今回の記事は「hanaso kids無料体験レッスン」のレポートです。当サイトは「子どもの英語教育」について主にお母さんに向けて情報を発信しています。ところが「子ども専門のオンライン英会話」を我が家では利用したことがありません。
伝聞やコピペで無責任な記事は書けません。そこで苦肉の策として、インターナショナルスクールに3年半通った9歳の息子に子ども専門オンライン英会話「hanaso kids」の無料体験レッスンを受けさせることにしました。
初めは渋っていたのですが、交換条件として臨時のお小遣い300円をちらつかせるとすぐに喰いついてきました。無料体験レッスンなのに取材費300円を費やしたレポートをお届けします。
・英語ゼロの子どもでも対応してもらえるかを確認するため
大人向けのオンライン英会話と違って、「子ども向けにどこまで配慮の行き届いたレッスンをしてくれるのか」が最も知りたいポイントです。
息子には「君は英語初心者のつもりになって、真剣にレッスンを受けなさい」と事前に研修をしました。当日の予約は「FULL」だったので、数日後の夕食後の時間帯に予約を入れました。
無料体験レッスンでは通常のレッスンだけでなく、レベルチェックもしてもらえます。かなり迷ったのですが、「レベルチェック」をしてもらうことにしました。
・子どものプロフィール
5歳でマレーシアのインターナショナルスクール(英国式)のYear2に編入。最初の半年は英語がわからず苦労したが、私が付き添いながら英語学習を毎日継続。
2年目からはボキャブラリーが爆発的に伸び、Year4からは他のクラスメイトと遜色ない英語レベルになる。性格は社交的で人を笑わせるのが好き。
Year5の2学期まで在籍して、日本に帰国。現在、公立小学校の4年生。
・レッスン環境
光ファイバー回線+パソコン+USBタイプのヘッドセット。
実際に無料体験レッスンを受けた感想
多くのオンライン英会話と同様に、1レッスン25分です。あらかじめSkypeのIDを伝えておき、開始5分前からスタンバイです。私もトラブルに備えて画面の外に座ることにしました。
時間ピッタリに講師からコールがあり、レッスンがスタートししました。
レベル確認を細かくしてくれる
ベテラン風味な女性講師が登場して、挨拶や自己紹介をします。これはどのオンライン英会話でも同じようなウォームアップです。
しかしこの段階で女性講師は、息子の英語レベルの異変に気づきます。そして英語学習歴について深い質問を何度かされて、息子はすべて白状してしまいました。すぐに英語初心者の仮面は剥がれてしまいましたが、講師はレベルチェックを淡々と進めていきました。
質問項目は、所有格(my, his, herなど)と名詞を含めた所有代名詞(mine, his, hersなど)の使い分けからスタートしました。その後、少しずつレベルアップしていき、最後のほうは名詞を修飾する分詞(例:the girl reading a book)まで進みました。
私が隣で見ていた限りでは、子ども向けのオンライン英会話の最終地点は中学3年生の英語あたりにセットされているようでした。短時間でのレベル確認は難しいのですが、適切な質問を多く投げかけていて好感が持てました。
保護者はそばにいたほうがいい
子ども専門オンライン英会話だけあって、hanaso kidsでは親が隣に常時いることを求めてはいません。でも、パソコンの操作や「何をするか」の点に関しては、最初のうちは親のサポートは必須でしょう。
操作に慣れてきたら常時いなくても大丈夫ですが、レッスン内容をお母さんが把握するのは大切です。特に復習するときに、内容がわかっているのとそうではないのとでは子どもの定着度に差が出ます。
予約は数日前にしたほうがいい
大人向けの大手オンライン英会話のように講師の数はそれほど多くありません。したがって、当日にお気に入りの講師で好きな時間に予約を取るのは難しいと考えてください。3日前ならほとんど問題なく予約を入れられると感じました。
ポイントはレッスンを受ける曜日と時間を固定しておくこと、週プランではなく「回数プラン」を選ぶこと(詳細は後述します)、お気に入りの講師を5人くらい選んでおくことです。
日本語ができる講師を揃えている
調べた限りでは、何らかのレベルで「日本語ができる講師」で絞り込んでも、約半数の講師は残ります。大人向けのオンライン英会話では「日本語ができる講師」で絞り込むと極端に数が減ってしまうので、この辺りは子ども向けのサービスは強いと感じました。
ただ、とても人気のある講師が日本語のできる人というわけではないようです。ある程度慣れてくれば子どもも「何を指示されているのか」は英語で理解するようになります。
そのレベルになれば、日本語よりも「教え方が上手かどうか」に重点が移るようになるのでしょう。選べる講師の数は増えるので、子どものレベルが上がるほど予約も取りやすくなると考えていいです。
hanaso kids の良かった点
・レベル確認を細かくやってくれ誠意ある対応
レッスン終了後、「レベルチャック結果のご案内」の件名でメールが届きました。「ほう、どれどれ」と開くと、なんと…。
つまり「hanaso kidsのレベルではないので大人向け英会話hanasoを受講して下さい」という内容でした(大人向けhanasoは関正生先生が監修していて、反復学習には定評があるようです)。
さすがにこれ以上、無料体験レッスンを受けるのも気が引けるので1回のレッスンで中止することにしました。
でもきちんとレベル評価をしてくれて、生徒に合ったものを提案してくれたhanaso kidsの姿勢は素晴らしいと感じました。最後まできちんとレベルチェックしてくれた講師の先生にも感謝です。
・レッスンのカスタマイズを細かくできる
レッスンを予約するフォームを見ると、「講師が話す速度」「発音修正の頻度」「文法修正の頻度」「チャットボックスの使用」「レッスン開始時のスモールトーク」「初めての講師との自己紹介」などについて、プルダウンメニューから選べます。
それ以外の要望については、「その他」の欄に英語で講師に伝えることができます。
同じ講師でもこのメニューを調整するだけで、だいぶ印象や効果が異なるレッスンになると思いますので、お母さんは時間を取って考えながら選ぶといいでしょう。
・融通の利く回数プランを用意している
hanaso kidsでは週プランと回数プランが用意されています。週プランの特徴は、1レッスンあたりの単価が割安なことと30分前までのキャンセルは課金されないことです。
回数プランは週プランよりも割高になりキャンセルも24時間前までにしないと課金されてしまいます。でも、回数プランは消化できなかったレッスンを翌月に持ち越すことができるため、無駄が発生しにくい特徴があります。
確実にレッスンを受ける曜日が固定できるなら週プラン、そうでないなら回数プランにしたほうがお得になります。それぞれの家庭の受講スタイルに合わせて選べるのはうれしいポイントです。
・片言でも日本語ができるのは心強い
講師の約半分は、何らかのレベルで日本語ができます。英語を習いたての子どもの場合、“Repeat after me.”と言われても何のことだかわからずにオロオロすることが多いです。
そんなときにカタコトでも日本語で指示をされると子どもは安心してレッスンを受けられます。英語での指示がわからずオロオロしているのは時間の無駄になってしまいます。
大人向けのオンライン英会話ではおそらく日本語ができる講師はごくわずかです。このあたりの配慮はやはり子ども専門ならではと感じました。
hanaso kids の残念なポイント
hanaso kidsは全体的にうまく配慮された子ども専門オンライン英会話だと感じました。しかし、少し気になる点もありました。子どもや家庭によってはマイナスに感じるところをピックアップしてみます。
・女性講師が多い
私の見た限りでは、ほとんどが女性講師でした。子ども専門オンライン英会話だから女性優先の採用なのかは不明ですが、男性講師が数えるほどしか見当たりません。
私の息子はイケメンの男性講師が好きで、女性にはあまり興味がないのです。おそらく子どもによっては男性講師のほうがいいというケースも多々あるので、もう少し男性比率を増やしてもいいのではと感じました。
・兄弟で一つのアカウントを共有できない
兄弟で一つのアカウントを共有できないので、兄弟も始めてみたい場合、別にアカウントを取得しなければなりません。他社もいろいろ調べてみるとできないところがほとんどです。
せめて回数プランだけでも、ひとつのアカウントで兄弟で融通できるならもっと使い勝手が良くなるのではと思います。
・英検の筆記試験には未対応
英検の試験は基本的に英語を読めないと解けません(読めない場合は「英検Jr.(英検ジュニア)」と呼ばれる試験がオススメです)。
英検5級を受けるなら単語の並び替え問題などが登場します。英検対策をするなら、夏休みなどを利用して英会話教室の英検対策講座などを受験する必要があります。
Q&A
・英語ゼロの子どもでも大丈夫ですか
hanaso kidsのホームページでも明記されていますが、まったくの英語初心者でも大丈夫です。英語ゼロの子どもには「Kids’ English Start-up(オリジナル無料テキスト)」が用意されています。
UnitごとにPDFファイルで用意されているので、あらかじめ紙にプリントアウトしたほうが子どもは使いやすいです。印刷ができない環境なら、PDFをダウンロードして画面上にスカイプと並べて表示します。
それ以降のレベルには市販の教材である「Let’s Go Starter(幼児向き)」「Let’s Go 4th Edition Let’s Begin(幼児~小学生初級者向き)」「Let’s Go 4th Edition1~6(小学生~中学生向き)」を各自で購入して使用します。
オックスフォード大学出版局から出ている市販の教材を推奨してくれるので、経済的には助かります。通販のAmazonから購入できます。
・効果はありますか
hanaso kidsに限らず、効果を感じられるかどうかは「3か月程度で達成できる具体的な目標を立てられるかどうか」次第です。
「英語を話せるように」では目標が遠すぎます。「発音を良くする」も具体的ではありません。
「Kids’ English Start-upで扱われている表現や単語を2秒以内に英語で言えるようになる」とか「fとthの発音をできるようになる」なら具体的です。
レッスンを予約するときのフォームには「その他」で、講師への細かい要望を伝えることができます(英語で記入)。お母さんの目標は毎回、この欄に記入するようにすると講師も意識してレッスンを行ってくれるはずです。
出来るだけ具体的な小さい目標を立てて講師にしっかりと伝えていけば、それなりに効果を実感できるはずです。
・費用は高いですか
「子ども専門」とするだけで、講師の採用・研修、システムの改良など大人とは違ったサービスを求められます。それらにバランスよく応えて、回数プラン月8回(税込5,400円)なら納得できる料金だと感じます。
以前、子どもを英会話教室に1年間通わせたことがあります。そのときの月謝は週1回(50分)で1万円でした。
リアルでしか伝えられないものもあるので単純比較はできません。しかし、送り迎えの負担や行ける日時が固定されることを考えると、コストは半分以下です。
・先生のレベルはどうですか
先述のとおり、hanaso kids は息子のレベルに合っていなかったため、レベルチェック以外のレッスンを受けられませんでした。そのため普段のレッスンがどのようなものか知ることができませんでした。
でもレベルチェックのときの講師の様子を見る限り、一定の水準以上には達していることは間違いありません。研修やマニュアルが洗練されていなければなかなか出来ないので、そのあたりはきちんと押さえていると感じました。
「カスタマイズや要望欄に記入したことをどこまでレッスンに反映してくれるか」はお母さんがときどきチェックしたほうがいいです。子どもが気に入る講師とお母さんが良いと思う講師にはギャップがあるかもしれないからです。
効果的なhanaso kidsの活用法
「子ども専門オンライン英会話」の特徴を活用して、超初心者レベルから始めるのもアリです。小学4年生で「ローマ字」を学校で習いますが、英語学習の観点からはデメリットが大きいと感じます。
私の子どもがもし英語ゼロの状態なら、ローマ字を習う前にアルファベットと簡単なフォニックスを覚えさせます。このようなワンポイントにも「子ども専門オンライン英会話」は活用できるので便利です。
・紙のテキストを用意したほうがいい
hanaso kidsで推奨された市販の教材をすすめられたら、Amazonなどで購入したほうがいいです。子どもの場合は特に紙に印刷されたテキストのほうが見やすいですし、復習するときも手軽にできます。
さらにCDが付属しているので、ネイティブの発音も聞くことができます。いろいろな英語に触れられるのも利点です。
PDFになっているものは、できるだけ紙に印刷しましょう。
・アルファベットからフォニックスの基礎まで
「ローマ字」を習って、変な読み方を覚えてしまう前にアルファベットとフォニックスの基本を覚えるだけでも、英語学習の弾みになります。
最初の段階の目標は、「3文字の初見の単語を何とか声に出して読める」くらいでちょうどいいです。例えば、「bat」と書いてあったら意味はわからなくても基本的なフォニックスが身についていれば近い音で読めるはずです。
・一度、休会
短い単語を読めるようになったらオンライン英会話を一度ストップしましょう。インプットが不足していると、そのままアウトプットをしてもすぐに英語力は頭打ちになるからです。
この次にやるべきことは、簡単な文章や本の音読です。語彙力をしっかりと伸ばして、英語の語順にも慣れる訓練をします。
英会話に比べると地味なトレーニングですが、効果は絶大です。これも4か月くらいを一区切りにして、具体的に目標を設定しましょう。
意味の分かる文章を毎日音読することで英語の基礎体力が養われます。
・再びアウトプットの場として活用
4か月くらいするとマンネリ化してくるので、再びhanaso kidsを利用してみましょう。英会話のトレーニングをしていなくても、前回よりレベルアップを感じられるはずです。文法力(小学生の場合は英語の語順に慣れること)と語彙力は英会話の基礎だからです。
もしかすると一段階くらいレベルを飛び越える可能性もあるので、再開時には一度レベルチェックを受けてもいいと思います。
このようにインプットとアウトプットを交互に取り組むことで、バランス良く英語学習を続けることができます。
まとめ
「子ども専門オンライン英会話」が大人向けのオンライン英会話とどのように異なるかを調べるために、hanaso kidsの無料レッスンを体験してみました。
レベルチェックをお願いしましたが、細かい質問をしながら丁寧に調べていただけました。後日届いた結果は「大人向けのhanasoでレッスンを受けてください」という内容で、本当にきっちりとレベルチェックをしてくれていて誠実な対応だと感じました。
「子ども専門」だけあって日本語ができる講師も半数近く在籍している一方、当日の予約は取りづらい状況もあります。hanaso kidsを利用するならある程度固定した曜日と時間で受けたほうが、予約の取りやすさの観点でいいです。
レッスン予約時に細かいカスタマイズが可能だったり、翌月に持ち越せる回数プランが用意されていたりする点はhanaso kidsの良い点です。一方、講師のほとんどが女性だったりひとつのアカウントを兄弟で共有できなかったりという不満も感じました。
hanaso kidsは「子ども専門オンライン英会話」なので、英語ゼロの子どもでも利用できます。お母さんが短期目標を設定して、それを講師にきちんと伝えるようにすると満足度は高くなります。
子どもに特化したサービスの内容を考えると、費用は妥当です。単純に比較はできないものの、英会話学校に比べると費用は約半分です。送迎や時間の融通が利くのも忙しいお母さんにはありがたいです。
会話だけを続けていてもすぐに英語力は頭打ちになってしまうので、音読トレーニングに力を入れる期間を設定しましょう。英語の語順に慣れたり語彙力を増強したりすると、英会話にも良い効果が出てきます。
日本に住んでいるとアウトプットの機会はなかなかありません。でも、オンライン英会話を利用すると低コストで生活の一部に「英語を話す」時間を設けられます。
子どもの強みは音に対する感受性の鋭さなので、スピーキングとリスニングに狙いを定めてhanaso kidsを利用するのがオススメです。