名でないものもあります。与えられた歌がすべて馴染みの薄いものだったら、子どもは戸惑ってしまいます。このような曲はなるべく避けるようにしましょう。

歌詞の一部が簡単に歌えるクリスマスソング

「1年に1度の英語学習の好機だ!」と歌詞のすべてを子どもに歌わせようと強要してはいけません。苦しいクリスマスになってしまいます。完璧主義は捨てましょう。

お母さんにも難しさを体感してもらうために、動画サイトで歌詞付きの「Santa Claus Is Coming to Town(サンタが町にやって来る)」を検索して歌ってみてください。「曲名 lyrics」で検索すると、下記のような動画がヒットするはずです。

どうでしたか? 最初から最後までスムーズに歌い切るのは簡単ではないはずです。では、“Santa Claus is coming to town.”の部分はどうでしたか? おそらくほとんどのお母さんは歌えたと思います。

このように「簡単に歌える部分から徐々に広げていく」作戦は子どもにはとても有効です。私だったら、冒頭の “You’d better watch out!”~ “Santa Claus is coming to town.” までを歌えることを目標にします。

このように歌詞の一部に簡単に歌える部分があると、子どもはやる気を出してきます。また、くりかえし(リフレイン)が多い歌も覚えやすいです。「We Wish You a Merry Christmas」などの曲はその典型です。

クリスマスソングの英語と雑学

今シーズンのクリスマスソングが決まり、歌詞の一部を歌えるようになったら、少しだけ子どもと英語の勉強をしましょう。

勉強といっても、それほど大げさなものではありません。カレンダーの裏側などにマジックで歌詞を大きめに書きます。そして、ポイントとなるところに線を引いて、ひらがなで説明や日本語を書いてあげます。

子どもには色鉛筆で参加してもらい、赤と緑で色を付けたり、雪だるまの絵を描いたりしてもらいます。これを冷蔵庫や壁に貼っておけば完成です。下に例を貼りましたので参考にしてください。

歌詞カード例

無理に「これを覚えなさい」と言わなくても、子どもは関心があれば自然と読むようになります。意味がわかると楽しさが深まるので試してください。

クリスマスソングを使って少しだけ英語の勉強

上記の「Santa Claus Is Coming to Town」を題材にして、少しだけ英語の勉強をしてみましょう。

You’d better watch out! You’d better not cry.
Better not pout, I’m telling you why.

歌の最初に短縮形(省略形)で出てくる「had better 動詞の原形」(~したほうがいい)は受験で習う表現なので覚えているお母さんも多いかもしれません。また、「had better not 動詞の原形」(~しないほうがいい)はその応用です。

ところがこの表現を使うときは、少し注意をしましょう。なぜなら、使われる状況が限定されるからです。had better を使うときは「もしそうしなかったら(したら)、悪いことが起きるかもよ」のニュアンスがあります。

状況に限定されずに一般的に「~したほうがいい」と言いたい場合、普通は should を使います。「~しないほうがいい」は should not です。

このことを頭に入れて、あらためて Santa Claus is coming to townの歌詞の続きを読んでみましょう。

He’s making a list, and checking it twice(彼=サンタはリストを作って 2 度チェックしているよ)
gonna find out who is naughty or nice(誰がいたずらっ子で誰が良い子か見つけるよ)

このように、「サンタクロースはみんなの行動を見ていて、もし悪い子だったらプレゼントを持ってこないよ」と「悪いこと」が予想されています。まさに、had better や had better not にぴったりの状況です。

普段いたずらっ子であったとしても、クリスマス前は大人しくさせるのにうってつけの表現です。

このように、1 つのクリスマスソングから 1~2個の表現を覚えるだけでも英語力は上がります。今回は「had better」「had better not」を取り上げましたが、他の表現でも構いません。「日常的によく使う表現を題材にすること」「勉強は最小限にして、とにかく曲を楽しむこと」がポイントです。

クリスマスソングを歌うときのコツ

一語一語にカタカナをふって読もうとすると、メロディーに乗れなくなり失敗します。英語の歌を歌うときは、英語特有の「音の消失」「音の連結」「音の変化」に注意しながら口を動かして覚えるのが一番です。

「Santa Claus is Coming to Town」の最初のところを例にとって、コツを説明します。

You’d better watch out (d:消失、tch out:連結)
You’d better not cry(d:消失、t:消失)
Better not pout (t:消失)
I’m telling you why(g と y:変化)
Santa Claus is coming to town(s is:連結、g:消失)

このように、冒頭部分には英語特有の音の変化がたくさん含まれています。冒頭部分を上手に歌えるようになるだけでも、英語の読み方はうまくなります。

クリスマスソングにまつわる雑学

ここでは日本人にあまり知られていない「クリスマスソングの雑学」について2つ触れてみます。おやつや食事のときに子どもに話をしてあげると、意外と関心を示すかもしれません。

・赤鼻のトナカイ(Rudolph)以外のトナカイの名前

クリスマスソングの定番「赤鼻のトナカイ」の原題は「Rudolph The Red Nosed Reindeer」です。この歌のメインパートの前に、他のトナカイの名前が羅列されます。日本語の歌では完全に省略されているので、英語の歌を知っている人しか知りません。

You know Dasher and Dancer and Prancer and Vixen, Comet and Cupid and Donner and Blitzen
But do you recall the most famous reindeer of all?(でも、一番有名なトナカイを思い出せるかい?)

これに続いて“Rudolph the red-nosed reindeer”(真っ赤なお鼻の…)と続きます。この歌は歌詞全体が一つのお話になっています。赤鼻のトナカイは Rudolph のことです。

赤鼻のことでいじめられていた Rudolph が、霧の中を進むサンタクロースの役に立ち、英雄になるストーリーはご存知の通りです。

・We Wish You a Merry Christmas の続きに出てくる食べ物

「We Wish You a Merry Christmas」を知っているお母さんは多いでしょう。“We wish you a Merry Christmas and a Happy New Year.”がひたすら繰り返されるので、記憶に残りやすい歌です。

ところでこの歌には続きがあります。 私は大人になるまで知りませんでした。その中で“figgy pudding”という名の食べ物が繰り返し登場します。fig はイチジクのことなので、それが入ったプディング(ケーキのようなもの)であることは想像できます。

Oh, bring us some figgy pudding(あぁ、figgy pudding を持ってきて)
Oh, bring us some figgy pudding
Oh, bring us some figgy pudding
And bring it right here!(早くここに持ってきて!)
We won’t go until we get some(食べるまで帰らないよ)
We won’t go until we get some
We won’t go until we get some
So bring some right here!(だから早く持ってきて!)

「そんなに figgy pudding を食べたいの?」と呆れるほど繰り返されるので、インターネットで検索してみました。すると、イギリスの伝統的なお菓子のようで、こんなケーキでした。

figgy pudding

引用:http://www.organicauthority.com

子ども達がここまでせがむ「figgy pudding」とは一体どんなものなのか、いつか機会があったら食べてみたいです。

おすすめの曲と歌詞

ここまでにすでに何曲か紹介していますが、あらためて私のおすすめする英語のクリスマスソングを紹介します。ノリのいいグループから2つ、ゆっくりめのグループから1つ、合計 3 つを選んでいただき、今シーズン一部でいいので歌えるように親子でチャレンジしましょう。

ノリのいいグループ

・Santa Claus Is Coming to Town

イチオシのクリスマスソングです。“Santa Claus is coming to town”のところから少しずつ歌えるところを広げていきましょう。

・Jingle Bells

このメロディーを知らない子どもはいないでしょう。“Jingle bells, Jingle bells, Jingle all the way.”の後に続く“O What fun it is to ride in a one horse open sleigh!”(一頭立てのそりに乗るのって何て楽しいんだ!)のところを歌えるかどうかが鍵です。

・Rudolph the Red Nosed Reindeer

この歌は普通に歌っても楽しいですが、お母さんと子どもで分かれて「合いの手」を入れるとさらに盛り上がります。

下の歌詞の中の( )内が合いの手の部分です。タイミングよく挟んでください。

Rudolph the red-nosed reindeer (reindeer)
Had a very shiny nose (like a light bulb)
And if you ever saw it (saw it)
You would even say it glows (like a flash light)
All of the other reindeer (reindeer)
Used to laugh and call him names (like Pinochio)
They never let poor Rudolph (Rudolph)
Join in any reindeer games (like Monopoly)
Then one foggy Christmas Eve
Santa came to say (Ho Ho Ho)
“Rudolph with your nose so bright
Won’t you guide my sleigh tonight?”
Then how the reindeer loved him (loved him)
As they shouted out with glee (yippee)
“Rudolph the red-nosed reindeer (reindeer)
You’ll go down in history” (like Columbus)

「モノポリー」とか「コロンブス」が登場するのが、この合いの手のおもしろいところです。

・Jingle Bell Rock

rhyme(韻)が効果的に使われているため、上手く歌えると「決まった!」感が味わえます。同じ歌でもゆっくり歌われるものもあるので、歌いやすい速さを探してみてください。

ゆっくりめのグループ

・We Wish You a Merry Christmas

例の「figgy pudding」は 0 分 26 秒のところから登場します。

・White Christmas

この歌はいろんな歌手がカバーしています。私は Bing Crosby の「White Christmas」が一番好きです。ゆっくりなので、頑張れば一曲コンプリートできるかもしれません。

 

その他

・Frosty the Snowman

雪だるまの歌でクリスマスソングではありませんが、クリスマスっぽいので紹介しました。メロディーは知っているのに英語で歌える人は少ないです。

・I Saw Mommy Kissing Santa Claus

多くの歌手がカバーしています。1970 年代にジャクソンファイブがカバーしたものが最も有名です。ママとサンタがキスをする場面を目撃した子どもの話です(実はサンタはパパであることを子どもは知りません)。

まとめ

クリスマス前の高揚感を活用して、子どもと一緒になって英語のクリスマスソングを攻略する方法をお伝えしてきました。一生懸命練習して少しずつでも歌えたら、子どもだけでなくお母さんだって楽しくなります。

完璧主義は捨てましょう。私の子ども達も、歌えないところは適当にごまかして、知っているところだけちゃっかり大声で歌っていました。大きな声で歌えたら、サンタさんからのプレゼントはきっと届きます! Wish you a merry Christmas!

子どもにピッタリ! 「チャンツ」を活用した英語学習法

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先日テレビを観ていたら、3歳の女の子が買い物をしながら「月が出た出た 月が出た(ヨイヨイ)…」と炭坑節を最後まで歌っていました。私は続きの歌詞を忘れていたのですが、驚くことにその子は最後まで完璧に歌えたのです。

盆踊りで聞こえた陽気な曲につられて何度も歌っているうちに、いつの間にか覚えたのでしょう。もしかしたら、誰かと一緒に盆踊りに参加して踊っていたのかもしれません。

このように、リズムや体の動きは記憶に好影響を与えます。もし、歌詞カードだけを見せて暗記するように3歳の子どもに命令しても、決して覚えられなかったはずです。

英語教授法のひとつにチャンツ(chants)と呼ばれるものがあります。リズムに合わせて英単語やセンテンスを繰り返すことで、英語独特のイントネーション(抑揚)や読まれるときのかたまり(chunk)を体得することができます。

英語教師の間では割とポピュラーな教授法ですが、普通の家庭でもお母さんが子どもに英語を教えるときに使えるテクニックです。言葉を覚えたての幼児には特に相性がよいので、ぜひコツを覚えて活用してみましょう。

外国語活動における「チャンツ」とは

英語教育の関係者なら「チャンツ」を利用した教授法についてしばしば目にします。しかし、深く理解して子どもの英語教育に応用している人は意外と少ないです。

もともと「チャンツ(chants)」には、「単調な歌」とか「(連呼する)語句」という意味があります。これが英語教育の中で使われるようになったのは、1971年にニューヨーク大学のCarolyn Grahamさんによって書かれた『Jazz Chants for Children』がきっかけでした。

この本をきっかけに世界中にチャンツを利用した英語教授法が一気に広まり、現在でも英語の授業(小学校や中学校の外国語活動)に利用されています。それでは、英語教育におけるチャンツとはいったいどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。

チャンツと英語学習における効果とは

日本語は平坦に一本調子に読まれる(話される)のが標準とされています。あまり抑揚をつけません。一方、英語圏の人たちは、抑揚をつけてかたまりごとに発話するのが基本です。

外国人が日本語を話す時、やたらと抑揚のある日本語を話すことがあります。あれは英語なら普通の話し方です。反対に、日本人が話す英語をネイティブが聞くと、一本調子に聞こえて違和感を覚えるはずです。

英語は重要な部分ほど強調されて読まれます。また、音のかたまり(チャンク)ごとに一気に読むのが正しい読み方です。例を見てみましょう。

日本語と英語のイントネーション

日本語では一語一語出来るだけ平坦に(抑揚をつけずに)読むと自然に聞こえます。一方、英語の場合は赤い*の部分を強く読みます。相手に最も伝えたい部分を強調するためです。

もう一つの英語の特徴は、一語ずつではなくかたまりごとに発話されることです。上の例では、Is itは別々に読まれずに、「イズイッ」と一気に読まれます。

「英語独特の抑揚のつけ方」と「かたまりごとに読む」練習をリズムに合わせて繰り返し練習することで、英語音声の基本を身につけていくというのがチャンツの正体です。もちろん、それに付随して、単語の意味や文法などを学習することもできます。

チャンツと歌との違いは

「それなら英語の歌でもいいのでは?」と考えるお母さんもいると思います。歌もチャンツも一定の拍子に合わせて、歌詞をはめ込んでいる点では同じです。しかし、決定的な相違点もいくつかあります。

一つ目は、チャンツにメロディは必要ありません。そういう意味では「ラップ」に近いといえるでしょう。

二つめは、歌詞は韻を踏んでいます(韻を踏むことを英語ではrhymeといいます)。ラップも韻を踏んでいますが、チャンツに韻は不要です。

三つめは、チャンツは単語を羅列しただけでも成立します。歌詞には「失恋して私の気持ちはどうなったか」のようにストーリーが存在します。チャンツの中にセンテンスを取り入れてストーリー仕立てにもできますが、単語を並べただけでもOKなのが歌とは異なります。

このように歌よりも制限が少ないのがチャンツの特徴なので、簡単に言語学習に取り入れることができます。

英語教育におけるチャンツが最も有効な対象年齢は

チャンツでは、リズムに合わせて大きな声で発話することにより、単語や文の英語らしい読み方を身につけていきます。そのため最も効果が認められるのは幼児です。幼児は聞こえてきた音をそっくりまねるのが得意ですから吸収が早いです。

一方、小学校高学年くらいになると人前でチャンツをするのは照れ臭くなります。遊び感覚で実際に発話しないとチャンツの効果は得られませんから、指導は難しくなります。照れさえなければ何歳になっても効果的です。

「チャンツ」を使った英語の指導例

チャンツを使った英語指導には学習内容によって2種類あります。一つ目はターゲットとする「単語を羅列したもの(vocabulary chants)」です。単語だけを扱ったチャンツです。単語を楽しく覚えるために有効な教授法です。

もう一つは、センテンスを扱った「文法チャンツ(grammar chants)」です。チャンツで扱うセンテンスに反復と対照をうまく絡ませると、文法事項を子どもに無理なく教えることができます。

まずは、単語だけを扱ったチャンツについてどのように家庭で取り入れられるかを具体的に見ていきましょう。

単語チャンツは元祖に聞け!

やはりチャンツといえば『Jazz Chants for Children』著者のCarolyn Grahamさんです。動画サイトで彼女を検索すると、彼女による実際の講演動画がヒットします。その中のひとつを紹介しながら、具体的な手法を見ていきましょう。

Carolynさんの“Simple Vocabulary Chants”というのが、単語だけのチャンツです。家庭で試すなら動画で説明される“Three word vocabulary chants”はとても参考になります。

Three Word Vocabulary Chantsチャンツの作り方

・ステップ1:トピックを選ぶ

まず、学ぶ単語のトピックを決めましょう。ここでは「スポーツ」に決めます。そして5,6個の単語を紙に書き出してみましょう。そして、それぞれの単語がいくつの音節からできているかをチェックします。

音節とは「単語が読まれるときの音のかたまり」です。例えば、tennis(テニス)という単語は、ten・nisで2音節の単語です。書き出した単語について何音節の単語なのかチェックします。

音節の見分け方にはある程度のルールがありますが、ややこしいです。自分で自信がないときは、辞書の見出しをみれば「・」で分かれ目が簡単にわかります。

ほとんどの英単語は1~3音節でできています。この傾向をうまく利用して、Carolynがいうthe magic formula(魔法の公式)に当てはめていきます。音節の数が2-3-1の順番で単語を並べると不思議なことに4拍子にぴったりとはまります。

脳はリズムがあると記憶力が増す性質があるようです。ジャズの基本は4拍子なので、これに合わせてチャンツします。(動画6:14あたりから)

(One, two, three, four,)

baseball (2)
basketball (3)
golf (1)
(Clap)

baseball (2)
basketball (3)
golf (1)
(Clap)

baseball (2)
basketball (3)
baseball (2)
basketball (3)

baseball (2)
basketball (3)
golf (1)
(Clap)

*( )内の数字は音節の数
*Clapは手拍子のこと

さすが、チャンツの創始者だけあって、見事にリズムにあてはめています。3音節のbasketballは結構難しいですが、リズムに合わせて発話しているうちに英語らしく読めるようになります。これが、チャンツの効果です。

トピックを変えても、音節だけ気をつければ応用できます。例えば、文房具のトピックにして、ruler, eraser, pen(ものさし、消しゴム、ペン)でも先ほどのパターンに当てはめることができます。

英語のチャンツに動作もつけよう

子どもと一緒にチャンツをするときは、その単語に合った動作をつけてあげるとより効果的です。子どもがついマネしたくなるのがコツです(動画の7:30あたりから、baseball, basketball, golfの動作をつけてみんなの前で披露しています)。

手拍子と動作をつけるだけでも楽しく学べそうですが、ピアノが得意なお母さんなら軽く伴奏をつけることもできそうです。私は楽器を演奏できませんが、もしできるならチャンツのときに利用すると楽しそうです。

文法のチャンツ

チャンツには単語のチャンツの他に、文法のチャンツもあります。チャンツを上手に利用すると小難しい文法用語を使わずに、子どもに文法事項を覚えさせることができます。

先ほどのCarolyn Grahamさんのレクチャー動画の後半ではGrammar Chants(文法チャンツ)について解説しています。ここでは、ちょっと視点を変えてオリジナルの文法チャンツを作ってみます。

PPAPのカラオケ音源を使う

世界で最も成功したチャンツのひとつは、ピコ太郎さんのPPAP(Pen-Pineapple-Apple-Pen)だと思います。妙に記憶に残る独特のリズム、シンプルな英語、わかりやすくておもしろい振り付けなどが作用して、一度聞いたら忘れられない仕上がりになっています。

私はマレーシアにいた頃、息子の同級生から「僕の歌を聞いてよ」といわれたのがPPAPでした。最初聞いたときは何が何だかわからず、苦笑いするしかありませんでした。しかし、その男の子のたった1回のPPAPは妙に私の記憶に残りました。

残念なことにピコ太郎さんは、I have a pen, I have a(an) apple. とanにするべきところをaと歌ってしまいました。きちんとanだったら、aとanを使い分ける文法チャンツとして後世に名を遺したかもしれません。

せっかくのいい素材なので、PPAPをBGMにして何か一つオリジナルの文法チャンツを作ってみます。

文法チャンツ作例:三単現のs

中学で習う英文法の最初の山場は、「三人称単数現在形のs」です。これを幼児に長々と説明すれば高確率で英語嫌いになります。自然に覚えられるようにするために、このトピックで文法チャンツを作ります。PPAPのカラオケに合わせてチャンツしてみましょう。

He likes red.
She likes red.
Oh, they like red.

I like blue.
You like blue.
Oh, we like blue.

They like red.
We like blue.
Oh, what color do you like?

What color do you like?

いかがでしょう? ピコ太郎さんは、英語チャンツに特化して活動したら最大限に才能を発揮できそうな気がするのは私だけでしょうか?

文法チャンツ作成のコツは、同じ表現を繰り返しつつ、違うところをハッキリと示すような文章にすることです。作例では「主語+like+色」を基本パターンにして、三人称であるHeとSheが主語になったときは、動詞にsをつけます。

英会話練習の「パターンプラクティス」に近いものです。できるだけ、子どもが日常的に使う表現や読み方を取り入れることがポイントです。It isよりもIt’s(短縮形)のほうがチャンツ向きといえます。

JackやSuzanなど具体的な名前が主語になっても動詞にsがつくので、チャンツだけですべてを教えることはできません。最終的には体系的な文法のレッスンが必要です。しかし、文法を学ぶための最初のステップとしては非常に優れた教授法です。

既成品の購入

英語教材のサイトでは、チャンツの英語教材(CD付)がたくさん販売されています。評判が良さそうなものなら購入してもいいでしょう。そのときは単語チャンツよりも文法チャンツのものを選んだほうが、お得感があります。

先述のとおり、単語チャンツは公式に当てはめればあっという間に自作できますが、文法チャンツは文法の知識や英文のチェックなどが必要だからです。時間と労力を節約する目的で市販品を購入するなら、文法チャンツを選びましょう。

まとめ

近所の書店で人気ナンバーワンの単語集はチャンツを活用したものでした。私は実際に購入して学習してみました。単調に単語が読まれる従来の単語集と比べると、チャンツの単語集は格段に継続しやすかったです。

収録されている単語や説明・例文には大した違いはありません。違いは、付属のCDに収録された音声が、テンポのいいリズムに合わせて読まれているだけです。たったこれだけの違いなのに「脳に優しく」感じたのは事実です。

大人でもこれだけの効果を感じるのだから、幼児期の子どもならなおさらです。単語や文法学習は味気ないものになりがちですが、チャンツを取り入れることによって自然といつの間にか覚えることができます。

チャンツによって体得された英語独特の抑揚やかたまりごとの発話は、リスニングの際に力を発揮します。ネイティブに近い感覚で英語を身につけるので、ネイティブが話す英語を聴き取れる確率は断然高くなるからです。

英単語チャンツなら家庭でも簡単に取り入れることができます。使用する音源をいくつか用意しておけば、何度でも使えます。英会話教室やオンライン英会話などと平行して、お母さんと一緒に英語チャンツを取り入れると相乗効果を期待できます。

小学生のための英語リスニング(ヒアリング)練習法・勉強法

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子どもと洋画やディズニーアニメのDVDを見ているとき、あなたはどれくらい英語を聴き取れるでしょうか? 半分以上わかるお母さんはかなりの上級者です。普通は子ども向けの内容でも、リスニングはとても難しく感じるものです。

試しに英語字幕を画面に出すと、ほとんどのセリフは簡単な英語であることがわかります。なぜ、文字にすれば読めるのに、リスニングでは聴き取れないのでしょうか? “I love you.”はどんなに速く読まれても聴き取れますので、スピードの問題ではなさそうです。

リスニングは英語4技能のうちのひとつですが、唯一、相手のレベルに合わせなければいけないスキルです。「リーディング」「スピーキング」「ライティング」は自分のレベルやペースでよいのと対照的です。

「リスニングができない」原因は一つではありません。子どものレベルを見ながら適切なアドバイスをあげられるように、リスニングについてお母さんは勉強しましょう。

ちなみに従来「ヒアリング」という言葉が主流でしたが、現在は「リスニング」に置き換えられています。もとになっている英語hearは「音・声を聞く」ことを意味します。英語を聴くときは「傾聴している」ので、listenの方がより適切だからです。

大学受験では実用的な英語力を試されるのがトレンドです。そのため、リスニングテストは将来もなくならないでしょう。子どもの頃から英語のリスニング力を上げておくと、会話はもちろん受験にも役立ちます。

英語のリスニング力はなぜ必要か

「英会話をできるようになること」を目標に挙げる子どもは多いです。そのため「英語4技能のうちスピーキングを重視する」とお母さんが考えるのも無理はありません。しかし、それだけでは英会話は成立しません。

・英会話で必要なのは、スピーキング力とリスニング力

英会話を成立させるには、「スピーキング力」と「リスニング力」の両方が必要です。会話は言葉のキャッチボールです。AさんとBさんで会話をするなら、Aさんが話したら、その内容をBさんは聴き取って、それに反応(話す)することを繰り返します。

話す(スピーキング)だけでなく、相手の話すことを聴く(リスニング)ことも同じく大切なのです。ですから英会話をできるようになりたければ、リスニング力は必須の技能です。

リスニングのつらいところ

以前、息子がインターナショナルスクールに通っていたとき、学期末に先生と親で2者面談がありました。割り当ては一人15分程度でした。最初の5分で先生からの説明はひと通り終了します。残りの10分間は会話をしなければなりません。

私が話す(スピーキング)するときはそれほど流暢である必要はありません。ゆっくり簡単な表現で話していても、先生はじっと聴いてくれます。

ところが聴き取り(リスニング)は、相手のレベルに合わせなければいけません。先生の発音(英国出身)、スピード(やや早口)、語彙(普通の社会人同士)+教育用語についていかないと、先生の質問に正しく反応できません。ある年の担任の先生はかなりの早口で、理解するのに必死だった記憶があります。

リスニングのつらいところは、相手の能力に自分が合わせなければいけないことです。のんびりと自分のペースですすめてはダメです。最終目標は世界中のどんな人が話す英語でも意味がわかる実用レベルに到達することです。

英語が聴き取れない原因を探ろう

リスニングができない原因は一つではありません。複数の要因が重なって「わからない」状態となっています。これらの原因のうち、一つが極端に劣っているとリスニング力は低いままです。

まずは聴き取れない5つの原因を把握しましょう。そして、年齢やレベルに即した対応を考えてあげましょう。

・リスニング力は独立した技能ではない

「リスニング」は単独で成立する技能ではありません。わかりやすくするために図で示しました。

リスニングの成立条件

まず、ボキャブラリー(語彙力)と文法力は「リーディング」を支えています。子どもの場合、文法だけを取り上げる学習はふさわしくありません。「英語の語順に慣れていること=文法力」程度に理解してください。

リスニング力は、リーディング力が基礎になっていることに注目してください。その上に「情報処理」と「音の学習」を積み上げると、しっかりとしたリスニング力をマスターできるようになります。

このようにリスニングだけをトレーニングしても、これらの基礎が弱いとリスニング力は向上しません。以下、聴き取れない原因となっている5つの要因について具体的に解説します。

リスニングができない原因1:ボキャブラリーと知識不足

あなたが小学校低学年の頃を思い出してください。テレビのニュース番組を見ていたとき、その内容を理解できましたか?

「国会で〇〇関連法案が可決し…」「国連安保理では…」「〇〇組合の理事が収賄の容疑で…」など、子どもにはチンプンカンプンな状態だったはずです。しかし、小学校高学年~中学生になった頃にはほとんどのニュースを理解できるようになったと思います。

難しいニュースを聴き取れるようになったのは、ボキャブラリーがこの期間に飛躍的に向上したからです。どんなに音を聴き分けられても、語彙力が不足していると何をいっているのかまったくわかりません。

リスニング力を向上させるには、正しい音(発音)を学び、意味を理解できる単語の数を増やすことは必須です。背景知識についても同様のことがいえます。英語・日本語に関わらず、幅広いことに興味を持ち知識を深めることはリスニングにとても役立ちます。

リスニングができない原因2:文法力不足

リスニングには文法力も絶対に必要です。理由は二つあります。一つ目は、ある程度基本となる語順を知らないと意味がわからないからです。

例えば、次のような英語を誰かが話したとき、すべての音と単語を理解できたとします。“Opening my bag, he asked me a lot of questions.”(私のバッグを開けながら、彼は私にたくさんの質問をした)

この文章のポイントは、分詞構文を知っているかどうかです。もし分詞構文を知らないと、突然Openingから始まることに戸惑ったり、バッグを開けたのは彼なのか私なのか混乱したりします。

このように文法を知らないと、瞬時に意味を把握できません。文法をマスターすると、英語を聴いたときの理解を助けてくれます。子どもの場合は、「分詞構文」の用語を知らなくてもこのパターンに慣れていればいいのです。

二つ目は、文法を知っていると次に話される言葉をある程度予想できるようになります。

例えば、“I wish…” を聴いたら「could やwouldが続くだろう」と言葉を絞りながらリスニングをするので、高い精度で聞きとれるようになります。

これは“I wish I could fly.”(飛べたらいいのにな)のように、事実とは反する内容を伝えるときに使われる「仮定法過去」の文法を知っているからです。

もちろん子どもは「仮定法過去」という用語を使って学ぶわけにはいきません。代わりに “I wish I could…” のパターンを暗唱したり、自分に当てはめて使用したりすることで身につけます。

このように、文法を知っていると聞こえてきた文章を正しく理解できるようなります。また、文法の知識を使うと次に続く英語をある程度予想できるようになります。これはリスニング力アップにとって大きな利点です。

リスニングができない原因3:リーディング力不足

当然ですが、英語は左から右へ英語の語順に従って発話されます。音は文字と異なり、一瞬一瞬で消えていきます。このことから、英語を英語の語順で理解できないとリスニングはできないことがわかります。

英語の語順で理解するトレーニングは、リーディングで養います。ポイントは返り読みをしないことです。返り読みとは、英語の語順に逆らって目線が右から左に移る読み方のことです。

例えば、“He is the man who wants to be a millionaire.”を読むときは、He is the man(彼は人だ)who wants to be a millionaire(どんな人かというと億万長者になりたい)というように、英語の語順で頭に情報を入れていくのが普通です。

しかし、日本語訳ばかりしていると、日本語の語順で英語を理解しようとします。すると、who wants to be a millionaire(億万長者になりたい)→the man(男)のように目線が反対に移動します。これが返り読みです。

返り読みをやめないと、テンポ良く長文を読めません。そしてリスニングをしたときに、意味を把握できません。返り読みをしているとリスニングは永遠にできるようになりません。

まずはリーディングを通して「英語の語順で理解すること」から始めましょう。そして、音でも英語の語順で理解できるようにしていくのが王道です。

リスニングができない原因4:情報処理方法

不思議なことに私は学校の先生から一度も教わらなかったのですが、英語をリスニングしているときの「情報処理の仕方」はとても大切です。リスニングが苦手な人は、英語を聴きながら頭の中で訳語(日本語)が「文字で」浮かんでいます。

例えば、“I wonder what he is like.”と聞こえたら、頭の中には「私は~かしらと思う。彼はどんなふうなのか」という字幕を脳裏に浮かべます。短い文章ならこれでも処理できますが、数分続くような文章ではとても処理しきれません。

リスニングができる人は、聞いた内容を頭の中で映像化しています。“I wonder what he is like.” と聴いたら、下の写真のように「人が首をかしげて吹き出しの中に誰かの様子を思い浮かべている」映像が思い浮かびます。

i wonder

リスニングのときは、その内容に即した動画を頭の中で再生するように癖をつけましょう。字幕よりも短時間に処理できるので読まれるスピードに対応できるようになります。

リスニングができない原因5:音の問題

リスニングができない原因の最後は、音の問題です。これを克服するには、英語を聴くトレーニングが必要です。音の問題を細かく見ていくと3つに分類できます。

・自分が覚えた発音と実際の英語が一致していない

間違えて単語の発音を覚えていたら、本来の正しい発音で聴いたときにその言葉を認識できません。例えば入試によく出てるallow「アラウ」ですが、「アロー」と覚えていたら絶対に聴き取れません。

反対に映画を見ていて“I love you.”がほぼ完璧に聴き取れるのは、身につけた発音と実際に読まれる発音が一致しているからです。この場合、どんなに早く読まれていても聴き取れないことはありません。

対策は一つしかありません。英単語を覚えるときは、「音(発音・アクセント)を最初に正しく身につけること」です。意味よりも先に発音を確認する習慣をつけないと、使える英語を身につけることはできません。

・日本語にない音が聞き分けられない

日本人が苦手な音として有名なのはL/Rです。一説によると幼児期にお母さんが英語で語りかけていると、絶対音感のように脳の中にL/Rの音を聞き分けられる回路ができるそうです。

ある程度の年齢まで日本語だけの環境で育つとその回路がないので、同じ音として認識されます。なぜなら、日本語では「れんこん」を「lenkon」と発音しても「renkon」と発音しても意味に違いは生じないからです。聴き分ける必要がないのです。

ちなみに私は一時期リスニングを2年間ほど意識して練習しましたが、この2音の識別はあまり自信がありません。しかし、文脈から判断すればどちらが使われているかはたいてい予想がつくので、あまり困ったことはありません。

・英語特有の音の現象に慣れていない

英語の音には特有の現象が3つあります。「音の消失」「音の連結」「音の変化」です。これを身体で覚えていないとリスニングは難しいです。

「音の消失」とは、例えば “Good night!” は「グッド ナイト!」とは発音されず、「グッナイ!」と読まれます。このとき、赤い文字のdとtはほぼ発音されませんん。このような現象を音の消失といいます。

次の「音の連結」とは、“Stand up.” を「スタンダップ」とつなげて発音されることを指します。おもしろいことにネイティブにゆっくり読んでもらっても、「スタンド アップ」と別々には読まず「スタンダップ」とつなげてゆっくり読みます。

最後の「音の変化」は“I need your help.” の赤字部分が「ニーヂュア」と読まれる現象です。2つの音が合わさって別の音になるのが特徴です。

これらの3つの英語特有の音の現象に対応するには、音読トレーニングによるオーバーラッピング(音声と同時に音読する)とシャドウイング(音声から少し遅れて音読する)が有効な練習です。

仕上げにディクテーション(聴きとった英語を文字に書く)を加えながら、自分が聴き取れない音を一つひとつ潰していくしかありません。音の問題は、時間をかけて取り組むと成果が出やすいので、ある時期に集中してやると効果的です。

子どものリスニングに効果的な教材

リスニング力を向上させるのに適した教材について考えてみます。音声教材として考えられるものを取り上げ、子どものリスニング教材として妥当かどうか検討してみます。

・英語の聞き流し教材は効果なし

英語教材として一世を風靡した「聞き流し教材」があります。「勉強しなくても英語を聞き流すだけで英語が話せる」キャッチフレーズで有名になりました。しかし世に広まってからだいぶ経ちますが、英語が話せる人が増えた話は一向に聞きません。

「知らない単語」「文法の疑問点」「英語特有の音の現象」などリスニングができない原因すべてをわからないままに放っておくので、リスニング力は改善されません。

教材そのものに問題があるわけではなく、「聞き流す」スタイルに問題があります。どんなによい教材でも、聞き流すだけで聴解力は向上しません。耳当たりのよいキャッチフレーズに惑わされないように気をつけましょう。

子どもに理想的なリスニング教材

では理想的な子ども向けのリスニング教材はどのように選べばいいのでしょうか? 「レベルが適切であること」と「子どもが楽しいと感じること」は、子どもが英語を学ぶときに共通する教材選定の基準です。これも含めて3つほど基準を挙げてみます。

まず、使用される語彙が限定されていることです。難しい単語が連発されると学習意欲がなくなります。

目安は30秒間のリスニングで知らない単語の数が5個以内なら適切です。子どもの英語レベルは短期間に変動するので、細かいレベル設定の中から選べるのが理想です。

次に、読まれるスピードはナチュラルなものがいいです。具体的には1分間に120語以上です。学習初期はゆっくりでもかまいませんが、ある程度慣れたなら実践的なスピードで収録された音声でトレーニングした方がいいです。

最後に、スクリプトは絶対に必要です。ディクテーションをしたときに、自分の書いた文章と正解の文章(スクリプト)を比べないと正しく聴こえたかどうか確認のしようがありません。

使用語彙が限定され読まれるスピードはナチュラル、そしてスクリプト付きのものが子どもの学習に向いています。また、内容がおもしろく子どもが飽きずに続けていけるものなら理想的です。

私が息子のために実際に利用した中にほぼ理想的な教材がありました。オンラインを利用した学習サイトの「Little Fox」は抜群に優れていました。上記3つの条件を備え、圧倒的におもしろく息子も一時期完全にハマりました。

子どもがハマる!楽しい動画サイトを活用した「リスニング学習法」動画セミナーはこちら

効果的なリスニング学習方法とは

ではお母さんが「子どものリスニング能力を向上させたい」と思ったら、どのように学習をすすめていけばいいのかを説明します。

・幼児や初心者にリスニングだけを目的としたトレーニングは不要

英語を学び始めて2年以内の子どもや幼児には、リスニングだけを目的としたトレーニングは一切不要です。先述したようにリスニングは独立した技能ではなく、語彙・文法、リーディングを基礎として成立しています。

これらの基礎を飛ばしてリスニングだけを訓練しようとしても時間の無駄です。お母さんはあせって子どもにリスニングだけを目的とした学習を始めないようにしてください。

幼児期や英語を学び始めて2年間は、英語の音に慣れたりフォニックスを学んだりすることに集中するべきです。簡単な単語やフレーズを使いながら、基本的な語彙力をつけて英語の語順(文法力)に慣れ親しんでいきます。

そして絵本の読み聞かせや音読で文字に親しみながら、簡単な本を自分で読めるようになって(リーディング力をつける)ようやくリスニング学習の段階に入ります。

スピーキングとともにリスニングは会話に欠かせない技能ですが、基礎レベルを習得するまでは特別なトレーニングは不要です。目安としては英検4級を取得して、3級に向けて準備をするころから意識すれば充分です。

音読トレーニングでリスニング力を鍛える

さて、ある程度簡単な本を読めるようになったらリスニング学習に入ります。しかし、リスニング学習として特別に時間を割く必要はありません。音読トレーニングを中心にすすめていけば、リスニングに必要なすべての要素を鍛えられるからです。

どうしてもリスニング力を意識してトレーニングをするならば、音読トレーニングの最後にディクテーション(書き取り)を習慣化するといいです。小学生にはなかなか大変ですが、自分が身につけた英語音声と実際の音の違いをハッキリと認識できるようになります。

音読トレーニングについては「」で詳しく説明していますので参考にしてください。

ときどき初見のディクテーション

音読トレーニングの最後に行うディクテーションは、読まれる内容はほとんどわかっています。たまには初見の英語を聴きとってみて、ディクテーションするのも刺激になります。

素材は字幕表示を消した映画DVDの一場面でもいいですし、適当なCD教材でもかまいません。ポイントはスクリプトがあることです(映画の場合は字幕表示で代用)。

・やり方

10秒くらいセリフが連続するシーン(叫び声をできるだけ含まない場面)を選び、何度も繰り返し再生します。映像をヒントに内容がだいたい理解できたら、センテンスごとに停止して、子どもに大きめの字で英文を紙に書くように伝えます。

文頭からピリオド(フルストップ)の途中で再生を止めてはいけません。英語音声のかたまりを長く頭に保持するのがトレーニングだからです。大きめの字で書くのは、赤ペンで訂正するときに記入しやすいようにするためです。

2回目以降は聴き取れなかった箇所に集中して、何度も何度も再生して空白部分の文字を埋めていきます。20回聴いてもわからなかったら、カタカナでもいいので音に近い文字を書き込みます。

最後に字幕を出して答え合わせをします。間違えた個所は消しゴムで消さずに、赤ペンで解答を書き込みます。スペリングミスやコロンなどの句読法も添削の対象です。

赤ペンで訂正だらけになった英文をお母さんと子どもで見ながら、まずは頑張ったことをほめてあげましょう。それから、「なぜその部分を聴き取れなかったのか」を2人で考えましょう。聴き取れなかった原因の究明はとても大切です。

「言葉を知らなかった」「覚えていた読み方と違った」「音がくっついていた」などいろいろとあるので、それを子どもに一つひとつ認識させることが大切です。決して責めるようなトーンではなく、淡々とすすめるといいです。こうして弱点を一つひとつ克服していきます。

このように、音読トレーニングの仕上げとしてのディクテーションと初見の英語のディクテーションを混ぜることによって、子どものリスニング力は少しずつ向上していきます。

将来のリスニングテスト対策のために

大学入試科目の英語からリスニングテストがなくなることはないでしょう。コミュニケーション能力が重視される流れの中で、会話に必須のスキルだからです。レベルとしては英検2級のリスニングテストよりもやや難しいくらいなので、時間をかけた対策が必要です。

ところが現役の高校の英語教師に確認すると、リスニングテスト対策にほとんど時間を割いていないということでした。理由は「時間が足りないから」です。ほとんどの受験生は本格的なリスニング対策をしないままテストに臨んでいるようです。

前述したようにリスニングは単独で成立している技能ではなく、語彙力・文法力・リーディング力が基礎となっています。基礎部分の学習で精一杯なのが教育現場の現状です。

それなら、英語特有の音に関して子どもの頃から慣れておくと大学入試のときに大きなアドバンテージとなります。比較的時間に余裕のある子どもの頃に苦手な音を克服しておけば、あとは授業で文法や読解に集中するだけで済みます。

英語の難易度に関わらず、英語特有の音の変化は子どもの頃から学べます。英語は何歳からでも学べますが、年齢とともに忙しくなるのが一般的です。余裕のある小学生の頃に始めておくと、大学受験のリスニングテストにも困りません。

まとめ

英語を聴き取れない原因として5つ挙げましたが、実際はこれらの原因は複数絡まって「聴いてもわからない」状態を作っています。子どもは自分ではなかなか原因に気がつかないので、どうしたらいいのかわかりません。

そのときお母さんは原因を一緒に突き止めてあげましょう。「指摘する」感じではなく、自分で気づかせてあげるほうが子どもは素直に受け入れます。そして、その弱点を補えるようなトレーニングを取り入れるようにしてください。

ネイティブ同士が会話していると容赦ないスピードと語彙で英語が飛び交うので、英語の上級者でも困ることは珍しくありません。ましてや英語の学習を始めたばかりの子ども達なら、聴き取れなくても当然です。

子ども向けのオンライン英会話などを利用すると、さまざまな講師が話す英語のリスニングに慣れます。学習初期の段階からリスニングに苦手意識を持たないようにさせるには有効な手段です。

話される英語の一部でもわかったときの感覚は格別のものがあります。どんなに翻訳ソフトが発達しても、このダイレクトに伝わる感動は絶対に味わうことはできません。ぜひ、子どもにも「英語が聴きとれた!」という喜びの体験をさせてあげましょう。

フラッシュカードは子どもの英語学習に効果的?

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中学校の英語の授業で先生が英単語の書かれたカードを素早くめくりながら、生徒にリピートさせていた光景を覚えてるでしょうか? あのカードを「フラッシュカード」と呼びます。主に単語の復習として昔から人気のあった道具です。

フラッシュカードを上手に取り入れると幼児の英語学習にとても高い効果が得られます。ところが「フラッシュカード」についてインターネットで検索すると、ネガティブな情報を目にします。

そこで、フラッシュカードによる弊害はどのようなものなのか、それを最小限にしつつ効果を上げる学習方法はないのかについて具体的に説明します。中途半端な知識で行動するのは危険です。この記事を最後まで読めば安心して取り組めるようになります。

フラッシュカードとは

「フラッシュカード」の英語のスペリングはflash cardです。flashとは「瞬間的に現れるもの」の意味です。

フラッシュカードは英語の授業でどのように利用されているのか動画を見てみましょう。

なかなかテンポ良くカードをめくっていますね。主に単語の暗記に有効なツールとして昔から取り入れられてきました。家庭での英語教育にも上手に取り入れると、子どもの語彙を飛躍的に伸ばせます。

ただし、注意点もありますのでフラッシュカードの長所と短所を正しく理解した上で導入しましょう。

フラッシュカードの長所

先ほどの動画でもわかるように、それぞれのカードを見せる時間は1秒以内です。すると生徒は瞬時に全体を把握して言葉を覚えるようになります。強制的に細かいところに目がいかないようにしているのが特徴です。

フラッシュカードは第二次世界大戦中に敵の戦闘機を素早く見分ける力を養うための訓練として導入されたものだそうです。戦闘機のパイロットは、瞬時に敵/味方を識別したり敵の数を把握したりしなければなりません。

敵と味方の戦闘機の写真をフラッシュカードにして戦闘機の名前を覚えました。数の把握方法については、それぞれのカードにドット(黒い点)を打ちその数を言い当てる訓練をしていたそうです。

人間の認識能力では、4つか5つのドットまでは瞬時に数を把握できます。しかし、6以上になると端から「いち、に、さん…」と数えていかないと数を把握できません。

ところがフラッシュカードによる訓練を重ねると、ドットが100を超えても瞬時に数を正確に言い当てられるようになったそうです。このようにフラッシュカードは視覚情報を通して大量の情報を脳にインプットするのに適しています。

英語に応用すると、フラッシュカードに描かれた絵を見たときにそれに対応する英単語を口から瞬時に出せるようになります。さらに応用すれば、「絵-単語」だけでなく「絵-関連したセンテンス」もインプットできます。

ある程度の年齢になってから英語を学習すると「車の映像→くるま→car」のように、一回日本語を間に挟みます。フラッシュカードで学習するとイメージとcarが直結して、瞬時に英語を口から出せるようになります。

また、幼児で大量の語彙を身につけると周りの大人から「よく知っているね!」とほめられることが多くなります。その結果、自分に自信を持つようになり、さらなる学習意欲の向上につながるのがメリットです。

フラッシュカードの短所

一方、フラッシュカードによる弊害も報告されています。例えば、「思考力が育たない」「自主性がなくなった」「表情が乏しくなった」「物事に無関心になった」などです。

フラッシュカードによる学習とこれらの症状との間にきちんとした因果関係は証明されていないようです。ただし、イメージとしては「洗脳」に近いものなので、子どもの人格に影響を及ぼす可能性もないとは言い切れません。

これらの症状に共通する原因は、「受け身の学習を長時間行ったから」です。子どもは五感をフル活用しながら、身の回りの物と言葉を結びつけて学んでいきます。例えば、散歩の途中で出会った犬の頭をなでてふわふわした毛を触りながら「いぬ」という言葉を覚えます。

一方、フラッシュカードでは、紙にプリントされた犬の写真を見て瞬時に「イヌ」と発音を繰り返すだけです。体験を通じて学んでいないので、犬を触ったときの感触やかわいいと思う感情が抜け落ちています。

そのため物事に関する興味関心が育たなくなってしまう可能性は充分ありえます。

デメリットの対処法

フラッシュカードの弊害を恐れるあまり、「まったく取り組まない」のももったいないです。実は2つの点にさえ気をつければ、フラッシュカードの弊害を避けることは簡単です。

一つ目は、5分くらいの短時間で終わりにすることです。「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」といいますが、何事もやり過ぎはいけません。短時間に抑えることで悪影響をほとんど受けずに済みます。

二つ目はフラッシュカードで覚えた知識を実生活と結びつけることです。例えば、フラッシュカードで動物の英単語を覚えたとします。その後動物園に連れて行って実物を見せることで知識と体験を関連付けできます。

そのとき感じた「大きいな」とか「おもしろい顔をしているな」のように感情が揺さぶられる体験をすることで、受け身の知識から能動的な記憶へと転換できます。

このように長時間やり過ぎないこととできるだけ実体験を積ませることの2点を守れば、フラッシュカードによる学習の悪影響を最小限にとどめられます。

フラッシュカードに関する注意点

大量の情報インプットに向いているフラッシュカードですが、万能ではありません。フラッシュカードの学習に向いていないものや、より効果的な与え方をお母さんは把握するようにしましょう。

・学習内容によっては不向きである

幼児向けのフラッシュカードの基本は、カードの表に絵、裏面に単語が書かれているものです。このことから名詞(物の名前)とは非常に相性がいいです。

動詞(動作を表す言葉)には、swimとかrunなど多数あります。これらの言葉も比較的フラッシュカードと相性がいいです。絵で表現しやすいからです。

ところが形容詞や副詞になると事情が違ってきます。例えば、「硬い」意味のhardを学習するときに適切なイラストを選ぶのが難しいです。石と豆腐の絵を見せてもピンときません。

同様に、副詞も絵で表現するのは難しいかもしれません。「きちんと」の意味のnicelyを端的に表す絵は難しいです。

このように、「パッと絵を見て瞬時に言葉が浮かばないもの」はフラッシュカードを使用した学習に不向きです。既製品の中でそのようなカードが混ざっていたら、思い切って使用しないほうがいいです。

・カテゴリーごとにまとめること

フラッシュカードの1セットは、同じカテゴリーの言葉でまとめるのが基本です。例えば「動物」のカテゴリーを作ったら、動物以外のカードを混ぜないことです。

初めに“Today we are learning about animals.” と子どもに伝えましょう。このように伝えれば子どもは心構えができて学習内容を受け入れやすくなります。

・シャッフルの効用

同じカテゴリー内でシャッフルするのはかまいません。例えば、1~10までの数字を覚えるときに、「3、6、5、1…」のようにカードを混ぜて練習するのはとても有効です。

フラッシュカードを使わない学習方法だと、8(eight)を思い出すときに1(one)から順番に口にしないと言葉を思い出せないことが起こりえます。ランダムなフラッシュカードで訓練すれば、どの数字を見ても瞬時に口から出てくるようになります。

アナログフラッシュカードvs. デジタルフラッシュカード

フラッシュカードには紙で作ったアナログのものと、デジタル機器(パソコン、タブレット、スマートフォン)で使えるアプリを利用したデジタルのものがあります。

どちらにも一長一短あるので、特徴を理解して試してみましょう(この記事ではデジタルを推奨しています)。

アナログ式(紙のフラッシュカード)

Amazonなどで既製品を購入するか、プリンターを利用しながら自作して紙のフラッシュカードを用意します。それでは、紙のカードの長所と短所を考えてみましょう。

・紙のメリット

紙の良さは何といっても「目に優しい」ところです。幼児にはできるだけ目に負担をかけたくありません。この点は紙は優れています。

・紙のデメリット

使いこめば汚れたり曲がるのはは仕方ありません。数が増えてくれば紛失することもありますし、保管場所も考えなくてはいけません。

お母さんがフラッシュカードを適切に扱えるようになるまでは、訓練が必要なこともデメリットです。私も経験しましたが、10枚くらいのカードの束を持って子どもに見せながらテンポよくめくっていくのは結構難しいです。

手順は、手前のカードの裏側にある「apple」を覚えながら、そのカードを子ども側に移動させ「apple」と読み上げます(子どもにはリンゴの絵が見えている)。次の「banana」を頭にいれながら、カードを表に移動して「banana」と読みます。

これを1秒以内でできるように次々と繰り返すので、慣れないうちは大変です。しかし、ゆっくりやってはフラッシュカードの意味がありません(考える余地を与えてしまうため)。

デジタル式(アプリ:Quizletの紹介)

フラッシュカード学習をデジタル化するなら、アプリケーションの「Quizlet」がおすすめです。息子が通う学校のスペリングの宿題で存在を知りましたが大変便利です。

quizlet

Quizletの詳しい利用方法は後述するとして、ここでは長所と短所をまとめてみます。

・長所

オリジナルのカードを自由に作成できるのは、大変魅力的です。既製品の紙のフラッシュカードにも親しみやすいイラストが使用されています。しかし、子どものことを知り尽くしているお母さんが、子どもの趣味にあったイラストや写真を利用できるのは大きな利点です。

実際に使ってみると反応の悪いイラストや写真の入替えや、カードの追加・削除も自由自在です。また、紙のように場所を取らず、欲しいカードのセットをすぐに見つけられる機能も重宝します。

音声で英語を読み上げる(自動読みあげ)の機能があるので、英語の発音に不安を感じる人には便利です。

・デメリット

デジタル機器全般にいえることですが、目に負担がかかります。5分くらいの学習時間ならそれほど気にすることはありません。

Quizletでは他の誰かが作ってくれたフラッシュカードを利用できます。しかし、使い勝手が今一つのことが多く、結局自分で作ったほうがよいです。慣れるとそれほど手間はかかりませんが、忙しいお母さんは負担に感じるかもしれません。

アナログでもデジタルでもフラッシュカードの学習効果に違いはありません。個人的には、パソコンで学習セットを作る方が使い勝手が良いと感じました。

Quizletを利用した学習方法

Quizletはフラッシュカードのアプリというよりは、暗記学習用のツールです。その中の一機能にフラッシュカードによる学習があります。実際の画面には、さまざまな学習モードが表示されています。

綴り(スペリング)の学習もタイピングができれば可能ですが、幼児にはあまり使えない機能かもしれません。英語に限らず幅広い学習に応用できますし、大人になっても大変便利なアプリです。

Quizletとは

Quizlet_top

Quizletとは、オリジナルのフラッシュカードをオンライン上で作成できて、さまざまな学習モードで暗記ができるサービスです。初心者でも直感的に操作できるようになっていて、適当にボタンを押しているうちに簡単に理解できます。

他人の作成した「学習セット」を検索して利用することもできます。例えば、「英検4級単語」と検索するとそれに該当する学習セットがヒットするので、気に入ったものを選び学習に利用できます。

最も効果的な対象年齢は1歳~3歳

フラッシュカードを用いた学習(絵→音声)で最も効果が高いのは、1歳~3歳の幼児です。この年齢の子ども達は、文字からの干渉を受けずに映像をそのまま記憶する能力が高いそうです。

もちろん、小学生でも大人でもQuizletは暗記ツールとして効果的です。その場合は絵→音声だけでなく、英単語→日本語でも大丈夫です。

アカウントの取得

まず、Quizletにアクセスします。画面右上の「新規作成」を押すと、アカウント取得のウィンドウが現れますので、それぞれの項目に記入します。GoogleのアカウントやFacebookのアカウントからもログインできます。

Quizlet_account

アカウントは、お母さん用(先生)と子ども用(生徒)の2つ取得したほうがいいです。とりあえず、お母さん用だけを取得して、操作に慣れてから子どものアカウントを取得する方法でも大丈夫です。

お母さんは「先生用のアカウント」を取得して、子どもは「生徒用アカウント」で学習をすすめましょう。子どもの進捗状況をお母さんは確かめられます。息子の学校ではこれを使って宿題を出していたので、勉強していないと先生にすぐにバレました。

まずはあちこち開いてみて、使い勝手を確かめましょう。マニュアルを見るより、手を動かして試行錯誤するほうが早く覚えられます。

無料メルマガ「効果的な子どもの英単語学習法」に登録すると、特典で英検5級相当の英単語が Quizlet(学習アプリ)で学べます(動画解説付)

お母さんには有料のアップグレードがおすすめ

幼児が英語を学ぶときにはカードの表面に「絵(写真)」を挿入します。この機能を使うためには有料のアップグレードが必要です。1年で$34.99なので、月々およそ330円の利用料です。「設定」から支払いに進めます。

Quizlet_設定

設定の項目にはアカウントの種類を「先生」または「生徒」のどちらかから選べるようになっていますので、最初に間違えて選んだとしても後から変更できます。

Quizlet_設定2

作成

画面上の「作成する」をクリックすると、「新しい学習セットを作成する」の画面が現れます。最初にフラッシュカードのカテゴリーを決めて、タイトルを記入します。例えば動物のカテゴリーを作るなら「animals」と記入します。

Quizlet_studyset

後はフラッシュカードに該当する部分を作成するだけです。左側に単語、右側に画像を挿入していきます。例えば、左にdogと入れたら、右側の画像のアイコンを押すと自動的に犬の写真やイラストが出てきますので好きなものを選びクリックすると挿入されます。

Quizlet_studyset_making

この画像にはお母さんが撮影した写真や、インターネットの画像検索でダウンロードしたものを利用できます。例えば「family」のカテゴリーでは、「dad」に本物のお父さんの写真を使うなどの工夫もできます。

1カテゴリーにつき、10枚の単語カードを作りましょう。幼児の学習にはこれくらいの数は集中力が切れずにちょうどいいです。

カテゴリーは身の回りのものから始めて、職業、国旗など少しずつ世界を広げていくのがコツです。あまりにも抽象的で幼児の理解を超えるようなものは避けましょう。固有名詞は普通名詞を覚えさせたあとに取り入れるなど、順番にも配慮しましょう。

例えば動物の中で「bird」を覚えた後に、「sparrow」「hawk」「eagle」「owl」 などを覚えていくようにすると、頭の中に知識の階層が順序立てて組み立てられます。

学習方法

まず、パソコンのモニターの前にお母さんと子どもが座ります。小さな子どもなら、ひざの上に座らせてもいいです。キーボードの操作はお母さんの担当です。

“Today we are learning about animals.  Do you like animals?”などと子どもと英語で話しかけながら準備をしましょう。子どもと勉強するときは楽しくやるのが基本であることを忘れないようにしましょう。

Quizlet_study_mode

 

Quizlet_study_key

再生ボタンを押すと順番に「表→裏(単語読み上げ)」→次のカード、と自動で学習をすすめていきます。便利な機能ですが、残念なことに再生スピードはおよそ2秒で遅すぎます。これではフラッシュカードとしての効果は半減してしまいます。

仕方がないので、お母さんがキーボードを操作して素早くカードをめくりましょう。「spaceキー」で「カードをめくる」、「→キー」で「次のカード」にすすめます。紙のカードよりもずっと楽です。すぐに簡単にテンポ良くめくれます。

ある程度「絵→単語の読み上げ」をできるようになったら、センテンスにも挑戦しましょう。先ほど使った学習セットをコピーして、左側のセンテンスだけを変更します。

例えば、左に「I like cats.」-「猫の写真」とか、「She is sleeping on the sofa.」-「猫がソファーで寝ている写真」のように、センテンスを記入します。カテゴリーごとに同じ表現の方が混乱しません。学習セットのタイトルは「animals 現在進行形」のように設定します。

注意点

先述したように、長時間のフラッシュカードによる学習は危険性が指摘されています。「1回5分一日2回まで」のように時間と回数を制限しましょう。子どもの表情がぼんやりして機械的に解答しているだけの状態はよくありません。

子どもがまだ話せない時期は、リピートや発音練習はできません。話せるようになってから無理のないようにすすめていきましょう。お兄さんお姉さんがいる場合は、いっしょに取り組ませると盛り上がります。

受け身の学習にならないように、実生活の体験とフラッシュカードで覚えた知識をつなげるように意識しましょう。例えば、最近、乗り物カテゴリーで単語「bus」を覚えたとします。

お出かけしたときにバスを見かけたら、すかさず “What’s that?” とたずねましょう。子どもが “A bus!” と答えたら “Do you want to get on a bus?” と質問を続けます。

このように日常のあらゆる場面でカードの知識を体験と結びつけると、受け身の学習から能動的な学習へと変換できます。

お母さんへのアドバイス

Quizletには「自動読みあげ機能」があり、英語に関してはほぼ正しい発音とアクセントで再生されます。それを参考にしながら、お母さんも一緒に発音しながら子どもと一緒に勉強しましょう。

発音に関しては、ネイティブのような完璧さは不要です。ただし、L/R、TH/Sなど日本人がつまづきがちなポイントに注意をしながら読む練習は必要です。

フレーズやセンテンスを扱う場合はシンプルで自然な英語にしましょう。文章が正しいかどうか気になるようでしたら、英語に詳しい人に聞きましょう。

お母さんが読み上げるときは、気持ちや感情を込めるようにしましょう。子どもの学習効果において、お母さんの肉声にかなうものはありません。

楽しい雰囲気をつくるために、ジェスチャーや笑顔も大切です。毎回、フラッシュカードの学習を楽しみにするような雰囲気づくりができたら成功です。

最初は10枚のカードを覚えるだけでも時間がかかります。あせらずに根気強く続けましょう。5分間集中力を切らさずに続けられたら、子どもの集中力も相当高まっています。

まとめ

インターネットで「フラッシュカード」と検索すると、ネガティブな意見が多くヒットします。詳細は本文で紹介した通りです。何事にも両面がありますので、このような意見にも耳を傾けることは大切です。

しかし、過剰に恐れるあまりせっかくのプラスの面を無視してしまうのはもったいないです。日本語を介さずにイメージと英語を瞬時に結び付けて記憶できるトレーニング方法として効果は実証されています。

言葉や表現を数多く知るようになり、現実の世界と結び付けられるようになると、子どもは学ぶことの楽しさを感じるようになります。また集中して勉強する習慣をつけると、小学校や中学校にすすんでもきっと役に立ちます。

フラッシュカードは万能ではありませんが、要所要所で大きな威力を発揮します。正しい方法で子どもと一緒に楽しみながら取り組みましょう。

最終的には、いろいろな文脈の中で使われる単語の意味を何度も考えることによって、豊かなボキャブラリーは得られます。こちらの動画セミナーではその方法を詳しく説明しています。

子どものための英単語の覚え方(実践編)

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電車の中で、英語の単語集を開いて一生懸命暗記している高校生を見かけることがあります。学校で単語テストがあるのかもしれません。このような光景を見ると「頑張れよ」と応援したくなります。

そのような彼らの様子を見ていて、気になることがあります。暗記用シートが挟まった単語集をじっと見つめるだけで、口が動いていないのです。電車の中でも声に出ない程度にわずかでも口を動かして発音したほうが、使える単語として学べます。

学校の先生はきちんと時間を取って、学習の仕方を教えた方がいいです。授業以外の時間にも生徒が自習できるようにしたほうが英語は伸びるからです。

英語力は4技能(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング)から成り立っています。それを下から支えているのは「文法と語彙力」です。今回は子どもが語彙力を高めるための実際の手順を詳しく説明します。

幼児~小学校高学年の期間、能力や心が急激に変化します。大人の学習方法とは異なる部分をお母さんが理解して、子どものボキャビル(単語学習)をサポートしてあげましょう。

第一段階:最初にアクティブ・ボキャブラリーを300語覚える

小学校入学前の幼児であれば、ボキャビルよりも先にやっておくことが2つあります。まず、英語絵本の読み聞かせを通じて子どもが「英語の音」に慣れるようにしましょう。このときお母さんは発音を気にしすぎる必要はありません。ほどほどで大丈夫です。

もう一つのやるべきことは、「アルファベットとフォニックスの基本」を学ぶことです。アルファベットの読み方は単語で使用されるときの読み方と一致しないことが多いです。そのため綴りと音の緩い規則であるフォニックスを学ぶ必要があります。

まず、英語の音に慣れてアルファベットとフォニックスの基本を身につけたら、ボキャブラリーを意識した学習に進むことができます。ボキャビルのコツを学ぶと子どもの英語学習に弾みがつきます。

超基本単語300語を一気に攻略

文字から覚えるボキャビルは5歳くらいから可能です。だからといって単語集を買ってきて暗記するのは、この年齢の子どもには無理があります。

とりあえずの目標は、300語くらいの超基本単語です。「英語絵本の読み聞かせ」「英語での育児」を通じて、とりあえず意味がわかるようにします。暗記ではなく、生活に英語を取り込みながら何度も単語と英語の音・文字を結びつける作業を繰り返します。

具体的な方法は、家中の物に英語を書いた「ふせん」を貼ってみるのもひとつのアイディアです。やり方は簡単です。冷蔵庫に「fridge」と書いた付箋を貼るだけです。

そして毎日、“Do you want some milk?  It’s in the fridge.”とか“Close the fridge now.”と話しかければ、冷蔵庫がfridgeであることを覚えます。このように少しずつ単語を増やしていけば、身の回りの単語はかなり理解できるようになるはずです。

数字、曜日、月、色などは同じ種類でまとめて覚えたほうがいいので、フラッシュカードも利用したほうがいいです。そして、覚えた単語を実生活と結びつけることがポイントです。

毎朝お着替えをした時に、服の色を指で指しながら“You want to wear this one?  Yellow is your favorite color.”などと話しかければ、カードで覚えた単語と現実の世界が結びつき記憶が強化されます。

どの単語を覚えたらいいのかわからない場合は、Jリサーチ出版の『英語が得意になる! 最初に覚えたい600語 ゼロからスタート 小学英単語』(安河内哲也著)がオススメです。
小学英単語

基本単語をアクティブ・ボキャブラリーにする

聞いたり読んだりするときに意味がわかるけれど使うことはできない語彙を「パッシブ・ボキャブラリー」と呼びます。例えば、「矜持」は「きょうじ」と読み、意味は「プライドのこと」であると私は知っています。しかし、会話や文章を書くときに矜持という言葉は出てきません。

一方、「プライド」という言葉は日常会話で使います。このように自分で使いこなすことができる語彙のことを「アクティブ・ボキャブラリー」と呼びます。私にとって矜持はパッシブ・ボキャブラリーであり、プライドはアクティブ・ボキャブラリーです。

300語ほどの超基本単語を知っているだけでは、子どもは英語を話せません。意味を知っているだけの単語を「アクティブ」に変化させる必要があります。

使える単語にするためには、「使うトレーニング」が必要です。日本語環境で、子どもに英語を使わせるには3つのコツがあります。

一つ目は、英語での話しかけの中で、子どもが何かを欲しているときを狙います。例えば「牛乳飲みたい」と言ったらSay “Milk, please.”(ミルクちょうだい、って言ってごらん)と話しかけます。

“Milk, please.”と言わないといつまでたっても牛乳が飲めないので、子どもは英語を話さざるをえません。これを繰り返すと、牛乳を飲みたいと思ったら“Milk, please.”と言えるようになります。

自分で言えた単語のmilkもpleaseもアクティブ・ボキャブラリーです。このようにして、意味がわかるだけの言葉(パッシブ・ボキャブラリー)を使える言葉であるアクティブ・ボキャブラリーへと変えていきます。

二つ目の方法は、文字で覚えた単語やフレーズを子どもに使わせるやり方です。

例えば、スイッチパネルのところにturn on the light/ turn off the lightと書いておけば、アクティブにすることができます。

夕方暗い部屋に戻ったときお母さんが“It’s dark here.  What shall we do?”(ここ暗いわね。どうしましょ?)と子どもに問いかけます。子どもが“Turn on the light!”と言えばしめたものです。

三つ目の方法は、英語絵本に登場してきた動物やフレーズを実生活の中でも使わせることです。私が息子に読んだ絵本「Excuse me!」の中で、ゲップをした子が親からWhat do you say?と聞かれてExcuse me!と答える場面があります。

何度も繰り返し読んであげるうちに、子どもはセリフを暗記して“Excuse me!”と言えるようになりました。ある日、夕食を食べていたら息子がゲップをしたので、すかさず私は英語でWhat do you say?と尋ねると、ニヤリと笑いExcuse me!と答えたのです。

楽しみながら音読をするうちにフレーズを自分のものにして、実際の場面で使えるようになった瞬間です。

上記のような要領で、超基本単語をアクティブなものに変えていくことができます。「私はあなたを愛しています」をほとんどの人は“I love you.”と言えます。このレベルまで使いこなせる英単語を増やせば、会話力が向上していきます。

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第二段階:パッシブ・ボキャブラリーを1000語に増やす

アクティブ・ボキャブラリーとパッシブ・ボキャブラリーの数は常に「アクティブ<パッシブ」の状態です。「パッシブを増やしながら使用する頻度が高いものをアクティブに変えていく」という順番が正しいのです。

本格的に読書をするなら、パッシブ・ボキャブラリーも増やさなければいけません。ここでは子どものパッシブ・ボキャブラリーを増やす効果的な方法について説明します。

音読トレーニングで扱った単語を中心に覚える

目標とする語彙レベルは1500~2000語です。とりあえず1000語くらいの単語の意味がわかるようになると、絵本を卒業して簡単な本が読めるようになってきます。1000語と聞くと大変そうに感じるかもしれませんが、これでもネイティブの5歳に及びません。

単語の覚え方の原則は「繰り返し復習」と「読める→意味がわかる→(書ける)の順番を守ること」です。単語だけを取り上げて学習するのは小学生にはおススメできません。単調になりがちで飽きるからです。

おすすめは、音読トレーニングをしながら出会った単語を一つひとつ覚えていくことです。音読トレーニングは「意味がわかるものを正しい読み方で繰り返し行う」のが大原則なので、ついでに単語も覚えられるからです。

では新しく覚えた単語は、後で復習できるようにノートに記録したり、単語カードを作成したりした方がいいのでしょうか? 私の答えは「ノー」です。カードを作成する手間がかかりますし、後述する電子辞書を使えば時間ゼロでオリジナルの単語帳を作成できます。

また、このレベルの単語は使用頻度が高いので、しょっちゅう出会います。忘れたらまた覚え直すくらいの気持ちでまったく構いません。忘れないことに意識を置くより、繰り返し覚えることを意識したほうが良い結果につながります。

図鑑、マンガ、読書で気になった単語だけに絞って覚える

知らない単語をすべて調べて覚えようとしても疲れるだけです。どうしても意味が気になる言葉だけに絞って、英単語を電子辞書で調べましょう。

忘れてはいけないのは、「読み→意味」の順番です。かならず口に出して、何回か読み上げましょう。これらの中には絶対に試験に出題されなさそうな単語も含まれていますが、お構いなしに覚えたほうがいいです。

本気で新しい単語を覚えるのは音読を通じて行い、プラスアルファでそれ以外の機会で目にした気になる単語を取り扱うようにします。

ちなみに小学生の場合は、単語を書ける状態を目指さなくても大丈夫です。半分以上はフォニックスがわかれば音からスペリングを推測できます。また、音読トレーニングの仕上げとしてディクテーション(書き取り)を導入すれば、そこで学習できます。

電子辞書のヒストリー機能を使う

電子辞書があると、「ヒストリー機能(履歴機能)」を活用して単語を効率よく復習できます。音読練習やその他の機会で調べた知らない単語は、履歴に残るようになっています。

調べた単語が新しいほど、履歴の最初の方に表示されます。カーソルを合わせるだけで意味が小さく表示されるので、この機能を利用して復習をします。

読めないときや意味を忘れた単語にカーソルを合わせて決定ボタンを押すと、詳しい意味が表示されます。次に、ヒストリー画面を見ると、この単語は履歴の最初に移動します。

これを繰り返していくと、覚えられない単語ほど履歴の最初に表示されます。つまり、ヒストリー機能で復習するときは、上から順番に復習していくのがベストです。

ヒストリー機能に収録できる語数は決まっているので、一定数を超えると古いものから自動消去されます。最も覚えている可能性が高いものから消えていくので、わざわざ消去する必要もありません。

普段あまり活用されることのない地味な機能ですが、このように利用するといつの間にか子どもにカスタマイズされた単語帳を作ることができます。

覚えるためのコツ

目新しいコツがあるわけではありませんが、子どもでも応用できる単語暗記術をいくつか紹介します。

・接頭辞・接尾辞・語源を利用する

接頭辞・接尾辞・語源を利用した単語の覚え方はポピュラーですし、このレベルの語彙を増やすのには効果的な方法です。たとえば、happyに否定を表すun-という接頭辞をつけるとunhappy(不幸な)という意味になります。

・語感を利用する

語感を利用するのも効果的です。語感のセンサーが高いと、単語の覚えが早いのは確かです。thudは(どさっ)という物が落ちる音を表しますが、この感覚がすっと腑に落ちる子どもは英語センスがあります。

・連想力を発揮する

連想力が働く子どもは英語学習に向いています。全米プロフットボールリーグの王座決定戦を「スーパーボウル」と呼びますが、ボウルを「玉(ball)」と勘違いしている人が多いです。正しい綴りはSuper Bowlです。

bowlは料理に使う「ボウル」です。アメフトのスタジアムの形がボウル状なので、このように呼ばれているのです。bowlを1.料理に使うボウル 2.アメフトのスタジアムのように覚えるのではなく、共通するイメージが頭に浮かぶだけで語彙はグッと増えます。

・エピソード記憶を利用する

「エピソード記憶」を利用する方法もあります。エピソード記憶とは、何かを経験したときにそれに伴った事柄が記憶されることです。意図的に利用するのが難しいのが欠点ですが、努力不要で覚えられるのが長所です。

私の息子が幼児の頃、ボウルに入った氷水に手を入れて「冷たーい!」と叫んでいました。そこですかさず“It’s icy water.”と教えてあげました。それからしばらくして、「この前のicy water冷たかったねー」と話し始めました。

何か印象に残るような出来事(びっくりするほど冷たい水に触った)により、icy waterという単語の意味が強烈に記憶に残った結果です。このようにエピソード記憶には、忘れにくいという特徴があります。

普段の生活で子どもが大喜びしたり、びっくりしたりすることは山ほどあります。その経験と英単語がうまく結びつくと、忘れにくい記憶となり、パッシブの状態を飛び越えてアクティブ・ボキャブラリーとして一気に定着することも期待できます。

ポピュラーな単語暗記術をいくつか紹介しましたが、一つの方法に頼り過ぎてはいけません。覚えやすい特徴があれば利用するべきですが、上記のテクニックが常に有効というわけではありません。

その場合は丸暗記するしかありません。電子辞書のヒストリー機能を使いながら、復習を繰り返して覚えるように子どもにアドバイスをしましょう。

第三段階:アクティブ・ボキャブラリーを増やす

第二段階で1000~1500語レベルに到達すると、英検3級は合格できるようになっています。小学生でこのレベルまで到達すれば、なかなかの実力といえるでしょう。

しかし、英検3級に合格しても英語を話せる子どもは極めて少ないです。それは、1000語~1500語のボキャブラリーのほとんどが、パッシブだからです。

中学・高校・大学受験へと進むにしたがって覚える単語数は増えていきますが、ほとんどの学習者はパッシブのままに放置してしまいます。すると入試・資格試験は合格できても、英語を話せない人になってしまいます。

せっかく子どもの頃から英語学習に取り組むのなら、使える英語を身につけないともったいないです。そこで、読みと意味だけ知っているパッシブ・ボキャブラリーを少しでもアクティブなものに変えていく方法について解説します。

使えるようになりたければ、使って覚える

第一段階で説明した原則は、ここでも同じです。「使えるようになりたければ、使って覚える」ことが大切です。このレベルの語彙を使いこなすのはかなりハードですが、時間をかければ必ず攻略できます。

・ひとり言ブツブツ英会話

最初の頃よりも語彙レベルが上がっているので、第一段階で説明したような方法は通用しません。今回は、ひとり言ブツブツ英会話が有効です。

とりあえず、子どもに日常の雑談を30秒くらいの英語で表現させます。筆記用具は不要で、自分でブツブツ言うだけです。たとえば、家族で山梨県に墓参りにいったとしたらこのような感じです。

I went…(墓参りって何て言うんだろう)in Yamanashi.  (帰る途中)we saw few people.  Suddenly, we (見つけた) a deer on the road.  My father stopped the car and the deer looked at us (長い間)

最初はこれだけ言うのにも四苦八苦ですが、気にすることはありません。30秒どころか、数分かかるかもしれませんが、相手がいるわけではないので大丈夫です。

・和英辞書や翻訳ソフトで英作文

言えない部分を和英辞書で調べながら、ノートに文章を書いてみます。和英辞書でもぴったりとした表現が見つからなければ、翻訳ソフトを利用してみましょう。まだまだ改善の余地がありますが、シンプルな文章ならかなりの精度で日本語を英語に変換してくれます。

I visited my family grave with my family in Ymanashi.  On our way home, we saw few people.  Suddenly, we found a deer on the road.  My father stopped the car and the deer looked at us for a long time.

小学生では本格的に文法を習っていませんから、時制や複数形などのミスが多いのが普通です。書いた文章は、英語の先生に添削してもらいましょう。自分が表現したかったことを細かく伝えて、そのニュアンスに近い英語にしてもらいます。

・暗唱する

そしてこの英語をスムーズに感情を込めて言えるようになるまで、何度も繰り返しブツブツ言いながら練習します。翌日になってもスムーズに口をついて出るようなら、この文章の練習は終わりです。

このような練習を毎日ひたすら繰り返すと、英語で表現できることが徐々に増えていきます。

子ども特有のボキャビルに関する疑問

ここでは子どものボキャビルに関する疑問に回答します。子ども特有の事情により、大人とは違った難しさがあります。

子どもに理解できない単語が登場するがどうしたらいいか

小学生でも上級者になると、英検準2級くらいから難しめの単語が登場するようになります。たとえばpotentialは「潜在的な(形)、潜在力(名)」という意味ですが、このような抽象的な概念を表す言葉が増えてきます。

小学生4年生以下で「潜在的」という言葉をきちんと理解している子どもはほとんどいないでしょう。問題は、「潜在的な」という言葉や概念をしっかりと理解できないのに、英語と意味を暗記させることに意味はあるのか、ということです。

私の考えでは、子どもが気にせずに丸暗記できるならそのままでいいと思います。しかし、意味がわからない単語に嫌気がさしているようだったら、飛ばしてもいいと思っています。日本語で言葉の概念を正しく理解してから覚えれば大丈夫です。

いずれ中学生くらいになれば、きちんとその言葉を理解できるようになるからです。長い目で見れば大きな問題ではありません。

文法はどうするか

不規則動詞は、時制によって形が変化します。例えば、thinkはthought、readはread【発音:red】のようにです。

「最初に時制に関する文法の知識を教えないと混乱するのでは…」と英語が得意なお母さんは考えるかもしれません。しかし、文法のことはとりあえず保留にしておきましょう。

先ほどの例なら、thinkとthoughtを別々に覚えても構いません。いずれ、ふたつの動詞が同じ動詞であると気づきます。気がつかなかったとしても、中学校で本格的に文法を習えばすぐに理解できます。

文法を先に学んでから英語に触れるよりも、実際の英語に触れてモヤモヤを抱えているタイミングで文法を学んだほうが定着は早いといわれています。小学校の間は正確な文法理解を求めて焦り過ぎないようにしましょう。

まとめ

ボキャビルのコツは究極のところ、「単語によって付き合い方を変える」ことだと思います。

一緒にいる時間を増やさないと親友レベルの友人にはなりません。同じように、アクティブな語彙を増やしたければ、何度も会話で使ってみるという訓練を避けることはできません。一方、意味だけ分かればよい単語も存在します。

英語の勉強がある程度進むと、単語力が停滞する時期が必ずあります。すべての単語を全力で覚えようとすると英語が嫌になってしまいます。単語によっては気楽に付き合えばいいと考えるだけで、心にゆとりが生まれます。

英語力が停滞したら、お母さんから子どもにボキャビルの話をしてあげましょう。停滞期を乗り切るきっかけになるかもしれません。せっかく子どもの頃から英語を学び始めたのなら、使える英語が身につくようにサポートしてあげましょう。

小学生の英単語暗記法

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英単語の暗記は誰にとってもつらいものです。私も中学校で初めて英語を習ったとき、曜日の英単語に苦労しました。Sunday, Monday, Friday, Saturdayは比較的簡単でした。しかし、Wednesdayになると発音されない「d」を入れることを毎回忘れてしまい、テストで間違えてばかりいました。

小学生が英単語を覚える場合は、大人が覚える以上に大変です。ここで苦しさしか感じないと英語学習が苦痛になります。そこで、ある程度暗記の困難を緩和するテクニックが必要になります。万能ではありませんが、何らかの助けにはなるはずです。

学習指導要領の中で小学校の英語では卒業時までに600語程度の単語力を身につけておくことが求められています。そこで、どうすれば少しでも効率的に子どもが英単語を増やせるのかについて解説します。

小学生のための英単語暗記法

英単語学習は、文法学習と共に英語学習の核になるものです。よく言われる英語4技能(読む・聞く・書く・話す)はこの二つの知識をもとにして身につけることができます。これらの関係を図で表すと下のようになります。

お母さんによく観察して欲しいのは、知らない英単語に出会ったときに子どもが「どのようにその単語を調べて覚えようとしているか」ということです。簡単にいえば覚え方のステップです。

英語が伸びる子どもは、「読める(正しく発音)→意味がわかる→スペル(つづり)」の順番で知らない単語を覚えていきます。これまで個人指導も含めて多くの子どもを指導してきましたが、あとで英語が伸びる子どもはこのやり方を守っています。

まず、アクセントも含めて正しい発音でその単語を読めるように何度も口に出してブツブツ発音します。音を最初にマスターすると会話やリスニングで登場したときに使えるため、生きた知識になります。

最初に自己流の変な読み方(ローマ字読みなど)で適当に発話していると、あとで修正してもう一度正しい読み方を覚えなければなりません。最初から正しい読み方をマスターしたほうが労力は少なくて済みます。

次に、意味を調べます。ここはいろいろなテクニックを駆使して覚えるしかありません。テクニックについては後ほど解説します。これでもダメなら丸暗記が有効な方法です。

最後にスペリング(つづり)を覚えます。細かい話ですが、英語の得意な子どもはその英単語の発音をしながら、該当部分を紙に書くのが習慣づいています。

英語が伸びない子どもは知らない単語に出会うと、「意味→スペル(つづり)」のステップで単語を暗記しようとします。発音は無視するか、適当にローマ字読みをして流してしまうので、会話やリスニングで活用できる知識になりません。

知らない単語に出会ったら、意味やつづりよりも先に正しく発音できることを最優先にすることを子どもに習慣づけさせましょう。

究極の単語暗記法は反復すること

高校に入学したときのことを思い出してください。同級生と合うのは初めてなので、当然、名前と顔が一致しません。しかし、5月の連休前にはクラス全員の顔と名前は一致していたはずです。

この体験の中に、ボキャビル(語彙学習)の基本が隠されています。毎朝、担任の先生が点呼して、呼ばれた生徒は手を挙げます。授業中、先生が指名したらその子は返事をして答えます。子どもは胸に名札をつけているので、ひらがなが読めれば確認できます。

あなたは何度も顔と名前を一致させる作業を繰り返していたはずです。もちろん目立たない子や似た名前が複数いる場合は混乱しますが、確認作業を繰り返すうちに全員の顔と名前は一致するようになります。

英語のボキャビルの極意もまったく同じです。一日だけ一生懸命暗記しようとしても記憶は定着しません。英語が苦手な子どもほど、最初の1回で暗記をしようと試みますが特殊な才能がない限り覚えられません。

それよりも忘れることを前提に学習をするほうがはるかに現実的です。単語の綴り・読み・意味を一致させる作業を一定期間に何度も何度も繰り返す方が記憶は定着します。ですから究極の単語学習のコツは「90%以上の時間を復習に充てる」ことといえます。

小学生が覚えるべき英単語の一覧:おすすめ英単語帳

大学受験のときに、英語学習で単語帳を購入した経験のあるお母さんは多いでしょう。単語帳の役割を改めて考えてみると、「大学に合格するために必要な単語がわかる」ことです。

辞書にはたくさんの単語がありますが、すべてを覚えることはできません。そこで、「これさえ覚えれば何とかなる」という基準を与えてもらい、必要最低限の努力で英語の試験をパスできるためのツールが単語帳の役割です。

小学生が覚えておくと英語学習がはかどる単語が掲載されているのは、『ゼロからスタート 小学英単語』(安河内哲也著、Jリサーチ出版)です。

小学英単語

小学校の中・高学年向けに最初に覚えるべき600語が掲載されています。最初にイラスト付きで「いきもの」「果物」などのカテゴリーごとにイラスト付きで名詞が並んでいます。

次に動詞が掲載されていますが、原形だけでなく例文付きで過去形も紹介されています。英検4級では過去形について出題されるので、そのレベルまでは使用に耐えるつくりになっているのが好感が持てます。

最後に形容詞が紹介されています。本当に基礎的でよくつかわれるものが厳選されている印象を受けます。単語以外にも基礎的な英会話フレーズがあって、小学校の間はこれ一冊で充分間に合います。

単語帳以外の単語が大切な理由とは

単語帳は手元にあれば便利なのは確かです。しかし、ここに掲載されていない単語を「覚えなくてもいい」とか「重要ではない」と考えるのはやめましょう。

例えば、『ゼロからスタート 小学英単語』にはdinosaur(恐竜)という単語は掲載されていません。そのときに、「小学生は覚えなくてよい」と子どもにアドバイスをしてしまうとせっかく英単語を増やせる機会を台無しにしてしまいます。

私も含めてお母さん世代は中学校から英語を学びました。どうしても試験を意識した概念的な単語を多く覚えるようになります。ところが、実際の生活では日常的な単語のほうが重要です。

例えば指の名称(人差し指~小指)をすべて英語で言える人は意外と少ないです(正解は、the index finger, the middle ~, the ring ~, the little ~ or pinkie)。environment(環境)は知っているけれどこのような基礎的な単語がわからないのはバランスが悪いです。

学校英語だけでは身の回りの英語を網羅しきれません。「試験に出る・出ない」という狭い考えで単語勉強をすると実践的な英語力から外れてしまいます。歯磨き粉を意味するtooth pasteなどネイティブなら3歳でも知っている単語ですが、日本の中学生の多くはすぐに口から出てきません。

小学生の頃はテストに縛られないので、単語帳の枠にとらわれないようにしましょう。子どもが興味を持ったり気になったりしたなら、どんどん調べて教えてあげましょう。そのほうが豊かな英語力が育ちます。

小学生の英単語学習の難しさ

小学生で英語を学んでいる子どもの多くは、超初心者レベルです。大人が英単語を学習するのと異なり、特有の難しさがあります。その原因は主に、発音と文法に関するものです。

単語帳にはCDが付属していて、正しい英語の音を聴けます。また、電子辞書などを使用すると、正しい発音を再生できます。しかし、これだけでは小学生が正しい発音を学ぶことは難しいです。

例えば、telephone(電話)という単語を付属のCDなどで音を聴いても、正しい発音をできるようにはなりません。なぜなら、日本人の子どもならこの音を聞いたときに、脳内で「テレフォン」というカタカナに置き換えて処理するからです。

カタカナで「レ」と発音している限り「lかr」なのか、永遠にわかりません。phは本来【f】という上の歯を下唇に押し当てて息を吐きだす音ですが、カタカナの「フォ」で処理しているのでfoと書き間違える可能性が高いです。

この対策としては、正しい発音がある程度できるまでは英語の先生に指導してもらうのが一番です。英語の発音はフォニックス(音とつづりの法則)にある程度習熟すると、発音記号を読むことで独学でも単語学習を効率よく進めることが可能になります。

カタカナでルビをふるのがダメな理由

子どもの向けの教材では、英単語を読みやすくするためにカタカナのルビがふってあります。子どものためにカタカナのルビをふることに私は断固反対です。カタカナで発音すると、相手に伝わりませんし相手の発音を聞き取ることが難しくなります。

例えば、pencilを読むときに、無理やりカタカナをふると「ぺ・ン・スィ・ル」(4つの音)となります。ところが英語では、pen・cilの2つの音のかたまりで読まれます。ここに「音の数のズレ(差)」が生じる原因があります。

リスニングのときに「英語が速すぎて分からない」との悩みをよく聞きます。原因のひとつは、この音のかたまりの数の差です。日本人はカタカナで音を捉えていて音のかたまりは英語よりも多いのです。英語ではもっと少ない音のかたまりで一気に発話されます。

上の図のように、同じ3秒でも読まれる範囲は全然違ってきます。カタカナに慣れた日本人が英語を聞いていて処理できなくなるのは当然です。長めの単語や読みにくい単語が登場したら、音のかたまりで下線を引いてあげると子どもが読むときの助けになります。

また、英語は子音が連続する傾向があるのに対して、日本語は子音と母音が交互に現れます。例えば、 twelfth(12番目)の発音記号は【twelfθ】で、母音は【e】のひとつです。これをカタカナ読みで「トウェルフス」と読むと【towelfusu】となり、ネイティブが聴いてもまったく別単語にしか聞こえません。

話しても通じない、相手の話したことも理解できないような単語学習は時間のムダなので、カタカナ読みは絶対に避けるべきです。

文法の知識がないため単語学習が進まない

文法の知識不足も、小学生の単語学習の足かせになります。例えば、“We enjoyed the play.”のplayを「遊ぶ」とか「スポーツなどをする」と動詞として考えていると、いつまでたっても意味がわかりません。

この場合、the playと定冠詞のtheがついていることから、playは名詞であり「芝居」という意味になることがわからないと、文意があいまいなままになってしまいます。

文法の知識不足は別の形でも影響してきます。物語を読むと、過去形が頻出します。不規則動詞のwentを見て、すぐに「goの過去形だ」とは小学生は気づきません。

対策としては、単語リスト付の本や教材を使用するのがいいです。その文章での意味がそのまま掲載されているので、文法の知識不足による単語学習の効率の悪さが解消されます。

ドリル、プリントがオススメできない理由とは

私は小学生時代の勉強といえば、毎日の漢字練習を思い出します。一行に何個も同じ漢字を書かされて、本当に大変でした。思い返すと、あの練習をしているときは無言でした。ドリルやプリントをするときは無言で取り組む習慣が身に染みています。

英単語を学ぶときに、ドリルやプリントをおすすめできない理由はまさにこれです。黙々と紙に単語を書いても、正確な発音をする機会がないために実践で活用できないからです。声に出しながら取り組むならいいのですが、染み付いた習慣はなかなか変わりません。

単語カードは昔から定番の英単語暗記ツールですが、これも小学生にはおすすめしません。そもそも書くスピードが遅いので、カード作成に膨大な時間がかかります。これなら単語帳を音読しながら学習したほうが圧倒的に効率がよいです。

このように小学生は英語に関しては超初心者なので、英単語の暗記に関して大人以上に注意が必要です。雪だるまづくりと似ていて、最初ほど大きくするのは難しいのです。少しでも最初の負担を減らすために、小学生に有効な英単語の暗記法を紹介します。

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小学生の英単語暗記法

英単語の丸暗記は確かに苦痛です。そこで、その苦痛を半分程度に抑えるために、巷でいわれるいろいろな方法をすべて試してみましょう。具体的には、語源や外来語を利用したり、多読を積みながらさまざまな文脈で使用される単語を覚えていく方法です。

長い間英語学習を続けた私が断言しますが、「英単語をすぐに覚えられるたった一つの方法」は存在しません。手を変え品を変え、少しでも暗記の負担を減らすのが最も有効な手段です。もしそのどれもが通じなければ、最後は丸暗記が最も有効です。

そこで、丸暗記の量を少しでも減らしてくれる代表的なテクニックと注意点について、詳しく説明します。

語源で覚える

漢字の部首のように、英単語にも意味のあるパーツで構成されているものがあります。例えば接頭辞(単語の頭について意味を添えるもの)にex-が付くと、「外に」という意味になります。

この知識を利用すると、explode(爆発する)やexhale(息を吐きだす)などを比較的簡単に暗記できます。反対を意味するun-を活用すれば、unhappy(不幸な)を簡単に覚えられるなど、語源の知識は知っておいて損はありません。

しかし、語源の知識は万能ではありません。例えば、money(お金)には暗記に役立つ語源はありません。辞書で調べると「ローマで最初の貨幣が女神ユノ=モネタを司る神殿で鋳造されたから」とわかりますが、単語を覚えるのには何の役にも立ちません。

カタカナ語(外来語)を活用する

日本語は外来語が氾濫しています。私の目の前にあるパソコン雑誌を適当に開くと次のようなカタカナが見つかりました。

  • アップデート update(~を最新のものにする)
  • スマート smart (賢い)
  • タップ tap (コツコツとたたく)
  • アイコン icon (アイコン、像)
  • フォルダ folder (紙を挟む厚紙)
  • ページ page (ページ)

日頃から本や新聞を読む習慣のある小学生なら、カタカナの知識を英語に活かさないのはもったいないです。日頃から日本語を読んでいて意味があいまいなカタカナに触れたらすぐに調べる習慣をつけておきましょう。

この積み重ねがあると、英単語を覚えるときにも確実に役に立ちます。ただし、2つ注意しなければいけないことがあります。それは、和製英語と発音です。

和製英語とは、日本人が勝手に英単語を並べて作り出した言葉で、英語圏の人には通じない単語です。有名なものには、「アルバイト」「マンション」「ナイター」などがあります。

これらは正しい英語では「part-time job」「condominium(mansionは大邸宅の意)」「night game」となります。これらの和製英語には気をつけなければいけません。

また、発音については「カタカナ」は無視しましょう。特に2重母音(【ei】【ou】など)は、日本語のカタカナでは「ー(音引き)」で処理されることが多いです。

例えば、majorは正しい発音は「メイジャー」ですが、日本語では「メジャー」と表記・発音されるため、まったく参考にはなりません。

カタカナの意味の知識は活用しつつ、発音は丁寧にオリジナルの英単語を調べることが大切です。

多読で覚える

多読により語感が研ぎ澄まされるのは確かです。これはいろいろな文脈の中で使用される単語に触れるからです。

例えば「彼女は鏡をバッグから取り出した」という文章で “She took a mirror out of her bag.”と書いてあったとします。「から」ですぐに思いつくのは「from」です。しかし、ここでは out ofが使用されています。

日本語ではあいまいに処理されていますが、箱やバッグの中にあるものを取り出す場合の「から」は「out of」が正解です。「from」ではもともと中にあったというニュアンスが伝わらず変な意味になってしまうからです。これは、単語帳からは学べない貴重な知識です。

多読の経験を重ねると、多義語についても学べます。多義語とは「たくさんの意味や用法がある単語」です。一つの単語で複数の意味を持つので、単語帳で暗記するには不向きな単語です。

多義語を攻略するにはいろいろな用例に触れて実際に使いながら覚えるしかありません。tellという動詞は文脈によって意味や使い方が異なる単語です。

多義語

 

この単語の全体像を捉えるには異なる文脈での使われ方を見ていくしかありません。単語学習の観点からは多読は単語数を増やすのではなく、言葉のイメージを豊かにしていく効果があるといえます。多読で単語を覚えようとするのは非効率です。そもそも本を読める前提として9割以上の単語を知っていることが条件だからです。

しかし、単語帳で覚えた意味を実践で思い出す訓練や、ストーリーと関連づけて印象的な単語を覚えやすくする効果はあるので、多読は大切です。

以上、英単語を楽に覚えるコツを3つ(語源の活用・カタカナの知識・多読)を紹介しましたが、現実的にはこれらをすべて試してみることが肝心です。それでもダメなら、最後は根性で丸暗記するのが最後の手段です。英語学習の辛い部分ですが、長期的な視点に立って子どもをサポートしてください。

スペリングは「ぶつぶつライティング」で覚える

単語学習の仕上げとして、スペリング(つづり)について触れたいと思います。小学生の間は書けなくても問題ありませんが、中学校では英語の試験が始まり英単語を正確に書くことが求められます。

そのため、小学生のうちから少なくとも「正しいスペリングの覚え方」を身につけておくことが大切です。私のおすすめは「ぶつぶつライティング」です。これは声に出しながら、英単語を書く方法です。

例えば、mouth(口)を書くときは、【mau】と声に出しながらmouとつづります。声とスペリングを同時にすると、「ouはアウと発音するのか」と確認できます。

【th】を舌先を上下の歯に軽く挟んで息を出すことで発音しながらthとつづると、thの文字を見るとこの音を出すようになります。もしいい加減にカタカナの「ス」と発音していると、ネズミを意味するmouseと混同する可能性が出てきます。

英語が苦手な子どもほど黙々と英語を書いて覚えようとします。正しい発音でつぶやきながら書くだけで、英単語のスペリングは驚くほど正確に覚えられるようになります。ぜひ、子どもにぶつぶつライティングを習慣づけさせてください。

まとめ

小学生にとって英単語の習得は本当に大変です。しかし、英語力の核となる部分なので、正面から取り組む必要があります。

小学生が最低限覚えるべき英単語の一覧として、英単語集を手元に置いておくといいです。ただし、それ以外の単語学習にブレーキをかけないように注意しましょう。

辛い丸暗記を少しでも減らすために、語源やカタカナを活用したり多読を積むのは良いアイデアです。しかし、万能は暗記法は存在しないので、これらの方法がうまくいかないときには丸暗記の努力も必要です。

中学校に進めばスペリングも大切になるので、ブツブツつぶやきながら英語を書く習慣を小学校のときから身につけておくと有利です。簡単にできるので試してください。

単語に関しては、単語帳を開いて学習するだけでなく、あらゆる機会を通じて英単語を覚えようとする姿勢が大切です。町の看板、本で読んだ意味の分からないカタカナなど気になったら調べる好奇心と行動力を子どもが身につけると、英語力は加速度的に向上します。

失敗から学ぶ「英語で育児」

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あなたの周囲で「英語で育児」に取り組んでいる人はいるでしょうか? おそらくかなりの少数派であることは間違いありません。しかし、ブログを見ると英語で育児に取り組んで「子どもが英語を話し始めました」という人達も少なからずいるようです。

我が家ではそのような時期を過ぎてしまったので、少しうらやましく感じます。何歳からでも英語の学習は可能です。しかし、英語を親子のコミュニケーションツールとして使える経験は、小さい頃を逃すと難しいです。

実は、私は英語で育児にチャレンジしたことがありますが結果は惨敗でした。失敗の原因は、成功するためのポイントを知らなかったからです。完全に勉強不足でした。

もしあなたが英語で育児にチャレンジしたいなら、私の失敗から学ぶことは多いはずです。今ではいろいろな人が記録したブログや書籍を入手できます。一人の子どもにつき一度だけの貴重な機会なので興味のあるお母さんはしっかりと準備をしましょう。

英語で育児~私の失敗談~

繰り返しになりますが、私は「英語で育児」に失敗しました。元英語教師として恥ずかしいですが本当のことです。これからチャレンジするお母さんには、ぜひ私の失敗から学んで欲しいと思います。まずは、私の失敗の原因を3つ述べます。
英語で育児に失敗

原因1:5歳からでは遅すぎた

私は息子が5歳のときに英語で育児を始めましたが、遅すぎました。息子はおしゃべりで言葉の発達が早く、年齢の割には日本語はしっかりとしていました。その分、英語を受け入れるのに抵抗があったようです。

もちろん母国語である日本語の習得は大切なので、これ自体は良いことです。ただ英語に関しては、2歳くらいから始めれば英語を自然と受け入れたと考えています。

母語である日本語の発達には個人差があるので一概に何歳までとは言えません。しかし一般的には、3歳までには始めたほうがいいです。

原因2:子どもとの接触時間が短すぎた

私は仕事の都合で、週の半分は帰宅しませんでした。子どもとの接触は多くても週2日半くらいでした。妻は専業主婦で常に子どもと一緒でした。しかし、英語が苦手で英語での語りかけは一切しませんでした。

一週間で合計10分~15分英語で話しかけても、子どもに変化が起きないのは当然です。英語を聞いたり使う時間や頻度が圧倒的に不足していました。

原因3:英語教育に関して家族の協力がマイナスだった

当時、義理の父母、私と妻、娘と息子の6人で生活していました。私以外の家族は全員、英語教育にネガティブな感情を持っていました。先述したように、妻は英語が苦手で「私は嫌だ」というスタンスでした。

協力がゼロなのはまったくかまいません。しかし、義母は「お父さんは英語を話していて嫌だねえ」などと発言していたので、子どもは英語にネガティブな感情を持ってしまいました。

同居している家族には「ネガティブな発言や態度は絶対にやめてもらうよう」事前に伝えましょう。また、子どもの英語を試すような「〇〇を英語で言ってごらん」のような脈絡のない質問も、子どもが嫌になる原因になので注意しましょう。

これら3つの原因から、英語で育児に私は失敗してしまいました。しかし、成果があったことも確かなので一つだけ紹介します。

成果:英語の絵本を好きになった

絵本好きな息子のために英語絵本を読み聞かせしました。これは息子の食いつきがよく、楽しんでくれました。最初は私から「ちょっとだけ本を読もう!」と誘っていました。そして、数か月後には自分から「これ読んで!」と持ってくるようになりました。

何度も繰り返し読んだ英語の絵本は、息子はほとんど暗記するほどまでになりました。このように「英語の絵本の読み聞かせ」は成果があり、息子の英語学習にも確実にプラスに働きました。

英語で育児を成功させるためのポイント

私が失敗から学んだ「英語で育児を成功させるための5つのポイント」を紹介します。これらのポイントを外さなければ、高い確率で英語での育児に成功します。これから挑戦できるお母さんはしっかり読んでください。

英語での語りかけを1~3歳までに始めること

英語学習を始めるのに、年齢制限はありません。しかし、「英語で育児」をしたければ、取り組む年齢は大切なポイントです。

結論から言うと、言葉を話し始める前の1歳から日本語が定着する前の3歳までに始めるのがベストな時期だと思います。日本語がしっかりと身についた後は、子どもは英語を素直に受け入れなくなることは私の例を見れば明らかです。

日本語への悪影響を心配して、小さい子に英語で話しかけることに抵抗を感じるお母さんもいるでしょう。しかし一日10分くらいお母さんが英語で話しかけても、周囲の環境はほぼ日本語です。日本語の発達に悪影響を及ぼすことはないので安心してください。

最も接触時間の長い人が英語で育児を担当すること

私が失敗したのは、「英語の得意な人が担当するべき」という勘違いです。英語で育児をするのなら理想は「最も長時間育児をする人」が英語で話しかけることです。

接触時間が最も長いのがお母さんなら、英語の得手・不得手に関わらずお母さんが担当するのが一番です。仕事をしていて保育園に子どもを預けているのであれば、「英語で保育する施設を利用する」のが一番効果的です。

後述しますが、英語が得意とか不得意とかは、「英語で育児」に関してはあまり関係ありません。なぜなら子どもを相手に話す英語には、難しい単語や文法は不要だからです。

家族にあたたかく見守ってもらう

お母さんが英語で育児をする場合「お父さんにも協力してもらいたい」と思うかもしれませんが無理は禁物です。「これ英語で何ていうか知っているか?」などと知識を試すような質問を子どもにするくらいなら何もしないほうがいいです。

家族に求める協力とは、子どもが英語を話したときに「〇〇ちゃん(くん)、すごいね!」とほめてくれることです。そのような環境なら子どもの英語力は伸びやすいです。

英語絵本の読み聞かせから始めること

まずは英語絵本の読み聞かせから始めましょう。具体的にはこちらの記事「初めての『英語絵本読み聞かせ』完全ガイド」を参考にしてください。子どもの好きそうな絵本を選ぶのは頭を使う作業ですが、子どもを深く理解できて、親子の絆を深められます。
英語絵本

子どもにとってもある日突然、英語で話しかけられるより、「絵本タイム」限定で英語を使うほうが自然な状況です。英語絵本を起点に少しずつ日常会話に広げていくイメージで、すすめていくと良いでしょう。

まずはお母さんが英語を使うこと

まずはお母さんが楽しく積極的に英語を使うことから実践しましょう。大人が楽しそうなことをしていると、自然と子どもは集まってきます。

例えば、大人がおもちを楽しそうにこねていれば、子どもは呼ばなくても見に来て「ボク(ワタシ)にもやらせて!」とせがむはずです。

英語での育児も同様に、お母さんが楽しそうに英語を使えば子どもだってマネしたくなるのです。反対に、眉間にしわを寄せてつまらなさそうに英語を話していたら、子どもは関心を示しません。

以上が「英語で育児を成功させるための5つのポイント」です。生まれたばかりの子どもがいるなら、日々の成長を楽しみにしながら準備をすすめましょう。

子どもにとっての日常の英会話とは

良く使われる「日常会話」という言葉ですが、その意味を深く考えることはほとんどありません。人それぞれに普段使用している言葉は異なるので、「日常会話」の意味はあいまいです。

1歳~3歳の子どもに限定すれば、日常会話とは「お母さんとのやりとり」です。ですから、英語で育児をしたければ「朝起きてから夜寝るまで」お母さんとどのような会話をしているかを知る必要があります。

普段の会話を記録してみる

まず、ノートと鉛筆を用意して、朝から晩まで子どもとどのような会話があったのか記録しましょう。ノートの見開きの左側にどんどん書き込みます。

おはよう。
パジャマ脱いで。
おきがえしようか。
顔を洗おうか。

一度に全部書くのは難しいですが、頑張って記録してください。一日だけでなく数日かけて会話を記録します。おそらく200フレーズくらいになるはずです。

記入後にチェックして同じような表現を一つにまとめます。このようにしてあなたに合ったオーダーメイドの日常会話リストの完成です。

日常会話のほとんどは「あいさつ」「ほめる」「注意」「命令・提案」の4つ

出来上がった日常会話のリストをあらためて眺めると、ほとんどは「あいさつ」「ほめる」「注意」「命令・提案」の4つに分類できることに気がつきます。それぞれの英語の特徴を説明します。

・あいさつ・決まり文句

あいさつや決まり文句はそのまま覚えるしかありません。Good morning. や Sweet dreams.(いい夢見てね)などが該当します。シンプルなものが多いので覚えやすいです。

・ほめる

ほめ方にもいろいろレベルはあります。よく使うものを3つくらい決めておいて、タイミングよく笑顔でいえるように練習しましょう。

Great!
Very good!
Nice!
Excellent!
Amazing!
Incredible!
Perfect!
Fantastic!

ほめるときは「どれだけ感情を込めて伝えるか」がとても大切です。「いいタイミングで、はっきりと伝わるように」ほめてあげましょう。

・注意

Don’t ~. が一般的です。大人は子どもに伝える場合にはPleaseはあまり使いません。言い方によってはきつい叱り方になってしまうので、できるだけやわらかく伝えるのがポイントです。

子どもに対して「~してはだめよ」と伝えたいときには No ~ing. とも言えます。例えば、病院で大声を出していたら No screaming here!(ここで騒いではダメよ)となります。

・命令・提案

命令文は文法的にとてもシンプルです。Wake up! (起きて!) とか Take off your pajamas.(パジャマを脱いで)など使う頻度も高いです。

命令文は主語を考えたり、それに合わせて動詞に-sをつけたりする必要もありません。現在形とか過去形のように時制も考えなくていいので簡単です。

言い方によってはきつく聞こえるので、もし可能なら Let’s~. で伝えると「(いっしょに)~やろう」とか「お母さんも手伝うよ」というニュアンスになりおすすめです。

このようにお母さんと小さい子どもの間の会話は簡単な英語で充分表現できます。それでは日常会話の勉強の仕方を具体的に解説します。

英語の本を買って暗唱する

Amazonで「英語 育児」のキーワードで検索すると、いくつかの書籍がヒットします。おすすめは実際に英語での育児経験のある著者で、CD付きのものです。お母さんとしての体験は貴重なので女性の著者がいいです。

ノートの右側のページに、日本語の日常会話に対応する英語を記入しましょう。多少ニュアンスが違っても気にしないでください。本に載ってない場合は、後回しにしてネットで検索しましょう。

CDは音声データをスマートフォンに移して、いつでもどこでも練習できるようにしましょう。日本語→英語で収録されているので、ブツブツとひとりごとを言いながら音読練習します。必ず声に出して練習してください。

CDの口頭練習は覚えた部分も再生されるので、上達するにしたがってもどかしさを感じます。

そこで、並行してノートの日本語を見ながら、口頭で瞬間英作文をしましょう。1秒で英語にできることを目標にしてください。完全に覚えた文を飛ばせば、時間を有効に使えます。

このようにスマートフォンでの音読練習とノートの瞬間英作文で7割くらいできるようになったら、いよいよ「英語で育児」に挑戦しましょう。

ある日突然、子どもに英語で話しかけるのは照れ臭かったり、戸惑いを感じたりするものです(私でさえそうでした)。こういうときは開き直って、堂々と子どもに英語で接したほうがいい結果を得られます。

毎日5分くらいから始めて、少しずつ時間を伸ばしていきましょう。最初、子どもは「ポカン」としていますが、身振りや手振りを交えながら完全に英語で通して下さい。中途半端な日本語は絶対に使わないと決めましょう。

英語で育児がうまくいかないときのチェックポイント

1か月くらい毎日「英語での育児」を続けられたら立派です。少しずつ結果が出てきた人もいれば、「全然子どもが理解してくれない」と悩むお母さんもいると思います。

育児は教科書どおりにいかないものです。ましてや英語を交えての育児なので、うまくいかなくても全く悩む必要はありません。しかし、成果が出ないとモチベーションが続かないのも事実です。

「結果が今一つ」と感じるお母さんのために、「5つのチェックポイント」を用意しましたので参考にしてください。

英語での語りかけを毎日続けているか

私の失敗の原因を思い出してください。毎日英語で語りかけるのが英語で育児の基本です。「今日は疲れているから」とか「いそがしくてそんな暇はない」といって、英語ゼロの日が続いたりしていませんか?

英語を日常的に使うなら、頑張って話すのではなく、どんな状況でも使い続けることが必要です。日常使う言葉が英語なので、毎日続けることが肝心です。

また、5分と時間を決めていてもそのほとんどが沈黙だったら意味がありません。その時間はほとんど間を空けずに英語でしゃべりつづけてください。

「そんなに英語を話せない」と心配になるかもしれませんが、大丈夫です。一方的にしゃべるのではなく子どもに質問したらどうでしょうか?

お母さん: What’s this?(これ何だ?)
子ども: Lion!(ライオン!)
お母さん: Good!  It’s a lion.  Do you like it?(よくできた! ライオンだね。それ好き?)
子ども: No.(ううん)
お母さん: Oh, you don’t like it.  Me, neither.  I’m scared.(あら、好きじゃないの。お母さんもよ。私怖いのよ)

このようにテンポよく会話をつないでいきます。最初は難しいですが、徐々に慣れてくるので間違いを恐れず英語を使い続けましょう。Yes/Noで答えられる質問よりも、Wh-から始まる質問をしたほうが子どもの英語をより引き出せます。

子どもは英語を楽しいと感じているか

「つまらない」と感じた瞬間に人間の脳はその対象からできるだけ離れるようにプログラムされています。子どもは遠慮せずに、つまらないと思った瞬間に英語を拒絶します。

何の脈絡もなく What color is this? と突然たずねるなど、テストのような質問はしていませんか? このような質問は子どもにとって全然楽しくありません。

一方、絵本に登場するライオンを見て Look at this!  It’s a lion.  What color is his mane?  Is it green or yellow? (これ見て! ライオンだよ。ライオンのたてがみは何色? 緑かな黄色かな?)と質問すれば自然なやりとりになります。

All Englishで出来ているか

ついやってしまいがちなのは、日本語訳を混ぜてしまうやりかたです。「blueは青だよ」と英語と日本語訳をセットで教えていませんか? このようなときは、身の回りの青いものを指で指しながら It’s blue. と繰り返し教えてあげましょう。

名詞だったら指で指してあげればわかりやすいですし、slowlyやquicklyは動作で見せてあげれば子どもは単語の意味を類推できます。「言葉だけで説明しなければならない」と考えるのではなく、身振り手振りをフル活用して教えてあげましょう。

ごほうびはあるか

「ごほうび」といえばとお金やお菓子を連想するかもしれません。しかし、お母さんが喜んだり驚いたりして、子どもとその喜びを共有するだけで充分です。例えば、ネイティブがよくやるのは High five! です。日本語でいう「ハイタッチ」です。

子どもをほめるときに笑顔で High five! といって手と手をパチンと合わせて、喜びを共有します。私は手が当たる瞬間に、わざと髪の毛をかくふりしてタッチをかわして子どもを悔しがらせて遊んでいました。

もう一つのごほうびは、 Hug(抱擁) です。Give me a hug! とお母さんが両手を広げて笑顔でいえば、子どもは喜んでお母さんと抱き合います。どちらかといえば男の子のほうが喜ぶかもしれません。

High five! と Give me a hug! のどちらも効果的なごほうびでなので、ぜひ試してください。

完璧に英語を覚えるまで話さないようにしていないか

子どもには「間違いを恐れず、積極的に英語を話して欲しい」という割には、お母さん本人は間違いを恐れて英語での語りかけに戸惑いを感じていませんか?

CDやノートでの例文の暗唱や瞬間英作文のトレーニングはとても大切です。しかし、完璧になるまで使わないスタンスはいけません。覚えかけの段階でどんどん使っていきましょう。多少間違っても相手は子どもなので気にしていませんし、覚えていません。

言いたくても言えなかったことはメモして、次回は必ずいえるように練習しましょう。実践を通して何度も口頭練習することで、場面や状況にあったフレーズが瞬時に口からでてくるようになります。

英語で育児すると決めたなら、実践を積みながら本やCDで学習したほうが断然効率的です。「暗唱→実践→暗唱→実践」を繰り返すと、自分でも驚くほど英語がスムーズに口から出てくるようになります。

万が一、子どもに何の変化があらわれなかったとしても、お母さん自身の英語力は確実にアップします。無駄なことは何一つありません。しかも、お母さんが英語を身につけた経験は、子どもが大きくなったときに最高のアドバイスになります。

お母さんが英語で話しかけるのが楽しいと感じれば、子どももお母さんとの共通語を身につけようと本能的に感じるものです。ときどき「5つのチェックポイント」を読み返して必要に応じて軌道修正してください。

「英語で育児」に関するよくある質問

日本に住みながら日本人のお母さんが「英語で育児」をする人はごく少数です。周囲に相談する人は少ないので、お母さんの疑問・質問について回答してみます。

日本語に悪影響はないか

結論から言うと、母国語である日本語に悪影響はありません。子どもはお母さんとだけ接触しているわけではありません。お父さんや祖父母、近所の人、公園で遊ぶ同年代の子ども達などに囲まれて生活しています。

お母さんが毎日1時間英語を話しても、子どもの主言語である日本語に大きなインパクトはありません。お母さんだって英語よりも日本語の方が得意だし、日本語を使う時間の方が圧倒的に長いのです。周囲の人はいろいろ言うかもしれませんが、気にしないことです。

不思議なことに子どもは話しかける相手によって言葉を使い分ける能力も備えています。お母さんが英語モードのときは英語で、お父さんがいるときは日本語で話そうとします。国際結婚したカップルの子どもを見ると、相手によって器用に使い分けています。

安心して英語で育児に取り組んでください。

子どもは英語をすぐに忘れるから意味ないのではないか

「子どもの頃に覚えた英語は忘れるのも早い」とはよく言われることです。実際、音声だけで覚えた幼少期の英語は、英語を使わないとすぐに忘れます。

そのような結果をわかっているのなら、英語学習を続けましょう。音だけで学んだ英語を文字で読める学習につなげて(アルファベットやフォニックス)、一人で英語の本を読めるように継続しましょう。

小学生のうちに本格的な児童書(例えば、ロアルド・ダールの『チャーリーとチョコレート工場』)を読めるようになったら、一生忘れない英語力が身につきます。英語での育児だけに満足せずに、その後も楽しく英語学習できるようにサポートしてください。

子どもに難しい英語を使っても大丈夫?

本の例文を見ると Want some milk? のように、日本人にはなじみの薄いsomeのような言葉が使われています。「子どもに文法の説明したほうがいいのかな…」と真面目なお母さんは考えるかもしれません。

また、 The cat looks sleepy. のlooksのような三人称単数現在形のsを見ると「小さい子には理解できないのでは?」と使用をためらう気持ちは理解できます。

しかし、そんなことは気にせず、むしろ積極的に使用しましょう。長い時間をかけて、子どもはどういうときにsomeが必要なのかとか動詞にsがつくのはどういう条件のときかを理解します。

私の息子はインターナショナルスクールのYear 2 から入学しましたが、三単現のsを理解するのに2年弱かかりました。その間、先生も友達も毎日何十回も三単現のsを使用していたはずです。それでもこれだけ時間がかかりました。

同じようにお母さんも「難しいから使わないようにしよう」と思わずに、どんどん自然な英語を使うように心がけてください。子どもに変化があらわれなくても、大きくなったときに文法学習をすればまったく問題ありません。

英語の発音が下手なのでためらっています

英語らしい発音を心がけたり練習したりすることは必要です。聞いている相手に負担をかけないためです。通じる範囲の発音なら気にする必要はありません。

間違った発音を子どもが真似をすることを気にするお母さんもいますが、それも心配ありません。動画サイトやDVDを観たりすれば、ネイティブの本格的な英語を聞くことができるからです。

子どもがなかなか英語を話さない

充分な量と期間、お母さんが子どもに英語で話しかけると、子どもはお母さんの英語を理解するようになります。例えば Turn on the light. と言えば部屋の電気のスイッチを入れてくれるようになります。

これだけでも大変な成果です。まずは、ここまでできたことを認めてほめてあげましょう。

順調にいけば、1~2単語の英語を話すようになりますが、「聞いてわかること」と「英語を話すこと」の間には相当なレベル差があります。時間のかかることは認識する必要がありますが、一つだけコツをお知らせします。

子どもがお母さんに何かをして欲しいときがチャンスです。遊びから帰って来てのどが渇いて「ママ、ジュース飲みたい!」と言ったとします。ここですかさず Say “Orange juice, please.”と教えてあげましょう。

ちゃんと言えたら Very good! とほめて、オレンジジュースをあげるのです。「ボク(ワタシ)の言いたいことが英語で伝わった」体験が、次第に子どものほうから英語を話すことにつながっていきます。

英会話のきっかけをつかめない

子どもとの会話は、目の前の物や状況について話したほうが盛り上がります。例えば、散歩の途中で犬を見つけたとします。 Look!  There is a dog over there! と言えば、子どもの興味を惹きやすいです。

目の前の物や経験と英語を直接結びつけることで、英語を英語のまま理解できるようになります。

まとめ

あなたの周囲には「英語で育児」をしている人は少ないかもしれません。しかし、全国には多くのお母さんがチャレンジしています。子育てブログなどを見れば体験記が見つかるので、そのような情報も参考にしてください。

英語で育児ができるのは一人の子どもにつき一回だけのチャンスです。この貴重な体験に立ち会えるのは接触時間の長いお母さんだけの特権です。プロの英語教師でもお母さん以上の影響力を与えることはできません。

子どもが生まれてから幼稚園に入るまでは、毎日の育児が大変でストレスに感じることも多いと思います。それでも育児しながらお母さんも英語をマスターできるなら、楽しい時間になると思います。

私の失敗体験を参考にして、多くの子どもがお母さんとの英会話を楽しんでくれたらこんなにうれしいことはありません。もし、私と同様にうまくいかなくても「もう子どもは英語を話せない」などと悲観しないようにしましょう。

英会話教室などを利用しながら定期的に英語に触れるようにしていけば、子どもが英語好きになるチャンスはいくらでもあります。

ある程度字が読めるようになったら、動画を見ながら4技能を磨きましょう。

子どもが学ぶ、初めてのアルファベットとフォニックス

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どんな英語の達人も最初の一歩は「アルファベット学習」です。お母さんの醍醐味は子どもの人生の第一歩に関われることでしょう。将来子どもが英語の達人になったとき、「あのとき、私とABCソング歌ったな…」と思い出せたら最高です。

子どもが言葉を覚える過程をふり返ってみましょう。お母さんの語りかけを聞きそれを真似することはどれだけ大切かわかります。英語学習も例外ではありません。「英語は苦手なので…」と言わずに、ぜひ、子どもと一緒に楽しみながらアルファベットを学びましょう。

アルファベットを学習するときは、その後のステップである「フォニックス(綴りと音のルール)」を意識すると、その後の学習効率は高まります。今回の記事では、アルファベットとフォニックスを学ぶときのポイントについて徹底的に解説します。

*記事内では発音を便宜上カタカナ表記していますが、カタカナでの発音指導には反対の立場です。

音声中心の学習を心がけよう

子どもに適した英語学習を考えるとき、おおまかに「小学校入学前」「小学校1~4年生」「小学5~6年生」の3つの時期に分けて考えます。実際は年齢でハッキリと分けられるものではなく、その子のレベルや成長に合わせて学習方法を変えていきます。

小学校入学前の子どもは、断然、音声を中心とした学習方法を意識したほうがいいです。文字や文法から始めると高い確率で、英語嫌いになったりつまずいたりします。なぜ、小さい子どもには音声中心の学習が合理的なのかを解説します。

音声中心の英語学習が合理的なわけ

小学校入学前の子どもには「音声中心の学習」が効果的である理由のひとつ目は、子どもの言語習得の過程を見れば明らかです。

子どもはお母さんの語りかけを通じて少しずつ言葉を理解します。成長してくると自分で同じ言葉を声に出して繰り返します。お母さんが自分を指して「ママ」と言えば、子どもはマネをして「ママ」と発話してそれが母親を示す言葉であることを理解します。

その他の言葉も「聞く→真似る→(お母さんが)修正→真似る」を繰り返して覚えていきます。ここまでの学習で文字はほとんど使われていません。音声だけで大人から言葉を学んでいくのは人間に備わった本能です。

年齢の低い子どもはつい最近までこの能力を発揮して日本語を習得しています。この能力を最大限に活用して学ぶほうが合理的です。このように考えていくと、年齢が低いほど音声での学習比率を高くするべきだとわかります。

ふたつ目の理由は、英語の場合、アルファベットを習ってもすぐに英語を読めるようにならないからです。日本語で「かきくけこ」を知っていれば「かき(柿)」は読めます。

ところが英語の場合、そうはいきません。アルファベットを習っても「fox」は読めません。なぜなら“f”はアルファベットでは「エフ」“o”は「オー」“x”は「エクス」と覚えるので、これらをつなぎ合わせると“fox”は「エフォーエクス」と滅茶苦茶になるからです。

このように文字から英語を学ばせようとすると日本語以上に手間がかかり、小さい子どもは「できる喜び」を感じる前に挫折してしまいます。これら二つの理由から、幼児は音声を中心として英語学習をすすめるのが正解です。

音声の学習とデジタル機器は相性抜群

スマートフォンが普及し、その他にもパソコンやタブレットを所有している家庭も多いことでしょう。これらのデジタル機器は、音声面からのサポートを必要とする子どもの英語学習に大変重宝します。

いつでもどこでも好きな動画を見られることの利点は、英語学習の強い味方です。小さい子どもは動くものが大好きです。テレビとラジオの人気と比べれば一目瞭然です。「見たい」「知りたい」「おもしろい」がきっかけとなって英語を学習する流れも自然です。

デジタル機器は子どもの眼の負担を考えれば無制限に見せていいものではありません。しかし、時間を守って与えれば、英語学習の強い味方になってくれるのは確かです。

子どもがハマる!楽しい動画サイトを活用した「リスニング学習法」動画セミナーで紹介しているリトルフォックスでは、フォニックスが学べるコンテンツもあります。

勉強臭さを徹底的に排除

「つまらない」と感じた瞬間に人間の脳はその対象からできるだけ離れるようにプログラムされているようです。私も学生時代、古いノートを棒読みする教授の授業はよくサボりましたし成績も悪かったです。

子どもはつまらないものに我慢できません。だから、英語学習をさせたければ「勉強臭さ(つまらない臭)」を徹底的に排除しなければなりません。逆説的ですが「勉強させるためには、勉強させてはいけない」のです。

子どもは絵本を読むのは勉強したいからではなく、楽しい話を読みたいからです。私の息子はYouTubeで英語でのゲーム中継を見てゲラゲラ笑っていました。おもしろい動画がたまたま英語の解説付きだっただけです。勉強のためにではありません。

勉強臭さを消すには3つの方法があります。ひとつ目は子どもが好きな物をよく観察して、それと英語を結びつける方法です。動物が出てくるかわいい話が好きな子どもなら、そのようなキャラクターが登場する英語の絵本を楽しく読んであげるなどの方法が効果的です。

ふたつ目は何でもゲーム化することです。ゲーム市場の大きさを考えれば、ゲーム好きは人間の本能です。この本能を利用しない手はありません。お母さんや兄弟と一緒に取り組んで、勝ったときには大喜びです。

例えばお菓子を賭けながらアルファベットの練習をしたり、お風呂タイムは正解しないとお風呂から出られなかったりとゲーム化します。負けたときに本気で泣き出すのが欠点ですが、たまに親に勝ったときには大喜びです。泣くのも喜ぶのも真剣である証拠です。

最後は、環境づくりです。例えば、おもちゃ部屋やトイレにイラストとそれに対応した英語を書いたカードが貼ってあるだけで、生活の中に英語が溶け込んでいる環境になります。勉強臭さがなくなるのでおすすめの方法です。

このように子どもの好きなことと結び付けたり、ゲーム化してみたり、生活環境に英語を取り入れたりすることで、勉強臭さはなくなります。「つまらない」は子どもにとって学習の大敵であると肝に銘じておきましょう。

英語学習ではとにかくほめる

出来たことをきちんと受け止めてほめてあげるのは指導の基本です。子どもが英語を覚えたときにはしっかりとほめてあげましょう。このときにしてはいけないのは、うわべだけほめるような言動や点数化されたものしかほめないような評価方法です。

頑張ってもいないものにわざとらしくほめられると、子どもは嘘を見抜きます。テストの結果だけをほめるのも良くありません。点数化された他人の評価を見ないとお母さんがほめてくれないのでは、普段のちいさな頑張りは無視されていることと同じです。

ほめるのは子どもをよく観察していないと出来ません。ちょっとした変化や向上を見逃さないことがほめるときのコツです。

言うまでもありませんが、ネガティブな発言は厳禁です。「もう忘れちゃったの?」とか「こんなの簡単じゃない」などの発言は、子どもの意欲を奪い去ります。

ここまで幼児や英語初心者の英語学習のコツを説明してきました。これらの要点を抑えつつ、具体的にアルファベットを覚える手順を見ていきましょう。

小学生のアルファベット学習

音声を中心とした英語学習が大切なのは確かです。しかし、さすがにアルファベットを飛ばしてすすめることはできません。ひらがな・カタカナ・漢字以外にもアルファベットを覚えなければならないので日本の子どもは大変ですが仕方ありません。

できるだけ子どもの負担にならないようにアルファベットを学ぶ方法を考えてみました。

まずはABCソング

まずは「ABCソング」から始めましょう。「きらきら星」のメロディーの歌が一番有名です。動画サイトでヒットした動画をチェックしてみると、微妙な違いに気がつきます。下の表にそれぞれの違いをまとめてみました。

はじめ(共通) 中 おわり(3パターン)
LMNOPが速い

2つのand

ABCDEFG HIJK LMNOP QRSTU and V

WX Y and Z

Now I know my ABCs.  Next time won’t you sing with me?(最も一般的)

ABCDEFG I am singing ABC.

Now you know your ABC.  Everybody sing with me.

LMNOPが速い

1つのand

LMNOP QRS TUV WX

Y and Z

ゆっくり

1つのand

LMN OPQRSTU

VW and XYZ

ゆっくり

andなし

LMN OPQRSTU V W XYZ

A~Kまではどのバージョンでも共通する部分です。問題はL~Zで、LMNOPを一気に歌うものと、ゆっくり歌うものの2タイプあります。またメロディーに合わせるためのandを入れる位置が違ったり、使わないものもあったりします。

一番下の「ゆっくりandなし」のABCソングは子どもにはおすすめです。余計なandがなく、一文字ごとにゆっくりと歌えるからです。MとNは発音が紛らわしいので、この部分は特にしっかりと発音させたいところです。

Mは上下の両唇を完全に合わせますが、Nは唇を開いたままです。このかたまりは、その前にLがあり舌先を上の歯の裏側に触れたまま音を出すのが正解です。お母さんは何度も口の形を見せてあげながら、子どもに覚えさせるしかありません。

おわりのパートにもいくつかパターンがあるので3つだけ表に掲載しました。ここはアルファベットと関係ないので、お母さんが歌うパートでいいと思います。

アルファベット表

動画などでA~Kまで歌えるようになったら、「アルファベット表」を買いましょう。Amazonなどで検索すると多くのアルファベット表がヒットします。後悔しないアルファベット表を選ぶためのコツを説明します。

  • アルファベット・単語・絵の3点が基本セット

アルファベット表を選ぶときは、そのアルファベットの大文字と小文字の両方が表記されて、その文字を使った単語とイラストが印刷されているものを選びましょう。Aだったら、appleと書いてあって、リンゴの絵が印刷されているものがいいです。

A a apple リンゴ

この3点セットは「フォニックス(英語のつづりと音の規則)」を同時に覚えるための必須条件です。とても大切なポイントなので、それ以外のものは論外です。

また、少々細かい話になりますが、母音は短母音だけを扱った単語に絞った方がいいです。短母音は文字通り短い一つの母音(a, e, i, o, u)のことです。短母音と長母音をまとめた表をご覧ください。

綴り 短母音 長母音(二重母音)
a [æ] apple [ei] face
e [e] egg [iː] meet
i [i] insect [ai] ice
o [ɔ] ox [ou] hope
u [ʌ] up [juː] cube

なじみのない短母音の音を最初に覚えておけば、長母音(二重母音)はアルファベットと同じ読み方で乗り切れるからです。例えば「I i」の項目なら、iceではなくinsectと書いてあるほうが子どもの学習に向いています。

もう一つ注目するポイントは、“X”の項目です。単語の頭にXを使用することを優先させると、xylophone(ザイロフォン:木琴)と表記されることが多いです。しかし、“X”をザイと読むことは例外です。

“X”は単語の中では圧倒的に【ks】で使用されることが多いので、“fox”や“box”を例として出されるほうが、後の学習効果は高いです。ここは語頭に使用されることにこだわらないほうが無難です。

  • お風呂に貼るなら防水タイプを

お風呂タイムにABCソングを歌うのもいいアイデアです。その場合、普通の紙では水に濡れてダメになってしまうので、防水かどうかを確認しなければなりません。

アルファベット表風呂場

アルファベットで覚えにくいところをシャンプーの泡で隠しておき、子どもに言わせてから水鉄砲で答え合わせをするのもおもしろそうです(ゲーム化です)。

  • ボロボロになっても使い倒す

壁用でもお風呂用でも、四角いマス目のなかにアルファベットとイラストが描かれているものがおすすめです。子どもがアルファベットをほとんど覚えた頃には、ポスターはボロボロです。

これをすぐに捨てずに、マス目に沿ってハサミで切り取ります。そして、厚紙に貼り付けると「単語カード」の出来上がりです。なじみ深い絵と単語が書いてあるので、いろいろとゲームに使えます。

  • ネイティブ用と日本人の子ども用どちらがいい?

アルファベット表には英語ネイティブの子ども向けのものと日本人の子ども向けのものの2種類があります。それぞれ長所短所があります。まずは下の表をご覧ください。

長所 短所
ネイティブ用 英語だけで表記されている なじみのない食べ物の単語や絵がある
日本人用 日本の子どもになじみのある単語が使われている カタカナで読み仮名がふってあり、不正確

カタカナの読み仮名は英語習得の弊害になりうるので、できれば避けたいところです。しかし、ネイティブ用のアルファベット表には日本人にはほとんど知られていない単語が使われていることがあり、子どもはイメージできません。

以前私が購入したアルファベット表には、Lのマスに“licorice”と書いてあり、ぜんまいのような絵が描いてありました。私も子どももいつもこのLで頭の中に「?」マークが浮かんでしまい一瞬シラケてしまいました。

リコリスは植物からとった成分でつくったグミのような甘いお菓子です。ヨーロッパでは人気のスイーツらしいのですが、日本人の味覚に合わないらしくほとんど流通していません。

この点は日本人用アルファベット表のLには“lion”とそのイラストが印刷されているので、子どものノリが違います。

難しいところですが、日本人用のアルファベット表を選んで、必要に応じてカタカナの読み仮名をマーカーで消しておくなどのひと工夫が必要です。

アルファベットの大文字と小文字をどう教えるか

あらためて考えてみると、大文字と小文字に相当する日本語の文字はありません。Cとcのように形が同じでサイズが小さくなるだけなら話は簡単です。一方、Rとrのように一見まったく別の文字が同じアルファベットであることを理解するのは意外と大変です。

私の場合は、しばらく大文字だけ扱っていました。あるとき子どもが「これ、何?」と小文字を指してたずねてきたので、「子どもの文字だよ」と答えました。

「犬は大人も子どもも大きさが違うだけで、形は同じでしょ。しかし、ニワトリとひよこは形が変わるよね。アルファベットも大人の文字と子どもの文字で似ているのもあれば、全然違うのもあるんだよ」と説明しました。

Bの小文字がbかdかで迷うことはしばらく続きました。それでも成長するにつれて、わかるようになりました。あまり神経質にならずに、少しずつ覚えていけば大丈夫です。お母さんはゆったりと構えておきましょう。

アルファベットのアプリで練習

従来はABCソングとアルファベット表だけで学習していました。しかし、スマートフォンやタブレットを使うとさらに効果的に覚えられます。各社からアプリケーションが提供されているので、いろいろ試してみて子どもと相性の良さそうなものを選びましょう。

アプリには有料のものと無料のものがあります。有料のものはサービスの一部を無料で試せるようになっています。無料のものは広告が表示されるようになっています。

ほとんどのアプリでは「指でなぞり書き」「フォニックス学習」をかわいいイラストやアニメを見ながら楽しく学べるようになっています。しばらく遊んでいるうちに数字の1~10まで覚えてしまうかもしれません。

子どもが英語を読むためのフォニックスの学習

フォニックスとは「綴りと音の規則」のことで、英語圏の子ども達は小学校に入ると必修になっているようです。この流れから日本でもこのフォニックスを導入する英語教室や学校が増えてきています。

一方、さまざまな理由から「フォニックスは不要」と言い切る人もいます。どちらの主張にも一理あるように感じますが、アプローチ方法が異なるだけで「英語を正しく読めるようになる」ゴールは共通です。

私の意見は、両者の中間にあります。「フォニックスは必要最低限のレベルまでを扱い、その後は正しい音(発音)を聞かせながら自然と英語の読み方を覚える」のがベストだと感じます。

フォニックスをまったく扱わないのはもったいないし、やりすぎはかえって遠回りになります。まずはフォニックスが必要な理由について、詳しく説明します。

フォニックスが必要な理由:英語の読み方を覚えるため

フォニックスが必要な理由を理解するために、日本語と英語で比較して、「あいうえお」と「ABC(アルファベット)」の違いを説明します。

例えば日本語で「あいうえお かきくけこ」まで子どもが覚えたとします。この子どもは「あかい かき(赤い柿)」を見たら、正しく読めるはずです。このことを図で表すと下のようになります。

日本語は読める

これは日本語の文字である「あいうえお…」は「1文字=1音」だからです。「あ」は「あ」の読み方ひとつだけです。だから、すぐに読めるのです。例外は「は」を「は」または「わ」と読むくらいです。

次に英語のアルファベットを「ABCDEFG」まで覚えた子どもがいたとします。その子は「BADGE(バッジ)」を初めて見たときに、正しく発音できるでしょうか? 答えはノーです。

なぜなら「アルファベットとしての読み方」と「単語の中で使われたときの音」は一致しないからです。アルファベットの「A(エイ)」はBADGEの中では「ア」です。これではアルファベットを覚えても読めません。

しかし「FACE(顔)」の中の「A」は「エイ」とアルファベット通りに読みます。文字から学習を始めたら、初めて英語を学ぶ子どもが混乱する理由はここにあります。

そこで登場するのが「フォニックス」です。単語の中で使われる音にはゆるい規則があって、これを学ぶと初めてみた単語でも子どもは自分で読めるようになります。図で表すと下のようになります。

alphabet_phonics

これが、フォニックスを学ぶメリットです。実際、単語の読み方がわかってくると読書量は飛躍的に伸びるので、英語力もそれに比例して伸びていきます。

こうなると「フォニックスをどんどん導入して早く読めるようにしましょう」という流れになるのですが、実際はそう簡単にはいきません。フォニックスを扱うことにはデメリットもあります。

フォニックスのデメリット

本格的なフォニックスの指導書を見ると、細かいルールだらけで専門の指導者でない限りとても覚えられません。子どもにこれらのルールをすべて覚えさせるのは非効率的です。

そしてフォニックス最大の欠点は、全単語の約25%はフォニックス・ルールの例外であることです。つまり、ルールを完璧にマスターしても4分の1の単語は読めるようにならないことになります。

実際フォニックスが確立される前でも、人びとは英語を読めるようになりました。今さらそんな「欠陥だらけのルール」を一生懸命に覚えることは無意味なのではないか、という主張もうなずけます。

ここで問題です。“ghoti”を読めるでしょうか? ヒントは、“rough”のghは【f】、“women”のoは【i】、“nation”のtiは【sh】の音です。これらを合わせると、“ghoti”は【fish】と読まなければいけません。

もちろんこのような単語はありません。アイルランドの劇作家であるバーナード・ショウが英語のつづりと音が滅茶苦茶であることを皮肉って「ghotiをfishと読むように」と提案したというエピソードから引用しました。

このように英語の綴りと読み方の関係は「ルールがあるような、ないような」関係といえます。このためフォニックス賛成・反対の意見が出てくるのです。

最低限のフォニックスだけで充分効果を発揮する

では「子どもにフォニックスを教えるべきか、やめておくべきか」を考えてみましょう。私の結論は「最低限のフォニックス」は子どもが文章をスムーズに読めるようになるために効果的だと考えています。

実際に子どもにフォニックスを学ばせる手順を5段階でまとめてみました。

1)アルファベットを覚える

前項で説明した通り、とりあえずアルファベットを覚えましょう。書けるのは後回しでかまわないので、A~Zまで読めることが大切です。小文字もセットで読めるようにしましょう。

2)母音は短母音、子音も代表的な一つの音だけを覚えさせる

「アルファベットの読み方と、単語の中の読み方は違う」ことを説明しますが、くどくど説明するのは無駄です。それより「Aa(エイ)、ア、ア、ア、Apple」のようにお母さんが声に出して読んでみせて、子どもにリピートさせるのが一番です。

先述した、短母音だけを扱ったアルファベット表はここで役に立ちます。

3)よくある子音の組み合わせを意識させる

ch/sh/wh/th/th/ph/ck/ngの子音の組み合わせは単語の中で頻出するので、絵本を読み聞かせするときに出てきたら、意識させたほうがいいです。

たとえば“chick”(ひよこ)が絵本に出てきたら、“ch”を含む別の単語を書きます。例えば、“cheese”“chest”などです。“ch”のところにアンダーラインを引き、「お母さんが音読→子どもはリピート」が効果的です。同様に最後の“ck”に慣れさせたければ、“clock”“sick”などを紙に書いて下線を引いて、子どもと音読するだけです。

同じ綴りで同じ読み方をする別の単語を書いて見せ、一緒に音読するのも広い意味でのフォニックス練習です。これをしばらく続けていくと、初めて見た単語でも自分で読めるようになってきます。

4)一つのアルファベットで別の音になることもあることを教える

先述したように母音(a,e,i,o,u)だけを取り上げても、短母音の読み方と長母音の読み方があります。Aaを「ア」としか読まないと思っているところに、「face」が出てきたら対応できません。

子どもが疑問に感じていたら、「あれっ、aをエイって読むこともあるんだね」と一緒に驚いてあげれば、「そんなもんか」と受け入れるようになります。子どもの適応力は大人が思う以上に高いのです。「子音+読まない“e”の前は“a”はエイと読む」などの理論は子どもには受け入れられません。

5)読まない字もあることを教える

英語の綴りには、読まない文字(silent letter)もたくさんあります。

私の息子は初めてeggを見たとき「エッグッグ」と読みました。これを聞いて私は少し感動しました。なぜなら、フォニックスのルールをなんとなくわかっている「良い間違い」だからです。

だから「おう、よく読めたね! でも最後のgは読まないから、『エッグ』って読むんだよ」と伝えました。その後も何回か読み間違えて一人で笑っていましたが、3回目くらいから間違えることはなくなりました。

eightのgh、knifeのk, bombのbはすべて発音されません。英語は本当に複雑です。しかし、一つひとつの綴りを目で確認して、お母さんの口まねをしながら身につけていけばそのうちマスターできるので安心してください。

このように、フォニックスの基本だけに絞って教えるだけでも充分効果を発揮します。1000語くらいの基本語彙をマスターする頃にはほとんどのフォニックスのパターンは出尽くしますし、主な例外的な読み方も網羅出来ます。

フォニックスのルールにしがみつくより、声を出して正しく読む練習を積むほうが手っ取り早く英語が読めるようになります。

まとめ

アルファベットの学習からフォニックスの基本につなげる部分は、後の英語力を伸ばすための大切なステップです。単語の読み方に関しては、英語は日本語よりも複雑なので、焦らずに声を出しながら身につけることが重要です。

お母さんが声に出してそれを子どもは真似をするのが最強の音声学習です。しかし、四六時中お母さんが指導するわけにもいきません。そういうときは、デジタル機器の利点を活用して子どもに遊びながら学ばせるのが効果的です。

フォニックスの基本をわかってくると、子どもは急速に英語の本を読めるようになります。読んだ文章量に比例して語彙や表現が増えていきます。この段階までくると学習効率は飛躍的に伸びるので、子どもは自分でも進歩を実感して「英語は楽しい」と感じるようになります。

お母さんの役割は「言って見せ、ゲーム感覚で学ばせ、出来たらほめる」だけです。英語学習の最初の一歩を順調に踏み出せるようにサポートしましょう。

小学生英語塾では中学校ではほとんど扱われないフォニックスの基礎についても指導しています。

「小学生に英語を学ばせるのは無駄で弊害がある」を検証

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私はインターネットのニュースで子どもの英語教育に関する記事を見つけると、つい時間を忘れて読んでしまいます。子どもの英語教育を考えているお母さんなら、同じような経験があるでしょう。

そのとき気になるのが、子どもの英語教育についてのネガティブなコメントです。コメント欄の過半数が「子どもに英語を習わせても意味がない」とか「英語より日本語が大事」という否定的な意見で占められているのです。

このような大量のネガティブコメントを読むと、「英語は習わせない方がいいかも」と不安に感じるお母さんもいるはずです。

実はこうしたネガティブな意見のほとんどは詭弁(きべん:道理に合わないごまかしの議論)です。

子どもの英語教育を応援するお母さんのために、今回は英語教育に対するネガティブコメントを6つのタイプに分類して徹底的に分析します。これを読めば、すっきりとした気分で子どもの英語教育に向き合えるようになります。

タイプ1:英語学習方法に関する理解不足から生じるネガティブコメント

「文法なんか勉強するから、英語を話せなくなる」「英語圏に行けばすぐに話せるようになる」などのコメントはこのタイプです。このようにコメントする原因は、英語学習に関する理解が不足しているからです。

子どもの英語教育で成果を出すためには、「子どもの環境と年齢に応じた正しい学習方法」を知る必要があります。まずは、下の表をご覧ください。

~6歳(臨界期) 7歳~8歳 9歳~
英語圏で暮らす場合 英語が自然に身につく 英語が自然に身につかない

文法理解は難しい

少しずつ文法を理解し始める
日本で暮らす場合 英語の必要性が低いので、なかなか英語を話せるようにはならない。音声を中心に学習を進めておく 音声を基礎に文法学習を加えて発展させる

この表をもとに、「英語圏で暮らす場合」と「日本で暮らす場合」に分けて解説していきます。

英語圏で暮らす場合

一般的に英語学習における「臨界期(りんかいき)」は9歳までとされています。「9歳までに英語を学ぶと母国語(日本語)と同等のレベルまで習得できる」という意味です。しかし私の経験上、この年齢は6歳くらいと感じています。

私の息子は6歳~9歳までの3年半、海外のインターナショナルスクールに通っていました。その間、いろいろな機会を通じて似たような環境の日本人の子ども達と知り合いになりました。

そのとき気づいたのは、7歳以降に入学した子ども達は1年経ってもあまり英語を話せるようにならなかったことでした。日本で英語の準備をしっかりとしてきたにもかかわらずです。

一方、6歳までに入学した子ども達は全員、3か月~1年半くらいで英語を話し始めました。この中には英語に触れたことのない状態で、いきなり入学した子どもも含まれていました。

この経験から、英語圏で暮らす場合、自然に英語が身につく上限は6歳だと思っています。7歳以降の子どもは、文法学習を柱としながら英語を身につけるしかありません。

ところが、7歳~8歳の頃は脳が未熟です。文法のような抽象的な言葉の概念を理解するのは難しいです。個人的にこの2年間は「どっちつかずの2年」と呼んでいます。文法の概念を少しずつ理解できるようになるのは9歳からです。

日本で暮らす場合

今度は日本で英語を学習する子ども達のことを考えましょう。6歳以前に英語を始めても、英語漬けの環境を作るのは難しいので、英語を話せるようにはなかなかなりません。ですから文法理解が難しい8歳までは、音声面の学習に集中したほうがよいです。

具体的には、「いろいろな英語を聞く」「英語らしい発音を身につける」「フォニックス(つづりと音のルール)の基本を身につける」「決まり文句を覚える」「基本単語を読めて意味が分かる」などの項目を8歳までに定着させるのです。

それまでの成果を土台にして、9歳から少しずつ英文法を学んでいけばよいのです。そうすると発達段階に逆らわずに、子どもに英語を学ばせることができます。

以上が正しい「子どもの環境と年齢別の英語学習方法」です。これを理解するとタイプ1のネガティブコメントを冷静に受け流せるようになります。

典型的なものは「〇歳を過ぎると、英語を習得できない」という「〇歳の壁」理論です。幼児用教材では教材会社が数々の壁を設定して購入をあおっています。例えば、「0歳の壁」はこの時期までに英語の音を聞かせないと、LとRの違いが分からなくなる、というものです。

LとRの音の違いが聞き分けられなくなることが本当だと仮定しましょう。しかし、実際はたいした問題ではありません。“rice”(米)と“lice”(シラミ)の音が同じに聞こえても、前後の文脈があればどちらの単語か類推できるからです。

“I had rice for lunch.”(昼食にご飯を食べた)と聞いて、“I had lice for lunch.”(昼食にシラミを食べた)と誤解することはほとんどありません。「0歳の壁」は実在したとしても、英語を使う上で何の支障にもなりません。

同様に「臨界期を過ぎると英語を勉強しても身につかない」というコメントもよく聞きます。これは子どもが臨界期を過ぎた場合、英語を「自然に」身につけるのは難しいという意味です。しかし、臨界期を過ぎたら9歳から文法アプローチで英語を攻略すれば大丈夫です。英文法の学習から始めても英語を話せるようになった人はたくさんいるので安心してください。

このことから、たとえ臨界期を過ぎても正しい勉強法で英語を学べば問題ないことがわかります。さらに、「文法を勉強するから英語を話せなくなる」という理屈はめちゃくちゃであることも理解できるでしょう。7歳以降は英語が自然と身につかないので、文法を勉強しないと話せるようにはならないのです。

最初に説明したとおり、8歳までは音声面を中心に学習し、9歳から文法を学ぶのが発達段階に逆らわない賢いやり方です。

「〇歳の壁」「臨界期」「文法無用」などの意見は今後も続くでしょう。しかし、「もう手遅れかもしれない」と焦ったり、「文法無用」といった怪しい理論に惑わされたりしないように気をつけましょう。

タイプ2:「幼児期の英語学習は日本語習得の弊害」というネガティブコメント

「英語学習は日本語習得の妨げになる。だからもっと日本語を勉強しなさい」というネガティブコメントは、前提条件を取り違えているものがほとんどです。

英語を身につける形態には「母国語として」「第二言語として」「外国語として」の3つがあります。これら3つの形態のうち、日本語習得の妨げになるのは、「母国語」と「第二言語」として英語を学んだ場合です。日本にいる多くの子どもには当てはまらないことを理解しましょう。これら3つの形態の違いを簡単に紹介します。

  • 母国語として英語を学ぶ場合

日本人が国際結婚して英語圏で子どもを育てた場合、子どもは母国語として英語を学びます。日本人の母親が日本語で話しかけても、日本語は基本レベルで止まってしまいます。英語に関してはネイティブそのものです。

  • 第二言語として英語を学ぶ場合

日本で生まれ育った子どもが6歳以前に英語圏の国へ移住し、英語で授業を受ける学校や幼稚園に通った場合が該当します。ネイティブのレベルには及びませんが、1年半経つとほとんどの場合、英語を話すようになります。英語力の向上は本人次第です。

日本語力の維持や向上については、かなりの努力を要します。英語圏では日本語の必要性が低いからです。日本語と英語の両方とも、あるレベルから向上せずに、どちらの言語も中途半端な状態になることもあります。

いわゆる「ダブルリミテッド」や「セミリンガル」と呼ばれる状態です。

  • 外国語として英語を学ぶ場合

日本で生まれ育った子どもが、日本で英語を学習する場合が当てはまります。日常生活は日本語中心なので、少しくらい英語を学習しても日本語に悪影響が出ることはありません。

この環境で英語を自然に話し出すことはほとんどありません。9歳以降の本格的な文法学習を通じて英語を習得していくのが一般的な方法です。

このように、日本語に悪影響を与える可能性があるのは、母国語や第二言語として英語を習得した子どもだけです。おそらく帰国子女の日本語力の低さを見聞きして、「誰でも英語を学ぶと日本語がダメになる」と誤解したのでしょう。

中には本当に日本で暮らしているのに、ダブルリミテッドになってしまった子どもがいるかもしれません。外出を制限して、長時間英語での会話を強制した場合は、日本語に悪影響を与える可能性はあります。

しかし、「過ぎたるは及ばざるがごとし」は英語だけの話ではありません。野球だって毎日ボールを投げすぎれば、大人になる前に肘を壊してしまいます。そのような極端な例を見て、「野球は肘に悪いから、野球はやめなさい」と話を広げるのは変な話です。

まとめますと、「英語を学ぶと日本語習得の妨げになる」というのは、日本に住む子どもには当てはまりません。日本に住んでいても極端に英語を強制すれば日本語への悪影響はないとは言い切れませんが、例外中の例外です。

毎日20分英語の絵本を読んであげたり、車の中で英語の歌を歌ったりしても日本語の習得には何の支障もありません。安心して学習を続けてください。

タイプ3:「英語よりも仕事のスキルが大事」説

「中身のない英語をペラペラ話しても大した意味はない。だから仕事のスキルをしっかりと身につけなさい」というコメントもよく見聞きします。一見、説得力があるのですがこれもよく考えると腑に落ちないところがあります。

下の表をご覧ください。単純化するために、ビジネスマンを仕事ができる人とできない人に分けました。さらにそれぞれを英語ができる人と苦手な人に分けました。

仕事ができる人 英語ができる人(Aタイプ)
英語が苦手な人(Bタイプ)
仕事ができない人 英語ができる人(Cタイプ)
英語が苦手な人(Dタイプ)

「英語はペラペラだが仕事ができずに使い物にならない」というのはCタイプの人です。「英語はできないが、仕事ができる」というのはBタイプです。たしかにBタイプとCタイプを比較すれば、Bタイプの方が有能かもしれません。

しかし、最も有能なのは仕事も英語もできるAタイプです。しかしながら、このネガティブコメントではAとBが比較されることはありません。

このように、「英語よりも仕事のスキルが大事」説はBタイプとCタイプだけに焦点を当てた説なのです。

さらに、Cタイプの人が英語の勉強をやめればBタイプになれるとは限りません。「英語よりも仕事のスキルが大事」説はBタイプとCタイプに当てはまるかもしれませんが、だからといって英語を勉強しなくてよい理由にはならないのです。このような詭弁に振り回されることなく、子どもの英語教育に向き合いましよう。

タイプ4:英語不要論

「英語なんか勉強する必要はない」という主張は、理由によって2種類に分かれます。「日本で生活するのに英語を使わないから」と「通訳や翻訳機があれば、英語学習の必要はない」というものです。以下、順番に見ていきましょう。

日本では英語は使わないから英語は不要

「日常生活で使わないから〇〇を学ばない」という発想では、ほとんどの人は何も学びません。なぜかというと、ほとんどの学問は生活する上で必要ないからです。

しかし、他人より優れたスキルが一つでもあると、それを活用することで、生活がより豊かになる可能性があります。

例えば、あなたはサッカーが天才的にうまかったとします。そのスキルをフル活用してプロ選手になることで、破格の報酬を得られるかもしれません。サッカーの才能がなくても生活はできますが、あったほうが生活が豊かになることは理解できるでしょう。

英語が他の人よりも得意になれば、それを活かして自分をアピールしようと行動するのが普通です。例えば、「高給がもらえる外資系の会社に就職する」とか「海外勤務のある会社に英語力をアピールする」などが該当します。英語が得意でなければ、そもそもこのような行動はできません。

つまり、「日本で生きているから、英語は不要」というのは、英語が武器になっていない結果なのです。そして、これは英語を勉強しなくてよいという理由になりません。この理屈を認めると、英語に限らずほとんどの勉強は不要です。

できなくても困らないから勉強が無駄というコメントは、原因と結果が逆なのです。ある分野ができないから、それを使わずに済む生活をしているのに過ぎないのです。

*このサイトでは英語を推奨していますが、何のスキルを伸ばすかはその人次第であることは言うまでもありません。

通訳や翻訳機があれば、英語学習は不要である

もう一つの英語不要論は「いざとなったら通訳を雇えばいい」とか「自動翻訳機があれば大丈夫」というのが根拠になっています。特にAIの目覚ましい進歩により、自動翻訳機への期待が高まっているように感じます。

まず通訳ですが、プロの通訳を雇うにはかなりの出費を伴います。4時間で3万円~8万円が相場です。また、専門性の高い会話を扱える人を探すのも一苦労です。

英語が身についていないとそのような高額の出費や余計な労力が伴います。企業における契約書のチェックなどは専門家に依頼するのが普通ですが、普段の仕事のやり取りでいちいち通訳を雇っていられません。

一方、AI(人口知能)の発達に伴い翻訳精度が上昇してきました。簡単な文章なら、ほとんど支障なく翻訳してくれるので助かります。しかし、これで人間対人間のコミュニケーションのすべてを網羅できるとは思いません。

例えば、ビジネスでは食事をする機会が多いです。そこでは冗談を交えながら、相手と心を通わせる会話が必要です。信頼を勝ち取るためです。翻訳機の精度が上がっても、笑いの間とかユーモアセンスまで機械が表現してくれると期待するのは無理があります。

また、悪意のあるソフトウェア会社が自社の利益になるように誘導するプログラムを仕込むかもしれません。そのような場合、100%翻訳機に頼っていいものでしょうか。人間同士のコミュニケーションは想像以上に奥が深く、機械にすべて任せるのは不可能なのです。

タイプ5:日本人としてのアイデンティティ喪失理論

「英語ばかり学んでいると日本人としてのアイデンティティを失い、子どもが精神的に不安定になる」という説があります。ここでの「アイデンティティ」とは「何かに属しているという帰属意識のこと」を指します。

アイデンティティ=国籍と誤解する人が多いのですが、実際はそんなに単純ではありません。それを知るきっかけとなった私の経験を紹介します。

私の息子が海外のインターナショナルスクールにいた頃の話です。休み時間に何をして遊んだかとたずねると「ヨーロッパチームとアジアチームに分かれてサッカーをした」と話してくれました。

何気ない会話ですが、これは息子が自分のことをアジア人として意識していた証拠です。自己紹介するときは日本から来たと言っていたので、日本人としての意識もありました。しかし、ある場面ではアジア人としてのアイデンティティを見せたのです。

つまり、アイデンティティは国籍のことではないし、場面によって複数使い分けても構わないのです。このように、アイデンティティは状況によって変化するものなので、喪失することなどあり得ないのです。当然、英語を勉強したからアイデンティティを喪失して精神が不安定になることもありません。

タイプ6:いいがかり的なネガティブコメント

子どもの英語学習に対するネガティブコメントの中には、意味不明なものが数多くあります。とても全部は紹介できないので、2つだけ取り上げてみます。

  • たった週〇回の英語レッスンでは、話せるようにはならない。だからやめたほうがまし。

時間が不足しているなら、やめずに増やすべきではないでしょうか? 費用などの関係で毎日英語教室に通わせるわけにもいきませんから、家庭学習で補いましょう。

  • もっと日本語を読んで、豊かな情操教育に力を入れるべき

情操教育とはさまざまな経験を通して豊かな心を育む教育のことです。日本語で書かれた素晴らしい絵本や小説を読んで、豊かな心を育てることには大賛成です。そして英語にも素晴らしい絵本や小説がたくさんあるので、同じ結果を得られます。

このようなコメント主は、問題集の無味乾燥な英語にしか触れたことがないのかもしれません。児童文学で有名な Roald Dahl や超人気作家であるDavid Walliams の物語をぜひ読んで欲しいです。涙と笑いに溢れていて、いつまでも心の中に残り続けます。

豊かな心を育むのに英語も日本語も関係ありません。優れた作品をスラスラと読めるようになるまで英語学習を続けましょう。

まとめ

私が子どもの英語教育をすすめる理由は「21歳までに英検準1級・TOEIC900点レベルを無理なく取れるようにしておくため」です。これを読むと私のことを「英語至上主義者」のように思うかもしれませんが、そういうわけではありません。

高校卒業後、就職や進学したときは専門性を深めることに集中するべきです。英語だけに時間を費やしていると、本当に磨かなければいけないスキルがおろそかになります。

英語を習得するまでの時間が3,000時間と決まっているなら、できることは子どもの頃からさっさとやってしまいましょう、というのが私の基本的な方針です。

ネット上のネガティブなコメントに惑わされず、あなたの子どもの英語教育を応援してあげてください。そして国語(日本語)も仕事も、そして英語もできる人に育てましょう。

子どもの英語学習にオススメ「英語絵本読み聞かせ」完全ガイド

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先日、本棚の整理をしているとき、息子が幼稚園のころに読んでいた英語の絵本を見つけたことがあります。私が何度も読み聞かせした本で、厚紙でできているのにボロボロの状態でした。

懐かしくなりページをめくっていると、息子に英語を教え始めたときの記憶がよみがえってきました。今では英語が得意になった息子ですが、その原点は私が取り組んだ「英語絵本の読み聞かせ」にあったのだと思います。

ふり返ると、英語絵本の読み聞かせには「大きな効果」があったと確信しています。これから「子どもの英語教育を始めたい」と考えているお母さんにも、ぜひ絵本の読み聞かせに挑戦して欲しいです。

以下、初心者でも安心して取り組めるようにノウハウをまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。

英語絵本の読み聞かせで得られる3つの効果とは

我が家では、息子が3歳のときに初めて英語の絵本を与えました。以降、小学校入学までの数年間、いっしょに絵本を読む毎日を送っていました。この経験から、英語絵本の読み聞かせには「3つの効果」があったと確信しています。

  • 日常生活に英語を取り入れることができる
  • 英語の定着とボキャブラリーの増強が自然にできる
  • 英語絵本を通じて親子のきずなを深めることができる

それでは「3つの効果」について順番に解説していきます。
英語絵本

英語の絵本があれば日常生活に英語を取り入れることができる

まずは、私の恥ずかしい失敗談を紹介します。

息子に英語教育を始めようと思い立ったある朝のこと。ふとんで寝ていた息子に“Good morning!  It’s time to wake up.”(おはよう。もう起きる時間だよ)と英語で話しかけました。息子はけげんな顔をしてから突然起きあがり、母親の方へ走って逃げていきました。

突然父親がわけのわからない言葉を話し始めて、息子は薄気味悪かったのでしょう。英語教育の出鼻をくじかれて、私は「きっかけ作りに失敗した」と苦笑いするしかありませんでした。

そこで取り入れたのが「英語絵本の読み聞かせ」です。時間があるときに日本語の絵本を読んであげていたので、その中に英語の絵本を少しずつ混ぜていったのです。

結果的にはこれが功を奏しました。本読みタイムの中に英語を組み込むことができたのです。朝、突然英語で話しかけるような不自然さはまったくありません。ごく自然に、日常生活の中に英語を取り入れることに成功したのです。

1年くらい経ったころ、再び“Good morning!  It’s time to wake up.”を試しました。すると驚いたことに、日本語で「まだ眠いよ」と正しく反応していました。英語を聞いて逃げて行ったときから比べると、大きな成長です。

絵本を活用することで、英語を日常生活に取り入れることができます。これは、英語教育の初めの一歩としては大きな効果です。

英語の定着とボキャブラリーの増強が英語絵本で自然にできる

「小さい頃、海外に住んでいて英語を話していたのに、帰国したらすぐに英語を話せなくなった」という話をよく聞きます。帰国したら英語は「必要ない言語」として認識されるので、日常生活で英語に触れなければ当然忘れてしまいます。

一方で、「英語の本を読める子どもは、帰国後も英語力を維持したり、さらに伸ばしたりすることができる」という話もあります。要するに、音声だけで習得した言語は忘れやすく、読書ができるレベルに到達した言語は忘れにくいのです。

幼児向けの英会話教室では、子ども達は楽しい歌やゲームをしながら英語を学びます。しかし、「しばらくするとほとんど覚えていない」という問題が発生することがあります。これを防ぐためにも家庭での英語絵本の読み聞かせは非常に効果的です。

また、絵本を読む習慣はその後の「本格的な読書習慣」へとつながります。本格的な読書習慣が身につくと、英語のボキャブラリー(語彙)は文字通り爆発的に増えていきます。

「小学生で英検準1級を取得した」というニュースをたまに見かけます。詳しく記事を読むと、ほとんど例外なく大量の読書によって高度なボキャブラリーを習得しています。

このように、幼児期の英語の絵本には英語の定着を促す効果があります。そして、将来英語のボキャブラリーを爆発的に増やすための基礎となる読書習慣を身につけることができます。

英語絵本を通じて親子のきずなを深めることができる

初めのうちは、英語の絵本を5冊買ったらそのうちの2冊くらいにしか興味をしめしません。親が子どもの好みを充分に把握できていないことが最大の原因です。

男の子だからと思って、乗り物が主人公の絵本を買ってきてもそっぽを向かれることはよくあります。逆に、なにげなしに読んだ恐竜の絵本に、びっくりするほど食いついてくることもあります。

絵本は安くありません。無駄にしないためにも、親は一生懸命子どもの好みを理解しようと努めます。やさしい色づかいが好きなのか、派手な色がちりばめられたほうが喜ぶのか、などと注文するときに必死に考えます。

言葉が足りない幼児の好みを探るには、根気が必要です。しかし、このような試行錯誤を繰り返していくうちに、親子のギャップは確実に狭まります。1年くらい経つと、かなりの高確率で子どもが喜ぶ絵本を選ぶことができます。

このように、英語の絵本選びを通じて、親子のきずなを深めることができます。これも、読み聞かせの大きな効果のひとつなのです。

ここまで「日常生活に英語を取り入れることができる」「英語の定着とボキャブラリーの増強が自然にできる」「英語絵本を通じて親子のきずなを深めることができる」の3つの効果について説明しました。

慣れない英語での絵本の読み聞かせは大変です。しかし、あせらず、楽しみながら続けることで、このような効果を確実に得られます。英語絵本の読み聞かせには、挑戦する価値が充分にあるのです。

英語絵本の選び方

ここでは英語絵本の購入方法について説明します。実際に手に取って選びたいところですが、一部の大型書店(丸善・紀伊國屋書店・ジュンク堂など)でないと子ども向けの洋書がそろっていません。毎回そこまで足を運ぶのは大変です。

そのような場合はAmazonなどでネット注文するのが一般的です。ここでは「Amazonで2歳児用の絵本を探す」という場面を想定して購入方法を説明していきます。

Amazonで人気の英語絵本購入方法

Amazonでの購入方法は、次のような手順となります。

  • アマゾンのトップ画面のカテゴリから「本・コミック・雑誌&Audible」>洋書を選択

  • ジャンルの中から「Children’s Books(児童書)」を選択

amazon_洋書

  • 絞り込みのLanguage(言語)から英語(English)にチェックを入れる

Amazon_英語

  • カテゴリのAge RangeからBaby-2を選択

Amazon_age

初めての場合、子どもの好みがまだわかりません。とりあえず、カスタマーレビューの数が多く、ベストセラーになっているなかから数冊選んでみましょう。

Amazon_英語絵本

「ボードブック」と書いてある本は、すべてのページが厚紙でできています。小さい子どもは力の加減ができないので、普通の紙だとすぐに破けてしまいます。この点において、ボードブックは丈夫で安心です。

初めのうちは、絵が大きくハッキリとしているものが子の興味を惹きやすいです。また、ロングセラーになっている絵本は、リズムよく読めて繰り返しの表現が多く、子どもの記憶に残りやすいのでおすすめです。

半年ほどで徐々に子どもが好きそうな絵や色づかい、親子ともに楽しめる内容がわかるようになります。お気に入りの作家で揃えてみるのもおすすめです。

CD付きやタッチペン付きの英語絵本の活用法

英語の絵本には朗読が収録されたCDが付属しているものがあります。また、タッチペンで単語をなぞると音声が出てくるものもあります。ネイティブによる「正しい音声」が聞けますが、これらに頼り過ぎてはいけません。

私の経験上、子どもにとって最高の読み手は親です。それは親の声こそが最も記憶に残るように、子どもの脳がプログラムされているからです。たとえネイティブのように上手に読めなかったとしても、まったく問題ないのです。

普段はお母さんやお父さんが英語の読み聞かせをしてあげてください。そのうえで、CDの上手な活用法を紹介します。

例えば、車に乗ったときに音声CDを聞くのは効果的です。聞きなれた親の英語と異なる「本格的な英語」を耳にするので、最初は戸惑うかもしれません。

しかし慣れてくると、他の人の英語も理解するようになります。これがリスニング力の向上につながります。内容は何回も読んでいるものなので、英語のまま理解することができます。

ついでにお母さんも、オーバーラッピング(音声と同時に音読する練習)やシャドーイング(音声から数語遅れて追いかけて音読する練習)をしましょう。運転中に少し練習するだけでお母さんの英語力も上達します。

子ども向け「おすすめの英語絵本」について

私なりに「おすすめの英語絵本」はたくさんあるのですが、ここでは紹介しません。理由は、あれこれ無駄な買い物をしながら、一生懸命に子どもの好みを考える大切な機会を奪ってしまうからです。

どうしても参考にしたい場合は、インターネットの英語育児ブログなどで「おすすめの英語の絵本」がたくさん紹介されています。でもそれらはあくまでもその家の子どもが気に入った本であり、あなたの子どもが気に入るとは限りません。

英語の絵本はだいたい1,000円~2,000円くらいするので、子どもが気に入らないと親はがっかりします。しかし「せっかく買ったのだから」と無理に読ませてもいい結果につながらないので、そういうときはあきらめて欲しい人に譲りましょう。

子どもの心をギュッとつかむ「英語絵本の読み聞かせ」方法

上述のとおり、私は数年間、息子に英語絵本を読み聞かせしていました。その経験をもとに、最も子どもの心をつかめた読み方を紹介します。専門家からみるとダメなところ満載でしょうが、理屈よりも結果が大切であると感じています。

親・子ども・英語絵本の位置

大勢の前で読むときは、子ども達と向かい合うようにして本を読むのが普通です。しかし、自分の子どもに読むときは下の2枚の写真のような位置関係が理想です。

写真1「読み聞かせ(ヒザの上)」

写真1

写真1は、「子どもが親のひざの上に座る」パターンです。小さい子どもはこのポジションが大好きです。体が大きくなると子どもの頭が視野をさえぎるので、お母さんが本を読みにくくなるのが難点です。

写真2「読み聞かせ(となり)」

写真2

写真2は、「子どものとなりに親が座り、二人の中央に本を置く」パターンです。子どもの身体が大きくなってもこれなら大丈夫です。ただし、大人は長時間読むと足がしびれたり肩が凝ったりすることがあります。

私が読み聞かせするときに気をつけていたのは、「ページを子どもにめくらせる」ことと「読んでいるところを指でなぞる」の2つです。

「ページを子どもにめくらせる」役割を与えるだけで、子どもは喜びます。親子の息が合ってくると、ちょうどいいタイミングで子どもはページをめくるようになります。子どもに役割を与えることによって、読み聞かせはいっそう楽しくなります。

「読んでいるところを指でなぞる」のは、「今声に出して読んでいるところはここですよ」と教えるためです。しばらくすると知っている単語のところは自分で声に出して読むようになります。

他人に見られたら恥ずかしいくらいのノリで英語を読む

絵本の読み方について書かれたインターネットサイトを見ると、「子どもの想像力を狭めるような抑揚をつけた読み方はダメ」とアドバイスされています。専門家の意見は正しいかもしれませんが、これだと私自身が楽しくありません。実際、私はこれでもかというほど抑揚をつけて読んでいました。

擬音語も多用しました。本文に書いてなくても、動物が登場したら「ワンワン!」と鳴き声のマネをしたり、車が出てきたら「ブーン」とエンジンの効果音をつけたりしました。

さらに、英語の上達とはまったく関係ないことも取り入れました。楽しく読むために、アクションやスキンシップを組み合わせたのです。

例えば、“hen”(オンドリ)が出てきたら「コッコッコッ」と言いながら手でクチバシのマネをして、子どものお尻やお腹を突っつきます。子どもは逃げ回るので、ケガをしない程度に追いかけます。

そのうち、次のページをめくると「突っつかれる」とわかるので、逃げる準備をしながらめくるようになります。しばらくすると、ニヤニヤしながら「その本を読んで欲しい」と持ってくるので、実は子どもは喜んでいたはずです。

正直、仕事や日々の雑用で疲れていると、読み聞かせが負担に感じることもあります。でも、いろいろな工夫によって親子で盛り上がるようにしておくと、続ける原動力になるので無理のない範囲で取り入れてみてください。

一つの英語絵本から横に展開する:日常生活と結び付けよう

「横に展開する」とは、絵本の中に出てきた単語やフレーズを現実の世界でも使ってみたり、他の絵本の中で見つけてみたりすることです。

例えば、『Excuse Me!』という英語の絵本があります。その絵本では、“You burped!”(ゲップをしたよ)、“What do you say?”(なんていうのかな?)、“EXCUSE ME!”(失礼!)というパターンで話が展開されます。

これを現実の世界に応用するのです。食事中息子がゲップをしたとき、すかさず“What do you say?”と語りかけたことがあります。息子は「ああ、あのことか」と勘づき、“Excuse me!”と返事をしていました。

このようなやり取りは、絵本の読書体験を共有しているからこそできる芸当です。これを繰り返すことで、絵本の言葉が現実の世界とつながり忘れにくくなります。すぐに忘れてしまう英語ではなく、いつまでも覚えられる英語に変わるのです。

子どもの心をギュッとつかむ「英語絵本の読み聞かせ」方法はこれで終わりです。これらを意識して続けると、子どもは好きな英語の本を持ってくるようになります。これは子どもの心をつかめたサインなので、気持ちよく読んであげましょう。

絵本を卒業したら、動画サイトで本格的な英語学習をスタートしましょう。

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英語絵本読み聞かせQ&A

「英語絵本の読み聞かせ」に初めて挑戦するお母さんからのよくある質問に回答します。

親の英語が下手なので、子どもの英語に悪影響を及ぼさないでしょうか?

できれば流ちょうな英語で子どもに絵本を読んであげたい、という気持ちはわかります。しかし、そんなことを考えているといつまでたっても始めることができません。

英語の発音のポイントは、日本語にない音を意識することです。それだけでだいぶうまくなります。動画サイトなどで「英語 発音 トレーニング」のように検索すれば、参考になる動画が見られます。そのような動画を参考にして、この機会に少し練習してみるといいでしょう。

例えば、th(舌を上下の歯に挟んで空気を出す)とs(閉じた歯のすき間から空気を出す)を使い分けるとか、sh(静かにさせるときの「シー」に近い音)とsを使い分けるなどいくつかのポイントをおさえるだけで、英語っぽく聞こえます。

たとえ親の間違った発音を覚えてしまったとしても、その後修正する機会はいくらでもあります。付属のCDを車の中で聞いてもいいですし、英会話教室などに通う機会があったら講師の人に教えてもらえます。すべての責任を一人で負う必要はありません。

意味が分からない英単語は調べたほうがいいですか?

「気になって気持ちが悪い」と感じるなら、さっさと辞書で調べて発音と意味をチェックしたほうがすっきりします。子ども用の絵本なので、何十個も未知の単語が出てくることはありません。

ただし、絵本の文章の意味がすべて理解できるわけではありません。というのは、絵本ではrhyme(韻)を踏むために意味よりも語呂を優先させることがあり、ナンセンスな文がしばしば登場するからです。

このような文章に出会ったら、「そういうものだ」とおおらかな気持ちで受け入れるくらいでちょうどいいのです。

英語の絵本は何歳くらいから与えるのがいいですか?

言葉を話し出すのが2歳くらいからなので、そのころから少しずつ与えていっていいです。日本語もほとんど話せない時期なので、大きくカラフルな絵が描かれた絵本がおすすめです。

最初は子どもの語彙の増え方はゆっくりです。もどかしさを感じることもあるかもしれませんが、絶対にあせってはいけません。少しずつ、楽しみながら続けることが大切です。

いつになったら子どもは自分で絵本を読めるようになりますか?

自分で読めるようになるまでの時間は、英語に触れている時間や環境に大きく左右されます。しかし、いつか必ず読めるようになります。

私の息子の場合は、幼稚園の間はひとりで読めませんでした。文中に出てくる単語やフレーズを声に出して読む程度でした。

英文を一人で読めるようになったのは小学校に入ってからで、そのときには絵本は卒業していました。振り返ってみればたいした時間ではないのですが、その当時は「なかなか英語が読めるようにならないなあ」とちょっと心配したものです。

個人差があるので「いつ」とは断言できませんが、そのうち必ずひとりで読めるようになります。

子どものころの英語はすぐに忘れるから意味がないのでは?

たしかに子どものころに覚えた細かいことは、大人になると忘れがちです。しかし、だからといってその経験は無駄ではないはずです。

幼稚園で毎日何を習ったかと聞かれれれば、ほとんどの大人は覚えていません。では、幼稚園での経験や学習はすべて無駄だったのでしょうか? そんなことはありません。

ハッキリとした記憶としては残っていなくても、その後の学習の基礎として大切な何かを学んでいるからです。英語に関しても同じで、「英語を知ると絵本の世界が広がった」というたった一つの成功経験から、その後の人生がまったく違ったものになるはずです。

冒頭の話に戻りますが、本棚から出てきた6年前の絵本を9歳になった息子に見せました。すると「ああ、これ全部覚えているよ」と大まかなストーリーを語り出したのです。当時、英語は読めなかったはずなのに、ほとんど理解していたことを知り驚きました。

あらゆることに当てはまりますが、「人生で無駄な経験は何一つない」といえます。

まとめ

育児をしていて子どもの成長に感動する瞬間が何度もあります。初めて歩いたときのことは親なら誰でも覚えていることでしょう。

同様に英語絵本の読み聞かせをしていると、「小さい感動」を感じることができます。絵本で出てきた英単語を読めたり、絵本のフレーズを日常生活の絶好のタイミングで使えたりしたときは、続けてよかったなと心底思いました。

正直、10分程度のわずかな時間であっても子どものために英語の絵本を読んであげることは大変です。しかし、そんなことをしてあげられる時間はあっという間に過ぎます。後から振り返ると、かけがえのない貴重な時期だったことがわかります。

子どもがお気に入りの英語の絵本を手に取って「読んで欲しい」と持ってきたら、それだけでお母さんの読み聞かせは大成功です。

小学生になると絵本を卒業します。英語を忘れてしまう前に、英会話スクールなどを利用してそのまま英語学習につなげていきましょう。「英語は楽しい」という感情を持ち続ける限り、子どもは英語を学び続けます。