「be interested in ~(~に興味がある)」「be surprised at~(~に驚く)」「be tired of~(~に飽きる)」は英語初心者にもなじみのある表現です。中学生の頃、何度も覚えた経験があると思います。
ところでこれらの表現に共通する「-ed」が気になりませんか? 「-ed」で終わるのは、過去形か過去分詞形(受け身または完了)です。
「be interested in ~(~に興味がある)」「be surprised at~(~に驚く)」「be tired of~(~に飽きる)」これらはすべて感情に関する表現の「形容詞」です。それなのに動詞にしかつかない「-ed」で終わるのはよくわかりません。
実はこれらの表現はすべて「受け身(受動態)」であり、形式は「be+動詞の過去分詞形」です。だからedで終わるのが正しいのです。
この表現がわかりにくい原因は、日本人と英語ネイティブの「発想の違い」にあります。ここをしっかりと理解すると、なぜ感情表現が「受け身」で表現されるのかわかります。
「僕はワクワクしていた」を英語でいうとき、「I was exciting.」と「I was excited.」のどちらが正しいのか子どもはしばしば混乱します。そんなときにズバリ教えられるように、お母さんのために解説します。
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感情動詞の理解が難しい理由とは
動詞の種類の中で「感情動詞」と呼ばれるカテゴリーがあります。ひと言で説明すると「感情を引き起こす」意味の動詞です。
例えばsurpriseは動詞で「を驚かせる」意味です。用例としてはThe news surprised us.(そのニュースは私たちを驚かせた)となります。
視点を変えて私(I)を主語にした文章にするとき、子どもだけでなく大人でも混乱する傾向があります。I was surprising at the news. か、それとも I was surprised at the news.なのか混乱してしまいます。
実はこうした混乱は、感情にまつわる考え方が日本人と英語ネイティブで真逆であることが原因です。まずは両者の考え方の違いを詳しく解説します。
日本人の心理
日本人にとって、感情は「自分の心の中から発生する」ものです。「驚く」感情は自分の心の中から生じるものとして感じています。
ネイティブの心理
一方、英語ネイティブの感情に対する考え方は真逆です。「ニュース」が自分を「驚かした」結果、自分は「驚かされている」のです。これは受け身(受動態)の発想です。
感情が発生するのは外部の何かに「された」からです。これを英語で表現するためには「過去分詞形(された形)」を使用します。先程の例ではsurprisedとなります。したがって「私はそのニュースに驚いた」の英語は次のようになります。
感情動詞の具体例
感情動詞の仲間は他にもたくさんあります。そのなかの一部を紹介します。
bore をうんざりさせる
disappoint をがっかりさせる
excite を興奮させる
scare をこわがらせる
tire を疲れさせる
satisfy を満足させる
これらはすべて原因となる物や人が主語になるときに使われる動詞です。例えば、The baseball game bored me.(その野球の試合は私をうんざりさせた)のように使用されます。
視点を変えて「私(I)」を中心に表現してみます。そうすると私は「うんざりさせられている(受け身)」ので、次のように表現できます。
(私はその野球の試合にうんざりさせられた)=自然な日本語にすると(うんざりした)
原因となる物・人を中心に語るときは-ingにする
今度は反対に、原因となる物や人を説明するときにはどうするかを見てみましょう。先程の例文では「つまらなくさせる(能動態)」のは「野球の試合」です。だから「その野球の試合はつまらない」と言いたければ、現在分詞と呼ばれる(-ing形)にします。
The boring baseball game.(つまらない野球の試合)
子どももとても間違いやすい文法事項なので、子どもに正しいアドバイスを送れるようにお母さんのために問題を用意したので、一緒に考えてみましょう。
edとingの使い分けをマスターしよう
以前、上原浩二選手がメジャーリーグのボストン・レッドソックスでインタビューを受けたときに息子さんもマイクを向けられたことがありました。お父さんと一緒に渡米してアメリカで教育を受けているようで英語にも慣れている様子です。
実は私はこのシーンをテレビで見ていました。以下、女性リポーターと息子さんのやり取りです。
(リ:リポーター、子:息子)
子: I don’t know. (さあ)
リ:Did you get sick when he was out there, or excited? (お父さんがあそこにいたとき、吐きそうだった? それともワクワクしていた?)
子:Excited! (テレビのテロップにはEXCITINGの文字)
これを見ていたときに私は「あれっ」と思いました。息子さんの「Excited」が正しいのか、テレビの字幕の「EXCITING」が正しいのか、どちらかわかるでしょうか?
excited/ exciting
リポーターの質問は「Did you get sick when he was out there, or (did you get) excited?」でした。パパのピッチングが原因で、「あなたの感情は興奮させられたかしら?(受け身)」と聞いているのです。
よって正しい受け答えは、(I got) excited! です。上原投手の息子さんが正解で、テレビの字幕が間違いです
confusing/ confused
あなたの目の前に一卵性双生児の女の子が2人います。名前は「あやか」と「あやな」です。紛らわしいですね。この状況をconfuse(を困惑させる)という感情動詞を使って表現してみましょう。
The twins are ( ).
問題:それぞれの( )の中に、confusing かconfusedのどちらかを入れてみましょう。
正解
The twins are confusing.(その双子は紛らわしい)
まとめ
感情動詞から派生した「-ed」と「-ing」の使い分けは、子どもにとって難しく感じる部分です。その難しく感じる原因は、日本人と英語ネイティブの発想の違いにあります。
お母さんは図や具体例を示しながら子どもに教えてあげましょう。感情にまつわる表現は会話でも頻繁に使われます。瞬時に使い分けをするためには根本的な理解が欠かせません。
一度で理解できない子どもも多いはずなので、わかるまで何度も付き合ってあげる根気も必要です。